説明

セラミックからの歯科修復物を調製する方法およびシステム

【課題】セラミックからの歯科修復物を調製するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製する方法であって、セラミックの成形物が、プレス鋳型中の鋳型空洞中に、プレス鋳型中のチャンネルを通って完全または部分的に押され、鋳型空洞が歯科修復物に対応し、成形物が第1の容量領域および第2の容量領域を有し、第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって第1の容量領域とは異なり、そしてプレス鋳型中のチャンネルが、成形プロセスにおいて、第1の容量領域の材料が、第2の容量領域の材料より早く鋳型空洞に到達し、そして/または第2の容量領域の材料より多い第1の容量領域の材料が、鋳型空洞に押されるような方法で、成形物を鋳型空洞中に方向付けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1または特許文献2に記載されるような成形方法が、セラミックからの歯科修復物の調製のために知られている。
【0003】
その方法では、完全に焼き尽くされ得る材料から生成された歯科修復物のモデルが、プレスマッフル内側で後のキャスティングチャネルを形成するストランド上に取り付けられ、そしてこのプレスマッフルが包埋化合物で充填され、その結果、上記モデルは、この包埋化合物によって完全に取り囲まれる。この包埋化合物は硬化され、耐火プレス鋳型を形成し、そして硬化されたプレス鋳型中の歯科修復物に対応する鋳型空洞を生成するために上記モデルが焼き尽くされる。次いで、セラミック材料が、歯科修復物に対応する鋳型空洞を充填するために、圧力を付与することにより上記プレス鋳型中にキャスティングチャネルを通って押され、そしてその結果、セラミック材料から歯科修復物を生成する。
【特許文献1】欧州特許公開第0 231 773号明細書
【特許文献2】米国特許第5,702,514号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この公知の方法およびシステムの欠点は、これら公知の成形方法が、単一色の歯科修復物のためにだけ適切であることである。自然の歯において多種多様に生じる色および不透明度の変化の歯科修復物における忠実な再生が所望される場合、先行技術によれば、例えば、塗装または被覆によるようなその後の表面処理が避けられない。このようなその後の表面処理は、それが手による作業を含むため、骨がおれ、かつ高価である。
【0005】
従って、本発明の目的は、セラミックから歯科修復物を調製するための方法およびシステムを提供することであり、ここで、色および不透明度の変化は、その後の表面被覆なくして達成される。
【0006】
この目的は、個々の予備的に特徴付ける項と組み合わせて、独立請求項1、6および22を特徴付ける特徴によって、本発明に従って達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面によれば、自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するための方法が提供され、ここで、セラミックの成形物が、プレス鋳型中の鋳型空洞中に、プレス鋳型中のチャンネルシステムを通って完全または部分的に押され、ここで、上記鋳型空洞が歯科修復物に対応し、上記成形物が第1の容量領域および第2の容量領域を有し、上記第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって上記第1の容量領域とは異なり、そして上記プレス鋳型中のチャンネルシステムが、上記成形物を、成形プロセスにおいて上記鋳型空洞中に、上記第1の容量領域の材料が、上記第2の容量領域の材料より早い時に上記鋳型空洞に到達し、そして/または上記第2の容量領域の材料より多い上記第1の容量領域の材料が、上記鋳型空洞に押される様式で方向付けることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の局面によれば、自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するためのシステムが提供され、ここでこのシステムは、セラミックまたはプラスチックの成形物、プレスマッフルベース(5)および完全に焼き尽くされ得る材料のスプルーピンシステム(15)を備え、上記スプルーピンシステムが、完全に焼き尽くされ得る材料の歯科修復物のモデルを上記プレスマッフルベース上に取り付ける目的に供され、上記スプルーピンシステムに対応するチャンネルシステムおよび上記モデルに対応する鋳型空洞をもつプレス鋳型が、上記モデルが、上記スプルーピンシステムによって上記プレスマッフルベース上に取り付けられる方法により生成され得、そしてこのようして生成されたプレス鋳型が、上記成形物を上記プレス鋳型の鋳型空洞中に押すために適し、上記成形物が第1の容量領域および第2の容量領域を有し、上記第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって上記第1の容量領域とは異なり、そして上記スプルーピンシステムが、上記プレス鋳型の生成において作られたチャンネルシステムが2つの流路を有するように事前製作されかつ形態にされ、第2の流路が第1の流路より大きな容量を有し、そして成形プロセスにおいて、上記第1の容量領域の材料が、上記第1の流路を通って上記鋳型空洞中に押され、そして上記第2の容量領域の材料が、上記第2の流路を通って上記鋳型空洞(21)中に押されることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の局面によれば、自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するためのセラミックの成形物の使用が提供され、ここで、上記成形物が第1の容量領域および第2の容量領域を有し、上記第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって上記第1の容量領域とは異なり、上記成形物が、プレス鋳型中の鋳型空洞中に、上記プレス鋳型中のチャンネルシステムを通って完全または部分的に押され、ここで、上記鋳型空洞が歯科修復物に対応し、そして、成形プロセスにおいて、上記プレス鋳型中のチャンネルシステムが、上記成形物を、上記鋳型空洞中に、上記第1の容量領域の材料が、上記第2の容量領域の材料より早い時に上記鋳型空洞に到達し、そして/または上記第2の容量領域の材料より多い上記第1の容量領域の材料が、上記鋳型空洞に押される様式で方向付けることを特徴とする。
【0010】
本明細書において、用語「歯科修復物」は、歯冠、部分歯冠、被覆、ブリッジ、橋脚歯またはその他の装具を含む。本発明はまた、セラミック、金属または金属合金の構造物をオーバーモールド(overmold)するために適切である。用語「流路」は、本明細書では、成形プロセスにおいて成形物の容量領域の材料の流れ前端が従う通路を意味する。流路の容量は、流路の長さによって乗じられた、この流路に沿った容量領域の材料の流れ前端が通過して流れる表面積によって決定される。チャンネルシステムの形態に従って、流れ経路は、この場合、鋳型空洞に至らない分岐を形成し、かつ別れ得る。容量領域の流路は、このチャンネルシステムにおいて、必ずしも別個のチャンネルを通って流れる必要はなく、共通のチャンネルをまた流れ得る。流路の総容量は、成形プロセス後、成形物の容量領域の材料によって利用されるチャンネルシステムの容量によって決定される。
【0011】
本発明は、それによってまた、1つ以上のチャンネルシステムまたはスプルーピンシステムの使用を含む、同じかまたは異なる色および不透明度の変化をもつ任意の所望の数の歯科修復物の同時または同時でない調製のための方法、システムおよび使用を含む。
【0012】
本発明による方法の好ましい実施形態では、チャンネルシステムおよび歯科修復物に対応する鋳型空洞が、プレキシガラスまたはワックスのような完全に焼き尽くされ得る材料から生成される事前製作されたスプルーピンシステムによって生成され、そこでは、成形プロセスの前に、完全に焼き尽くされ得る材料から生成された歯科修復物のモデルが、このスプルーピンシステムによりプレスマッフルのプレスマッフルベース上に取り付けられる。このプレスマッフルは、次に、包埋化合物で充填され、その結果、このモデルおよびスプルーピンシステムは、この包埋化合物により完全に取り囲まれる。次いで、この包埋化合物は硬化され、耐火プレス鋳型および上記モデルを形成し、そして上記スプルーピンシステムは、硬化されたプレス鋳型中の歯科修復物およびチャンネルシステムに対応する鋳型空洞を生成するために焼き尽くされる。
【0013】
好ましは、歯科修復物のモデルは、この場合、上記スプルーピンシステムに中間または遠位で連結される。これは、このチャンネルシステムの後の離脱がより容易であり、そして対向する歯の幾何学的形状が考慮されなければならないことがないという、スプルーピンの咬合供給を超える利点を有する。
【0014】
次に、上記成形プロセスにより、直接、歯科修復物において自然な効果をもつ色および不透明度の変化を生成するために、上記成形物は、本発明によれば、第1の容量領域および第2の容量領域を有し、この第2の容量領域は、異なる色または不透明度により第1の容量領域とは異なる。これら異なる容量領域は、例えば、歯科修復物のための象牙質材料および切歯材料であり得る。しばしば、頸部象牙質材料に対応する第3の容量領域がまた用いられる。容量領域の数は、原則的に制限されない。
【0015】
上記成形物を加圧することの成形プロセスの間の圧力の影響の下、恐らくはこの成形物の加熱の前または同時に、この成形物の材料、すなわち、セラミックまたはポリマーは、粘性または流動可能になり、そして歯科修復物に対応するプレス鋳型中の鋳型空洞中に押され得る。これが起こるとき、プレス鋳型中のチャンネルシステムは、上記成形物を、成形プロセス中に鋳型空洞中に方向付ける。
【0016】
本発明の方法によれば、成形プロセスにおいて流動可能である上記成形物は、歯科修復物に対応する鋳型空洞中に、上記成形物の第1の容量領域が、上記第2の容量領域の前に鋳型空洞に到達するように方向付けられる。結果として、自然な効果をもつ色および不透明度の変化が、その後の骨のおれる被覆および色特徴付けの必要性なくして歯科修復物で達成される。歯科修復物中の個々の容量領域の公称容量割合および空間的位置の両方は、このようにして上記チャンネルシステムによって制御される。上記歯科修復物は、上記チャンネルシステムによって制御される成形物の異なる色、または異なる透明度の容量領域の分布の結果として特に自然な効果を有する。
【0017】
本発明による方法の場合において、セラミックの成形物は、1つの部分または複数部分の形状であり得るプレスブランクをいう。複数部分の成形物の場合には、個々の部分が、実際の成形加工の前に一緒に加熱または圧縮することによって一緒に融合される。好ましくは、この場合、各々の個々の部分は、特定の色および/または不透明度をもつ容量領域を表す。
【0018】
好ましくは、上記成形物の容量領域間の色または不透明度は、自然の歯における色変動に対応するように、一様かつ段階的である。上記成形物は、好ましくは成形方向を有し、これに沿って、この成形物の断面形状は一定であり、その結果、上記成形物は、成形方向に沿ってプレス鋳型中に押され得る。上記成形物の形状は、特に、実質的に円筒形であり得る。
【0019】
異なる色または不透明度の変化をもつ複数の容量領域が成形物中に分配される種々の可能な方法がある。一方では、これら容量領域は、実質的に上記成形方向に沿って延び得、そして上記成形物の成形方向に実質的に垂直に延びる法線を有する平面で互いに実質的に隣接している。これに対する代替として、上記容量領域は、各々の場合に、上記成形物の層を実質的に構成し得、そして上記成形物の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面で互いに実質的に隣接し得る。さらに、上記容量領域は、各々の場合に、上記成形物の一部分を実質的に構成し、そして上記成形物の成形方向に対して斜めに延びる法線を有する平面で互いに実質的に隣接する。
【0020】
上記成形物は、有利には、第1の容量領域および第2の容量領域のみならず、異なる色または透明度により隣接する容量領域とは異なる少なくとも1つのさらなる容量領域をまた有する。
【0021】
異なる色および/または不透明度をもつ少なくとも2つの容量領域をもつ成形物の形態に従えば、本発明の鋳型中のチャンネルシステムは、それが上記成形物に適合されるような形態でなければならない。これは、有利には、特定の成形物に一致する事前製作されたスプルーピンシステムによって確実にされる。上記チャンネルシステムは、上記成形物の1つの領域が、その他の容量領域の前に鋳型空洞に到達することを確実にしなければならない。これは、例えば、2つの流路であって、第2の流路が第1の流路より大きな容量を有し、そして成形プロセスにおいて、この第1の容量領域が第1の流路を通って鋳型空洞中に押され、そして第2の容量領域が第2の流路を通って鋳型空洞中に押される2つの流路を有するチャンネルシステムによって達成され得る。これらの流路は、この場合には、部分的には別個のチャンネルであり得るが、それらはそうである必要はない。両方の流路は共通のチャンネルを通って通じ得、このチャンネルシステムは、上記成形物の1つの容量領域が、成形プロセスにおいて、その他の容量領域より大きいチャンネルシステムの容量を満たすことを確実にする。均一の圧力が、成形プロセス中のチャンネルの全体のシステム内、すなわち、また、両方の流路に沿って行き渡るので、チャンネルシステム内のより大きな容量を充填するその容量領域は、チャンネルシステム中のより小さな容量を充填するその容量領域より遅く鋳型空洞に到達する。これら流路中の容量における差異は、例えば、継ぎ足しの形態の延長部をともなう形態であるスプルーピンシステムによって達成され得、この継ぎ足しに対応するリザーバーは、プレス鋳型の生成において第2の流路の一部として得られる。結果として、成形プロセスにおいては、最初、リザーバーが1つの容量領域で満たされ、この容量領域は、その他の容量領域より後に鋳型空洞に到達する。
【0022】
継ぎ足しの形状にある形態はまた、延長部、そしてその結果として得られるリザーバーの容量が、プレス鋳型が生成される前に上記継ぎ足しを短くすることにより減少され得る。上記スプルーピンシステムは、このようにして、歯科修復物中の所望の色または不透明度の変化に適合され得る。
【0023】
上記成形物は、成形方向に沿って正確な回転対称性を有さないことが得策であり得る。これは、特に、上記容量領域が、成形物中で、回転対称性が得られない、すなわち、容量領域が成形物のディスク形状領域を構成しないように配列される場合である。妨げられた回転対称性によって、成形物の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面にある成形物の向きの区別がプレス鋳型内に得られる。成形プロセスの前に、上記成形物は、プレス鋳型内のプレススペース中に位置され、このプレススペースは、上記プレス鋳型の生成においてプレスマッフルベースの延長部により生成される。結果として、このプレスマッフルベースの延長部の形状は、上記成形物の外側形状に実質的に対応するはずである。この点で、上記成形物の妨げられた回転対称性は、上記プレスマッフルベースの延長部が対応する妨げられた回転対称性を有する場合にのみ得策である。これは、成形物が、上記プレスマッフルベースの延長部で上記スプルーピンシステムを配列することによって、プレス鋳型の生成の前に、成形プロセスのためのプレススペース中に挿入される場合、この成形物の向きの区別が確実にされることを可能にする。
【0024】
成形プロセスのための成形物を形成する使用者によって所望されるとき、一緒に置かれ得る複数パーツの成形物には、プレスマッフルベースの延長部の高さが調節可能であり、その結果、対応する深さをもつプレススペースが、上記延長部の調節された高さの結果として、プレス鋳型の生成においてプレス鋳型中に得られることがまた得策であり得る。上記成形物は、結果として、特定高さに制限されない。
【0025】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製する方法であって、
ここで、セラミックの成形物(24)が、プレス鋳型中の鋳型空洞(21)中に、プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)を通って完全または部分的に押され、
ここで、該鋳型空洞(21)が歯科修復物に対応し、
該成形物(24)が第1の容量領域(25)および第2の容量領域(27)を有し、該第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって該第1の容量領域(25)とは異なり、そして
該プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)が、成形プロセスにおいて、該第1の容量領域(25)の材料が、該第2の容量領域(27)の材料より早く該鋳型空洞(21)に到達し、そして/または該第2の容量領域(27)の材料より多い該第1の容量領域(25)の材料が、該鋳型空洞(21)に押されるような方法で、該成形物(24)を該鋳型空洞(21)中に方向付けることを特徴とする、方法。
(項目2)上記チャンネルシステム(19)が、上記鋳型空洞(21)への2つの流路を有し、第2の流路が第1の流路より大きな容量を有し、そして上記第1の容量領域(25)の材料が、該第1の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押され、そして該第2の容量領域(27)の材料が、該第2の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押される、項目1に記載の方法。
(項目3)上記チャンネルシステム(19)の第2の流路がリザーバー(31)を有し、そして上記第2の容量領域(27)の材料が、上記成形プロセス中に該リザーバー(31)に押される、項目2に記載の方法。
(項目4)上記成形プロセスの前に、完全に焼き尽くされ得る材料から生成された歯科修復物のモデル(17)が、完全に焼き尽くされ得る材料から生成されたスプルーピンシステム(15)によってプレスマッフル(3)のプレスマッフルベース(5)上に取り付けられ、
該プレスマッフル(3)が包埋化合物で充填され、該モデル(17)および該スプルーピンシステム(15)が該包埋化合物によって完全に取り囲まれ、
該包埋化合物が硬化されて耐火プレス鋳型(1)を形成し、そして
該モデル(17)および該スプルーピンシステム(15)が、硬化されたプレス鋳型(1)中に、歯科修復物および上記チャンネルシステム(19)に対応する上記鋳型空洞(21)を生成するために焼き尽くされる、
項目1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)上記歯科修復物のモデル(17)が、上記スプルーピンシステム(15)に、中間で、または遠位で連結される、項目4に記載の方法。
(項目6)自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するシステムであって、
セラミックまたはプラスチックの成形物(24)、
プレスマッフルベース(5)および
完全に焼き尽くされ得る材料のスプルーピンシステム(15)を備え、
該スプルーピンシステム(15)が、完全に焼き尽くされ得る材料の歯科修復物のモデル(17)を該プレスマッフルベース(5)上に取り付ける目的に供され、該スプルーピンシステム(15)に対応するチャンネルシステム(19)および該モデル(17)に対応する鋳型空洞(21)を有するプレス鋳型(1)が、該スプルーピンシステム(15)によって、該モデル(17)が、該プレスマッフルベース(5)上に取り付けられる方法により生成され得、そしてこのようして生成されたプレス鋳型(1)が、該成形物(24)を該プレス鋳型(1)の鋳型空洞(21)中に押すために適し、
該成形物(24)が第1の容量領域(25)および第2の容量領域(27)を有し、該第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって該第1の容量領域(25)とは異なり、そして
該スプルーピンシステム(15)が、該プレス鋳型(1)の生成において作られたチャンネルシステム(19)が2つの流路を有するように事前製作されかつ形態にされ、第2の流路が第1の流路より大きな容量を有し、そして成形プロセスにおいて、該第1の容量領域(25)の材料が、該第1の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押され、そして該第2の容量領域(27)の材料が、該第2の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押されることを特徴とする、システム。
(項目7)上記成形物(24)の容量領域(25、27、35)が、互いから分離されている成形物(24)の部分の形態をとり、そして一緒に加熱すること、および/または圧縮することにより成形物(24)を形成するよう融合するのに適している、項目6に記載のシステム。
(項目8)上記スプルーピンシステムが、リザーバー(31)が上記プレス鋳型(1)の生成において上記第2の流路の一部分として得られるように延長部(30)を備える形態であり、該延長部(30)、そして結果として得られるリザーバー(31)の容量が、該プレス鋳型(1)が生成される前に、該延長部(30)を短縮することによって低減されることが可能である、項目6または7に記載のシステム。
(項目9)上記スプルーピンシステム(15)が、歯科修復物の2つ以上のモデル(17)を上記プレスマッフルベース(5)に連結する目的のための形態である、項目6〜8のいずれか1項に記載のシステム。
(項目10)上記成形物(24)の容量領域(25、37、35)間の色または不透明度の変化が一様である、項目6〜9のいずれか1項に記載のシステム。
(項目11)上記成形物(24)が成形方向を有し、該方向に沿って該成形物(24)の断面形状が一定である、項目6〜10のいずれか1項に記載のシステム。
(項目12)上記成形物(24)が、実質的に円筒形状を有する、項目11に記載のシステム。
(項目13)上記成形物(24)の上記第1の容量領域(25)および上記第2の容量領域(27)が、上記成形方向に実質的に沿って延び、そして該成形物(24)の成形方向に実質的に垂直に延びる法線を有する平面で互いに対して実質的に隣接している、項目11または12に記載のシステム。
(項目14)上記第1の容量領域(25)および上記第2の容量領域(27)が、各々の場合において上記成形物(24)の層を実質的に構成し、そして該成形物(24)の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面で互いに対して実質的に隣接している、項目11または12に記載のシステム。
(項目15)上記第1の容量領域(25)および上記第2の容量領域(27)が、各々の場合において上記成形物(24)の一部分を構成し、そして該成形物(24)の成形方向に対し斜めに延びる法線を有する平面で互いに対して実質的に隣接している、項目11または12に記載のシステム。
(項目16)上記成形物(24)が、上記第1の容量領域(25)および上記第2の容量領域(27)に加え、異なる色または不透明度により隣接する容量領域(25、27)から異なる少なくとも1つのさらなる容量領域(36)を有する、項目6〜15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目17)上記成形物(24)が、上記成形方向に沿って回転対称性の妨げを有し、該成形物(24)の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面において、該成形物(24)の向きの区別が、上記成形プロセスにおいて上記鋳型(1)内で確保される、項目11〜16のいずれか1項に記載のシステム。
(項目18)上記鋳型(24)での継ぎ足し、長手方向溝、面取りまたは片側の平坦化の形態の上記回転対称性の妨げが、該鋳型(24)の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面における該鋳型(24)の向きの区別が、上記成形プロセス中に上記プレス鋳型(1)内で確保されることを提供する、項目17に記載のシステム。
(項目19)上記プレスマッフルベース(5)が、上記成形物(24)の形状に実質的に対応する延長部(7)を有し、上記成型プロセスのために該成形物(24)が挿入され得るプレススペース(23)が、該延長部(7)の結果として、上記プレス鋳型(1)の生成中に該プレス鋳型(1)中に得られる、項目6〜18のいずれか1項に記載のシステム。
(項目20)上記プレスマッフルベース(5)中の引込んだ部分(7)の高さが調節可能であり、対応する深さをもつプレススペース(23)が、上記延長部(7)の調節された高さの結果として、上記プレス鋳型(1)の生成中に該プレス鋳型(1)中に得られる、項目19に記載のシステム。
(項目21)完全に焼き尽くされ得る上記スプルーピンシステム(15)の材料が、プレキシガラスまたはワックスである、項目6〜20のいずれか1項に記載のシステム。
(項目22)自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するためのセラミックの成形物(24)の使用方法であって、
ここで、該成形物(24)が第1の容量領域(25)および第2の容量領域(27)を有し、該第2の容量領域が、異なる色または不透明度によって該第1の容量領域(25)とは異なり、
該成形物(24)が、プレス鋳型(1)中の鋳型空洞(21)中に、該プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)を通って完全または部分的に押され、
ここで、該鋳型空洞(21)が歯科修復物に対応し、そして
成形プロセスにおいて、該プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)が、該第1の容量領域(25)の材料が、該第2の容量領域(27)の材料より早く該鋳型空洞(21)に到達し、そして/または該第2の容量領域(27)の材料より多い該第1の容量領域(25)の材料が、該鋳型空洞(21)に押されるような方法で、該成形物(24)を該鋳型空洞(21)中に方向付けることを特徴とする、使用方法。
【0026】
(摘要)
本発明は、自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するための方法およびシステムに関し、ここで、セラミックの成形物(24)が、プレス鋳型中(1)中の鋳型空洞(21)中に、プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)を通って完全または部分的に押され、ここで、この鋳型空洞(21)が歯科修復物に対応する。
【0027】
本発明は、以下に図面を基礎に説明され、これら図面は、単に好ましい例示の実施形態を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、プレス鋳型1が、どのようにプレスマッフルベース5を備えたプレスマッフル3により生成されるかを示す。このプレスマッフルベース5は、この場合、円筒形の延長部7を有し、これは、プレスマッフルベース5の平板形状の底9から上方に延びる。プレスマッフルスリーブ11は、底9上に取り付けられ、底9に対して丁度下側エッジで終わり、そして結果として、この底9と一緒に、外側の充填鋳型を形成する。円筒形延長部7の上端面上に配置されて、例えば、プレキシガラスまたはワックスのような、完全に焼き尽くされ得る材料から生成されるスプルーピンシステム15がある。この実施形態では、このスプルーピンシステム15は、延長部7上でH形状の両脚で直立して配置され、そして同様に、例えばプレキシガラスまたはワックスのような完全に焼き尽くされ得る材料から生成される歯科修復物のモデル17が、このH形状の1つの脚上に取り付けられる。プレスマッフル3は包埋化合物で充填され、これは、延長部7、スプルーピンシステム15およびモデル17を完全に取り囲む。この包埋化合物は、例えばシリカフラワーを含む石膏様のリン酸塩が結合した組成を有し得、そして最初は流動可能であり、そして充填後硬化してプレス鋳型1を形成する。硬化後、プレスマッフル3、すなわち、プレスマッフルベース5すなわち底9および延長部7、ならびにプレスマッフルスリーブ11が、プレス鋳型1から離脱される。焼き尽くすことにより、スプルーピンシステム15およびモデル17の材料は、任意の残渣を残すことなく焼き尽くされる。
【0029】
図2には、焼成後のプレス鋳型1が示され、焼き尽くされたスプルーピンシステム15はチャンネルシステム19を生成し、焼き尽くされたモデル17は歯科修復物に対応する鋳型空洞21を生成し、そしてプレス鋳型1中に延長部7を延ばした、除去されたプレスマッフルベース5は、このプレス鋳型1中にプレススペース23を生成する。このプレススペース23中に挿入された成形物24があり、これは、第1の容量領域25および第2の容量領域27を有する。これら容量領域25、27は、それらの色および不透明度が互いから異なる。たとえ、この第1の容量領域25から第2の容量領域27までの鋭い遷移がこの図に示唆されているとしても、これら容量領域25、27は、歯における自然の色の変動に従う安定した段階的でかつ円滑な遷移を有する。成形物24は、プレスマッフルベース5の延長部7と同じ外側の円筒形状を有し、その結果、それは、プレススペース23中へ正確な適合で挿入され得る。同様に同じ円筒形状をもつプレスラム29は、次いで、成形物24が熱および/または圧力の影響下で粘性または流動可能になると直ぐに、鋳型空洞21中のチャンネルシステム19を通して成形物24を押し得る。この実施形態では、2つの容量領域25、27は、各々の場合において、成形物24の半円筒形であり、これらは、力の矢印Fによって示される成形方向に垂直に延びる法線を有する界面で互いに隣接している。成形物24は、成形プロセスの前には、第1の容量領域25の端面が、鋳型空洞21によって直接隣接される、鋳型空洞21中へのH形状のチャンネルシステム19の脚の直接前に配置されるように配向される。H形状のチャンネルシステム19の他方の脚は、上部分に出口のないチャンネル33を有し、これは、鋳型空洞21に直接連結されず、交差チャンネルおよび他方の脚の上部分を経由してのみ鋳型空洞21に連結される。成形プロセスの前には、第2の容量領域27は、出口のないチャンネル33をもつ脚の直接前に端面が位置され、その結果、この第2の容量領域27は、交差チャンネルおよび他方の脚の上部分を経由してのみ鋳型空洞21に到達し得る。力の矢印Fによって示されるように、成形方向は、上記H形状のチャンネルシステム19の脚の長手方向に走るので、成形プロセスにおいては、第1の出口のないチャンネル33は、圧力がこの第2の容量領域27を交差チャンネルを通って側方に、そして最後に鋳型空洞21に直接連結される脚の上部分を通って鋳型空洞21中に押す前に、第2の容量領域27で満たされる。チャンネルシステム19中の第2の容量領域27の流路は、このチャンネルシステム19中の第1の容量領域25の流路より大きな容量を有するので、この第1の容量領域25は、第2の容量領域27の前に鋳型空洞21に到達する。結果として、鋳型空洞21のより大きな容量割合が、第1の容量領域25によって満たされ、次いで、第2の容量領域27によって満たされる。
【0030】
図3には、成形物24の可能な形態が示される。たとえ、この成形物24の円筒形状のみが示されているとしても、成形方向に沿って一定の断面形状を有する任意のその他の形状がまた想定される。容量領域25、27は、種々の様式で成形物24中に分配され得る。図3aでは、これら容量領域25、27の分配は、図2からの例示の実施形態に対応して、半円筒形状として示されている。図3bは、ディスクとしての個々の容量領域25、27を示す。容量領域25、27とは別に、成形物24は、さらなる容量領域35または多くのさらなる容量領域を有し得る。ディスクとしての容量領域25、27、35の分配では、図2におけるようなチャンネルシステム19の形態は不適切であり、そして図6、7、8および10に示されるような形態をもつチャンネルシステム19またはスプルーピンシステム15が用いられなければならないであろう。しかし、ディスクのような容量領域の形態は、複数パーツ形態にある成形物24を提供することを容易にすることが有利である。ディスク中の個々のパーツは、次いで、有利なことに、各々が容量領域を形成する。個々のパーツの配列は、次いで、使用者によって所望されるように一緒に置かれ得る。実際の成形加工の前に、個々のパーツは、次いで、熱および/または圧力の影響の下で一緒に融合され、対応する容量領域をもつ成形物24を形成する。図3cは、成形方向に対して斜めに配向される容量領域間の界面がまた想定可能であることを示す。
【0031】
図3a、図3cに従う成形物24の形態、または個々の容量領域がディスクの形状を有さない任意のその他の形態には、成形物24の成形方向軸回りの向きは区別がない。しかし、図2中の実施形態に表されるように、チャンネルシステム19の形態が、成形物24の成形方向軸回りの特定の向きを必要とする場合、この成形物24の形状によって向きを区別することが得策である。図4は、成形方向軸回りに回転対称の成形物24が、プレス鋳型1のプレススペース23中の成形物24の向きが区別されるように分配され得る種々の可能な様式を示す。この場合には、向きの区別は、プレスマッフルベース5の延長部7が、類似の回転対称の妨げを有するときにだけ保証される。プレス鋳型1のプレススペース23中に最初導入される成形物24の端面は、例えば、面取りされ得、面取りの勾配は、この端面上の容量領域間の境界線に沿って走る。成形物24はまた、側面の1つの側部が平坦にされ得るか、または溝またはノッチを有し得る。最初プレス鋳型のプレススペース23中に導入される端面はまた、ノッチまたは溝が成形方向軸回りの向きにおける回転対称の曖昧さを許さない場合、このようなノッチまたは溝を有し得る。いずれの場合においても、プレス鋳型1のプレススペース23は、成形物24が正確な適合で挿入され得、そして次いで、成形プロセスの前にチャンネルシステム19の前に直接位置されるために、上記回転対称の対応する妨げを有さなければならない。スプルーピンシステム15の一部が、結果として生成されたチャンネルシステム19が、プレス鋳型1のプレススペース23の一部を構成するような様式の形態である場合(図6、7、8および10を参照のこと)、このスプルーピンシステム15はまた、プレス鋳型1のプレススペース23中に対応する回転対象の妨げを提供し得る。
【0032】
図5では、図2に従う実施形態が、成形プロセスの間または成形プロセス後で詳細に示される。第1の容量領域25は既に鋳型空洞21中に押されているが、第2の容量領域27は、出口のないチャンネル33をもつ脚、交差チャンネルおよび鋳型空洞21に連結されている脚の上部分を経由して第2の流路に沿って鋳型空洞21へのなおその途中にある。これが起こるとき、出口のないチャンネル33は充填される。なぜなら、成形方向の圧力は、最初、第2の容量領域27の流れの前端を出口のないチャンネル33中に、出口のないチャンネル33が充填されるまで押すからである。一旦、この出口のないチャンネル33が充填されると、第2の容量領域27の流れの前端は、交差チャンネルに、そして最後に成形方向の圧力に従い、鋳型空洞21に連結されている脚の上部分に沿って鋳型空洞21の方へ進む。この第2の容量領域27の流れの前端が従う流路は、それ故、鋳型空洞21に連結されている脚を直接通る鋳型空洞21への第1の容量領域25の流れの前端によって追従される流路より大きい容量を有する。鋳型空洞21に連結されている脚の上部分では、容量領域25、27は再び1つになる。成形プロセスの後、鋳型空洞21は、第1の容量領域25より多い容量割合の第2の容量領域27を有する。自然な効果をもつ色および不透明度の変化は、それによって、歯科修復物で達成される。成形プロセスの後、中に押された成形物24は硬化される。プレス鋳型1は、次いで、切断、ミリング、サンドブラスト、エッチングおよび/またはその他の慣用の方法によって除去される。次いで、鋳型空洞21の充填物を含むこの歯科修復物は、チャンネルシステム19を充填している、成形物24の材料から分離される。モデル17がスプルーピンシステム15上に取り付けられた時点で、歯科修復物は、自然の歯に対応する歯科修復物の中間および遠位表面を保証するために手で再び加工されなければならない。モデルのためのスプルーピンが、咬合面ではなく、中間または遠位で提供される場合が有利である。なぜなら、そのときは、対向する歯の形状を、手による再加工において考慮する必要がないからである。
【0033】
本発明のさらなる実施形態が、図6、7および8に示される。この実施形態は、同時に、多くの歯科修復物を同時調製するために特に良好に適している。この実施例は、1つの成形加工で同時に調製される2つの歯科修復物に関するが、それはまた、2つを超える歯科修復物に関し得る。この実施例では、図3bに示される成形物24が用いられる。容量領域25、27および35は、ディスクの形状にあり、そして一緒に、円筒形の成形物24を形成する。容量領域25は、ここでは、象牙質材料に対応し、容量領域27は、切端材料に対応し、そして容量領域35は、頸部象牙質材料に対応する。プレス鋳型1中のチャンネルシステム19は、この実施例では、図10に示されるようなスプルーピンシステム15によって生成された。このスプルーピンシステム15は、例えば、プレキシガラスまたはワックスのシートを実質的に含み、そしてプレスマッフルベース5の延長部7の端面に対する正確な適合を提供する連続的スリット中に挿入され得る。これが起こるとき、スプルーピンシステム15は、スリットを完全に充填し、そしてプレスマッフルベース5の延長部7の側面から側方に突出する。歯科修復物のモデルは、これら側方の突出物上に取り付けられる。スプルーピンシステム15はまた延長部30を有し、これは、成形方向に、プレスマッフルベース5の延長部7の端面から突出する。挿入後、スプルーピンシステム15がまた、プレスマッフルベース5の延長部7の端面上のスリット中で中央に着座されるために、このスプルーピンシステム15は、舌(タング)39を有し得、これは、プレスマッフルベース5の延長部7の端面上のスリット中の対応する溝41中に係合する。プレス鋳型1の包埋、硬化および焼き尽しの後、チャンネルシステム19および2つの鋳型空洞21が、図6〜8に示されるように得られる。成形物24の第3の領域35は、プレススペース23の前エッジ、および焼き尽くされた延長部30を有するスプルーピンシステム15から得られるリザーバー31に直接横たわる。さらに、リザーバー31が、チャンネルシステム19の下側に配列され、これは、第2の容量領域27、すなわち、切歯材料のための流路が、下側リザーバー31の容量を通り抜けるためである。リザーバー31の数および形態、ならびにチャンネルシステム19上のそれらの配列および配向は、スプルーピンシステム15の形態によって所望されるように選択され得る。ここでは、象牙質材料の形状である第1の容量領域25は、中央層を表し、これは、第3の容量領域35、すなわち、頸部象牙質材料によって隣接され、これはプレスラム29と直接接触している。図7は成形物24が中に押されるとき起こることを示す。第3の容量領域35は、リザーバー31中に、そしてまたチャンネル中に押され、その一方、その他の容量領域25、27は専ら、チャンネル中を側方に押される。上側リザーバー31の充填の間の側方圧力は、それが、上側リザーバー31からより遠くなるにつれ、増加するので、第3の容量領域35は、この上側リザーバー31がいまだ充填されない限り、その他の容量領域25、27より低い側方圧力を経験する。この上側リザーバー31が第3の容量領域35で充填されたときだけ、この第3の容量領域35は、その他の容量領域25、27と同じ力で鋳型空洞21に押される。第2の容量領域27、すなわち、切歯材料での下側リザーバー31の充填は、類似の様式で進行する。結果として、象牙質材料より少ない切歯材料が、鋳型空洞21中に押される。図7中に示されるように、第3の容量領域35は、既に、その他の容量領域25、27より遅れ、その結果、第1の容量領域25、すなわち、象牙質材料によるより、この第3の容量領域35、すなわち頸部象牙質材料によって、鋳型空洞21のより少ない容量が充填される。リザーバー31のために、多くの流れ前端が、第2の容量領域27、そして第3の容量領域について得られ、一部はリザーバー31中に延び、そして結果として、各々の場合において、第1の容量領域25の流路より大きな容量をもつ全体流路を形成する。
【0034】
図9では、図2の第1の実施形態に対応するH形状のスプルーピンシステム15が示される。モデル17のためのスプルーピンを提供することが意図されない、このH形状のスプルーピンシステム15の脚は、上側部分に延長部30を有し、これは、プレス鋳型1の生成において出口のないチャンネル33に至る。延長部30の長さは、この出口のないチャンネル33の容量に対して影響を有し、そして結果として、歯科修復物における第2の領域27の容量割合に対して直接影響を有するので、この長さが使用者にとって調節可能であれば得策である。結果として、この延長部30は、有利には、歯科修復物における容量領域25、27の所望の分配を達成するために、使用者がこの延長部30の長さをそれを切断することにより短縮し得ることに基づくスケールを有している。図10に示されるように、第2の例示の実施形態の延長部30はまた、各々切断のためのスケールを有している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、スプルーピンシステムおよび歯科修復物のモデルを伴うプレス鋳型の製作の間の、本発明による方法またはシステムの第1の好ましい実施形態の概略図を示す。
【図2】図2は、成形加工前であって、チャンネルシステム、鋳型空洞およびプレス鋳型のプレススペース中に挿入された成形物を伴うプレス鋳型の製作後の、本発明による方法またはシステムの第1の好ましい実施形態の概略図を示す。
【図3】図3は、本発明による方法またはシステムの成形物の可能な実施形態を示す。
【図4】図4は、プレス鋳型中の成形物の向きの区別のための本発明による方法またはシステムの成形物またはプレスマッフルベースの延長部の可能な実施形態を示す。
【図5】図5は、成形加工の間の本発明による方法またはシステムの第1の好ましい実施形態の詳細図を示す。
【図6】図6は、成形加工前の本発明による方法またはシステムの第2の好ましい実施形態の詳細図を示す。
【図7】図7は、成形加工の間の本発明による方法またはシステムの第2の好ましい実施形態の詳細図を示す。
【図8】図8は、成形加工後の本発明による方法またはシステムの第2の好ましい実施形態の詳細図を示す。
【図9】図9は、本発明による方法またはシステムのチャンネルシステムを生成するためのスプルーピンシステムの可能な実施形態を示す。
【図10】図10は、プレスマッフルベースの一致する延長部との組み合わせで、本発明による方法またはシステムのチャンネルシステムを製作するためのスプルーピンシステムのさらなる可能な実施形態を示す。
【符号の説明】
【0036】
1 プレス鋳型
19 チャンネルシステム
24 鋳型空洞
25 第1の容量領域
27 第2の容量領域
29 プレスラム
31 リザーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製する方法であって、
ここで、セラミックの成形物(24)が、プレス鋳型中の鋳型空洞(21)中に、プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)を通って完全または部分的に押され、
ここで、該鋳型空洞(21)が歯科修復物に対応し、
該成形物(24)が第1の容量領域(25)および第2の容量領域(27)を有し、該第2の容量領域(27)が、異なる色または不透明度によって該第1の容量領域(25)とは異なり、そして
該プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)が、成形プロセスにおいて、該第1の容量領域(25)の材料が、該第2の容量領域(27)の材料より早く該鋳型空洞(21)に到達し、そして/または該第2の容量領域(27)の材料より多い該第1の容量領域(25)の材料が、該鋳型空洞(21)に押されるような方法で、該成形物(24)を該鋳型空洞(21)中に方向付けることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記チャンネルシステム(19)が、前記鋳型空洞(21)への2つの流路を有し、第2の流路が第1の流路より大きな容量を有し、そして前記第1の容量領域(25)の材料が、該第1の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押され、そして該第2の容量領域(27)の材料が、該第2の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チャンネルシステム(19)の第2の流路がリザーバー(31)を有し、そして前記第2の容量領域(27)の材料が、前記成形プロセス中に該リザーバー(31)に押される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記成形プロセスの前に、完全に焼き尽くされ得る材料から生成された歯科修復物のモデル(17)が、完全に焼き尽くされ得る材料から生成されたスプルーピンシステム(15)によってプレスマッフル(3)のプレスマッフルベース(5)上に取り付けられ、
該プレスマッフル(3)が包埋化合物で充填され、該モデル(17)および該スプルーピンシステム(15)が該包埋化合物によって完全に取り囲まれ、
該包埋化合物が硬化されて耐火プレス鋳型(1)を形成し、そして
該モデル(17)および該スプルーピンシステム(15)が、硬化されたプレス鋳型(1)中に、歯科修復物および前記チャンネルシステム(19)に対応する前記鋳型空洞(21)を生成するために焼き尽くされる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記歯科修復物のモデル(17)が、前記スプルーピンシステム(15)に、中間で、または遠位で連結される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するシステムであって、
セラミックまたはプラスチックの成形物(24)、
プレスマッフルベース(5)および
完全に焼き尽くされ得る材料のスプルーピンシステム(15)を備え、
該スプルーピンシステム(15)が、完全に焼き尽くされ得る材料の歯科修復物のモデル(17)を該プレスマッフルベース(5)上に取り付ける目的に供され、該スプルーピンシステム(15)に対応するチャンネルシステム(19)および該モデル(17)に対応する鋳型空洞(21)を有するプレス鋳型(1)が、該スプルーピンシステム(15)によって、該モデル(17)が、該プレスマッフルベース(5)上に取り付けられる方法により生成され得、そしてこのようして生成されたプレス鋳型(1)が、該成形物(24)を該プレス鋳型(1)の鋳型空洞(21)中に押すために適し、
該成形物(24)が第1の容量領域(25)および第2の容量領域(27)を有し、該第2の容量領域(27)が、異なる色または不透明度によって該第1の容量領域(25)とは異なり、そして
該スプルーピンシステム(15)が、該プレス鋳型(1)の生成において作られたチャンネルシステム(19)が2つの流路を有するように事前製作されかつ形態にされ、第2の流路が第1の流路より大きな容量を有し、そして成形プロセスにおいて、該第1の容量領域(25)の材料が、該第1の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押され、そして該第2の容量領域(27)の材料が、該第2の流路を通って該鋳型空洞(21)中に押されることを特徴とする、システム。
【請求項7】
前記成形物(24)の容量領域(25、27、35)が、互いから分離されている成形物(24)の部分の形態をとり、そして一緒に加熱すること、および/または圧縮することにより成形物(24)を形成するよう融合するのに適している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記スプルーピンシステムが、リザーバー(31)が前記プレス鋳型(1)の生成において前記第2の流路の一部分として得られるように延長部(30)を備える形態であり、該延長部(30)、そして結果として得られるリザーバー(31)の容量が、該プレス鋳型(1)が生成される前に、該延長部(30)を短縮することによって低減されることが可能である、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記スプルーピンシステム(15)が、歯科修復物の2つ以上のモデル(17)を前記プレスマッフルベース(5)に連結する目的のための形態である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記成形物(24)の容量領域(25、37、35)間の色または不透明度の変化が一様である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記成形物(24)が成形方向を有し、該方向に沿って該成形物(24)の断面形状が一定である、請求項6〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記成形物(24)が、実質的に円筒形状を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記成形物(24)の前記第1の容量領域(25)および前記第2の容量領域(27)が、前記成形方向に実質的に沿って延び、そして該成形物(24)の成形方向に実質的に垂直に延びる法線を有する平面で互いに対して実質的に隣接している、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の容量領域(25)および前記第2の容量領域(27)が、各々の場合において前記成形物(24)の層を実質的に構成し、そして該成形物(24)の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面で互いに対して実質的に隣接している、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の容量領域(25)および前記第2の容量領域(27)が、各々の場合において前記成形物(24)の一部分を構成し、そして該成形物(24)の成形方向に対し斜めに延びる法線を有する平面で互いに対して実質的に隣接している、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項16】
前記成形物(24)が、前記第1の容量領域(25)および前記第2の容量領域(27)に加え、異なる色または不透明度により隣接する容量領域(25、27)から異なる少なくとも1つのさらなる容量領域(36)を有する、請求項6〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記成形物(24)が、前記成形方向に沿って回転対称性の妨げを有し、該成形物(24)の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面において、該成形物(24)の向きの区別が、前記成形プロセスにおいて前記鋳型(1)内で確保される、請求項11〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記鋳型(24)での継ぎ足し、長手方向溝、面取りまたは片側の平坦化の形態の前記回転対称性の妨げが、該鋳型(24)の成形方向に実質的に平行に延びる法線を有する平面における該鋳型(24)の向きの区別が、前記成形プロセス中に前記プレス鋳型(1)内で確保されることを提供する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プレスマッフルベース(5)が、前記成形物(24)の形状に実質的に対応する延長部(7)を有し、前記成型プロセスのために該成形物(24)が挿入され得るプレススペース(23)が、該延長部(7)の結果として、前記プレス鋳型(1)の生成中に該プレス鋳型(1)中に得られる、請求項6〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記プレスマッフルベース(5)中の引込んだ部分(7)の高さが調節可能であり、対応する深さをもつプレススペース(23)が、前記延長部(7)の調節された高さの結果として、前記プレス鋳型(1)の生成中に該プレス鋳型(1)中に得られる、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
完全に焼き尽くされ得る前記スプルーピンシステム(15)の材料が、プレキシガラスまたはワックスである、請求項6〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
自然な効果をもつ色および不透明度の変化を達成するためのセラミックからの歯科修復物を調製するためのセラミックの成形物(24)の使用方法であって、
ここで、該成形物(24)が第1の容量領域(25)および第2の容量領域(27)を有し、該第2の容量領域(27)が、異なる色または不透明度によって該第1の容量領域(25)とは異なり、
該成形物(24)が、プレス鋳型(1)中の鋳型空洞(21)中に、該プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)を通って完全または部分的に押され、
ここで、該鋳型空洞(21)が歯科修復物に対応し、そして
成形プロセスにおいて、該プレス鋳型(1)中のチャンネルシステム(19)が、該第1の容量領域(25)の材料が、該第2の容量領域(27)の材料より早く該鋳型空洞(21)に到達し、そして/または該第2の容量領域(27)の材料より多い該第1の容量領域(25)の材料が、該鋳型空洞(21)に押されるような方法で、該成形物(24)を該鋳型空洞(21)中に方向付けることを特徴とする、使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−131630(P2009−131630A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297380(P2008−297380)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(501151539)イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL−9494 Schaan Liechtenstein
【Fターム(参考)】