説明

セラミック成形体の連続成形装置

【課題】セラミックの混練から成形までを一連して行えるように構成し、寸法精度のよいセラミック成形体を連続して製造できる縦押出型のセラミック成形装置を提供する。
【解決手段】縦型シリンダ1aと、その上方部に設けたセラミック坏土供給口と、金型を装着する金型ケース1cと、供給口に供給されたセラミック坏土を縦送りするためシリンダ内に縦設したスクリュー1dとでなる縦型押出機1と、セラミック原料を混練、脱気してセラミック坏土を調製し縦型押出機に供給するスクリュー式混練機6と、金型から下方に押し出されるセラミック成形体の下面を支える支持板を載置し縦型押出機から押し出されるセラミック成形体の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体の自重による変形を防止する成形体保持機構4と、金型から押し出されるセラミック成形体が所定の長さに達した時に切断する切断機構5とで構成されたセラミック成形体の連続成形装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法精度のよいセラミック成形体を連続して成形できる、セラミックの押出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミック成形体の押出成形装置としては横方向に押し出す横押出型の成形装置が次工程でのセッティング等を考慮して広く用いられてきているが、この横押出型成形装置で大型のセラミック成形体を製造すると、所定の長さまで押し出される間に自重により変形し、寸法精度のよい製品が得られないという問題があった。
これを解決するため、特開昭63−230304号公報には「セラミック成形体を下方に押出し成形する方法において、押出しダイスを介して下向きに押出される成形体を保持することにより、押出し成形体の変形を防止しつつ所定長さにて切断するセラミックの押出し成形方法と押出し成形装置」の発明が開示されている。
【特許文献1】特開昭63−230304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の縦押し成形装置は、シリンダに投入したセラミック坏土をプランジャーで押出すことによった押出ダイスに圧入する構造であり、シリンダ内のセラミック坏土がなくなる都度プランジャーを引き上げてセラミック坏土を補充しなければならず、同形のセラミック成形体を大量に生産するときにはその手間と、間欠的な製造となるために製品の均一性への不安とが問題になる。
本発明の課題は、前記縦押出し成形装置の問題点に鑑み、セラミックの混練から成形までを一連して行えるように構成し、寸法精度のよいセラミック成形体を連続して製造できる量産に適した縦押出型のセラミック成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
(1)縦型シリンダと、その上方部に設けられたセラミック坏土の供給口と、底部に取着される金型を装着する金型ケースと、前記供給口に供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリューとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース内に装着した金型から連続して押し出す縦型押出機と、
前記金型から下方に押し出されるセラミック成形体の下面を支える支持板を載置し、前記縦型押出機から押し出されるセラミック成形体の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体の自重による変形を防止する成形体保持機構と、
前記金型から押し出されるセラミック成形体が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体を切断する切断機構と、
で構成されてなることを特徴とするセラミック成形体の連続成形装置。
【0005】
(2)縦型シリンダと、その上方側面に開設されたセラミック坏土の供給口と、底部に取着される金型を装着する金型ケースと、前記供給口に供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリューとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース内に装着した金型から連続して押し出す縦型押出機と、
セラミック微粉末を含むセラミック原料を混練、脱気してセラミック坏土を調製し、前記セラミック坏土の供給口から縦型押出機に供給するために前記縦型シリンダの上方に横設されたスクリュー式混練機と、
前記金型から下方に押し出されるセラミック成形体の下面を支える支持板を載置し、前記縦型押出機から押し出されるセラミック成形体の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体の自重による変形を防止する成形体保持機構と、
前記金型から押し出されるセラミック成形体が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体3を切断する切断機構と、
で構成されてなることを特徴とするセラミック成形体の連続成形装置。
【0006】
(3)前記切断機構が、支持軸に回転、及び上下移動可能に装着され、その一方の端部付近が凹字形状に切り込まれた縦板でなる基板と、前記基板の凹字形状の角部4箇所に配設された4個の回転軸と、前記4個の回転軸にチエンソー状に捲回されたベルト状の切断刃とからなる切断部本体と、
前記基板の凹字形状に切り込まれた側の端部とは異なる側の端部に、そのピストン桿の先端を装着し、前記支持軸を回転軸として切断部本体を水平方向に90°回転させるエアシリンダと、
前記エアシリンダ取り付けたスライド板を、前記セラミック成形体の成形速度に同期して支持軸に沿って下降させる電動スライダと、
で構成されてなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載のセラミック成形体の連続成形装置
【0007】
(4)前記成形体保持機構が、金型から押し出されるセラミック成形体の下部を支える支持板を載置した成形体保持部と、該成形体保持部を下降させる電動スライダとからなり、
前記セラミック成形体が所定に長さに達するまではセラミックの押出速度に同期して下降し、所定の長さに達し前記切断機構によって切断された後はセラミック成形体を載置した支持板を迅速に下降させて下方に配置された製品移載部に移載し、さらに前記金型から引き続き押し出されてくるセラミック成形体の下部に別の支持板を当接して支えるよう制御されてなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセラミック成形体の連続成形装置。
【0008】
(5)前記製品移載部が、複数の電動ローラを載置したテーブルでなり、かつ、前記成形体保持部からの移載箇所に存在する電動ローラが、前記成形体保持部を前記電動ローラの下方まで下降させられるように切断されていることを特徴とする前項(4)に記載のセラミック成形体の連続成形装置。
【0009】
(6)前記切断機構、成形体保持機構、及び製品移載部が、移動台車上に一体として配設されていることを特徴とする前項(4)又は(5)のいずれか1項に記載のセラミック成形体の連続成形装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のセラミック成形体の連続成形装置によって、下記の効果が発揮できる。
〈1〉請求項1の発明によれば
本発明のセラミック成形体の連続成形装置が、
縦型シリンダと、その上方部に設けられたセラミック坏土の供給口と、底部に取着される金型を装着する金型ケースと、前記供給口に供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリューとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース内に装着した金型から連続して押し出す縦型押出機と、
前記金型から下方に押し出されるセラミック成形体の下面を支える支持板を載置し、前記縦型押出機から押し出されるセラミック成形体の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体の自重による変形を防止する成形体保持機構と、
前記金型から押し出されるセラミック成形体が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体を切断する切断機構と、
で構成されているので、
従来のセラミック杯土を横方向に押し出す成形装置に存在したセラミック成形体の自重による変形が防止でき、寸法精度のよい品質の揃ったセラミック成形体の連続製造が可能となり、セラミック成形体の生産効率向上が図れる。
〈2〉請求項2の発明によれば、
本発明のセラミック成形体の連続成形装置が、
縦型シリンダと、その上方側面に開設されたセラミック坏土の供給口と、底部に取着される金型を装着する金型ケースと、前記供給口に供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリューとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース内に装着した金型から連続して押し出す縦型押出機と、
セラミック微粉末を含むセラミック原料を混練、脱気してセラミック坏土を調製し、前記セラミック坏土の供給口から縦型押出機に供給するために前記縦型シリンダの上方に横設されたスクリュー式混練機と、
前記金型から下方に押し出されるセラミック成形体の下面を支える支持板を載置し、前記縦型押出機から押し出されるセラミック成形体の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体の自重による変形を防止する成形体保持機構と、
前記金型から押し出されるセラミック成形体が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体を切断する切断機構と、
で構成されているので、
セラミック微粉末含むセラミック原料の混練、脱気によるセラミック坏土の調製から、セラミック成形体の成形までが一貫して連続的に実施でき、かつ、従来のセラミック杯土を横方向に押し出す成形装置に存在したセラミック成形体の自重による変形が防止でき、さらに加えて、前記セラミック坏土が、前記スクリュー式混練機から縦型シリンダに加圧されて供給され、縦送りスクリューによってさらに加圧されて金型から押し出されるので、緻密で寸法精度のよい品質の揃ったセラミック成形体の連続製造が可能となり、セラミック成形体の生産効率向上が図れる。
【0011】
〈3〉請求項3の発明によれば
前記切断機構が、支持軸に回転、及び上下移動可能に装着され、その一方の端部付近が凹字形状に切り込まれた縦板でなる基板と、前記基板の凹字形状の角部4箇所に配設された4個の回転軸と、前記4個の回転軸にチエンソー状に捲回されたベルト状の切断刃とからなる切断部本体と、
前記基板の凹字形状に切り込まれた側の端部とは異なる側の端部に、そのピストン桿の先端を装着し、前記支持軸を回転軸として切断部本体を水平方向に90°回転させるエアシリンダと、
前記エアシリンダに取り付けたスライド板を、前記セラミック成形体の成形速度に同期して支持軸に沿って下降させる電動スライダと、
で構成されているので、セラミック成形体と切断刃は常に同じ速度で下降し、その相対位置には変化がなく、したがってその切断面は水平となり、切断後に補正作業を行う必要がなく、品質の向上とともに作業効率の向上が図れる。
【0012】
〈4〉請求項4及び5の発明によれば、
前記成形体保持機構が、金型から押し出されるセラミック成形体の下部を支える支持板を載置した成形体保持部と、該成形体保持部を下降させる電動スライダとからなり、
前記セラミック成形体が所定に長さに達するまではセラミック成形体の押出速度に同期して下降し、所定の長さに達し前記切断機構によって切断された後はセラミック成形体を載置した支持板を迅速に下降させて下方に配置された製品移載部に移載し、さらに前記金型から引き続き押し出されてくるセラミック成形体の下部に別の支持板を当接して支えるよう制御されてなり、
そして前記製品移載部が、複数の電動ローラを載置したテーブルでなり、かつ、前記成形体保持部からの移載箇所に存在する電動ローラが、前記成形体保持部を前記電動ローラの下方まで下降させられるように切断されているので、所定長さに切断されたセラミック成形体は、確実・迅速に製品移載部に移載され電動ローラによって成形体保持機構上から製品移載部の製品取出端に移動でき、作業効率の向上が図れる。
【0013】
〈5〉請求項6の発明によれば、
前記切断機構、成形体保持機構、及び製品移載部が、移動台車の上に一体として配設されているので、前記縦型押出機から容易に離脱でき、前記縦型押出機の清掃、メンテナンスが容易となり、また、縦型押出機の下部に設置するときには、切断機構、成形体保持機構、及び製品移載部の相互位置に配慮する必要がなく、前記縦型押出機との位置関係のみ確認すればよく、作業効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のセラミックの縦押出型成形装置の実施するための最良の形態を、実施例の図に基づいて説明する。
図1は本発明のセラミック成形体の連続成形装置の概要を示す構成図、図2は本発明の主要部の構成図、図3は成形体保持機構の構成図、図4は切断機構の構成図、図5−1、図5−2はセラミック成形体の成形工程の説明図、図6は切断作用の説明図である。
図において1は縦型押出機、1aは縦型シリンダ、1bはセラミック坏土の供給口、1cは金型ケース、1dは縦送りスクリュー、2は金型、3はセラミック成形体、4は成形体保持機構、5は切断機構、5Aは切断機構の支持軸、6はスクリュー式混練機、6aは原料投入口、6bは上段供給スクリュー、6cは剪断力調整式混練部、6dは真空脱気室、6eは下段供給スクリュー、7は製品移載部、7aは電動ローラ、8は台車であり、また41は支持板、42は成形体保持部、43は電動スライダ、51は基板、52は回転軸、53は切断刃、54は端部、55はエアシリンダ、56はスライド板、57は電動スライダ、58は回転・摺動軸受、59は摺動軸受を示す。
【0015】
本発明のセラミック縦押出成形装置は、図1および図2に示すように、
縦型シリンダ1aと、その上方部に開設されたセラミック坏土の供給口1bと、底部に取着される金型2を装着する金型ケース1cと、前記供給口1bに供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリュー1dとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース1c内に装着した金型2から連続して押し出す縦型押出機1と、
セラミック微粉末を含むセラミック原料を混練、脱気してセラミック坏土を調製し、前記セラミック坏土の供給口1bから縦型押出機1に供給するために前記縦型シリンダの上方に横設されたスクリュー式混練機6と、
前記金型2から下方に押し出されるセラミック成形体3の下面を支える支持板41を載置し、前記縦型押出機1から押し出されるセラミック成形体3の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体3の自重による変形を防止する成形体保持機構4と、
前記金型2から押し出されるセラミック成形体3が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体3を切断する切断機構5と、
で構成されている。
なお、図1、図2においては、セラミック坏土の供給口1bを縦型シリンダ1aの上方側面として示したが側面に限られるものでなく、縦型シリンダ1aの上面に開設されてもよい。
【0016】
そして、前記成形体保持機構4は、図3(a)の上面図及び(b)の側面図に示すように、金型2から押し出されるセラミック成形体3の下部を支える支持板41を載置した成形体保持部42と、該成形体保持部42を上下させる電動スライダ43と、から構成されている。
前記電動スライダ43は、セラミック成形体3が所定の長さに達するまではセラミック成形体が押し出される速度に同期して成形体保持部42を降下させ、前記セラミック成形体3が所定の長さに達して切断機構5によって切断された後は、切断されたセラミック成形体3を搭載した支持板41を迅速に下降させて下方に配置された製品移載部7に移載し、さらに前記金型2から引き続き押し出されてくるセラミック成形体3の下部を支える別の支持板41を載置するために急上昇させるよう制御される構造となっている。
【0017】
また、前記切断機構5は、図4(a)の上面図及び(b)の側面図に示すように、支持軸5Aに回転・摺動軸受58を介して回転、及び上下移動可能に装着され、その一方の端部付近が凹字形状に切り込まれた縦板でなる基板51と、前記基板51の凹字形状の角部4箇所に配設された4個の回転軸52と、前記4個の回転軸52にチエンソー状に捲回されたベルト状の切断刃53とからなる切断部本体と、
前記基板51の凹字形状に切り込まれた側の端部と異なる側の端部54にそのピストン桿の先端を装着し、前記支持軸5Aを回転軸として前記切断部本体を水平方向に90°回転させるエアシリンダ55と、
前記エアシリンダ55を取り付け、摺動軸受59を介して支持軸5Aに装着されたスライド板56を、前記セラミック成形体3の成形速度に同期して支持軸5Aに沿って下降させる電動スライダ57とで構成されている。
【0018】
さらに、前記製品移載部7は、複数の電動ローラ7a…を載置したテーブルでなり、かつ、前記成形体保持部42から移載される箇所に存在するいくつかの電動ローラ7a…が、前記成形体保持部42を前記電動ローラ7a…の下方まで下降させられるように切断されており、さらに前記切断機構5、成形体保持機構4、及び製品移載部7が図1に示すように移動台車8の上に一体として配設されている。
【0019】
次いで本発明のセラミックのセラミック成形体の連続成形装置の作用について説明する。
図1に示すスクリュー式混練機6の原料投入口6aに投入されたセラミック微粉末を含むセラミック原料は、スクリュー式混練機6の上段供給スクリュー6bの回転によって練り合わされつつ前方に移動し、該上段供給スクリュー6bの先端部に備えられた剪断力調整式混練部6cに送り込まれ壁面との剪断力によって緻密で流動性に富んだセラミック坏土に調製され、真空脱気室6dに送り込まれる。そして前記真空脱気室6dにおいて混練中にセラミック坏土に混入した空気等の気体を除去し、気泡を含まない稠密なセラミック坏土とされ、下段供給スクリュー6eによって縦型押出成形装置1の上部に備えられたセラミック坏土の供給口1b(図2参照)に供給される。
【0020】
供給口1bから縦型押出機1に供給されたセラミック坏土は、前記縦型シリンダ1aの内部に縦設されたスクリュー1dによって下方に送出され、抵抗管を介し、金型ケース1cに装着された金型2からセラミック成形体3に成形されて連続して押し出される。
金型2から押し出されるセラミック成形体は、図5−1(a)に示すように、その下面を支持板41で支えられ、さらに該支持板41は電動スライダ43によってセラミック成形体3が押し出される速度に同期して下降する成形体保持部42に載置され、自重による伸び等の変形を抑えつつ成形が進められる。
そして前記セラミック成形体3が所定の長さに達すると、図5−1(b)に示すように切断機構5によって切断される。なお、切断作用については後述する。
【0021】
切断が終わるとこれまでセラミック成形体3が押し出される速度に同期して前記成形体保持部42を下降させていた電動スライダ43は、その下降速度を速め、切断されたセラミック成形体3が搭載された支持板41を下方の製品移載部7の電動ローラ7a…上に移載する〔図5−2(c)参照〕。
そして製品移載部7に移載されたセラミック成形体3は、支持板41ともども前記電動ローラ7a…の作動によって前記製品移載部7の製品出力端に移動され、前記製品移載部7まで下降していた前記成形体保持部42は急上昇して、金型2から引き続き押し出されてくるセラミック成形体3の下面を支える支持板41を載置する〔図5−2(d)参照〕。
この成形体保持部42が切断されたセラミック成形体3を前記製品移載部7に移載し、再上昇して引き続き押し出されるセラミック成形体3の下面を支える支持板41を載置するためには、セラミック成形体3が金型2から押し出される速度に比べて可能な限り迅速である必要がある。このため電動スライダ43の駆動、速度設定は、可変抵抗器によって行えるよう構成されている。
上記作用を繰り返すことによって、セラミック成形体3を連続して成形することができる。
【0022】
次いでセラミック成形体の切断作用を図6によって説明する。図6(a)はセラミック成形体が所定の長さにまだ達しておらず、切断部本体が待機の状態にあるとき、(b)は切断機構が作動し、切断部本体が45°回転したとき、そして(c)は切断部本体が90°回転して切断が終了したときの、それぞれの時点における切断部本体の位置、およびエアシリンダ55の状態を示す。
図6(a)の待機の状態において金型2から押し出されたセラミック成形体3が所定の長さに達すると、基板51に配設された4個の回転軸52…にチエンソー状に捲回されたベルト状の切断刃53が回転を始めるとともに、エアシリンダ55が作動し、前記基板51を支持軸5Aを回転軸として水平方向に回転移動を開始する。そして前記エアシリンダ55が取り付けられたスライド板56が電動スライダ57の作動によって支持軸5Aに沿って前記セラミック成形体が押し出される速度に同期して下降を始める。
切断刃53がセラミック成形体3の側面に当接するとセラミック成形体3の切断が始まるが、エアシリンダ55が、セラミック成形体が押し出される速度に同期して下降していることから、切断刃53も支持軸5Aに沿ってセラミック成形体3が押し出される速度に同期して下降しているので、切断刃53による切断は、その切断面が水平を保ちながら進行する〔図6(b)参照〕。
前記エアシリンダ55による基板51の回転が90°に達すると前記セラミック成形体3の切断は完了する〔図6(c)参照〕。そして電動スライダ57が逆回転して、切断機構5を支持軸5Aに沿って上昇させ、次に押し出されてくるセラミック成形体3の切断に備える。この際エアシリンダ55の動作は停止され、次回の切断は、図6(c)の状態から始まり、図6(b)に状態を経て、図6(a)の状態で完了する。
以後はこの回転の向きを交互に変える90°回転による切断によってセラミック成形体3の連続しての製造が行われる。
切断後の作用は前述したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のセラミック成形体の連続成形装置の概要を示す構成図
【図2】本発明の主要部の構成図
【図3】成形体保持機構の構造図
【図4】切断機構の構造図
【図5−1】セラミック成形体の成形工程の説明図
【図5−2】セラミック成形体の成形工程の説明図
【図6】切断作用の説明図
【符号の説明】
【0024】
1:縦型押出機
1a:縦型シリンダ
1b:セラミック坏土の供給口
1c:金型ケース
1d:縦送りスクリュー
2:金型
3:セラミック成形体
4:成形体保持機構
5:切断機構
5A:切断機構の支持軸
6:スクリュー式混練機
6a:原料投入口
6b:上段供給スクリュー
6c:剪断力調整式混練部
6d:真空脱気室
6e:下段供給スクリュー
7:製品移載部
7a:電動ローラ
8:台車
41:支持板
42:成形体保持部
43:電動スライダ
51:基板
52:回転軸
53:切断刃
54:端部
55:エアシリンダ
56:スライド板
57:電動スライダ
58:回転・摺動軸受
59:摺動軸受


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型シリンダ1aと、その上方部に設けられたセラミック坏土の供給口1bと、底部に取着される金型2を装着する金型ケース1cと、前記供給口1bに供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリュー1dとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース1c内に装着した金型2から連続して押し出す縦型押出機1と、
前記金型2から下方に押し出されるセラミック成形体3の下面を支える支持板41を載置し、前記縦型押出機1から押し出されるセラミック成形体3の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体3の自重による変形を防止する成形体保持機構4と、
前記金型2から押し出されるセラミック成形体3が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体3を切断する切断機構5と、
で構成されてなることを特徴とするセラミック成形体の連続成形装置。
【請求項2】
縦型シリンダ1aと、その上方側面に開設されたセラミック坏土の供給口1bと、底部に取着される金型2を装着する金型ケース1cと、前記供給口1bに供給されたセラミック坏土を縦送りするための前記縦型シリンダ内に縦設したスクリュー1dとからなり、セラミック坏土を下方に送出して前記金型ケース1c内に装着した金型2から連続して押し出す縦型押出機1と、
セラミック微粉末を含むセラミック原料を混練、脱気してセラミック坏土を調製し、前記セラミック坏土の供給口1bから縦型押出機1に供給するために前記縦型シリンダの上方に横設されたスクリュー式混練機6と、
前記金型2から下方に押し出されるセラミック成形体3の下面を支える支持板41を載置し、前記縦型押出機1から押し出されるセラミック成形体3の成形速度に同期して下降させ、セラミック成形体3の自重による変形を防止する成形体保持機構4と、
前記金型2から押し出されるセラミック成形体3が所定の長さに達した時に、前記セラミック成形体3を切断する切断機構5と、
で構成されてなることを特徴とするセラミック成形体の連続成形装置。
【請求項3】
前記切断機構5が、支持軸5Aに回転、及び上下移動可能に装着され、その一方の端部付近が凹字形状に切り込まれた縦板でなる基板51と、前記基板51の凹字形状の角部4箇所に配設された4個の回転軸52…と、前記4個の回転軸52にチエンソー状に捲回されたベルト状の切断刃53とからなる切断部本体と、
前記基板51の凹字形状に切り込まれた側の端部とは異なる側の端部54に、そのピストン桿の先端を装着し、前記支持軸5Aを回転軸として切断部本体を水平方向に90°回転させるエアシリンダ55と、
前記エアシリンダ55に取り付けたスライド板56を、前記セラミック成形体の成形速度に同期して支持軸5Aに沿って下降させる電動スライダ57と、
で構成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック成形体の連続成形装置。
【請求項4】
前記成形体保持機構4が、金型2から押し出されるセラミック成形体3の下部を支える支持板41を載置した成形体保持部42と、該成形体保持部42を下降させる電動スライダ43とからなり、
前記セラミック成形体3が所定に長さに達するまではセラミック成形体の押出速度に同期して下降し、所定の長さに達し前記切断機構5によって切断された後はセラミック成形体3を載置した支持板41を迅速に下降させて下方に配置された製品移載部7に移載し、さらに前記金型2から引き続き押し出されてくるセラミック成形体3の下部に別の支持板41を当接して支えるよう制御されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミック成形体の連続成形装置。
【請求項5】
前記製品移載部7が、複数の電動ローラ7a…を載置したテーブルでなり、かつ、前記成形体保持部42からの移載箇所に存在する電動ローラ7aが、前記成形体保持部42を前記電動ローラ7a…の下方まで下降させられるように切断されてなることを特徴とする請求項4に記載のセラミック成形体の連続成形装置。
【請求項6】
前記切断機構5、成形体保持機構4、及び製品移載部7が移動台車8の上に一体として配設されてなることを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項に記載のセラミック成形体の連続成形装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−105165(P2010−105165A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274251(P2008−274251)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(592039509)ユニバース株式会社 (2)
【Fターム(参考)】