説明

セラミック材料のアフターグローを測定し及び/又は判断する方法及び検出器

本発明は、Eu、Tb及び/又はYb含有量を測定することによって、特にGdS材料及び/又は前駆体物質のようなセラミック材料のアフターグローを測定し及び/又は判断する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック材料、特にGdS材料のアフターグローを測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー放射線を検出するための蛍光部材は、放射線を吸収し、それを可視光に変換することができる蛍光体を含む。これにより生成されるルミネセンス発光は、例えばフォトダイオード又は光電子増倍管のような光感受性システムの助けによって、電子的に取得され、評価される。このような蛍光部材は、例えばドープされたアルカリハロゲン化物のような単結晶物質から製造されることができる。非単結晶物質が、粉末状の燐光体として、又はそこから製造されるセラミック部材の形で、用いられることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
10乃至200keVのX線放射線を検出するために用いられる代表的な蛍光セラミック材料は、例えばCe3+又はPr3+によってドープされる、ドープされたGdSである。しかしながら、GdSが、「アフターグロー」として知られるルミネセンス特性を示す場合、すなわち、所望の即座の蛍光の後(使用される特定の活性体イオンの固有の発光時間によって決定される)、幾分より暗いが、より長く持続し、即座の蛍光と異なる波長で発生しうる「第2の蛍光」が、見られることができる場合、GdSの使用は幾分減らされる。換言すれば、アフターグローは、シンチレータのX線光子露呈をオフにされたのち、静止シンチレータ信号の非瞬間的な反応として規定されることができる。この残留信号は、ラグと呼ばれることがあり、又はアフターグローと呼ばれることも多い。アフターグローは、検査下、シンチレータ材料の静止信号に対する相対値として与えられ、通常、X線パルスの終了後の時間の関数として評価される。CTにおいて、アフターグロー信号の関連する時間ドメインは、0.1msから2sの間であり、他方、値は、アーチファクトのないCT画像を確実にするために、5msでは300ppmよりも、0.5sでは20ppmよりも十分低くなければならない。アフターグローは、CTアプリケーションにおいて、シンチレータの重要な性能基準の1つである。
【0004】
本発明の第1の目的は、GdS材料のアフターグローが効果的に測定されることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明の請求項1により、セラミック材料によって解決される。従って、GdS:M蛍光セラミック材料のアフターグローを測定し及び/又は判断する方法であって、Mが、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループ及び/又は前記セラミック材料の前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分を表す、方法が提供される。それによって、アフターグローは、前記蛍光セラミック材料及び/又は前駆体物質において、Eu、Tb及び/又はYb濃度を測定することによって、測定され及び/又は判断される。
【0006】
驚くべきことに、本願発明者は、GdS材料のアフターグローを、前記材料中のEu、Tb及び/又はYb濃度を測定することによって、測定し及び/又は判断することが可能であることを見い出した。更に、本願発明者は、本発明の範囲内の広範囲のアプリケーションについて、前記GdS材料の前駆体物質中のEu、Tb及び/又はYb濃度を測定することによって、GdS材料のアフターグローを測定し及び/又は判断することが可能であることを見い出した。
【0007】
本発明の意味において「前駆体物質」なる語は、GdS材料が生成される材料を意味し及び/又は含む。前駆体物質の非限定的な例の列挙は、GdCl、GdBr、GdI、Gd(NO、Gd(SO GdF、Gd、Gd、Gd(CO、Gd(C、及びPr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループから選択される金属Mの個々の塩類を含む。
【0008】
いかなる特定の理論にも制限されずに、本願発明者は、GdS材料のアフターグローを引き起こす際のEuの多くの役割が少なくとも以下のメカニズムに起因することを確信する:
【0009】
蛍光セラミック材料の処理中、三価イオンの形で通常存在するGdSにおける金属Mの部分は、式Iによって表されるように酸化される:
3+ −> M4+ + e (I)
【0010】
Mが、(本発明の好適な実施例である)プラセオジミウムである場合、この方程式は、式Iaのように示される:
Pr3+ −> Pr4+ + e (Ia)
【0011】
式I(又はIa)によってリリースされる電子の一部は、式IIに示されるようにユウロピウムと反応する:
Eu3+ + e −> Eu2+ (II)
【0012】
これらのEu2+イオンは、ホールの捕獲によって、更に酸化され、Eu3+イオンに戻る。しかしながら、これらEu3+イオンは、励起状態にあり、その後範囲580―640nmでのその最も顕著な発光を伴う約400―750nmの波長範囲の光(いくつかの発光ライン)を放出し、これは、Pr3+発光スペクトル(式III)との相当な重なりを示す。
+ Eu2+ −> Eu3+ + hν (400−750nm)(III)
これは、セラミック材料の望ましくないアフターグローをもたらす。
【0013】
対照的に、Tbによるアフターグロー寄与は、Euに関して記述されたメカニズムによって生じるのではない。ここで、励起されたTbイオンの固有の崩壊が、優勢な役割を果たす。これは、アフターグロー信号の関連する時間ドメインが、10ms以下であることを示し、こうして、いわゆる短期間のアフターグロードメイン(<20ms)のみに影響を及ぼす。
【0014】
しかしながら、Ybの場合、本願発明者は、メカニズムが、Euと同様であり、CTに関連する完全な時間ドメイン(0.1ms乃至2s)における望ましくないアフターグローにつながる大きな影響を有すると確信する。
【0015】
実際、Ybは、式IVに示されるように、式IIIに見られるEuの反応と同様に、反応する:
+ Yb2+ −> Yb3+ + hν (約980nm) (IV)
【0016】
本発明の好適な実施例によれば、本発明による方法は、時間遅延されるスペクトロスコピーを含む。
【0017】
本発明の意味における「時間遅延されるスペクトロスコピー」なる語は、特に、時間Tにおけるセラミック材料及び/又は前駆体物質の励起の終了及び時間T後の測定の遅延される開始を意味し及び/又は含む。
【0018】
本発明の好適な実施例により、時間Tは、(Pr3+及び/又はEu3+、Yb3+、その他の)発光を励起するレーザパルスの強度が、その最も高い強度の1%より低い時間をさし、これは、Tが、任意の遅延される発光プロセスの開始点として規定されることを意味する。
【0019】
本実施例において、特に好適には、レーザパルス波形及び特にその立ち下がりエッジは、例えば99%の強度レベル及び1%の強度レベルに対応するタイムスタンプによって規定される時間差が、任意の関連する固有又は遅延される発光プロセスより小さいように、選択されなければならない。この時間差は、好適には、適当な時間だけ遅延される分光フィンガープリント測定を確実にするために、最も速い発光減衰時間の1%より小さい。
【0020】
は、例えばCCDカメラを使用する時間遅延されるスペクトロスコピー測定が開始される時間であり、Tは、測定が止められる時間である。
【0021】
本発明の好適な実施例によれば、測定は、370nm以上1100nm以下、好適には600nm以上1050nm以下の波長範囲の材料の発光の測定を含む。
【0022】
本発明の好適な実施例によれば、T―Tは、1μs以上1000μs以下であり、好適には20μs以上500μs以下である。これは、本発明の範囲内の広範囲なアプリケーションについて、アフターグローの測定又は判断の正確さを増加させる。
【0023】
好適な実施例によれば、広範囲なアプリケーションにおいて、T―Tは、直接の(遅延されない)Pr3+発光の検出を妨げるように少なくとも20μsであることが有利であり、そうでない場合、他のいかなる発光プロセスをも大いに支配することが分かった。
【0024】
本発明の好適な実施例によれば、時間遅延されるスペクトロスコピーは、100nm以上300nm以下、好適には240nm以上270nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の励起を含む。
【0025】
本発明の好適な実施例によれば、時間遅延されるスペクトロスコピーは、時間T後に止められ、ここで、T―Tは、500ms以上であり、好適には1s以上である。
【0026】
本発明の好適な実施例によれば、時間遅延されるスペクトロスコピーは、時間T後に止められ、ここで、T―Tは、2s以下であり、好適には1.5s以下であり、より好適には1s以下である。
【0027】
本発明の広範囲なアプリケーション内で、上述したようにTを選択することは、十分な情報が集められることができるので、実際に有利であるが、Tがあまりに長いと、信号/雑音比が不利に低下しうることが分かった。
【0028】
本発明の他の実施例によれば、更に、レーザ励起中の発光スペクトルが、Pr3+発光スペクトルをも決定するために測定されることができることに注意すべきである。しかしながら、このスペクトルは、多くのアプリケーションにおいて、例えばEu3+、Yb3+等の小さい寄与をも含む。時間遅延される発光スペクトル及びPr発光スペクトルを測定したのち、定量的情報を得るために、これらのスペクトルのこれらの発光バンドの強度比率を解析することもできる。上述したように、T―Tは、他の洞察(遅延時間の関数としての強度比率)を得るために使用されることもできる。
【0029】
本発明の好適な実施例によれば、方法は、時間分解分光法を含む。
【0030】
「時間分解分光法」なる語は、特に、特定の時間にわたる連続的な測定を意味し及び/又は含み、特定の時間は、好適には50μs以上1s以下であり、より好適には100μs以上500ms以下である。
【0031】
本発明の好適な実施例によれば、時間分解分光法は、特にEu濃度及び対応するアフターグロー寄与を決定するために、600nm以上650nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を含む。
【0032】
本発明の好適な実施例によれば、時間分解分光法は、特にYb濃度及び対応するアフターグロー寄与を決定するために、930nm以上1100nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を含む。
【0033】
本発明の好適な実施例によれば、時間分解分光法は、Tb濃度及び対応するアフターグロー寄与を決定するために、370nm以上570nm以下(より好適には530nm乃至560nm)の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を含む。
【0034】
本発明の範囲内の広範囲のアプリケーションによれば、Eu、Tb及び/又はYbの決定のための上述の領域は、他のPr3+発光ラインからのいかなる付加的な寄与も排除され又は無視されることができるように選択されることに注意すべきである。このようにして、(例えば時間遅延されるEu3+、Tb3+及び/又はYb3+発光によって生じる)アフターグロー信号の強度は、時間分解されるアフターグロー曲線を得るために、正規化群としてPr3+発光強度を使用して、いつでも測定されることができる。
【0035】
本発明の他の及びその範囲において好適な実施例によれば、使用される情報は、同様に時間の関数としての検査されたスペクトル領域の強度比率である。
【0036】
本発明の好適な実施例によれば、時間分解分光法は、100nm以上300nm以下、好適には240nm以上270nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の励起を含む。
【0037】
本発明の好適な実施例によれば、方法は、連続励起スペクトロスコピーを含む。
【0038】
「連続励起スペクトロスコピー」なる語は、特に、特定の異なる波長領域におけるセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を意味し及び/又は含み、それらの測定は、Eu、Tb及び/又はYb濃度を得るために、互いに比較される。「連続励起スペクトロスコピー」なる語は、特に、連続的な光源が使用されることを意味し及び/又は含み、再び、光子エネルギーは、励起がバンドギャップを介するように選択される。発光スペクトルは、例えばCCDカメラを介して測定される。
【0039】
本発明の好適な実施例によれば、連続励起スペクトロスコピーは、特にEu濃度を決定し、対応するアフターグロー寄与を判断するために、600nm以上650nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を含む。
【0040】
本発明の好適な実施例によれば、連続励起スペクトロスコピーは、特にYb濃度を決定し、対応するアフターグロー寄与を判断するために、930nm以上1050nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を含む。
【0041】
本発明の好適な実施例によれば、連続励起スペクトロスコピーは、Tb濃度を決定し、対応するアフターグロー寄与を判断するために、370nm以上570nm以下の波長領域に、より好適には530nm以上560nm以下の波長領域に、少なくとも1つの波長を有するセラミック材料又は前駆体物質の発光の測定を含む。
【0042】
本発明は更に、GdS:M蛍光セラミック材料のアフターグローを測定する検出器であって、Mが、上で記述される方法の1又は複数を使用してPr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループ及び/又は前記セラミック材料の前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分を表す、検出器に関する。
【0043】
本発明の一実施例によれば、検出器は、好適には時間ゲートされるスペクトル可変の検出レンジを有するCCDベースの検出器及び/又はYAGベースのレーザのようなレーザを有する。
【0044】
本発明は、更に、検出器の使用及び/又は以下のシステムの1又は複数における上述した方法のいずれかの使用に関する:
−医用イメージングに適応されたシステム。
−GdS:M蛍光セラミック材料の品質を判断するシステム。Mは、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループ及び/又は前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分を表す。
−GdS:M蛍光セラミック材料を製造するシステム。Mは、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループから選択される少なくとも1つの成分を表す。
【0045】
上述したコンポーネント、請求項に記載のコンポーネント、及び記述される実施例において本発明に従って使用されるコンポーネントは、関係のある分野で知られている選択基準が、制限なく適用されることができるように、それらのサイズ、形状、材料選択及び技術的概念に関していかなる特別な例外も受けない。
【0046】
本発明の目的の付加的な詳細、特性及び利点は、従属請求項、図面、及び本発明による検出器の好適な実施例を例示として示す個々の図面及び例示の以下の記述に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施例による、a)aレーザパルスを使用したI時間遅延されるスペクトロスコピー(上)、及びb)レーザを使用して励起されたプローブの発光(下)について、強度対時間の2つの非常に概略的な図。
【図2】時間遅延されるスペクトロスコピーによって測定される第1のGOS粉末の発光スペクトルを示す図。
【図3】時間遅延されるスペクトロスコピーによって測定される異なるGOS粉末の発光スペクトルを示す図。
【図4】図2及び図3のGOS粉末から生成される2つのGOSセラミックのアフターグロースペクトルを示す図。
【図5】本発明の他の実施例による検出器の非常に概略的な図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明の第1の実施例による、a)レーザパルスを使用したI時間遅延されるスペクトロスコピー(上図)、及びb)レーザを使用して励起されたプローブの発光(下図)について、強度対時間の2つの非常に概略的な図を示している。両方の曲線が非常に概略的であり、時間遅延されるスペクトロスコピープロセスを例示するために使用されるだけであることが強調されるべきである。
【0049】
図1において、時間Tは、レーザパルスの強度(その強度は上側の図に示される)は、その最も高い強度の1%より小さい時間に示され、Tが、任意の遅延される発光プロセスについて開始点として規定されることを意味する。「99%」―強度―時間は、「T―1」として示される。
【0050】
本実施例において、レーザパルス波形及び特にその立ち下がりエッジは、例えば99%の強度レベル(「T−1」)及び1%の強度レベル「T」に対応するタイムスタンプによって規定される時間差が、プローブの任意の関連する固有又は遅延される発光プロセスよりも小さくなるように、選択された。
【0051】
時間インジケータ「T」及び「T2」は、測定が開始され、止められるときを示す。しかしながら、図1は、非常に概略的であり、Tはほとんどのアプリケーションにおいてもっと長いことに注意すべきである。
【0052】
図2は、時間遅延されるスペクトロスコピーによって測定される第1のGOS粉末の発光スペクトルを示している。時間の遅延(=T―T)は、266nmの波長領域においてレーザパルス後の10msである。Tは、図1に記述されるようにセットされた。
【0053】
スペクトルから、Eu含有量が非常に低く(すなわち<1ppmEu)、その一方で、Tb(540nm付近でピーク)の小さい含有量があることが得られうる。図4に示すように、このTb含有量は、10ms以下の時間ドメインのアフターグロー(短期間のアフターグロー)をもたらす。
【0054】
図3は、時間遅延されるスペクトロスコピーによって測定される異なるGOS粉末の発光スペクトルを示す。再び、時間遅延(=T―T)は、266nmの波長領域においてレーザパルス後の10msである。Tは、図1に記述されるようにセットされた。
【0055】
スペクトルから、Eu含有量がほぼ10ppmであることが得られうる。
【0056】
図2及び図3の強度は、強度を直接に比較することができないことに注意すべきである。図3において、620―630nm及び700nm付近のEu発光ピークは、540nm付近の小さいTb寄与よりはるかに高く、これは、図2のGOS粉末と同様に、わずか10ms(短期間のアフターグロー)以下の時間ドメインのアフターグローをもたらす。
【0057】
図4は、図2及び図3のGOS粉末から生成される2つのGOSセラミックのアフターグロースペクトルを示す。2つのGOSセラミックは、欧州特許出願公開第05110054.3号公報に従って、GOS粉末から生成された。この公報の内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0058】
図4において、図2のGOS粉末から作られたGOSセラミックのアフターグロースペクトラムは、ドット記号(「・」)によって示されており、図3のGOS粉末から作られたGOSセラミックのアフターグロースペクトラムは、プラス記号(「+」)によって示されている。
【0059】
より低いEu含有量を有する粉末から作られるGOSセラミックが、著しく低いアフターグローを有することが分かる。実際、このセラミックだけが、許容できると考えられる。
【0060】
しかしながら、両方のGOSセラミックが、少量のTbが混ざった粉末から作られたという事実により、1ms付近(アフターグロー曲線の異なる傾斜)のタイムゾーンに目に見えるアフターグロー曲線のわずかな増加がある。しかしながら、両方のセラミックにおいて、Tb含有量は、許容できないアフターグローを引き起こさないように十分少ないが、本発明によれば、この短期間のアフターグローは、同様に測定されることができ及び/又は判断されることができる。
【0061】
図4において、(アフターグローを示すことを妨げる)測定装置の効果が、600μs以下のアフターグロー曲線の形状を支配することに注意すべきである。
【0062】
本発明においては、許容できるGOSセラミックは、0.5s後の20*10―6より低いアフターグローを有するものとして規定される。このポイントは、図4の2本の太線によって示されている。図2の粉末から作られたGOSセラミックだけが許容でき、他のGOSセラミックは許容できないことが明らかに分かる。
【0063】
従って、本発明の範囲内の広範囲なアプリケーションについて、単にGdS:M蛍光セラミック材料のEu、Tb及び/又はYb含有量の測定から、このGdS:M蛍光セラミック材料が許容できるアフターグローを有するか否かを識別することが可能であり、ここで、Mは、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループ及び/又は前記セラミック材料の前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分を表す。
【0064】
本発明の範囲内の広範囲なアプリケーションについて、前駆体物質のEu、Tb及び/又はYb含有量から、最終的なGdS:M蛍光セラミック材料のアフターグローを推定することが可能であるので、これらのGdS:M蛍光セラミック材料の生産の有効性及び/又は歩留まりを大いに増加させることが可能である。
【0065】
図5は、本発明の他の実施例による、検出器1の非常に概略的な図を示している。検出器は、特徴付けられるべき材料20に向けて、λ=1064nmの波長を有する光を発するNd:YAG―レーザ10を有する。光路には、波長をλ=266nmに変更する周波数4倍ユニット15が設けられる。材料20のスペクトルは、トリガユニット30によって同期されるCCD検出器40によって特徴付けられる。CCD検出器は、時間ゲートされるスペクトル可変の検出レンジを備える。最後に、データは、コンピュータ50によって集められ、解析される。
【0066】
上述の詳細な実施例の構成要素及びフィーチャの特定の組み合わせは、例示に過ぎない;これらの教示の、本願明細書及び参照によって盛り込まれる特許明細書/アプリケーションの中の他の教示との交換及び置き換えもまた、明白に企図される。当業者には理解されるであろうが、本願明細書に記述されていることの変形、変更及び他の実現が、請求項に記載される本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で当業者には思いつくであろう。従って、前述の説明は、例示にすぎず、制限することを意図するものではない。本発明の範囲は、添付の請求項及びそれと等価なものにおいて規定される。更に、詳細な説明及び請求項において使用される参照記号は、請求項に記載される本発明の範囲を制限しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GdS:M蛍光セラミック材料のアフターグローを測定し及び/又は判断する方法であって、Mは、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループ及び/又は前記セラミック材料の前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分を表し、前記アフターグローは、前記蛍光セラミック材料及び/又は前駆体物質のEu、Tb及び/又はYb濃度を測定することによって、測定され及び/又は判断される、方法。
【請求項2】
前記方法が、時間遅延されるスペクトロスコピーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時間遅延されるスペクトロスコピーは、時間Tにおける前記セラミック材料又は前駆体物質の励起の終了、及び時間T後の前記測定の遅延される開始を含み、ここで、T―Tは、15μs以上1000μs以下であり、
前記時間遅延されるスペクトロスコピーは、時間T後に止められ、ここで、T―Tは、500ms以上、好適には1s以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間遅延されるスペクトロスコピーは、370nm以上1100nm以下、好適には600nm以上1050nm以下の波長範囲における、前記材料の発光の測定を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、時間分解分光法を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記時間分解分光法は、
特に前記Eu濃度及びアフターグロー寄与を決定するために、600nm以上650nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有する前記セラミック材料又は前駆体物質の発光を含み、及び/又は
特に前記Yb濃度及びアフターグロー寄与を決定するために、930nm以上1050nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有する前記セラミック材料又は前駆体物質の発光を含み、及び/又は
特に前記Tb濃度及びアフターグロー寄与を決定するために、370nm以上570nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有する前記セラミック材料又は前駆体物質の発光を含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、連続励起スペクトロスコピーを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記連続励起スペクトロスコピーは、
特に前記Eu濃度及びアフターグロー寄与を決定するために、600nm以上650nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有する前記セラミック材料又は前駆体物質の発光を含み、及び/又は
特に前記Yb濃度及びアフターグロー寄与を決定するために、930nm以上1050nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有する前記セラミック材料又は前駆体物質の発光を含み、及び/又は
特に前記Tb濃度及びアフターグロー寄与を決定するために、370nm以上570nm以下の波長領域に少なくとも1つの波長を有する前記セラミック材料又は前駆体物質の発光を含む、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
GdS:M蛍光セラミック材料のアフターグローを測定する検出器であって、Mは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法によってPr、Tb、Dy、Sm、Ce及び/又はHoのグループ及び/又は前記セラミック材料の前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分を表す、検出器。
【請求項10】
請求項9に記載の検出器の使用、及び/又は
−医用イメージングに適応されたシステムと、
−GdS:M蛍光セラミック材料の品質を判断するシステムであって、Mが、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループ及び/又は前駆体物質から選択される少なくとも1つの成分である、システムと、
−GdS:M蛍光セラミック材料を製造するシステムであって、Mが、Pr、Dy、Sm、Ce、Nd及び/又はHoのグループから選択される少なくとも1つの成分を表す、システムと、
のうち1又は複数における請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−500595(P2010−500595A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524275(P2009−524275)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053165
【国際公開番号】WO2008/020373
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】