セラミック絶縁体ビード及び節を持つ熱電対アセンブリ
本発明は、全長に渡って均一な外側直径を備える円筒形部分(20)と、円筒形部分の外側直径と等しい最大直径を備えるテーパー部分(18)とを有する絶縁体を含む。1つ又はそれ以上の開口部が、円筒形部分及びテーパー部分を通る中心軸に実質的に平行に、セラミック絶縁体を通って延びる。一つの側面として、本発明は、テーパー部分と円筒形部分とを有するセラミック絶縁体を備える熱電対アセンブリを包含する。1つ又はそれ以上の開口部が、実質的に円筒形部分及びテーパー部分の中心軸に沿って、セラミック絶縁体を通って延びる。本発明は、追加的に熱電対及び絶縁体の製造方法を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック絶縁体及び熱電対アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
熱電対は温度を測定又は検知するために用いられる装置であり、接触する2つの異なる金属からなる。異なる金属の結合部は測定可能な電位を生じさせ、この電位は結合部の温度により変化する。炉のような応用においては、熱電対は温度表示装置の操作及び/又は熱制御装置に用いられる。
【0003】
炉の熱検知への応用に用いられる従来の熱電対アセンブリにおいて、熱電対ワイヤは典型的には、セラミックビードのような絶縁体を用いて互いに絶縁される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例示の従来技術による熱電対アセンブリ及びビードの構成を図1及び図2を参照しながら説明する。まず、図1を参照すると、熱電対アセンブリ100の一部が示されており、熱電対アセンブリ100は、ワイヤ102が挿入されている連続する個別のセラミック絶縁体ビード10を含む。図1に示されているように、セラミックビード10は対向する第1の端部12と第2の端部14とを備え、ワイヤを他方のワイヤから絶縁するために、ワイヤ102に沿って一列に並べられる。セラミックビード10は、追加的に熱電対ワイヤの支持を提供することができる。図1に示されているように、端部12、14の表面は平坦であるために隣接するビードは互いに接触し、ビード間のワイヤ102の露出を最小限にすることができる。しかし、ビード間の互いに面する平坦な表面を備える図1に示される構成は、結果として、可撓性を制限し、熱電対のアセンブリの初期の設置、取り外し又は交換を困難にする。
【0005】
図2に他の従来技術によるビードの構成が示されている。上述の前後の平坦面12、14を備えている構成と異なり、図2に示されるビード10は、突出部13及び対向する凹部又は開口部15を備え、熱電対アセンブリのワイヤに沿って一列に並べたときに、突出部13は凹部15に挿入嵌めされる。図2のビードの構成は、図1に示される構成と比べて、可撓性を増大することができることもあるが、図2の挿入可能なビードを有する絶縁されたワイヤ(図示せず)は、十分に硬く、また可撓性が十分ではなく、特に閉鎖された空間において、熱電対アセンブリの設置及び/又は交換を困難にし得る。設置時におけるワイヤの曲がりや伸びは熱電対ワイヤを弱くし、使用中の短絡の発生を増加させ、その結果、熱電対の信頼性及び使用寿命を低下させる。
【0006】
他の絶縁体及び熱電対アセンブリの構成を開発することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面として、本発明は、所定の長さを有し且つ全長に渡って均一な外側直径を備える円筒形部分を有するセラミック絶縁体を含む。このセラミック絶縁体は、第1の端部表面とテーパー部分とを有し、テーパー部分は、テーパー表面及び円筒形部分の外側直径を等しい最大直径を備える。このセラミック絶縁体は、追加的に、第1の端部表面と対向する第2の端部表面及び開口部を有し、開口部は、実質的に円筒形部分とテーパー部分との共通の中心軸に沿って、セラミック絶縁体を貫通して延びる。
【0008】
一つの側面として、本発明は、絶縁体の全長に沿って中心に位置する長手方向軸と、長手方向軸の第1の端部から、長手方向軸の第1の長さに沿って、長手方向軸に沿う第1の位置まで延びる第1の部分とを有する絶縁体を含む。この絶縁体の第1の部分は、第1の位置における最大円周から長手方向軸の第1の端部における最小円周まで、減少する円周を備える。この絶縁体は追加的に、第1の位置から第2の位置まで、長手方向軸に沿って第2の長さで延びる第2の部分を有する。第2の部分は、第2の長さの全体に渡って均一の円周を備え、均一な円周は第1の部分の最大円周と等しい。
【0009】
一つの側面として、本発明は、均一な外側直径を備える第1の端部表面、テーパー部分及び円筒形部分を有する絶縁体を備える熱電対アセンブリを含む。テーパー部分は、円筒形部分の外側直径と等しい最大外側直径を備える。1つあるいはそれ以上の開口部は、実質的に円筒形部分及びテーパー部分の中心軸に沿って、セラミック絶縁体を貫通して延びる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照しながら以下に説明する。
本発明は、熱電対の可撓性を提供する熱電対用の絶縁体の構成及び可撓性の熱電対アセンブリを含む。本発明による絶縁体又は「絶縁体ビード」を使用すれば、熱電対を1つあるいはそれ以上の位置、あるいは絶縁された熱電対ワイヤの長さに沿った一列の位置において節で繋げることができる。その結果、可撓性により、熱電対アセンブリの設置又は交換の困難さを低減することができ、熱電対ワイヤが伸びることを低減又は回避することができ、ワイヤの曲がり、よじれ及び/又はねじれを最小限にすることができる。熱電対ワイヤの伸び、よじれ又はねじれは、短絡した結合部を生じさせ、伸びた又はよじれたあるいはねじれた部位において短絡が生じる可能性を増加させる。従って、これらの欠点を最小化あるいは回避する本発明の絶縁体の構成及び熱電対は、熱電対アセンブリの信頼性を維持し、熱電対の使用寿命の増大に寄与する。
【0011】
概ね、本発明の絶縁体の構成は、従来の構成と比べて、熱電対ワイヤに沿った列において絶縁体ビード間の表面接触を低減又は最小化する。低減された接触面積により、絶縁体は変位又は枢動することができ、結果として可撓性を増加させる。以下に議論される幾何学的形状及び構成は例示でり、本発明はこれらの特定の絶縁体に限定されないことを理解されたい。
【0012】
本発明による絶縁体の構成を、概ね図3乃至8を参照しながら説明する。まず、図3を参照すると、同図は、第1の端部12、第2の端部14及び外部表面16を有する絶縁体すなわち「ビード」10を示している。絶縁体10は、実質的に絶縁体10の全長を横切る中心に位置する長手方向軸「a」を備える。特定の例として、長手方向軸「a」は対称軸であることが好ましい。絶縁体10は、第1の部分18及び第2の部分20を備えるものと説明される。第1の部分18は、第1の端部12から長手方向軸「a」に沿って第1の位置まで延びる第1の距離「d1」を含むことができる。第2の部分20は、第1の点が位置する第1の部分18との境界面から、長手方向軸「a」に沿って、第2の点まで延びる長手方向軸「a」に沿って測定される距離「d2」を有する。
【0013】
d1及びd2の長さ、及びこれらの相対的な長さは、特定の値に限定されない。d1で測定される部分18の長さを、熱電対アセンブリのユニットの望ましい可撓性の程度に応じて変更することができる。図3に示されているように、d2の値はd1の値よりも大きく、特定の領域20が絶縁体の体積の大部分を占める。
【0014】
絶縁体10は、1つ又はそれ以上の穴又は開口部22(あるいは孔という)を備えることができる。図示されているように、単一の開口部22は、実質的に絶縁体10の中心を通って、中心軸「a」に沿って、第1の端部12から第2の端部14まで延びている。図示された開口部22の相対的な寸法は例示であり、例えば、特定の熱電対の応用に用いられるワイヤの厚さに応じて変更することができることを理解されたい。
【0015】
孔又は穴22の数は特定の数に限定されず、例えば、従来の絶縁体に存在する任意の数とすることができる。特定の応用の絶縁体10は10個の孔を備えることができる。さらに、絶縁体を通る孔のパターンや位置は限定されない。単一の孔が存在する場合、図3に示されるように、孔は実質的に長手方向軸に沿っており、あるいは代替的に、絶縁体を通って互い違いに配置してもよい。孔の例示的な構成として複数の孔を用いる場合、絶縁体の外側直径と同軸の環状構成とすることができる。代替的な複数の孔の配置を、非環状のパターン、複数の環を有する孔のパターン及びランダム又は不規則な孔の配置とすることができる。
【0016】
図4を参照すると、同図は、図3の線4−4に沿って切断された絶縁体10の断面図を示している。従って、この図4に示される断面は、絶縁体10の第2の部分20の断面を示している。第2の部分20の形状の代替形態も考えられるが、特定の応用では第2の部分20は、図4に示されているように実質的に円筒形とすることができる。絶縁体の第2の部分20は、好ましくはこの部分の全長に沿って均一な円周24を備える。換言すれば、第2の部分20は、距離d2に渡って均一な直径を有することが好ましい。
【0017】
図面において第2の部分20はなめらかな円形の外周を備えるように示されているが、本発明は、例えば切子面のような代替的な表面をも考慮していることを理解されたい。
再び図3を参照すると、絶縁体10の第1の部分18は、概ね、長手方向軸「a」の距離d1に沿って連続的に減少する円周を備えると説明できる。図示されているように、第1の部分18は、第1の部分18と第2の部分20との境界面において、最大円周及び最大直径を備え、第1の端部12において最小の直径及び円周を備えることができる。特定の例においては、第1の部分18は、絶縁体10のテーパー部分であるということができる。図3に示される第1の部分18の例示の形状は、円錐形状であるということができる。本明細書において用いられる「円錐」との語は、実質的に純粋な円錐形状を指し、また、開口部22を形成することによって円錐の頂点が置換された形状を含む。
【0018】
図3において、テーパー角は「α」で示されており、長手方向軸「a」と第1の部分18に包含される外部表面16の部分との間に形成される角度であると定義される。αの値は特定の値に限定されず、0°より大きく90°より小さい範囲とすることができる。幾つかの応用においては、αは約75°から87°の値とすることができ、特定の例では約85°とすることができる。
【0019】
図面には絶縁体の全体の周囲において均一に示されているが、αの値は、長手方向軸の周囲の1つあるいはそれ以上の位置において異なる値とすることができることを理解されたい。αの値の変位は中心の長手方向軸の周りに対称あるいは非対称にすることができる。
【0020】
次に図5を参照すると、同図には絶縁体10の代替形状の構成が示されている。絶縁体の第1の部分は、第1のテーパー角α及び第2のテーパー角θを有する2つの副部分18a及び18bを備えることができる。ここで、第2のテーパー角θは、絶縁体の長手方向軸と副領域18bの表面部分との間に形成される角度であると定義される。θの値は特定の値に限定されず、0°より大きく90°より小さい値とすることができる。図5に示されているように、θはαよりも小さな値とすることができる。代替的に、θの値はαの値よりも大きくすることができる(図示せず)。副部分18a及び18bは、代替的に、円錐形状の副部分18a及び切頭円錐形状の副部分18bであると説明することができる。副部分18a及び18bの相対的な体積は特定の値に限定されない。本発明は、長さd1内の任意の位置に生ずる、境界面18a及び18b(副領域18aの外部表面及び副領域18bの外部表面の交差位置を通じる長手方向軸「a」に垂直な平面により画定される)を考慮している。
【0021】
第1の部分18の形状は図3乃至5を参照して説明したような円錐形状あるいは混成円錐形状に限定されない。図6A乃至Fは、第1の部分18の構成の幾つかの例示的な形状を示す。しかし、これらの例示の外観は、第1の部分18の形状をこれらの特定の形状に限定することを意図するものではない。
【0022】
図6は第1の部分18の例示的な形状を示しており、この第1の部分18は面取りされた球体形状であるといえる。この球形の部分18は、特定の球形の領域に限定されず、領域20の直径及び第1の領域18の長さd1に依存させることができる。特定の例では、第1の部分18は半球体形状である(図示せず)。図6Bを参照すると、第1の部分18は、代替的に放物形状であり、この体積は可変であり、領域20の直径、距離d1の値及び放物曲線により決定される。
【0023】
前述した構成のように、幾つかの例においては、端部12の接触表面積を最小化することが好ましいが、本発明は、隣接する相対的に小さな前述のほぼ点状の接触領域を持つビード間に、追加的に、幾分大きな接触領域を備えることを考慮している。
【0024】
図6Cを参照すると、同図は、前述の形状である点状又は点状に近い接触面積よりも大きな端部表面12を示している。図6Cに示される第1の部分18は、切頭円錐形状であるということができ、この切頭円錐形状は、端部12において最小の直径を有し、端部表面12から絶縁体の長手方向軸に沿って距離d1の位置において最大の直径を有する。切頭円錐部分18を形成するための円錐形の面取りの程度は、特定の量に限定されないが、熱電対アッセンブリの可撓性を大きくできるように、表面12の領域を最小化することが好ましい。
【0025】
図6Dに示される代替形体の構成は、切頭円錐形の組合せであるということができる。第1の切頭円錐形は、第1のテーパー角αを備える端部表面12を有する。第2の切頭円錐形は、第2の領域20と等しい最大直径を有し、テーパー角θを備える。記述の実施形態において説明したように、絶縁体10の第1の部分18の第1の切頭円錐形及び第2の切頭円錐形の体積と同様に、α及びθの値は変更可能である。
【0026】
本発明は、追加的に、前述した様々な形状の組み合わせからなる第1の部分18の形状の構成を考慮している。例えば、図6Eを参照すると、第1の部分18は、第1の端部12において面取りされた球体形状を有し、領域20の強化面において切頭円錐体形状を有する。図6Fは、代替的な組合せを示しており、端部12において切頭円錐体形状を有し、絶縁体10の部分18及び20の間の境界面において面取りされた球体形状を有する。更に、本発明は、例えば、面取りされた楕円体や特に図示していない形状の組合せのような、第1の部分18の代替的な形状や組合せを考慮していることを理解されたい。更に、全体として長手方向軸に沿って、端部12に向かって断面積が減少する形状である限り、第1の部分18を、平面及び/又は段部を有する表面16のような形状とすることができる。
【0027】
図7を参照すると、同図は本発明の追加的な側面を示している。図示されているように、絶縁体10は、第1の部分18及び第2の部分20に加えて、第3の部分26を備えている。第3の部分26は、部分20及び26の間の境界面から端部表面14の終端部まで延びている。換言すれば、領域26は、端部表面14から長手方向軸に沿って距離d3だけ延びている。第3の部分の形状は、図7に示されているような面取りされた球体形状とすることができ、あるいは、代替的に第1の部分18について前述したような任意の形状とすることもできる。熱電対ワイヤに沿って一列の絶縁体の隣接する絶縁体間の接触表面を減少及び/又は最小化するために輪郭形成された第3の部分を提供することは有利である。このような構成は熱電対アセンブリの可撓性をさらに増加させることができ、曲げやねじれを最小化でき、結果的に短絡の発生を回避又は最小化できる。
【0028】
図7に示されているように、形状及び寸法(体積及び/又はd1及びd3の相対的な値)を変更してもよい。代替的に、領域18及び26を、絶縁体10の第1の部分及び第3の部分が3次元的に互いに鏡像になるような形状及び寸法とすることができる(図示せず)。
【0029】
図8を参照すると、同図は、絶縁体10の第2の部分20の代替形状の構成を示している。図示されているように、領域20からなる外部表面16の部分は、丸みをおびており、領域20の直径及び円周は領域20の長さに沿って異なっている。図8Aは表面16を対称の円弧形状として示しているが、本発明は、非対称の湾曲形状、段付き形状、凹形状やこれらの組合せ形状などの代替形状も考慮している。
【0030】
本発明は更に、図8Bに示されているよな第2の部分20が無い絶縁体を考慮している。図8Bに示されているように、第1の部分18は、対向する第3の部分と直接に整合している。図示されているように、2つの部分の寸法及び/又は形状は異なる。代替的に、第1の部分18及び第3の部分26は、互いに3次元的な鏡像の形状とすることができる(図示せず)。第1の部分18及び第3の部分26は、これらの部分に関して前述したような任意の形状を備えることができる。
【0031】
前述の構成は、第1の表面において、中心あるいは実質的に中心の接触点又は枢動点を示しているが、本発明は、絶縁体の外部直径と同軸でない代替的な枢動点も考慮している。さらに、上述の考え方は、図示されているような均一な円あるいは、実質的に円形の外形以外のビード形状に適用できる。外形の例示的な代替形状は、矩形、長円形、多角形及びこれらの組合せ形状を含むことができる。更に、全体的な外形は、絶縁体の長さに沿って変えることができる。
【0032】
本発明による熱電対アセンブリは概ね図9を参照して説明される。熱電対アセンブリ100の一部は、第1の端部12から第2の端部14まで(又は前方から後方まで)熱電対ワイヤ102に沿って繋ぎ合わされた、一列の絶縁体ビード10を有する。絶縁体10は、前述した任意の絶縁体の構成とすることができる。図9に示されているように、絶縁体10の各々は、同一の構成を有している。代替的に、ワイヤに沿った一列のビードは、前述した任意の構成を任意の並べ方又は組合せで構成したビードの組合せとすることができる。
【0033】
更に、本発明の絶縁体の構成を、従来の熱電対アセンブリに用いられる構成のビードと組合せて使用することができる。例えば、従来の絶縁体を熱電対ワイヤの一部に沿って使用し、本発明による絶縁体を特定の位置において使用することで、熱電対アセンブリの所望の位置又は部位において、可撓性の程度を増加させることができる。図9に示されている前方から後方のビード配列に加えて、本発明は、ビードの幾つかあるいは全部が、隣接するビードが前方から前方に配列されるように繋ぎ合わされたビード配列(1番目のビードの端部12が、隣接する2番目のビードの端部12と互いに向かい合う配列、図示せず)を考慮している。
【0034】
図9においてはビード間の配列は実質的に同軸であるが、本発明は、一列のビードにおける隣接する1つ又はそれ以上の第1の面が、隣接するビードの第1又は第2の側面と、非同軸に互いに向かい合う配列を考慮している。
【0035】
本発明に包含される絶縁体は、従来の絶縁体の製造方法、あるいは今後開発される技術による絶縁体の製造方法により形成することができる。このような技術は、例えば、所望の形状を得るための加工方法を備えることができる。
【0036】
本発明の絶縁体の組成は、特定の絶縁材料に限定されない。例示的な材料として、熱電対アセンブリに従来から用いられてきた絶縁材料を用いることができ、あるいは、今後開発される絶縁体材料を用いてもよい。好ましい絶縁材料はアルミナ、ムライト、クォーツ、サファイア又はステアタイトを含むセラミック材料であるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明により形成された絶縁体を備える熱電対アセンブリは、可撓性が改良され、絶縁体の取り外しを容易にし、また、熱電対又はその一部の取り換えを容易にする。これは、熱電対アセンブリの取り外しや設置のためのアクセス空間が限られている炉処理などの応用において特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来技術によるセラミック絶縁体ビード形式の熱電対の一部を示す側面図である。
【図2】従来技術の他の絶縁体ビードの構成を示す側面図である。
【図3】本発明による絶縁体の例示の構成を示す側面図である。
【図4】図3に示す絶縁体の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明による他の絶縁体の構成を示す側面図である。
【図6A】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6B】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6C】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6D】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6E】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6F】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図7】本発明による他の絶縁体形状を示す側面図である。
【図8A】本発明による追加的な他の絶縁体形状を示す図である。
【図8B】本発明による追加的な他の絶縁体形状を示す図である。
【図9】本発明による熱電対の一部を示す側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック絶縁体及び熱電対アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
熱電対は温度を測定又は検知するために用いられる装置であり、接触する2つの異なる金属からなる。異なる金属の結合部は測定可能な電位を生じさせ、この電位は結合部の温度により変化する。炉のような応用においては、熱電対は温度表示装置の操作及び/又は熱制御装置に用いられる。
【0003】
炉の熱検知への応用に用いられる従来の熱電対アセンブリにおいて、熱電対ワイヤは典型的には、セラミックビードのような絶縁体を用いて互いに絶縁される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例示の従来技術による熱電対アセンブリ及びビードの構成を図1及び図2を参照しながら説明する。まず、図1を参照すると、熱電対アセンブリ100の一部が示されており、熱電対アセンブリ100は、ワイヤ102が挿入されている連続する個別のセラミック絶縁体ビード10を含む。図1に示されているように、セラミックビード10は対向する第1の端部12と第2の端部14とを備え、ワイヤを他方のワイヤから絶縁するために、ワイヤ102に沿って一列に並べられる。セラミックビード10は、追加的に熱電対ワイヤの支持を提供することができる。図1に示されているように、端部12、14の表面は平坦であるために隣接するビードは互いに接触し、ビード間のワイヤ102の露出を最小限にすることができる。しかし、ビード間の互いに面する平坦な表面を備える図1に示される構成は、結果として、可撓性を制限し、熱電対のアセンブリの初期の設置、取り外し又は交換を困難にする。
【0005】
図2に他の従来技術によるビードの構成が示されている。上述の前後の平坦面12、14を備えている構成と異なり、図2に示されるビード10は、突出部13及び対向する凹部又は開口部15を備え、熱電対アセンブリのワイヤに沿って一列に並べたときに、突出部13は凹部15に挿入嵌めされる。図2のビードの構成は、図1に示される構成と比べて、可撓性を増大することができることもあるが、図2の挿入可能なビードを有する絶縁されたワイヤ(図示せず)は、十分に硬く、また可撓性が十分ではなく、特に閉鎖された空間において、熱電対アセンブリの設置及び/又は交換を困難にし得る。設置時におけるワイヤの曲がりや伸びは熱電対ワイヤを弱くし、使用中の短絡の発生を増加させ、その結果、熱電対の信頼性及び使用寿命を低下させる。
【0006】
他の絶縁体及び熱電対アセンブリの構成を開発することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面として、本発明は、所定の長さを有し且つ全長に渡って均一な外側直径を備える円筒形部分を有するセラミック絶縁体を含む。このセラミック絶縁体は、第1の端部表面とテーパー部分とを有し、テーパー部分は、テーパー表面及び円筒形部分の外側直径を等しい最大直径を備える。このセラミック絶縁体は、追加的に、第1の端部表面と対向する第2の端部表面及び開口部を有し、開口部は、実質的に円筒形部分とテーパー部分との共通の中心軸に沿って、セラミック絶縁体を貫通して延びる。
【0008】
一つの側面として、本発明は、絶縁体の全長に沿って中心に位置する長手方向軸と、長手方向軸の第1の端部から、長手方向軸の第1の長さに沿って、長手方向軸に沿う第1の位置まで延びる第1の部分とを有する絶縁体を含む。この絶縁体の第1の部分は、第1の位置における最大円周から長手方向軸の第1の端部における最小円周まで、減少する円周を備える。この絶縁体は追加的に、第1の位置から第2の位置まで、長手方向軸に沿って第2の長さで延びる第2の部分を有する。第2の部分は、第2の長さの全体に渡って均一の円周を備え、均一な円周は第1の部分の最大円周と等しい。
【0009】
一つの側面として、本発明は、均一な外側直径を備える第1の端部表面、テーパー部分及び円筒形部分を有する絶縁体を備える熱電対アセンブリを含む。テーパー部分は、円筒形部分の外側直径と等しい最大外側直径を備える。1つあるいはそれ以上の開口部は、実質的に円筒形部分及びテーパー部分の中心軸に沿って、セラミック絶縁体を貫通して延びる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照しながら以下に説明する。
本発明は、熱電対の可撓性を提供する熱電対用の絶縁体の構成及び可撓性の熱電対アセンブリを含む。本発明による絶縁体又は「絶縁体ビード」を使用すれば、熱電対を1つあるいはそれ以上の位置、あるいは絶縁された熱電対ワイヤの長さに沿った一列の位置において節で繋げることができる。その結果、可撓性により、熱電対アセンブリの設置又は交換の困難さを低減することができ、熱電対ワイヤが伸びることを低減又は回避することができ、ワイヤの曲がり、よじれ及び/又はねじれを最小限にすることができる。熱電対ワイヤの伸び、よじれ又はねじれは、短絡した結合部を生じさせ、伸びた又はよじれたあるいはねじれた部位において短絡が生じる可能性を増加させる。従って、これらの欠点を最小化あるいは回避する本発明の絶縁体の構成及び熱電対は、熱電対アセンブリの信頼性を維持し、熱電対の使用寿命の増大に寄与する。
【0011】
概ね、本発明の絶縁体の構成は、従来の構成と比べて、熱電対ワイヤに沿った列において絶縁体ビード間の表面接触を低減又は最小化する。低減された接触面積により、絶縁体は変位又は枢動することができ、結果として可撓性を増加させる。以下に議論される幾何学的形状及び構成は例示でり、本発明はこれらの特定の絶縁体に限定されないことを理解されたい。
【0012】
本発明による絶縁体の構成を、概ね図3乃至8を参照しながら説明する。まず、図3を参照すると、同図は、第1の端部12、第2の端部14及び外部表面16を有する絶縁体すなわち「ビード」10を示している。絶縁体10は、実質的に絶縁体10の全長を横切る中心に位置する長手方向軸「a」を備える。特定の例として、長手方向軸「a」は対称軸であることが好ましい。絶縁体10は、第1の部分18及び第2の部分20を備えるものと説明される。第1の部分18は、第1の端部12から長手方向軸「a」に沿って第1の位置まで延びる第1の距離「d1」を含むことができる。第2の部分20は、第1の点が位置する第1の部分18との境界面から、長手方向軸「a」に沿って、第2の点まで延びる長手方向軸「a」に沿って測定される距離「d2」を有する。
【0013】
d1及びd2の長さ、及びこれらの相対的な長さは、特定の値に限定されない。d1で測定される部分18の長さを、熱電対アセンブリのユニットの望ましい可撓性の程度に応じて変更することができる。図3に示されているように、d2の値はd1の値よりも大きく、特定の領域20が絶縁体の体積の大部分を占める。
【0014】
絶縁体10は、1つ又はそれ以上の穴又は開口部22(あるいは孔という)を備えることができる。図示されているように、単一の開口部22は、実質的に絶縁体10の中心を通って、中心軸「a」に沿って、第1の端部12から第2の端部14まで延びている。図示された開口部22の相対的な寸法は例示であり、例えば、特定の熱電対の応用に用いられるワイヤの厚さに応じて変更することができることを理解されたい。
【0015】
孔又は穴22の数は特定の数に限定されず、例えば、従来の絶縁体に存在する任意の数とすることができる。特定の応用の絶縁体10は10個の孔を備えることができる。さらに、絶縁体を通る孔のパターンや位置は限定されない。単一の孔が存在する場合、図3に示されるように、孔は実質的に長手方向軸に沿っており、あるいは代替的に、絶縁体を通って互い違いに配置してもよい。孔の例示的な構成として複数の孔を用いる場合、絶縁体の外側直径と同軸の環状構成とすることができる。代替的な複数の孔の配置を、非環状のパターン、複数の環を有する孔のパターン及びランダム又は不規則な孔の配置とすることができる。
【0016】
図4を参照すると、同図は、図3の線4−4に沿って切断された絶縁体10の断面図を示している。従って、この図4に示される断面は、絶縁体10の第2の部分20の断面を示している。第2の部分20の形状の代替形態も考えられるが、特定の応用では第2の部分20は、図4に示されているように実質的に円筒形とすることができる。絶縁体の第2の部分20は、好ましくはこの部分の全長に沿って均一な円周24を備える。換言すれば、第2の部分20は、距離d2に渡って均一な直径を有することが好ましい。
【0017】
図面において第2の部分20はなめらかな円形の外周を備えるように示されているが、本発明は、例えば切子面のような代替的な表面をも考慮していることを理解されたい。
再び図3を参照すると、絶縁体10の第1の部分18は、概ね、長手方向軸「a」の距離d1に沿って連続的に減少する円周を備えると説明できる。図示されているように、第1の部分18は、第1の部分18と第2の部分20との境界面において、最大円周及び最大直径を備え、第1の端部12において最小の直径及び円周を備えることができる。特定の例においては、第1の部分18は、絶縁体10のテーパー部分であるということができる。図3に示される第1の部分18の例示の形状は、円錐形状であるということができる。本明細書において用いられる「円錐」との語は、実質的に純粋な円錐形状を指し、また、開口部22を形成することによって円錐の頂点が置換された形状を含む。
【0018】
図3において、テーパー角は「α」で示されており、長手方向軸「a」と第1の部分18に包含される外部表面16の部分との間に形成される角度であると定義される。αの値は特定の値に限定されず、0°より大きく90°より小さい範囲とすることができる。幾つかの応用においては、αは約75°から87°の値とすることができ、特定の例では約85°とすることができる。
【0019】
図面には絶縁体の全体の周囲において均一に示されているが、αの値は、長手方向軸の周囲の1つあるいはそれ以上の位置において異なる値とすることができることを理解されたい。αの値の変位は中心の長手方向軸の周りに対称あるいは非対称にすることができる。
【0020】
次に図5を参照すると、同図には絶縁体10の代替形状の構成が示されている。絶縁体の第1の部分は、第1のテーパー角α及び第2のテーパー角θを有する2つの副部分18a及び18bを備えることができる。ここで、第2のテーパー角θは、絶縁体の長手方向軸と副領域18bの表面部分との間に形成される角度であると定義される。θの値は特定の値に限定されず、0°より大きく90°より小さい値とすることができる。図5に示されているように、θはαよりも小さな値とすることができる。代替的に、θの値はαの値よりも大きくすることができる(図示せず)。副部分18a及び18bは、代替的に、円錐形状の副部分18a及び切頭円錐形状の副部分18bであると説明することができる。副部分18a及び18bの相対的な体積は特定の値に限定されない。本発明は、長さd1内の任意の位置に生ずる、境界面18a及び18b(副領域18aの外部表面及び副領域18bの外部表面の交差位置を通じる長手方向軸「a」に垂直な平面により画定される)を考慮している。
【0021】
第1の部分18の形状は図3乃至5を参照して説明したような円錐形状あるいは混成円錐形状に限定されない。図6A乃至Fは、第1の部分18の構成の幾つかの例示的な形状を示す。しかし、これらの例示の外観は、第1の部分18の形状をこれらの特定の形状に限定することを意図するものではない。
【0022】
図6は第1の部分18の例示的な形状を示しており、この第1の部分18は面取りされた球体形状であるといえる。この球形の部分18は、特定の球形の領域に限定されず、領域20の直径及び第1の領域18の長さd1に依存させることができる。特定の例では、第1の部分18は半球体形状である(図示せず)。図6Bを参照すると、第1の部分18は、代替的に放物形状であり、この体積は可変であり、領域20の直径、距離d1の値及び放物曲線により決定される。
【0023】
前述した構成のように、幾つかの例においては、端部12の接触表面積を最小化することが好ましいが、本発明は、隣接する相対的に小さな前述のほぼ点状の接触領域を持つビード間に、追加的に、幾分大きな接触領域を備えることを考慮している。
【0024】
図6Cを参照すると、同図は、前述の形状である点状又は点状に近い接触面積よりも大きな端部表面12を示している。図6Cに示される第1の部分18は、切頭円錐形状であるということができ、この切頭円錐形状は、端部12において最小の直径を有し、端部表面12から絶縁体の長手方向軸に沿って距離d1の位置において最大の直径を有する。切頭円錐部分18を形成するための円錐形の面取りの程度は、特定の量に限定されないが、熱電対アッセンブリの可撓性を大きくできるように、表面12の領域を最小化することが好ましい。
【0025】
図6Dに示される代替形体の構成は、切頭円錐形の組合せであるということができる。第1の切頭円錐形は、第1のテーパー角αを備える端部表面12を有する。第2の切頭円錐形は、第2の領域20と等しい最大直径を有し、テーパー角θを備える。記述の実施形態において説明したように、絶縁体10の第1の部分18の第1の切頭円錐形及び第2の切頭円錐形の体積と同様に、α及びθの値は変更可能である。
【0026】
本発明は、追加的に、前述した様々な形状の組み合わせからなる第1の部分18の形状の構成を考慮している。例えば、図6Eを参照すると、第1の部分18は、第1の端部12において面取りされた球体形状を有し、領域20の強化面において切頭円錐体形状を有する。図6Fは、代替的な組合せを示しており、端部12において切頭円錐体形状を有し、絶縁体10の部分18及び20の間の境界面において面取りされた球体形状を有する。更に、本発明は、例えば、面取りされた楕円体や特に図示していない形状の組合せのような、第1の部分18の代替的な形状や組合せを考慮していることを理解されたい。更に、全体として長手方向軸に沿って、端部12に向かって断面積が減少する形状である限り、第1の部分18を、平面及び/又は段部を有する表面16のような形状とすることができる。
【0027】
図7を参照すると、同図は本発明の追加的な側面を示している。図示されているように、絶縁体10は、第1の部分18及び第2の部分20に加えて、第3の部分26を備えている。第3の部分26は、部分20及び26の間の境界面から端部表面14の終端部まで延びている。換言すれば、領域26は、端部表面14から長手方向軸に沿って距離d3だけ延びている。第3の部分の形状は、図7に示されているような面取りされた球体形状とすることができ、あるいは、代替的に第1の部分18について前述したような任意の形状とすることもできる。熱電対ワイヤに沿って一列の絶縁体の隣接する絶縁体間の接触表面を減少及び/又は最小化するために輪郭形成された第3の部分を提供することは有利である。このような構成は熱電対アセンブリの可撓性をさらに増加させることができ、曲げやねじれを最小化でき、結果的に短絡の発生を回避又は最小化できる。
【0028】
図7に示されているように、形状及び寸法(体積及び/又はd1及びd3の相対的な値)を変更してもよい。代替的に、領域18及び26を、絶縁体10の第1の部分及び第3の部分が3次元的に互いに鏡像になるような形状及び寸法とすることができる(図示せず)。
【0029】
図8を参照すると、同図は、絶縁体10の第2の部分20の代替形状の構成を示している。図示されているように、領域20からなる外部表面16の部分は、丸みをおびており、領域20の直径及び円周は領域20の長さに沿って異なっている。図8Aは表面16を対称の円弧形状として示しているが、本発明は、非対称の湾曲形状、段付き形状、凹形状やこれらの組合せ形状などの代替形状も考慮している。
【0030】
本発明は更に、図8Bに示されているよな第2の部分20が無い絶縁体を考慮している。図8Bに示されているように、第1の部分18は、対向する第3の部分と直接に整合している。図示されているように、2つの部分の寸法及び/又は形状は異なる。代替的に、第1の部分18及び第3の部分26は、互いに3次元的な鏡像の形状とすることができる(図示せず)。第1の部分18及び第3の部分26は、これらの部分に関して前述したような任意の形状を備えることができる。
【0031】
前述の構成は、第1の表面において、中心あるいは実質的に中心の接触点又は枢動点を示しているが、本発明は、絶縁体の外部直径と同軸でない代替的な枢動点も考慮している。さらに、上述の考え方は、図示されているような均一な円あるいは、実質的に円形の外形以外のビード形状に適用できる。外形の例示的な代替形状は、矩形、長円形、多角形及びこれらの組合せ形状を含むことができる。更に、全体的な外形は、絶縁体の長さに沿って変えることができる。
【0032】
本発明による熱電対アセンブリは概ね図9を参照して説明される。熱電対アセンブリ100の一部は、第1の端部12から第2の端部14まで(又は前方から後方まで)熱電対ワイヤ102に沿って繋ぎ合わされた、一列の絶縁体ビード10を有する。絶縁体10は、前述した任意の絶縁体の構成とすることができる。図9に示されているように、絶縁体10の各々は、同一の構成を有している。代替的に、ワイヤに沿った一列のビードは、前述した任意の構成を任意の並べ方又は組合せで構成したビードの組合せとすることができる。
【0033】
更に、本発明の絶縁体の構成を、従来の熱電対アセンブリに用いられる構成のビードと組合せて使用することができる。例えば、従来の絶縁体を熱電対ワイヤの一部に沿って使用し、本発明による絶縁体を特定の位置において使用することで、熱電対アセンブリの所望の位置又は部位において、可撓性の程度を増加させることができる。図9に示されている前方から後方のビード配列に加えて、本発明は、ビードの幾つかあるいは全部が、隣接するビードが前方から前方に配列されるように繋ぎ合わされたビード配列(1番目のビードの端部12が、隣接する2番目のビードの端部12と互いに向かい合う配列、図示せず)を考慮している。
【0034】
図9においてはビード間の配列は実質的に同軸であるが、本発明は、一列のビードにおける隣接する1つ又はそれ以上の第1の面が、隣接するビードの第1又は第2の側面と、非同軸に互いに向かい合う配列を考慮している。
【0035】
本発明に包含される絶縁体は、従来の絶縁体の製造方法、あるいは今後開発される技術による絶縁体の製造方法により形成することができる。このような技術は、例えば、所望の形状を得るための加工方法を備えることができる。
【0036】
本発明の絶縁体の組成は、特定の絶縁材料に限定されない。例示的な材料として、熱電対アセンブリに従来から用いられてきた絶縁材料を用いることができ、あるいは、今後開発される絶縁体材料を用いてもよい。好ましい絶縁材料はアルミナ、ムライト、クォーツ、サファイア又はステアタイトを含むセラミック材料であるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明により形成された絶縁体を備える熱電対アセンブリは、可撓性が改良され、絶縁体の取り外しを容易にし、また、熱電対又はその一部の取り換えを容易にする。これは、熱電対アセンブリの取り外しや設置のためのアクセス空間が限られている炉処理などの応用において特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来技術によるセラミック絶縁体ビード形式の熱電対の一部を示す側面図である。
【図2】従来技術の他の絶縁体ビードの構成を示す側面図である。
【図3】本発明による絶縁体の例示の構成を示す側面図である。
【図4】図3に示す絶縁体の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明による他の絶縁体の構成を示す側面図である。
【図6A】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6B】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6C】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6D】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6E】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図6F】図5に示す絶縁体の一部の、本発明による代替形体を示す図である。
【図7】本発明による他の絶縁体形状を示す側面図である。
【図8A】本発明による追加的な他の絶縁体形状を示す図である。
【図8B】本発明による追加的な他の絶縁体形状を示す図である。
【図9】本発明による熱電対の一部を示す側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック絶縁体であって、
所定の長さを有し、全長に渡って均一な外側直径を有する円筒形部分と、
第1の端部表面と、
テーパー付きの表面及び前記円筒形部分の前記外側直径と等しい最大直径を持つテーパー部分と、
前記第1の端部表面と対向する第2の端部表面と、
実質的に前記円筒形部分及び前記テーパー部分の共通の中心軸に沿って前記セラミック絶縁体を貫通して延びる開口部とを備えることを特徴とするセラミック絶縁体。
【請求項2】
前記テーパー付きの表面は切子面であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項3】
前記テーパー部分は円錐形状を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項4】
前記テーパー部分は切頭円錐形状を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項5】
前記第1の端部表面は、前記円筒形部分の前記外側直径と等しい直径を備えることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項6】
前記テーパー部分は、第1のテーパー部分であり、更に前記セラミック絶縁体は、前記円筒形部分により前記第1のテーパー部分から離間された第2のテーパー部分を備え、前記第1のテーパー部分は所定のテーパー方向を備え、前記第2のテーパー部分は逆方向のテーパー方向を備えることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項7】
前記第1及び第2のテーパー部分は、互いに対して等しいテーパー角を有することを特徴とする請求項6に記載の絶縁体。
【請求項8】
前記第1及び第2のテーパー部分は、互いに対して異なるテーパー角を有することを特徴とする請求項6に記載の絶縁体。
【請求項9】
前記円筒形部分は前記第1の端部表面まで延びることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項10】
前記絶縁体は、アルミナ、ムライト、クォーツ、サファイア及びステアタイトからなる群から選択される絶縁体材料を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項11】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項1に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項12】
絶縁体であって、
第1の直径を有する第1の端部表面を備える第1の端部と、
前記第1の端部表面から前記絶縁体の中心軸に沿って第1の位置まで第1の距離だけ延びる第1の切頭円錐形状部分と、
前記第1の端部表面から前記絶縁体の中心軸に沿って第2の位置まで第2の距離だけ延びる第2の切頭円錐形状部分と、を備えることを特徴とする絶縁体。
【請求項13】
前記第1及び第2の切頭円錐形状部分は、共通の底面を共有し、逆方向のテーパーを持つことを特徴とする請求項12に記載の絶縁体。
【請求項14】
前記第1及び第2の面取りされた円錐形状部分は、同方向のテーパーを持つことを特徴とする請求項12に記載の絶縁体。
【請求項15】
前記第1の切頭円錐形状部分は第1のテーパー角を備え、前記第2の切頭円錐形状部分は第2のテーパー角を備え、前記第2のテーパー角は前記第1のテーパー角と異なることを特徴とする請求項14に記載の絶縁体。
【請求項16】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項12に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項17】
絶縁体であって、
前記絶縁体の全長に沿って中心に位置する長手方向軸と、
前記長手方向軸の第1の端部から、前記長手方向軸の第1の長さに沿って、前記長手方向軸に沿う第1の位置まで延びる第1の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第1の位置における最大円周から前記長手方向軸の前記第1の端部における最小円周まで、前記第1の長さの全体に渡って減少する円周を備え、
前記絶縁体は更に、前記第1の位置から第2の位置まで、前記長手方向軸に沿って第2の長さで延びる第2の部分を有し、前記第2の部分は、前記第2の長さの全体に沿って均一の円周を備え、前記均一な円周は前記第1の部分の最大円周と等しいことを特徴とする絶縁体。
【請求項18】
前記第1の部分は円錐形状を有することを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項19】
前記第1の部分は面取りされた球体形状を有することを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項20】
前記第1の部分は面取りされた球体であることを特徴とする請求項19に記載の絶縁体。
【請求項21】
前記第1の部分は外部表面の第1の部分を有し、前記第2の部分は外部表面の第2の部分を有し、前記外部表面の第1及び第2の部分は切子面であることを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項22】
前記第2の点は前記長手方向軸の第2の端部に配置されることを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項23】
更に、前記長手方向軸上の第2の位置から、前記長手方向軸の第2の端部まで第3の長さで延びる第3の部分を有し、前記第3の部分は、前記第2の位置における最大円周から前記長手方向軸の前記第2の端部における最小円周まで、前記第3の長さの全体に沿って減少する円周を備えることを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項24】
前記第3の部分は、前記第1の部分の3次元の鏡像の形状を有することを特徴とする請求項23に記載の絶縁体。
【請求項25】
前記第3の部分は、前記第1の部分の鏡像と異なる形状であることを特徴とする請求項23に記載の絶縁体。
【請求項26】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項17に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項27】
絶縁体であって、
前記絶縁体の全長に沿って中心に位置する長手方向軸と、
前記長手方向軸の第1の端部から、前記長手方向軸の第1の長さに沿って、前記長手方向軸に沿う第1の位置まで延びる第1の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第1の位置における最大円周から、前記長手方向軸の前記第1の端部における最小円周まで前記第1の長さの全体に沿って減少する円周を備え、
前記絶縁体は更に、前記第1の位置から前記長手方向軸の第2の端部まで、第2の長さで延びる第2の部分を有し、前記第2の部分は、前記第1の位置における最大円周から、前記長手方向軸の第2の端部における最小円周まで第3の長さの全体に沿って減少する円周を備え、少なくとも前記第1及び第2の部分の一方は、半球体形状ではないことを特徴とする絶縁体。
【請求項28】
前記第1及び第2の距離は等しいことを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項29】
前記第1及び第2の距離は異なることを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項30】
前記第1及び第2の部分は互いに3次元の鏡像となることを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項31】
前記第1の部分は、円錐体、切頭円錐体、面取りされた球体、放物体及び面取りされた楕円体から選択される形状であることを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項32】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項27に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項1】
セラミック絶縁体であって、
所定の長さを有し、全長に渡って均一な外側直径を有する円筒形部分と、
第1の端部表面と、
テーパー付きの表面及び前記円筒形部分の前記外側直径と等しい最大直径を持つテーパー部分と、
前記第1の端部表面と対向する第2の端部表面と、
実質的に前記円筒形部分及び前記テーパー部分の共通の中心軸に沿って前記セラミック絶縁体を貫通して延びる開口部とを備えることを特徴とするセラミック絶縁体。
【請求項2】
前記テーパー付きの表面は切子面であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項3】
前記テーパー部分は円錐形状を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項4】
前記テーパー部分は切頭円錐形状を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項5】
前記第1の端部表面は、前記円筒形部分の前記外側直径と等しい直径を備えることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項6】
前記テーパー部分は、第1のテーパー部分であり、更に前記セラミック絶縁体は、前記円筒形部分により前記第1のテーパー部分から離間された第2のテーパー部分を備え、前記第1のテーパー部分は所定のテーパー方向を備え、前記第2のテーパー部分は逆方向のテーパー方向を備えることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項7】
前記第1及び第2のテーパー部分は、互いに対して等しいテーパー角を有することを特徴とする請求項6に記載の絶縁体。
【請求項8】
前記第1及び第2のテーパー部分は、互いに対して異なるテーパー角を有することを特徴とする請求項6に記載の絶縁体。
【請求項9】
前記円筒形部分は前記第1の端部表面まで延びることを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項10】
前記絶縁体は、アルミナ、ムライト、クォーツ、サファイア及びステアタイトからなる群から選択される絶縁体材料を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁体。
【請求項11】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項1に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項12】
絶縁体であって、
第1の直径を有する第1の端部表面を備える第1の端部と、
前記第1の端部表面から前記絶縁体の中心軸に沿って第1の位置まで第1の距離だけ延びる第1の切頭円錐形状部分と、
前記第1の端部表面から前記絶縁体の中心軸に沿って第2の位置まで第2の距離だけ延びる第2の切頭円錐形状部分と、を備えることを特徴とする絶縁体。
【請求項13】
前記第1及び第2の切頭円錐形状部分は、共通の底面を共有し、逆方向のテーパーを持つことを特徴とする請求項12に記載の絶縁体。
【請求項14】
前記第1及び第2の面取りされた円錐形状部分は、同方向のテーパーを持つことを特徴とする請求項12に記載の絶縁体。
【請求項15】
前記第1の切頭円錐形状部分は第1のテーパー角を備え、前記第2の切頭円錐形状部分は第2のテーパー角を備え、前記第2のテーパー角は前記第1のテーパー角と異なることを特徴とする請求項14に記載の絶縁体。
【請求項16】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項12に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項17】
絶縁体であって、
前記絶縁体の全長に沿って中心に位置する長手方向軸と、
前記長手方向軸の第1の端部から、前記長手方向軸の第1の長さに沿って、前記長手方向軸に沿う第1の位置まで延びる第1の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第1の位置における最大円周から前記長手方向軸の前記第1の端部における最小円周まで、前記第1の長さの全体に渡って減少する円周を備え、
前記絶縁体は更に、前記第1の位置から第2の位置まで、前記長手方向軸に沿って第2の長さで延びる第2の部分を有し、前記第2の部分は、前記第2の長さの全体に沿って均一の円周を備え、前記均一な円周は前記第1の部分の最大円周と等しいことを特徴とする絶縁体。
【請求項18】
前記第1の部分は円錐形状を有することを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項19】
前記第1の部分は面取りされた球体形状を有することを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項20】
前記第1の部分は面取りされた球体であることを特徴とする請求項19に記載の絶縁体。
【請求項21】
前記第1の部分は外部表面の第1の部分を有し、前記第2の部分は外部表面の第2の部分を有し、前記外部表面の第1及び第2の部分は切子面であることを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項22】
前記第2の点は前記長手方向軸の第2の端部に配置されることを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項23】
更に、前記長手方向軸上の第2の位置から、前記長手方向軸の第2の端部まで第3の長さで延びる第3の部分を有し、前記第3の部分は、前記第2の位置における最大円周から前記長手方向軸の前記第2の端部における最小円周まで、前記第3の長さの全体に沿って減少する円周を備えることを特徴とする請求項17に記載の絶縁体。
【請求項24】
前記第3の部分は、前記第1の部分の3次元の鏡像の形状を有することを特徴とする請求項23に記載の絶縁体。
【請求項25】
前記第3の部分は、前記第1の部分の鏡像と異なる形状であることを特徴とする請求項23に記載の絶縁体。
【請求項26】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項17に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【請求項27】
絶縁体であって、
前記絶縁体の全長に沿って中心に位置する長手方向軸と、
前記長手方向軸の第1の端部から、前記長手方向軸の第1の長さに沿って、前記長手方向軸に沿う第1の位置まで延びる第1の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第1の位置における最大円周から、前記長手方向軸の前記第1の端部における最小円周まで前記第1の長さの全体に沿って減少する円周を備え、
前記絶縁体は更に、前記第1の位置から前記長手方向軸の第2の端部まで、第2の長さで延びる第2の部分を有し、前記第2の部分は、前記第1の位置における最大円周から、前記長手方向軸の第2の端部における最小円周まで第3の長さの全体に沿って減少する円周を備え、少なくとも前記第1及び第2の部分の一方は、半球体形状ではないことを特徴とする絶縁体。
【請求項28】
前記第1及び第2の距離は等しいことを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項29】
前記第1及び第2の距離は異なることを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項30】
前記第1及び第2の部分は互いに3次元の鏡像となることを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項31】
前記第1の部分は、円錐体、切頭円錐体、面取りされた球体、放物体及び面取りされた楕円体から選択される形状であることを特徴とする請求項27に記載の絶縁体。
【請求項32】
熱電対であって、少なくとも1つの請求項27に記載の絶縁体を有することを特徴とする熱電対。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2008−515159(P2008−515159A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534574(P2007−534574)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/026367
【国際公開番号】WO2006/038956
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/026367
【国際公開番号】WO2006/038956
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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