説明

セリア−ジルコニア系複合酸化物及びその製造方法

【課題】 エンジン近傍で使用される排ガス浄化用触媒における助触媒として優れた特性を有するセリアとジルコニア系複合酸化物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 セリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含有する酸性溶液を準備する第1段階と、前記酸性溶液にペルオキソ二硫酸塩を添加してセリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階と、前記セリウム(IV)イオンと未反応のペルオキソ二硫酸塩を含む溶液を加熱してセリウム及びジルコニウムの硫酸塩スラリー溶液を得る第3段階と、前記第3段階で得られたスラリー溶液に塩基を添加してセリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを得る第4段階と、前記セリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥及び焼成する第5段階とを行うことによって製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒、紫外線遮断剤、電極材料、燃料電池用固体電解質分野に利用可能であり、特に自動車の排ガス浄化用触媒における助触媒として使用されるセリア−ジルコニア系複合酸化物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セリアは酸素吸蔵放出能(Oxygen Storage Capacity、以下単に「OSC」という)を有するため、自動車排ガス浄化用触媒の助触媒として広く用いられている。これはCe3+/Ce4+のレドックス反応を利用したものである。このセリアは、一般にその特性を高めるためセリア−ジルコニア系複合酸化物として使用されている。
【0003】
近年、環境意識の高まりから自動車排ガス用触媒もエンジン始動直後から触媒性能を発揮することが求められ、浄化活性温度を確保するため触媒搭載位置が年々エンジンに近くなっている。このため、触媒は900〜950℃の高温にさらされることとなり、触媒担体には1200℃での耐酸化性、耐熱衝撃性が要求されている(非特許文献1参照)。
【0004】
このセリア−ジルコニア系複合酸化物は、その上に触媒貴金属が担持された状態でアルミナに数%ないし数十%の割合で混合され、ハニカム担体表面に十数μmないし数百μmの厚さのウォッシュコート層に形成され、助触媒として機能するようになっている。
【0005】
このウォッシュコート層中のアルミナは耐熱性が高く高温でも粒子成長が少ないが、助触媒として機能するセリア−ジルコニア系複合酸化物は高温で粒子成長を起こしやすく、従来のセリア−ジルコニア系複合酸化物は、1200℃の高温にさらされると一次粒子径が1000℃における粒子径の10倍程度まで大きくなるという現象があり、ウォッシュコート層の破壊、脱落の原因となると指摘されてきた。
【0006】
このためウォッシュコート層へのセリア−ジルコニア系複合酸化物の配合量が制限されていた。すなわち、セリア−ジルコニア系複合酸化物が粒子成長を起こすときには、ウォッシュコート層内でセリア−ジルコニア系複合酸化物粒子がもともと存在していた位置に空孔が生じる一方、他の部位では粒子成長による強いストレスが生じ、一般に粒子系が200nm以上となるとウォッシュコート層の破壊、脱落が生ずるといわれている。さらにセリア−ジルコニア系複合酸化物粒子の成長に伴う表面積の減少により、セリア−ジルコニア系複合酸化物粒子上に担持されている触媒貴金属のシンタリングが進み、触媒活性が低下するという問題があり、高温で使用される自動車排ガス触媒では予め触媒貴金属量を増やしておくなどの対策が必要となり、貴金属の高騰とともにその経済性の改善が強く求められていた。
【0007】
セリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法としては、いわゆる中和沈殿法として非特許文献2に示されているように、硝酸塩にいわゆる第3成分を加え、アンモニアで中和して得られる水酸化物をろ過、洗浄後、焼成する方法が公知である。また、耐熱性に優れたセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法としては、例えば特許文献1にはセリウム(IV)溶液とジルコニウム溶液を混合して熱加水分解する方法が、特許文献2には水酸化ジルコニウム粒子とセリウムゾルを硝酸存在下で加熱して溶解、再析出反応を行い、塩基を加えてさらに反応させ、得られた生成物を焼成、粉砕する方法が、特許文献3には塩基性硫酸ジルコニウムとセリウムイオンを含む溶液とを混合した後、塩基を添加しpHを12以上14未満とすることにより沈殿物を生成させる方法が、特許文献4には、硫酸根の存在下にアルカリを添加し、その反応混合物中にセリウム塩溶液を添加し、得られた混合物を反応させてジルコニア−セリア基複合水酸化物を形成せしめる方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特許第3623517号
【特許文献2】特開平10−194742号公報
【特許文献3】特許第3595874号
【特許文献4】特開2003−137550号公報
【非特許文献1】(社)日本鉄鋼協会会報,11,618−622,(2006)
【非特許文献2】Journal of the Ceramic Society of Japan 111[2] 137-141 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、工業的にもっとも安価に製造できると思われる中和沈殿法で得られるセリア−ジルコニア系複合酸化物は、非特許文献1によれば、750℃では80m/g程度であった比表面積が1,000℃、3hの焼成後には20m/g以下と急落しており耐熱性が不十分である。一方、特許文献1に示されているセリウム(IV)溶液とジルコニウム溶液とを混合して熱加水分解する方法では、反応に長い時間がかかる上、その後の処理も複雑で製品が得られるまでに非常に時間がかかりコスト的に不利である。特許文献2に示されている硝酸存在下で加熱する方法では、ジルコニアゾル調整が不要なもののセリウムゾルの調整が必要であり、反応温度も高いためコスト的に不利である。特許文献3に示されている塩基性硫酸ジルコニウムとセリウムイオンを含む溶液を混合する方法、特許文献4に示されている硫酸根存在下にアルカリを添加する方法は、ともに、一旦ジルコニウムの沈殿を生成せしめた後にセリウムを沈殿させており原子レベルでの混合が悪く複合酸化物といい難いという問題がある。また、上記いずれの非特許文献、特許文献においては、すべての実施例において硝酸系の原料を使用しており、窒素排水規制の強化が行われている近年では工業規模で生産する場合、硝酸イオンを処理する特別な工程が必要となりコスト的に大きな負担となる。
【0010】
さらに、これら特許文献1〜4により製造されるセリア−ジルコニア系複合酸化物は、1000℃における一次粒子径が大きく、かつ後の高温下での成長率も大きく、そのため、先述の高温使用時におけるウォッシュコート層の破壊、脱落を避けがたいという問題がある。
【0011】
本発明は、これら従来技術の有する問題点を解決することを目的とし、特にエンジン近傍で使用される自動車の排ガス浄化用触媒における助触媒として優れた特性を有するセリアとジルコニア系複合酸化物およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、基本製造プロセスとして工業的にもっとも安価に製造できる中和沈殿法を採用して、排水に硝酸イオンが含まれない低コストでかつ耐熱性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物及びその製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の目的を達成するためには、セリア−ジルコニア系複合酸化物の製造過程において、原子レベルでの高い混合状態を得ることが必要なことに着目し、そのための手段として硫酸イオンの存在の下でセリウム(IV)イオン及びジルコニウム(IV)イオンを硫酸塩として同時に沈殿させることが極めて有効であることを見出し、また、それによって得られるセリア−ジルコニア系複合酸化物が、エンジン近傍で使用される自動車の排ガス浄化用触媒における助触媒として優れた特性を有していることを確認した。
【0013】
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物は、1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が200nm以下である点に特徴がある。ここに一次粒子径とは、日刊工業新聞社発行「粒度測定技術」第231頁に記載の比表面積径Dw(単位:nm)によるものであり、(1)式を用いて算出したものである。
Dw=6000/(s×ρ)・・・・・・(1)
ここに
s:比表面積(単位:m/g)
ρ:密度(単位:g/cm
であり、セリア−ジルコニア固溶体の密度は構成酸化物の組成により重みつけをした平均密度を用い、比表面積は窒素ガス吸着によるBET法による測定結果である。
【0014】
上記発明において、1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が1000℃で12時間焼成後の一次粒子径の3倍以下であることとするのが好ましい。
【0015】
上記セリア−ジルコニア系複合酸化物は、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム及び原子番号57〜71までの希土類元素(プロメチウムを除く)から選択され、安定な酸化物を形成するときの酸化数が3となる1種又は2種以上の元素を第三成分として含有するものとすることができる。
【0016】
上記セリア−ジルコニア系複合酸化物は、塩化セリウム及びオキシ塩化ジルコニウムを原料としてセリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含有する酸性溶液を準備する第1段階と、前記酸性溶液にペルオキソ二硫酸塩を添加してセリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階と、前記第2段階で得られたセリウム(IV)イオンと前記第2段階において未反応のペルオキソ二硫酸塩を含む溶液を加熱してセリウム(IV)イオン及びジルコニウムイオンを硫酸塩として沈殿させスラリー溶液を得る第3段階と、前記第3段階で得られたスラリー溶液に塩基を添加してセリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを得る第4段階と、前記セリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥及び焼成す第5段階とを行うことによって製造することができる。
【0017】
前記セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階において、ペルオキソ二硫酸塩とともに硫酸塩を添加することができる。
【0018】
前記セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階において、ペルオキソ二硫酸塩の全部又は一部を過酸化水素に代替するとともに該第2段階又はそれに第3段階においてセリウム(IV)イオン及びジルコニウムイオンの全てを硫酸塩として沈殿させるに必要な硫酸塩を添加することができる。
【0019】
セリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含む酸性溶液には、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム及び原子番号57〜71までの希土類元素(プロメチウムを除く)から選択され、安定な酸化物を形成するときの酸化数が3となる1種又は2種以上の元素を第三成分として含有させることとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るセリア−ジルコニア系複合酸化物は、エンジン近傍で使用される自動車の排ガス浄化用触媒における助触媒として使用されたときにも、長期間に亘ってウォッシュコート層の破壊、脱落を避けることができるものである。また、本発明は、基本製造プロセスとして工業的にもっとも安価に製造できる中和沈殿法を採用しており、排水に硝酸イオンが含まれず、低コストでセリア−ジルコニア系複合酸化物を提供することができ、日本国内で約4000万個/年使用されているとされている自動車排ガス触媒の経済性の改善に寄与するところ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を製造する最も基本的な工程は、塩化セリウム、オキシ塩化ジルコニウムとするセリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含む酸性溶液を準備する第1段階と、前記酸性溶液にペルオキソ二硫酸塩を添加してセリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階と、前記第2段階で得られたセリウム(IV)イオンと未反応のペルオキソ二硫酸塩を含む溶液を加熱してセリウム(IV)イオン及びジルコニウムイオンを硫酸塩として沈殿させスラリー溶液を得る第3段階と、前記第3段階で得られたスラリー溶液に塩基を添加してセリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを得る第4段階と、前記セリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥及び焼成す第5段階とから成り立っている。
【0022】
前記第1段階においては、セリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含む酸性溶液を準備する。セリウム源として塩化セリウム水溶液を使用することができる。ジルコニウム源としてオキシ塩化ジルコニウム水溶液を使用することができる。これらの量比は製品セリア−ジルコニア複合酸化物中のセリア/ジルコニア比が所望の値になるように調整すればよい。原料には硝酸塩など他の原料を使用することもできるが、排水中含まれる硝酸イオンを処理する特別な工程が必要となり、経済的に不利であるため称酸塩の使用は避けるべきである。
【0023】
上記セリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含む酸性溶液は、pH1以下、かつその濃度が酸化物換算の合計量で10〜200g/l(リットル)に調整するのが望ましい。10g/l未満の濃度では得られる複合水酸化物量が少な過ぎて生産効率が悪く、200g/lを超える濃度では、反応によって生ずるスラリーの粘度が高くなりすぎ十分な混合状態が得られなくなるので好ましくない。
【0024】
第2段階では、前記第1段階で得られた酸性溶液に酸化剤として作用するペルオキソ二硫酸塩を添加してセリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する。ペルオキソ二硫酸塩は、セリウム(III)をセリウム(IV)イオンに酸化するとともに酸化反応によって生成した硫酸イオンがセリウム(IV)イオン、ジルコニウムイオンを硫酸塩として沈殿させるのに十分な量となるように添加する。
【0025】
上記III価セリウムイオンをセリウム(IV)イオンにするのに必要なペルオキソ二硫酸塩の必要量は以下の(2)式から算出することができ、セリウム(III)イオンの1モルに対してペルオキソ二硫酸イオン1モル相当を添加すれば、セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化できるとともに、生成したセリウム(IV)イオンをその硫酸塩とすることができる。
2Ce3++S2−+2H→2Ce4++2SO2−+HO・・・(2)
一方、ジルコニウムイオンをその硫酸塩とするためには、塩基性硫酸塩(Zr(OH)(4−2X)SO・nHOを形成することを考慮して、ジルコニウムイオンの1モルに対してペルオキソ二硫酸イオン0.25モル相当を添加すればよい。ただし、ペルオキソ二硫酸イオンの硫酸イオンへの分解効率を考慮してその分過剰に添加することが考慮されるべきである。
【0026】
ペルオキソ二硫酸塩としてはペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウムなど通常工業的に利用できるペルオキソ二硫酸塩をすべて使用できる。
【0027】
第3段階では、上記第2段階で未反応の状態で残ったペルオキソ二硫酸塩とセリウム(IV)イオンを含む溶液を加温してセリウム及びジルコニウムの硫酸塩を含むスラリー溶液を得る。加温は50℃以上とすることが好ましい。加温が50℃未満であると、ペルオキソ二硫酸イオンの硫酸イオンへの分解速度(硫酸イオンの生成速度)が小さく工業的に不利となるからである。加温手段については特に制限はなく、また、加温中にたとえば撹拌羽根、ポンプ循環などを用いて撹拌することも行うことができる。この加温を伴う第3段階おいて、セリウム(IV)イオン及びジルコニウム(IV)イオンはともにほぼ同時に硫酸塩として沈降し、混合状態のよいスラリー溶液が得られる。
【0028】
前記第3段階で得たセリウム(IV)イオン及びジルコニウム(IV)イオンの硫酸塩を含むスラリー溶液には、塩基を添加してセリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを得る(第4段階)。この第4段階は、アルカリを添加する中和工程であり、これによりセリウム(IV)イオン及びジルコニウム(IV)イオンの水酸化物スラリーを得ることができる。第3段階で得られた硫酸塩はpH8以上でその大部分の硫酸イオンが水酸化物イオン(OH)に置換され水酸化物となるので中和操作はpHを8以上にするように行えばよい。アルカリとしては工業的に通常使用されるアルカリ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などを使用できる。中和による硫酸イオンの水酸化物イオンへの置換を完全に行うために、撹拌羽根による撹拌やポンプによる循環など、工業的通常に行われる撹拌操作をあわせて行うことが望ましい。
【0029】
上記第4段階に続いてセリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを固液分離操作、洗浄操作、及び乾燥及び焼成操作を含む第5段階の処理が行われる。固液分離操作の手段は特に問わず、遠心分離装置、ろ過装置など工業的に使用される装置を使用することができる。洗浄操作は、セリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーから硫酸イオン、塩化物イオンなど夾雑イオンの低減を行うための操作であって、たとえば純水中に水酸化物を分散させた後、遠心分離装置、ろ過装置を用いて行う。この洗浄操作は水酸化物中の夾雑イオンの含有量が質量比で3%以下になるまで続けることが望ましい。
【0030】
上記により得られたセリウム−ジルコニウム系水酸化物には乾燥及び焼成操作が行われる。乾燥操作は工業的に使用される外熱式または内燃式乾燥装置を使用して乾燥温度60〜200℃程度で行い、これにより水酸化物に対する付着水分量を質量比で40〜90%程度から10%以下に低減する。
【0031】
乾燥操作に続いて焼成操作が行われる。焼成温度は用途に応じて適当に選ぶことができるが、実用的には1000℃以下とするのがよい。なお、上記乾燥操作と焼成操作はそれぞれ独立した操作として行うこともできるが、一連の連続操作して行うこともできる。また、乾燥操作後最終焼成に先立って400〜800℃程度の温度で仮焼を行うこともでき、仮焼に先立って、あるいは仮焼後に水酸化物の破砕を行うこともできる。
【0032】
上記焼成によってセリウム−ジルコニウム系水酸化物は脱水され、これらの複合酸化物となる。このようにして得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物は、必要に応じて粉砕を行い粒度の調整を行う。粉砕は、所望の粒度に調整できればよく、スタンプミル、ローラーミル、ジェットミルまたはボールミルなど、工業的に使用されるミルを用いて行うことができる。
【0033】
上記一連の段階からなる工程によって得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物は、後述の実施例に示すように、1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が200nm以下であるという特徴を有する。また、1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が1000℃で12時間焼成後の一次粒子径の3倍以下であるという特徴を有する。
【0034】
本発明により得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物が1200℃焼成後において一次粒子が成長しない理由は、必ずしも確定的ではないが、一般的な硝酸塩中和法では硝酸塩から直接、水酸化物が生成するのに対して、本発明では酸性溶液中で一旦硫酸イオンを核とした硫酸塩の沈殿が形成された後、該硫酸塩の硫酸イオンを水酸化物イオンに置換する形で水酸化物が生成されることに起因すると推定される。
【0035】
すなわち、従来の硝酸塩中和法では、セリウムとジルコニウムでは沈殿を生成するpHが異なるため、これら水酸化物の原子レベルでの混合が達成され難く、また不定形の水酸化物が形成される。そのため、水酸化物生成時のセリウムイオンとジルコニウムイオンの位置が、構成元素が規則的な繰り返し構造を取るセリア−ジルコニア酸化物結晶と大きくずれることになる。このような水酸化物は、加熱により酸化物結晶となる際及びその後の加熱・焼成に当たり、構成原子がセリア-ジルコニア酸化物結晶として取るべき位置まで大きく移動する必要があり、それに伴い粒子成長が著しく進行することになる。
【0036】
これに対し、本発明においては、酸性溶液中で一旦硫酸イオンを核とした硫酸塩の沈殿が形成された後、該硫酸塩の硫酸イオンを水酸化物イオンに置換する形で水酸化物が生成される。硫酸イオンを核とする硫酸塩はイオン性結晶であり、強いクーロン力により結び付けられているため最密充填構造を取りやすい。この結果、構成元素が最終的目的物であるセリア−ジルコニア酸化物結晶に近似し、かつこれと整合性のある規則的な繰り返し構造を取ることになる。本発明では、このような構造の硫酸塩を形成した後に、硫酸イオンを水酸化物イオンで置換されるので、セリア−ジルコニア酸化物結晶に近似した構造を有する水酸化物が得られ、加熱により脱水された複合酸化物は構成元素が規則的な繰り返し構造を取るものとなり、その後の高温、例えば1200℃への加熱によっても原子の移動が起きにくく結果として粒子成長が起こりにくくなったと推定される。
【0037】
以上、本発明の基本的な構成について説明したが、本発明は下記のような実施形態を取ることができる。
【0038】
まず、セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階において、ペルオキソ二硫酸塩とともに硫酸塩を添加することができる。この場合においては、酸性溶液に対するペルオキソ二硫酸塩の添加量をセリウム(III)イオンをセリウム(IVイオンに酸化するに必要な程度あるいはそれよりやや過剰な程度に留め、ジルコニウム(IV)イオンを硫酸塩として沈殿させるに必要な硫酸イオンはその一部又は全部を別途添加する硫酸塩に置換するのである。なお、上記硫酸イオンは、酸化されたセリウム(IV)イオン及びジルコニウム(IV)イオンを硫酸塩として沈殿させる第3段階において添加するようにしてもよい。
【0039】
硫酸イオン源としては硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウムなど通常工業的に利用できる水溶性の硫酸塩をすべて使用できる。その添加量はセリウム、ジルコニウムの合算1モルに対して追加硫酸イオンとペルオキソ二硫酸塩が分解して生成する硫酸イオンをあわせて0.3モル以上、好ましくは0.4モル以上とすることが望ましい。
【0040】
また、セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階において、ペルオキソ二硫酸塩の全部又は一部を過酸化水素に代替するとともに、該第2段階又は後続の第3段階においてセリウム(IV)イオン及びジルコニウムイオンの全てを硫酸塩として沈殿させるに必要な硫酸塩を添加することもできる。この場合における酸化反応は
2Ce3++H+2H→2Ce4++2HO・・・(3)
となる。ただし、この実施形態においては、セリウム(IV)イオン及びジルコニウム(IV)イオンを硫酸塩として沈殿させるための硫酸イオンが不足するので、その分を別途添加しなければならないが、その添加は、前記第2段階(酸化段階)でもよく、あるいは第3段階(沈殿物生成段階)でもよい。
【0041】
本発明においても、セリア−ジルコニア系複合酸化物には、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム及び原子番号57〜71までの希土類元素(プロメチウムを除く)から選択され、安定な酸化物を形成するときの酸化数が3となる1種又は2種以上の元素からなる第三成分を含有させることができる。これらの元素を添加することによりセリウムが結晶内においてIII価で安定して存在しやすくなりOSC能、応答速度が向上する。添加量は用途に応じて定めることが好ましく、一般的にその含有量は酸化物に換算した総量に対して質量比で50%以下とすることが好ましい。第三成分の含有量が50%を超えると、基本成分であるセリウム含有量が相対的に低下して助触媒として必要なOSCが低くなるため好ましくない。
【0042】
上記第三成分の添加は、前記第1段階で調整する酸性溶液中に第三成分元素を含有する塩を添加することによって行うことができる。また、第4段階に先立って、若しくは第4段階の際に、あるいはその後に適当な化合物、例えば塩化アルミニウム等を水溶液の形で加えることにより行うこともできる。
【0043】
なお、本発明に係るセリア−ジルコニア系複合酸化物の基本組成はセリウムとジルコニウムの配合比率が二酸化セリウム(セリア、Ce0)及び酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO)に換算して質量比で10:90〜90:10とするのがよい。二酸化セリウムの質量比が90を超えると耐熱性が低下するため所望の性能が得られず、一方、酸化ジルコニウムの質量比が90を超えるとOSCが低下する。上記質量比を25:75〜75:25とすればより耐熱性が高い複合酸化物が得られる。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液とジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液と純水を混合し、合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO=50:50の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウムを40g添加し(第2段階)、撹拌しながら95℃まで加熱し、セリウム-ジルコニウム複合硫酸塩を得た(第3段階)。得られた硫酸塩スラリーを60℃まで冷却後、アンモニア水を加えて中和し水酸化物を含むスラリーを得た。得られた水酸化物スラリーに対してろ過−洗浄操作を4回繰り返してセリウム-ジルコニウム複合水酸化ケーキを得た(第4段階)。得られた複合水酸化物ケーキを120℃で乾燥して複合水酸化物粉末を得、これをルツボに詰め電気炉で700℃にて3時間焼成した後、ジェットミルで粉砕してセリア−ジルコニア系複合酸化物粉末(製品)とした(第5段階)。
【0045】
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物粉末に対して、1000℃、1100℃、1200℃で12時間仮焼してBET3点法によりBET表面積を測定し、(1)式に基づいて一次粒径を求めた。得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物の組成分析値は表1に、密度及び仮焼後の比表面積は表2に、同じく仮焼後の一次粒径は表3に、他の実施例等とともにまとめて示した。なお、粒子密度にはCeO、ZrOにはそれぞれ文献値である7.3、5.5を、その他第三成分元素の酸化物は影響が小さいのですべて7.3と近似して計算した。また、図1には、上記各温度で仮焼後の仮焼温度と一次粒子径との関係を示した。
【0046】
(実施例2)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液とジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液とを純水に溶解し、合計酸化物換算濃度100g/l、CeO:ZrO=20:80の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウムを32g、硫酸アンモニウムを84g添加した後(第2段階)、撹拌しながら95℃まで加熱し、セリウム−ジルコニウム複合硫酸塩を得た(第3段階)。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得(第4段階)、さらに仮焼してセリア−ジルコニア複合酸化物を得た(第5段階)。
【0047】
(実施例3)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液とジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液と純水を混合し、合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO=40:60の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液に31%の過酸化水素水を30g、硫酸アンモニウムを60g添加した後(第2段階)、撹拌しながら95℃まで加熱し、セリウム-ジルコニウム複合硫酸塩を得た(第3段階)。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得(第4段階)、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た(第5段階)。
【0048】
(実施例4)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液とジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液と純水を混合し、合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO=70:30の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液に31%過酸化水素水を30g、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを55g添加した後(第2段階)、撹拌しながら90℃まで加熱し、セリウム−ジルコニウム複合硫酸塩を得た(第3段階)。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得(第4段階)、さらに仮焼してセリア-ジルコニア複合酸化物を得た(第5段階)。
【0049】
(実施例5)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液100mlとジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液125mlとを混合した後、酸化ランタン5gを加え溶解させた後に純水を加え合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO:La=40:50:10の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウムを32g、硫酸アンモニウム20gを添加した後(第2段階)、撹拌しながら95℃まで加熱し、セリウム-ジルコニウム複合硫酸塩を得た(第3段階)。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得(第4段階)、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た(第5段階)。
【0050】
(実施例6)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液100mlとジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液100mlとを混合した後、塩化アルミ六水和物7.9g(酸化物換算5g)、酸化イットリウム5gを加えて溶解させた後にさらに純水を加え合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO:Al:Y=40:40:10:10の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウムを32g、硫酸アンモニウムを20g添加した後(第2段階)、撹拌しながら95℃まで加熱し、セリウム-ジルコニウム系複合硫酸塩スラリーを得た(第3段階)。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得(第4段階)、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た(第5段階)。
【0051】
(実施例7)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液100mlとジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液100mlとを混合した後、酸化ランタン5g、酸化ネオジム5gを加え溶解させた後にさらに純水を加えて合計酸化物換算濃度100g/l、CeO:ZrO:La:Nd=60:30:5:5の溶液1l(リットル)を得た(第1段階)。得られた混合溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウムを96g、硫酸アンモニウムを30g添加した後(第2段階)、撹拌しながら95℃まで加熱し、セリウム−ジルコニウム系複合硫酸塩を得た(第3段階)。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得(第4段階)、さらに仮焼してZr、La、Ndを含むセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た(第5段階)。
【0052】
(比較例1)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの硝酸セリウム溶液とジルコニア換算濃度200g/lの硝酸ジルコニウム溶液と純水を混合し、合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO=50:50の溶液1l(リットル)を得た。得られた混合溶液にアンモニア水を加えて中和し水酸化物を含むスラリーを得た。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た。
【0053】
(比較例2)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液100mlとジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液125mlとを混合した後、酸化ランタン5gを加え溶解させた後にさらに純水を加え合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO:La=40:50:10の溶液1l(リットル)を得た。得られた混合溶液を撹拌しながら95℃まで加熱したが沈殿は得られなかった。この溶液を60℃まで冷却後、アンモニア水を加えて中和し水酸化物を含むスラリーを得た。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た。
【0054】
(比較例3)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液100mlとジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液125mlとを混合した後、酸化ランタン5gを加え溶解させた後にさらに純水を加え合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO:La=40:50:10の溶液1l(リットル)を得た。得られた混合溶液に硫酸アンモニウムを60g添加した後、撹拌しながら95℃まで加熱し、塩基性硫酸ジルコニウムと推測される沈殿を含むスラリーを得た。このスラリーを60℃まで冷却後、アンモニア水を加えて中和し水酸化物を含むスラリーを得た。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た。
【0055】
(比較例4)
二酸化セリウム換算濃度200g/lの塩化セリウム溶液とジルコニア換算濃度200g/lのオキシ塩化ジルコニウム溶液と純水を混合し、合計酸化物換算濃度50g/l、CeO:ZrO=40:60の溶液1l(リットル)を得た。得られた混合溶液に31%過酸化水素水を30g添加した後、撹拌しながら95℃まで加熱した。得られた溶液を60℃まで冷却後、アンモニア水を加えて中和し水酸化物を含むスラリーを得た。以下、実施例1と同様に処理して複合水酸化物粉末を得、さらに仮焼してセリア−ジルコニア系複合酸化物を得た。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
(ウォッシュコート塗布試験)
実施例1で得られたセリア−ジルコニア複合酸化物と比較例1で得られたセリア−ジルコニア複合酸化物をアルミナと共に300cpsiのセラミックハニカム担体にウォッシュコートした。1200℃で5%H/Ar雰囲気と空気雰囲気(20%O雰囲気)を交互に1時間づつ計50時間の加速劣化試験を行い室温まで冷却した後、元圧力0.6MPaの圧縮空気を吹き付ける脱離試験を行ったところ実施例1のものは脱離が認められなかったが、比較例1のものは多数の脱離片が観察された。
【0060】
上記実施例及び比較例から明らかなように、本発明によるセリア−ジルコニア系複合酸化物は、1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が200nm以下であり、また、1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が1000℃で12時間焼成後の一次粒子径の3倍以下であり、特にエンジン近傍2設置される自動車の排ガス浄化用触媒における助触媒として使用されたときウォッシュコート層の破壊、脱落を防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】温度で仮焼後の仮焼温度と一次粒子径との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が200nm以下であることを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物。
【請求項2】
1200℃で12時間焼成後の一次粒子径が1000℃で12時間焼成後の一次粒子径の3倍以下であることを特徴とする請求項1記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物。
【請求項3】
セリア−ジルコニア系複合酸化物は、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム及び原子番号57〜71までの希土類元素(プロメチウムを除く)から選択され、安定な酸化物を形成するときの酸化数が3となる1種又は2種以上の元素を第三成分として含有することを特徴とする請求項1又は2記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物。
【請求項4】
塩化セリウム及びオキシ塩化ジルコニウムを原料としてセリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含有する酸性溶液を準備する第1段階と、前記酸性溶液にペルオキソ二硫酸塩を添加してセリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階と、前記第2段階で得られたセリウム(IV)イオンと未反応のペルオキソ二硫酸塩を含む溶液を加熱してセリウム(IV)イオン及びジルコニウムイオンを硫酸塩として沈殿させスラリー溶液を得る第3段階と、前記第3段階で得られたスラリー溶液に塩基を添加してセリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを得る第4段階と、前記セリウム−ジルコニウム系水酸化物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥及び焼成する第5段階とを行うことを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法。
【請求項5】
セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階において、ペルオキソ二硫酸塩とともに硫酸塩を添加することを特徴とする請求項4記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法。
【請求項6】
セリウム(III)イオンをセリウム(IV)イオンに酸化する第2段階において、ペルオキソ二硫酸塩の全部又は一部を過酸化水素に代替するとともに、前記第2段階又は第3段階においてセリウム(IV)イオン及びジルコニウムイオンの全てを硫酸塩として沈殿させるに必要な硫酸塩を添加することを特徴とする請求項4記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法。
【請求項7】
セリウム(III)イオン及びジルコニウムイオンを含む酸性溶液には、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム及び原子番号57〜71までの希土類元素(プロメチウムを除く)から選択され、安定な酸化物を形成するときの酸化数が3となる1種又は2種以上の元素を第三成分として含有させることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−150264(P2008−150264A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342089(P2006−342089)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(391021765)日本電工株式会社 (21)
【Fターム(参考)】