説明

セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する表面形成体を処理する方法

セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する表面形成体を、(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物と(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物との組合せ物で処理する方法。化合物(2)は、一般式−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24で示されるβ−ケトカルボニル基または式−Y−C(O)−CR4=C(CH24)−OHで示される互変異体のエノール形を有し、上記式中、Yは、−O−または−NR2−、有利に−O−であり、R2は、水素原子または1〜30個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味し、R4は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味する。処理は、化合物(1)と(2)を、個別的に順次に次の工程でかまたは(1)と(2)とのプレミックスとして一緒に、紙製品が製造される水性のセルロース含有繊維粥状物に計量供給することによって行なうことができるか、または化合物(1)および(2)を、個別的に順次に噴霧工程でかまたは(1)と(2)とのプレミックスとして一緒に、紙製品上に噴霧することによって行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する表面形成体を処理する方法である。
【0002】
米国特許第2004/0118540号明細書A1には、最初に少なくとも1.5ミリ当量/gのNH2濃度を有する高分子量アミン成分を水性セルロース繊維混合物中に供給することにより、製紙するための方法が記載されている。それとは別に、その後にアミノ基と反応することができ、かつポリアニオン性化合物であるかまたはアルデヒド官能性ポリマーである第2の成分が添加される。
【0003】
高められた強度を有する紙製品は、米国特許第6824650号明細書B2中に特許保護が請求されている。この製品は、ポリビニルアミンとアルデヒド官能性ポリマーおよび高分子電解質から選択された錯化剤との組合せ物を含有する。ポリビニルアミンと錯化剤との反応によって、紙製品は強化される。
【0004】
少なくとも一部分が化学的に変性されたセルロースを含有し、その際に他の化学薬品は、化学結合を生じるような対象は、米国特許第6916402号明細書B2中に特許保護が請求されている。セルロースの化学変性は、アルデヒド基、エポキシ基または無水物基を含有する化合物を用いて実施されることができ、一方、他の化学薬品は、アミン基、チオール基、アミド基、スルホンアミド基またはスルフィン酸基を含有するか、或いは、反対に、セルロースの化学変性は、アミン基、チオール基、アミド基、スルホンアミド基またはスルフィン酸基を含有する化合物を用いて実施されることができ、一方、他の化学薬品は、アルデヒド基、エポキシ基または無水物基を含有してもよい。
【0005】
セルロース含有製品の湿分強度、殊にティッシュペーパーの湿分強度を上昇させる方法を提供するという課題が課されたが、その際、この製品は、柔らかな手触りを有するはずである。この課題は、本発明によって解決される。
【0006】
本発明の対象は、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する表面形成体を、
(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物と
(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物との組合せ物で処理する方法である。
【0007】
本発明による方法で使用される化合物(1)は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーの性質を有することができる。化合物(1)は、特に少なくとも5個の第1アミン基(−NH2)、有利に少なくとも20個の第1アミン基(−NH2)、特に有利に少なくとも100個の第1アミン基(−NH2)を含有する。化合物(1)中のアミン基の密度は、特に少なくとも1.0ミリ当量/g、有利に少なくとも3.0ミリ当量/gである(ミリ当量/g=物質1g当たりのミリ当量=物質1kg当たりの当量)。
【0008】
化合物(1)としては、有利にポリアミンが使用される。化合物(1)の例は、線状または分枝鎖状の形のエチレンイミンのポリマー、ならびにポリビニルアミンである。この後者のポリビニルアミンは、N−ビニルホルムアミドの重合、および引続く部分加水分解または全体の加水分解によって取得され、商業的に多くの場合には水性希釈液の形で得ることができる。
【0009】
本発明による方法で使用される化合物(2)は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーの性質、有利にポリマーの性質を有することができる。化合物(2)は、特に少なくとも2個のβ−ケトカルボニル基、有利に少なくとも3個のβ−ケトカルボニル基を含有する。
【0010】
化合物(2)中のβ−ケトカルボニル基は、特に式
−Y'−C(O)−CHR4−C(O)−CH24
で示される構造または式
−Y'−C(O)−CR4=C(CH24)−OH
で示される前記構造の互変異性体のエノール形を有し、上記式中、
Y'は、−O−、−NR2−または
【化1】

、有利に−O−であり、
2は、水素原子または1〜30個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味し、
4は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味する。
【0011】
本発明による方法の場合、化合物(2)としては、一般式
L(−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24e (I)
で示されるβ−ケトカルボニル官能性モノマー化合物(2a)またはこの化合物の互変異性体のエノール形を使用することができ、この場合
eは、1〜20、特に2〜20、有利に2〜8の整数であり、
Lは、式(I)中の指数eに相応する原子価または官能価を有するモノマーの有機基を表わし、即ち1〜20個の官能性のモノマーの有機基、特に1〜8個の官能性のモノマーの基を表わし、
Yは、−O−または−NR2−、有利に−O−であり、
2は、水素原子または1〜30個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味し、
4は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味する。
【0012】
β−ケトカルボニル官能性モノマー化合物(2a)は、公知方法により、特に一般式
L(−YH)e (II)
〔式中、L、Yおよびeは、上記の意味を有する〕で示される化合物をジケテン、ジケテン−アセトン付加物、ならびに熱的に不安定なアセトアセテートと反応させることによって製造されることができる。
【0013】
特に、基Lは、1個またはそれ以上の互いに別の酸素原子または窒素原子を含有することができる、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0014】
β−ケトカルボニル官能性モノマー化合物(2a)を基礎とする、式(II)の化合物L(−YH)eの例は、
CH3OH、
25OH、
49OH、
35OH、
(C252NH、
49NH2
65NHCH3
HOC24NH2
HOC24NHCH3
HOC24OH、
HOC36OH、
CH3C(CH2OH)3
C(CH2OH)4
HN(C24OH)2
N(C24OH)3
N(C36OH)3
2NC24NH2
2N(C24NH)3H、
(HOCH23CCH2OCH2C(CH2OH)3である。
【0015】
ポリマーの形の化合物(2)は、
オルガノシロキサンポリマー、
ポリエステル、
ポリエーテル、
ポリアセタール、
ポリエーテルアセタール、
ポリエステルポリオール、
ポリアミドの群から選択されている。
【0016】
化合物(2)は、前記種の1つだけに相当していてもよいし、前記群からの2つまたはそれ以上の種の組合せに相当していてもよい。この化合物は、別々の化合物で存在することができ、および/またはシリコンポリエーテルの場合のようにポリマー形で組み合わされていてよい。
【0017】
本発明による方法の場合、化合物(2)としては、一般式
K(−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24f (III)
で示されるβ−ケトカルボニル官能性のオリゴマーまたはポリマーの化合物(2a)またはこの化合物の互変異性体のエノール形を使用することができ、上記式中、
fは、1〜10000、特に2〜2000、有利に2〜200の整数であり、
Kは、式(III)中の指数fに相応する原子価または官能価を有するオリゴマーまたはポリマーの有機基またはシリコン有機基、即ち1〜10000個の官能性のオリゴマーまたはポリマーの有機基またはシリコン有機基を表わし、および
YおよびR4は、上記の意味を有する。
【0018】
従って、基Kの例は、
オルガノポリシロキサン、
ポリエステル、
ポリエーテル、
ポリアセタール、
ポリエーテルアセタール、
ポリエステルポリオール、ポリアミド、および
これらの混合物およびコポリマーの群から選択されたポリマー基である。
【0019】
β−ケトカルボニル官能性ポリマー化合物(2b)は、公知方法により、β−ケトカルボニル官能性モノマー化合物(2a)の製造と同様に、特に一般式
K(−YH)f (IV)
〔式中、K、Yおよびfは、上記の意味を有する〕で示される化合物をジケテン、ジケテン−アセトン付加物、ならびに熱的に不安定なアセトアセテートと反応させることによって製造されることができる。
【0020】
β−ケトカルボニル官能性ポリマー化合物(2b)を基礎とする、式(IV)の化合物K(−YH)fの例は、
MeO(C24O)pH、但し、p=2〜20000、
HO(C24O)pH、
HO(C36O)qH、但し、q=2〜200、
HO(C48O)qH、
ジカルボン酸とジオールとからなるHO官能性ポリエステル、
ジカルボン酸エステルとジオールとからなるHO官能性ポリエステル、
ジオールとカプロラクトンとからなるHO官能性ポリエステル、
ポリエステルポリオール、
ポリビニルアセテートの部分水解物または完全水解物、
ポリビニルホルムアミドの部分水解物または完全水解物、
α,ω−ジヒドロオルガノポリシロキサンとアリルポリエーテルとからなるシリコンポリエーテル、
MeHSiO単位を有するシロキサンとアリルポリエーテルとからなるシリコンポリエーテル、
ジカルボン酸とジエチレントリアミンとからなるポリアミノアミド、
ジカルボン酸メチルエステルとトリエチレンテトラミンとからなるポリアミノアミド、
HNCH(Me)SiO基を含有するアミノシリコン、
2NC24NHC36(Me)SiO基を含有するアミノシリコン、
ポリジメチルシロキサンジオールと第2α−アミノシランとからなる縮合生成物、例えばシクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシランであり、この場合Meは、メチル基を表わす。
【0021】
β−ケトカルボニル官能性ポリマー化合物(2b)は、有利に全部または少なくとも割り当て分がオルガノポリシロキサンであるかまたはオルガノポリシロキサン含有コポリマー、例えばシリコンポリエーテルである。オルガノポリシロキサンまたはそのコポリマーは、有利に線状または分枝鎖状の構造を有する。このポリマーの化合物(2b)は、少なくとも2個のカルビノール官能基(≡C−OH)および/または第1SiC結合アミン基または第2SiC結合アミンを含有するオルガノポリシロキサンまたはそのコポリマーを、一般式(II)の化合物と同じ物質、即ちジケテン、ジケテン−アセトン付加物ならびに熱的に不安定なアセトアセテートと反応させることによって製造される。
【0022】
セルロース含有製品の湿分強度の上昇は、製造に応じて有利に"湿潤末端"部で生じるので、本発明による方法で使用されるオルガノシロキサンポリマーが水中で可溶性であるかまたは少なくとも分散可能であることは、有利である。そのために、よりいっそう高い極性の割合を有するオルガノシロキサンポリマーが必要とされる。
【0023】
そのために、本発明による方法の場合には、化合物(2)として、一般式
【化2】

で示される少なくとも1個のSi結合した基またはその互変異性体のエノール形を含有するβ−ケトカルボニル官能性有機ケイ素化合物(2c)が使用され、上記式中、
−(Si≡)は、ケイ素原子に対する結合を表わし、
1は、場合によっては互いに別々の窒素原子を含有することができる、1〜6個の炭素原子を有する2価の有機基、特に場合によっては互いに別々の窒素原子を1個またはそれ以上含有することができる、1〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、
3は、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に2〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、
Y、R2およびR4は、上記の意味を有し、
Zは、炭素原子により結合されている、少なくとも10%の質量的なヘテロ原子含量を有する、モノマー、オリゴマーまたはポリマーの構造を有する2価ないし6価の有機基を表わし、
1は、一般式
【化3】

で示される一官能価末端基またはSi−C−結合した基であり、
aは、1〜5の整数、特に1または2であり、
xは、0または1〜5の整数、特に0または1、有利に1である。
【0024】
β−ケトカルボニル官能性有機ケイ素化合物(2c)は、第1の工程で、一般式
HNR2−(R3−NH−)a1−(Si≡) (VI)
で示される少なくとも1個のSi−C結合したアミノ基Aを含有するアミノケイ素化合物(i)を、一般式
(E2xZ−Y−C(O)−CR4=C(CH24)−OH (VIIa)または
(E2xZ−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24 (VIIb)
で示される、少なくとも1個のβ−ケトカルボニル官能性基を含有する化合物(ii)と反応させることにより製造され、この場合には、一般式
(E2xZ−Y−C(O)−CR4=C(CH24)−NR−(R3−NH−)a1−(Si≡) (V)
で示される有機ケイ素化合物(2c’)が得られ、上記式中、
1、R2、R3、R4、Y、Z、aおよびxは、上記の意味を有し、
2は、一官能価末端基または一般式−Y−C(O)−CR4=C(CH24)−OHまたは−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24で示される基であり、
第2の工程において、第1の工程で得られた有機ケイ素化合物(2c’)を一般式
【化4】

で示されるジケテン(iii)と反応させ、上記式中、
4は、上記の意味を有する。
【0025】
本発明による方法の場合には、アミノケイ素化合物(i)は、第1の段階で互変異性体の形(VIIa)または(VIIb)のアセトアセチル化合物(ii)と反応され、次の第2の段階でジケテン(iii)と反応される。この反応順序は、好ましくは一槽法で実施されることができる。特に好ましい処理形式は、基礎となる基礎化合物(iv)からの化合物(ii)をジケテン(iii)と反応させることによってこの化合物(ii)、を予め製造することであり、それによれば、反応の終結時にアミノケイ素化合物(i)を供給し、その後にさらにジケテン(iii)を供給することによって、このジケテンの変換後に本発明によるオルガノ珪素化合物(2c)が特に経済的な方法で得られる。
【0026】
式(VI)のSiC結合したアミノ基Aの好ましい例は、
2N−C24−NH−CH2−、
2N−C36−NH−CH2−、
2N−C36−NH−C36−NH−CH2−、
2N−C24−NH−C36−、
2N−C36−NH−C36−、
2N−C24−NH−C24−NH−C36−、
2N−C36−NH−C36−、
NH−C36−H2N−C24−NH−C48−であり、
2は、好ましくは水素原子である。
【0027】
3は、特に好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0028】
4は、好ましくは水素原子である。
【0029】
Zは、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも25%の質量によるヘテロ原子含量を有する。
【0030】
アミノケイ素化合物(i)は、特に式(VI)の少なくとも1個のSi−C結合した基Aを有するオルガノポリシロキサンである。
【0031】
アミノケイ素化合物(i)として好ましいのは、一般式
g3-gSiO(SiR2O)i(SiRAO)kSiR3-gg (IXa)
(R'O)R2SiO(SiR2O)i(SiRAO)kSiR2(OR') (IXb)
で示されるオルガノポリシロキサンであり、上記式中、Aは、上記の意味を有し、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表わし、
R’は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味し、
gは、0または1であり、
kは、0であるかまたは1〜30の整数であり、
lは、0であるかまたは1〜1000の整数であり、但し、この場合基Aの少なくとも1個は、それぞれの分子ごとに含有されている。
【0032】
好ましくは、アミノケイ素化合物(i)は、0.01〜約10ミリ当量/g、特に約0.05〜5ミリ当量/gの範囲内のアミン基濃度を含む。好ましい粘度は、25℃で約100〜50000mPa.sの範囲内であり、この場合には、25℃で500〜1000mPa.sの範囲が特に好ましい。
【0033】
好ましくは、アミノケイ素化合物(i)は、保護基試薬、例えばアルデヒドまたはケトンを用いてのアミノ基の早期の変換なしに使用される。
【0034】
好ましくは、アミノケイ素化合物(i)は、"ジアミノ"モノマー、例えばアミノメチルアミノプロピルシランまたはアミノエチルアミノイソブチルシランから製造され、この場合Si−C結合したアミノ基Aは、同一のSi原子に結合した、第1アミン基ならびに第2アミンを含有する。好ましくは、基A中で第1アミン基は、化合物(ii)と反応し、この場合第2アミン基は、塩基中心としてそのまま保持されている。
【0035】
化合物(ii)は、アミノケイ素化合物(i)のための反応成分として式(VIIa)および(VIIb)の2個の互変異性体の形で使用されてよい。
【0036】
化合物(ii)は、特に、遊離原子価が水素で飽和されている式(E2xZ−Y (X)〔式中、E2、Z、Yおよびxは、上記の意味を有する〕で示される基礎となる基礎化合物(iv)を、ジケテン、アセチルケテン、アルキルジケテン、ジケテン−アセト付加物またはアセトアセテート、有利にジケテンまたはそのアセトン付加物と、刊行物中で公知の方法により反応させることにより、得られる。
【0037】
基"Z"は、二官能価ないし六官能価のために2〜6個の他の基EまたはYと結合している有機基として定義される。"E"と"Y"との総和は、数値の点で前記の二官能価ないし六官能価に相当する。最も簡単な場合には、有利でもあるが、"Z"は、二官能価、即ち二価である。この場合、"Z"は、2個のY基または1個のY基に対して一官能価の末端基が結合している。一官能価の末端基は、1〜18個の炭素原子を有する飽和または不飽和の炭化水素基であってもよいし、アシル基、例えばアセテート基、ブチレート基、パルミテート基またはステアレート基、ならびにアクリレート基、メタクリレート基またはベンゾエート基であってもよい。
【0038】
基"Z"は、少なくとも10質量%のヘテロ原子含量を有する。ヘテロ原子は、O原子、N原子、B原子、P原子およびS原子の群から選択され;好ましいのは、O原子およびNげんしであり、特に好ましいのは、O原子である。基"Z"は、よりいっそう高い極性、ひいてはよりいっそう高い親水性度を本発明による有機ケイ素化合物(1)中に導入するという課題を有し、そのためにヘテロ原子のよりいっそう高い含量が好ましい。特に有利には、基"Z"は、ポリエーテルまたはポリエステルである。ポリエーテルの例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシド(ポリTHFとも呼ぶ)ならびに一般式(Ca2aO)na2a〔式中、aは、2、3または4であり、nは、1〜500、有利に1〜100、特に有利に5〜60の整数である〕で示されるコポリマーである。
【0039】
三官能価ないし六官能価の基"Z"は、通常、同じ官能価のアルコールならびにアミンから開始される。即ち、トリメチロールプロパンまたはアンモニアは、酸化エチレンと一緒になって、一般式
25C[CH2(OC24m/33またはN[C24(OC24(m-1)/33
で示される"Z"を有する基礎化合物(iv)を供給し、
この場合mは、酸化エチレン1モルに対する全体数を意味し、有利には、5〜100であり、前記基礎化合物の遊離原子価は、酸素原子(Y)と結合しており、この酸素原子は、その側で水素で飽和されている。よりいっそう高い官能価を有する基礎化合物(iv)の製造のために、通常、次のように相応してよりいっそう高度に官能化されたカルビノール化合物またはアミノ化合物が使用される:ペンタエリトリットまたはエチレンジアミンからの四官能価、ソルビットまたはトリス−(アミノエチル)アミンからの六官能価。
【0040】
相応するポリエステルは、同一かまたは類似した開始剤化合物から環状エステル(ラクトン)の開環重合によって一般に公知の方法により製造されることができる。好ましい基礎化合物(iv)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびそれらのコポリマー、ならびにそれらのモノアルキルエーテルである。この後者のモノアルキルエーテルは、"Y"が酸素でありかつ"E"がアルキル基(メチル、アルキル、ブチル)である1つの特殊な場合である。化合物(ii)への変換に関連して、前記の基礎化合物(iv)は、一官能価である。アミノケイ素化合物(i)と比較して、この化合物から製造された化合物(ii)は、同様に一官能価であり、したがって極性ポリマーでのアミノ基の飽和のために使用される。
【0041】
これとは異なり、ポリアルキレングリコールから二官能価の反応成分(ii)が得られ、この反応成分は、同様に二官能価のアミノケイ素化合物(i)、即ち1分子当たり2個のアミノ基Aを含有する二官能価のアミノケイ素化合物(i)と比較して鎖長延長作用を有する。こうして、アミノケイ素化合物(i)が1分子当たり少なくとも3個のアミノ基Aを含有する限り、分枝鎖状の生成物(2c)を得ることもできる。この生成物は、交互のシロキサン−ポリエーテル構造を生じる。
【0042】
アミノケイ素化合物(i)のアミノ基A中での第1アミノ基を有する化合物(ii)の意外に高い選択性は、エナミンへのH2N基の実際に完全な変換を許容し、そのために(2c)を製造するための方法の第1の工程で有利に化合物(i)のアミノ基A中の第1NH2基と化合物(ii)中のアセトアセチル基との化学量論的比は、ほぼ1.0で使用される。特に好ましくは、この比は、0.8〜1.0である。しかし、1.0を超えてもよい。この場合には、必ずしも全部の第1アミン基が反応されないが、しかし、この第1アミン基は、さらに付加的にジケテン(iii)との反応に使用される。この方法は、実際に技術的に可能であるが、しかし、好ましくはない。
【0043】
(2c)を製造するための方法の場合、ジケテン(iii)としては、そのアセトン付加物が使用されてもよい。好ましくは、ジケテン(iii)としては、
【化5】

またはそのアセトン付加物が使用される。
【0044】
(2c)を製造するための方法において、引続くジケテン(iii)との反応の場合には、化合物(i)のアミノ基A中の第2−NH−基とジケテン(iii)との化学量論的比は、5:1〜0.5:1、有利に2:1〜0.8:1である。特に好ましいのは、約1:1の比である。
【0045】
(2c)を製造するための方法は、有機溶剤の存在下で行なうことができるか、または本発明による生成物(2c)は、有機溶剤で希釈されることができる。
【0046】
(2c)を製造するための方法の第1の工程での化合物(ii)とアミノケイ素化合物(i)との反応は、自発的に、外部からの加熱なしでも進行するが、しかし、熱の供給は、加速的に(2c)の合成に作用を及ぼす。
【0047】
(2c)を製造するための方法は、特に10〜100℃、有利に40〜80℃の温度で実施される。更に、本方法は、特に周囲雰囲気の圧力で実施されるが、しかしよりいっそう高いおよびよりいっそう低い圧力で実施されることもできる。
【0048】
セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理は、2つの異なる変法で行なうことができる。
【0049】
1つの変法において、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理は、特に最初に(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物で行なわれ、次に引続き(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物で行なわれる。
【0050】
化合物(2)は、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体への化合物(1)の作用後に初めて適用される。
【0051】
第2の変法において、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理は、特に(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物と(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物との混合物で行なわれ、この場合には、処理前に(1)と(2)との混合物が製造される。即ち、最初に(1)と(2)とのプレミックスが製造され、次にこのプレミックスは、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体上に適用される。
【0052】
本発明による方法の場合、化合物(1)および(2)は、化合物(1)がそれぞれ化合物(2)中のβ−ケトカルボニル基1モルに対してアミン基特に0.1〜1000モル、有利に0.5〜500モル、特に有利に1.1〜500モルの量で使用されるような量で使用される。
【0053】
本発明により処理されるセルロース含有繊維の例は、全てのセルロース含有繊維および紙製品を製造することができる全ての水性セルロース含有繊維粥状物、例えば漂白された繊維、リサイクルされた繊維、化学的溶解法、例えば硫酸塩法または亜硫酸塩法により製造される繊維、植物性原料物質(繊維植物)から製造されかつ十分なセルロース含量を有する繊維、および主に木材を機械的に繊維状にほぐすことによって製造される木材パルプである。セルロース繊維含有材料は、それぞれ任意の形状、例えば小片、切り屑または鋸引き粉の形での木材、ガラス繊維、麦わら、竹、トウモロコシ繊維および麻のような材料である。
【0054】
セルロース含有繊維を含有する平面形成体の例は、セルロース含有繊維から製造される全ての紙製品、例えばティッシュペーパー、トイレットペーパー、ハンカチ、クッキングペーパー、紙ナプキン、化粧用ペーパー(Kosmetiktuecher)である。
【0055】
本発明により処理すべき紙は、低質紙種、例えば吸収紙、例えばクラフト原紙、すなわち化学物質および/または高分子天然物質で前処理されていない60〜150g/mの質量を有するクラフト紙、未サイズ紙、低い叩解度を有する紙、木材パルプ紙、光沢仕上げされていないかまたはカレンダー仕上げされていない紙、その製造に際して乾燥平滑ローラー(Trockenglaettzylinder)を使用することによって手間の掛かるさらに他の措置を施すことなく片面が平滑でありかつそれゆえ"片艶紙"と呼ばれる紙、未コーティング紙または紙くずから製造された紙、即ち、所謂くず紙であってよい。本発明により処理されるべき紙は、しかしながら当然、高質紙種、例えば低吸収紙、サイズ紙、高い叩解度を有する紙、木材不含の紙、カレンダ仕上紙または光沢紙、ペルガミン紙、羊皮紙またはプレコート紙であってもよい。板紙も高級または低級であってよい。
【0056】
特に、化合物(1)および(2)は、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理の際に水溶液または水性分散液の形で使用される。水溶液または水性分散液に、化合物(1)は、特に0.1〜20質量%、有利に0.2〜10質量%の量で含有されている。
【0057】
水溶液または水性分散液に、化合物(2)は、特に0.1〜50質量%、有利に0.5〜20質量%の量で含有されている。
【0058】
セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理は、例えば米国特許第6824650号明細書B2、第12欄、第1行〜第13欄、第15行に記載されているように、公知技術水準で公知の方法、殊に紙製品の製造および仕上げ加工の際に公知の方法で行なうことができる。
【0059】
本発明により処理されるような紙製品の製造は、米国特許第6824650号明細書B2、第15欄、第20行〜第19欄、第11行に記載されている。
【0060】
若干の処理方法は、例示的に次のことが挙げられる:
処理は、化合物(1)および(2)を、個別的に順次に次の工程でかまたは(1)と(2)とのプレミックスとして一緒にして、セルロース含有繊維を含有する平面形成体、例えば紙製品が製造される水性のセルロース含有繊維粥状物に計量供給することによって行なうことができるか、または濃縮混入工程(Einkonzentrationsprozess)または乾燥工程中に行なうことができる。
【0061】
処理は、化合物(1)および(2)を、個別的に順次に次の噴霧工程でかまたは(1)と(2)とのプレミックスとして一緒にして、セルロース含有繊維を含有する平面形成体、例えば紙製品上に噴霧することによって行なうことができるこの場合、この平面形成体は、湿っていてもよいし、乾燥していてもよい。
【0062】
処理は、平面形成体、例えば紙製品の表面を化合物(1)および(2)で、個別的に順次に次の工程でかまたは(1)と(2)とのプレミックスとして一緒にして、行なうことができる
処理は、湿ったかまたは乾燥した平面形成体を化合物(1)および(2)で、個別的に順次に次の工程でかまたは(1)と(2)とのプレミックスとして一緒にして、含浸することによって行なうこともでき、この場合には、それによって平面形成体は、全体的または部分的に浸透されている。
【0063】
更に、本発明の対象は、セルロース含有繊維を含有する平面形成体を含む紙製品であり、この場合この平面形成体は、さらに(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物および(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物の組合せ物を含有する。この場合、化合物(1)および(2)は、特に平面形成体の製造に使用されるセルロース含有繊維粥状物に添加される。
【0064】
化合物(1)および(2)は、特にそれぞれ乾燥したセルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する乾燥した平面形成体の全質量に対して0.1〜50質量%、有利に0.2〜20質量%の量で使用される。
【0065】
化合物(1)および(2)に加えて、なお、通常、セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理の際に共用される他の物質を共用することができる。他の物質の例は、消泡剤、乾燥固定剤、例えば(変性された)澱粉、カルボキシメチルセルロースまたは(変性された)ポリアクリルアミド、可塑剤、脱水助剤または保留助剤である。
【0066】
本発明による処理は、特に5〜60℃、有利に15〜35℃の温度で実施される。本発明による処理は、特に周囲大気の圧力で、即ち約1020hPaで実施されるが、しかし、よりいっそう高い圧力でもよりいっそう低い圧力でも実施されてよい。
【実施例】
【0067】
化合物(1):
全ての試験は、(1)と種々の化合物(2)との組合せ物に関する。化合物(1)として、専ら、Lupamin 9095 (BASF)、加水分解度約95%および20%の水溶液の約3.8ミリ当量/gのアミン基濃度を有する高分子量ポリビニルホルムアミド(市販製品)を使用した。
【0068】
化合物(2)のための製造例:
実施例1:
N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン73.1gを50℃に加熱する。その後に、ジケテン92gを冷却下に、反応混合物の温度が50〜70℃に維持されるように供給する。さらに1時間、後反応させ、過剰のジケテンを真空中で100℃で除去する。6.3ミリ当量/gのアセトアセテート含量を有する淡いオレンジ色に呈色した生成物が得られる。
【0069】
実施例2:
ジメチルシロキシ単位およびアミノエチルアミノプロピルメチルシロキシ単位を含有しかつ塩基性窒素2.24質量%の濃度を有する、トリメチルシリル末端基を有するアミノシロキサン250.5gを、平均的式CH3O(C24O)19.4(C36O)17.1C(=O)−CH2C(=O)−CH3で示されるポリエーテルアセチルアセテート411.4gと混合し、70℃に加熱する。明らかに、この反応混合物は、著しく粘度が増加し、それに対してイソプロパノール70gを供給する。70℃で徐々にジケテン16.8gを滴加し、さらに1時間後、全部でさらにイソプロパノール156gを滴加した。高粘稠な生成物は、75%の固体含量および0.22ミリ当量/gのアセトアセトアミド含量を有する。
【0070】
実施例3:
実施例2で得られた75%の溶液400gをイソホロンジアミン0.75gと25℃で均一に混合し、徐々に40℃に加熱する。著しい粘度上昇下に、2時間で0.20ミリ当量/gのアセトアセトアミド含量を有する澄明で高粘稠なポリマー溶液が得られる。
【0071】
実施例4:
実施例2で得られた75%の溶液13.3gをPEG 1000のジアセトアセテート10.0gと均一に混合し、イソプロパノールで200gになるまで希釈する。この澄明な溶液は、1g当たりβ−ケトカルボニル基0.105ミリ当量/gを含有する。
【0072】
実施例5:
式CH2=CH−CH2O(C24O)10Hで示されるアリルポリエーテル2部および式HO(HSiMeO)14.3(SiMe2O)60Hで示されるヒドロゲンシロキサン(Hydrogensiloxan)1部から製造されたシリコンポリエーテル200g中にトリエチルアミン0.1gおよびその後にジケテン20.6gを徐々に供給する。発熱反応後、このバッチ量をなお1時間70℃に維持する。希釈されていない約20000mm2/秒の粘度を有する薄い褐色の生成物が得られる。アセトアセテートの濃度は、1.10ミリ当量/gである。
【0073】
実施例6:
実施例5で得られた高分子量アセトアセテート50gをTHF中のp−トルエンスルホン酸の10%の溶液0.2gの滴加後に100℃で後縮合し、それによってゲル状の高分子化合物が得られ、この高分子化合物は、同量のイソプロパノール中で澄明で可溶性である。
【0074】
50%の溶液は、0.55ミリ当量/gの高さでアセトアセテート基を含有する。
【0075】
実施例7:
高分子量のポリビニルアミン(1g当たりNH2約19ミリ当量)の市販の水溶液(Lupamin 9095, BASF)を同量の水と希釈することによって、10%の水溶液を得る。この希釈液200gにPEG 2000のジアセトアセテートの10%の水溶液6.0gを添加し、均一に混合する。3日後に、検出可能なアセトアセテートをもはや含有しない澄明な水溶液が得られる。この混合物は、化合物(1)および(2)からなる、直ちに使用可能な1K調製物である。アミノ基とアセトアセテート基とのモル比は、約700:1である。
【0076】
実施例8:
化合物(1)と専ら一官能価の化合物(2)との組合せ物の10%の水溶液を製造するために、順次にLupamin 9095(BASF)24g、水67.2gおよびエチルアセトアセテート4.8gを混合する。澄明な無色の混合物が得られ、この混合物に24時間後に酢酸0.65gを添加する。アミノ基とアセトアセテート基とのモル比は、約2.5:1である。
【0077】
実施例9:乾燥強度および湿潤強度の試験:
ティッシュペーパーの乾燥強度および湿潤強度を試験する。
【0078】
製造方法とは無関係に、10%の水溶液としての化合物(2)の全ての実施例を使用する。これは、実施例7および8の1K調製物についても言えることである。
【0079】
2Kを使用する場合、ポリアミン(1)を原則的に最初に、1%の水溶液として下記した噴霧法により塗布し、105℃で5分間乾燥する。化合物(1)の作用物質塗布量は、表中に記載されており、ティッシュペーパーの乾燥質量に対して0.5質量%または0.9質量%である。それによって、基体、ティッシュペーパー、は予め状態調節される。
【0080】
極めて低い抗張力を有する所定のティッシュペーパーを、1×b=15×35cmの寸法に裁断する。このティッシュペーパーを垂直方向に設置した張力装置(Einspannvorrichtung)中にしわがないように嵌め込み、Sata 2000 Dekor スプレーガンで上方から下向きに均一に(1枚のティッシュペーパーにつき3回)噴霧する。このスプレーガンの調整は、常に同じままであり、0.5mmの噴霧ノズルで2バールの圧縮空気である。生成物量およびタイプに応じて、この方法を、ティッシュペーパー上に活性の生成物4.8〜5.2質量%(=化合物(2))が存在するまで繰り返す。表中には、ティッシュペーパーの乾燥質量に対する質量%での化合物(2)の作用物質塗布量が記載されている。この生成物塗布量を被覆されていないティッシュペーパーならびに湿潤したティッシュペーパーの質量を計量することによって測定する。生成物塗布は、片側で行なわれる。引続き、被覆されたティッシュペーパーを105℃で5分間乾燥させる。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
柔らかな手触りを零試験片(Nullprobe)よりも柔らかい(+)または硬い(−または−−)により評価した。
【0084】
乾燥抗張力についての記載(DIN EN 29073第3部またはISO 9073−3参照):
試験すべきティッシュペーパーを、152mmの最小の長さおよび25mmの幅の少なくとも10本のストリップに運転方向で切断する。
【0085】
その中の5本の試験片を乾燥抗張力の測定のために使用し、5本を湿潤強度の測定のために使用する。前記試験片を引張装置ZWICK 1446中で、同様に運転方向で張設し、次のパラメーターを調節する:
引張速度=0.21mm/秒(12.7mm/分)、
試験片の長さ=152mm(6インチ)。
【0086】
前記装置を始動させることによって、F最大での力[Nまたはg/力]は、F最大での伸び[%]ならびに形成された面積(力−伸び曲線)TEAまたは作業ないし破壊[J]で一緒に記録される。
【0087】
質量を入力することによって、繊度強さのファクター(Feinheitsfestigkeitsfaktor)をcn/texで測定することもできる。この方法を少なくとも5回繰返し、その際に平均値およびそれぞれのパラメーターからの標準偏差を検出する。
【0088】
湿潤抗張力についての記載(DIN ISO 3781参照):
湿潤抗張力を測定する場合、ティッシュペーパーの中心部を水道水中少なくとも25mmないし最大50mmで短時間浸漬させることによって湿潤させる。この場合、端部は、張設のために乾燥されたままである。(DIN ISO 3781中の項目8.2も参照)評価および調整は、乾燥抗張力の方法と同じである。
【0089】
試験ストリップによって記録された仕事量(ジュール)を零試験片(TEA=2)およびポリアミン(1)だけを装備したストリップ(TEA=6または9)と比較した。比較試験1または2。付加的な化合物(2)による試験ストリップの湿潤強度の改善は、よりいっそう高いTEA値によって明らかになり、例外なく改善された柔らかな手触りの場合には、(1)だけを装備した試験ストリップと比較して明らかになる。むしろ、多くの場合には、零試験片(Nullprobe)と比較して柔らかな手触りの改善が達成される。
【0090】
全ての試験ストリップは、2秒未満の液滴陥入時間(Tropfeneinsinkzeit)で親水性であることが証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する表面形成体を、
(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物と
(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物との組合せ物で処理する方法。
【請求項2】
化合物(2)は、一般式
−Y'−C(O)−CHR4−C(O)−CH24
で示されるβ−ケトカルボニル基または式
−Y'−C(O)−CR4=C(CH24)−OH
で示される前記構造の互変異体のエノール形を有し、上記式中、
Y’は、−O−、−NR2−または
【化1】

、有利に−O−であり、
2は、水素原子または1〜30個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味し、
4は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物(1)としてポリアミンを使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
化合物(2)として一般式
L(−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24e (I)
で示されるβ−ケトカルボニル官能性モノマー化合物(2a)またはこの化合物の互変異体のエノール形を使用することができ、上記式中、
eは、1〜20、特に2〜20、有利に2〜8の整数であり、
Lは、式(I)中の指数eに相応する原子価または官能価を有するモノマーの有機基を表わし、即ち1〜20個の官能性のモノマーの有機基を表わし、
Yは、−O−または−NR2−、有利に−O−であり、
2は、水素原子または1〜30個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味し、
4は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する1価炭化水素基、特に水素原子を意味する、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
化合物(2)として一般式
K(−Y−C(O)−CHR4−C(O)−CH24f (III)
で示されるβ−ケトカルボニル官能性のオリゴマーまたはポリマーの化合物(2b)、またはこれらの化合物の互変異体のエノール形を使用することができ、上記式中、
fは、1〜10000、特に2〜2000、有利に2〜200の整数であり、
Kは、式(III)中の指数fに相応する原子価または官能価を有するオリゴマーまたはポリマーの有機基またはシリコン有機基、即ち1〜10000個の官能性のオリゴマーまたはポリマーの有機基またはシリコン有機基を表わし、
YおよびR4は、請求項4に記載された意味を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
β−ケトカルボニル官能性のオリゴマーまたはポリマーの化合物(2b)中の基Kとしては、オルガノポリシロキサン基またはオルガノポリシロキサン含有コポリマー基、例えばシリコンポリエーテル基である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
化合物(2)として、一般式
【化2】

で示される少なくとも1個のSi結合した基を含有するβ−ケトカルボニル官能性有機ケイ素化合物(2c)を使用し、上記式中、
−(Si≡)は、ケイ素原子に対する結合を表わし、
1は、場合によっては互いに別々の窒素原子を含有することができる、1〜6個の炭素原子を有する2価の有機基、特に場合によっては互いに別々の窒素原子を1個またはそれ以上含有することができる、1〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、
3は、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に2〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、
Y、R2およびR4は、請求項4に記載された意味を有し、
Zは、炭素原子により結合されている、少なくとも10%の質量的なヘテロ原子含量を有する、モノマー、オリゴマーまたはポリマーの構造を有する2価ないし6価の有機基を表わし、
1は、一般式
【化3】

で示される一官能価末端基またはSi−C−結合した基であり、
aは、1〜5の整数、特に1または2であり、
xは、0または1〜5の整数、特に0または1、有利に1である、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項8】
Zは、ポリエーテル基またはポリエステル基である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理は、最初に(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物で行なわれ、次に引続き(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物での処理が行なわれる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
セルロース含有繊維またはセルロース含有繊維を含有する平面形成体の処理は、
(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物と
(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物からなる混合物で行なわれ、この場合
処理前に(1)と(2)とからなる混合物が製造される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
化合物(1)を化合物(2)中のβ−ケトカルボニル基1モルに対してアミン基1.1〜500モルの量で使用する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
化合物(1)および(2)を水溶液または水性分散液の形で使用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
セルロース含有繊維として水性のセルロース含有繊維粥状物を使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
水性のセルロース含有繊維粥状物に化合物(1)および(2)を添加し、この場合化合物(1)および(2)は、(i)個別的に順次に次の工程で添加されるかまたは(ii)(1)と(2)とのプレミックスとして一緒にして添加される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
セルロース含有繊維を含有する平面形成体として紙製品、例えばティッシュペーパーを使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
化合物(1)および(2)を紙製品上に噴霧し、この場合化合物(1)および(2)は、(i)個別的に順次に次の噴霧工程で噴霧されるかまたは(ii)(1)と(2)とのプレミックスとして一緒にして噴霧される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
セルロース含有繊維を含有する平面形成体を含有する紙製品であって、この場合
この平面形成体は、さらに
(1)少なくとも2個の第1アミン基を有する化合物と
(2)少なくとも1個のβ−ケトカルボニル基を有する化合物との組合せ物を含有することを特徴とする、前記紙製品。
【請求項18】
化合物(1)および(2)が、平面形成体の製造に使用された水性のセルロース含有繊維粥状物に添加された、請求項17記載の紙製品。

【公表番号】特表2010−501741(P2010−501741A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526021(P2009−526021)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058141
【国際公開番号】WO2008/022905
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】