説明

センサおよびセンサの製造方法と、シークエンサー

【課題】感度を向上させたセンサを提供する。
【解決手段】センサは、シリコンからなる表面を有する基材と、前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる複数の繊維状突起物と、前記繊維状突起物上にそれぞれ形成された複数の機能性分子受容体もしくは反応基と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAセンサ等の各種センサおよびセンサの製造方法と、DNAなどの核酸配列を測定するシークエンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセンサとして、例えば図20に示すようなDNAセンサがある。このDNAセンサは、基板1と、この基板1上に固定された機能性分子、すなわちDNAプローブ2とからなる。このDNAプローブ2は、リガンド分子である相補的DNA3と二本鎖を形成するものであり、このDNAプローブ2に各種DNA3を含んでいる可能性のある、血液、唾液、河川水、等の被験体材料を暴露した後、二本鎖形成の有無を検知することで、これらの被験体材料中に検知対象のDNA3が存在しているかどうかを検出出来る。
【0003】
分析方法としては、例えば予め暴露する各種DNA3に蛍光物質4を標識しておき、それぞれを前述のDNAプローブ2と反応させた後、この反応領域の蛍光を測定することによって、DNAプローブ2と相補的DNA3との二本鎖形成領域を検出する方法がある。
このようなDNAセンサに類似する例は、下記の特許文献1、2に開示されている。
その他DNAなどの核酸配列(塩基配列)を測定するシークエンサーに関する例は、下記の特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平4‐505763号公報
【特許文献2】特開2007‐285927号公報
【特許文献3】特表2002‐525125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のセンサでは、センサの感度が低くなることがあった。その理由は、機能性分子の形成密度が低かったからである。すなわち、従来は所定領域に十分な量の機能性分子(DNAプローブ2)を固定するのが難しく、したがって機能性分子2とリガンド分子(DNA3)との結合により発する信号も少なかった。その結果、センサが感知する信号も少なくなり、センサの感度が低下していた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、感度を向上させたシークエンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセンサは、シリコンからなる表面を有する基材と、
前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる複数の繊維状突起物と、
前記繊維状突起物上にそれぞれ形成された複数の機能性分子と、
を備える。
【0008】
さらに本発明に係るシークエンサーは、シリコンからなる表面を有する基材と、
前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる繊維状突起物と、を備え、
前記繊維状突起物上に複数の核酸鎖を固定し、前記核酸鎖の核酸配列を測定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るセンサによれば、センサの感度を向上させることができる。その理由は、基材上に機能性分子を高密度に固定することができるからである。すなわち本発明は、上述の繊維状突起物により基材の表面積が増え、狭いスペースにも機能性分子を高密度に形成することができる。したがって、各機能性分子とリガンド分子との反応を十分得ることができ、大きな信号として検出することができる。その結果、センサの感度を向上させることができる。
【0010】
さらに本発明に係るシークエンサーによれば、核酸配列の測定精度を高めることができる。その理由は、単位領域における核酸の密度を増大することができるからである。すなわち本発明は、基板上に複数の繊維状突起物を形成し、この繊維状突起物上で核酸を増幅させるため、支持体の表面積が増え、一領域における核酸の増幅量が多くなる。そしてその結果、核酸コロニー全体から検出できる信号が大きくなる。その結果、核酸配列の測定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセンサの断面図
【図2】同センサの要部拡大断面図
【図3】同センサの繊維状突起物のSEM写真
【図4】同センサの製造方法を説明するための断面図
【図5】同断面図
【図6】同断面図
【図7】同断面図
【図8】同センサの製造方法を摸式的に説明するための断面図
【図9】同断面図
【図10】同断面図
【図11】同断面図
【図12】同断面図
【図13】(a)〜(c)同センサの要部を模式的に示す断面図
【図14】本発明の実施の形態1における繊維状突起物のX線分光分析結果を示す図
【図15】本発明の実施の形態2におけるセンサの断面図
【図16】本発明の実施の形態3におけるシークエンサーの断面図
【図17】(a)〜(f)同実施の形態3におけるシークエンサーを用いて核酸を増幅する工程を示す図
【図18】(a)(b)同実施の形態3におけるシークエンサーを用いて核酸配列を測定する工程を示す図
【図19】本発明の実施の形態4におけるシークエンサーの断面図
【図20】従来のDNAセンサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の一実施の形態としてDNAセンサを例に挙げ説明する。
図1の断面図に示すように、DNAセンサはシリコンからなる基板5を基材としている。この基板5の表面は、複数の領域6〜8に区分けされており、これらの領域6〜8毎に、それぞれ一端が基板5に直接接合した二酸化珪素からなる複数の繊維状突起物9が形成されている。ここで、「直接接合」とは、基板5上に繊維状突起物9が直接形成され、基板5と繊維状突起物9を構成する原子または分子が直接結合している状態を指し、通常は分子間が共有結合をしている状態である。本実施の形態1では、基板5の表面の珪素原子と繊維状突起物9中の珪素原子とが、雰囲気中の酸素原子を介して共有結合している。またこれらの繊維状突起物9の表面には、シランカップリング剤が付着し、これによりマトリクス状のコーティング層(図示せず)が形成されている。そして本実施の形態1では、これらのコーティング層にリンカー分子(図示せず)が含まれており、このリンカー分子を土台に、図2に示すように、複数のDNAプローブ10が接合されている。
【0013】
なお、本実施の形態1では、シリコン基板5上の領域6〜8毎に異なる機能性分子、すなわちDNAプローブ10を接合している。すなわち、DNAプローブ10は、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)のモノマーが種々の順番で配列されたポリマーであるが、本実施の形態1では、上述の領域6〜8毎に、この配列を変えたDNAプローブ10を形成した。
【0014】
なお、本実施の形態1では、基板5としては、単結晶シリコンからなるシリコン基板5を用いたが、表面がシリコンで形成されていればよく、このシリコンは単結晶、多結晶、アモルファス等の状態であってもよい。また、例えば表面および裏面がシリコンで、両面の間に二酸化珪素層が形成された、いわゆるSOI基板を用いても良い。また本実施の形態の基板5は、厚み約400μmの基板5を用いた。基板5の厚みは1mm以下が適している。
【0015】
さらに本実施の形態1では、繊維状突起物9の長さは全長で1〜500μm、太さを0.01μm〜10μmとし、複数の繊維状突起物9の間隔を0.01〜10μmとした。
また、この繊維状突起物9は、図3に示すように、より表面積を大きくするため、細かくうねったりカールしたりするまで成長させたものであり、一本一本は縮れた形状であって、互いに絡み合った状態で密集している。さらに自由な方向へ枝分かれしているものが混在していてもよい。繊維状突起物9が互いに絡み合い、複数の枝分かれをしていることで、繊維状突起物9が強固に構成される。
また本実施の形態1の繊維状突起物9は、アモルファスの二酸化珪素からなり、これにより単結晶の二酸化珪素と比較して折れにくい構成となっている。なお、この繊維状突起物9が形成された領域をX線分光分析で測定すると、図14に示すように、2θ/degree=約47°の領域にあるSi(110)のピークを除き大きなピークはなく、繊維状突起物9はアモルファスの二酸化珪素からなると考えられる。
【0016】
なお、本実施の形態1では、繊維状突起物9の表面とDNAプローブ10との結合をより容易にするため、繊維状突起物9の表面に、リンカー分子を含むシランカップリング剤を付着させているが、これらのシランカップリング剤およびリンカー分子は必須の構成ではない。
なお、シランカップリング剤は繊維状突起物9表面の結合性を向上させるものであり、ポリ−L−リシンなど、シランカップリング剤以外の組成からなるものを用いてもよい。
またリンカー分子は、DNAプローブ10の土台となるものであり、例えばアリルアセチレン、エチルグリコールオリゴマー、ジアミン、アミノ酸等やこれらの混合物が挙げられる。なお、上述のシランカップリング剤自体がリンカー分子となる場合もある。
【0017】
次に、本実施の形態1のDNAセンサの製造方法を説明する。
(a)はじめに、図4に示すように基板5を領域に区分けし、これらの領域の境界部分を二酸化珪素やフォトレジストなどの樹脂からなる保護膜11で覆う。なお、図4〜7では図1に示す領域6〜8のいずれか一つのみ示している。
(b)次に、CF、CHF、C、C、C、の少なくともいずれか一つのガスをプラズマ中で分解し、シリコン基板5表面に導入すると、図5に示すように、基板5表面にシード層12が形成される。
このシード層12は、C、F元素またはC、F、H元素を含んだ有機ポリマーからなる層であり、プラズマCVD法を用いて、前述のCF、CHF、C、C、C等のフッ化炭素系のガスをプラズマ中で分解することによって形成できる。
なお、上記ガスをプラズマ中で分解するにはICP(Inductive Coupled Plasma誘導結合プラズマ)を用いるとガスの分解度が高くなり、シード層12の均一な形成が行われやすい。
なお、シード層12によって後の工程で形成される繊維状突起物9を均一に形成するには、シリコン基板5表面は純粋なシリコンからなることが望ましいが、極薄い自然酸化膜が形成された状態でもよい。
【0018】
(c)次に、図6に示すように、保護膜11を、薬剤を用いた化学的処理によって除去する。なお、本実施の形態1のように、プラズマCVD法で形成したシード層12は比較的耐薬剤性が強いため、保護膜11のみを選択的に除去することができる。
(d)その後、基板5を、低酸素雰囲気下にて、1000〜1150℃で焼成すると、図7に示すように、基板5の表面(図5のシード層12が形成された領域)に、二酸化珪素からなる繊維状突起物9が形成される。この方法によれば、この繊維状突起物9は、基板5のシリコン表面と直接接合した状態となり、耐熱性に優れるとともに、剥がれにくくなる。またこの繊維状突起物9は、基板5がシード層12を核に成長するものであるため、他の物質が混在しにくく、不純物の少ない組成となる。
【0019】
なお、この焼成工程では、シード層12が形成されていないシリコン基板5表面には、繊維状突起物9は形成されない。
ここでこの焼成工程では、C、FまたはC、F、Hの各原子からなるシード層12は焼失していると考えられ、親水性を阻害する要因とはならない。
なお、繊維状突起物9は、金属触媒を用いて形成することも可能である。その場合は、はじめに基板5表面に、蒸着やスパッタ等によって、金属触媒層を形成する。触媒として使用する金属としては、Au、Fe、Ni、Co等が望ましく、金属触媒層の厚さとしては、数nm程度である。
次に、金属触媒層を形成した上記基板5を、低酸素雰囲気下にて、1000〜1150℃で焼成すると、基板5の表面に、二酸化珪素からなる繊維状突起物9が形成される。この方法においても、この繊維状突起物9は、基板5のシリコン表面と直接接合した状態となり、耐熱性に優れるとともに、剥がれにくくなる。またこの繊維状突起物9は、基板5がシード層12を核に成長するものであるため、他の物質が混在しにくく、不純物の少ない組成となる。
なお、低酸素雰囲気とは、窒素、アルゴン等の雰囲気あるいは真空雰囲気からなる。
なお、繊維状突起物9を、金属触媒を用いて上記方法により形成した場合は、繊維状突起物9に金属触媒が担持されていてもよい。
【0020】
次に、図8〜13を用いて、上述の繊維状突起物9とDNAプローブ(図2の10)とを結合させる方法について説明する。なお、図8〜図13は、説明を容易にするため、各構成要素で縮尺を変え、模式的に表したものである。
(a)図8に示すように、基板5の表面を、シランカップリング剤を含むコーティング層13で被覆する。このコーティング層13には、その反応基を保護基で修飾されたリンカー分子(図示せず)が結合している。すなわち本実施の形態1では、前述の保護基は、リンカー分子およびコーティング層13を介して繊維状突起物9の表面と結合している。この保護基は、本実施の形態1では、光に反応して脱保護可能な物質を用いた。保護基の例としては、オルト−ニトロベンジル誘導体、6−ニトロベラトリルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、シンナモイル誘導体などが挙げられる。なお、リンカー分子を用いない場合は、保護基と繊維状突起物9の反応基とを結合させればよい。
【0021】
(b)次に、図9に示すように、基板5上の複数の領域6〜8の内、一部の領域7、8のみ露出するように、マスク14で基板5の表面をマスキングする。
(c)次いで、マスク14の上方から基板5の表面に光を照射すると、保護基が除去され(脱保護)、リンカー分子の反応基が露呈する。図9で示すコーティング層13Aのリンカー分子は、保護基が除去され、反応基が露呈した状態である。ここで、照射光としては、保護基を脱保護可能な所定波長の光を用いる。
(d)その後、シリコン基板5上に、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)のいずれかのヌクレオチドモノマー15を含む溶液を注入すると、図10に示すように、露呈したリンカー分子の反応基と前述のモノマー15とが結合する。
【0022】
なお、本実施の形態1では、リンカー分子を介して保護基と繊維状突起物9とが結合しているが、リンカー分子を用いず、保護基を直接繊維状突起物9と結合させている場合は、保護基が脱保護された繊維状突起物9の反応基とモノマー15とが結合する。
ここで、本実施の形態1では、このモノマー15は、光反応性の保護基で修飾されたものを用いた。この保護基は、リンカー分子の保護基と同じ物質でもよく、別の物質でもよい。
【0023】
(e)次に、図11に示すように、また別のマスク16をして、一部の領域6、7のみ露出させる。この露出させる領域6、7は、先の工程でモノマー15を結合させた領域と同じでもよい。そしてこの領域6、7に、所定波長の光を照射して、領域7のモノマーおよび領域6のコーティング層のリンカー分子の保護基をそれぞれ脱保護する。なお図11では、保護基が脱保護されたコーティング層13Aとモノマー15Aとを示す。
(f)そして、図12に示すように、前述のモノマー15を固定する工程と同じく、保護基で修飾されたモノマー17の溶液を注入し、領域7の保護基が脱保護されたモノマー15A、および領域6の保護基が脱保護されたリンカー分子と結合させる。
このように、異なるマスクを用い、四種のヌクレオチドモノマーをそれぞれ結合させる工程を繰り返すと、領域6〜8毎に異なる種類のDNAプローブ10を形成することができる。
【0024】
なお、図13(a)は領域6、図13(b)は領域7、図13(c)は領域8の繊維状突起物9表面に形成されたDNAプローブ10を、それぞれ模式的に示したものである。このDNAプローブ10を構成するヌクレオチドモノマーの数は、特に限定されないが、10個〜30個程度(長さ0.003〜0.01μm程度)が二本鎖形成に適している。またマスクの組み合わせにより、多種の配列のDNAプローブ10も迅速に形成することができる。
【0025】
また本実施の形態1では、保護基として光反応性保護基を用いたが、例えば電流や電解、イオンビームなどにより脱保護可能な物質を用いてもよい。この場合、保護基を脱保護する工程では、それぞれ電流や電解、イオンビームを印加すればよい。
なお、本実施の形態1では、前述のように保護基を用いて反応領域を制御し、モノマーを重合させる方法を用いたが、例えばモノマーを、フォトリソ技術を用いて所定領域に積層する方法を用いても良い。
【0026】
また、上記実施の形態1では、基板5の所定領域6〜8に選択的に繊維状突起物9を形成する方法として、予め基板5表面に保護膜(図4の11)を形成する方法を例に挙げたが、その他の方法であってもよい。例えば先にシリコン基板5上の全域に繊維状突起物9を形成し、その後繊維状突起物9を残したい領域6〜8を、樹脂等の保護膜で覆い、繊維状突起物9を除去したい領域の繊維状突起物9を、HFやBHFなど通常の薬剤を用いてエッチングして除去し、その後保護膜を除去すればよい。この場合は、露出した面に前述の熱酸化膜は形成されない。
【0027】
なお、保護膜を除去する方法としては、溶剤などの化学的処理によって保護膜を除去することが望ましい。それは、機械的処理に比べ、化学的処理の方が、微細な繊維状突起物9が壊れにくいからである。
【0028】
このように形成したDNAセンサは、例えば予め蛍光物質などで標識したDNAとDNAプローブ10とで二本鎖を形成させたり、あるいは形成された二本鎖に蛍光物質を挿入したりすることによって、二本鎖形成の有無を光で測定することができる。その他、二本鎖形成の有無は、光以外にも、電流や電圧の変化、あるいは表面の粗さなどで測定することができる。
【0029】
以下に本実施の形態1における効果を説明する。
本実施の形態1ではセンサの感度を向上させることができる。その理由は、機能性分子であるDNAプローブ10を高密度に形成することができるからである。すなわち本発明は、上述の繊維状突起物9により基板5の表面積が増え、狭いスペースにも受容体を高密度に形成することができる。したがって、各DNAプローブ10と相補的DNA(リガンド分子)との反応を十分得ることができ、大きな信号として検出することができる。そしてその結果、センサの感度を向上させることができる。
【0030】
また本実施の形態1では、繊維状突起物9が二酸化珪素で構成されているため、その表面は基板5の表面と比較して、よりヒドロキシル化されている。したがって、リンカー分子などとの化学物質との結合性が高まり、DNAプローブ10をより高密度に固定することができる。
【0031】
また、繊維状突起物9が形成されている領域は、基板5の露出面(繊維状突起物9が形成されていない面)と比較して、高い親水性および保水性を有している。したがって、この基板5上に極性溶媒を供給する場合、極性溶媒は繊維状突起物9との親和性が高いため、DNAプローブ10の形成領域において気泡の発生を抑制することができる。すなわち本実施の形態1では、例えば基板5上にモノマー溶液を注入したり、あるいは測定液を注入したりする工程において、気泡が発生しにくい。そしてその結果、DNAプローブ10をより高密度に形成し、あるいは測定を高精度に行うことができる。なお親水性、保水性の少なくとも一方を有していれば、気泡の低減に寄与する。
【0032】
さらに、本実施の形態1では、DNAプローブ10を繊維状突起物9上に形成しているため、このDNAプローブ10が固定される領域は、フラットな面と比較して反射率が低くなる。したがって、例えば蛍光で分析する場合、基板5からの反射光にはシリコン原子に光を照射した場合に生じる励起光が混じり、蛍光検出の際にノイズ要因となることがあるが、本発明では繊維状突起物9に遮られて前記励起光が低減できるので結果としてノイズを低減することができる。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態2と実施の形態1との主な違いは、図15に示すように、基板5の形状である。すなわち本実施の形態2では、予め基板5の表面にウエットエッチングあるいはドライエッチングなどにより凹部18を形成し、その凹部18の底面に繊維状突起物9を形成したものである。これにより本実施の形態2では、各領域6〜8の繊維状突起物9が、各領域6〜8を越えて成長するのを抑制することができる。すなわち、表面拡散の抑制により、繊維状突起物9の成長方向が抑制される。従って、繊維状突起物9が形成される領域の形状精度を向上することができる。
さらに本実施の形態2では、例えば基板5上にモノマー溶液を注入したり、あるいは測定液を注入したりする工程において、モノマー溶液や測定液の拡散を防ぐことができる。従って、センサの検査感度が向上する。
なお、本実施の形態2では、繊維状突起物9を凹部18の底面および側壁面に形成したが、凹部18の底面のみ、または側壁面のみに形成してもよい。
なお、凹部18の窪みの深さは繊維状突起物9が形成されている層の厚みよりも深くすることで、拡散を抑制しやすいため好ましい。より好ましくは、凹部18の窪みの深さは繊維状突起物9が形成されている層の厚みよりも数十μm以上深くすることがよい。なお、凹部18の範囲は目的に応じて適宜選択することができる。
なお、その他の実施の形態1と同様の構成および効果については説明を省略する。
なお、上記実施の形態2では、センサとしてDNAセンサを例に挙げ、機能性分子はDNAプローブとしたが、機能性分子をRNAにしてもよい。RNAもDNAと同様に、保護基を用いて容易に所定領域に形成することができる。
【0034】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、DNAなどの核酸配列(塩基配列)を測定するシークエンサーについて説明する。
図16に示すように、本実施の形態3のシークエンサーも、実施の形態1のDNAセンサと同様に、基材としての基板19と、この基板19の領域20〜22上に選択的に形成された複数の繊維状突起物23を有している。本実施の形態3では、各領域20〜22内における複数の繊維状突起物23の間隔(根元部分における間隔)を1〜10μmとし、太さを0.01μm〜10μmとした。また繊維状突起物23の長さは全長で1〜500μm程度である。
【0035】
また、この繊維状突起物23は、実施の形態1と同様に、より表面積を大きくするため、細かくうねったりカールしたりするまで成長させたものであり、一本一本は縮れた形状であって、互いに絡み合った状態で密集している。さらに自由な方向へ枝分かれしているものが混在していてもよい。これにより外圧に対しても応力負荷を分散しやすく、機械的強度の強い構造となる。
また本実施の形態3の繊維状突起物23は、実施の形態1と同様にアモルファスの二酸化珪素からなり、単結晶の二酸化珪素と比較して折れにくい構成となっている。
【0036】
このような繊維状突起物23の製造方法については、実施の形態1に示すDNAセンサと同様であり、まず基板19上で、プラズマCVD法を用いてフッ化炭素系のガスをプラズマ中で分解し、C、F元素またはC、F、H元素を含んだ有機ポリマーからなるシード層を形成する。低酸素雰囲気下にて、1000〜1150℃で焼成することで形成できる。なお、繊維状突起物23は、金属触媒を用いて形成することも可能である。詳細については、実施の形態1と同様である為説明を省略する。
【0037】
次に、本実施の形態3のシークエンサーを用いた核酸増幅方法について説明する。
(a)はじめに、核酸配列(塩基配列)を測定したいDNAまたはRNA(以下核酸という)をEcoRIやHhaIなどの酵素を用いてランダムに分断し、図17(a)に示す核酸断片24を形成する。核酸断片24の長さは、後述する配列読み出し工程における読み出し精度にもよるが、通常10から4000塩基対の長さである。この核酸断片24は一本鎖または二本鎖の形態のいずれでもよい。
(b)次に、この核酸断片24の一端にオリゴヌクレオチド配列Y1を含むアダプター25、他端にオリゴヌクレオチド配列Z1を含むアダプター26を結合させ、図17(a)に示すような核酸鋳型T1を形成する。なお、オリゴヌクレオチド配列とは、いくつかの塩基対からなる短いヌクレオチド配列の配列を指し、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)あるいはウラシル(U)の塩基を構成要素とする。
オリゴヌクレオチド配列Y1およびオリゴヌクレオチド配列Z1は、5〜100程度のヌクレオチドで構成されることが好ましい。また本実施の形態3では、核酸鋳型T1の最も末端にオリゴヌクレオチド配列Y1およびZ1を結合させたが、末端近傍(好ましくは、核酸鋳型T1の5’末端、あるいは3’末端から0から100ヌクレオチド以内)であれば支持体1と接合できる。
【0038】
(c)さらに本実施の形態3では、複数のコロニープライマーX1およびX2を準備する。このコロニープライマーX1は、オリゴヌクレオチド配列Z1とハイブリタイズ可能な配列を有し、コロニープライマーX2は、コロニープライマーX1の伸長により形成された核酸鋳型(後述のT2)のオリゴヌクレオチド配列(後述のZ2)とハイブリタイズ可能な配列を有する。すなわちコロニープライマーX2は、オリゴヌクレオチド配列Y1と対応する配列を有する。
(d)次に本実施の形態3では支持体1の繊維状突起物23のOH基をATS(アミノプロピルトリエトキシシラン)などで誘導し、繊維状突起物23表面を、二官能性結合剤により官能化する。
【0039】
(e)そしてこの官能化された繊維状突起物23表面に、コロニープライマーX1、X2と核酸鋳型T1を含む溶液を提供し、図17(b)に示すように、コロニープライマーX1、X2と核酸鋳型T1のそれぞれの5’末端を繊維状突起物23表面と共有結合させる。なお、図17(b)の斜線部分は、繊維状突起物23を示す。ここで本実施の形態3では、アミド結合により繊維状突起物23表面とコロニープライマーX1、X2および核酸鋳型T1を結合したが、その他の結合としては、エステル結合やチオール結合などの共有結合なども挙げられる。
【0040】
(f)次に、図17(c)に示すように、繊維状突起物23に結合した核酸鋳型T1およびコロニープライマーX1を誘導し、核酸鋳型T1のオリゴヌクレオチド配列Z1(アダプター26)とコロニープライマーX1とを、ハイブリダイゼーションさせる。この時の誘導条件としては、例えば約65℃の温度に供することが挙げられる。
(g)その後、図17(d)に示すように、適切な温度条件および核酸ポリメラーゼ(例えばDNA依存性DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素分子、またはRNAポリメラーゼなど)の存在下、4種のヌクレオチド前駆体、すなわち4種のデオキシヌクレオシド3リン酸〔デオキシアデノシン3リン酸(以下dATPと略)、デオキシグアノシン3リン酸(以下、dGTPと略)、デオキシシチジン3リン酸(以下、dCTPと略)、デオキシチミジン3リン酸(以下、dTTPと略)〕を基質として核酸を合成する。
(h)このように核酸ポリメラーゼが、コロニープライマーX1をその3’末端から核酸鋳型T1を鋳型として伸長させ、このプライマー伸長が完了したら、最初の核酸鋳型T1に相補な第2の核酸鎖、すなわち核酸鋳型T2が生成する。
(i)その後、例えば加熱することにより、図17(e)に示すように、繊維状突起物23上には、分離された2つの核酸鎖(核酸鋳型T1、T2)が固定化された状態となる。
【0041】
(j)そして図17(f)に示すように、最初に固定化された核酸鋳型T1、およびコロニープライマーX1が伸長して形成された核酸鎖(核酸鋳型T2)は、いずれも核酸鋳型として機能する。すなわち、核酸鋳型T1及び核酸鋳型T2は、他の固定化されたコロニープライマーX1あるいはコロニープライマーX2とハイブリタイズし、それぞれプライマー伸長が起こり、核酸鎖が分離して、繊維状突起物23に固定化された核酸鎖を増幅していく。このように核酸鎖が増幅され、核酸コロニーは生成される。なお本実施の形態3では、この核酸コロニーは、最初の核酸鋳型T1に対応する配列であるものと、この核酸鋳型T1に相補的(すなわち核酸鋳型T2に対応)な配列であるものを含む。
【0042】
以上のように、支持体1上の他の領域でも同様に、ランダムに分断された核酸を鋳型にして、二種類の核酸鎖からなる核酸コロニーを形成できる。この核酸コロニーは、たとえば10μm未満の小さい間隔で形成することによって、より小型化に寄与する。
【0043】
次に、上述のように核酸を増幅させた後には、核酸配列を測定することができる。
本実施の形態3では、核酸コロニーを構成する二種類の核酸鎖のうち、核酸鋳型T1の配列について測定する。この時、例えば核酸鋳型T1に相補的な核酸鎖は、繊維状突起物23から切り離せばよい。すなわち、核酸鋳型T2はコロニープライマーX1を介して繊維状突起物23と結合しているため、コロニープライマーX1を制限酵素などで繊維状突起物23から切り離すことができる。これにより、図18(a)に示すように、核酸鋳型T1に対応する核酸鎖のみからなる核酸コロニーを構成することができる。
【0044】
次に、核酸鋳型T1の3’末端側のオリゴヌクレオチド配列Z1とハイブリタイズできるプライマー27と、修飾された四種のヌクレオチド前駆体(図18(a)に示すA、T、C、G)、および核酸ポリメラーゼを含む溶液を繊維状突起物23上に流す。この時、四種のヌクレオチド前駆体をそれぞれ異なる励起光を発するように、種々の蛍光物質で修飾しておく。するとこの蛍光物質は、ヌクレオチド前躯体がハイブリタイズする瞬間に、レーザ光によって励起され、蛍光発色する。この時、一つの核酸コロニーでは四種のヌクレオチド前躯体のうち一種が結合するため、核酸コロニーによってそれぞれの波長の発色を確認する事ができる。次に図18(b)に示すように、再び繊維状突起物23上に四種のヌクレオチド前躯体と酵素とを流し込むことによって、次のヌクレオチド前躯体がプライマー27から伸長して核酸鋳型T1にハイブリタイズし、特異な波長で発色する。
【0045】
このようにプライマー27が伸長し、3’末端側から核酸鋳型T1と相補的な核酸配列が形成されていく過程では、核酸鋳型T1のヌクレオチド配列によって種々の順番で発色がおこる。したがって、この発色をレコードすることによって、核酸コロニー毎に、核酸鋳型のヌクレオチド配列を読み取ることができ、それぞれの拡散断片の配列が明らかとなる。
【0046】
なお、上記図18(a)において、ヌクレオチド前駆体に、一つのハイブリタイズ反応が起こった後に続けて伸長反応が起こらないように化学修飾しておけば、一本鎖上の一つのヌクレオチド配列を確実に決定できる。つまり、この後に化学修飾物質を除去し、再び化学修飾されたヌクレオチド前駆体を流すことで、反応を一つ一つ確実に決定できる。
【0047】
ここで核酸鋳型は、配列を測定したい核酸を予め多数準備し、それらをランダムに分断して形成しておけば、核酸断片の配列だけでなく、もとの核酸の配列まで分析することができる。本実施の形態3では、支持体1を複数の領域に区分けし、この区分けされた領域に選択的に繊維状突起物23を形成するとともに、領域毎にそれぞれ核酸コロニーを形成している。したがって、表1に示すように、それぞれの領域の核酸コロニーから読み取った配列を比較し、同じ配列部分があればその部分を重複するように並べることによって、少しずつ元の核酸の全体配列を読み取っていくことが出来る。
【0048】
【表1】

【0049】
本実施の形態3における効果を以下に説明する。
本実施の形態3では、単位領域における核酸の密度が増し、核酸配列の測定精度を高めることができる。その理由は、基板19上に複数の繊維状突起物23を形成し、この繊維状突起物23上で核酸を増幅させたからである。これにより本実施の形態3では、支持体1の表面積が増え、一領域における核酸の増幅量が多くなる。そしてその結果、核酸コロニー全体から検出できる信号が大きくなり、核酸配列の測定精度を高めることができる。
【0050】
また、本実施の形態3では、繊維状突起物23が二酸化珪素で構成されているため、その表面は基板19の表面と比較して、よりヒドロキシル化されている。したがって、核酸鋳型やコロニープライマーなどを結合するための化学物質との結合性が高まり、より高密度に核酸鋳型およびコロニープライマーを固定することができる。
【0051】
また、図16に示すように、繊維状突起物23が形成されている領域20〜22は、基板19の露出面(繊維状突起物23が形成されていない面)と比較して、高い親水性を有している。したがって、この基板19上に極性溶媒を供給する場合、極性溶媒は繊維状突起物23との親和性が高いため、核酸鋳型T1およびコロニープライマーX1、X2の形成領域において気泡の発生を抑制することができる。したがって測定も高精度に行うことができる。
【0052】
さらに、本実施の形態3では、核酸鋳型T1を繊維状突起物23上に形成したため、この核酸鋳型T1が固定される領域は、フラットな面と比較して反射率が低くなる。したがって、例えば蛍光で分析する場合、基板19からの反射光にはシリコン原子に光を照射した場合に生じる励起光が混じり、蛍光検出の際にノイズ要因となることがあるが、本発明では繊維状突起物23に遮られて前記励起光が低減できるので結果としてノイズを低減することができる。
【0053】
なお、本実施の形態3では、各領域20〜22に複数の繊維状突起物23を形成したが、各領域20〜22に一つの繊維状突起物23を形成してもよい。この場合も、基板19の表面積は増え、核酸をより増幅させることができる。
【0054】
また本実施の形態3では、繊維状突起物23上で核酸鋳型T1を鋳型にして、固定化された核酸を増幅したが、核酸鎖の固定方法はこれ以外でもよい。例えば、予め増幅した核酸を繊維状突起物23上に流し、それぞれを結合させ、固定してもよい。このように本実施の形態3の繊維状突起物23を用いたシークエンサーは、種々の核酸の固定に用いられる。そしてそれぞれの方式のシークエンサーにおいて、繊維状突起物23によって基板19の表面の表面積が大きくなっているため、単位領域で固定できる核酸の数が増え、測定できる信号も大きくなる。したがって、核酸配列の測定精度を高めることができる。
【0055】
更に、本実施の形態3では、核酸配列の測定方法として、固定された核酸鎖(核酸鋳型)とヌクレオチド前躯体とのハイブリタイズによる蛍光を分析する方法を例に挙げたが、この測定方法は一例であり、種々の方法を用いることができる。例えば固定された核酸鎖とヌクレオチド前駆体とのハイブリタイズ反応によって変化する電磁場状態を、光、あるいは電気的な信号の変化として配列を測定する方法などもある。
【0056】
(実施の形態4)
本実施の形態4と実施の形態3との主な違いは、図19に示すように、基板19の形状である。すなわち本実施の形態4では、予め基板19の表面にウエットエッチングあるいはドライエッチングなどにより凹部28を形成し、その凹部28の底面に繊維状突起物23を形成したものである。これにより本実施の形態4では、各領域20〜22の繊維状突起物23が、領域20〜22を越えて成長するのを抑制することができる。すなわち、表面拡散の抑制により、繊維状突起物23の成長方向が抑制される。従って、繊維状突起物23が形成される領域の形状精度を向上することができる。したがって、領域20〜22毎に各核酸コロニーを形成することができ、信号を高精度に測定できる。さらに本実施の形態4では、例えば基板5上にモノマー溶液を注入したり、あるいは測定液を注入したりする工程において、モノマー溶液や測定液の拡散を防ぐことができる。従って、センサの検査感度が向上する。
【0057】
なお、本実施の形態4では、繊維状突起物23を凹部28の底面および側壁面に形成したが、凹部28の底面のみ、または側壁面のみに形成してもよい。
なお、凹部18の窪みの深さは繊維状突起物9が形成されている層の厚みよりも深くすることで、拡散を抑制しやすいため好ましい。より好ましくは、凹部18の窪みの深さは繊維状突起物9が形成されている層の厚みよりも数十μm以上深くすることがよい。なお、凹部18の範囲は目的に応じて適宜選択することができる。
なお、その他の実施の形態1と同様の構成および効果については説明を省略する。その他の実施の形態3と同様の構成および効果については説明を省略する。
なお、上記実施の形態1〜4では、基材として平板状の基板を用いたが、例えば球形やキューブ形など、種々の形状の基材を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係るセンサは、DNAセンサとして用いることができる。また、DNAセンサ以外にも、タンパク質センサや糖センサ、抗原抗体センサ等の各種センサに用いることが出来る。これら各種センサに用いるには、それぞれ検出したいリガンド分子を捕捉可能な受容体や反応性物質を繊維状突起物表面に結合させ、リガンド分子との結合を測定するセンサや、あるいは機能性分子として、測定したいリガンド分子を繊維状突起物表面に結合させ、これらの受容体や反応性物質と反応させるセンサが挙げられる。機能性分子がポリマーであれば、保護基を用いてモノマーを所定領域に重合できる。さらに本発明のシークエンサーでは、DNAなどの核酸配列を高精度に測定することができる。
【符号の説明】
【0059】
5 基板
6、7、8 領域
9 繊維状突起物
10 DNAプローブ(機能性分子)
11 保護膜
12 シード層
13 コーティング層
13A コーティング層
14 マスク
15 モノマー
15A モノマー
16 マスク
17 モノマー
18 凹部
19 基板
20〜22 領域
23 繊維状突起物
24 核酸断片
25 アダプター
26 アダプター
27 プライマー
28 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンからなる表面を有する基材と、
前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる複数の繊維状突起物と、
前記繊維状突起物上にそれぞれ形成された複数の機能性分子と、
を備えたセンサ。
【請求項2】
前記繊維状突起物の長さは、1〜200μmの範囲である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記繊維状突起物の間隔は、0.01〜10μmの範囲である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記繊維状突起物の太さは、0.01〜10μmの範囲である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記繊維状突起物は、互いに絡みあうように密集している、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記繊維状突起物が形成されている領域面は、前記基材の露出面よりも高い親水性あるいは保水性を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記基材上には凹部が形成され、前記凹部の底面もしくは側壁面の少なくとも一方には、前記繊維状突起物が形成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記基材の前記シリコンからなる表面は、複数の領域に区分けされ、それぞれの前記領域毎に前記複数の繊維状突起物が形成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
基材のシリコンからなる表面の任意の領域に、有機ポリマーからなるシード層を形成するステップと、
前記基材を、酸素を含有する雰囲気下で加熱して、前記シード層が形成された領域に、それぞれ前記基材の表面と直接接合した二酸化珪素からなる複数の繊維状突起物を形成するステップと、
前記繊維状突起物と機能性分子とを結合させるステップと、
を含む、センサの製造方法。
【請求項10】
前記繊維状突起物を形成するステップの後に、
前記繊維状突起物にそれぞれ保護基を結合させるステップと、
前記繊維状突起物から前記保護基を脱保護するステップと、
前記保護基が脱保護された前記繊維状突起物と前記機能性分子とを結合させるステップと、
をさらに含む、請求項9に記載のセンサの製造方法。
【請求項11】
前記機能性分子は少なくとも第一のモノマーと第二のモノマーとが結合したポリマーであって、
前記繊維状突起物と前記機能性分子とを結合させるステップでは、
保護基が結合された前記第一のモノマーと、保護基が脱保護された前記繊維状突起物とを結合させるステップと、
前記第一のモノマーから、結合された保護基を脱保護するステップと、
前記保護基が脱保護された前記第一のモノマーと、前記保護基が結合された前記第二のモノマーとを結合させるステップと、
を含む、請求項10に記載のセンサの製造方法。
【請求項12】
シリコンからなる表面を有する基材と、
前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる繊維状突起物と、
を備え、
前記繊維状突起物上に複数の核酸鎖を固定し、前記核酸鎖の核酸配列を測定するシークエンサー。
【請求項13】
前記核酸鎖は、前記繊維状突起物上で同一の配列を持つ複数の核酸鎖が同一領域に固定されている、請求項12に記載のシークエンサー。
【請求項14】
シリコンからなる表面を有する基材と、
前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる繊維状突起物と、
を備え、
前記繊維状突起物上に核酸鋳型を固定して、前記核酸鋳型を鋳型として核酸を増幅し、増幅された核酸鎖の配列を測定するシークエンサー。
【請求項15】
シリコンからなる表面を有する基材と、
前記基材のシリコンからなる表面に直接接合した、二酸化珪素からなる繊維状突起物と、
を備え、
前記基材上には凹部が形成され、前記凹部の底面もしくは側壁面の少なくとも一方には、前記繊維状突起物が形成されている請求項12又は14に記載のシークエンサー。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図3】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−183900(P2010−183900A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156945(P2009−156945)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】