説明

センサカートリッジ

本発明は、試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分を区別して決定するためのセンサカートリッジ10を提供する。このセンサカートリッジ10は、反応室1並びに互いに別個である少なくとも第1及び第2の領域2、3を有する。第1の領域2は、第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識される磁気又は磁化可能な物体4aを有し、第2の領域3は、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識される磁気又は磁化可能な物体4bを有し、前記第1及び第2の領域2、3における前記磁気又は磁化可能な物体4a、4bは、前記試料流体により直接接触することが可能である。本発明は、上記センサ装置10を製造する方法、並びに前記センサカートリッジ10を用いて、試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を決定するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサカートリッジ、例えば交換可能又は使い捨てカートリッジに関する。特に本発明は、試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分を選択的に検出することができるセンサカートリッジに関する。本発明はさらに、上記センサカートリッジを製造するための方法、及び試料流体における少なくとも2つの標的部分の存在及び/又は量を決定するための方法にも関する。本発明の実施例による装置及び方法は、分子診断、生体試料分析又は化学試料分析に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
異方性磁気抵抗(AMR)、巨大磁気抵抗(GMR)及びトンネル磁気抵抗(TMR)素子又はホールセンサに基づく磁気センサは近頃では重要度が増している。例えば磁気ハードディスクのヘッド及びMRAMのような既知の高速度応用に加え、新しく比較的低い帯域幅応用が分子診断の分野(MDx)、ICにおける電流検知、自動車等に現れている。
【0003】
上記磁気センサを有するマイクロアレイ又はバイオチップの導入は、例えばデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)及びタンパク質のような生体分子の分析を革命的に変えてしまう。これら応用は、例えば(病院において又は個々の医師若しくは看護師による)人間の遺伝子型判定、細菌学的スクリーニング、生物学的及び薬理学的研究である。このような磁気バイオチップは、感度、特異性、統合、使いやすさ及び費用に関して、例えば生物学的又は化学的な試料分析に有望な特徴を有する。
【0004】
バイオセンサチップ、生物学的マイクロチップ、ジーンチップ(gene-chip)又はDNAチップとも呼ばれるバイオチップは、前記チップ上のはっきり定義された領域上において、その上に多数の異なるプローブ分子が取り付けられている基板の最も簡単な形式であり、分析されるべき分子又は分子の断片が完全に合致した場合、これら分子又は分子の断片は前記基板に結合することができる。例えば、DNA分子の断片は、1つの固有の相補的DNA(c−DNA)分子の断片に結合する。結合反応の発生は、これら分子が前記プローブ分子に結合する前か又は後のどちらかにおいて、分析されるべき分子に結合されるマーカー、例えば蛍光マーカー又は磁気標識を用いることにより検出されることができる。これは、短い時間で多数の異なる分子又は分子の断片の少ない量を並行して分析する能力を提供する。
【0005】
バイオセンサに関して検定(assay)が行われる。検定は一般に幾つかの流体作動ステップ、すなわち材料を移動させるステップを含んでいる。上記ステップの例は、(例えば希釈するため、標識若しくは他の試薬を試料流体に溶解させるため、標識するため又は親和性結合するために)混合すること、又は拡散が前記反応に対する律速となることを避けるために、反応面の近くの流体をリフレッシュすることである。好ましくは、前記作動方法は、効果的、信頼性のある及び安価であるべきである。
【0006】
1つのバイオチップは、1000又はそれ以上の異なる分子の断片に対する検定を維持することができる。バイオチップの使用により利用可能となり得る情報の有用性は、例えばヒトゲノム計画のような計画、並びに遺伝子及びタンパク質の機能に関する追跡調査の結果として、今後10年間に急速に増大すると予想される。
【0007】
例えば超常磁性ビーズの検出に基づく例えば100個のセンサのアレイから成るバイオセンサは、溶液(例えば血液)における多数の異なる生体分子(例えばタンパク質、DNA)の濃度を同時に測定するのに使用されてもよい。これは、決められるべき標的分子に超常磁性ビーズを取り付け、印加される磁場を用いてこのビーズを磁化する、及び例えばGMRセンサを用いて、前記磁化したビーズの磁場を検出することにより達成される。
【0008】
図9は、従来技術として現在知られるような、集積磁場の励起を用いた磁気抵抗バイオセンサ構造の動作原理を説明する。磁気バイオセンサは、約100μmの長さ及び約3μmの幅を持つ単一のGMRストリップ21を有する。集積磁場の励起の場合、磁場発生手段は前記磁気抵抗センサ20に組み込まれることを意味している。この磁気抵抗センサ20はさらに、この磁場発生手段を形成する電線22を有する。この磁気抵抗センサ20の表面23において、例えば磁性ナノ粒子26に取り付けられる標的分子25が結合可能である結合部位24が設けられている。電線22を流れる電流は、前記磁性ナノ粒子26を磁化させる磁場29を生じさせる。この磁性ナノ粒子26が磁気モーメントmを生じさせる。この磁気モーメントmは次いで、図9において磁力線27で示されるドップラー磁場を生じさせる。従って、前記磁性ナノ粒子26は、電線22を流れる電流により誘導される磁場29を偏向させ、磁場のx成分Hextとも呼ばれる、(図9において参照番号28で示される)GMRストリップ21の感度x方向に磁場成分が生じる。この磁場のx成分Hextは次いで、GMRストリップ21により検知され、前記磁気抵抗センサ20の前記表面23に存在している磁性ナノ粒子の数Nnpに依存すると共に、前記電線22の電流の大きさにも依存している。
【0009】
例えば違法薬物のような標的分子は一般に1つの捕捉分子(抗体)だけを結合することが可能である小さな分子である。この理由のために、抑制又は競合検定の方式が用いられる。可能な検定が幾つか存在している。第1の型の検定において、標的同族分子がセンサ表面上に存在している。これら標的同族分子は、磁性ビーズ上に存在している捕捉分子に結合するために、試料流体において検出されるべき前記標的分子と競合する。第2の型の検定において、前記磁性ビーズは、標的同族体(target homologue)で被覆又は標識され、この標識ビーズは、前記センサ表面上に存在している捕捉分子(抗体)に結合するために、試料流体において検出されるべき前記標的分子と競合する。例えば5個の異なる標的分子を検出することを可能にするために、5個の異なる捕捉分子は、使用される検定の方式に依存して、磁性ビーズ上又はセンサ表面上に存在する必要がある。その上、5個の異なる標的同族体は、使用される検定の方式に再び依存して、前記センサ表面上又は前記磁性ビーズ上に存在する必要がある。小さな標的分子にとって、受容体−リガンド結合による他の分子への結合(例えば抗体への結合)は一般的にそんなに特異的ではない。結果として、交差反応が生じる、言い換えるとA型の結合分子で被覆又は標識された磁性ビーズがB型の標的同族体に結合することがある。例えば、抗アヘン(anti OPI)抗体を持つ磁性ビーズをアヘン同族体(BSA-OPI複合体)で被覆された少なくとも1つのセンサ、及び例えば大麻同族体(BSA-THC複合体)で被覆された1つのセンサを持つセンサアレイに加えることは、BSA−OPIで被覆された前記センサに対し大きなセンサ出力を示すが、BSA−THCで被覆された前記センサに対してもかなりの出力信号を示すことが示されている。この信号は、アヘン同族体で被覆されたセンサに関する特異的な信号の5%から10%までである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
交差反応の量を最小にするために、前記検定が調整されてもよい。これは、抗体及び/又は標的部分の正しい組み合わせを選択すること、並びにインキュベーションが起こっている緩衝液を最適にすることにより行われる。しかしながら、この最適化は、実行するのが難しく、並びに多くの時間及び別の検定に関し多くの知識を必要とする退屈な処理である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例の目的は、良好なセンサカートリッジ、このようなセンサカートリッジを製造する方法、並びに同じ試料流体に存在している少なくとも2つの異なる標的部分を検出及び/又は定量化する方法を提供することである。
【0012】
上記目的は、本発明による方法及び装置により達成される。
【0013】
本発明の実施例によるセンサカートリッジは、交換可能又は使い捨てカートリッジとすることができる。本発明の実施例によるセンサカートリッジは、前記異なる標的部分と、結果生じるセンサ信号に悪影響を与える、センサ基板表面に存在している異なる標的同族体とが殆ど交差反応することなく、同じ試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分の存在を検出すること及び/又はその量を決定することを可能にする。故に、本発明の実施例による装置及び方法は、減少した交差反応を示す。
【0014】
本発明の実施例によるセンサカートリッジは、良好な感度を示すと共に、信頼性があり、効果的である。
【0015】
本発明の実施例によるセンサカートリッジ及び方法は、分子診断、生体試料分析又は化学試料分析に使用されてもよい。
【0016】
本発明の特に及び好ましい態様は、付随している独立及び従属請求項に示されている。これら従属請求項による特徴は、必要に応じて独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と組み合わされてよく、単に請求項に明示しただけである。
【0017】
本発明の第1の態様において、試料流体に存在している少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を決定するセンサカートリッジが提供される。このセンサカートリッジは、
−前記試料流体を受け入れるための反応室、
−前記反応室に置かれる少なくとも第1の領域及び第2の領域であり、前記第2の領域は前記第1の領域とは別個であり、前記第1の領域は、第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第2の領域は、第2の型の標的部分と特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第1及び第2の領域にある前記磁気又は磁化可能な物体は、前記試料流体により直接接触することが可能である、前記反応室に置かれる少なくとも第1の領域及び第2の領域、並びに
−磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するための少なくとも1つのセンサ要素、
を有し、前記センサカートリッジは、前記少なくとも2つの異なる標的部分を区別して検出するのに適する。
【0018】
本発明の実施例によるセンサカートリッジの利点は、このセンサカートリッジが前記センサ信号を妨害する交差反応から生じる信号を無しに、試料流体に存在している異なる標的部分を同時に検出するのに使用されることである。
【0019】
前記センサカートリッジは、反応室にある少なくとも第1及び第2の領域から標識された磁気又は磁化可能な物体を選択的に解放するための制御手段を有する。好ましくは、前記制御手段は、磁場発生手段により形成され、例えば少なくとも1つの電線により形成されてもよい。前記制御手段を慎重に操縦することにより、前記磁気又は磁化可能な物体は、前記第1及び第2の領域から制御可能に且つ選択的に解放され、従って交差反応が起こる可能性は減少する。
【0020】
本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジは複数の領域を有し、制御手段は各領域に設けられている。
【0021】
少なくとも1つのセンサ要素は、前記反応室の第1の側面に置かれ、磁気又は磁化可能な物体を有する少なくとも第1及び第2の領域は、この反応室の第2の側面に形成され、この第2の側面は好ましくは前記第1の側面の略反対側にある。
【0022】
前記センサカートリッジは、磁気又は磁化可能な物体を有する多数の領域及び多数のセンサ要素を有する。本発明の実施例に従って、前記領域の数は、前記センサ要素の数とは異なる。しかしながら、本発明の他の実施例に従って、前記領域の数が前記センサ要素の数と等しくてもよい。
【0023】
実施例によれば、前記センサ要素は平面に横たわり、磁気又は磁化可能な物体を有する前記領域の各々は、夫々のセンサ要素との重複を示し、この重複は、センサ要素の平面に略垂直な方向に前記領域を前記センサ要素へ投影することにより規定される。
【0024】
さらに他の実施例によれば、前記少なくとも1つのセンサ要素は、反応室の第1の側面に置かれ、前記少なくとも第1及び第2の領域は、前記反応室の第2の側面に形成され、この第2の側面は、第1の側面に等しい。
【0025】
前記センサカートリッジは、少なくとも第1及び第2のセンサ要素を有する。磁気又は磁化可能な物体を有する第1の領域は、前記第1のセンサ要素の上に形成され、磁気又は磁化可能な物体を有する第2の領域は、前記第2のセンサ要素の上に形成される。
【0026】
本発明の実施例によれば、前記少なくとも第1及び第2の領域にある前記標識された磁気又は磁化可能な物体は凍結乾燥されてもよい。
【0027】
本発明の実施例によるセンサカートリッジにおいて、前記少なくとも1つのセンサ要素は、センサ基板上に置かれ、前記センサカートリッジはさらに、前記センサ基板の表面に前記標識された磁気及び磁化可能な物体を引き付ける及び/又は結合するための磁場発生手段を有する。前記磁場発生手段はコイルにより形成される。
【0028】
本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジは使い捨てセンサカートリッジでもよい。
【0029】
この使い捨てカートリッジは、読み取り装置に挿入されるように適合する。この読み取り装置は、前記使い捨てセンサカートリッジの異なる領域に置かれる磁気又は磁化可能な物体を、制御された方法で引き付ける及び解放するための磁場発生手段を有する。この磁場発生手段は電磁コイルにより形成される。
【0030】
他の態様において、本発明は、分子診断、生体試料分析又は化学試料分析における本発明の実施例に従うセンサカートリッジの使用を提供する。
【0031】
本発明はさらに、唾液内に乱用薬物の存在を決めるための本発明の実施例に従うセンサカートリッジの使用も提供する。
【0032】
本発明のもう1つの態様において、センサカートリッジを製造する方法が提供され、この方法は、
−試料流体を受け入れるための反応室を設けるステップ、
−前記反応室に少なくとも第1の領域及び第2の領域を設けるステップ、
−第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を前記第1の領域に供給し、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を前記第2の領域に供給するステップ、並びに
−前記磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するための少なくとも1つのセンサ要素を供給するステップ
を有する。
【0033】
本発明の実施例による方法の利点は、試料流体に存在している異なる標的部分は、センサ信号を妨害する交差反応から生じる信号を無しに、同時に検出されることができることである。
【0034】
本発明の実施例によれば、前記方法はさらに、反応室にある前記少なくとも第1及び第2の領域から標識された磁気又は磁化可能な物体を選択的に解放するための制御手段を設けるステップを有する。本発明の実施例によれば、制御手段を設けるステップは、前記少なくとも第1及び第2の領域の各々に制御手段を設けるステップを有する。前記制御手段を慎重に操縦することにより、前記磁気又は磁化可能な物体は、前記第1及び第2の領域から制御可能に且つ選択的に解放され、従って交差反応が起こる可能性は減少する。
【0035】
本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジは、平面に横たわっている少なくとも第1及び第2のセンサ要素を有し、前記反応室に少なくとも第1の領域及び第2の領域を設けるステップは、前記第1及び第2の領域が、前記第1及び第2のセンサ要素夫々との重複を示すことであり、前記重複は、センサ要素の平面に略垂直な方向に前記第1及び第2の領域を前記センサ要素へ投影することにより規定される。
【0036】
本発明の実施例によれば、磁気又は磁化可能な物体を供給するステップは、凍結乾燥された磁気又は磁化可能な物体を供給することにより行われる。
【0037】
本発明のさらに他の態様において、試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を決定するための方法が提供される。この方法は、
−試料流体を受け入れるための反応室、磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するために、センサ基板に置かれる少なくとも1つのセンサ要素、並びに前記反応室に置かれる少なくとも第1及び第2の領域を有するセンサカートリッジに、少なくとも2つの異なる標的部分を潜在的に有する試料流体を供給するステップであり、前記第2の領域は前記第1の領域とは別個であり、前記第1の領域は、第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第2の領域は、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第1及び第2の領域にある前記磁気又は磁化可能な物体は、前記試料流体により直接接触することが可能であるステップ、
−標識された磁気又は磁化可能な物体を前記少なくとも第1及び第2の領域から前記少なくとも1つのセンサ要素に選択的に供給するステップ、
−前記少なくとも1つのセンサ要素を用いてセンサ信号を測定するステップ、並びに
−前記測定されたセンサ信号から、前記センサ基板の表面に結合された少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を区別して決定するステップ、
を有する。
【0038】
標識された磁気又は磁化可能な物体を前記少なくとも第1及び第2の領域から前記少なくとも1つのセンサ要素へ選択的に供給することは、標識された磁気又は磁化可能な物体を前記反応室にある少なくとも第1及び第2の領域から選択的に解放することにより得られる。
【0039】
本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジは、このカートリッジがセンサ要素を有するのと同じ数の領域を有し、前記センサ要素は平面に横たわっている。これら実施例によれば、標識された磁気又は磁化可能な物体を前記少なくとも第1及び第2の領域から前記センサ要素へ選択的に供給することは、異なるセンサ要素と重複している各領域により得られ、この重複は、センサ要素の平面に略垂直な方向に前記第1及び第2の領域を前記センサ要素へ投影することにより規定される。
【0040】
本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジは、磁気センサ要素を有し、前記方法はさらに、前記少なくとも1つのセンサ要素を用いてセンサ信号を測定する前に、前記標識された磁気又は磁化可能な物体を磁化するステップを有する。
【0041】
さらに他の態様において、本発明は分子診断、生体試料分析又は化学試料分析における本発明の実施例に従う方法の使用を提供する。
【0042】
本発明の上記及び他の特徴、特性及び利点は、本発明の原理を例として説明している付随する図面と共に用いて以下の詳細な説明から明らかとなる。この説明は単なる例を目的として与えられ、本発明の範囲を限定するものではない。以下に引用される参考図は添付の図面を言及している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例によるセンサカートリッジの断面図。
【図2】本発明のもう1つの実施例によるセンサカートリッジの断面図。
【図3】本発明の実施例によるセンサカートリッジの原理を説明する断面図。
【図4】本発明の実施例によるセンサカートリッジの原理を説明する上面図。
【図5】本発明の実施例によるセンサカートリッジの説明図。
【図6】右側はセンサカートリッジであり、中央は4つのGMR要素を有するセンサ基板であり、1つのGMR要素を有するセンサ基板の一部である。
【図7】本発明の実施例によるセンサカートリッジの説明図。
【図8】磁気保有場を持っている及び持っていない異なる時間のビーズの再分散の画像。
【図9】既知の磁気バイオセンサの原理を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、特定の実施例に関して説明されると共に、ある決まった図面を参照して説明されるが、本発明がこれらに限定されるのではなく、請求項によってのみ限定される。これら請求項における如何なる参照符号も本発明の範囲を限定すると解釈されない。描かれた図面は単なる概略図であり、限定されていない。これら図面において、幾つかの要素の大きさは、説明を目的とするために誇張され、縮尺通りに描かれていない。
【0045】
本明細書及び請求項において「有する」という用語が使用されている場合、それが他の要素又はステップを取り入れないことではない。物に言及するとき、それが複数あるような表現を用いていない場合、特段に述べていない限り、これが複数あることも含んでいる。
【0046】
さらに、明細書及び請求項において第1、第2、第3等の用語は、同様の要素を区別するために用いられ、必ずしも配列を時間的、空間的、順位付け又は何か他の方法で説明するために用いられているのではない。そのように使用される用語は、適切な環境下において互換性があり、ここに記載される本発明の実施例は、ここに記載又は説明された以外の配列で動作することが可能であることを理解すべきである。
【0047】
本明細書を通じて、「ある実施例」又は「1つの実施例」への言及は、本実施例に関連して記載される特定の特性、構造又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれていることを意味している。従って、本明細書にわたり様々な場所に「ある実施例において」又は「1つの実施例において」の表現が登場することは、必ずしも全て同じ実施例に言及していないが、言及する場合もある。その上、前記特定の特性、構造又は特徴は、この開示から当業者に明らかであるように、1つ以上の実施例において如何なる適切な方法で組み合わされてもよい。
【0048】
同様に、本発明の例示的な実施例の記載において、本発明の様々な機能は、本開示を合理化すること及び1つ以上の様々な発明性のある態様の理解を助けることを目的に、本発明の単一の実施例、図面又は明細書に時々グループ化される。しかしながら、本開示の方法は、請求される本発明が各請求項において明白に列挙された特性よりも多くの特性を必要とする意図を示していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明性のある態様は、単一の上述した実施例の全ての特性より少ないことにある。従って、詳細な説明に後続する請求項はこの詳細な説明に明らかに組み込まれ、各請求項は本発明の別々の実施例として自立している。
【0049】
その上、ここに記載される幾つかの実施例は、幾つかの特徴を含むが、他の実施例に含まれる他の特徴は含んでいない一方、別の実施例の特性の組み合わせは本発明の範囲内にあり、当業者により理解されるように、別の実施例を形成する。例えば、後続する請求項において、請求される実施例の何れかは、何らかの組み合わせで使用されることができる。
【0050】
ここに提供される記載において、多数の特定の詳細が述べられている。しかしながら、本発明の実施例は、これら特定の詳細を持たずに実施される。他の例では、よく知られた方法、構造及び技術は、この記述の理解を不明瞭にしないために詳細に示していない。
【0051】
次の用語又は定義は、本発明の理解を助けるためにただ単に提供される。これら定義は、当業者により理解されるよりも狭い範囲を持つと解釈されるべきではない。
【0052】
「プローブ」という用語は、本発明において、標的部分を特異的に結合する結合分子に関する。本発明の文脈内に想定されるプローブは、生物活性部分、例えばそれらに限定されないが、抗体全体、例えばFabの断片、scFv(single chain Fv)、単一変異性ドメイン、VHH、重鎖抗体(heavy chain antibody)、ペプチド、エピトープ、細胞膜受容体若しくは如何なる型の受容体又はそれらの一部、STE変異体(substrate-trapping enzyme mutant)のような抗体の断片、抗原分子全体(ハプテン)若しくは抗原の断片、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、ミモトープ、核酸及び/又はそれらの混合物を含み、これらは潜在的な標的部分に選択的に結合することが可能である。タンパク質又はペプチドと同様に、抗体は非タンパク性化合物に生じることができる。プローブは一般的に、結合対の部材と免疫反応性又は親和反応性の部材である。このプローブの性質は、検出されるべき標的部分の性質により決められる。通常、前記プローブは、例えばそれらに限定されないが、抗原抗体結合、相補ヌクレオチド配列、炭水化物レクチン、相補ペプチド配列、リガンド受容体、補酵素(コエンザイム)、酵素阻害酵素等のような標的部分との特異的相互作用に基づいて成長する。本発明において、プローブの機能は、標的部位の検出を可能にするためのこの標的部位との特異的相互作用である。従って、前記プローブは、例えば磁性粒子のような磁気又は磁化可能な物体に取り付けられる。このプローブは、例えば前記標的部位がタンパク質である場合、抗分析物性抗体(anti analyte antibody)とすることができる。代わりに、前記プローブは、例えば前記標的部分がヌクレオチド配列である場合、相補オリゴヌクレオチド配列とすることができる。
【0053】
本発明の第1の態様において、試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を決定するためのセンサカートリッジが提供される。このセンサカートリッジは、前記試料流体を受け入れるための反応室、並びにこの反応室内に置かれる少なくとも第1の領域及び第2の領域を有し、前記第2の領域は、前記第1の領域とは別個である。前記第1の領域は、第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第2の領域は、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第1及び第2の領域にある磁気又は磁化可能な物体は、前記試料流体により時間的に同時に直接接触することが可能である。前記センサカートリッジはさらに、前記磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するための少なくとも1つのセンサ要素を有する。本発明によれば、前記センサカートリッジは、少なくとも2つの異なる標的部分を区別して検出するのに適する。区別して検出する場合、少なくとも2つの異なる標的部分は異なる位置及び/又は異なる時間で検出されたことを意味している。本発明の実施例の何れかによるカートリッジは、交換可能又は使い捨てカートリッジでもよい。
【0054】
本発明の実施例によるセンサカートリッジは、異なる標的部分と、結果生じるセンサ信号に悪影響を及ぼす異なる標的同族体とが殆ど交差反応せずに、同じ流体試料にある少なくとも2つの異なる標的部分の存在を検出する及び/又は量を決定することを可能にする。交差反応する場合、A型の磁気又は磁化可能な物体がセンサ基板表面上に存在しているA型の標的同族体に特異的に結合し、B型の磁気又は磁化可能な物体が前記センサ基板表面上に存在しているB型の標的同族体に特異的に結合するとき、A型の磁気又は磁化可能な物体がB型の標的同族体に結合すること及び/又はその反対に結合し、それが歪んだ結果につながる。このような交差反応は本発明に従って減少する又はさらには防がれるので、本発明の実施例によるセンサカートリッジは、信頼できると共に効果的である。
【0055】
本発明の実施例によるセンサカートリッジは、例えば試料流体に存在している並びに磁気及び/又は磁化可能な物体で標識された標的部分を検出及び/又は定量化するための分子診断、生体試料分析又は化学試料分析に使用されることができる。前記標的部分は、分子種、細胞片、ウイルス等を含んでもよい。
【0056】
磁気標識の検出は、それら標識の磁気特性に基づいて行われる。代わりに、前記磁気標識は他の物理特性に基づいて検出されることが可能である。本発明はさらに、磁気センサ要素として例えばGMR要素のような磁気抵抗要素に基づいて、センサカートリッジを用いて記載される。しかしながら、これは多少なりとも本発明を制限していない。本発明は、磁性粒子の何らかの性質に基づいて、センサ基板表面上又はその近傍にある例えば磁性粒子のような、磁気又は磁化可能な物体の存在を検出する又は量を決定するのに適した如何なるセンサ要素を有するセンサカートリッジに適用される。例えば、前記粒子の検出は、磁気的方法(例えば磁気抵抗センサ要素、ホールセンサ、コイル)、光学的方法(例えばイメージング蛍光、化学発光分析、吸収、散乱、表面プラズモン共鳴、ラマン、FTIR(frustrated total internal reflection)となるエバネセント波による)音波方法(例えば弾性表面波、バルク音響波、カンチレバー(cantilever)、水晶振動子)、電気的方法(例えば伝導、インピーダンス、電流測定、酸化還元サイクル)、機械的方法(例えば共鳴のピークの変化又は弾性表面波のダンプを介する)を用いて行われる。本発明は、磁気標識を検出する上記検出方法の何れかに限定されるのではなく、磁気標識を検出するための何か他の方法と組み合わせて用いられることができる。
【0057】
本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジの表面は、ある標的部分を結合するように設計される被覆により修飾されるか、又は標的同族体とも呼ばれる分子を、試験されるべき試料流体に分散しているプローブで覆われた磁気標識を結合するのに適した被覆に取り付けることにより修飾されるかである。このようにして、前記センサカートリッジの表面又は少なくともその一部は、標的部分の固定化を可能にするための特異的な結合部位を形成するために、上記結合分子を用いて活性化される。このような結合分子は、当業者には既知であり、タンパク質、抗体、核酸(例えばDNA、RNA)、ペプチド、オリゴ若しくは多糖又は糖、小分子、ホルモン、薬物、代謝産物、細胞又は細胞片、組織、断片等を含む。このような分子は、スペーサー又はリンカー分子を用いて前記センサ基板表面に取り付けられてもよい。センサ基板表面上の結合部位は、分子を有機体(例えばウイルス若しくは細胞)又は有機体の断片(例えば組織片、細胞片、メンブレン)の形式で供給することもできる。
【0058】
標的部分は、試料流体において検出されるべきであり、これは、元の試料とすることもでき、又はセンサ装置に挿入される前に既に処理される(例えば希釈する、消化する、分解する、生化学修飾する、濾過する、緩衝液に溶解する)こともできる。元の流体は例えば唾液、痰、血液、血漿、細胞、間質液若しくは尿のような体液又は例えば飲料流体、環境流体若しくは試料の前処理から生じる流体のような他の流体とすることができる。この流体は、例えば生検、スツール、食料、食事、環境試料からの固形の試料物質の要素を構成することができる。
【0059】
本発明の実施例によるセンサカートリッジはその上、磁場発生器を有する。この磁場発生器は、内部又は外部磁場発生器でもよい。この後者の場合、この磁場発生器は、センサカートリッジを挿入するのに適した読み取り装置内に置かれてもよい。代わりに、磁場発生器が内部磁場発生器でもよい。この磁場発生器は、少なくとも1つの導体、例えば少なくとも2つの電線を有するか、又はアクチュエーションコイルにより形成されてもよい。磁場発生器は、例えばセンサカートリッジのセンサ基板の表面に結合されるような、センサ装置の反応室の前記第1及び第2の領域において、検出されるべき標的部分に取り付けられた、前記磁気又は磁化可能な物体を磁化するために使用される。前記磁気又は磁化可能な物体は好ましくは、磁性ナノ粒子であるが、標的部分に取り付けられる如何なる他の適切な磁化可能な物体でもよい。本発明はさらに、磁性粒子である前記磁気又は磁化可能な物体を用いて記載される。再び、これは単に説明を容易にするためだけであり、決して本発明を制限するのではない。前記磁気又は磁化可能な粒子は、例えば磁場において磁気モーメントを永久に又は一時的のどちらか一方で発生させる磁力の如何なる形式でもある、例えば磁性、反磁性、常磁性、超常磁性、強磁性のような1つ以上の磁性粒子又は磁化可能な粒子の如何なる適切な形式も含んでいる。好ましくは、これらの使用は永久磁石が用いられるときに起こり得る凝集問題を防ぐので、超常磁性粒子が使用される。適切な磁性粒子材料の例は、例えばFeである。この磁性粒子の大きさは、殆どの実施例において重要ではないが、好ましくはこの磁性粒子は、5nmから5000nmの間、さらに好ましくは30nmから1000nmの間、最も好ましくは80nmから500nmの間の範囲に最長寸法を持つ。
【0060】
本発明は、磁性ロッド、一連の磁性粒子又は例えば光学活性材料のような非磁性材料若しくは非磁性基質内にある磁性材料と同じく磁気を含む粒子のような複合粒子である磁気又は磁化可能な物体に該当する。
【0061】
特別の定めのない限り、磁気又は磁化可能な粒子という用語は、プローブに共有結合されていない、粒子、分子又は物質自身を言及している。この明細書において、例えば第1、第2等の型の磁性粒子のように磁性粒子の型を参照する場合、第1、第2等の型の標的部分夫々に特異的に結合する型のプローブに結合される又は被覆される磁性粒子である。
【0062】
図1は、本発明の第1の実施例によるセンサカートリッジ10を説明している。このセンサカートリッジ10は、反応室1を有する。この反応室1は、試験されるべき試料流体を受け入れるためであり、この試料流体は少なくとも2つの異なる標的部分を有する。この実施例に従って、前記反応室1は、第1の領域2及び第2の領域3を有し、この第2の領域3は、前記第1の領域2とは別個である。本発明の範囲が2つの別個の領域だけに限定されないことを述べておく。2つ以上の如何なる数の領域も本発明の範囲内である。前記第1の領域2は、第1の型の磁性粒子、すなわちこれら磁性粒子4aを第1の型の標的部分に特異的に結合するためであり、従ってセンサ基板8の表面に存在している第1の型の標的同族体にこれら磁性粒子4aを特異的に結合するための第1の型のプローブ(図示せず)で標識された磁性粒子4aを有する。この第1の型のプローブで標識された前記磁性粒子4aはさらに、前記第1の型の磁性粒子4aと呼ばれる。第2の領域3は、第2の型の磁性粒子、すなわちこれら磁性粒子4bを第2の型の標的部分に特異的に結合するためであり、従って前記センサ基板8の表面に存在している第2の型の標的同族体にこれら磁性粒子4bを特異的に結合するための第2の型のプローブ(図示せず)で標識された磁性粒子4bを有する。前記第2の型のプローブで標識された磁性粒子4bはさらに、前記第2の型の磁性粒子4bと呼ばれる。
【0063】
明細書に使用される「基板」という用語は、使用される如何なる下にある材料又は物質を含む、すなわちその上に装置、回路又はエピタキシャル層が形成される。この「基板」という用語は例えばドープされたシリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板のような半導体基板を含む。この「基板」は、半導体基板部分に加え、例えばSiO又はSi層のような絶縁層も含んでいる。従って「基板」という用語は、ガラス、プラスチック、セラミック、SOG(silicon-on-glass)、SOS(silicon-on-sapphire)基板も含んでいる。「基板」という用語は従って、関心のある層又は部分の下に横たわっている層に対する要素を一般的に規定するのに使用される。さらに、「基板」は、その上に層を形成する如何なる他の基部、例えばガラス又は金属層でもよい。
【0064】
この第2の実施例に従うと共に、図1から分かるように、前記第1及び第2の領域2、3並びにこれにより前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、前記反応室1の第1の側面に供給され、例えばGMR要素8aのような磁気センサ要素を有する前記センサ基板8は、前記反応室1の第2の側面に設けられ、前記第1及び第2の側面は、反応室1の中心又は中心線に対し互いに略対向している。
【0065】
第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは最も好ましくは、凍結乾燥された形式で供給される、すなわち真空でフリーズドライされ、さらに有機質部分、例えば基質成分(matrix component)を有してもよい。凍結乾燥された第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、様々な形態及び形状を持つ。凍結乾燥又はフリーズドライは、これら第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bの低反応性となり、従ってより長い保存寿命、すなわち向上する保管特性となる。前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、別々の受容体に保管される又は対応するセンサカートリッジ又はその一部に保管される。例示的な形状は、球形、略球形、楕円形又は円形構造を含む。本発明によれば、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、液滴形状でもよい。例示的な形態は、滑らか又は粗い表面を含んでいる。前記第1及び第2の型の凍結乾燥された磁性粒子4a、4bは例えば、10μmから300μmの間に直径を持つ。これら第1及び第2の凍結乾燥された磁性粒子4a、4bの大きさの分散度は好ましくは略単分散、すなわち数パーセント以内、好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満である。前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、単分散により形成され、略一様な形状及び大きさを持つ前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bとなる。
【0066】
本発明の実施例によれば、有機質部分、例えば基質成分は、1つ以上の糖、1つ以上のタンパク質又は1つ以上の重合体を有してもよい。任意には、前記有機質部分、例えば基質成分は、1つ以上の塩を有してもよい。上記糖は、例えばポリオール、単糖類、二糖類、オリゴ糖及び多糖類から成る族から選択されてもよい。例えば、これらは特に、スクロース、グルコース、トレハロース、メレジトース、デキストラン又はマンニトールから選択されることができる。好ましくは、前記基室成分の一部である前記1つ以上の糖は、ポリオール、二糖類及びオリゴ糖から成る族から選択される。幾つかの実施例に従って、トレハロース、マンニトール又はそれらの混合物が使用される。前記1つ以上の糖の1つの機能は、水溶性及び比較的非結晶基質成分を形成することである。非結晶基質成分は、結晶基質成分よりも早く溶解することを可能にし、従ってバイオ試薬の素早い利用可能性が好まれる又は必要とされる場合に好まれる第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを供給することを支援する。このような凍結乾燥された第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを使用する利点は、前記プローブが流体として搬送されるときに生じるよりもより早い混合が試料流体とプローブとの間に起こることである。もう1つの利点は、検定を実行するのに追加の流体は必要ないことである。これは、センサカートリッジ10の費用及びオペレータによる処理ステップ数を減少させる。
【0067】
上述したように、任意には、1つ以上の塩は、有機質部分、例えば基質成分の一部でもよい。これら1つ以上の塩は、例えばKCl及び/又はNaClでもよい。任意には、さらに1つ以上のタンパク質は、前記有機質部分、例えば基質成分に含まれてもよい。有機質部分、例えば基質成分の混合物に含まれるタンパク質の例は特に、BSA(Bovin Serum Albumin)、ゼラチン及びコラーゲンを有するが、これらに限定されない。前記タンパク質は、前記プローブを安定させ、凍結乾燥された第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bの保存寿命に良い影響をもたらす。
【0068】
凍結乾燥された第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、例えば前記凍結乾燥された第1及び第2の型の磁性粒子4a、4b夫々の構成要素を含む溶液を凍結媒体に落とすことにより形成され、その後前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを含む得られた凍結球体を凍結乾燥する。前記凍結乾燥された第1及び第2の磁性粒子4a、4bは、何らかの適切な微細堆積技術、例えば(予め形成された凍結乾燥された球体の場合)機械的な堆積、スポッティング(spotting)、ピペット操作(pipetting)又は印刷(例えばインクジェット印刷)により前記第1及び第2の領域2、3夫々に供給される。
【0069】
本発明の他の実施例によれば、凍結乾燥された形式の代わりに、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、例えばそれが多孔質層を形成するような多孔質物質に含まれてもよい。故に、前記第1の型の磁性粒子4aを有する多孔質層は、前記第1の領域2に設けられ、前記第2の型の磁性粒子4bを有する多孔質層は、前記第2の領域3に設けられる。これは、前記第1又は第2の型の磁性粒子4a、4bの層を堆積させることにより得られ、この層はさらに、例えば水及び/又は塩のような前記層の乾燥中に昇華する材料、例えば炭酸アンモニウムを有する。これにより得られる多孔質層は、ナノポーラス(nano-porous)又はマイクロポーラス(micro-porous)である。多孔性は、センサ装置の使用中、前記第1及び第2の磁性粒子4a、4bを解放するための成分の溶解を生じさせるのを支援する利点がある。
【0070】
さらに他の実施例によれば、前記第1の型の磁性粒子4aを有する1つ以上の層及び/又は前記第2の型の磁性粒子4bを有する1つ以上の層は、前記第1の領域2及び前記第2の領域3の夫々において互いの上部に堆積されることができる。
【0071】
本発明は、凍結乾燥された形式の又は多孔質層に含まれる磁性粒子4a、4bに限定されない。前記磁性粒子4a、4bは、長い保存寿命を可能にする何か他の適切な形式で存在することができる。例えば、前記粒子は簡単な乾燥した糖基質に存在することができる。
【0072】
前記センサカートリッジ10はさらに、反応室1に試料流体を供給するための注入口9及び試験が行われた後に前記反応室1から前記試料流体を取り除くための排出口11を有する。この排出口11は、前記反応室に空気が含まれるのを防ぐための通気口とすることもできる。
【0073】
本発明によれば、前記センサカートリッジ10は、第1及び第2の型の標的部分の存在及び/又は量を区別して決定するのに適している。本発明のこの第1の実施例によれば、前記第1及び第2の型の標的部分の存在及び/又は量の別個の決定は、前記第1の型の磁性粒子4a及び第2の型の磁性粒子4bを夫々第1の領域2及び第2の領域3から前記反応室1に選択して解放するための制御手段が存在することにより得られる。前記第1及び第2の領域2、3の各々に制御手段が設けられ、例えば電線により形成される磁場発生手段を有する。図1に説明される本発明の第1の実施例によれば、第1の型の磁性粒子4aを保持する及び前記第1の領域2から前記反応室1へ選択的に解放するための第1の電線6aが設けられ、並びに第2の型の磁性粒子4bを保持する及び前記第2の領域3から前記反応室1へ選択的に解放するための第1の電線6bが設けられる。
【0074】
上記実施例によれば、2つの異なる標的部分が試料流体、例えば唾液のような体液において検出されるとき、前記第1及び第2の異なる型の磁性流体4a、4bは、センサカートリッジ10の第1及び第2の領域2、3夫々の領域内又は領域上に存在している。前記第1及び第2の領域2、3は、反応室1の壁部内の体積でもよいし、又は反応室1の壁部上の面積でもよい。代わりに、前記領域は、センサ要素8a、8bの周りにある実際の検出領域の外側にあるセンサ表面5上の領域でもよい。体液、例えば唾液は、前記センサ基板8の表面5を介して前記反応室1に流入する。前記体液、例えば唾液が流れている時間中、制御手段、例えば電線6a、6bは、前記反応室1にある前記第1及び第2の領域2、3夫々において、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを保持するために、これら電線6a、6bを通る電流を送ることにより駆動する。本発明の実施例に従って、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、凍結乾燥又はフリーズドライされた磁性粒子4a、4bとして、例えば糖基質又は(例えば液体窒素の体積内に磁性粒子溶液をインクジェット印刷することにより、磁性粒子溶液の大きなプールから小さなアリコート(aliquote)をフリーズドライすることにより生じる)アキュスフィア(accu-sphere)の形式で供給されるとき、前記体液、例えば唾液は、凍結乾燥された磁性粒子4a、4bを有する前記基質と接している場合、この基質に溶解する。しかしながら、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bは、例えば電線6a、6bにより生じる磁場のような、制御手段の制御により、第1の領域2、第2の領域3夫々にいる。体液内に存在している前記第1及び第2の型の標的部分は、前記反応室1にある第1及び第2の領域2、3夫々において前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4b夫々と特異的に反応することがある。その後、前記体液の流れは止まり、前記制御手段は、例えば電線6a、6bにより生じた磁場がオフに切り替わるように、前記第1及び第2の領域2、3夫々から前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを解放するように操縦される。これは、前記第1及び第2の領域に対し同時に又は連続して行われる。前記制御手段は、例えば電線6a、6bを通る電流の流れをオフに切り替えるように、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを解放するように操縦されるとき、前記第1及び第2の標的部分夫々に取り付けられる第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを、これらが前記第1及び第2の型の標的同族体夫々に結合される前記センサ基板表面5の方に引き付ける他の磁場が生じる。前記磁性粒子4a、4bを前記センサ基板表面5の方に引き付けるための磁場は、例えば図1に示されるようなアクチュエーションコイル7aのような外部磁場発生手段により生じる。他の磁場コイル7bは、磁気洗浄ステップにおいて前記センサ基板表面5上で前記磁性粒子4a、4bをインキュベーションした後、B/F分離(bound-free separation)を達成するために存在している、言い換えると、特異的に結合していない磁性粒子4a、4bを前記センサ基板表面5から取り除くために存在している。アクチュエーションコイル7a、7bにより生じた磁場も前記磁性粒子4a、4bを磁化する。これにより前記磁性粒子4a、4bは磁気モーメントを生じる。このとき、磁気モーメントは、ドップラー磁場を生じ、この磁場はセンサ要素、例えばセンサカートリッジ10に組み込まれるセンサ基板8に存在しているGMR要素8aの位置に面内磁場成分を持つ。前記磁性粒子4a、4bは、アクチュエーションコイル7a、7bを通る電流により誘導される磁場により磁化され、磁場のx成分Hextとも呼ばれるセンサ要素、例えばGMR要素8aの感度x方向の磁場成分を生じる。この磁場のx成分Hextは、センサ基板8に存在している前記GMR要素8aにより検知され、その振幅は、センサ要素8aの位置における前記センサ基板8の表面5に存在している磁性粒子4a、4bの数に依存している。
【0075】
もう1つの実施例によれば、前記磁性粒子4a、4bを磁化するのに必要な磁場は、センサ要素8aの一部であるオンチップ電線、すなわちセンサ基板8上又は基板内に置かれる電線を通る電流を送ることにより生じることができる。この後者の方法の利点は、GMRセンサ要素8aの大きい1/fノイズ成分を避けるために、磁場に対し高い変調周波数、すなわち約10kHzから100MHzの間、好ましくは約100kHzから10MHzの間の周波数が使用されることができる。
【0076】
前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを前記第1及び第2の領域2、3夫々から解放することは、制御された方法で行われる。従って、前記第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを前記第1及び第2の領域2、3夫々から解放することは、一連の方法で行われる。これを以下に説明する。
【0077】
本発明の実施例によれば、センサカートリッジ10は、例えばセンサ基板8にあるGMR要素8aのようなセンサ要素の数とは異なる数の領域2、3を反応室1に有する。これら実施例によれば、異なる型の標的同族体は、例えばGMR要素8aのようなセンサ要素の各々の位置にあるセンサ基板8の表面5に供給される。
【0078】
図1において、前記センサカートリッジ10が前記第1及び第2の領域2、3並びに1つのセンサ要素、例えばGMR要素8aを有する例が与えられる。図1に与えられる例において、これは、第1及び第2の標的部分に結合するための第1及び第2の型の磁性粒子4a、4bを有する2つの領域2、3が存在しているが、GMR要素8aは一つしかないので、センサ基板8に設けられる例えばGMR要素8aのようなセンサ要素の位置にあるセンサ基板表面5に2つの異なる標的同族体が供給されることを意味している。
【0079】
故に、最初に前記第1の型の磁性粒子4aは、例えば電線6aにより生じる磁場をオフに切り替えるように、前記制御手段を適切に操縦することにより前記第1の領域2から解放される。前記第1の標的部位に取り付けられた前記第1の磁性粒子4aは、センサ基板表面5において夫々の標的同族体に結合するために、前記センサ基板表面5の方に引き付けられ、前記アクチュエーションコイル7a、7b又は代替的にオンチップ電線により生じる磁場を用いて作動する。センサ基板表面5において、第1の標的部位に取り付けられた前記第1の磁性粒子4aは、前記第1の標的部位に対し特異的である第1の型の標的同族体に結合される。前記センサ基板表面5に結合された第1の型の磁性粒子4aの量を表す第1のセンサ信号が前記GMR要素8aにより供給される。前記第1の型の磁性粒子4aは、アクチュエーションコイル7aにより生じる磁場をオフに切り替えること及び/又はアクチュエーションコイル7bをオンに切り替えることにより洗浄ステップを実行することにより、前記センサ基板表面5から取り除かれる。
【0080】
次のステップにおいて、前記制御手段は、前記第2の型の標的部分に取り付けられた前記第2の型の磁性粒子4bを選択的に解放するために、例えば電線6bを通る電流の流れをオフに切り替えるように適切に操縦される。前記第2の型の磁性粒子4bを前記センサ基板表面5の方に引き付けるための磁場を生じさせるアクチュエーションコイル7aがオンになり、これにより前記センサ基板表面5に存在している前記第2の型の標的同族体にこれら粒子を結合することを可能にする。前記GMR要素8aの第2の信号は、前記センサ基板表面5に結合される第2の型の磁性粒子4bの量を表す。
【0081】
他の実施例によれば、前記制御手段は、例えば第2の電線6bを通る電流の流れがオフに切り替わるように適切に操縦され、前記第2の型の磁性粒子4bが前記第2の型の標的同族体に結合するために前記第2のセンサ基板表面5に引き付けられる一方、前記第1の磁性粒子4aは依然として前記センサ基板表面5に結合されている。標的同族体は一般に標的部分の予測される濃度に対し過剰に供給されるので、前記第1の型の磁性粒子4aの幾つかが誤って前記第2の型の標的同族体に結合されたとしても、前記第2の標的部分を結合するのに十分な標的同族体が常に残っている。前記第2の型の磁性粒子4bを前記センサ基板表面5に結合することが前記センサ信号を変化させる。前記第2の型の磁性粒子4bが前記センサ基板表面5に結合している間、第1の標的同族体の全てが前記第1の磁性粒子4aに取られない場合、前記センサ基板表面5に存在している前記第1の標的同族体との交差反応が生じてもよい。前記センサ信号の変化の値は、前記センサ基板表面5に結合される第2の型の磁性粒子の量に対する測定値である。
【0082】
しかしながら、本発明の実施例によれば、前記センサカートリッジ10は、反応室1がGMR要素8a、8b、…を有するので、前記反応室1に同数の領域2、3を有する。例えば、第1及び第2の領域2、3が第1及び第2の型の磁性粒子4a、4b夫々を有する反応室1に設けられるとき、これら実施例に従って、第1及び第2のGMR要素8a及び8bは、前記センサ基板8に供給される(図2参照)。前記センサ基板表面5は、第1のGMR要素の位置において第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型の標的同族体を有すると共に、第2のGMR要素の位置において第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型の標的同族体を有する。これら実施例によれば、前記制御手段は、前記第1の型の磁性粒子4aを前記反応室1内に選択的に解放するために、例えば電線6aを通る電流の流れが最初にオフに切り替わるように、適切に操縦される。前記アクチュエーションコイル7aがオンに切り替わるとき、前記第1の型の標的部分に取り付けられた前記第1の型の磁性粒子4aは、前記センサ基板表面5の方に引き付けられ、前記第1の型の磁性粒子4aを前記第1の型の標的同族体に結合することを可能にする。前記磁性粒子4aもこの磁場により磁化され、第1のGMR要素8aは、この第1のGMR要素8aの位置において前記センサ基板表面5に結合される第1の磁性粒子4aの量を表すセンサ信号を供給する。しかしながら同時に、第2のGMR要素8bがこの第2のGMR要素8bの位置において前記センサ基板表面5に存在している前記第2の標的同族体に誤って又は交差反応して結合される前記第1の磁性粒子4aの量を表すセンサ信号も供給する。この信号はさらに、第2のGMR要素8bの部分信号とも呼ばれる。次いで、前記制御手段は、前記第2の磁性粒子4bを前記第2の領域3から反応室1内へ選択的に解放するために、例えば電線6bを通る電流の流れをオフに切り替えるように、適切に操縦される。アクチュエーションコイル7aをオンに切り替えた後、前記第2の型の標的部分に取り付けられた前記第2の型の磁性粒子4bは、これら粒子が第2のGMR要素8bの位置において第2の型の標的同族体に結合することができる前記センサ基板表面5の方に引き付けられる。前記第2のGMR要素のセンサ信号は、前記センサ基板表面5に結合される前記第2の型の磁性粒子4bの量に依存して変化する。このセンサ信号は、第2のGMR要素8bの全体信号と呼ばれる。前記第2のGMR要素8bの全体信号と前記第2のGMR要素8bの部分信号との間の差は、前記センサ基板表面5に結合される第2の型の磁性粒子4bの量に対する測定値である。
【0083】
これら実施例によれば、交差反応の発生が(一連の方法で)測定され、適切なアルゴリズムの使用を補償することができる。
【0084】
上述した実施例によれば、第1及び第2の領域2、3を有する前記センサカートリッジ10は単なる例であり、本発明を決して制限するとは意味していないと理解されるべきである。本発明の実施例によるセンサカートリッジ10の反応室1は、何らかの適切な数の領域2、3を有する。前記反応室1内に存在している領域の数は、試料流体に存在している異なる型の標的部分の数に等しい。
【0085】
その上、前記センサカートリッジ10は、如何なる数のセンサ要素、例えばGMR要素8a、8bを有してもよい。好ましくは、既に説明したように、センサ(例えばGMR)要素8a、8bの数は、反応室1にある領域2、3の数に等しく、従って試料流体に存在している異なる型の標的部分の数に等しい。その上、前記センサカートリッジ10は、2つ以上の制御手段を有し、反応室1に設けられる複数の領域2、3の各々に対し1つである。
【0086】
本発明の第2の実施例によれば、前記センサカートリッジ10は、この実施例に従って、センサカートリッジ10自身の構成により、交差反応の可能性が減少する及び/又は最小にされるので、交差反応による歪みを殆ど受けない結果生じる信号を示す。この実施例によれば、前記センサカートリッジ10は、反応室1がGMR要素8a、8b、…を有するので、前記反応室1に存在している同数の領域2、3を有する。この第2の実施例によれば、前記第1及び第2の型の標的部分の存在及び/又は量の別個の決定は、前記異なる型の標的部分を特異的に結合するために、異なる型の磁性粒子4a、4bを有する異なる領域2、3が前記異なる型の標的部分を特異的に結合するために、異なる型の標的同族体を有する対応するGMR要素8a、8bの略上に置かれるという事実により得られる。「略上」は前記異なる領域2、3が対応するGMR要素8a、8bとの重複Oを示すことを意味している場合、この重複Oは、GMR要素8a、8bが平面に横たわっている場合、これらGMR要素8a、8bの前記平面に略垂直な方向に前記領域2、3を関連するGMR要素8a、8bへ投影することにより規定される。好ましくは、領域2、3と前記対応するGMR要素8a、8bとの間の重複Oは、例えば前記領域2、3の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、もっと好ましくは95%及び最も好ましくは100%が前記対応するGMR要素8a、8bと重複することである。前記第2の実施例の原理は、本発明のこの実施例に従って前記センサカートリッジ10の断面図及び平面図を夫々示す図3及び図4に説明される。図4の右側にある小さな正方形15は、前記センサ基板8を(携帯型の)読み取り装置に結合するための電気接点を示す。
【0087】
再び、この第2の実施例及び第1の実施例の類似例において、異なる種類の磁性粒子4a、4bは、GMR要素8a、8bが置かれる反応室1の側面とは略反対側の前記反応室1の側面に供給される。その上、この第2の実施例によれば、前記異なる型の磁性粒子4a、4bは、第1の実施例に類似して、最も好ましくは凍結乾燥された形式で供給される。他の実施例によれば、前記異なる型の磁性粒子4a、4bは、1つの多孔質層又は複数の多孔質層に供給される。
【0088】
センサカートリッジ10はさらに、反応室1に試料流体を供給するための注入口9及び試験が行われた後に前記反応室1から前記試料流体を取り除くためであり、又は前記センサカートリッジ10が前記試料流体で満たされているとき空気を解放するための排出口を有する。
【0089】
(本実施例には図示されないが、図1及び図2に説明される実施例に類似している)底部コイル7aが作動する際、前記異なる型の磁性粒子4a、4bは、夫々の領域2、3から解放され、前記センサ基板表面5の方に向けられる。前記センサ基板表面5は、前記第1のGMR要素8aにおいて第1の型の標的同族体を有し、前記第2のGMR要素8bにおいて第2の型の標的同族体を有する…等である。他の磁気コイル7bは、図1及び図2に示される実施例と類似して、磁気洗浄ステップにおいて、前記センサ基板表面5上において前記磁性粒子4a、4bをインキュベーションした後、B/F分離を達成するために、言い換えると、特異的に結合していない磁性粒子4a、4bを前記センサ基板表面から取り除くために、前記センサカートリッジ10の上面に存在している。
【0090】
この第2の実施例によれば、対応するセンサ要素8a、8b…から離れて拡散する磁性粒子4a、4bの数は少ないので、交差反応は減少する。磁性粒子4a、4bがある時間に航行する平均的な拡散の長さ又は距離xは以下のように与えられる。
【数1】

【0091】
例えば300nmの直径を持つ磁性粒子は、ブラウン運動により平均で10.5μm航行する。
【0092】
従って、好ましくは、隣接する領域2、3の間の距離は、前記第1の型の磁性粒子4aが前記第2のGMR要素8a(又はその逆)に結合するのを避けるために、1mPaの範囲に粘性を持つ試料において300nmの直径又は大きさを持つ粒子に対し、10μmから1000μmの間、より好ましくは50μmから500μmの間、最も好ましくは100μmから250μmの間である。前記拡散の長さは、粒子の大きさ及さ試料流体の粘性に依存していることに注意すべきである。例えば、300nmよりも大きな磁性粒子4a、4bが使用されるとき、前記拡散の長さは上に計算されるように、10.5μmよりも小さくなる。
【0093】
前記第2の実施例によれば、領域2、3の各々に制御手段を設けることにより、前記交差反応はさらに減少する。第1の実施例において説明したように、前記制御手段は、例えば電線のような磁場発生手段でもよい。これは、本発明の第2の実施例に従うセンサカートリッジ10の平面図を説明している図5に描かれている。図5に与えられる例によれば、前記センサカートリッジ10は、4つの領域2、3、12、31を有し、これら領域2、3、12、13が対応するセンサ要素、例えば上述したようなGMR領域8a−dの略上に置かれるように、4つのセンサ要素、例えばGMR要素8a−dを有する。この例によるセンサカートリッジ10はさらに、4つの制御手段、説明される例において電線6a−dを有し、前記領域2、3、12、13の各々に対し1つの電線、6a、6b、6c又は6dを有する。前記電線6a−dは、前記反応室1のセンサ側とは反対側、言い換えるとセンサ要素8a−dが置かれる反応室1の側面とは反対側にある前記反応室1の上蓋に置かれることができる。これら電線6a−dは、センサ要素、例えばGMR要素8a−dに揃えられている。前記異なる型の磁性粒子4a、4bは、第1の実施例において既に論じ、この実施例の前に既に述べられたように、前記センサ要素、例えばGMR要素8a−dが供給される反応室1の側面とは反対側の前記反応室1の側面にある領域2、3、12、13に供給される。
【0094】
第1から第4の領域2、3、12、13に対応する電線6a−dの局所的な磁場勾配による力は、そうしなければ、ある領域(例えば領域2)から磁性粒子4a、4bを解放し、これら粒子を前記センサ基板表面5の方に引き付けるとき、幾つかの領域(例えば領域3、12、13)にある磁性粒子4a、4bの保持ができないので、前記底部から印加される作動場(actuation field)による力よりも強くなければならない。
【0095】
図6は、センサカートリッジ10(右図)、4つのGMR要素8a−d及び4つの電線16a−dを有するセンサ基板8(中央図)、並びに1つのGMR要素8a及び1つの電線6aを有するセンサ基板8の一部を説明している。これら電線16a−dは、検出するために前記磁性粒子4a、4bを磁化するのに使用されることに注意されたい。この設計において、前記電線16a−dは、磁性粒子4a、4bの制御された解放を目的とするのものではない。一般的に、磁性粒子保持線6a−dは前記反応室1の他方の側面に置かれる。しかしながら、前記センサ基板8は、磁性粒子の保持及び制御される解放を実施する追加の線6a−dを有してもよい。1つの可能な実施例において、これら線6a−dは、検出に必要とされる励起線16a−dとは別でもよい。他の実施例において、これら線6a−dは、線16a−dと同じでもよい。
【0096】
別の実施例によれば、試料流体の流れは、前記電線6a−d及びGMR要素8a−dに平行であるか、又は電線6a−d及びGMR要素8a−dに垂直であるかのどちらか一方にすることができる。ある実施例よれば、前記流体の流れは、前記センサ要素8a−d及び電線6a−dに揃えられてもよい。この実施例によれば、電線6a−dと揃えられたサブチャンネル構造が示されてもよい。異なる型の磁性粒子4a、4bの各々は、流体容器1に存在している前記サブチャンネルの1つに位置決められることができる。
【0097】
上述した実施例において、夫々の領域2、3、12、13から前記異なる型の磁性粒子4a、4bを選択的に解放するための電線6a−dは、前記センサカートリッジ10の使い捨て部分の内側に置かれる。これは欠点である。従って、本発明の実施例に従って、夫々の領域2、3、12、13から異なる型の磁性粒子4a、4bを夫々選択的に解放するための磁場発生手段(例えば電線6a−d)も使い捨てではない読み取り装置に置かれる。
【0098】
他の実施例によれば、代替的に前記領域2、3、12、13は、前記センサ要素8a−dの周りにある実際の検出領域の外側にある前記センサ基板表面5上に置かれる領域2、3、12、13であることにも注意すべきである。故に、これら実施例によれば、前記領域2、3、12、13は、例えばGMR要素8a−dのようなセンサ要素が置かれる場所として、前記反応室1の同じ側面に置かれてもよい。これら実施例による前記センサカートリッジ10は、異なる型の磁性粒子4a、4bを前記領域2、3、12、13から解放するための制御手段を有し、前記異なる型の磁性粒子4a、4bの解放は、前記第1及び第2の実施例に対し述べたように、前記磁性粒子4a、4bの解放と類似している。
【0099】
本発明の第3の実施例によれば、前記制御手段又は磁場発生手段、例えば電線は、例えばGMR要素8a−dのようなセンサ要素が置かれ、GMRセンサダイス(GMR sensor die)8とも呼ばれる、センサ基板8に組み込まれる。この実施例によれば、異なる型の磁性粒子4a、4b、4c、4dは、例えばインクジェット印刷を用いてセンサ要素、例えばGMR要素8a−dに又は要素の隣に局所的に印加されてもよい。これは図7に説明されている。故に、第1の型の磁性粒子4aは、GMR要素8aのような第1のセンサ要素の位置に又はその位置の隣においてセンサ基板表面5に供給され、第2の型の磁性粒子4bは、GMR要素8bのような第2のセンサ要素の位置に又はその位置の隣においてセンサ基板表面5に供給され、第3の型の磁性粒子4cは、GMR要素8cのような第3のセンサ要素の位置に又はその位置の隣においてセンサ基板表面5に供給され、第4の型の磁性粒子4dは、GMR要素8dのような第4のセンサ要素の位置に又はその位置の隣においてセンサ基板表面5に供給される等である。故に、この第3の実施例によれば、前記第1、第2、…の領域2、3、12、13は、前記GMR要素8a−dが置かれる場所として前記反応室1の同じ側面に置かれる。
【0100】
この第3の実施例よれば、第1、第2、…の型の標的部分の存在及び/又は量の別個の決定は、第1の型の磁性粒子4a、第2の型の磁性粒子4b、…を第1の領域2、第2の領域、…の夫々から反応室1へ選択的に解放するための制御手段が存在することで得られる。これは、異なる型の磁性粒子4a、4b、4c、4dを夫々の領域2、3、12、13から選択的に解放するための制御手段、例えば電線のような磁場発生手段により得られる。前記磁性粒子4a、4b、4c、4dの選択的の解放に必要とされる電線6a−dは、前記印刷処理中に作動するためにも必要とされる。このようにして、磁性粒子4a、4b、4c、4dは、前記電線6a−dが前記磁性流体4a、4b、4c、4dの印加中に活性化されるとき、正しい位置に搬送されることができる。磁性粒子4a、4b、4c、4dの解放と後続するセンサ基板表面5への引き付けとの間の時間は、0秒から600秒の範囲にすることができ、好ましくは1秒から50秒の間である。
【0101】
この実施例の利点は、前記電線6a−dが例えばGMRセンサダイス8のような前記センサダイスに組み込まれるので本発明が容易に実施されることが可能なことである。しかしながら、この方法の欠点は、磁性粒子4a、4b、4c、4dは、全試料流体と接触しないことである。これにより、標識抗体を用いて前記試料から、薬物検出の場合に試験の再現性が必要であると示される、前記標的部分の事前のインキュベーションは、効果が小さい。
【0102】
センサカートリッジ10及び本発明の実施例による方法は、生物学的検定に有利に使用される。生物学的検定において磁気標識の使用は、多くの理由により好都合である。
【0103】
磁性粒子4a、4bは、試料流体において乾燥状態で再分散されることができる。例えば、再分散は、磁性粒子4a、4bを磁気的に撹拌することにより生じることができる。試料体積の至る所での前記磁性粒子4a、4bの再分散は、拡散距離が小さいまま保たれるので、生体反応の速度を上げる。
【0104】
標的分子に結合される磁性粒子4a、4bは、前記センサ表面5に引き付けられ、これにより、前記センサ表面5における標的の濃度を増大させる。再び、磁性粒子4a、4bは、生体結合を生じさせるために、磁場を用いて撹拌されることができる。
【0105】
前記センサ表面5に特異的に結合しなかった磁性粒子4a、4bは、例えば磁場によってこれら磁性粒子を前記センサ表面5から離れるように引き寄せることにより、洗い落とされる。磁気的に引き寄せることは、検定結果に関し低いばらつきとなるように、正確に制御されることができる。その上、複雑な流体洗浄ステップの必要を取り除く。
【0106】
図8において、異なる時点の磁性粒子の再分散の画像が示される。左側にある画像は、磁気保有場を印加せずに磁性粒子が流体と接触したときの磁性粒子の再分散を示す。中央及び右側にある画像は、本発明の実施例に従って保有場の存在下で磁性粒子が再分散している間の画像を示す。これら図面は、保有場を印加することなく、磁性粒子4a−dが素早く、すなわち15秒以内に再分散する一方、保有場を印加する場合、前記磁性粒子4a−dは、長時間、すなわち少なくとも27秒までこれら磁性粒子の初期の位置に保たれる。ある(右側にある第1の、t=26秒の)画像は拡大図であり、この図から磁性粒子は、印加された保有場の磁力線に沿って鎖を形成していることが観察される。この図にあるこれら画像は、本発明の考えを適用することにより、乾燥状態で磁性粒子4a−dの再分散を制御する可能性を証明している。
【0107】
本発明の実施例による試料流体に存在している第1及び第2の標的部分の区別した検出は、
−反応室1に試料流体を供給するステップ、
−第1の型の磁性粒子4aを第1の領域2から反応室1に解放するステップ、
−一般に10秒から600秒までを範囲とするある時間、任意にインキュベーションを行い、前記第1の標的部分が前記第1の型の磁性粒子4aの抗体に結合することができるステップ、
−前記第1の型の標的部分に取り付けられた前記第1の型の磁性粒子4aをセンサ基板表面5の方に引き付けるための磁場勾配を印加するステップ、
−ある時間インキュベーションを行い、前記標的部分を所持しない磁性粒子4aは、前記センサ基板表面5上にある第1の型の標的同族体に結合することが可能であるステップ、
−適切な作動場を印加することにより結合されていない磁性粒子を取り除くステップ、
−前記センサ基板表面5に結合された前記第1の型の磁性粒子4aの量を表すセンサ信号を測定するステップ、
−前記試料流体に存在している第1の標的部分の存在及び/又は濃度を前記センサ信号から決定するステップ、
−前記結合した第1の型の磁性粒子4aを任意に洗い落とすステップ、
−第2の型の磁性粒子4bを第2の領域3から前記反応室1に解放するステップ、
−ある時間、任意にインキュベーションを行い、前記標的部分が前記第2の型の磁性粒子4bにある抗体に結合することができるステップ、
−前記第2の型の標的部分に結合されている前記第2の型の磁性粒子4bを前記センサ基板表面5の方に引き付けるための磁場勾配を印加するステップ、
−ある時間、任意にインキュベーションを行い、前記第2の型の磁性粒子4bが前記センサ基板表面5にある前記第2の標的同族体に結合することができるステップ、
−結合されていない磁性粒子4bを洗い落とすステップ、
−前記センサ基板表面5に結合した前記第2の型の磁性粒子4bの量を表すセンサ信号を測定するステップ、並びに
−前記試料流体に存在している前記第2の標的部分の存在及び/又は濃度を前記センサ信号から決定するステップ
により実行される。
【0108】
本発明の実施例によれば、分子検定に加え、より大きな部分、例えば細胞、ウイルス又は細胞若しくはウイルスの断片、組織抽出等も検出されることができる。前記センサ基板表面5に関して、前記センサ要素8a−dの走査の有無にかかわらず検出が起こり得る。
【0109】
測定データは、信号を動力学的又は間欠的に記録するのと同様に、終点測定として得られることができる。
【0110】
本発明の実施例によるセンサカートリッジ10は、幾つかの生化学検定型、例えば結合/分離検定、サンドイッチ検定、競合検定、置換検定、酵素的検定等と共に用いられることができる。
【0111】
本発明の実施例によるセンサカートリッジ10は、センサ多重化(すなわち異なるセンサ及びセンサ表面の併用)、標識多重化(異なる型の標識又は磁気若しくは磁化可能な物体4a、4bの併用)並びに反応室多重化(異なる反応室の併用)に適している。
【0112】
本発明の実施例によるセンサカートリッジ10は、小さな試料体積に対し、素早い、ロバストな及び使いやすいPoC(point-of-care)バイオセンサとして用いられることができる。前記反応室は、1つ以上の磁場発生手段及び1つ以上の検出手段を含んでいるコンパクトな読み取り器と共に用いられる使い捨てアイテムとすることができる。さらに、本発明の実施例によるセンサカートリッジ10は、自動化されたハイスループット試験にも使用されることができる。この場合、例えば前記反応室は、自動化された機器に勘合するウェルプレート又はキュベットでもよい。
【0113】
本発明の実施例によるセンサカートリッジ10が使用される特定の例は、唾液にある乱用薬物を検出するためである。例えば、前記センサカートリッジ10は、(呼吸法試験に類似している)トラフィックに使用され、例えば1分以内に注目すべき唾液試料に5つまでの薬物の存在を検証することが可能でなければならない。この目的のために、前記テストは、信頼性があり、使いやすくあるべきことは明らかである。
【0114】
材料と同じく、好ましい実施例、特異的な構成及び構造が本発明による装置に対し論じられたとしても、形状及び細部における様々な変更又は修正が本発明の範囲及び意図から外れることなく行われてもよいと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料流体に存在している少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を決定するためのセンサカートリッジであり、
−前記試料流体を受け入れるための反応室、
−前記反応室に置かれる少なくとも第1の領域及び第2の領域であり、前記第2の領域は前記第1の領域とは別個であり、前記第1の領域は、第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第2の領域は、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第1及び第2の領域にある前記磁気又は磁化可能な物体は、前記試料流体により直接接触することが可能である、前記反応室に置かれる少なくとも第1及び第2の領域、並びに
−磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するための少なくとも1つのセンサ要素
を有するセンサカートリッジにおいて、
前記センサカートリッジは、前記少なくとも2つの異なる標的部分を区別して検出するのに適しているセンサカートリッジ。
【請求項2】
前記センサカートリッジは、前記反応室にある前記少なくとも第1及び第2の領域から標識された磁気又は磁化可能な物体を選択的に解放するための制御手段を有する請求項1に記載のセンサカートリッジ。
【請求項3】
前記制御手段は、磁場発生手段により形成される請求項2に記載のセンサカートリッジ。
【請求項4】
前記磁場発生手段は、少なくとも1つの電線により形成される請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記センサカートリッジは複数の領域を有し、制御手段は各領域に設けられている請求項2、3又は4に記載のセンサカートリッジ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ要素は、前記反応室の第1の側面に置かれ、前記少なくとも第1及び第2の領域は、前記反応室の第2の側面に形成され、前記第2の側面は前記第1の側面の略反対側にある請求項2乃至5の何れか一項に記載のセンサカートリッジ。
【請求項7】
前記センサカートリッジは、多数の領域及び多数のセンサ要素を有し、前記領域の数は、前記センサ要素の数と異なる請求項2乃至6の何れか一項に記載のセンサカートリッジ。
【請求項8】
前記センサカートリッジは、多数の領域及び多数のセンサ要素を有し、前記領域の数は、前記センサ要素の数に等しい請求項2乃至6の何れか一項に記載のセンサカートリッジ。
【請求項9】
前記センサ要素は平面に横たわり、前記領域の各々は、夫々のセンサ要素との重複を示し、前記重複は、前記センサ要素の前記平面に略垂直な方向に前記領域を前記センサ要素へ投影することにより規定される請求項8に記載のセンサカートリッジ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ要素は、前記反応室の第1の側面に置かれ、前記少なくとも第1及び第2の領域は、前記反応室の第2の側面に形成され、前記第2の側面は、前記第1の側面に等しい請求項1乃至5の何れか一項に記載のセンサカートリッジ。
【請求項11】
前記センサカートリッジは、少なくとも第1及び第2のセンサ要素を有し、前記第1の領域は、前記第1のセンサ要素上に形成され、前記第2の領域は、前記第2のセンサ要素上に形成される請求項10に記載のセンサカートリッジ。
【請求項12】
前記少なくとも第1及び第2の領域にある前記標識された磁気又は磁化可能な物体は凍結乾燥されている請求項1乃至11の何れか一項に記載のセンサカートリッジ。
【請求項13】
前記センサカートリッジは、使い捨てセンサカートリッジである請求項1乃至12の何れか一項に記載のセンサカートリッジ。
【請求項14】
前記使い捨てセンサカートリッジは、読み取り装置に挿入されるように適合し、前記読み取り装置は、前記使い捨てセンサカートリッジの異なる領域に置かれる磁気又は磁化可能な物体を、制御された方法で引き付ける及び解放するための磁場発生手段を有する請求項13に記載のセンサカートリッジ。
【請求項15】
前記磁場発生手段は、電磁コイルにより形成される請求項14に記載のセンサカートリッジ。
【請求項16】
分子診断、生体試料分析又は化学試料分析における請求項1乃至15の何れか一項に記載のセンサカートリッジの使用。
【請求項17】
唾液内の薬物乱用の存在を決めるための請求項1乃至15の何れか一項に記載のセンサカートリッジの使用。
【請求項18】
センサカートリッジを製造する方法において、
−試料流体を受け入れるための反応室を設けるステップ、
−前記反応室にある少なくとも第1の領域及び第2の領域を設けるステップ、
−第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を前記第1の領域に供給し、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を前記第2の領域に供給するステップ、並びに
−前記磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するための少なくとも1つのセンサ要素を供給するステップ、
を有する方法。
【請求項19】
前記方法はさらに、前記反応室にある前記少なくとも第1及び第2の領域から標識された磁気又は磁化可能な物体を選択的に解放するための制御手段を設けるステップを有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記制御手段を設けるステップは、前記少なくとも第1及び第2の領域の各々に制御手段を設けるステップを有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記センサカートリッジは、平面に横たわっている少なくとも第1及び第2のセンサ要素を有し、前記反応室に少なくとも第1の領域及び第2の領域を設けるステップは、前記第1及び第2の領域が、前記第1及び第2のセンサ要素夫々との重複を示し、前記重複は、前記センサ要素の平面に略垂直な方向に前記第1及び第2の領域を前記センサ要素へ投影することにより規定される請求項18、19又は20に記載の方法。
【請求項22】
磁気又は磁化可能な物体を供給するステップは、凍結乾燥された磁気又は磁化可能な物体を供給することにより行われる請求項18乃至21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
試料流体における少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を決定するための方法において、
−前記試料流体を受け入れるための反応室、磁気又は磁化可能な物体の存在を検知するために、センサ基板に置かれる少なくとも1つのセンサ要素、並びに前記反応室に置かれる少なくとも第1の領域及び第2の領域を有するセンサカートリッジに、少なくとも2つの異なる標的部分を有する試料流体を供給するステップであり、前記第2の領域は前記第1の領域とは別個であり、前記第1の領域は、第1の型の標的部分を特異的に結合するための第1の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第2の領域は、第2の型の標的部分を特異的に結合するための第2の型のプローブで標識された磁気又は磁化可能な物体を有し、前記第1及び第2の領域にある前記磁気又は磁化可能な物体は、前記試料流体により直接接触することが可能であるステップ、
−標識された磁気又は磁化可能な物体を前記少なくとも第1及び第2の領域から前記少なくとも1つのセンサ要素に選択的に供給するステップ、
−前記少なくとも1つのセンサ要素を用いてセンサ信号を測定するステップ、並びに
−前記測定されたセンサ信号から、前記センサ基板の表面に結合された少なくとも2つの異なる標的部分の存在及び/又は量を区別して決定するステップ、
を有する方法。
【請求項24】
標識された磁気又は磁化可能な物体を前記少なくとも第1及び第2の領域から前記少なくとも1つのセンサ要素へ選択的に供給することは、標識された磁気又は磁化可能な物体を前記反応室にある前記少なくとも第1及び第2の領域から選択的に解放することにより得られる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記センサカートリッジは、当該センサカートリッジがセンサ要素を有するのと同じ数の領域を有し、前記センサ要素は平面に横たわり、標識された磁気又は磁化可能な物体を前記少なくとも第1及び第2の領域から前記センサ要素へ選択式に供給することは、異なるセンサ要素と重複している各領域により得られ、前記重複は、前記センサ要素の前記平面に略垂直な方向に前記第1及び第2の領域を前記センサ要素へ投影することにより規定される請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記センサカートリッジは、磁気センサ要素を有し、前記方法はさらに、前記少なくとも1つのセンサ要素を用いてセンサ信号を測定する前に、前記標識された磁気又は磁化可能な物体を磁化するステップを有する請求項23乃至25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
分子診断、生体試料分析又は化学試料分析における請求項23乃至26の何れか一項に記載の方法の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−540888(P2010−540888A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516633(P2010−516633)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052844
【国際公開番号】WO2009/013668
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】