説明

センサチップとこれを用いる測定器及び血液検査装置

【課題】余剰血液を容易に処理することができるセンサチップを提供する。
【解決手段】センサチップ11は、板体状の基体15と、基体15の厚み方向に設けられるとともに測定用の血液が流入する流入口20と、流入口20に連通した供給路21と、供給路21に設けられた検出電極17,18,19と、を備えている。基体15には、余剰血液を吸引するとともに、吸引した余剰血液を貯える余剰血液貯留部25が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値等を測定するセンサチップとこれを用いる測定器及び血液検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のセンサチップとこのセンサチップを用いた血液の検査方法について説明する。
【0003】
糖尿病患者は、定期的に血糖値を測定し、その血糖値に基づいてインスリンを注射し、血糖値を正常に保つ必要がある。そのため、患者は、指先等から少量の血液を採取し、この採取した血液から血糖値を検出する。この血糖値を検出するためにセンサチップ1(図43参照)が必要となる。
【0004】
センサチップ1は、基体2と、流入口4と、供給路(図示せず)と、この供給路4aに設けられた検出電極4bと、供給路4aの終端に設けられた空気孔4cとを有している。基体2は、略長方形状を有するとともに板体状である。流入口4は、この基体2の一方の短辺に設けられるとともに測定用の血液3が流入する。供給路4aは、この流入口4に連通している。検出電極4bは、この供給路4aに設けられている。空気孔4cは、供給路4aの終端に設けられている。
【0005】
このセンサチップ1を用いた血液検査方法は、先ず、図44に示すように穿刺器具5を、指6a等の皮膚6に当接させる。この状態で、穿刺器具5の穿刺ボタン5aを押下する。穿刺ボタン5aの押下により指6a(皮膚6)が穿刺される。その後、図45に示すように、穿刺された指6a(皮膚6)の周りに圧をかけて血液3を滲出させる。
【0006】
次に、図46に示すように、センサチップ1が装着された測定器7を用いて血糖値を測定する。即ち、滲出した血液3に対して、センサチップ1の流入口4を当接させる。血液3は供給路4aを介して検出電極4bへ導かれる。検出電極4bへ導かれた血液3の血糖値が測定され、その結果は表示部7aに表示される。そして、この血糖値に基づいて決められた量のインスリンを注射する。
【0007】
血糖値の測定においては、血液3の不足に起因する測定不良などを防止するため、通常、多めに血液3を滲出させる。その結果として、余剰血液3aが測定に使用されずに皮膚上に残される。残った余剰血液3aは、衛生上も安全上そのまま放置しておくことは好ましくない。よって、図47に示すようにティシュ8aや洗浄綿(図示せず)等を別に用意しておき、この用意したティシュ8aや洗浄綿8bを用いて余剰血液3aを拭き取る必要がある。
【0008】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−110712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながらこのような従来の方法では、以下のような煩わしい作業が必要であった。
即ち、余剰血液3aを拭き取るために、ユーザはティシュ8aや洗浄綿8b等を持ち歩かなければならない。更に、ユーザは拭き取った後の余剰血液3aが付着したティシュ8aや洗浄綿8b等を持ち歩かなければならない。このように、余剰血液3aを拭き取るためにティシュ8aや洗浄綿8b等を持ち歩くことは、ユーザにとっては衛生上且つ安全上好ましくなく、かつその処理は煩わしいものであった。
【0011】
そこで、本発明はこのような問題を解決したものであり、余剰血液を容易に処理することができるセンサチップを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明のセンサチップは、生体試料の成分を分析するセンサチップであって、板体状の基体と、流入口と、供給路と、検出電極と、余剰血液貯留部と、を備えている。流入口は、基体の一端に設けられるとともに、分析用の生体試料が流入する。供給路は、流入口に連通し、生体試料が導入される。検出電極は、供給路に設けられ、分析用の信号を検出する。余剰血液貯留部は、基体に設けられており、分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸引して貯える。基体は、基板とスペーサとカバーとが積層されて形成されている。供給路と余剰血液貯留部とは、同一の層に形成されている。基体は、基体の第1の辺に設けられ余剰血液貯留部に連通する余剰血液流入口を有している。供給路は、基体の互いに対向する辺間を貫通する。
【0013】
本発明の測定器は、上記センサチップを使用する測定器であって、筐体と、センサ挿入部と、コネクタと、測定回路部と、表示部と、を備えている。センサ挿入部は、上記センサチップが挿入され、筐体の第1端部に設けられる。コネクタは、センサ挿入部に設けられている。測定回路部は、コネクタに接続されている。表示部は、測定回路部の出力に接続されており、測定回路部において測定されたセンサチップに導入された生体試料の分析データの測定結果を表示する。
【0014】
本発明の血液検査装置は、上記センサチップを使用する装置であって、筐体と、センサ挿入部と、穿刺手段と、コネクタと、電気回路部と、表示部と、を備えている。センサ挿入部は、上記センサチップが挿入され、筐体の一部に設けられる。穿刺手段は、センサ挿入部に対向する位置または近傍する位置に設けられており、皮膚を穿刺する。コネクタは、センサ挿入部に設けられている。電気回路部は、コネクタに接続され、生体試料の分析を行なう。表示部は、電気回路部の出力に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係るセンサチップの平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】図1のセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図5】図1のセンサチップの分解斜視図。
【図6】図1のセンサチップを用いた測定器のブロック図。
【図7】図1のセンサチップを測定器に装着した状態を示す外観斜視図。
【図8】本発明の実施の形態2に係るセンサチップの平面図。
【図9】図8のC−C断面図。
【図10】図8のD−D断面図。
【図11】図8のセンサチップの分解平面図。(a)は、余剰血液吸引用カバーの平面図。(b)は、余剰血液吸引用スペーサの平面図。(c)は、カバーの平面図。(d)は、スペーサの平面図。(e)は、基板の平面図。
【図12】本発明の実施の形態3に係るセンサチップに設けられた余剰血液貯留部の構成を示す分解平面図。(a)は、余剰血液吸引用カバーの平面図。(b)は、余剰血液吸引用スペーサの平面図。
【図13】図12のセンサチップの余剰血液貯留部を示す平面図。
【図14】図12のセンサチップの血液測定部の分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図15】図12のセンサチップを構成する血液測定部の平面図。
【図16】図12のセンサチップの平面図。
【図17】本発明の実施の形態4に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図18】図17のセンサチップの平面図。
【図19】本発明の実施の形態5に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図20】図19のセンサチップの平面図。
【図21】本発明の実施の形態6に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図22】図21のセンサチップの平面図。
【図23】本発明の実施の形態7に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図24】図23のセンサチップの平面図。
【図25】本発明の実施の形態8に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図26】図25のセンサチップの平面図。
【図27】本発明の実施の形態9に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図28】図27のセンサチップの平面図。
【図29】本発明の実施の形態10に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図30】図29のセンサチップの平面図。
【図31】本発明の実施の形態11に係る血液検査装置の部品配置図。
【図32】図31の血液検査装置の要部断面図。
【図33】本発明の実施の形態12に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図34】図33のセンサチップの平面図。
【図35】本発明の実施の形態13に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図36】図35のセンサチップの平面図。
【図37】本発明の実施の形態14に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図38】図37のセンサチップの平面図。
【図39】本発明の実施の形態15に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、カバーの平面図。(b)は、スペーサの平面図。(c)は、基板の平面図。
【図40】図39のセンサチップの平面図。
【図41】本発明の実施の形態16に係るセンサチップの分解平面図。(a)は、血液測定部の平面図。(b)は、余剰血液吸引部材の平面図。
【図42】図41のセンサチップの平面図。
【図43】従来のセンサチップの外観図。
【図44】従来の穿刺器具による穿刺状態を示す図。
【図45】従来の穿刺器具を用いて穿刺した後、血液を搾り出している様子を示す図。
【図46】従来の測定器に装着されたセンサチップに滲出した血液を点着している様子を示す図。
【図47】従来の穿刺後の後処理の様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるセンサチップ11の平面図である。図2は、図1のA―A断面図であり、図3は、図1のB−B断面図である。図1、図2、図3において、センサチップ11は、板体状をしている。そして、図2、図3に示すように、センサチップ11は、基板12と、この基板12の上方に貼り合わされたスペーサ13と、このスペーサ13の上方に貼り合わされたカバー14とを含む3層構造になっている。つまり、板体状の基板12とスペーサ13とカバー14とが、基体15を形成している。
【0017】
また、センサチップ11は、図1に示すように、略長方形をしており、一方の短辺16a側が半円形となっている。基板12上には、検出電極17,18,19が敷設されている。検出電極17,18,19は、センサチップ11の他方の短辺16bに向かって延伸するように形成され、それぞれ接続端子17a,18a,19aに接続されている。
【0018】
短辺16aの先端には、測定用の血液3(図30、図43及び図44参照)が流入する流入口20が設けられている。この流入口20から他方の短辺16b方向に向かって、測定用の血液3の供給路(キャピラリ)21が設けられている。
【0019】
供給路21の終端には、空気孔22が設けられている。供給路21上には、検出部23を構成する検出電極17,18,19が配置されている。検出部23には、試薬24(図5参照)が載置されている。
【0020】
試薬24は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、検出部23を構成する検出電極17,18,19上に滴下され、乾燥させたものである。
【0021】
センサチップ11の一方の長辺16c側(図1中の上方向)と他方の長辺16d側(図1中の下方向)とには、それぞれ余剰血液貯留部25(図1、図3参照)が設けられている。
【0022】
余剰血液貯留部25は、穿刺によって皮膚表面に流出した血液のうち、血糖値測定に使用されずに皮膚表面に残された余剰血液を貯留する。そして、余剰血液貯留部25は、余剰血液3aを流入させる余剰血液流入口25aを有している。余剰血液流入口25aは、余剰血液貯留部25としての空間に連通している。
【0023】
また、余剰血液貯留部25は、上述した供給路21と同様に微小隙間を形成しており、分析用の生体試料である血液3を毛細管現象によって流入させる。余剰血液貯留部25の容積は、供給路21の容積の3倍以上である。このため、測定・分析に使用された血液より多くの余剰血液3aが残った場合でも、余剰血液3aに対してセンサチップ11側面の余剰血液流入口25aを接触させるだけで、容易に全ての余剰血液3aを余剰血液貯留部25に確実に流入させて貯留することができる。
【0024】
また、流入口20と余剰血液流入口25aとは、異なる位置に別々に設けられている。つまり、流入口20は、センサチップ11の短辺16a(図1中の左側)側に設けられている。一方、余剰血液流入口25aは、センサチップ11の長辺16c及び16d(図1中の上下方向)側に設けられている。従って、測定用の血液3を流入口20へ流入させる際に、測定用の血液3が余剰血液流入口25aへ流入してしまうことはない。よって、余剰血液流入口25aを設けたセンサチップ11であっても、適正な量の血液3を検出部23へ流入させることができる。
【0025】
以上のように、本実施の形態におけるセンサチップ11は、余剰血液貯留部25を備えている。これにより、ユーザは、流入口20から血液3を流入させて血糖値を測定した後、センサチップ11の長辺16c又は長辺16dに形成された余剰血液流入口25aを介して余剰血液3aを余剰血液貯留部25内に貯留することができる。従って、ユーザは従来のようにティシュ8aや洗浄綿8b等を持ち歩く必要がない。さらに、ユーザは、余剰血液3aを吸引して汚染されたセンサチップ11をそのまま廃棄することができる。よって、センサチップ11内に流入した測定用の血液3と一緒に余剰血液3aもセンサチップ11内に貯留することで、容易に余剰血液3aも廃棄処理することができる。
【0026】
また、余剰血液流入口25aは、センサチップ11の長辺16c,16dの両方に(複数)設けられている。このため、センサチップ11の長辺のどちら側からでも余剰血液3aを流入させることができる。
【0027】
さらに、この余剰血液流入口25aは、基体15を構成する3層の真ん中に配置されたスペーサ13の層に形成されている。これにより、ユーザがセンサチップ11の最上面、最下面にそれぞれ配置される基板12及びカバー14に接触しても、一度取り込まれた余剰血液3aが外部に漏れたり指等に付着したりして汚染されることはない。
【0028】
また、余剰血液貯留部25の内面は、親水性処理されているか、あるいは親水性材料によって形成されている。そして、余剰血液貯留部25の周辺は、撥水処理されているか、あるいは撥水材料によって形成されている。かつ、余剰血液貯留部25は、余剰血液3aを貯留するために十分な容積を持っている。これにより、毛細管現象によって一度取り込まれた余剰血液3aがセンサチップ11の側面から流出することを防止することができる。従って、余剰血液3aを貯留している使用済みのセンサチップ11は、ティシュ8a等で包む必要はなく、そのまま廃棄することができる。
【0029】
図4(a)〜図4(c)は、センサチップ11を分解した分解平面図である。図4(c)は、センサチップ11を構成する基板12の平面図である。センサチップ11は、短辺16a(図4(c)中の左側)、短辺16b(図4(c)中の右側)の寸法は約6mm、長辺16c,16dの寸法は約20mmの略長方形(但し、短辺16aは半円形でもよい。)である。
【0030】
基板12の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂系材料である。基板12は、厚さ寸法が、0.188mm(0.075mm〜0.250mmの範囲)のものを用いている。基板12の上面には、スパッタリング法、あるいは蒸着法によって導電層を形成している。そして、導電層をレーザ加工することにより、検出電極17〜19、これらの検出電極17〜19から夫々導出された接続端子17a〜19aを一体的に形成している。
【0031】
図4(b)は、センサチップ11を構成するスペーサ13の平面図である。スペーサ13は、短辺16e,16fの寸法は約6mm、長辺16g,16hの寸法は約15mmの略長方形(但し、短辺16eは半円形でもよい。)である。従って、このスペーサ13を基板12上に貼り付けると、約5mm幅の接続端子17a〜19aが表面に露出する。
【0032】
スペーサ13の短辺16eの先端から短辺16fに向かって、幅0.6mm、長さ2.4mmのスリット13aが形成されている。スリット13aは、センサチップ11の供給路21を形成する。供給路21の容積は、0.14μLであって、少ない血液量での血糖値測定を可能にしている。従って、血糖値測定のために多くの血液を必要としないため、患者にかかる負担を軽減することができる。
【0033】
また、スペーサ13の両長辺16g,16h側(図4(b)中の上側、下側)には、それぞれ長方形状の切り込み13bが設けられている。そして、基板12と後述のカバー14とを積層することにより、センサチップ11の両側、つまり基体15の長手方向の中心線を基準に左右対称な位置に、長方形状をした余剰血液貯留部25(図1参照)が形成される。スペーサ13の材質は、ポリエチレンテレフタレートであり、その厚さ寸法は0.100mm(0.050mm〜0.125mmの範囲)のものを用いることができる。
【0034】
図4(a)は、センサチップ11を構成するカバー14の平面図である。カバー14は、短辺16j,16k(図4(a)中の左側、右側)の寸法は約6mm、長辺16m,16n(図4(a)中の上側、下側)の寸法は約15mmの略長方形(但し、短辺16jは半円形でもよい。)である。従って、このカバー14をスペーサ13上に貼り付けると、短辺16k側に約5mm幅の接続端子17a〜19aが表面に露出する。
【0035】
カバー14は、スペーサ13に形成されたスリット13aの終端部分に対応する位置に、直径0.05mmの空気孔22を有している。カバー14の材質は、ポリエチレンテレフタレートであり、その厚さ寸法は0.075mm(0.050mm〜0.125mmの範囲)のものを用いることができる。
【0036】
なお、少なくとも供給路21と余剰血液貯留部25との天井部に対応するカバー14の裏面には、親水性処理が施されていることが好ましい。これは、毛細管現象によって検出部23へ流入していく血液3を滑らかに流入させるためである。また、余剰血液貯留部25についても同様に、余剰血液3aを滑らかに流入させるためである。
【0037】
なお、透明部材を用いてカバー14を形成した場合には、余剰血液3aの余剰血液貯留部25への流入の様子を視覚的に確認することができる。更に、この余剰血液貯留部25内における余剰血液3aの有無によって、センサチップ11の使用前、使用後を容易に確認することができる。
【0038】
図5は、上述したセンサチップ11の分解斜視図を示している。
基板12、スペーサ13およびカバー14によってセンサチップ11の基体15が構成される。スペーサ13のスリット13aによって供給路21(図1または図6参照)が形成される。また、スペーサ13の切り込み13bによって余剰血液貯留部25が形成される。
【0039】
図6は、センサチップ11が装填され、血糖値を測定する測定器31の構成を示すブロック図である。図6において、筐体32の一方の端部には、センサチップ11が挿入されるセンサ挿入部33が設けられている。
【0040】
センサ挿入部33の奥部には、センサチップ11に形成された接続端子17a〜19aが接続されるコネクタ34(各コネクタ34a〜34c)が装着されている。なお、センサ挿入部33については、後述の実施の形態で説明する(センサチップ111,141を除く)センサチップを挿入することができる。
【0041】
図6において、34aは接続端子17aが接続されるコネクタであり、34bは接続端子19aに接続されるコネクタである。また、34cは、接続端子18aが接続されるコネクタである。
【0042】
各コネクタ34a,34b,34cは、切替回路35aに接続されており、測定内容などに応じて切り替えられる。コネクタ34aは、接続端子17aに接続され、切替回路35aを経由して、電流/電圧変換器35bに入力される。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)35cを介して演算部35dに接続されている。そして、演算部35dの出力は、液晶又は有機ELで形成された表示部36に接続されている。
【0043】
演算部35dは、A/D変換器35cの出力が入力されるだけでなく、測定器31全体の制御機能も有する。演算部35dは、A/D変換器35c、センサチップ11に電圧を印加する基準電圧源35eの制御端子、切替回路35a、表示部36及び外部との通信を行なう通信部37に接続されている。
【0044】
以上のように構成された測定器31の動作について、図6、図7を使って説明する。
図7は、センサチップ11が測定器31のセンサ挿入部33に挿入された状態を示した外観斜視図である。
【0045】
まず、センサチップ11が、測定器31のセンサ挿入部33に挿入される。センサチップ11が挿入状態にあるか否かは、コネクタ34bとコネクタ34cとの間の抵抗値の変化などによって検知することができる。すなわち、センサチップ11が挿入されていない場合には、コネクタ34bとコネクタ34c間はオープンのため、抵抗値は通常無限大となる。一方、センサチップ11が挿入されている場合には、所定の抵抗値を示す。これにより、センサチップ11がセンサ挿入部33へ挿入されたことを容易に検知することができる。測定器31のセンサ挿入部33にセンサチップ11が挿入されると、センサチップ11の接続端子17a,19a,18aが、測定回路部35の各コネクタ34a,34b,34cにそれぞれ接続される。
【0046】
次に、センサチップ11がセンサ挿入部33に装着された状態(図7参照)において、測定用の血液3をセンサチップ11の流入口20に点着すると、この血液3は毛細管現象によって流入口20と連通している供給路21を介して最下流側に配置された検出電極19上へと導かれる。血液3が検出電極19上へ導かれることにより、検出電極17、検出電極18へ血液3が充分到達したことを検知することができる。
【0047】
そこで、演算部35dは、切替回路35aを制御して、検出電極18をグランドに接続する。その後一定時間、電流/電圧変換器35bから検出電極17へ電圧を供給しないように制御する。この間、検出電極18、検出電極17上に載置された試薬24と血液3との反応が進行する。一定時間(2〜5秒間)経過した後、基準電圧源35eにより、切替回路35a、コネクタ34経由で、センサチップ11の検出電極17と検出電極18との間に一定の電圧を印加する。このとき、検出電極17と検出電極18との間に血液3内の血糖値濃度に比例した電流が生ずる。
【0048】
この電流は、コネクタ34及び切替回路35a経由で、電流/電圧変換器35bに入力され電圧に変換される。そして、その電圧は、A/D変換器35cによってデジタルデータに変換される。変換されたデジタルデータは、演算部35dに取り込まれる。演算部35dでは、そのデジタルデータから血糖値を算出し、表示部36に表示する。
【0049】
(実施の形態2)
次に、図8〜図11を用いて、実施の形態2におけるセンサチップ41(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)について説明する。
【0050】
本実施の形態2におけるセンサチップ41は、余剰血液貯留部42(実施の形態1における余剰血液貯留部25に対応)が供給路21と異なる層に形成されている点で、上述した実施の形態1と相違する。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と共通の構成については同符号を付し、説明を簡略化している。なお、これは以降の実施の形態に関しても同様である。
【0051】
図8は、本実施の形態2に係るセンサチップ41の平面図である。図9は、図8のC―C断面図であり、図10は、図8のD−D断面図である。
【0052】
センサチップ41は、図9、図10に示すように、基板43(実施の形態1における基板12に対応)と、この基板43の上面に貼り合わされたスペーサ44(実施の形態1におけるスペーサ13に対応)と、このスペーサ44の上面に貼り合わされたカバー45(実施の形態1におけるカバー14に対応)と、このカバー45の上面に貼り合わされた余剰血液吸引用スペーサ46と、この余剰血液吸引用スペーサ46の上面に貼り合わされた余剰血液吸引用カバー47との5層構造になっている。
【0053】
基板43とスペーサ44とカバー45と余剰血液吸引用スペーサ46と余剰血液吸引用カバー47とが、板体状の基体48を形成している。
【0054】
センサチップ41は、厚みを除いて実施の形態1におけるセンサチップ11と同じ外形形状を有するとともに、材質もそれぞれ同じものを用いている。なお、余剰血液吸引用スペーサ46の外形形状と材質は、上記実施の形態1のスペーサ13と共通であり、余剰血液吸引用カバー47の外形形状と材質は、上記実施の形態1のカバー14と共通である。
【0055】
図11(a)〜図11(e)は、センサチップ41の分解平面図である。
図11(e)は、センサチップ41を構成する基板43の平面図であり、上述した実施の形態1におけるセンサチップ11の基板12と同様の構成である。
【0056】
図11(d)は、センサチップ41を構成するスペーサ44の平面図であり、供給路21(図8または図10参照)を形成するスリット13aが設けられている。
【0057】
なお、スペーサ44には、余剰血液貯留部25を形成する長方形状の切り込み25aが形成されていない点で、上述の実施の形態1におけるスペーサ13と相違する。
【0058】
図11(c)は、センサチップ41を構成するカバー45の平面図であり、上述の実施の形態1におけるカバー14と同様の構成である。なお、このカバー45の材質において透明部材を用いる必要はない。
【0059】
図11(b)は、センサチップ41を構成する余剰血液吸引用スペーサ46の平面図である。余剰血液吸引用スペーサ46には、余剰血液貯留部42(図8、図9参照)を形成する長方形状の切り込み46aが、基体48の長手方向の中心線を基準に対称位置に長辺の両側面にそれぞれ形成されている。また、余剰血液吸引用スペーサ46は、カバー45の空気孔22に対応する位置に、空気孔22より直径の大きい貫通孔46bを有している。
【0060】
図11(a)は、センサチップ41を構成する余剰血液吸引用カバー47の平面図である。余剰血液吸引用カバー47には、余剰血液吸引用スペーサ46の貫通孔46bに対応する位置に、貫通孔47aが形成されている。なお、この余剰血液吸引用カバー47は、透明部材を用いて形成されていることが好ましい。その理由は、実施の形態1と同様である。
【0061】
本実施の形態2におけるセンサチップ41は、上述の実施の形態1に示すセンサチップ11と比べて、余剰血液貯留部42の容積を大きくすることができる。具体的には、最大でセンサチップ41の基体48の体積の3分の2程度の容積を確保することができる。その他の特徴については、上述した実施の形態1のセンサチップ11と同様である。
【0062】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ41を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
(実施の形態3)
本実施の形態3におけるセンサチップ51(実施の形態2におけるセンサチップ41に対応)は、図16に示すように、上述した実施の形態2におけるセンサチップ41と比べて余剰血液貯留部52の構成のみが異なる。すなわち、余剰血液貯留部52の厚み強度を増すため、本実施の形態3では、余剰血液貯留部52内に複数個の凸52bを設けている。これにより、センサチップ51が厚み方向に押圧された場合でも、厚み寸法を略一定に保つことができる。そして、余剰血液貯留部52の厚み方向へ外部から押圧力が加わった場合でも、センサチップ51が押圧力により厚み方向に撓むことはほとんど無いため、余剰血液3aが余剰血液流入口52aから流出することを防止できる。
【0064】
本実施の形態3では、余剰血液貯留部52を形成するため、図12(b)に示すように、長方形状をした余剰血液吸引用スペーサ53の上面に凸52bを配置している。この凸52bの高さ寸法は、約0.1mm(0.050mm〜0.125mmの範囲)としている。すなわち、この高さ寸法によって規定された微小隙間によって毛細管現象を生じさせる点では、実施の形態1におけるスペーサ13と同様である。
【0065】
凸52bは、余剰血液貯留部52内に複数個均等に形成されている。例えば、余剰血液貯留部52内に凸52bの数が少ない程、実質的な余剰血液貯留部52の容積が増加する。一方、凸52bの数が多い程、実質的な余剰血液貯留部52の容積は減るものの、余剰血液貯留部52厚み方向の強度が向上する。そこで、本実施の形態では、これらのバランスを勘案して23個の凸52bを設けている。凸52bの個数は、センサチップ51の余剰血液貯留部の面積に応じて適当に増減させればよい。
【0066】
本実施の形態3でも、上述の実施の形態2の場合と同様に、余剰血液貯留部52の容積を大きくすることができ、センサチップ51の基体の体積の3分の2程度まで拡大が可能である。
【0067】
余剰血液吸引用スペーサ53の上面には、図12(a)に示すように、余剰血液吸引用カバー54が貼り付けられる。
【0068】
余剰血液吸引用カバー54は、余剰血液吸引用スペーサ53と同じ寸法である。図13は、余剰血液吸引用スペーサ53と余剰血液吸引用カバー54とを貼り合わせて形成された余剰血液貯留部52の平面図である。
【0069】
図15は、血液測定部55の平面図である。血液測定部55は、基板43(図14(c)参照)と、基板43の上面に貼り合わされたスペーサ44(図14(b)参照)と、スペーサ44の上面に貼り合わされたカバー45(図14(a)参照)とで構成されている。そして、血液測定部55の上面に、図13に示す余剰血液貯留部52を貼り付けて、図16に示すセンサチップ51を完成させる。
【0070】
ここで、余剰血液貯留部52の凸52bとしては、糊材が塗布されており、余剰血液吸引用カバー54の裏面に貼り合わされるドットを用いてもよい。また、糊材はホットメルト材等を用いることができる。これにより、別部材としての余剰血液吸引用スペーサ53が不要となり、部品点数を削減して低価格化を実現することができる。
【0071】
また、裏面側へ突出したエンボス加工を余剰血液吸引用カバー54に施すことで、凸52bとしてもよい。
【0072】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ51を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(実施の形態4)
図18は、本実施の形態4におけるセンサチップ61(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0074】
本実施の形態におけるセンサチップ61は、余剰血液貯留部62が、検出電極63(実施の形態1における検出電極17に対応)と、検出電極64(実施の形態1における検出電極18に対応)とに当接していない点で、上述した実施の形態1と相違する。この構成により、余剰血液貯留部62が検出電極63,64に影響を与えることはない。
【0075】
図17(a)〜図17(c)は、センサチップ61の分解平面図である。図17(c)は、基板65(実施の形態1における基板12に対応)の平面図である。本実施の形態では、検出電極63,64の幅は、上述した実施の形態1のセンサチップ11における基板12の検出電極17,18の幅より狭くなっている。図17(b)は、スペーサ66(実施の形態1におけるスペーサ13に対応)の平面図である。余剰血液貯留部62を形成する切り込み66aは、検知電極63,64に当接しないように細くなっている。図17(a)は、スペーサ66の上面に貼り付けられるカバー14である。
【0076】
本実施の形態では、これらの部材(基板65、スペーサ66およびカバー14)を組み合わせることで、センサチップ61が構成される。
【0077】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ61を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
(実施の形態5)
図20は、本実施の形態5におけるセンサチップ71(実施の形態4におけるセンサチップ61に対応)の平面図である。
【0079】
本実施の形態におけるセンサチップ71は、流入口20と検出電極63との間に検出電極72(Hct極)を設けた点で、上述した実施の形態4と相違する。この相違により、血液検査において測定値の補正をすることが可能となり測定精度が向上する。
【0080】
図19(a)〜図19(c)は、図20のセンサチップ71の分解平面図である。図19(c)は、基板73(実施の形態4における基板65に対応)の平面図である。基板73には、検知電極63と流入口20との間に検出電極72が設けられている。図19(b)は、スペーサ66の平面図である。スペーサ66は、基板73の上面に貼り付けられている。図19(a)は、スペーサ66の上面に貼り付けるカバー14の平面図である。
【0081】
本実施の形態では、これらの部材(基板73、スペーサ66およびカバー14)を組み合わせることで、センサチップ71が構成される。
【0082】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ71を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(実施の形態6)
図22は、実施の形態6におけるセンサチップ81(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0084】
本実施の形態のセンサチップ81は、余剰血液貯留部25への血液3の流入が電気的に検知できる点で、上述した実施の形態1のセンサチップ11と相違する。
【0085】
これにより、仮に、誤って測定前に血液3が余剰血液貯留部25へ導入した場合でも、その旨を測定器31(図6参照)の表示部36に表示して患者に知らせることができる。
【0086】
図21(a)〜図21(c)は、センサチップ81の分解平面図である。
図21(c)は、基板82(実施の形態1における基板12に対応)の平面図である。基板82は、上述の実施の形態1におけるセンサチップ11の検出電極17(図4(c)参照)に対応する部分を、長手方向に2分割して検出電極83(作用極)と余剰血液検知電極85とを形成している。また、上述の実施の形態1におけるセンサチップ11の検出電極18(図4(c)参照)に対応する部分を、長手方向に2分割して検出電極84(対極)と余剰血液検知電極86とを形成している。
【0087】
図21(b)は、スペーサ13の平面図である。スペーサ13は、基板82の上面に貼り付けられている。スペーサ13に形成された切り込み13bは、基体82の長手方向の中心線を基準に左右対称位置に設けられている。切り込み13bは、検出電極83、余剰血液検知電極85、検出電極84および余剰血液検知電極86をそれぞれ跨ぐような寸法関係になっている。これは、余剰血液貯留部25への血液3の流入を電気的に検出するためである。また、スリット13aと切り込み13bとは、互いに離間した位置に設けられている。すなわち、供給路21と余剰血液貯留部25とは、互いに独立した位置に配置され、それぞれに流入して貯留される血液3と余剰血液3aとがお互いに影響を与え合うことはない。
【0088】
図21(a)は、スペーサ13の上面に貼り付けるカバー14である。
本実施の形態のセンサチップ81は、以上のように構成されているので、検出電極83と余剰血液検知電極85、検出電極84、および余剰血液検知電極86の間に電圧を印加して、その間の電気抵抗を測定することにより、余剰血液貯留部25への血液3あるいは余剰血液3aの流入を検知することができる。
【0089】
例えば、供給路21へ血液3が流入するより先に、血液3の余剰血液貯留部25への流入が検知された場合には、供給路21への血液3の導入を促す情報を表示部36(図6参照)に表示してユーザに報知する。なお、供給路21への血液3の流入は、検出電極84と検出電極19との間に電圧を印加し、その電気抵抗を測定することにより検知する。
【0090】
なお、本実施の形態で示した余剰血液検知電極85,86は、上述した実施の形態5で示した検出電極72(Hct極)を有するセンサチップ71に対しても適用することができる。
【0091】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ81を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(実施の形態7)
図24は、本実施の形態7におけるセンサチップ91(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0093】
本実施の形態におけるセンサチップ91は、余剰血液貯留部92に連通した余剰血液流入口92aが、略長方形をしたセンサチップ91の短辺93aの上方側(第1端側)と長辺93c、および短辺93aの下方側(第2端側)と長辺93d、に形成されている点で、上述した実施の形態1のセンサチップ11と相違する。従って、流入口20へ測定用の血液3を流入させた後、センサチップ91を少し移動させるだけで、短辺93a側に設けられた余剰血液貯留部92へ余剰血液3aを導入することができる。
【0094】
図23(a)〜図23(c)は、センサチップ91の分解平面図である。
図23(c)は、基板12の平面図である。基板12の上面には、図23(b)に示すスペーサ94(実施の形態1におけるスペーサ13に対応)が貼り付けられる。
【0095】
スペーサ94は、略長方形状をしたスペーサ94の短辺93aの上方側から長辺93cにかけての部分と、短辺93aの下方側から長辺93dにかけての部分に、それぞれ切り欠き94bが設けられている。この切り欠き94bにより、余剰血液貯留部92と余剰血液流入口92aとが形成される。また、この切り欠き94bは、流入口20を形成するスリット13aと離間した位置に設けられている。このスペーサ94の上面には、図23(a)に示すカバー14が貼り付けられる。
【0096】
本実施の形態では、これらの部材(基板12、スペーサ94およびカバー14)を組み合わせることで、センサチップ91が構成される。
【0097】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ91を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(実施の形態8)
図26は、本実施の形態8におけるセンサチップ101(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0099】
本実施の形態8におけるセンサチップ101は、3層構造でありながら大型の余剰血液貯留部102を形成している。また、余剰血液貯留部102の内部には、複数個の凸102bを設けて強度向上を図っている。
【0100】
図25(a)〜図25(c)は、センサチップ101の分解平面図である。
図25(c)は、基板12の平面図である。基板12の上面には、図25(b)に示すスペーサ103(実施の形態1におけるスペーサ13に対応)が貼り付けられる。
【0101】
スペーサ103は、略長方形状をしたスペーサ103に形成されたスリット13aと、このスリット13aの奥側全体に形成された複数個の凸102bとを有している。凸102bは、上述した実施の形態3における凸52b(図12、図16参照)と同様に形成されている。スペーサ103の上面には、図25(a)に示すカバー14が貼り付けられる。
【0102】
本実施の形態では、これらの部材(基板12、スペーサ103およびカバー14)を組み合わせることで、センサチップ101が構成される。
【0103】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ101を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
(実施の形態9)
図28は、本実施の形態9におけるセンサチップ111(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0105】
本実施の形態におけるセンサチップ111は、略長方形状をしたセンサチップ111の一方の側面に余剰血液貯留部113を設けるとともに、平面視における略中央に血液3の流入口112を設けたものである。センサチップ111は、穿刺と同時に血液3の性質を測定する血液検査装置151(ワンステップ)(図31参照)に用いられるものである。
【0106】
センサチップ111の平面視における略中央には、血液3の貯留部114が形成されている。貯留部114は、直径約2mmの円形形状を有している、そして、貯留部114の側面には、測定用の血液3が流入する流入口112が設けられている。
【0107】
また、流入口112に連通して供給路115(実施の形態1における供給路21に対応)が形成されている。この供給路115の終端には、空気孔116が設けられている。また、供給路115上には、貯留部114方向から順に、検出部121を構成する各電極(検出電極117(Hct極)、検出電極118(対極)、検出電極119(作用極)、検出電極120)が設けられている。そして、検出部121上には、試薬24(図2参照)が載置されている。また、検出電極117,118,119,120は、センサチップ111の長手方向に沿って端部まで導出され、接続端子117a,118a,119a,120aに接続されている。
【0108】
センサチップ111の側面部分には、余剰血液貯留部113が形成されている。
図27(a)〜図27(c)は、センサチップ111の分解平面図である。
【0109】
図27(c)は、略長方形状をした基板125(実施の形態1における基板12に対応)の平面図である。基板125には、貯留部114に対応する位置に形成された孔126と、検出電極117,118,119,120と、これらからそれぞれ導出された接続端子117a,118a,119a,120aとが形成されている。
【0110】
基板125の上面には、図27(b)に示すスペーサ127(実施の形態1におけるスペーサ13に対応)が貼り付けられる。スペーサ127には、貯留部114に対応する孔128と、この孔128に連通し供給路115に対応する位置に設けられたスリット129と、余剰血液貯留部113に対応する位置に切り込み130が設けられている。
【0111】
スペーサ127の上面には、図27(a)に示すカバー131が貼り付けられる。カバー131には、貯留部114に対応する位置に、孔132および空気孔116が設けられている。ここで、基板125に設けられた孔126、スペーサ127に設けられた孔128、カバー131に設けられた孔132によって、貯留部114が構成されている。
【0112】
本実施の形態では、これらの部材(基板125、スペーサ127およびカバー131)を組み合わせることで、センサチップ111が構成される。
【0113】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ111を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
(実施の形態10)
図30は、実施の形態10におけるセンサチップ141(実施の形態9におけるセンサチップ111に対応)の平面図である。
【0115】
本実施の形態におけるセンサチップ141は、略長方形状のセンサチップ141の一方の側面全体に余剰血液貯留部142を備えている。そして、余剰血液貯留部142の内部には、複数個の凸142aが設けられている。従って、上述した実施の形態8と同様に、余剰血液貯留部142の強度の向上を図ることができる。また、余剰血液貯留部142の余剰血液流入口142bは、略長方形状のセンサチップ141の短辺143a側と、両側の長辺143c,143dとに設けられており、センサチップ141の三方の何れの方向からでも余剰血液3aを吸引することができる。
【0116】
図29(a)〜図29(c)は、センサチップ141の分解平面図である。
図29(c)は、基板125の平面図である。
【0117】
基板125の上面には、図29(b)に示すスペーサ144(実施の形態9におけるスペーサ127に対応)が貼り付けられる。スペーサ144は、略長方形状の片側の面に複数個の凸142aを有している。スペーサ144の上面には、図29(a)に示すカバー131が貼り付けられる。
【0118】
本実施の形態では、これらの部材(基板125、スペーサ144およびカバー131)を組み合わせることで、センサチップ141が構成される。
【0119】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ141を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
(実施の形態11)
図31は、上記実施の形態9,10で示したセンサチップ111,141を用いて血糖値の測定等を行う血液検査装置151の部品配置図である。
【0121】
血液検査装置151は、糖尿病患者等の皮膚を穿刺するとともに、この穿刺により滲出した血液3の検査を行う。従って、従来のように血液3を滲出させるための穿刺器具と、その血液3を測定する測定器とを別々に用意して使用する必要がない。しかも、一回の操作で、皮膚の穿刺、血液採取及び測定・検査の一連の動作(ワンステップ動作)を行うことができる。
【0122】
図31において、筐体152は直方体形状を有している。そして、筐体152を構成する本体部152aの端部には、支点152bを介して、蓋部152cが回動自在に連結されている。蓋部152cの開閉は、本体部152aの下方に装着されたセンサ152dにおいて検出される。穿刺部153は、本体部152a下方の角に設けられており、上ホルダ153aと下ホルダ153bとによって、上述したセンサチップ111、あるいはセンサチップ141を挟み込むように構成されている。なお、本実施の形態では、センサチップ111を用いた場合について説明する。
【0123】
穿刺手段としてのレーザ穿刺ユニット154が、穿刺部153に対向して装着されている。なお、穿刺手段としては、レーザ穿刺ユニット154の代わりに、針穿刺ユニットを用いてもよい。レーザ穿刺ユニット154に隣接する位置には、センサユニット155が配置されている。センサユニット155は、センサ室155aと、乾燥室155bとを有している。センサ室155aには、センサチップ111が積層収納されている。積層収納されたセンサチップ111は、ばね155cにより押し板155dによって下方に押圧されている。
【0124】
乾燥室155bには、乾燥剤155eが収納されている。センサ室155aの下方角には、センサチップ111が搬出される出口155fが形成されている。出口155fから搬出されるセンサチップ111は、搬送手段155gによって搬出される。搬送手段155gは、搬送プレート155hと、この搬送プレート155hを元の状態へ付勢するばね155jとを有している。
【0125】
レーザ穿刺ユニット154の上方には、レーザ穿刺ユニット154に高電圧を供給する高電圧発生回路156が配置されている。高電圧発生回路156の上方には、電気回路部157が配置されている。また、センサユニット155の上方には、負圧手段158が設けられている。負圧手段158は、負圧路158aを介して穿刺部153の負圧室153d(図32参照)へ負圧を供給する。
【0126】
本体部152aの上方側面には、レーザ穿刺ユニット154からレーサ光154aを発射させる穿刺ボタン154bが設けられている。穿刺ボタン154bを押下することにより、レーザ穿刺ユニット154からレーザ光154aが放射される。なお、レーザ光154aが外部へ漏れるのを防ぐために、蓋部152cの開角は一定の角度で規制されている。従って、レーザ光154aが外部へ漏れることはなく安全性を確保できる。
【0127】
図32は、血液検査装置151における穿刺部153近傍の要部断面図である。
穿刺部153は、上ホルダ153aと下ホルダ153bとを有している。下ホルダ153bは、板ばね153eによって上ホルダ153a側に付勢されている。コネクタ159は、上ホルダ153aと下ホルダ153bとの間に挟まれたセンサチップ111の接続端子117a,118a,119a,120a(図28参照)と接続され、電気回路部157へ信号を伝送する。
【0128】
上ホルダ153aの上面には、透明部材153fが着脱自在に設けられている。透明部材153fの下方には、孔153gが設けられている。従って、レーザ穿刺ユニット154から放射されたレーザ光154aは、透明部材153fと、孔153gと、センサチップ111の貯留部114と、負圧室153dと、を一直線に貫通して皮膚6を穿刺する。これにより、皮膚6に穿刺傷が形成されて血液3が滲出する。
【0129】
皮膚6から滲出した血液3は、図28に示すセンサチップ111の貯留部114から取り込まれる。その後、毛細管現象によって供給路115内に導入され、供給路115内の検出部121に載置された試薬24との間で化学反応を生じる。
【0130】
この化学反応の結果は、コネクタ159を介して電気回路部157に伝送され、血糖値が測定され、筐体152の表面に設けられた表示部(図示せず)に表示される。
【0131】
なお、電気回路部157には、上述した実施の形態1で示した測定回路部35と同様の測定回路と、穿刺ボタン154bの押下信号により高電圧発生回路156を制御する制御信号を生成する回路とが含まれているものとする。
【0132】
以上のようにして血糖値測定が完了すると、ユーザは、レーザ穿刺によって形成された穿刺傷付近の余剰血液3aを、上述したセンサチップ111の余剰血液貯留部113へと流入させる。
【0133】
具体的には、ユーザは、血液検査装置151からセンサチップ111を取り出し、センサチップ111の長辺側の側面に形成された微小隙間の開口の部分を、余剰血液3aが残された皮膚表面に対してこそぎ取るように接触させる。これにより、皮膚上に残された余剰血液3aは、毛細管現象によって微小隙間から余剰血液貯留部113内へと取り込まれて保持される。よって、ユーザは、使用済みのセンサチップ111を、余剰血液3aを拭き取るための脱脂綿等の代わりとして用いることができる。
【0134】
なお、本実施の形態において、血液検査装置151に装着されるセンサチップとしては、図28に示すセンサチップ111に限らず、上述した各センサチップおよび以下で説明する各センサチップ等を用いることも当然に可能である。
【0135】
(実施の形態12)
図34は、本実施の形態12におけるセンサチップ161(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0136】
本実施の形態では、略長方形状のセンサチップ161の一方の側面全体に、余剰血液貯留部162を設けるとともに、他方の側面に、両側面間を貫通する供給路163(実施の形態1における供給路21に対応)が形成されている。従って、センサチップ161の一方の側面全体において、余剰血液3aを吸引させることができるとともに、センサチップ161側面のどちらからでも測定用の血液3を所定の検知電極上へと流入させることができる。
【0137】
図33(a)〜図33(c)は、センサチップ161の分解平面図である。
図33(c)は、基板165の平面図である。基板165上には、基板165の長手方向に沿って、検出電極166(対極)、検出電極167(作用極)、検出電極168(検知極)が互いに平行に設けられている。
【0138】
供給路163(図34参照)に連通する流入口164aから血液3が流入した場合には、検出電極168が血液3の流入を検知する電極となる。一方、供給路163(図34参照)に連通する流入口164b側から血液3が流入した場合には、検出電極166が血液3の流入を検知する電極となる。
【0139】
基板165の上面には、図33(b)に示すスペーサ169(実施の形態1におけるスペーサ13に対応)が貼り付けられる。
【0140】
スペーサ169は、略長方形状の一方の短辺169aに、余剰血液貯留部162を形成する凹面169bを有している。また、他方の短辺169cには、供給路163を形成する溝169dが、側面間を貫通するように設けられている。スペーサ169の上面には、図33(a)に示すカバー170が貼り付けられる。
【0141】
カバー170には、空気孔は形成されていない。
本実施の形態では、これらの部材(基板165、スペーサ169およびカバー170)を組み合わせることで、センサチップ161が構成される。
【0142】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ161を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0143】
(実施の形態13)
図36は、本実施の形態13におけるセンサチップ171(実施の形態12におけるセンサチップ161に対応)の平面図である。
【0144】
本実施の形態におけるセンサチップ171では、略長方形状のセンサチップ171の一方の短辺側にだけ、余剰血液流入口172aを有する余剰血液貯留部172が設けられている点で、上述した実施の形態12と異なっている。従って、センサチップ171の一方の短辺側からのみ、余剰血液3aを吸引させることができる。また、上述した実施の形態12と同様に、センサチップ171の両側面のどちらからでも、測定用の血液3を流入させることができる。
【0145】
図35(a)〜図35(c)は、センサチップ171の分解平面図である。
図35(c)は、基板165の平面図である。基板165の上面には、図35(b)に示すスペーサ174(実施の形態12におけるスペーサ169に対応)が貼り付けられる。スペーサ174では、略長方形状の一方の短辺174aの両端部分を除く部分に、余剰血液貯留部172を形成する凹面174bが形成されている。そして、スペーサ174の長辺174cには、供給路163を形成する溝169dが、両側面間を貫通するように設けられている。スペーサ174の上面には、図33(a)に示すカバー175が貼り付けられる。カバー175には、余剰血液貯留部172の奥部に対応する位置に、スリット状の空気孔176が形成されている。
【0146】
本実施の形態では、これらの部材(基板165、スペーサ174およびカバー175)を組み合わせることで、センサチップ171が構成される。
【0147】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ171を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0148】
(実施の形態14)
図38は、本実施の形態14におけるセンサチップ181(実施の形態13におけるセンサチップ171に対応)の平面図である。
【0149】
本実施の形態におけるセンサチップ181は、センサチップ171と比べて、余剰血液貯留部172の上面に形成された空気孔182の形状のみが異なっている。
【0150】
図37(a)〜図37(c)は、センサチップ181の分解平面図である。図37(c)は、基板165の平面図である。基板165の上面には、図37(b)に示すスペーサ174が貼り付けられる。スペーサ174の上面には、図37(a)に示すカバー183が貼り付けられる。カバー183には、余剰血液貯留部172と対応する位置全体渡って複数個の空気孔182が形成されている。
【0151】
本実施の形態では、これらの部材(基板165、スペーサ174およびカバー183)を組み合わせることで、センサチップ181が構成される。
【0152】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ181を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0153】
(実施の形態15)
図40は、本実施の形態15におけるセンサチップ191(実施の形態1におけるセンサチップ11に対応)の平面図である。
【0154】
本実施の形態におけるセンサチップ191は、略長方形状の長辺の一方(上方)側に、測定用の血液3の流入口192(実施の形態1における流入口20に対応)と、この流入口192に連通する供給路193(実施の形態1における供給路21に対応)とが設けられている。また、略長方形の長辺の他方(下方)側には、ほぼ長辺全体に亘って形成された余剰血液流入口194aと、この余剰血液流入口194aに連通する余剰血液貯留部194とが設けられている。
【0155】
従って、センサチップ191の一方の長辺から測定用の血液3を導入させることができる。また、余剰血液流入口194aは、他方の長辺全体に渡って設けられているので、余剰血液3aを取り込む開口を広く確保することができ、容易に流入させることができる。
【0156】
図39(a)〜図39(c)は、センサチップ191の分解平面図である。
図39(c)は、基板195の平面図である。略長方形状の基板195には、長辺方向に沿って、一方の長辺から中央に向かって順に検知電極196(C極)、検知電極197(W極)、検知電極198が互いに平行に敷設されている。検知電極196,197,198は、一方の長辺側から中央までの間に敷設されている。
【0157】
基板195の上面には、図39(b)に示すスペーサ199が貼り付けられる。
スペーサ199には、一方の長辺側から中央に向かって、供給路193を形成するスリット199aが設けられている。また、スペーサ199には、他方の長辺から中央までの間に、余剰血液貯留部194を形成する切り込み199bが設けられている。スリット199aと切り込み199bとは、離間した位置に独立して形成されている。
【0158】
スペーサ199の上面には、図39(a)に示すカバー200が貼り付けられる。カバー200には、供給路193の奥部に対応する位置に空気孔200aが設けられている。
【0159】
本実施の形態では、これらの部材(基板195、スペーサ199およびカバー200)を組み合わせることで、センサチップ191が構成される。
【0160】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ191を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0161】
(実施の形態16)
図42は、本実施の形態16におけるセンサチップ201(実施の形態3におけるセンサチップ51に対応)の平面図である。
【0162】
本実施の形態におけるセンサチップ201は、上面あるいは下面に、余剰血液貯留部としての余剰血液吸引部材202を貼り付けた点で、上述した各実施の形態とは異なっている。従って、センサチップ201の上面或いは下面を余剰血液3aに接触させることで、余剰血液3aをセンサチップ201内に吸引して貯留することができる。
【0163】
図41(a)および図41(b)は、センサチップ201の分解平面図である。
図41(a)は、上述した実施の形態3における血液測定部55(図15参照)である。血液測定部55は、図14に示す基板43と、基板43の上面に貼り付けられたスペーサ44と、スペーサ44の上面に貼り付けられたカバー45とを有している。
【0164】
以上のように構成された血液測定部55の上面あるいは下面には、図41(b)に示す余剰血液吸引部材(余剰血液貯留部の一例として用いた)202が貼り付けられている。
【0165】
余剰血液吸引部材202は、長方形状を有しており、空気孔22を覆わない位置に(空気孔22が露出するように)貼り付けられる。なお、この余剰血液吸引部材202には、濾紙のような多孔質部材を用いることができる。
【0166】
本実施の形態では、これらの部材(血液測定部55、余剰血液吸引部材202)を組み合わせることで、センサチップ201が構成される。
【0167】
以上のことから、本実施の形態のセンサチップ201を用いることにより、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる等の上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0168】
<特徴>
本発明のセンサチップは、血液などの生体試料の成分を分析するセンサチップであって、板体状の基体と、流入口と、供給路と、検出電極と、を備えている。流入口は、この基体の一端に設けられるとともに分析用の生体試料が流入する。供給路は、この流入口に連通し、生体試料が導入される。検出電極は、この供給路に設けられ、分析用の信号を検出する。基体には、分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸引するとともに、この吸引した余剰血液を貯える余剰血液貯留部を有している。
【0169】
また、基体に、分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸収する吸収部材を設けたセンサチップも提供されている。
【0170】
本発明の測定器は、上記センサチップを使用し測定器であって、筐体と、センサ挿入部と、コネクタと、測定回路部と、表示部と、を備えている。センサ挿入部は、この筐体の一方に設けられるとともにセンサチップが挿入される。コネクタは、このセンサ挿入部に設けられている。測定回路部は、このコネクタに接続されている。表示部は、この測定回路部の出力に接続されている。測定回路部では、センサチップに導入された生体試料の分析データを測定し、その結果を表示部に表示させる。
【0171】
これにより、所期の目的を達成することができる。
さらに、本発明の測定器は、筐体と、センサ挿入部と、コネクタと、測定回路部と、表示部と、を備えている。センサ挿入部は、上記センサチップが挿入されるとともに、筐体の一方に設けられる。コネクタは、センサ挿入部に設けられている。測定回路部は、コネクタに接続されている。表示部は、測定回路部の出力に接続されている。コネクタは、センサチップに余剰血液が吸引されたことを検出する余剰血液検出電極用の端子を有している。
【0172】
本発明の血液検査装置は、筐体と、センサ挿入部と、穿刺手段と、コネクタと、電気回路部と、表示部と、を備えている。センサ挿入部は、この筐体の一部に設けられるとともに、上記の分析用のセンサチップ(余剰血液検知電極を有する場合も含む)が装着される。穿刺手段は、センサ挿入部に対向する位置または近傍する位置に設けられ、皮膚を穿刺するために設けられている。コネクタは、センサ挿入部に設けられている。電気回路部は、このコネクタに接続され、体液などの生体試料の分析を行なう。表示部は、この電気回路部の出力に接続されている。
【0173】
これにより、よりユーザに安全で操作性を向上し、所期の目的を実現している。
(効果)
以上のように本発明によれば、ユーザは、従来のように余剰血液を拭き取るためのティシュや洗浄綿等を持ち歩く必要がなく、しかも測定が終わり余剰血液が吸引されたセンサチップごと廃棄することができる。この結果、余剰血液を容易に処理することができ、作業効率を向上させることができる。
【0174】
また、本発明におけるセンサチップは、余剰血液貯留部の内側は親水処理または親水性材料で形成され、余剰血液貯留部の周辺は撥水処理や撥水材料で形成されており、且つ余剰血液貯留部は十分な容積を持っている。このため、一度、センサチップ内に貯留された生体試料である血液が、センサチップから外部に漏れたり付着したりすることも無く安全である。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明に係るセンサチップは、余剰血液を容易に処理することができるので、測定器や血液検査装置等における血液検査等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0176】
3 血液
3a 余剰血液
11 センサチップ
12 基板
13 スペーサ
13b 切り込み
14 カバー
15 センサチップの基体
17,18,19 検出電極
20 流入口
21 供給路
23 検出部
25 余剰血液貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料の成分を分析するセンサチップにおいて、
板体状の基体と、
前記基体の一端に設けられるとともに、分析用の前記生体試料が流入する流入口と、
前記流入口に連通し、前記生体試料が導入される供給路と、
前記供給路に設けられ、分析用の信号を検出する検出電極と、
前記基体に設けられており、前記分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸引して貯える余剰血液貯留部と、
を備え、
前記基体は、基板とスペーサとカバーとが積層されて形成されているとともに、
前記供給路と前記余剰血液貯留部とは、同一の層に形成されており、
前記基体は、前記基体の第1の辺に設けられ前記余剰血液貯留部に連通する余剰血液流入口を有し、
前記供給路は、前記基体の互いに対向する辺間を貫通する、
センサチップ。
【請求項2】
生体試料の成分を分析するセンサチップにおいて、
板体状の基体と、
前記基体の一端に設けられるとともに、分析用の前記生体試料が流入する流入口と、
前記流入口に連通し、前記生体試料が導入される供給路と、
前記供給路に設けられ、分析用の信号を検出する検出電極と、
前記基体に設けられており、前記分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸引して貯える余剰血液貯留部と、
を備え、
前記基体は、基板とスペーサとカバーとが積層されて形成されているとともに、
前記供給路と前記余剰血液貯留部とは、同一の層に形成されており、
前記基体は、前記基体の第1の辺に設けられ前記余剰血液貯留部に連通する余剰血液流入口を有し、
前記基体の第2の辺側に前記余剰血液流入口が設けられている、
センサチップ。
【請求項3】
生体試料の成分を分析するセンサチップにおいて、
板体状の基体と、
前記基体の一端に設けられるとともに、分析用の前記生体試料が流入する流入口と、
前記流入口に連通し、前記生体試料が導入される供給路と、
前記供給路に設けられ、分析用の信号を検出する検出電極と、
前記基体に設けられており、前記分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸引して貯える余剰血液貯留部と、
を備え、
前記基体は、基板とスペーサとカバーとが積層されて形成されているとともに、
前記供給路と前記余剰血液貯留部とは、同一の層に形成されており、
前記供給路は、前記流入口側とは反対の位置に設けられ、外気に連通する第1の空気孔を有している、
センサチップ。
【請求項4】
前記余剰血液貯留部は、余剰血液を吸引するために設けられており、外気に連通する第2の空気孔を有している、
請求項3に記載のセンサチップ。
【請求項5】
前記第2の空気孔は、複数設けられている、
請求項4に記載のセンサチップ。
【請求項6】
生体試料の成分を分析するセンサチップにおいて、
板体状の基体と、
前記基体の一端に設けられるとともに、分析用の前記生体試料が流入する流入口と、
前記流入口に連通し、前記生体試料が導入される供給路と、
前記供給路に設けられ、分析用の信号を検出する検出電極と、
前記分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸引して貯える余剰血液貯留部と、
を備え、
前記基体は、基板とスペーサとカバーとが積層されて形成されているとともに、
前記供給路と前記余剰血液貯留部とは、異なる層に、別部材で形成され、
前記余剰血液貯留部は、前記基体に設けられ前記分析に使用されなかった余分な生体試料である余剰血液を吸収する吸収部材である、
センサチップ。
【請求項7】
前記吸収部材は、前記基体の一面に取りつけられた薄膜形状を有している、
請求項6に記載のセンサチップ。
【請求項8】
前記吸収部材は、不織布で形成されている、
請求項6に記載のセンサチップ。
【請求項9】
筐体と、
請求項1から8のいずれか1つに記載のセンサチップが挿入され、前記筐体の一方に設けられるセンサ挿入部と、
前記センサ挿入部に設けられたコネクタと、
前記コネクタに接続された測定回路部と、
前記測定回路部の出力に接続されており、前記測定回路部において測定された前記センサチップに導入された生体試料の分析データの測定結果を表示する表示部と、
を備えている測定器。
【請求項10】
筐体と、
請求項1から8のいずれか1つに記載のセンサチップが挿入され、前記筐体の一部に設けられるセンサ挿入部と、
前記センサ挿入部に対向する位置または近傍する位置に設けられており、皮膚を穿刺する穿刺手段と、
前記センサ挿入部に設けられたコネクタと、
前記コネクタに接続され、生体試料の分析を行なう電気回路部と、
前記電気回路部の出力に接続された表示部と、
を備えた血液検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2013−33049(P2013−33049A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194009(P2012−194009)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2011−508209(P2011−508209)の分割
【原出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】