説明

センサーストランドを備える検出装置

【課題】所定の測定パラメーターを検出するための少なくとも1つの測定部を有すると共に前記測定部を他の1つの電気装置と接続するための少なくとも1つの接続部を有するセンサーストランドを少なくとも1本備えた検出装置を提供する。
【解決手段】センサーストランド202は、少なくとも1つの測定部204,204’および少なくとも1つの接続部206,206’において多数の導体ストランドを有し、少なくとも測定部204,204において少なくとも2本の導体ストランドが共通の防湿体により少なくとも部分的にその周辺から隔離され、少なくとも接続部206,206’において少なくとも1本の導体ストランドが防湿体により少なくとも他の1本の導体ストランドから少なくとも部分的に隔離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象の一つは、請求項1の前段部に記載されるような検出装置である。
【背景技術】
【0002】
このような検出装置は、乗物の座席上の乗客を検出するために用いられる。短所としては、これらの測定精度が幾つかの応用においては希望するレベルに達しないことがある。それゆえ、生産コストを手頃なものとするだけでなく、測定精度も改善していくことが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記の背景のもと、請求項1に記載される特性を備えた技術コンセプトが提案される。他の請求項および以下の説明を読むことにより、その他の有利な形態がさかるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下に、本発明の詳細を説明する。これらの実施例は本発明をわかり易くするためのものであるが、これらは単なる例示にすぎず、本発明の枠内で個々のまたは複数の特性の省略・変更・補足が可能であることは当然である。また、別個の実施形態の特性同士を組み合わせることも、もちろん可能である。本発明のコンセプトがおおよそ実現されることが肝心である。
【0005】
ここで「おおよそ」とは、特にはその実施により期待される効用を認識できる程度に達成可能であることを意味する。これは特に、該当の特性が少なくとも50%、90%、95%または99%実現されることを意味することがありうる。
【0006】
以下で添付図面に基づいて説明する。
【0007】
図1は、乗物の座席100の座面101を示す。座面101は、座面101にパッドがついているクッション部105を有する。クッション部105同士の間には、張り(留め)溝106によって間隔が設けられている。
【0008】
少なくとも2つのクッション部105’には、人の存在を感知する測定ゾーン110,110’が配置されている。
【0009】
座席100は、座席上の人を検出するための検出装置200を少なくとも一つ備えている。この場合、これは単に使用者の存在を感知するだけでもよいし、または、この人の特定のタイプ(ベビーシート、子供・大人シート等)への区分、および/または位置、質量など、その特性に関するものであってもよい。
【0010】
検出装置200は、少なくとも1本のセンサーストランド202を有する。ストランドとは、その長さの寸法がその横断面図の寸法よりもはるかに大きい、長い構造物のことである。横断面図の縦・横の寸法は、おおよそ同じ寸法であることが好ましい。この構造体は、曲げ弾力性を有しながらも固体の状態であることが好ましい。
【0011】
センサーストランド202は一つ目の測定部204を少なくとも一つ有し、測定部204の少なくとも一部は座席100の測定ゾーン110の中に配置される。センサーストランド202は、少なくとももう一つの測定部204’を有するのが好ましく、測定部204’の少なくとも一部は二つ目の測定ゾーン110’の中に配置されている。
【0012】
両測定部204,204’はその一方の端において一つ目の接続部206により互いに接続されている。本実施例において、これらはそれぞれそのもう一方の端においてさらに別の接続部206により互いに接続されている。しかし、これらは別の測定ゾーン中の別の測定部と接続されていてもよい。
【0013】
少なくとも一つの測定部204,204’はまた、他の接続部206’の一つにより直接または間接的に評価装置210と接続されている。評価装置210は、測定部204,204’からの測定シグナルを電子的に評価する。
【0014】
測定部204,204’の両端は、測定のために別々の電位につなげることができる。この場合には、センサーストランド202または測定部204,204’は、たとえばその電磁界における変化を検出する役目をする。しかし、各測定部204,204’またはセンサーストランド202の両端は、同じ電位に接続していてもよい。この場合には、センサーストランド202の導体ループは、測定コンデンサの1つの極を形成する。もう一つの極は、たとえば、アース接続、乗物の屋根、周りを囲む車体、あるいはまた別のセンサーストランドにより形成されることができる。
【0015】
図2は、センサーストランド202の測定部204を示す。測定部204は、多数の導体ストランド300を有する。多数の導体ストランド300の少なくとも一部は、共同の防湿体310によりその周辺から隔離されている。少なくとも1本の導体ストランド300’は、測定部204の少なくとも1本の別の導体ストランドに対して、追加の防湿体320により少なくともその一部を隔離することができる。導体ストランド300,300’の少なくとも1本、好ましくはそのほとんど、より好ましくはその全ては、少なくともその一部、好ましくはほとんどが鉄合金、より好ましくはステンレス鋼からできているとよい。
【0016】
図3は、1本のセンサーストランド202の接続部206の一つを示す。接続部206は、多数の導体ストランド300を有するのが好ましい。多数の導体ストランド300は、少なくともその一部が共同の防湿体(図示せず)によって、その周囲から隔離可能である。少なくとも1本の(好ましくは全ての)導体ストランド300’は、測定部204の少なくとも1本の別の導体ストランド300に対して、防湿体320により少なくとも部分的に隔離されている。導体ストランド300,300’の少なくとも1本、好ましくはその大部分、より好ましくはその全ては、少なくともその一部が銅合金、できれば銅含有量が少なくとも90%の銅合金からできているとよい。
【0017】
図3は、第1の導体ストランドとしての導体ストランド300が、第2のストランド301を撚り合わせることにより形成可能であることを示す。本実施例では、これら第2の導体ストランド301が更にまとまって、センサーストランド202の接続部206,206’を成す導電性のストランドを形成している。このような構造が測定部204,204’にも使用できることは当然である。
【0018】
防湿体310,320は、互いに異なったコンポーネントとして、互いに異なる材料から形成されることが好ましい。しかしながら、これらは同じコンポーネントとして、かつ同じ材料からできていてもよい。
【0019】
少なくとも1つの接続部206,206’および少なくとも1つの測定部204,204’は、一体の導体ストランドからなっていてよい。しかし、これらは、この実施例のように、2つの異なったストランドから、一つの接続ポイント230において接続されてもよい。この接続ポイント230では、少なくとも測定部204,204’の導体ストランドの一部が、接続部206,206’の導体ストランド300,300’,301の少なくとも一部と導電性をもって接続されている。さらに、センサーストランドへ水が浸入するのを防ぐためには、接続箇所ができるだけ湿気に強いように、すなわち、蒸気・水に対して洩れのないように周囲に対してシールされているとよい。こうした湿気はセンサーの電気特性、さらには検出装置の測定値をも変えてしまい得るためである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】座席の座面の上面図(カバーなしの状態)である。
【図2】測定部内のセンサーストランドの横断面図である。
【図3】接続部内のセンサーストランドの横断面図である。
【符号の説明】
【0021】
100 座席
101 座面
105,105’ クッション部
106 張り(留め)溝
110,110’ 測定ゾーン
200 検出装置
202 センサーストランド
204,204’ 測定部
206,206’ 接続部
210 評価装置
230 接続ポイント
300,300’ 第1の導体ストランド
301 第2の導体ストランド
310 防湿体
320 内部防湿体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の測定パラメーターを検出するための少なくとも1つの測定部(204,204’)を有すると共に前記測定部(204,204’)を電気装置(204,204’,210)と接続するための少なくとも1つの接続部(206,206’)を有するセンサーストランド(202)を少なくとも1本備える検出装置(200)であって、
前記センサーストランド(202)が少なくとも1つの前記測定部(204,204’)および少なくとも1つの前記接続部(206,206’)内に多数の導体ストランド(300,300’,301)を有し、
少なくとも前記測定部(204,204’)においては、少なくとも2本の導体ストランド(300,300’,301)が、その周囲から少なくとも部分的に1つの共通の防湿体(310)により隔離されており、
少なくとも前記接続部(206,206’)においては、少なくとも1本の導体ストランド(300,300’,301)が少なくとも他の1本の導体ストランド(300,300’,301)から少なくとも部分的に防湿体(320)により隔離されていることを特徴とする検出装置(200)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記測定部(204,204’)および少なくとも1つの前記接続部(206,206’)が一体として形成されると共に、その両方が少なくとも複数の導体ストランド(300,300’,301)をその周囲に対して部分的に隔離するために少なくとも1つの前記防湿体(310)を有し、かつ少なくとも1本の導体ストランド(300,300’,301)を少なくとも部分的に少なくとも他の1本の導体ストランド(300,300’,301)に対して隔離するための前記防湿体(320)を有することを特徴とする請求項1に記載の検出装置(200)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記測定部(204,204’)及び少なくとも1つの前記接続部(206,206’)が、所定の接続ポイント(230)で接続されており、前記接続ポイント(230)の少なくとも一部が水および蒸気に対して漏れがないように周囲に対してシールされていることを特徴とする請求項1または2に記載の検出装置(200)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記測定部(204,204’)が鉄合金を含むストランド(300,300’,301)を少なくとも1本有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出装置(200)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記接続部(206,206’)が銅を含有する導体ストランド(300,300’,301)を少なくとも1本有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検出装置(200)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記防湿体(310,320)の少なくとも一部が、押し出しプラスチック、ラッカーおよび/またはワックスを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の検出装置(200)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の検出装置(200)を有することを特徴とする座席(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−145333(P2009−145333A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312167(P2008−312167)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(599067662)ヴィー・エー・テー・オートモーティヴ・システムス・アクチェンゲゼルシャフト (29)
【Fターム(参考)】