説明

センサープレートおよびセンサープレートの製造方法

【課題】小型で且つ美観に優れたセンサープレートを提供すること
【解決手段】薄板あるいはフィルム状に形成された基板12と、基板12が厚さ方向に隆起あるいは陥没して形成され基板12の厚さ方向の両面のうちの一方の面に設けられた入力部と、基板12の厚さ方向から見て入力部と重なるように、基板12の厚さ方向の両面のうちの他方の面上に配置された検出電極と、基板12の他方の面に設けられ検出電極と電気的に接続された中継電極16と、検出電極と中継電極16とをともに間に挟んで基板12の他方の面の全面に固定され検出電極と中継電極16とを封止するとともに基板12を補強する樹脂からなる剛性部材17と、剛性部材17を挟んで中継電極16と対向して配置された電極面を有し中継電極16に対して誘導無線信号を送受信する送受信電極19と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサープレートおよびセンサープレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器などに対する入力操作を静電容量の変化を用いて検出する入力装置が知られている。静電容量の変化を検出する入力装置として、たとえば入力操作を行う入力体の位置を検出するためのセンサープレートを備えたものが知られている。このようなセンサープレートの例として、特許文献1には、静電容量の変化を検出するためのセンサーとなる電極が形成された基材シートがインサート成形によって成形樹脂と一体化されたインサートシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−238661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の入力装置では、静電容量の変化を検出する検出回路にインサートシートを接続するための配線を基材シートの一部から帯状に引き出しているので、帯状に引き出された配線を配置するための空間が入力装置内に必要であり、入力装置を小型化するのが困難であった。
本発明の発明者らは、配線を帯状に引き出すことに代えて成形樹脂に貫通孔を設けてこの貫通孔を通じて配線を引き出すことを考えた。しかしながら、発明者らは、配線を引き出すための貫通孔を成形樹脂に設けたセンサープレートを作製するにあたって以下の課題を見出した。すなわち、成形樹脂に貫通孔を設けてこの貫通孔内にインサートシートを露出させてしまうと、成形樹脂のひけによって基材シートの表面が変形する場合があり、センサープレートの美観を損ねるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型で且つ美観に優れたセンサープレートおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のセンサープレートは、入力体が接触した際に前記入力体が接触した位置を検出する入力装置に用いられるセンサープレートであって、薄板あるいはフィルム状に形成された基板と、前記基板が厚さ方向に隆起あるいは陥没して形成され前記基板の厚さ方向の両面のうちの一方の面に設けられた入力部と、前記基板の厚さ方向から見て前記入力部と重なるように、前記基板の厚さ方向の両面のうちの他方の面上に配置された検出電極と、前記他方の面に設けられ前記検出電極と電気的に接続された中継電極と、前記検出電極と前記中継電極とをともに間に挟んで前記基板の前記他方の面の全面に固定され前記検出電極と前記中継電極とを封止するとともに前記基板を補強する樹脂からなる剛性部材と、前記剛性部材を挟んで前記中継電極と対向して配置された電極面を有し前記中継電極に対して誘導無線信号を送受信する送受信電極と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記基板の厚さ方向から見て前記中継電極と重なる位置における前記剛性部材は、他の位置における前記剛性部材よりも薄いことが好ましい。
【0008】
また、前記剛性部材には、前記送受信電極を支持する支持部が形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明のセンサープレートの製造方法は、入力体が接触した際に前記入力体が接触した位置を検出する入力装置に用いられるセンサープレートの製造方法であって、シート状に形成された基板の厚さ方向の一方の面に、検出電極と、前記検出電極に電気的に接続された中継電極とを積層してセンサーシートを形成するセンサーシート形成工程と、前記センサーシートを塑性変形させて少なくとも前記検出電極が配置された位置において前記基板が厚さ方向に隆起あるいは陥没するように前記センサーシートを成形する三次元成形工程と、前記三次元成形工程のあと、前記センサーシートの一方の面の全面に液状の樹脂を注入し、前記センサーシートと前記樹脂との間に前記検出電極および前記中継電極を封止するとともに前記基板の形状に沿う形状に前記樹脂を硬化させて剛性部材とし、前記剛性部材と前記基板とを一体成形する封止工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記封止工程のあと、硬化した前記樹脂において、前記センサーシートに接する面と反対側の面において前記センサーシートの厚さ方向から見て前記中継電極と重なる位置に、前記中継電極に対して誘導無線信号を送受信するための送受信電極を取り付ける送受信電極取付工程をさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、前記封止工程において、前記センサーシートの厚さ方向から見て前記中継電極と重なる位置における前記剛性部材の厚さを、他の位置における前記剛性部材の厚さよりも薄くすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセンサープレートおよびその製造方法によれば、基板の一方の面の全面に剛性部材が設けられており、且つ中継電極は剛性部材を介して外部の回路と信号の送受信を行うことができるので、小型で且つ美観に優れたセンサープレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態のセンサープレートを備える入力装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図1のB−B線における断面図である。
【図4】同センサープレートにおけるセンサーシートの底面図である。
【図5】同センサープレートの底面図である。
【図6】同センサープレートにおける送受信電極を示す斜視図である。
【図7】図3の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態のセンサープレートの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態のセンサープレート10およびセンサープレート10の製造方法について、センサープレート10を備える入力装置1を例に説明する。
図1は、本発明の一実施形態のセンサープレート10を備える入力装置1の平面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。図3は、図1のB−B線における断面図である。図4は、センサープレート10におけるセンサーシート11の底面図である。図5は、センサープレート10の底面図である。
入力装置1は、電子機器等の操作者が電子機器等に対して操作入力をするためのものである。図1および図2に示すように、入力装置1は、導体からなる入力体100を接触させることができる略板状のセンサープレート10と、センサープレート10に接続された回路基板21とを備える。入力装置1とともに使用できる入力体100としては、たとえば操作者の指やスタイラスペンなどを挙げることができる。詳細は後述するが、本実施形態の入力装置1は、特に操作者の指によって好適に入力操作を行うことができるように構成されている。
【0015】
図3に示すように、センサープレート10は、薄板あるいはフィルム状に形成されたセンサーシート11と、センサーシート11の厚さ方向に重ねてセンサーシート11と一体成形された剛性部材17と、センサーシート11と回路基板21とを電気的に接続するための送受信電極19とを備える。以下、センサーシート11側を上、剛性部材17側を下として説明を行う。
【0016】
図1ないし図4に示すように、センサーシート11は、基板12と、基板12の上面に設けられた入力部13と、基板12の下面に設けられた検出電極15および中継電極16とを備える。図示していないが、センサーシート11の上面には、文字あるいは図柄などが塗膜や樹脂などによって形成された加飾層を適宜設けることができる。
基板12は、薄板あるいはフィルム状に形成された熱可塑性樹脂によって構成されている。基板12を構成する材料としては誘電率が高いものが好ましい。たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ビニロン樹脂、アセテート樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの薄板、シート、あるいはフィルムを基板12の材料として使用することができる。
【0017】
図1に示すように、入力部13は、基板12を厚さ方向から見たときの略中央に設けられた第一入力部13Aと、第一入力部13Aを間に挟んで対向配置された第二入力部13Bおよび第三入力部13Cを備える。
【0018】
図1および図2に示すように、第一入力部13Aは、基板12の上面から下側へ陥没した窪み形状に形成されており、センサーシート11の厚さ方向から見たときの輪郭形状が円形に形成されている。第一入力部13Aは、中心角が90°となる4つの扇形の入力領域14に区画分けされている。
第二入力部13Bは、基板12の上側へ隆起して形成されている。センサーシート11の厚さ方向から見たときの第二入力部13Bの輪郭形状は、第一入力部13Aの外周に沿って長軸が湾曲された長円形状になっている。
第三入力部13Cは、基板12の下側へ陥没して形成されている。センサーシート11の厚さ方向から見たときの第二入力部13Bの輪郭形状は、第一入力部13Aを挟んで第二入力部13Bと対称な形状であり、第一入力部13Aの外周に沿って長軸が湾曲された長円形状になっている。
【0019】
各入力部13における隆起あるいは陥没形状は、真空形成や圧空形成などによってセンサーシート11に所定の金型形状を転写することによって形成されている。
【0020】
各入力部13は、操作者の指によって入力操作を行う場合に触覚によって各入力部13を識別することができるようにそれぞれ異なる形状に形成されている。このため、入力部13の位置や各入力部13において指を移動させるべき方向などを、触覚を通じて操作者が判断できるようになっている。これにより、操作者が指を用いてたとえば暗いところで入力装置1を用いる場合や、操作者が入力装置1を直接目視できない場合などであっても、操作者は各入力部13に対して好適に入力操作を行うことができる。
【0021】
図2および図4に示すように、検出電極15は、入力体100との間の静電容量の変化を検知するためのものであり、基板12の厚さ方向から見て各入力部13と重なるように、基板12の下面にパターン形成されている。
第一入力部13Aの裏側には、センサープレート10の厚さ方向から見たときに各入力領域14の内側領域に配置される4つの第一検出電極15A(第一検出電極15A−1ないし第一検出電極15A−4)が形成されている。
第二入力部13Bの裏側には、第二入力部13Bの長軸方向に沿って互いに離間して複数配置された第二検出電極15B(本実施形態では第二検出電極15B−1ないし第二検出電極15B−7の計7つ)が形成されている。
第三入力部13Cの裏側には、第二入力部13Bの長軸方向に沿って互いに離間して複数配置された第三検出電極15C(本実施形態では第三検出電極15C−1ないし第三検出電極15C−7の計7つ)が形成されている。
各検出電極15の材料としては、銅、銀、金などの金属箔やペースト、あるいは導電性塗料などを採用することができる。
【0022】
図4に示すように、中継電極16は、配線パターンによって検出電極15と電気的に接続されており、各検出電極15と同数設けられている。中継電極16は、基板12の下面において検出電極15から離れた位置に3個ずつ並べて設けられている。各中継電極16は、基板12の厚さ方向から見たときの輪郭形状が四角形となる薄膜状に形成されている。中継電極16および配線は、検出電極15と同一材料によって検出電極15とともに一体成形されている。
【0023】
検出電極15、中継電極16、および検出電極15と中継電極16とを繋ぐ配線の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法などを適宜選択して用いることができる。
【0024】
図2および図3に示すように、剛性部材17は、後述するインサート成形法によってセンサーシート11の下面に一体に設けられた略板状の部材である。剛性部材17は、センサーシート11よりも剛性が高く、センサーシート11の立体形状を維持することができるようになっている。剛性部材17は、センサープレート10の厚さ方向から見たときに中継電極16と重なる位置を除きセンサーシート11よりも厚く形成されている。
【0025】
図3および図5に示すように、センサープレート10の厚さ方向から見たときに中継電極16と重なる位置における剛性部材17は、中継電極16と後述する送受信電極19との間で誘導無線信号を送受信できる程度の厚さに形成されている。なお、センサープレート10の厚さ方向から見たときに中継電極16と重なる位置における剛性部材17の厚さは、センサーシート11の厚さよりも薄くても厚くてもよく、またセンサーシート11の厚さと同じでもよい。
さらに、剛性部材17には、センサープレート10の厚さ方向から見て3つ並べられた各中継電極16を囲む筒状の支持部18が形成されている。支持部18には、その内部に送受信電極19を挿入することができる略直方体形状の空間が形成されている。これにより、支持部18は、支持部18の内部に挿入された送受信電極19を支持することができるようになっている。
【0026】
剛性部材17は熱可塑性樹脂からなり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂等を、単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0027】
図6は、センサープレート10における送受信電極19を示す斜視図である。図7は、図3において符号Xで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
図6に示すように、送受信電極19は、3つの直方体形状の導電ゴム19aが絶縁体19bを挟んで一体に形成されたものである。
図3および図7に示すように、送受信電極19は、3つ並べて配置された各中継電極16に対してそれぞれの導電ゴム19aの一面が対向配置されている。また、各中継電極16に対向配置された導電ゴム19aの一面と反対側の面は、回路基板21における後述するランド22に接している。
これにより、送受信電極19は、各中継電極16と対向する面が中継電極16に対して誘導無線信号を送受信するための第一電極面20aとなり、第一電極面20aと反対側の面が回路基板21に対して後述する駆動信号を入出力するための第二電極面20bとなるように構成されている。
【0028】
図2および図7に示すように、回路基板21は、各送受信電極19と接続するための複数のランド22と、各ランド22に接続された検出回路チップ23とを備える。
検出回路チップ23は、高周波の駆動信号を各検出電極15(図4参照)に対して送受信することによって入力体100(図2参照)と各検出電極15との間の静電容量の変化を検出する検出回路を備える。検出回路チップ23は、高周波の駆動信号を生成し、この駆動信号をランド22、送受信電極19、中継電極16、および配線を通じて検出電極15へ送信する。また、検出回路チップ23は、検出電極15へ送信された駆動信号が検出信号として入力されるようになっており、生成した駆動信号と入力された検出信号とに基づいて検出電極15における静電容量の変化を検出するようになっている。
【0029】
次に、センサープレート10の製造方法について説明する。
図8は、センサープレート10の製造方法を示すフローチャートである。
センサープレート10は、インサート成形法を用いて製造される。
まず、基板12の下面に、検出電極15、配線、および中継電極16をパターン形成し、センサーシート11を形成する(図8に示すセンサーシート形成工程S1)。
次に、センサーシート11を加熱して基板12を軟化させ、センサーシート11を真空形成あるいは圧空形成などによって塑性変形させて、検出電極15が配置された位置に隆起あるいは陥没形状の入力部13を構成する(図8に示す三次元成形工程S2)。
次に、センサーシート11上面の立体形状に沿う上金型と剛性部材17の下面の立体形状に沿う下金型とを有する成形型を用いて、センサーシート11の下面に剛性部材17を一体成形する(図8に示す封止工程S3)。
【0030】
封止工程S3では、まず、センサーシート11を上金型に取り付けて上金型と下金型とを組み合わせて型を閉じ、センサーシート11と下金型との間に空間を形成する。このとき、センサーシート11の下面の全面と下金型との間には空間がある。次に、センサーシート11と下金型との間に液状の成形樹脂を注入し、注入された成形樹脂を冷却固化する。すると、成形樹脂はセンサーシート11の下面の全面に密着し、且つ下金型の金型形状が転写された剛性部材17となる。このとき、剛性部材17は、中継電極16を含めセンサーシート11の下面の全てを被覆している。
【0031】
インサート成形によって液状の成形樹脂を成形型内に注入して冷却固化させると、成形樹脂は冷却されることによって体積が収縮する。これに対して、センサーシート11は最初から固体状態で成形型内に配置されるのでその体積は変わらない。このため、成形樹脂の収縮力によって、センサーシート11には、センサーシート11の面方向の圧縮力がかかる。したがって、センサーシート11の下面において成形樹脂が注入されない部分があると、その部分には歪みが発生しやすい。
本実施形態では、センサーシート11の下面の全面に成形樹脂が注入されているので、インサート成形後のセンサーシート11にかかる圧縮力が分散され、歪み量を低減することができる。これにより、美観に優れたセンサープレート10とすることができる。
これで封止工程S3は終了する。
【0032】
封止工程S3が終了したら、成形型からセンサーシート11と剛性部材17との一体成形品を取り出し、支持部18に送受信電極19を挿入する。これにより、基板12の厚さ方向からみて中継電極16と重なる位置に、送受信電極19が中継電極16と対向して配置される(図8に示す送受信電極取付工程S4)。
その後、送受信電極19の第二電極面19bと回路基板21のランド22とが接するようにセンサープレート10に回路基板21を取り付けて入力装置1の製造工程は終了する。
【0033】
次に、入力装置1の使用時の動作について、センサープレート10の作用を中心に説明する。
入力装置1は、図3に示すようにセンサープレート10と回路基板21とが送受信電極19を介して電気的に接続される。このとき、回路基板21上の検出回路チップ23から送受信電極19まで、および中継電極16から検出電極15までの間が有線区間となり、送受信電極19と中継電極16との間は誘導無線信号によって信号の送受信を行う無線区間Z(図7参照)となる。
検出回路チップ23は各検出電極15に繰り返し駆動信号を出力する。さらに、検出回路チップ23は、各検出電極15における静電容量を繰り返し検出する。
【0034】
図2に示すように、入力装置1の操作者が入力体100を入力部13に接触させると、入力体100が検出電極15に近接することによって検出電極15と入力体100との間には基板12を間に挟んだキャパシタが形成される。検出電極15と入力体100との間の静電容量は、検出電極15に対する入力体100の距離が近くなるほど増加する。この静電容量の変化は、検出信号の変化として、送受信電極19と中継電極16との間の無線区間Z(図7参照)を介して検出回路チップ23に入力される。これにより、検出回路チップ23は入力体100が近接した検出電極15を判別し、どの検出電極15に入力体100が近接したかを示すデータを出力する。
【0035】
入力装置1の検出回路チップ23から出力されたデータは、たとえば入力装置1に接続された電子機器に入力される。この電子機器は、検出回路チップ23から出力されたデータに基づいて、センサープレート10の入力部13に対してどのような操作入力があったかを判定し、判定結果に基づいて所定の動作を行う。
このように、中継電極16と送受信電極19との間が非接触の無線区間Zであっても、本実施形態の入力装置1では入力体100による入力操作を検出することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のセンサープレート10およびセンサープレート10の製造方法によれば、基板12の一方の面の全面に剛性部材17が設けられており、且つ中継電極16は剛性部材17を介して外部の検出回路と誘導無線信号によって送受信を行うことができるので、剛性部材17のひけによるセンサーシート11の変形を抑えることができ、小型で且つ美観に優れたセンサープレート10を提供することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態および実施例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態および実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0038】
たとえば、検出電極15、配線、および中継電極16の材料として、透明電極膜を採用することができる。透明電極膜の材料としては、たとえば、光透過性を有する導電性ポリマーである信越ポリマー製SEPLEGYDA(登録商標)や、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)からなる透明導電膜を採用することもできる。これは、たとえば基板12や加飾層を光透過性の材料によって構成した場合に検出電極15、配線、および中継電極16を見えにくくすることができる。
【0039】
また、検出電極15、配線、および中継電極16の材質としては、金属材料以外であってもよく、たとえば検出電極15、配線、および中継電極16としてカーボン電極などを採用することもできる。
【0040】
また、上述の実施形態では、中継電極16の形状の例として、厚さ方向から見たときの輪郭形状が四角形である例を示したが、中継電極16の形状はこれに限られるものではない。たとえば、中継電極16の形状は、多角形状、円形状、環状などの形状とすることができる。その他、中継電極16と送受信電極19との対向面積を増大させるために中継電極16と送受信電極19とのそれぞれの形状は適宜の形状とすることができる。
【0041】
また、上述の実施形態では支持部18が筒状に形成されている例を示したが、支持部18の形状は筒状に限られるものではない。たとえば、支持部18は、複数の突起によって送受信電極19を囲って送受信電極19を支持するようになっていても良く、送受信電極19の側面を挟む一対の板形状であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 入力装置
10 センサープレート
11 センサーシート
12 基板
13 入力部
13A 第一入力部
13B 第二入力部
13C 第三入力部
14 入力領域
15 検出電極
15A 第一検出電極
15B 第二検出電極
15C 第三検出電極
16 中継電極
17 剛性部材
18 支持部
19 送受信電極
20a 第一電極面
20b 第二電極面
21 回路基板
22 ランド
23 検出回路チップ
S1 センサーシート形成工程
S2 三次元成形工程
S3 封止工程
S4 送受信電極取付工程
100 入力体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力体が接触した際に前記入力体が接触した位置を検出する入力装置に用いられるセンサープレートであって、
薄板あるいはフィルム状に形成された基板と、
前記基板が厚さ方向に隆起あるいは陥没して形成され前記基板の厚さ方向の両面のうちの一方の面に設けられた入力部と、
前記基板の厚さ方向から見て前記入力部と重なるように、前記基板の厚さ方向の両面のうちの他方の面上に配置された検出電極と、
前記他方の面に設けられ前記検出電極と電気的に接続された中継電極と、
前記検出電極と前記中継電極とをともに間に挟んで前記基板の前記他方の面の全面に固定され前記検出電極と前記中継電極とを封止するとともに前記基板を補強する樹脂からなる剛性部材と、
前記剛性部材を挟んで前記中継電極と対向して配置された電極面を有し前記中継電極に対して誘導無線信号を送受信する送受信電極と、
を備えることを特徴とするセンサープレート。
【請求項2】
前記基板の厚さ方向から見て前記中継電極と重なる位置における前記剛性部材は、他の位置における前記剛性部材よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載のセンサープレート。
【請求項3】
前記剛性部材には、前記送受信電極を支持する支持部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサープレート。
【請求項4】
入力体が接触した際に前記入力体が接触した位置を検出する入力装置に用いられるセンサープレートの製造方法であって、
シート状に形成された基板の厚さ方向の一方の面に、検出電極と、前記検出電極に電気的に接続された中継電極とを積層してセンサーシートを形成するセンサーシート形成工程と、
前記センサーシートを塑性変形させて少なくとも前記検出電極が配置された位置において前記基板が厚さ方向に隆起あるいは陥没するように前記センサーシートを成形する三次元成形工程と、
前記三次元成形工程のあと、前記センサーシートの一方の面の全面に液状の樹脂を注入し、前記センサーシートと前記樹脂との間に前記検出電極および前記中継電極を封止するとともに前記基板の形状に沿う形状に前記樹脂を硬化させて剛性部材とし、前記剛性部材と前記基板とを一体成形する封止工程と、
を備えることを特徴とするセンサープレートの製造方法。
【請求項5】
前記封止工程のあと、硬化した前記樹脂において、前記センサーシートに接する面と反対側の面において前記センサーシートの厚さ方向から見て前記中継電極と重なる位置に、前記中継電極に対して誘導無線信号を送受信するための送受信電極を取り付ける送受信電極取付工程をさらに備える請求項4に記載のセンサープレートの製造方法。
【請求項6】
前記封止工程において、前記センサーシートの厚さ方向から見て前記中継電極と重なる位置における前記剛性部材の厚さを、他の位置における前記剛性部材の厚さよりも薄くすることを特徴とする請求項4または5に記載のセンサープレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48894(P2012−48894A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188231(P2010−188231)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】