説明

センサ取付構造および火炎センサ装置

【課題】部品点数を増加させずに、簡便な構成でセンサをハウジングの内部に固定することが可能なセンサ取付構造および火炎センサ装置を提供すること。
【解決手段】当接部105を有するセンサ100と、センサ100の端部103aから引き出されるケーブル120と、センサ100を収納して外部雰囲気から保護すると共に、当接部105に突き当てられる位置決め部46を有するハウジング20とを具備している。さらに、このケーブル120には弾性部120cが設けられていて、この弾性部120cは、当接部105を位置決め部46に突き当てさせるための弾性力を及ぼしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ取付構造および火炎センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルバーナー等のバーナーを備える燃焼室においては、爆発を防止するために、燃焼が確実に行われているか否かを監視する必要がある。このような監視を行うための検出手段として、燃焼センサ装置が用いられる場合が多い。この燃焼センサ装置の中には、光電センサを備えるものがあり、そのタイプの燃焼センサ装置においては、バーナーから発せられる火炎の有無が検出される。ここで、バーナーの燃焼時には、火炎が発する所定の波長の光を生じるが、このタイプの火炎センサ装置では、そのような波長の光を、光電センサで光電変換を行うことによって検出している。
【0003】
このような火炎センサ装置としては、特許文献1に開示されているものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平8−261443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、火炎センサ装置は、例えば船舶の燃焼室、または屋外に設置される場合もある。そのような環境下では、海水や雨水に火炎センサ装置がさらされる状態となるので、火炎センサ装置は、防水性を有するハウジングを備える必要がある。すなわち、火炎センサ装置の光電センサは、防水性を有するハウジングによって、外部から完全に覆われている必要がある。しかしながら、そのようなハウジングによって光電センサを覆う場合、当該光電センサを、ハウジングのいずれかの部位に固定して、光電センサが移動しないようにする必要がある。
【0006】
このような、光電センサの移動を阻止するための手法としては、別途の固定用部品を用いて、この固定用部品によってハウジングに光電センサを固定する手法を採ることが考えられる。しかしながら、この場合には、別途の固定用部品を用いる分だけ、火炎センサ装置の部品点数が増えてコストの増大を招く、という問題が生じる。また、固定用部品をハウジングの内部に固定する分だけ、工数が余分に掛かる、という問題も生じる。以上のような問題点を解決する手法は、上述の特許文献1に何等開示されていない。
【0007】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、部品点数を増加させずに、簡便な構成でセンサをハウジングの内部に固定することが可能なセンサ取付構造および火炎センサ装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のセンサ取付構造は、センサとケーブルとハウジングとを備えている。これらのうち、センサは、当接部を有している。また、ケーブルは、センサの端部から引き出されている。また、ハウジングは、センサを収納して外部雰囲気から保護すると共に当接部に突き当てられる位置決め部を有している。それらのうち、ケーブルには弾性部が設けられている。この弾性部は当接部を位置決め部に突き当てさせるための弾性力を及ぼしている。
【0009】
このように構成する場合、ケーブルの弾性部が弾性力を及ぼし、それによって当接部を位置決め部に突き当てさせている。すなわち、弾性力によって、センサの当接部が、ハウジングの位置決め部に突き当てられる。この突き当てにより、センサは、ハウジングの内部で位置決めされ、かつ固定された状態となる。そのため、センサ取付構造では、センサを固定するための、別途の固定用部品が不要となる。そのため、本発明では、別途の固定用部品を用いる場合と比較して、部品点数が増えるのを抑えることが可能となり、コストが増大するのを抑えることが可能となる。また、本発明では、固定用部品が不要となるので、固定用部品をハウジングの内部に固定する工数が掛からずに済む。以上から、本発明では、簡便な構成でセンサをハウジングの内部に固定可能となっている。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、ハウジングの内部に、ケーブルの端末側に位置する導体を電気的に接続するための結線用端子台を設けるようにしても良い。加えて、上述の弾性部の伸長状態における長さ寸法は、センサの端部と結線用端子台との間の距離よりも大きく設けるようにしても良い。
【0011】
このように構成する場合、弾性部の伸長状態における長さ寸法は、センサの端部と結線用端子台との間の距離よりも大きいため、ケーブルの一部(弾性部に相当する部分)は、端部と結線用端子台から、荷重を受ける状態となる。それにより、ケーブルの一部(弾性部に相当する部分)には弾性変形が生じ、弾性部が形成される。そして、弾性部には、弾性変形している状態から復元しようとする復元力(弾性力)を生じさせることができ、この復元力(弾性力)を利用してセンサをハウジングの内部に固定させることが可能となる。
【0012】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、弾性部は、端部および結線用端子台との間で、伸長状態に戻そうとする復元力を及ぼす状態で湾曲させられるようにしても良い。このように構成しても、湾曲している状態から復元しようとする復元力(弾性力)を生じさせることができ、この復元力(弾性力)を利用してセンサをハウジングの内部に固定させることが可能となる。
【0013】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、ケーブルには、導電可能な芯部が2芯以上存在していて、加えて、これらの芯部は、平行を為す状態で接合されるように構成しても良い。
【0014】
このように構成する場合、2つの芯部が接合されているので、単独の芯部が複数存在する場合と比較して、復元力(弾性力)を向上させることが可能となる。それにより、センサ取付構造においては、耐振動性、耐衝撃性を向上させることが可能となる。また、単独の芯部が複数存在する場合と同一の復元力(弾性力)を確保すれば良い場合、より断面積の小さなケーブルを用いることが可能となる。それにより、ケーブルを構成する素材の分量の低減を図ることが可能となる。
【0015】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、ケーブルは、導電可能な芯部が2芯以上存在していて、これらの芯部が互いに分離され、加えて、弾性部には、センサの端部から離間するにつれて、芯部同士の間隔が徐々に広がる部位が存在するようにしても良い。
【0016】
このように構成する場合、結線用端子台の配置位置の自由度を向上させることが可能となる。また、センサの端部から離間するにつれて、芯部の間の間隔が広げることができるので、芯部を結線用端子台に対して容易に接続させることが可能となる。
【0017】
また、上述の各発明に係るセンサ取付構造を、火炎センサ装置に適用することが可能であり、この場合においてセンサを、火炎が発する光を検出する光電センサとしても良い。
【0018】
このように構成する場合、火炎センサ装置においては、光電センサを固定するための、別途の固定用部品が不要となる。そのため、本発明では、別途の固定用部品を用いる場合と比較して、部品点数が増えるのを抑えることが可能となり、コストが増大するのを抑えることが可能となる。また、本発明では、固定用部品が不要となるので、固定用部品をハウジングの内部に固定する工数が掛からずに済む。以上から、本発明では、簡便な構成で光電センサをハウジングの内部に固定可能となっている。また、センサを光電センサとすることで、火炎の有無の検出を確実に行わせることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、部品点数を増加させずに、簡便な構成でセンサをハウジングの内部に固定させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態に係る、センサ取付構造を備える火炎センサ装置10の構成について、図1から図5に基づいて説明する。
【0021】
図 に示すように、火炎センサ装置10は、ハウジング20と、光電センサ100と、結線用端子台110とを主要な構成要素としている。また、ハウジング20は、保護筐体30と、接続管40と、接続用ナット50と、固定用ナット60と、カバー70と、を備えている。
【0022】
これらのうち、保護筐体30は、火炎センサ装置10の中で最も内部空間が広い部材である。この保護筐体30には、センサ開口部31と、ケーブル開口部32と、カバー開口部33とが設けられている。なお、いずれの開口部31〜33も、円形状の開口形状を有している。これらのうち、センサ開口部31は、光電センサ100を、図1の矢示X1の向きに突出させるための開口部分である。また、センサ開口部31の開口縁31aから保護筐体30の内部側に向かう内壁面には、ネジ溝34が形成されていて、このネジ溝34には、接続管40のネジ山41がねじ込まれる。
【0023】
また、センサ開口部31から所定だけ保護筐体30の内部側に入り込んだ部位には、シール受け部35が設けられている。シール受け部35は、シール部材80を受け止めるための部位である。このシール受け部35でシール部材80を受け止めている状態で、接続管40がねじ込まれると、当該接続管40の接続側端部(図1において接続管40の右側の端部)とシール受け部35との間で、シール部材80が押し潰される。それにより、保護筐体30と接続管40とは、気密に接続される。
【0024】
また、ケーブル開口部32は、ケーブル(光電センサ100に接続されるケーブル120)を外部の制御機器等に向けて導くための開口部分である。このケーブル開口部32は、上述のセンサ開口部31と略直交するように設けられている。なお、このケーブル開口部32のうち、その開口縁32aから保護筐体30の内部側(図1では上方側)に向かう内壁面には、ネジ溝36が形成されていて、このネジ溝36には、固定用ナット60のネジ山61がねじ込まれる。また、カバー開口部33は、カバー70が取り付けられる開口部分である。このカバー開口部33は、保護筐体30の内部の各部材の設置/取り外し等を行えるよう、3つの開口部31〜33の中で最も大径に設けられている。なお、カバー開口部33の開口縁33aの外壁には、所定の長さ分だけネジ山37が形成されていて、このネジ山37には、カバー70のネジ溝71がねじ込まれる。
【0025】
また、保護筐体30の内部には、端子台受け部38が設けられている。端子台受け部38は、結線用端子台110を受け止めるための部分であり、結線用端子台110よりも小径に設けられている。この端子台受け部38は、矢示X1の向きに結線用端子台110を受け止め可能に設けられている。また、端子台受け部38には、不図示のネジ孔が形成されていて、結線用端子台110をネジにより固定することが可能となっている。
【0026】
また、上述のケーブル開口部32、およびカバー開口部33には、それぞれ固定用ナット60およびカバー70が取り付けられる。固定用ナット60には、防水性を備えるケーブル130が取り付けられていて、この固定用ナット60を介して当該ケーブル130が保護筐体30の内部に導かれる。また、カバー70を取り外すと、カバー開口部33が大きく開口する。そのため、カバー70は、保護筐体30の内部に設置する部品の取り付け/取り外しや、メンテナンス用のための大きなカバー開口部33を覆うための部材となっている。なお、これら固定用ナット60およびカバー70は、本発明の要旨とするところではないので、それらに関する詳細な説明は省略する。
【0027】
また、上述のセンサ開口部31には接続管40が取り付けられ、さらにその接続管40には接続用ナット50が取り付けられる。これらのうち、接続用ナット50は、接続管40の一端側(図1においてX1側)に、取り付けられる。この接続用ナット50は、火炎センサ装置10を外部の装着部位(バーナー等)に対して固定させる等するための部材である。なお、接続用ナット50と接続管40との間には、シール部材90が介在している。このシール部材90は、外部の装着部位に固定用ナット60をねじ込んだ際に、当該装着部位と固定用ナット60との間で押し潰される。それにより、ハウジング20の内部を気密に閉塞することが可能となっている。
【0028】
また、接続管40の他端側(図1においてX2側)には、ネジ山41が設けられている。ネジ山41は、接続管40の他端側の外周壁に形成されていて、上述したネジ溝34にねじ込み可能となっている。また、この接続管40は中空に設けられているが、その中空部分は、光電センサ100を収納するためのセンサ収納部42となっている。このセンサ収納部42には、光電センサ100の先端部分(光が入射されて、光を検出する部位)が入り込む、先端収納部43が設けられている。先端収納部43は、センサ収納部42の他の部分よりも大径に設けられている。
【0029】
また、先端収納部43に対して、図1において右側には、センサ差込部44が連なっている。センサ差込部44は、光電センサ100の一端側(X1側;センサ先端部102))を差し込んで、位置決めを行うための部分である。なお、図1に示すように、光電センサ100のセンサ先端部102の外周面は、緩やかなテーパを為している。このため、センサ差込部44も、その内壁面はセンサ先端部102の外周面に対応する角度のテーパを為していて、当該センサ先端部102の外周面と接触可能となっている。
【0030】
また、センサ差込部44に対して、図1において右側には、後端収納部45が連なっている。後端収納部45は、光電センサ100の他端側(X2側)を収納する部分であり、本実施の形態では、センサ収納部42の中で最も大径に設けられている部分である。なお、後端収納部45は、光電センサ100の他端側(X2側)よりも若干幅広に設けられていて、光電センサ100の取り付け時等の際に、径方向に若干移動することを許容する構成となっている。また、後端収納部45の他端側(X2側)は開口していて、光電センサ100の他端側(X2側)が、図1のX2側に突出するのを許容している。
【0031】
ここで、センサ差込部44と後端収納部45の直径(内径)の相違により、後端収納部45の一端側(X1側)には、リング状の端面46が設けられているが、この端面46は、請求項中の位置決め部に相当する。端面46は、後述する当接部105と突き合わされて、光電センサ100の位置決めを行っている。
【0032】
続いて、センサ収納部42に収納される光電センサ100について説明する。光電センサ100は、請求項中のセンサに相当し、例えばフォトレジスタ、フォトダイオード、CCD(Charge Coupled Device)等のように、光の受光に応じて、電気信号を出力するタイプのセンサである。この光電センサ100は、その全体がケース101によって覆われている。なお、センサ先端部102側のケース101は、センサ後端部103側のケース101よりも小径に設けられている。また、センサ先端部102の先端(図1において左側)には、透明部材104が取り付けられている。この透明部材104は、光が透過可能に設けられている。そして、透明部材104を透過した光は、不図示の受光素子に入射され、この受光素子において光電変換が行われる。
【0033】
また、センサ後端部103は、ケーブル120の先端部等を収納するために、センサ先端部102よりも大径に設けられている。
【0034】
ここで、センサ先端部102とセンサ後端部103との間の境界部分には、当接部105が設けられている。本実施の形態では、センサ後端部103の一端側(X1側)の方が、センサ先端部102の他端側(X2側)よりも、所定だけ大径に設けられていて、その間の段差状の部位に当接部105が存在している。すなわち、センサ後端部103の一端側(X1側)の外縁から、センサ先端部102の外壁までの間に存在するリング状の部位が、当接部105となっている。当接部105は、後述するようなケーブル120の弾性力によって、上述した端面46に突き当てられる状態となる。それにより、センサ収納部42の内部で、光電センサ100の位置決めが為される。
【0035】
また、ケーブル120は、その一端側(X1側)が、光電センサ100のケース101の内部に差し込まれている。また、ケーブル120の他端側(X2側)は、結線用端子台110によって固定されている。この結線用端子台110は、ケーブル120を差し込むための挿通孔111を有している。挿通孔111は、ケーブル120の本数にあわせて、例えば2つ設けられている。そして、それぞれの挿通孔111にケーブル120の樹脂製(例えば塩化ビニール製)の被膜120aを除去し、金属製(例えば銅製)の芯部120bを剥き出しにする。そして、芯部120bの部分がネジ112に接触する状態とした後に、ネジ112をねじ込むと、ケーブル120は、結線用端子台110に固定される。また、下方から延伸するケーブル120も同様に、ネジ113のねじ込みによって固定される。
【0036】
なお、ケーブル120に荷重が掛からない状態においては、当該ケーブル120は、伸長する(曲がるクセがない)状態に設けられている。
【0037】
ここで、光電センサ100に接続されるケーブル120には、図2に示すものと、図3に示すものとがある。それらのうち、図2に示すケーブル120(以下、ケーブル120Aとする。)は、2つの芯部120bが平行を為す状態で接合されている、いわゆる平行ケーブルとなっている。また、図3に示すケーブル120(以下、ケーブル120Bとする。)は、2つの芯部120bが互いに分離している。また、図3に示すケーブル120Bには、光電センサ100の後端から離間するにつれて、2つの芯部120bの間の間隔が徐々に広がる部位が存在している。
【0038】
なお、以下の説明において、上述の図2に示すケーブル120Aと図3に示すケーブル120Bを区別する必要がない場合には、単にケーブル120と称呼する。また、図2と図3の例では、ケーブル120A,120Bは、共に、光電センサ100の中心軸に沿って取り付けられている。
【0039】
また、本実施の形態では、ケーブル120とケーブル130の差込方向は、互いに略直交するように設けられている。また、結線用端子台110の内部には、不図示の導電部材が設けられていて、ネジ112,113でケーブル120の芯部120bとケーブル130の芯部(図示省略)が固定されると、導電部材は、ケーブル120の芯部120bとケーブル130の芯部との両方に導電可能となる。
【0040】
<光電センサの位置決めに関して(1)>
続いて、光電センサ100の位置決めを行うための構成について、図4に基づいて説明する。図4は、図2のケーブル120Aを用いて位置決めを行う場合を説明するための図である。
【0041】
図4に示すように、光電センサ100のセンサ後端部103の後端面103a(請求項中の端部に相当)と、結線用端子台110との間には、距離Lの隙間39が存在している。また、この隙間39の間に存在するケーブル120Aを伸長させると、隙間39の距離Lよりも長い長さ寸法を有している。そのため、隙間39に存在しているケーブル120Aは、当該ケーブル120Aが伸長している状態と比較して、所定だけ座屈する、または撓む状態となっている。なお、以下の説明では、必要に応じて、隙間39に存在していると共にケーブル120Aのうち撓んでいる部分を、弾性部120cとする。この弾性部120cは、芯部120bに対するネジ112のねじ込み位置を調整することによって形成される。
【0042】
なお、上述のうち、座屈に該当するか、撓みに該当するかは、ケーブル120の直径、距離Lの長さに依存するが、これらは、いずれも弾性変形であるため、以下の説明においては、弾性変形と称する。
【0043】
ここで、ケーブル120Aのうち、弾性部120cを伸長したときの長さ寸法の例としては、隙間39の距離Lと比較して、当該距離Lよりも2〜5%程度長くするものがある。しかしながら、弾性部120cは、この範囲以上の長さ寸法を有するようにしても良い。また、光電センサ100に良好に弾性変形の復元力を及ぼすものであれば、上述の範囲以下の長さ寸法を有するようにしても良い。
【0044】
このように、弾性部120cを伸長したときの長さ寸法は、距離Lよりも所定だけ長い状態となっている。そのため、弾性部120cの被膜120aおよび芯部120bは、元の伸長状態に戻ろうとする。それによって、弾性部120cは、後端面103aと結線用端子台110の両方に対して、図4の力F1を及ぼす。そして、この力F1の作用により、光電センサ100は、図4において左側に押し付けられる。それにより、光電センサ100の当接部105は、端面46に対して、力F1に近似する力が付与される状態で突き合わされる。それにより、光電センサ100の位置決めが為される。
【0045】
<光電センサの位置決めに関して(2)>
続いて、光電センサ100の位置決めを行うための構成について、図5に基づいて説明する。図5は、図3のケーブル120Bを用いて位置決めを行う場合を説明するための図である。
【0046】
なお、図5に示す場合も、図4に示す場合とほぼ同様の位置関係となっている。そのため、図4に示す場合と重複する部分については、その説明を省略する。ここで、図5に示す構成では、後端面103bからケーブル120Bが外に出る段階で、当該ケーブル120Bは湾曲している。そのため、ケーブル120Bの曲率が大きくなり、その分だけ、力F2の大きさが、力F1よりも小さくなっている。なお、この力F2は、2つのケーブル120Bが生じさせる復元力の合力となっている。
【0047】
<本発明の適用による効果>
以上のような構成のセンサ取付構造を有する火炎センサ装置10によれば、当接部105と端面46との間の突き当てにより、光電センサ100は、ハウジング20の内部で位置決めされ、かつ固定された状態となる。そのため、火炎センサ装置10は、光電センサ100を固定するための、別途の固定用部品が不要となる。それによって、本発明では、別途の固定用部品を用いる場合と比較して、部品点数が増えるのを抑えることが可能となり、コストが増大するのを抑えることが可能となる。また、固定用部品が不要となるので、本発明の火炎センサ装置10は、固定用部品をハウジング20の内部に固定する工数が掛からずに済む。以上から、本発明では、簡便な構成で、光電センサ100をハウジング20の内部に固定することができる。
【0048】
また、本実施の形態から明らかなように、弾性部120cには、弾性変形における許容範囲内の弾性変形が生じている。そのため、弾性部120cが及ぼす弾性変形の復元力により、火炎センサ装置10は、その組み付けの際に生じるパッキン公差を、吸収可能となっている。
【0049】
さらに、弾性部120cは弾性変形しており、その復元力が光電センサ100に及ぼされるため、仮に光電センサ100の中心軸と挿通孔111の中心軸とがずれていても、ずれの影響を相殺可能となっており、光電センサ100をハウジング20の内部に固定可能となっている。そのため、保護筐体30、接続管40および結線用端子台110の加工公差を大きくすることが可能となり、結果として製造コストを低減させることが可能となる。
【0050】
また、弾性部120cの伸長状態における長さ寸法は、光電センサ100の後端面103aと結線用端子台110との間の距離Lよりも大きい。それにより、ケーブル120の弾性部120cに相当する部分は、後端面103aと結線用端子台110から、荷重を受ける状態となり、弾性変形が生じて弾性部120cが形成される。この弾性部120cからは、弾性変形している状態から復元しようとする復元力(弾性力)を生じさせることができ、この復元力(弾性力)を利用して光電センサ100をハウジング20の内部に固定させることが可能となる。
【0051】
また、図2に示すような、ケーブル120Aを用いる場合、2つの芯部120bが接合されているので、単独の芯部120bが複数存在する場合と比較して、復元力(弾性力)を向上させることが可能となる。それにより、火炎センサ装置10においては、耐振動性、耐衝撃性を向上させることが可能となる。また、単独の芯部120bが複数存在する場合と同一の復元力(弾性力)を確保すれば良い場合、より断面積の小さなケーブル120Aを用いることが可能となる。それにより、ケーブル120Aを構成する素材の分量の低減を図ることが可能となる。
【0052】
また、図3に示すような、ケーブル120Bを用いる場合、結線用端子台110の配置位置の自由度を向上させることが可能となる。また、光電センサ100の後端面103aから離間するにつれて、芯部120bの間の間隔が広げることができるので、芯部120bを結線用端子台110に対して容易に接続させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0054】
上述の実施の形態においては、後端面103aと結線用端子台110との間でケーブル120が弾性変形させられ、弾性変形の復元力によって当接部105と端面46とが突き当てられている。しかしながら、ケーブル120がハウジング20の外に引き出される(結線用端子台110をハウジング20内部に有しない)タイプの火炎センサ装置にも、本発明を適用することは可能である。例えば、伸長されたケーブル120が所定の屈曲率で曲げられる場合、その屈曲状態を元に戻そうとする復元力が働く。そのため、当該復元力を利用して、光電センサ100の位置決めを行うことも可能である。
【0055】
また、図1において、接続管40の左側からX2の向きに光電センサ100を挿入することが可能である場合、荷重がケーブルに掛からない状態において、当該ケーブルが湾曲するものを用いるようにしても良い。この場合、接続管としては、接続管40とは異なり、光電センサ100の後端面103aを受け止める部位が必要となる。これと同様のものとして、一般に用いられる電話機の本体部と通話部とを結ぶコードのように、螺旋状に巻回されているものを用いるようにしても良い。
【0056】
また、上述の実施の形態では、ケーブルの内部のいずれかの部位(例えば被膜120aの内側等)に、形状記憶合金や形状記憶ポリマーを用いて、温度変化によって弾性変形を生じさせるようにしても良い。また、ケーブル120A,120Bは、芯部120bが2つ以上有するものを用いるようにしても良い。
【0057】
また、上述の実施の形態におけるセンサ取付構造は、火炎センサ装置10以外のセンサ装置に適用することも勿論可能である。また、上述の実施の形態では、センサとして、光電センサ100を用いる場合について説明しているが、光電センサ100以外のセンサを用いるようにしても良い。その例としては、熱電対、サーミスタ、温度センサIC等のような温度センサ、加速度センサ、磁気センサ、超音波センサ等がある。
【0058】
また、防水性を備えていないハウジングを用いて、本発明に係るセンサ取付構造を実現するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のセンサ取付構造および火炎センサ装置は、バーナー等を用いる船舶、各種焼却施設の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態に係る火炎センサ装置の構成を示す側断面図である。
【図2】図1の火炎センサ装置において、光電センサおよび2つの芯部が接合されているケーブルの構成を示す側面図である。
【図3】図1の火炎センサ装置において、光電センサおよび2つの芯部が分離しているケーブルの構成を示す側面図である。
【図4】2つの芯部が接合されているケーブルを用いた場合における、光電センサの位置決めに関する部分を示す側面図である。
【図5】2つの芯部が分離しているケーブルを用いた場合における、光電センサの位置決めに関する部分を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
10…火炎センサ装置
20…ハウジング
30…保護筐体
40…接続管
46…端面(位置決め部に相当)
50…接続用ナット
60…固定用ナット
70…カバー
80,90…シール部材
100…光電センサ(センサに相当)
103a…後端面(端部に相当)
105…当接部
110…結線用端子台
120…ケーブル
130…ケーブル
130c…弾性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当接部を有するセンサと、
上記センサの端部から引き出されるケーブルと、
上記センサを収納して外部雰囲気から保護すると共に、上記当接部に突き当てられる位置決め部を有するハウジングと、
を具備し、
上記ケーブルには弾性部が設けられ、この弾性部は上記当接部を上記位置決め部に突き当てさせるための弾性力を及ぼす、
ことを特徴とするセンサ取付構造。
【請求項2】
前記ハウジングの内部には、前記ケーブルの端末側に位置する導体を電気的に接続するための結線用端子台が設けられていると共に、
前記弾性部の伸長状態における長さ寸法は、前記端部と上記結線用端子台との間の距離よりも大きく設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のセンサ取付構造。
【請求項3】
前記弾性部は、前記端部および前記結線用端子台との間で、前記伸長状態に戻そうとする復元力を及ぼす状態で湾曲させられている、
ことを特徴とする請求項2記載のセンサ取付構造。
【請求項4】
前記ケーブルには、導電可能な芯部が2芯以上存在していると共に、これらの芯部は、平行を為す状態で接合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ取付構造。
【請求項5】
前記ケーブルは、導電可能な芯部が2芯以上存在していて、これらの芯部が互いに分離されていると共に、
前記弾性部には、前記センサの前記端部から離間するにつれて、芯部同士の間隔が徐々に広がる部位が存在する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ取付構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサ取付構造を備える火炎センサ装置であって、
前記センサは火炎が発する光を検出する光電センサであることを特徴とする火炎センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192395(P2009−192395A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34044(P2008−34044)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】