説明

センサ装置

【課題】比較的少ない素子数で、2つの値の差分を取るとともに感度を向上させることができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】出力部4は、第1の入力部In1への入力に応じた大きさの電流を供給電流としてトランジスタTr8に流すとともに第2の入力部In2への入力に応じた大きさの電流を排出電流としてトランジスタTr6に流す第1の動作状態と、第1の入力部In1への入力に応じた大きさの電流を排出電流としてトランジスタTr5に流すとともに第2の入力部In2への入力に応じた大きさの電流を供給電流としてトランジスタTr8に流す第2の動作状態とを周期的に切り替える。出力コンデンサC1は供給電流が排出電流よりも大きければ両電流の差分で充電され、供給電流が排出電流よりも小さければ両電流の差分を放電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量あるいは化学量を検出して電圧信号を出力するセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部と、センサ部の出力を検出する検出回路とを備えたセンサ装置が知られている。
【0003】
図15(a)に示す検出回路3は、それぞれトランジスタTr11、Tr12と当該トランジスタTr11、Tr12に流す電流の大きさを決めるコンデンサC11、C12とを有した第1および第2のカレントコピアCC1、CC2を有している。カレントコピアCC1、CC2は、入力フェーズと出力フェーズとの2種類の動作状態で動作するものであって、入力フェーズで流した電流を出力フェーズにも流すという機能を有する。ここでは、第1のカレントコピアCC1は制御信号φ1、φ1SがH(ハイ)レベルのときに入力フェーズ、L(ロー)レベルのときに出力フェーズで動作し、第2のカレントコピアCC2は制御信号φ2、φ2SがHレベルのときに入力フェーズ、Lレベルのときに出力フェーズで動作する。
【0004】
ここに、第1および第2の各カレントコピアCC1、CC2は、センサ部からの電流Iinをそれぞれ流すように構成されており、且つセンサ部と第2のカレントコピアCC2との間には制御信号φ2、φ2SがHレベルのときにオンするスイッチQ10が挿入されている。なお、センサ部からは制御信号φ1がHレベルのときにのみ電流Iinが引き込まれ、第2のカレントコピアCC2からの出力電流を流すスイッチQ11は制御信号φ3がHレベルのときにオンし、回路中に設けた定電流源I0は制御信号φ4がHレベルのときに動作する。
【0005】
上述した構成によれば、図15(b)に示すように制御信号φ1、φ1SがHレベルの第1の期間T1にセンサ部からの第1の電流I1が第1のカレントコピアCC1に記憶され、制御信号φ1、φ2、φ2SがHレベルの第2の期間T2には、センサ部からの第2の電流I2が第1のカレントコピアCC1に第1の電流I1だけ引き抜かれることにより、第2のカレントコピアCC2に第1の電流I1と第2の電流I2との差分が記憶され、制御信号φ3がHレベルの第3の期間T3に第2のカレントコピアCC2に記憶されている電流が出力電流Ioutとして取り出されることになる。なお、制御信号φ4は、上述のすべてのフェーズでHレベルとなる。
【0006】
すなわち、上述したセンサ装置を用いれば、第1の期間T1に取り込んだセンサ部の出力と、第2の期間T2に取り込んだセンサ部の出力との差分を、第3の期間T3に取り出すことができる。一例として、センサ部から物理量あるいは化学量の変化に相当するセンサ電流以外にオフセット電流が出力される場合に、第1の期間T1にセンサ部からオフセット電流のみを入力し、第2の期間T2にセンサ部からオフセット電流およびセンサ電流を入力するようにすれば、第3の期間T3においてオフセット電流を除いたセンサ電流のみを取り出すことができる(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−298946号公報(第0004−0005段落、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したセンサ装置では、各コンデンサC11、C12はトランジスタTr11、Tr12に流す電流値をそれぞれ保持するためのものであって、センサ部の出力が一定であれば各コンデンサC11、C12の充電期間を延長しても検出回路3の出力が大きくなることはない。すなわち、上記センサ装置の検出回路3は感度の向上には寄与しておらず、センサ部において物理量あるいは化学量の変化に応じて取り出される電気量の変化が小さい場合には、検出回路3の他に信号を増幅する回路が別途必要となり回路を構成する素子数が増えることとなる。素子数が増えると、回路が複雑化したり、熱雑音の増加等によりSN比が低下したりする問題がある。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、比較的少ない素子数で、2つの値の差分を取るとともに感度を向上させることができるセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明では、それぞれ物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部の出力を入力可能な第1および第2の入力部と、両入力部への入力に基づいて電圧を出力する出力部とを備え、出力部は、いずれか一方の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流として流す電流供給手段と、電流供給手段に直列に接続され、いずれか一方の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流供給手段との接続点から排出電流として引き抜く電流引抜手段と、電流引抜手段に並列に接続され、前記供給電流が前記排出電流よりも大きければ両電流の差分で充電され、前記供給電流が前記排出電流よりも小さければ両電流の差分を放電し、両端電圧が出力電圧として取り出される出力コンデンサとを有し、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流とするとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を排出電流とする第1の動作状態と、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を排出電流とするとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流とする第2の動作状態とを周期的に切り替えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1の動作状態では、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流とするとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を排出電流として出力コンデンサの充放電が行われ、第2の動作状態では、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を排出電流とするとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流として出力コンデンサの充放電が行われることになるので、第1の動作状態と第2の動作状態とで出力コンデンサが逆極性に充放電されることとなり、第1および第2の動作状態が周期的に切り替えられることによって、各動作状態で出力コンデンサの両端電圧の変化量としてそれぞれ現れる2つの値の差分を取ることができる。しかも、各動作状態における出力コンデンサの充電時間は動作状態を切り替える周期によって決まるので、入力部への入力が一定でも、前記周期を大きくすれば出力電圧は大きくなる。すなわち、信号を増幅する回路を別途設けることなく、動作状態を切り替える周期を大きくするだけで出力部のゲインは大きくなり、たとえば、センサ部において物理量あるいは化学量の変化に応じて取り出される電気量の変化が小さい場合に、前記周期を大きくすることで感度を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明では、それぞれ物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部の出力を入力可能な第1および第2の入力部と、両入力部への入力に基づいて電圧を出力する出力部とを備え、出力部は、入力側トランジスタおよび出力側トランジスタからなり入力側トランジスタに流れる電流と同じ大きさの電流を出力側トランジスタに流すカレントミラーと、出力側トランジスタに直列に接続され両端電圧が出力電圧として取り出される出力コンデンサと、出力コンデンサと並列に接続される電流制限素子とを有し、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を入力側トランジスタに流すとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流制限素子に流す第1の動作状態と、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流制限素子に流すとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を入力側トランジスタに流す第2の動作状態とを周期的に切り替えることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1の動作状態では、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を入力側トランジスタに流すとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流制限素子に流すことにより出力コンデンサの充放電が行われ、第2の動作状態では、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流制限素子に流すとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を入力側トランジスタに流すことにより出力コンデンサの充放電が行われることになるので、第1の動作状態と第2の動作状態とで出力コンデンサが逆極性に充放電されることとなり、第1および第2の動作状態が周期的に切り替えられることによって、各動作状態で出力コンデンサの両端電圧の変化量としてそれぞれ現れる2つの値の差分を取ることができる。しかも、各動作状態における出力コンデンサの充電時間は動作状態を切り替える周期によって決まるので、入力部への入力が一定でも、前記周期を大きくすれば出力電圧は大きくなる。すなわち、信号を増幅する回路を別途設けることなく、動作状態を切り替える周期を大きくするだけで出力部のゲインは大きくなり、たとえば、センサ部において物理量あるいは化学量の変化に応じて取り出される電気量の変化が小さい場合に、前記周期を大きくすることで感度を向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記出力部が、前記動作状態を切り替える周期を変更する周期変更手段を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、周期変更手段によって動作状態を切り替える周期を変更することができるので、センサ部からの出力に応じて、十分な出力電圧の変化が得られるように出力部のゲインを調整することができる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか発明において、一方の前記入力部への入力を入切する切り離し用のスイッチと、両入力部間に挿入された短絡用のスイッチとを備え、両スイッチが、前記出力部による前記動作状態の切り替えに同期して交互にオンすることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、一方の動作状態においては、切り離し用のスイッチがオフ、短絡用のスイッチがオンとなるので、両入力部間が短絡され、出力部に固有の回路オフセットが出力部の出力電圧として現れる。他方の動作状態においては、切り離し用のスイッチがオン、短絡用のスイッチがオフとなるので、各入力部への入力の差分に相当する相当するセンサ出力成分と、回路オフセットとが出力電圧として現れる。ここで、前記一方の動作状態において、前記他方の動作状態とは逆極性の回路オフセットが出力電圧として現れているので、回路オフセット同士が相殺することにより、前記他方の動作状態の終了時点では、上記回路オフセットの影響を取り除いてセンサ出力成分のみを出力電圧として取り出すことができる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記出力部が、前記出力コンデンサに接続された第1および第2のスイッチング素子を具備しており、前記第1の動作状態では第1のスイッチング素子をオンとするとともに第2のスイッチング素子をオフとし、前記第2の動作状態では第1のスイッチング素子をオフとするとともに第2のスイッチング素子をオンとすることにより前記動作状態を切り替える切替手段を有し、切替手段が、動作状態を切り替える際に、第1および第2のスイッチング素子の一方のオンオフ状態を切り替えるタイミングが、他方のオンオフ状態を切り替えるタイミングに対して所定の遅延時間だけ遅れていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第1のスイッチング素子のオンオフ状態を切り替えるタイミングと、第2のスイッチング素子のオンオフ状態を切り替えるタイミングとがずれることとなり、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とでオンオフ状態が同時に切り替わることを回避することができる。そのため、第1および第2のスイッチング素子のオンオフ状態が切り替わるときに各スイッチング素子でそれぞれ発生するノイズが互いに重畳することを回避でき、ノイズピークの発生を抑制することができる。結果的に、出力コンデンサから取り出される出力部の出力電圧に対する第1および第2のスイッチング素子で発生したノイズの影響を低減できる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記出力部が、前記出力コンデンサに接続された第1および第2のスイッチング素子を具備しており、前記第1の動作状態では第1のスイッチング素子をオンとするとともに第2のスイッチング素子をオフとし、前記第2の動作状態では第1のスイッチング素子をオフとするとともに第2のスイッチング素子をオンとすることにより前記動作状態を切り替える切替手段と、第1および第2のスイッチング素子と出力コンデンサとの間に挿入され、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際と第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際との少なくとも一方においてオフになる分離スイッチとを有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、第1および第2のスイッチング素子と出力コンデンサとの間に挿入された分離スイッチが、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際と第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際との少なくとも一方においてオフになるので、第1および第2のスイッチング素子のオンオフ状態が切り替わるときに第1および第2のスイッチング素子は出力コンデンサから分離されることとなる。そのため、第1および第2のスイッチング素子のオンオフ状態が切り替わるときに各スイッチング素子でそれぞれ発生するノイズが出力コンデンサに流れ込むことを回避でき、結果的に、出力コンデンサから取り出される出力部の出力電圧に対する第1および第2のスイッチング素子で発生したノイズの影響を低減できる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明において、前記出力部が、半導体素子を構成要素に含み、当該半導体素子が持つ1/fノイズコーナー周波数よりも短い周期で前記動作状態を切り替えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、出力部が、構成要素の半導体素子が持つ1/fノイズコーナー周波数よりも短い周期で動作状態を切り替えるから、1/fノイズの出力電圧への影響を抑えることができる。なお、ここでいう1/fノイズコーナー周波数は、所定温度で1/fノイズ強度と熱雑音強度とがほぼ等しくなる周波数である。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明において、前記センサ部が、赤外線の受光量を検出し電気量に変換する赤外線センサであることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、センサ部での赤外線の受光量が小さくセンサ部から取り出される電気量の変化が小さい場合でも、十分な出力電圧の変化が得られるように出力部のゲインを設定し、十分な感度を確保することができる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかの発明において、前記入力部が、前記センサ部の出力を択一的に出力するセレクタを介して複数のセンサ部に接続されていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、複数のセンサ部を入力部に接続することによって、1個の出力部を複数のセンサ部で共用することができるので、各センサ部に個別に出力部を設ける場合に比べてセンサ装置の構成が単純になる。
たとえば複数のセンサ部間での出力の差分を取ることが可能となる。
【0027】
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明において、前記各入力部には、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受ける検出用の前記センサ部の出力と、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受けない参照用のセンサ部の出力とがそれぞれ入力されることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、検出用のセンサ部の出力と検出用のセンサ部の出力との差分を各動作状態においてそれぞれ取り出すことができる。その結果、センサ部の温度特性や、センサ部の経年変化等によるオフセット成分を取り除いた出力電圧を得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、第1の動作状態と第2の動作状態とで出力コンデンサが逆極性に充放電されることになるので、第1および第2の動作状態が周期的に切り替えられることにより、各動作状態で出力コンデンサの両端電圧の変化量としてそれぞれ現れる2つの値の差分を取ることができる。しかも、信号を増幅する回路を別途設けることなく動作状態を切り替える周期を大きくするだけで出力部のゲインは大きくなるので、たとえば、センサ部において物理量あるいは化学量の変化に応じて取り出される電気量の変化が小さい場合に、前記周期を大きくすることで感度を向上させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(実施形態1)
本実施形態のセンサ装置1は、図6(a)に示すように、物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部2と、センサ部2の出力を検出する検出回路3とを具備している。検出回路3は、図1に示すように、それぞれセンサ部2の出力が入力される第1および第2の入力部In1、In2と、両入力部In1、In2への入力に基づいて電圧を出力する出力部4と、両入力部In1、In2間に挿入された短絡用のスイッチSW1と、第1の入力部In1への入力を入切する切り離し用のスイッチSW2とを備える。本実施形態ではセンサ部2の一例として、赤外線を受光することによる温度上昇に応じて電気量を変化させる赤外線センサであって、前記電気量の変化に応じた電圧値の変化を出力するものを用いる。
【0031】
以下ではまず、出力部4の基本構成および基本動作について図2ないし図5を参照して説明する。なお、図2ないし図5に示す例では、短絡用、切り離し用の両スイッチSW1、SW2を省略している。
【0032】
図2に示すように、第1、第2の入力部In1、In2には、PチャネルMOSFETからなるトランジスタTr1、Tr2の各ゲートがそれぞれ接続される。両トランジスタTr1、Tr2には直流電圧VDDが印加されており、両トランジスタTr1、Tr2はソース電位が等しくなるようにそれぞれのソースを共通の定電流源5に接続している。これにより、各トランジスタTr1、Tr2に流れるドレイン電流は、それぞれのゲート電圧の大きさ、つまりセンサ部2から入力部In1、In2への入力の大きさに従って決定され、定電流源5から供給される電流が第1および第2の入力部In1、In2への入力の比に応じて各トランジスタTr1、Tr2に分配されることになる。
【0033】
トランジスタTr1のドレインは、第1のカレントミラーM1の入力側となるトランジスタTr3を通して接地点GNDに接続され、トランジスタTr2のドレインは、第2のカレントミラーM2の入力側となるトランジスタTr4を通して接地点GNDに接続される。具体的には、各トランジスタTr3、Tr4はいずれもNチャネルMOSFETからなり、ドレインおよびゲートを各トランジスタTr1、Tr2のドレインにそれぞれ接続する形で、トランジスタTr1、Tr2のソース−ドレインと直列にドレイン−ソースを接続している。これにより、各トランジスタTr1、Tr2に流れるドレイン電流はそれぞれ各トランジスタTr3、Tr4のドレイン電流となる。
【0034】
トランジスタTr3を入力側とした第1のカレントミラーM1の出力側のトランジスタTr5は、NチャネルMOSFETからなり、ゲートおよびソースがトランジスタTr3のゲートおよびソースにそれぞれ接続され、トランジスタTr4を入力側とした第2のカレントミラーM2の出力側のトランジスタTr6は、NチャネルMOSFETからなり、ゲートおよびソースがトランジスタTr4のゲートおよびソースにそれぞれ接続されている。これにより、各トランジスタTr3、Tr4のドレイン電流と同じ大きさのドレイン電流がそれぞれ対応する各トランジスタTr5、Tr6に流れることになる。
【0035】
トランジスタTr5のドレインは、スイッチング素子Q1を介してトランジスタTr7に接続され、スイッチング素子Q3を介してトランジスタTr8に接続されている。また、トランジスタTr6のドレインは、スイッチング素子Q2を介してトランジスタTr8に接続され、スイッチング素子Q4を介してトランジスタTr7に接続されている。
【0036】
トランジスタTr7、Tr8はそれぞれPチャネルMOSFETからなり、トランジスタTr7を入力側、トランジスタTr8を出力側とする第3のカレントミラーM3を形成している。すなわち、トランジスタTr7のゲートおよびソースはトランジスタTr8のゲートおよびソースにそれぞれ接続されている。各トランジスタTr7、Tr8は、ドレインが上述したスイッチング素子Q1、Q2を通してそれぞれトランジスタTr5、Tr6のドレインに接続される。ここで、トランジスタTr7のソース−ドレインとスイッチング素子Q1とトランジスタTr5のドレイン−ソースとの直列回路、およびトランジスタTr8のソース−ドレインとスイッチング素子Q2とトランジスタTr6のドレイン−ソースとの直列回路には、それぞれ直流電圧VDDが印加される。
【0037】
さらに、出力側のトランジスタTr8のドレインと接地点GNDとの間には、出力コンデンサC1が接続されており、この出力コンデンサC1の両端電圧が出力電圧として取り出されるようになっている。本実施形態では、トランジスタTr8のドレインと出力コンデンサC1との間に検出スイッチSW3が挿入されており、当該検出スイッチSW3がオフの期間にオンするリセットスイッチSW4を介して出力コンデンサC1に対し直流電圧VDDよりも低いリセット電圧VRE(たとえば直流電圧VDDの1/2)が印加されるようになっている。ここで、検出スイッチSW3とリセットスイッチSW4とは、センサ部2の出力を検出する前に一旦、検出スイッチSW3がオフ、リセットスイッチSW4がオンとなり出力電圧をリセット電圧VREにリセットし、センサ部2の出力を検出する際にリセットスイッチSW4がオフ、検出スイッチSW3がオンするように制御されており、これにより、出力電圧はリセット電圧VREを基準にセンサ部2の出力に応じて変化する。
【0038】
ところで、上述したスイッチング素子Q1〜Q4はトランジスタTr7、Tr8とトランジスタTr5、Tr6との間の接続状態を切り替える切替手段6を構成しており、スイッチング素子Q1、Q2はいずれもスイッチ信号φ1によってオンオフ制御され、スイッチング素子Q3、Q4はいずれもスイッチ信号φ2によってオンオフ制御される。具体的には、スイッチング素子Q1〜Q4はそれぞれNチャネルMOSFETからなり、ゲートにスイッチ信号φ1、φ2が入力されることにより、対応するスイッチ信号φ1、φ2がH(ハイ)レベルのときにオンし、L(ロー)レベルのときにオフする。
【0039】
ここにおいて、スイッチング素子Q1、Q2とスイッチング素子Q3、Q4とが同時にオンすることのないように、図2(b)に示すように互いに逆位相のスイッチ信号φ1、φ2がスイッチング素子Q1〜Q4のゲートに入力される。以下では、スイッチ信号φ1がHレベルでスイッチング素子Q1、Q2がオンの状態を第1の動作状態、スイッチ信号φ2がHレベルでスイッチング素子Q3、Q4がオンの状態を第2の動作状態という。スイッチ信号φ1、φ2は図示しない制御回路から出力されるものであって、本実施形態では、第1および第2の各動作状態が同一時間ずつ周期的に繰り返されるように、スイッチ信号φ1、φ2を周期的に切り替えるものとする。
【0040】
次に、第1および第2の各動作状態における出力部4の基本動作について説明する。ここでは、出力コンデンサC1は上述した検出スイッチSW3およびリセットスイッチSW4の動作によりリセット電圧VREに充電されているものとする。
【0041】
第1の動作状態においては、トランジスタTr1のドレイン電流は、第1および第3のカレントミラーM1、M3によって、トランジスタTr8のドレイン電流の大きさを決定し、トランジスタTr2のドレイン電流は、第2のカレントミラーM2によってトランジスタTr6のドレイン電流の大きさを決定する。ここで、出力コンデンサC1にはトランジスタTr6が電流制限素子として並列に接続される。これにより、トランジスタTr8は、第1の入力部In1への入力に応じた大きさの電流を供給電流としてトランジスタTr6と出力コンデンサC1との並列回路に流す電流供給手段として機能し、トランジスタTr6は、第2の入力部In2への入力に応じた大きさの電流をトランジスタTr8との接続点から排出電流として引き抜く電流引抜手段として機能する。
【0042】
したがって、トランジスタTr1のドレイン電流がトランジスタTr2のドレイン電流よりも大きければ、トランジスタTr8のドレイン電流(供給電流)がトランジスタTr6のドレイン電流(排出電流)よりも大きくなり、トランジスタTr8とトランジスタTr6とのドレイン電流の差分が出力コンデンサC1に流れ込み、出力コンデンサC1が充電されて出力電圧は増加する。これとは逆に、トランジスタTr1のドレイン電流がトランジスタTr2のドレイン電流よりも小さければ、トランジスタTr8のドレイン電流がトランジスタTr6のドレイン電流よりも小さくなり、トランジスタTr6とトランジスタTr8とのドレイン電流の差分が出力コンデンサC1から引き抜かれ、出力コンデンサC1が放電して出力電圧は減少する。
【0043】
すなわち、出力部4は入力部In1、In2への入力電圧を電流に変換するトランスコンダクタンスアンプとしての機能を有し、この電流の大きさによって出力コンデンサC1を充電あるいは放電し、出力電圧を増加あるいは減少させる。
【0044】
一方、第2の動作状態においては、トランジスタTr1のドレイン電流は、第1のカレントミラーM1によって、トランジスタTr5のドレイン電流の大きさを決定し、トランジスタTr2のドレイン電流は、第2および第3のカレントミラーM2、M3によってトランジスタTr8のドレイン電流の大きさを決定する。ここで、出力コンデンサC1にはトランジスタTr5が電流制限素子として並列に接続される。これにより、トランジスタTr8は、第2の入力部In2への入力に応じた大きさの電流を供給電流としてトランジスタTr5と出力コンデンサC1との並列回路に流す電流供給手段として機能し、トランジスタTr5は、第1の入力部In1への入力に応じた大きさの電流をトランジスタTr8との接続点から排出電流として引き抜く電流引抜手段として機能する。
【0045】
したがって、トランジスタTr1のドレイン電流がトランジスタTr2のドレイン電流よりも大きければ、トランジスタTr8のドレイン電流(供給電流)がトランジスタTr5のドレイン電流(排出電流)よりも小さくなり、トランジスタTr5とトランジスタTr8とのドレイン電流の差分が出力コンデンサC1から引き抜かれ、出力コンデンサC1が放電して出力電圧は減少する。これとは逆に、トランジスタTr1のドレイン電流がトランジスタTr2のドレイン電流よりも小さければ、トランジスタTr8のドレイン電流がトランジスタTr5のドレイン電流よりも大きくなり、トランジスタTr8とトランジスタTr5とのドレイン電流の差分が出力コンデンサC1に流れ込み、出力コンデンサC1が充電されて出力電圧は増加する。
【0046】
なお、第1および第2の各動作状態において、出力コンデンサC1の両端電圧が飽和することがないように、出力コンデンサC1の容量値や、各スイッチ信号φ1、φ2の周期や、直流電圧VDDの大きさなどが設定される。
【0047】
要するに、第1の動作状態では、第1の入力部In1への入力に応じた大きさの電流を供給電流とするとともに第2の入力部In2への入力に応じた大きさの電流を排出電流として出力コンデンサC1の充放電が行われ、第2の動作状態では、第1の入力部In1への入力に応じた大きさの電流を排出電流とするとともに第2の入力部In2への入力に応じた大きさの電流を供給電流として出力コンデンサC1の充放電が行われることになる。
【0048】
ところで、上述した第1および第2の動作状態が交互に繰り返されると、各動作状態で出力コンデンサC1の両端電圧の変化量としてそれぞれ現れる2つの値の減算が行われることになる。
【0049】
すなわち、たとえばトランジスタTr1のドレイン電流がトランジスタTr2のドレイン電流よりも大きい場合には、第1の動作状態では上述したように出力コンデンサC1が充電されて出力電圧が増加する。そして、トランジスタTr1およびトランジスタTr2の各ドレイン電流の大小関係を固定したままで動作状態が第2の動作状態に切り換わると、出力コンデンサC1が放電して出力電圧が減少する。ここで、仮に両動作状態においてトランジスタTr1のドレイン電流とトランジスタTr2のドレイン電流との差が一定であるとすれば、第1の動作状態で出力コンデンサC1に流入する電荷量と第2の動作状態で出力コンデンサC1から放出される電荷量とは等しくなり、その結果、第1の動作状態において出力電圧がリセット電圧VREからΔVだけ増加した場合に、第2の動作状態において出力電圧はΔVだけ減少してリセット電圧VREに戻ることとなる。
【0050】
ところで、上述した図2の例では、スイッチング素子Q1〜Q4からなる切替手段6は、上述したように第3のカレントミラーM3を構成するトランジスタTr7、Tr8の各ドレインとトランジスタTr5、Tr6の各ドレインとの接続関係を入れ替える位置に配置されているが、この構成に代えて、図3に示すようにトランジスタTr1、Tr2の各ドレインとトランジスタTr3、Tr4の各ドレインとの接続関係を入れ替える位置に配置されていてもよい。
【0051】
図3の構成では、トランジスタTr7のドレインとトランジスタTr5のドレイン、トランジスタTr8のドレインとトランジスタTr6のドレインとがそれぞれ直接接続されており、第1の動作状態(スイッチ信号φ1がHレベル)で、トランジスタTr1のドレインとトランジスタTr3のドレイン、トランジスタTr2のドレインとトランジスタTr4のドレインとがそれぞれ接続され、第2の動作状態(スイッチ信号φ2がHレベル)で、トランジスタTr1のドレインとトランジスタTr4のドレイン、トランジスタTr2のドレインとトランジスタTr3のドレインとがそれぞれ接続される。この構成でも、出力部4は上述した出力部4と同様に動作する。
【0052】
また、出力部4の各カレントミラーM1〜M3は、図4に示すようにトランジスタをカスコード接続した構成であってもよい。第1のカレントミラーM1を例として図4のカレントミラーM1〜M3の具体構成を説明すると、入力側のトランジスタTr3にトランジスタTr3’が直列に接続され、出力側のトランジスタTr5にトランジスタTr5’が直列に接続されている。ここで、トランジスタTr3’、Tr5’は、ドレインおよびゲートを各トランジスタTr3、Tr5のソースにそれぞれ接続する形で、トランジスタTr3、Tr5のドレイン−ソースと直列にドレイン−ソースを接続している。なお、図3および図4では、出力電圧をリセットするための回路(リセット電圧VRE、検出スイッチSW3、リセットスイッチSW4)の図示を省略している。
【0053】
さらにまた、上記図2の例ではスイッチング素子Q1〜Q4はいずれもNチャネルMOSFETで構成されているが、スイッチング素子Q1〜Q4はPチャネルMOSFETであってもよく、NチャネルMOSFETとPチャネルMOSFETとの組み合わせで各スイッチング素子Q1〜Q4を形成してもよい。後者の場合、図5のようにNチャネルMOSFET(図中Q1)とPチャネルMOSFET(図中Q1’)とを逆直列に接続し、スイッチング素子Q1、Q2においてはNチャネルMOSFETのゲートにスイッチ信号φ1を入力し、スイッチング素子Q3、Q4においてはNチャネルMOSFETのゲートにスイッチ信号φ2を入力すればよい。なお、NチャネルMOSFETあるいはPチャネルMOSFET単独でスイッチング素子Q1〜Q4を構成する場合は、ゲート−ソース間にスイッチ信号φ1、φ2により十分な電位差を生じさせるため、スイッチング素子Q1〜Q4のソース電位によっていずれかを選択する。
【0054】
次に、上述した出力部の基本構成および基本動作を前提として、本実施形態の検出回路3の構成および動作について図1および図6を参照して説明する。
【0055】
本実施形態のセンサ装置1は、図2の基本構成に加えて図1に示すように両入力部In1、In2間に挿入された短絡用のスイッチSW1と、第1の入力部In1への入力を入切する切り離し用のスイッチSW2とを備えるものである。
【0056】
スイッチSW1、SW2はそれぞれNチャネルMOSFETからなり、両スイッチSW1、SW2は第1および第2の動作状態の切り替えに同期して交互にオンするように、短絡用のスイッチSW1のゲートにスイッチ信号φ1、切り離し用のスイッチSW2のゲートにスイッチ信号φ2がそれぞれ入力される。つまり、スイッチ信号φ1がHレベルにある第1の動作状態においてはスイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフとなり、スイッチ信号φ2がHレベルにある第2の動作状態においてはスイッチSW2がオン、スイッチSW1がオフとなる。
【0057】
また、図6(a)に示すように、第1の入力部In1はセンサ部2に接続されており、第2の入力部In2は基準電圧Vref(VDD>Vref>GND)に接続されている。これにより、短絡用のスイッチSW1がオン、切り離し用のスイッチSW2がオフとなる第1の動作状態においては、第1および第2の両入力部In1、In2に基準電圧Vrefが入力されることになり、切り離し用のスイッチSW2がオン、短絡用のスイッチSW1がオフとなる第2の動作状態においては、第1および第2の各入力部In1、In2にセンサ部2の出力と基準電圧Vrefとのそれぞれが入力されることになる。ここに、基準電圧Vrefは赤外線を受光していない状態でのセンサ部2の出力と同じ大きさに設定される。したがって、センサ部2の出力と基準電圧Vrefとの差分は、赤外線を受光したことによるセンサ部2の出力変化に相当し、言い換えればセンサ部2での赤外線受光量に相当する。
【0058】
ところで、出力部4からセンサ部2の出力変化のみに対応する電圧を出力することができればセンサ装置1としての検出精度は高くなるが、実際には、トランジスタサイズの不一致や各トランジスタで発生する直流ノイズレベルのばらつき等により、センサ部2の出力変化に相当するセンサ出力成分以外に、出力部4に固有の回路オフセットが出力部4の出力電圧に重畳することが多い。本実施形態のセンサ装置1は、以下に説明する動作により上記回路オフセットの影響を取り除いた出力電圧を得ることができるものである。
【0059】
すなわち、第1の動作状態においては第1および第2の両入力部In1、In2に基準電圧Vrefが入力されるから、両入力部In1、In2への入力は同一となる。そのため、理想的には供給電流と排出電流との大きさが同一となって出力コンデンサC1の両端電圧(出力電圧)は変化しないが、実際には、トランジスタサイズの不一致や各トランジスタで発生する直流ノイズレベルのばらつきにより供給電流と排出電流との均衡が崩れ出力コンデンサC1の両端電圧が変化する。たとえば、トランジスタTr5のドレイン電流がトランジスタTr6のドレイン電流よりも大きくなれば、図6(b)に示すように出力コンデンサC1が充電されて出力電圧が増加する。このとき出力電圧の変化として現れる成分が回路オフセットVoffである。
【0060】
その後、第2の動作状態に移行すると、第1および第2の各入力部In1、In2にセンサ部2の出力と基準電圧Vrefとのそれぞれが入力されることになるから、第1の入力部In1への入力(センサ部2の出力)に応じた大きさの電流を排出電流とするとともに第2の入力部In2への入力(基準電圧Vref)に応じた大きさの電流を供給電流として出力コンデンサC1の充放電が行われることになる。ここで、トランジスタTr1のドレイン電流がトランジスタTr2のドレイン電流よりも大きければ、トランジスタTr8のドレイン電流(供給電流)がトランジスタTr5のドレイン電流(排出電流)よりも小さくなり、図6(b)のように出力コンデンサC1が放電されて出力電圧は減少する。ここで、このときの出力電圧の変化には、センサ部2の出力と基準電圧Vrefとの差分に相当するセンサ出力成分Vsigだけでなく、回路オフセットVoffも含まれる。ただし、先の第1の動作状態において、第2の動作状態とは逆極性の回路オフセットVoffが出力電圧として現れているので、回路オフセットVoff同士が相殺することにより、第2の動作状態の終了時点では、上記回路オフセットVoffの影響を取り除いてセンサ出力成分Vsigのみを出力電圧として取り出すことができる。
【0061】
また、上述したようにセンサ部2と検出回路3との接続関係を一対一とする構成に限らず、たとえば図7(a)に示すように1個の検出回路3に対して複数のセンサ部2を接続するようにしてもよい。この場合、第1の入力部In1はセンサ部2の出力を択一的に出力するセレクタ7を介して複数のセンサ部2に接続される。セレクタ7は、それぞれ各センサ部2と第1の入力部In1との間に挿入される複数個のスイッチ要素8を有し、各スイッチ要素8を1個ずつ順番にオンすることにより、入力部In1に接続するセンサ部2を択一的に切り替えるものである。このように複数のセンサ部2を順次接続する場合には、接続するセンサ部2を切り替える毎に出力電圧をリセット電圧VREにリセットするようにしてもよい。ここで、各スイッチ要素8はそれぞれNチャネルMOSFETからなり、ゲートに入力された図7(b)のスイッチ信号φA、φB、φC、…がHレベルの期間にオンする。スイッチ信号φA、φB、φC、…は、スイッチ信号φ1、φ2の1周期ごとに異なるスイッチ信号φA、φB、φC、…がHレベルとなるように制御回路によって切り替えられる。
【0062】
ところで、上述した出力部4では、出力コンデンサC1の充電時間がスイッチ信号φ1、φ2の周期によって決まるので、第1の入力部In1へのセンサ部2の出力を一定とした場合の出力コンデンサC1の両端電圧(出力電圧)は、図8に示すようにスイッチ信号φ1、φ2の周期に依存して変化し、スイッチ信号φ1、φ2の周期が大きくなるほど出力電圧が大きくなる。センサ部2の出力を一定とした場合の出力コンデンサC1の両端電圧は出力部4のゲインに相当するから、結果的に、スイッチ信号φ1、φ2の周期が大きくなるほど出力部4のゲインは大きくなる。
【0063】
要するに、本実施形態は、スイッチ信号φ1、φ2の周期の設定を変えることにより出力部4のゲインを任意に設定することができるという利点がある。そのため、本実施形態のセンサ装置1は、センサ部2において物理量あるいは化学量の変化に応じて取り出される電気量の変化量が小さい場合に、十分な出力電圧の変化が得られるように出力部4のゲインを設定し、十分な感度を確保することができる。
【0064】
たとえばセンサ部2として、周知のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたセンサ素子のように微小なセンサ素子を用いる場合にも有用である。つまり、この種のセンサ素子では、赤外線の受光量の変化に応じて取り出される電気量の変化量も比較的小さいが、本実施形態のセンサ装置1では、スイッチ信号φ1、φ2の周期の設定により出力部4のゲインを大きく設定しておけば、センサ部2の出力の変化量が小さくても出力電圧としては十分な変化量を確保することができる。さらに、上述したように回路オフセットVoffを取り除くことができるので、出力部4のゲインを大きくしても高いSN比を確保することができる。
【0065】
また、センサ部2は、製造工程での形状ばらつき等により、同じ環境下で同一の物理量変化を受けたとしても、出力する電気量の変化量がばらつくことがある。そこで、本実施形態では、出力部4のゲインを調整することにより、センサ部2で検出する物理量の変化量に対する出力電圧の変化量を一律に設定できるようにしている。
【0066】
すなわち、本実施形態の出力部4は、スイッチ信号φ1、φ2の周期を変更する周期変更手段(図示せず)を具備しており、周期変更手段でスイッチ信号φ1、φ2の周期を変化させることによって出力部4のゲインを変化させることができる。したがって、出力部4に実際に接続するセンサ部2に合わせてスイッチ信号φ1、φ2の周期を変化させ出力部4のゲインを調整することにより、センサ部2で検出する物理量の変化量に対する出力電圧の変化量を一律に設定できる。具体的には、センサ部2がたとえばMEMS技術により形成された複数画素の赤外線センサの場合では、出荷前に、センサ部2に赤外線を一切照射しない状態でセンサ部2の出力を検出回路3に入力し、出力電圧が所定の基準値となるようにスイッチ信号φ1、φ2の周期を調整すればよい。
【0067】
さらにまた、通常、回路内のトランジスタでは図9のようにオンオフ周波数の逆数に強度が依存する1/fノイズが発生する。そのため、各スイッチング素子Q1〜Q4および各スイッチSW1、SW2をオンオフ制御するスイッチ信号φ1、φ2の周波数(以下、スイッチング周波数という)は、出力電圧への1/fノイズの影響に関係する。1/fノイズの出力電圧への影響を小さく抑えるためには、第1および第2の両動作状態における出力電圧の差分を1/fノイズの変化時間より十分に早くとることが望ましい。具体的には、図9に示すトランジスタの1/fノイズコーナー周波数fc(所定温度で1/fノイズ強度と熱雑音強度とがほぼ等しくなる周波数)がたとえば100Hz程度であった場合、スイッチング周波数fswをその10〜100倍とすることで、1/fノイズの出力電圧への影響を抑えることができる。
【0068】
(実施形態2)
本実施形態のセンサ装置1は、切替手段6を構成するスイッチング素子Q1〜Q4のオンオフ状態が切り替わるときに各スイッチング素子Q1〜Q4で発生するノイズに関して出力部4の出力電圧への影響を抑制する構成を採用した点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。
【0069】
周知のように、スイッチング素子Q1〜Q4に電圧が掛かった状態でスイッチング素子Q1〜Q4のオンオフ状態が切り替わるときには、各スイッチング素子Q1〜Q4にそれぞれノイズが発生する。なお、スイッチング素子Q1〜Q4はMOSFETからなるので、スイッチング素子Q1〜Q4がオンの期間に蓄積されたチャネル電荷の放出が主な原因となり、各スイッチング素子Q1〜Q4のドレイン、ソースの双方にそれぞれノイズが発生する。ここで、切替手段6を構成するスイッチング素子Q1〜Q4には出力コンデンサC1に接続されたスイッチング素子Q2、Q3が含まれており、これらのスイッチング素子Q2、Q3で発生するノイズが出力コンデンサC1に流れ込むと、出力コンデンサC1から取り出される出力電圧が前記ノイズの影響を受けることとなる。
【0070】
そこで、本実施形態では出力電圧に対するノイズの影響を抑制するために、両スイッチ信号φ1、φ2のHレベル・Lレベルが同一タイミングで切り替わる実施形態1の構成(図2(b)参照)に代えて、図10に示すように一方のスイッチ信号φ1のH(ハイ)レベル・L(ロー)レベルが切り替わるタイミングから所定の遅延時間tdだけ遅れて他方のスイッチ信号φ2のHレベル・Lレベルが切り替わる構成を採用する。各スイッチ信号φ1、φ2自体は同一の周期でそれぞれ周期的にHレベル・Lレベルが切り替わっており、遅延時間tdは各スイッチ信号φ1、φ2の切り替えの半周期よりも短く設定される。これにより、スイッチ信号φ2でオンオフ制御される(第2の)スイッチング素子Q3のオンオフ状態が切り替わるタイミングは、スイッチ信号φ1でオンオフ制御される(第1の)スイッチング素子Q2のオンオフ状態が切り替わるタイミングに対して遅延時間tdだけ遅れることとなる。
【0071】
この構成によれば、出力コンデンサC1に接続された両スイッチング素子Q2、Q3のオンオフ状態が同時に切り替わることはなく、したがって、スイッチング素子Q2、Q3のオンオフ状態が切り替わるときに各スイッチング素子Q2、Q3でそれぞれ発生するノイズが互いに重畳して出力コンデンサC1に流れ込むことを回避でき、ノイズピークの発生を抑制することができる。これにより、出力コンデンサC1から取り出される出力電圧に対してのスイッチング素子Q2、Q3で発生するノイズの影響を低減することができる。
【0072】
ところで、本実施形態の他の例として、スイッチング素子Q2、Q3と出力コンデンサC1との間に挿入された検出スイッチSW3を、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際と第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際との少なくとも一方においてオフする分離スイッチとして機能させることが考えられる。
【0073】
すなわち、検出スイッチSW3をスイッチ信号φ3によってオンオフ制御される(スイッチ信号φ3がHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする)構成とし、図11に示すようにスイッチ信号φ3をスイッチ信号φ1、φ2と同期させることで、上記構成を実現することができる。なお、リセットスイッチSW4においては、スイッチ信号φ3と別のスイッチ信号によって検出スイッチSW3とは独立して制御されるものとする。
【0074】
具体的には、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際(つまり、スイッチ信号φ1:HレベルからLレベル、スイッチ信号φ2:LレベルからHレベル)にLレベルになるスイッチ信号φ3aと、第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際(つまり、スイッチ信号φ1:LレベルからHレベル、スイッチ信号φ2:HレベルからLレベル)にLレベルになるスイッチ信号φ3bと、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際および第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際の両方でLレベルになるスイッチ信号φ3cとの3種類のスイッチ信号φ3が考えられる。
【0075】
このように、検出スイッチSW3を分離スイッチとして用いれば、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際と第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際との少なくとも一方において、スイッチング素子Q2、Q3と出力コンデンサC1との間に挿入されている検出スイッチSW3がオフになるので、スイッチング素子Q2、Q3のオンオフ状態が切り替わるときにこれらのスイッチング素子Q2、Q3は出力コンデンサC1から分離されることとなる。そのため、これらのスイッチング素子Q2、Q3のオンオフ状態が切り替わるときに各スイッチング素子Q2、Q3でそれぞれ発生するノイズが出力コンデンサC1に流れ込むことを回避でき、結果的に、出力コンデンサC1から取り出される出力電圧に対してのスイッチング素子Q2、Q3で発生するノイズの影響を低減することができる。
【0076】
また、図12に示すように、スイッチ信号φ1のHレベル・Lレベルが切り替わるタイミングから所定の遅延時間tdだけ遅れてスイッチ信号φ2のHレベル・Lレベルが切り替わる構成と、検出スイッチSW3を分離スイッチとして機能させる構成との両方を組み合わせてもよい。この場合、検出スイッチSW3をオフとする(つまりスイッチ信号φ3a〜φ3cをLレベルとする)期間は、両方のスイッチ信号φ1、φ2のHレベル・Lレベルが切り替わるタイミングに跨るように設定する。
【0077】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0078】
(実施形態3)
本実施形態のセンサ装置1は、図13に示すように、第1および第2の各入力部In1、In2にそれぞれ個別のセンサ部2を接続している点が実施形態1のセンサ装置1と相違する。
【0079】
この構成によれば、第1および第2の各動作状態において、両センサ部2の出力の差分に応じた大きさの電流で出力コンデンサC1の充放電が行われるので、出力電圧においては、両センサ部2が共通して持つ不要な信号成分は除去されることになる。ここで、両センサ部2が共通して持つ不要な信号成分には、たとえば熱雑音や共通の製造プロセスに起因する形状ばらつきなどがある。したがって、両センサ部2間の出力の差分のみを感度よく検出することができる。
【0080】
本実施形態においては、第1の入力部In1に対して赤外線の変化を受ける検出用のセンサ部2を接続し、第2の入力部In2に対して赤外線の変化を受けない(つまり赤外線の入射が遮断された)参照用のセンサ部2を接続することが望ましい。参照用のセンサ部2と検出用のセンサ部2とは、出力の整合をとるため同一基板上に同一の加工プロセスにより形成される。この構成では、参照用のセンサ部2の出力に対する相対的な検出用のセンサ部2の出力を得ることができ、結果的に、センサ部2の実装された基板温度等に依存したオフセット成分を取り除いた出力電圧を得ることができる。
【0081】
また、図7に示した例と同様に、図14(a)のように入力部In1に対してセレクタ7を介して複数のセンサ部2を接続してもよい。この場合、複数のセンサ部2のうちセンサ部2を2つずつ選択して各入力部In1、In2にそれぞれ接続する構成のセレクタ7を用いてもよいが、第1の入力部In1に対してはセレクタ7を介して複数の検出用のセンサ部2を接続し、第2の入力部In2に対しては参照用のセンサ部2を接続することが望ましい。ここで、第1の入力部In1と検出用の各センサ部2との間にそれぞれ挿入される各スイッチ要素8はNチャネルMOSFETからなり、ゲートに入力された図14(b)のスイッチ信号φA、φB、…がHレベルの期間にオンする。スイッチ信号φA、φB、…は、スイッチ信号φ1、φ2の1周期ごとに異なるスイッチ信号φA、φB、…がHレベルとなるように制御回路によって択一的に切り替えられる。第2の入力部In2と参照用のセンサ部2との間に挿入されるスイッチ要素8はNチャネルMOSFETからなり、論理和回路9を介してゲートに入力されたスイッチ信号φA、φB、…のいずれかがHレベルの期間にオンする。
【0082】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す概略回路図である。
【図2】同上の基本構成を示す概略回路図である。
【図3】同上の他の例を示す概略回路図である。
【図4】同上のさらに他の例を示す概略回路図である。
【図5】同上のさらに他の例の要部を示す概略回路図である。
【図6】(a)は同上のセンサ装置の構成を示すブロック図、(b)は(a)の動作を示すタイムチャートである。
【図7】(a)は同上のセンサ装置の他の構成を示すブロック図、(b)は(a)の動作を示すタイムチャートである。
【図8】スイッチ信号の周期と出力電圧との関係を示す説明図である。
【図9】スイッチング周波数と1/fノイズ強度との関係を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態2の動作を示すタイムチャートである。
【図11】同上の他の例の動作を示すタイムチャートである。
【図12】同上のさらに他の例の動作を示すタイムチャートである。
【図13】本発明の実施形態3の構成を示すブロック図である。
【図14】(a)は同上のセンサ装置の他の構成を示すブロック図、(b)は(a)の動作を示すタイムチャートである。
【図15】(a)は従来例を示す概略回路図、(b)は(a)の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 センサ装置
2 センサ部
4 出力部
6 切替手段
7 セレクタ
C1 出力コンデンサ
In1 第1の入力部
In2 第2の入力部
M3 カレントミラー
Q2 (第1の)スイッチング素子
Q3 (第2の)スイッチング素子
SW1、SW2 スイッチ
SW3 検出スイッチ(分離スイッチ)
Tr5、Tr6 トランジスタ(電流引抜手段)
Tr7 (入力側)トランジスタ
Tr8 (出力側)トランジスタ(電流供給手段)
td 遅延時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部の出力を入力可能な第1および第2の入力部と、両入力部への入力に基づいて電圧を出力する出力部とを備え、出力部は、いずれか一方の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流として流す電流供給手段と、電流供給手段に直列に接続され、いずれか一方の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流供給手段との接続点から排出電流として引き抜く電流引抜手段と、電流引抜手段に並列に接続され、前記供給電流が前記排出電流よりも大きければ両電流の差分で充電され、前記供給電流が前記排出電流よりも小さければ両電流の差分を放電し、両端電圧が出力電圧として取り出される出力コンデンサとを有し、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流とするとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を排出電流とする第1の動作状態と、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を排出電流とするとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を供給電流とする第2の動作状態とを周期的に切り替えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
それぞれ物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部の出力を入力可能な第1および第2の入力部と、両入力部への入力に基づいて電圧を出力する出力部とを備え、出力部は、入力側トランジスタおよび出力側トランジスタからなり入力側トランジスタに流れる電流と同じ大きさの電流を出力側トランジスタに流すカレントミラーと、出力側トランジスタに直列に接続され両端電圧が出力電圧として取り出される出力コンデンサと、出力コンデンサと並列に接続される電流制限素子とを有し、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を入力側トランジスタに流すとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流制限素子に流す第1の動作状態と、第1の入力部への入力に応じた大きさの電流を電流制限素子に流すとともに第2の入力部への入力に応じた大きさの電流を入力側トランジスタに流す第2の動作状態とを周期的に切り替えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記動作状態を切り替える周期を変更する周期変更手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
一方の前記入力部への入力を入切する切り離し用のスイッチと、両入力部間に挿入された短絡用のスイッチとを備え、両スイッチは、前記出力部による前記動作状態の切り替えに同期して交互にオンすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記出力コンデンサに接続された第1および第2のスイッチング素子を具備しており、前記第1の動作状態では第1のスイッチング素子をオンとするとともに第2のスイッチング素子をオフとし、前記第2の動作状態では第1のスイッチング素子をオフとするとともに第2のスイッチング素子をオンとすることにより前記動作状態を切り替える切替手段を有し、切替手段は、動作状態を切り替える際に、第1および第2のスイッチング素子の一方のオンオフ状態を切り替えるタイミングが、他方のオンオフ状態を切り替えるタイミングに対して所定の遅延時間だけ遅れていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記出力コンデンサに接続された第1および第2のスイッチング素子を具備しており、前記第1の動作状態では第1のスイッチング素子をオンとするとともに第2のスイッチング素子をオフとし、前記第2の動作状態では第1のスイッチング素子をオフとするとともに第2のスイッチング素子をオンとすることにより前記動作状態を切り替える切替手段と、第1および第2のスイッチング素子と出力コンデンサとの間に挿入され、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わる際と第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わる際との少なくとも一方においてオフになる分離スイッチとを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記出力部は、半導体素子を構成要素に含み、当該半導体素子が持つ1/fノイズコーナー周波数よりも短い周期で前記動作状態を切り替えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記センサ部は、赤外線の受光量を検出し電気量に変換する赤外線センサであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記入力部は、前記センサ部の出力を択一的に出力するセレクタを介して複数のセンサ部に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記各入力部には、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受ける検出用の前記センサ部の出力と、検出対象となる物理量あるいは化学量の変化を受けない参照用のセンサ部の出力とがそれぞれ入力されることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−233070(P2008−233070A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275577(P2007−275577)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】