センサ装置
【課題】検出部から延出される金属ターミナルの金型に対する位置精度を容易に確保できるセンサ装置を提供する。
【解決手段】検出部2と、検出部2から検出信号を伝達する複数の金属ターミナル11、12、13と、検出部2と金属ターミナル11、12、13とを一体に支持し、樹脂で成形されたハウジング部6とを備え、複数の金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aがコネクタ端子を構成すると共に、複数の金属ターミナル11、12、13が前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置されるセンサ装置10において、金属ターミナル11、12、13に前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部11c、12cを設けた。
【解決手段】検出部2と、検出部2から検出信号を伝達する複数の金属ターミナル11、12、13と、検出部2と金属ターミナル11、12、13とを一体に支持し、樹脂で成形されたハウジング部6とを備え、複数の金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aがコネクタ端子を構成すると共に、複数の金属ターミナル11、12、13が前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置されるセンサ装置10において、金属ターミナル11、12、13に前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部11c、12cを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車載エンジン、あるいは一般機械における各種被検出回転体の回転検出に用いられる回転検出装置などのセンサ装置に係り、特にセンサ装置の本体を把持するハウジング部が樹脂成形されるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載エンジンや一般機械における各種被検出回転体の回転検出に用いられるセンサ装置として、例えば特開2006−308330号公報(特許文献1)に開示されているように、被検出回転体であるロータに対向するように配設される検出部と、この検出部を支持するハウジング部と、このハウジング部と一体に成形されて、例えばエンジン本体との締結に用いられる締結用フランジを備えたものがある。
【0003】
このセンサ装置は、図10に示すように構成されている。即ち、センサ装置1は、検出部2に内蔵されるセンサチップと電気的に接続される例えば3つの電極(図示せず)を備えており、これらの電極が、当該検出部2の例えば電源端子、出力端子、および接地端子となる3本の金属ターミナル3、4、5の基端部にそれぞれ溶接などによって接続されている。この3本の金属ターミナル3、4、5は、それぞれ同一垂直面方向、即ち、図10において上下方向に重なるように検出部2から延出され、これら金属ターミナル3、4、5と検出部2が、モールド樹脂などで成形されるハウジング部6によって一体に支持されている。そして、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5a(モールド樹脂から露出する金属ターミナル部分)をコネクタ端子とするコネクタ部7が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−308330号公報(段落0004、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように構成されたセンサ装置1は、取り付け部位の形状や周辺のスペースに合わせて形状やコネクタ部7の向きを決めることがある。その場合、金属ターミナル3、4、5の形状を工夫して適切な形状にする方法が採られる。例えば、図10に示すように、検出部1に接続する金属ターミナル3、4、5の軸線に対してコネクタ部7の向きが垂直である場合には、金属ターミナル3、4、5を途中で垂直方向に曲げた形状にすることにより、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aの向きをコネクタ部7の向きに合わせている。
【0006】
ところで、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aは、コネクタ部7において、メスコネクタ側ターミナルと嵌合し、検出部1の検出信号を伝達することから、その寸法は所望の精度が必要となる。例えば、モールド樹脂成形にてハウジング部6、コネクタ部7などの外装を形成するセンサ装置1において、先端部3a、4a、5aの先端から先端部3a、4a、5aを覆うモールド樹脂端面までの距離、即ちピン高さhは、コネクタ部7の嵌合状態に影響するため、ピン高さhの適切な精度を得ることが重要である。このピン高さhの精度は、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aを成形用の金型へ挿入する際の位置精度に依存する。
【0007】
センサ装置1は、金属ターミナル3、4、5をモールド樹脂成形する際に、例えば図11に示すように、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aを金型8に挿入する必要がある。この挿入時に、図11において先端部3a、4a、5aをその先端3b、4b、5bから見た方向とは逆方向(以降、ピン方向という。)から金属ターミナル3、4、5を見た場合に、金属ターミナル3、4は金属ターミナル5に少なくとも一部が重なって配置される。このため、金属ターミナル3、4は、金型8への挿入時にピン方向に押さえ難く、金型8に挿入された先端部3a、4a、5aの位置、即ちピン高さhは高い精度を得られ難い。
【0008】
図11から理解されるように、ピン高さhは、先端部3a、4a、5aの先端3b、4b、5bと金型8との接触面で規制されるため、ピン高さhを金属ターミナル3、4、5の金型8への挿入時に視覚的に確認することができない。その場合、金属ターミナル3、4の押さえ難さと相まって、金型8への金属ターミナル3、4の挿入量不足によるピン高さhのばらつき増加、あるいは過度な挿入力による金属ターミナル3、4の変形につながる可能性がある。
【0009】
この発明は、上記のような問題点に鑑みて、検出部から延出される金属ターミナルの金型に対する位置精度を容易に確保できるセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るセンサ装置は、検出部と、該検出部から検出信号を伝達する複数の金属ターミナルと、前記検出部と前記金属ターミナルとを一体に支持し、樹脂で成形されたハウジング部と、を備え、前記複数の金属ターミナルの先端部がコネクタ端子を構成すると共に、前記複数の金属ターミナルが前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置されるセンサ装置において、前記金属ターミナルに前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るセンサ装置は、複数本の金属ターミナルの先端部がコネクタ端子を構成するものであって、前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置される前記金属ターミナルに対して、前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部を設けたので、該突出部を押さえて前記金属ターミナルを金型に挿入することができる。それにより前記金属ターミナルの金型に対する位置精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るセンサ装置の正面から見た断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図3】図1とは型割り方向が異なるセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るセンサ装置の成形時の状況を説明する模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るセンサ装置の金属ターミナルの突出部の突出方向と金型への挿入に加わる力を比較した図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るセンサ装置の金属ターミナルの突出部の突出方向と金型への挿入に加わる力を比較した図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係るセンサ装置の金属ターミナルの突出部の突出方向と金型への挿入に加わる力を比較した図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係るセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図10】従来のセンサ装置を正面から見た断面図である。
【図11】従来のセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明に係るセンサ装置の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、これらの実施の形態により発明が限定されるものではなく、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変更、省略することが可能である。
【0014】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るセンサ装置を図1に基づいて説明する。図1(a)は、実施の形態1に係るセンサ装置10を正面から見た断面図である。このセンサ装置10は、図10で説明した従来のセンサ装置1とほぼ同様で、検出部2に内蔵されるセンサチップと電気的に接続される例えば3つの電極(図示せず)が設けられており、これらの電極が、当該検出部1の例えば電源端子、出力端子、および接地端子となる3本の金属ターミナル11、12、13の基端部にそれぞれ溶接などによって接続されている。3本の金属ターミナル11、12、13は、それぞれ同一垂直面方向、即ち、図1(a)において上下方向に重なるように検出部2から延出され、これら金属ターミナル11、12、13と検出部2とがモールド樹脂などで成形されたハウジング部6によって一体に支持されている。そして、金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13a(モールド樹脂から露出する金属ターミナル部分)をコネクタ端子とするコネクタ部7が構成されている。なお、前記3本の金属ターミナル11、12、13は、3本に特定されるものでなく、複数本で構成されるものであれば良い。
【0015】
コネクタ部7の向きは、図1(a)に示すように、検出部2に接続する金属ターミナル11、12、13の軸線に対して垂直に形成されており、金属ターミナル11、12、13は途中で垂直方向に曲げた形状にされている。そして、金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aの向きをコネクタ部7の向きに合わせている。また、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aには、図1(b)に示すように、ピン方向から見て重ならないように、ピン方向と異なる方向に突出部11c、12cが設けられている。なお、図1(b)は、図1(a)の突出部11c、12cを側面から見た断面図である。
【0016】
前記のように構成されたセンサ装置10のモールド樹脂成形工程では、図2(a)に示すように、検出部2に接続された金属ターミナル11、12、13を成形用の金型8に挿入し、モールド樹脂成形する。金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを金型8に挿入する際、金属ターミナル13は、その先端部13aを押さえることができ、金属ターミナル11、12は、図2(b)の符号Aで示すように、突出部11c、12cを押さえることができる。これにより金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを位置精度良く金型8に挿入することができる。また、複数の突出部11c、12cを図2(b)の符号Bで示すように、同一平面上に設けることにより作業性は向上する。なお、図2(b)は、図2(a)の金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを側面から見た断面図である。
【0017】
また、金属ターミナル11、12、13を金型8へ挿入する際の突出部11c、12cの押さえとしての効果は、金型8の型割り方向に係わらず有効である。例として図3に、図2(a)に対して金型8の型割り方向が垂直方向の場合の成形前の状態を示している。図3(a)は上から見た図で、図3(b)は正面から見た断面図である。この図3に示す金属ターミナル11、12、13の金型8への挿入方向は、図2に対して垂直方向である。この場合でも金属ターミナル13は、その先端部13aを押さえることで、また、金属ターミナル11、12は、突出部11c、12cを押さえることで金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを位置精度良く金型8に挿入することができる。
【0018】
更に、金属ターミナル11、12の金型8への挿入時に、突出部11c、12cを押さえる手段として、金型8を利用することができる。この様子を図4により説明する。まず、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8に挿入する。このとき、先端部11a、12aの位置精度は問わない。その後、図4(a)に示すように、金型8が閉まると同時に先端部11a、12aが挿入された側と反対側の金型8に設けられたブロック14にて突出部11c、12cを押さえ、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8へ挿入する。図4(b)に示すように、ブロック14は、金型8に成形材料を導入する前に抜いておく。これにより、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8の形状精度にて位置精度良く金型8に挿入することができる。
【0019】
なお、金属ターミナル11、12の突出部11c、12cの突出形状は、板金加工によって形成することができる。通常、金属ターミナル11、12の形成には板金加工が用いられるため、工程を増やすことなく金属ターミナル11、12に突出部11c、12cを形成することができる。
【0020】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。図5は実施の形態2に係るセンサ装置を説明する図である。実施の形態1で説明した金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8へ挿入する時の作業性を向上させるためには、図5(a)に示すように、突出部11c、12cを押す際に、符号Aのように突出部11c、12cのピン方向から見える面に対して垂直方向に押すことが効果的であるが、金型8への挿入時の金属ターミナル11、12の先端部11a、12aの変形を抑えるためには、ピン方向以外の力を先端部11a、12aに加えないことが望ましい。このため、図5(b)の符号Aに示すように、突出部11c、12cの突出方向はピン方向に対して垂直であることが望ましく、突出部11c、12cは曲げ加工により形成される。図5に示す符号Pは、前記先端部11a、12aの金型8への挿入力を示している。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、図示説明を省略する。
【0021】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について説明する。図6、図7は実施の形態3に係るセンサ装置を説明する図である。金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8へ挿入する時に、突出部11c、12cは、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aの変形を抑えるために、先端部11a、12aに作用する曲げモーメントQが小さくなるように、先端部11a、12aの軸上の近傍に設けるのが良く、図6、図7に示すように、突出部11c、12cの根元が先端部11a、12aの軸上にあることが望ましい。なお、図6(a)は、突出部11c、12cの根元が先端部11a、12aの軸上以外にある場合を図示し、図7(a)は、突出部11c、12cの根元が先端部11a、12aの軸上にある場合を図示したもので、図6(b)、図7(b)は、それぞれ図6(a)、図7(a)を側面から見た断面図である。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、図示説明を省略する。
【0022】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4について説明する。図8は実施の形態4に係るセンサ装置を説明する図である。実施の形態1乃至3については、3本の金属ターミナル11、12、13のそれぞれの先端部11a、12a、13aのうち、先端部11a、12aに突出部11c、12cを設けた場合について説明したが、図8に示すように、金属ターミナル13の先端部13aにも突出部13cを設けてもよく、検出部2と接続された複数本からなる金属ターミナルの内、ピン方向から見て重ならない金属ターミナルにも設けることができる。この場合、複数本ある金属ターミナルの金型への挿入において、押さえる箇所を同一平面上に揃えることができる。これにより作業性が向上する。なお、図8に用いた図1と同一符号は、図1で説明したものと同様であり、符号80は実施の形態4に係るセンサ装置を示している。
【0023】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5について説明する。図9は実施の形態5に係るセンサ装置を説明する図である。実施の形態5のセンサ装置90は、図9に示すように、金属ターミナル11、12、13のそれぞれの先端部11a、12a、13aの先端手前に金型8との接触部11d、12d、13dを設けたものである。なお、その他の構成については実施の形態4と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
この接触部11d、12d、13dの効果としては、金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを金型8へ挿入する時に、接触部11d、12d、13dと金型8との接触を目視することができ、金型8に対する金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aの挿入深さを確認できることが挙げられる。先端部11a、12a、13aの金型8への挿入不足によるピン高さhのばらつきや過度な挿入力による先端部11a、12a、13aの変形を抑止し、先端部11a、12a、13aの金型8に対する位置精度を確保することができる。
【0025】
以上、この発明の実施の形態1から実施の形態5について説明したが、これらの実施の形態では、金属ターミナルの先端部に突出部を設けた場合について図示説明した。しかし、突出部の形成位置は、金属ターミナルの先端部に限らず、金属ターミナルのどの位置に形成しても同等の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0026】
1、10、80、90 センサ装置
2 検出部
3、4、5 金属ターミナル
3a、4a、5a 先端部
3b、4b、5b 先端
6 ハウジング部
7 コネクタ部
8 金型
11c、12c、13c 突出部
11d、12d、13d 接触部
14 ブロック
h ピン高さ
P 金型への挿入力
Q 曲げモーメント
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車載エンジン、あるいは一般機械における各種被検出回転体の回転検出に用いられる回転検出装置などのセンサ装置に係り、特にセンサ装置の本体を把持するハウジング部が樹脂成形されるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載エンジンや一般機械における各種被検出回転体の回転検出に用いられるセンサ装置として、例えば特開2006−308330号公報(特許文献1)に開示されているように、被検出回転体であるロータに対向するように配設される検出部と、この検出部を支持するハウジング部と、このハウジング部と一体に成形されて、例えばエンジン本体との締結に用いられる締結用フランジを備えたものがある。
【0003】
このセンサ装置は、図10に示すように構成されている。即ち、センサ装置1は、検出部2に内蔵されるセンサチップと電気的に接続される例えば3つの電極(図示せず)を備えており、これらの電極が、当該検出部2の例えば電源端子、出力端子、および接地端子となる3本の金属ターミナル3、4、5の基端部にそれぞれ溶接などによって接続されている。この3本の金属ターミナル3、4、5は、それぞれ同一垂直面方向、即ち、図10において上下方向に重なるように検出部2から延出され、これら金属ターミナル3、4、5と検出部2が、モールド樹脂などで成形されるハウジング部6によって一体に支持されている。そして、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5a(モールド樹脂から露出する金属ターミナル部分)をコネクタ端子とするコネクタ部7が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−308330号公報(段落0004、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように構成されたセンサ装置1は、取り付け部位の形状や周辺のスペースに合わせて形状やコネクタ部7の向きを決めることがある。その場合、金属ターミナル3、4、5の形状を工夫して適切な形状にする方法が採られる。例えば、図10に示すように、検出部1に接続する金属ターミナル3、4、5の軸線に対してコネクタ部7の向きが垂直である場合には、金属ターミナル3、4、5を途中で垂直方向に曲げた形状にすることにより、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aの向きをコネクタ部7の向きに合わせている。
【0006】
ところで、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aは、コネクタ部7において、メスコネクタ側ターミナルと嵌合し、検出部1の検出信号を伝達することから、その寸法は所望の精度が必要となる。例えば、モールド樹脂成形にてハウジング部6、コネクタ部7などの外装を形成するセンサ装置1において、先端部3a、4a、5aの先端から先端部3a、4a、5aを覆うモールド樹脂端面までの距離、即ちピン高さhは、コネクタ部7の嵌合状態に影響するため、ピン高さhの適切な精度を得ることが重要である。このピン高さhの精度は、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aを成形用の金型へ挿入する際の位置精度に依存する。
【0007】
センサ装置1は、金属ターミナル3、4、5をモールド樹脂成形する際に、例えば図11に示すように、金属ターミナル3、4、5の先端部3a、4a、5aを金型8に挿入する必要がある。この挿入時に、図11において先端部3a、4a、5aをその先端3b、4b、5bから見た方向とは逆方向(以降、ピン方向という。)から金属ターミナル3、4、5を見た場合に、金属ターミナル3、4は金属ターミナル5に少なくとも一部が重なって配置される。このため、金属ターミナル3、4は、金型8への挿入時にピン方向に押さえ難く、金型8に挿入された先端部3a、4a、5aの位置、即ちピン高さhは高い精度を得られ難い。
【0008】
図11から理解されるように、ピン高さhは、先端部3a、4a、5aの先端3b、4b、5bと金型8との接触面で規制されるため、ピン高さhを金属ターミナル3、4、5の金型8への挿入時に視覚的に確認することができない。その場合、金属ターミナル3、4の押さえ難さと相まって、金型8への金属ターミナル3、4の挿入量不足によるピン高さhのばらつき増加、あるいは過度な挿入力による金属ターミナル3、4の変形につながる可能性がある。
【0009】
この発明は、上記のような問題点に鑑みて、検出部から延出される金属ターミナルの金型に対する位置精度を容易に確保できるセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るセンサ装置は、検出部と、該検出部から検出信号を伝達する複数の金属ターミナルと、前記検出部と前記金属ターミナルとを一体に支持し、樹脂で成形されたハウジング部と、を備え、前記複数の金属ターミナルの先端部がコネクタ端子を構成すると共に、前記複数の金属ターミナルが前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置されるセンサ装置において、前記金属ターミナルに前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るセンサ装置は、複数本の金属ターミナルの先端部がコネクタ端子を構成するものであって、前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置される前記金属ターミナルに対して、前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部を設けたので、該突出部を押さえて前記金属ターミナルを金型に挿入することができる。それにより前記金属ターミナルの金型に対する位置精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るセンサ装置の正面から見た断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図3】図1とは型割り方向が異なるセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るセンサ装置の成形時の状況を説明する模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るセンサ装置の金属ターミナルの突出部の突出方向と金型への挿入に加わる力を比較した図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るセンサ装置の金属ターミナルの突出部の突出方向と金型への挿入に加わる力を比較した図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係るセンサ装置の金属ターミナルの突出部の突出方向と金型への挿入に加わる力を比較した図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係るセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【図10】従来のセンサ装置を正面から見た断面図である。
【図11】従来のセンサ装置の金属ターミナルの成形前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明に係るセンサ装置の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、これらの実施の形態により発明が限定されるものではなく、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変更、省略することが可能である。
【0014】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るセンサ装置を図1に基づいて説明する。図1(a)は、実施の形態1に係るセンサ装置10を正面から見た断面図である。このセンサ装置10は、図10で説明した従来のセンサ装置1とほぼ同様で、検出部2に内蔵されるセンサチップと電気的に接続される例えば3つの電極(図示せず)が設けられており、これらの電極が、当該検出部1の例えば電源端子、出力端子、および接地端子となる3本の金属ターミナル11、12、13の基端部にそれぞれ溶接などによって接続されている。3本の金属ターミナル11、12、13は、それぞれ同一垂直面方向、即ち、図1(a)において上下方向に重なるように検出部2から延出され、これら金属ターミナル11、12、13と検出部2とがモールド樹脂などで成形されたハウジング部6によって一体に支持されている。そして、金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13a(モールド樹脂から露出する金属ターミナル部分)をコネクタ端子とするコネクタ部7が構成されている。なお、前記3本の金属ターミナル11、12、13は、3本に特定されるものでなく、複数本で構成されるものであれば良い。
【0015】
コネクタ部7の向きは、図1(a)に示すように、検出部2に接続する金属ターミナル11、12、13の軸線に対して垂直に形成されており、金属ターミナル11、12、13は途中で垂直方向に曲げた形状にされている。そして、金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aの向きをコネクタ部7の向きに合わせている。また、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aには、図1(b)に示すように、ピン方向から見て重ならないように、ピン方向と異なる方向に突出部11c、12cが設けられている。なお、図1(b)は、図1(a)の突出部11c、12cを側面から見た断面図である。
【0016】
前記のように構成されたセンサ装置10のモールド樹脂成形工程では、図2(a)に示すように、検出部2に接続された金属ターミナル11、12、13を成形用の金型8に挿入し、モールド樹脂成形する。金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを金型8に挿入する際、金属ターミナル13は、その先端部13aを押さえることができ、金属ターミナル11、12は、図2(b)の符号Aで示すように、突出部11c、12cを押さえることができる。これにより金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを位置精度良く金型8に挿入することができる。また、複数の突出部11c、12cを図2(b)の符号Bで示すように、同一平面上に設けることにより作業性は向上する。なお、図2(b)は、図2(a)の金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを側面から見た断面図である。
【0017】
また、金属ターミナル11、12、13を金型8へ挿入する際の突出部11c、12cの押さえとしての効果は、金型8の型割り方向に係わらず有効である。例として図3に、図2(a)に対して金型8の型割り方向が垂直方向の場合の成形前の状態を示している。図3(a)は上から見た図で、図3(b)は正面から見た断面図である。この図3に示す金属ターミナル11、12、13の金型8への挿入方向は、図2に対して垂直方向である。この場合でも金属ターミナル13は、その先端部13aを押さえることで、また、金属ターミナル11、12は、突出部11c、12cを押さえることで金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを位置精度良く金型8に挿入することができる。
【0018】
更に、金属ターミナル11、12の金型8への挿入時に、突出部11c、12cを押さえる手段として、金型8を利用することができる。この様子を図4により説明する。まず、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8に挿入する。このとき、先端部11a、12aの位置精度は問わない。その後、図4(a)に示すように、金型8が閉まると同時に先端部11a、12aが挿入された側と反対側の金型8に設けられたブロック14にて突出部11c、12cを押さえ、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8へ挿入する。図4(b)に示すように、ブロック14は、金型8に成形材料を導入する前に抜いておく。これにより、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8の形状精度にて位置精度良く金型8に挿入することができる。
【0019】
なお、金属ターミナル11、12の突出部11c、12cの突出形状は、板金加工によって形成することができる。通常、金属ターミナル11、12の形成には板金加工が用いられるため、工程を増やすことなく金属ターミナル11、12に突出部11c、12cを形成することができる。
【0020】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。図5は実施の形態2に係るセンサ装置を説明する図である。実施の形態1で説明した金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8へ挿入する時の作業性を向上させるためには、図5(a)に示すように、突出部11c、12cを押す際に、符号Aのように突出部11c、12cのピン方向から見える面に対して垂直方向に押すことが効果的であるが、金型8への挿入時の金属ターミナル11、12の先端部11a、12aの変形を抑えるためには、ピン方向以外の力を先端部11a、12aに加えないことが望ましい。このため、図5(b)の符号Aに示すように、突出部11c、12cの突出方向はピン方向に対して垂直であることが望ましく、突出部11c、12cは曲げ加工により形成される。図5に示す符号Pは、前記先端部11a、12aの金型8への挿入力を示している。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、図示説明を省略する。
【0021】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について説明する。図6、図7は実施の形態3に係るセンサ装置を説明する図である。金属ターミナル11、12の先端部11a、12aを金型8へ挿入する時に、突出部11c、12cは、金属ターミナル11、12の先端部11a、12aの変形を抑えるために、先端部11a、12aに作用する曲げモーメントQが小さくなるように、先端部11a、12aの軸上の近傍に設けるのが良く、図6、図7に示すように、突出部11c、12cの根元が先端部11a、12aの軸上にあることが望ましい。なお、図6(a)は、突出部11c、12cの根元が先端部11a、12aの軸上以外にある場合を図示し、図7(a)は、突出部11c、12cの根元が先端部11a、12aの軸上にある場合を図示したもので、図6(b)、図7(b)は、それぞれ図6(a)、図7(a)を側面から見た断面図である。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、図示説明を省略する。
【0022】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4について説明する。図8は実施の形態4に係るセンサ装置を説明する図である。実施の形態1乃至3については、3本の金属ターミナル11、12、13のそれぞれの先端部11a、12a、13aのうち、先端部11a、12aに突出部11c、12cを設けた場合について説明したが、図8に示すように、金属ターミナル13の先端部13aにも突出部13cを設けてもよく、検出部2と接続された複数本からなる金属ターミナルの内、ピン方向から見て重ならない金属ターミナルにも設けることができる。この場合、複数本ある金属ターミナルの金型への挿入において、押さえる箇所を同一平面上に揃えることができる。これにより作業性が向上する。なお、図8に用いた図1と同一符号は、図1で説明したものと同様であり、符号80は実施の形態4に係るセンサ装置を示している。
【0023】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5について説明する。図9は実施の形態5に係るセンサ装置を説明する図である。実施の形態5のセンサ装置90は、図9に示すように、金属ターミナル11、12、13のそれぞれの先端部11a、12a、13aの先端手前に金型8との接触部11d、12d、13dを設けたものである。なお、その他の構成については実施の形態4と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
この接触部11d、12d、13dの効果としては、金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aを金型8へ挿入する時に、接触部11d、12d、13dと金型8との接触を目視することができ、金型8に対する金属ターミナル11、12、13の先端部11a、12a、13aの挿入深さを確認できることが挙げられる。先端部11a、12a、13aの金型8への挿入不足によるピン高さhのばらつきや過度な挿入力による先端部11a、12a、13aの変形を抑止し、先端部11a、12a、13aの金型8に対する位置精度を確保することができる。
【0025】
以上、この発明の実施の形態1から実施の形態5について説明したが、これらの実施の形態では、金属ターミナルの先端部に突出部を設けた場合について図示説明した。しかし、突出部の形成位置は、金属ターミナルの先端部に限らず、金属ターミナルのどの位置に形成しても同等の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0026】
1、10、80、90 センサ装置
2 検出部
3、4、5 金属ターミナル
3a、4a、5a 先端部
3b、4b、5b 先端
6 ハウジング部
7 コネクタ部
8 金型
11c、12c、13c 突出部
11d、12d、13d 接触部
14 ブロック
h ピン高さ
P 金型への挿入力
Q 曲げモーメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と、該検出部から検出信号を伝達する複数の金属ターミナルと、前記検出部と前記金属ターミナルとを一体に支持し、樹脂で成形されたハウジング部と、を備え、前記複数の金属ターミナルの先端部がコネクタ端子を構成すると共に、前記複数の金属ターミナルが前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置されるセンサ装置において、
前記金属ターミナルに前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部を設けたことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記金属ターミナルの複数に前記突出部を形成すると共に、前記突出部を同一平面上に設けたことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記コネクタ端子の軸方向に対して垂直方向に伸びる形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記突出部の根元を前記コネクタ端子の軸上に形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記突出部を前記複数の金属ターミナル全てに設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記コネクタ端子の先端部の近傍に前記ハウジング部を成形する金型との接触部を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記突出部が前記コネクタ端子の軸方向に対して垂直方向に曲げ加工されたことを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項1】
検出部と、該検出部から検出信号を伝達する複数の金属ターミナルと、前記検出部と前記金属ターミナルとを一体に支持し、樹脂で成形されたハウジング部と、を備え、前記複数の金属ターミナルの先端部がコネクタ端子を構成すると共に、前記複数の金属ターミナルが前記コネクタ端子の軸方向から見て少なくとも一部が重なって配置されるセンサ装置において、
前記金属ターミナルに前記コネクタ端子の軸方向とは異なる方向に突出する突出部を設けたことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記金属ターミナルの複数に前記突出部を形成すると共に、前記突出部を同一平面上に設けたことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記コネクタ端子の軸方向に対して垂直方向に伸びる形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記突出部の根元を前記コネクタ端子の軸上に形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記突出部を前記複数の金属ターミナル全てに設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記コネクタ端子の先端部の近傍に前記ハウジング部を成形する金型との接触部を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記突出部が前記コネクタ端子の軸方向に対して垂直方向に曲げ加工されたことを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−88335(P2013−88335A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230420(P2011−230420)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【特許番号】特許第5172006号(P5172006)
【特許公報発行日】平成25年3月27日(2013.3.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【特許番号】特許第5172006号(P5172006)
【特許公報発行日】平成25年3月27日(2013.3.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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