説明

センタリングピン

付着したセンタリングピン1を有する車両用窓ガラス3と、車両用窓ガラス3に適したセンタリングピン1とを開示する。センタリングピン1は、車両用窓ガラス3に付着した基部2と、車両車体の穴に挿入するのに適合したセンタリング部5とを備える。センタリング部4は、基部2に接合され、窓ガラスを保管し得る下降位置と、窓ガラスを車両の開口嵌合し得る上昇位置との間で移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスを車両の開口内に心出しするのに適したセンタリングピン、特に窓ガラスの表面に付着したセンタリングピンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フロントガラス、サイドウィンドウまたはリアウィンドウのような固定された車両用窓ガラスは、車両の開口内に取り付ける際に窓ガラスの位置決めを補助するためのセンタリングピンを備える。この種のセンタリングピンは、種々の形状をもち、位置決め補助具として単に用いられるか、又は取り付け処理中接着剤が硬化するまで窓ガラスを所定の位置に保持する一時的な固定具とすることができる。通常、センタリングピンを窓ガラスの一方の表面のガラスに直接、あるいは掩蔽バンドとして既知の黒いセラミックプリント領域に付着する。窓ガラスを設置する際、窓ガラスを所定の位置に押し込むにつれて、センタリングピンが車両車体の穴または隙間に挿入される。全てのピンが車両車体の対応する穴に係合する場合に、窓ガラスを正しく位置決めするように、これらピンを窓ガラスに位置決めする。
【0003】
特許文献1には、窓ガラスを所定の位置に一時的に固定するのにも用い得る多くの異なるタイプのピラミッド状センタリングピンが開示されている。かかるピンそれ自体を、窓ガラスの表面に液体接着剤を用いて付着するか、又は窓ガラスの外周の周りで輪郭付けしたガスケットに成形することによって付着する。特許文献2には、窓ガラスを車両の開口内に位置決めし、取り付けるのに用い得るセンタリングピンが開示されている。かかるピンは、接着剤によって窓ガラス上のセラミックプリントに付着した頭部と、ネジ山を有する軸とを備える。この軸は車両車体の孔を通して、ナットと係合する。該ナットを車両車体に当接するまで軸上でねじ込み、窓ガラスを所定の位置に堅固に保持する。
【0004】
上記文献に開示されたセンタリングピンのタイプが異なるけれども、各ピンは共通して1つの設計要素を有する。各タイプのピンを、窓ガラスの表面から直角で上方に突出する位置で該窓ガラスに固定する。一般的なセンタリングピンは、輸送用に包装する際に窓ガラスと、その上に搭載したピンとを一緒に密接に配置し得ることに対する制約をもたらす高さがほぼ20mm程度である。該ピン用の付加的なスペースを必要とすることによって、単一のラックで輸送し得る窓ガラスの数を、全く付属品のない窓ガラスと比較して減ずる。その結果、かかる窓ガラスの輸送コストが、センタリングピンを通常必要としない開口窓ガラスのものと比較して増加する。
【0005】
既知のセンタリングピンの位置決めと、固定機能とを保持するが、窓ガラス上に搭載すると輸送コストの低減を可能にする窓ガラスの上方により小さなスペースを必要とするピンの設計を用いることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第 2006/0157890号明細書
【特許文献2】米国特許第5,707,473号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、付着したセンタリングピンを有する車両用窓ガラスを提供することによってこれら問題に対処することを目的とし、該センタリングピンは前記車両用窓ガラスに付着した基部と、車両車体の穴に挿入するのに適合したセンタリング部とを備え、該センタリング部を基部に接合し、前記窓ガラスを保管し得る下降位置と、前記窓ガラスを車両の開口に嵌合し得る上昇位置との間で移動可能である。
【0008】
移動可能なセンタリング部を有するセンタリングピンを設けることにより、下降位置にセンタリング部を有する車両用窓ガラスを輸送することが可能となり、それによって包装時に窓ガラスに必要なスペースの量を減らすことができる。各窓ガラスが必要とするスペースの量を減らすことによって、同じスペースで以前より多くの窓ガラスを輸送することが可能となる。これはコストを低減し、環境利点を与え、輸送すべき容量を減少するため、仕上げした窓ガラスの輸送に必要とされる運搬車がより少なくなる。
【0009】
好ましくは、センタリングピンのセンタリング部を該センタリングピンの基部上にピボットにより回転自在に取り付け、下降位置ではセンタリング部が基部と実質的に平行となり、上昇位置ではセンタリング部が基部と実質的に垂直となる。センタリングピンの基部及びセンタリング部は、該センタリング部を上昇位置に係止するように作用するロック手段を備えることができる。好ましくは、該ロック手段が基部上で一対の対向する立方形の突起を備え、センタリング部上の対応する正方形の凹部と係合するのに適合する。
【0010】
センタリングピンのセンタリング部は、該センタリング部の底に前記基部を受けて重なり合うサイズの2つの側壁をもつ空洞を備えることができる。ピボットは、空洞の側壁にそれぞれ基部に挿入された円筒状の突起部をもった対向する円形孔を備えることができる。
【0011】
或いはまた、センタリングピンの基部とセンタリング部を可撓性材料のストリップによって接合することができる。ここで、前記上昇位置にあるとき、前記センタリングピンのセンタリング部及び基部が載頭円錐体を形成することができ、基部が円錐体の底を形成し、センタリング部が円錐体の上方部を形成する。上昇位置において、センタリングピンのセンタリング部を基部と係合することができる。
【0012】
その他の実施形態では、センタリングピンのセンタリング部が、下降位置と上昇位置との間で移動するためにセンタリングピンの基部上で拡張可能である。この場合、センタリングピンのセンタリング部を下降位置で複数の蛇腹上の折り目に折り畳まれた可撓性材料から形成されるか、又はセンタリング部を下降位置で互いにかつ基部の内部に収まるように配設された複数の同心体部から形成することができる。センタリングピンのセンタリング部は、車両車体の穴に挿入した際にセンタリング部の一部分が圧壊し得る停止領域を備えることができる。
【0013】
センタリングピンの基部及びセンタリング部の両方を熱可塑性材料から形成するのが好ましい。好ましくは、熱可塑性材料がポリプロピレン、ポリアミド、ガラス繊維補強ポリアミド又はポリオキシメチレンのうちの1つである。
【0014】
本発明はまた、基部と、上昇位置にあるとき車両車体の穴に挿入するのに適合したセンタリング部とを備える車両用窓ガラス用に適したセンタリングピンを提供するもので、前記センタリング部を基部に接合し、該センタリング部が下降位置と上昇位置との間で移動可動である。
【0015】
好ましくは、該センタリング部をピボットによって基部上に回転自在に取り付け、この場合下降位置においてセンタリング部が基部と実質的に平行となり、上昇位置ではセンタリング部が基部と実質的に垂直となる。基部及びセンタリング部は、センタリング部を上昇位置に係止するように作用するロック手段を備えることができる。好ましくは、該ロック手段が基部上で一対の対向する立方形の突起を備え、センタリング部上の対応する正方形の凹部と係合するのに適合する。
【0016】
センタリング部は、該センタリング部の底に前記基部を受けて重なり合うサイズの2つの側壁をもつ空洞を備えることができる。ピボットは、空洞の側壁にそれぞれ基部に挿入された円筒状の突起部をもった対向する円形孔を備えることができる。
【0017】
或いはまた、基部とセンタリング部を可撓性材料のストリップによって接合することができる。ここで、前記上昇位置にあるとき、前記センタリング部及び基部が載頭円錐体を形成することができ、基部が円錐体の底を形成し、センタリング部が円錐体の上方部を形成する。上昇位置において、センタリング部を基部と係合することができる。
【0018】
その他の実施形態では、センタリング部が、下降位置と上昇位置との間で移動するために基部上で拡張可能である。この場合、センタリング部を下降位置で複数の蛇腹上の折り目に折り畳まれた可撓性材料から形成することができる。センタリング部を下降位置で互いの内部及び基部の内部に収まるように配設された複数の同心体部から形成することができる。センタリング部は、車両車体の穴に挿入した際にセンタリング部の一部分が圧壊し得る停止領域を備えることができる。
【0019】
センタリングピンの基部及びセンタリング部の両方を熱可塑性材料から形成するのが好ましい。好ましくは、熱可塑性材料がポリプロピレン、ポリアミド、ガラス繊維補強ポリアミド又はポリオキシメチレンのうちの1つである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、ほんの一例として以下の図面を参照しながら説明される。
【0021】
【図1】図1は、下降位置における本発明に係るセンタリングピンの概略側面図である。
【図2】図2は、図1のセンタリングピンの基部を示す概略側面図である。
【図3】図3は、図1のセンタリングピンの基部の概略平面図である。
【図4】図4は、上昇位置における図1のセンタリングピンの概略側面図である。
【図5】図5は、車体に取り付けた図1のセンタリングピンの概略断面図である。
【図6a】図6aは、下降位置における本発明に係る第2実施形態の概略側面図を示す。
【図6b】図6bは、下降位置と上昇位置との間における本発明に係る第2実施形態の概略側面図を示す。
【図6c】図6cは、上昇位置における本発明に係る第2実施形態の概略側面図を示す。
【図7a】図7aは、下降位置における本発明に係る第3実施形態のセンタリングピンの概略断面図を示す。
【図7b】図7bは、上昇位置における本発明に係る第3実施形態のセンタリングピンの概略断面図を示す。
【図8a】図8aは、下降位置における本発明に係る第3実施形態の第2のセンタリングピンの概略断面図を示す。
【図8b】図8bは、上昇位置における本発明に係る第3実施形態の第2のセンタリングピンの概略断面図を示す。
【図9】図9は、窓ガラスを車体の開口に嵌合する間の図7a及び7bに示されたセンタリングピンの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、窓ガラスの表面に付着した際に下降位置(輸送または保管中の用途のため)及び上昇位置(窓ガラスを車両開口に嵌合する際の用途のため)の間で回転することが可能なセンタリングピンを提供する。
【0023】
図1は、窓ガラスを保管し得る下降位置における本発明の第1実施形態に係るセンタリングピンの概略側面図である。センタリングピン1は、接着剤(図示せず)によりガラス3の層に付着した基部2と、円筒状ベース部分5及び載頭円錐体トップ部分6からなる一般に円錐台形状を有するセンタリング部4とを備える。センタリング部4はまた、ベース部分5に基部2を受けて重なり合うサイズの2つの側壁(図示せず)を有する空洞を備える。該空洞が前記側壁に一対の対向する円形穴7を有し、それぞれはセンタリング部4が基部2を超えてクリップされるように円筒状の突起8を基部2上で受ける。かかる孔7及び突起8が、以下により詳細に記述するように、センタリング部4を下降位置および上昇位置の間で回転し得るピボット9を形成する。基部2及びセンタリング部4はまた、窓ガラスを車両の開口に嵌合するのに用いるためにセンタリング部4を上昇位置に係止し得るロック手段を備えている。該ロック手段は、センタリング部4のベース部分5上で対応する正方形凹部11と係合する一対の対向する立方形突起10を有する。突起10には、回転中にセンタリング部4を突起10の上を容易に摺動させ得る傾斜した上面が設けられる。このことは、図5においてさらに詳細に示される。さらに、センタリング部4のベース部分5は、基部2に対して摺動する表層をつくることによりセンタリング部4の回転を滑らかにするための丸みをおびた端縁を備える。
【0024】
図2及び3は、より詳細に基部2を示す。図2は、図1のセンタリングピンの基部を示す概略側面図、図3はその概略平面図である。基部は、本体12と、上昇位置にあるとき基部2の本体12及びセンタリング部4のベース部分5を越えて延在するサポート部13とを備える。サポート部13は、使用時センタリングピン1に安定性を与え、ガラス3にセンタリングピン1を付着するための接着剤の塗布またはガスケットの内の位置決め用の増加した表面積を提供する。円筒状突起8及び立方形突起10を、ガラス3の上側で基部2の本体12上に同じ高さで位置させ、本体12上で均一に配分して使用の際センタリングピン1に安定性を付与する。
【0025】
図4は、上昇位置における図1のセンタリングピンの概略側面図である。センタリングピン1を上昇位置におくために、センタリング部4をピボット9の周りで回転する。センタリングピン1が下降位置にあるとき、センタリング部4は基部2及びガラス3の表面と実質的に平行である。上昇位置では、センタリング部4が基部2及びガラス3に対し実質的に垂直であるので、基部2とセンタリング部4との間の角度はほぼ90°である。センタリング部4を回転する場合、基部2に対し約75°の角度で、正方形凹部11が立方形突起10の傾斜表面上を摺動し始める。センタリング部4が基部2に対し90°の角度に近づくと、立方形突起10と正方形凹部11とが完全に係合して、センタリング部4を所定の位置に係止する。一度センタリングピン1が上昇位置に置かれると、これを従来のセンタリングピンと同様の方法で用いることができる。センタリング部4の全体的な円錐台形状、特に、載頭円錐体部分6は、車両車体における穴の位置決めによってセンタリングピン1を容易に摺動させることができる。
【0026】
図5は、車両本体に取り付けた本発明のセンタリングピンの概略断面図である。これは、車両本体の中心部におけるか又は端縁に沿ったフランジ穴のような本体の孔を介して行うことができる。ピン自体の断面は、図3に示した線A-A’に沿って取ったもので、立方形突起10及び基部2の本体12を付与する。センタリングピン1は、ガラス3と接触してほぼ全ての基部2を覆う接着剤14の層によって、ガラス3のプライに付着される。センタリング部4は、車両車体16の位置決め穴15内に置かれ、基部2周辺にクリップされる。センタリングピン1を所定の位置に係止するように、立方形の突起10を空洞17内の正方形凹部11に係合する。
【0027】
最初に組立てる際、センタリングピン1の基部2を窓ガラス3の表面に付着し、センタリング部4を下降位置において基部2上にクリップされる。一旦窓ガラス3に基部2を付着するのに用いた接着剤が硬化すると、該窓ガラスを包装し、出荷することができる。車両製造業者又はガラス取り付け業者に到着すると、窓ガラスを取付けのために要求されるまで、センタリングピン1は下降位置のままである。この段階では、窓ガラスを取り付ける者が誰でも、センタリングピン1のセンタリング部4を上昇位置に回転させ、窓ガラス3を通常の方法で取り付けることを可能にする。
【0028】
センタリングピンの最大高さは、下降位置において10.4mmであり、上昇位置において17.4mmであり、荷造りされた窓ガラスに対し約40%のスペース節減をもたらす。
【0029】
図1〜5に示したピン1と同じ効果を奏し、更なる機能性又はコストの利益を有するセンタリングピンの他のデザインを、図6a、6b、6c、7a、7b、8a及び8bに示す。
【0030】
図6a〜6cは、本発明の第2実施形態の概略側面図を示す。図6aは、ピンを付着する窓ガラスを保存し得る下降位置におけるセンタリングピン18を示す。ピン18は、窓ガラス20に付着した基部19を備える。センタリング部21を可撓性材料のストリップ22によって基部19に接合する。ストリップ22は、基部18及び/又はセンタリング部21と同一の材料であってもよいし、又は異なる材料、例えば粘着テープであってもよい。窓ガラス20を車両の開口に嵌合し得る位置にセンタリング部22を移動するためには、該センタリング部22を回転する。これを図6bに示し、ここで回転の方向を矢印Aによって示す。図6cは、窓ガラス20を車両の開口に嵌合し得る最終的な上昇位置でのセンタリングピン18を示す。センタリング部21を基部19に係合することができる。これは、ピン18の他の該当部分における対応凹部または穴と係合する突起をセンタリング部21若しくは基部19上に備えるロック手段又は可撓性材料のストリップ22に設けた接着剤によって行うことができる。
【0031】
図7a、7b、8a及び8bは、本発明の第3実施態様に係るセンタリングピンの概略断面図を示す。図示のセンタリングピンは、いずれもセンタリング部が基部から拡張可能である更なる効果がある。これは、図1〜6cに示したピンと比較してさらに高いスペース節約を含む種々の効果を奏し、後述するように追加的な空間機能性をピンに組み込むことを可能にする。
【0032】
図7aは、窓ガラスを保管し得る下降位置における本発明の第3実施態様に係るセンタリングピンの概略断面図を示す。センタリングピン23は、窓ガラス25の表面に付着した基部24と、該基部24に接合したセンタリング部26とを備える。基部は堅く、一定の高さおよび幅寸法を有する。センタリング部26は可撓性材料から形成され、下降位置と上昇位置との間で伸縮可能である。図7aにおいて、センタリングピン23が下降位置にあり、センタリング部26の外壁がそれ自身一連の蛇腹状折り目27で折り畳まれる。図7bは、上昇位置における本発明の第3実施態様に係るセンタリングピンの概略断面図を示す。窓ガラス25を車両の開口に嵌合し得るためには、センタリング部26を伸展し、センタリングピン23が窓ガラスを嵌合し得るに望ましいサイズに達するまで蛇腹状の折り目を開くことによりセンタリングピン23を上昇位置に移動する。上昇位置にあるとき、センタリングピン23は通常載頭円錐形状であり、基部24が円錐体の底辺を形成し、センタリング部26が円錐体の上部を形成する。しかも、円筒、円錐、正方形及び三角形ベースの角錐のような他の相似形を代わりに用いることができる。
【0033】
図8aは、下降位置における本発明の第3実施形態に係る第2のセンタリングピンの概略断面図を示す。センタリングピン28は、窓ガラス30の表面に付着した基部29と、該基部29に接合したセンタリング部31とを備える。センタリング部31は、互いにかつ基部29内に収まるように配設された複数の同心体部32を備える。該同心体部は連動式にするか(図8bに示すように)又は可撓性材料により接合することができる。図8bは、上昇位置における本発明の第3実施形態に係る第2のセンタリングピンの概略断面図を示す。センタリングピン28を上昇位置におくためには、センタリング部31を拡張して同心体部32を基部から外に持ち上げ、これら部分の全てが最終的に連結されるまで各同心体部32を隣接部で連結する。次いで、センタリングピン28を上昇位置にし、ここで窓ガラス30を車両の開口に嵌合することができる。
【0034】
伸縮可能なセンタリング部26、31を用いる更なる利点の1つは、センタリングピン23、28を用いて追加の空間機能を提供し得ることである。窓ガラスを車両の開口に嵌合するときの1つの課題として、開口に窓ガラスを付着する接着剤と窓ガラスが十分に接触するのを確実にすることである。これは、窓ガラスの外周の周りに位置した輪郭付けガスケット内に置いたスペーサを用いることによって達成することができる。しかしながら、上記図7a、7b、8a及び8bに示し、それに関して記載したセンタリングピンを用いる場合、拡張可能なセンタリング部26、31は車体の停止点に到達する際に圧壊させることも可能である。これは、図9に示される。
【0035】
図9は、車両本体の開口に窓ガラス25を嵌合する間の図7a及び7bに示したセンタリングピン23の概略断面図である。窓ガラス25を、車両本体の開口の周りを走るフランジ34に沿って配置した接着剤33の層に押しつける(方向矢印Bによって示される)。センタリングピン23をフランジ34の穴35に挿入し、センタリング部26の先端がフランジ34の後方で車両本体36と接触するまで窓ガラスを押し込む。この時点で、センタリング部26の先端自身が圧壊して多数の蛇腹状折り目27の再折り畳みを引き起こすまで、窓ガラス25をフランジ34に対しさらに押し込むことができる。所定の距離に到達(窓ガラス25が完全に接着剤と接触する)すると、センタリング部26はそれ以上圧壊せず、窓ガラス25を嵌合する動作は、押し込み方向(方向矢印Cによって示す)に対する抵抗力を認知し、押し込みを止め、窓ガラス25が正しい位置になる。センタリング部26に停止手段を設け、センタリング部26の一部、例えば補強領域を圧壊するのを可能にする。
【0036】
上述したセンタリングピンは、フロントガラス、サイドウィンドウまたはリアウィンドウのような固定された車両用窓ガラスとして用いる単一プライの積層体(中間層のプライが介在した2プライのガラス)及び2層(単一プライガラス及びプラスチック膜の積層体)の窓ガラスのいずれの使用にも適している。心出しに加えて、センタリングピンが他の機能性を有する場合があり、例えばフックをセンタリング部に設けて、センタリングピンを挿入した車体の穴から該ピンが除去されるのを防ぐことができる。また、上述のセンタリングピンは、トリム及びカバー、アンダートレイ、胴板、計器群、ランプ、シールド、ガード及び美的フィニッシャのような種々の車両パネルおよびパーツでの使用に適している。
【0037】
センタリングピンを窓ガラスの表面に付着するのに適した接着剤としては、粘着テープ、ポリウレタン及びホットメルト接着剤、並びに紫外線硬化型接着剤がある。或いはまた、センタリングピンを射出成形プロセスの型内に入れ、窓ガラスの外周で形成した輪郭付けガスケットの内に封入するか、又は窓ガラスに固定した他の部品に同梱させることができる。センタリングピンは、限定しないがポリプロピレン、ポリアミド、ガラス繊維補強ポリアミド又はポリオキシメチレンのような熱可塑性ポリマーで形成するのが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着したセンタリングピンを有する車両用窓ガラスで、該センタリングピンが前記車両用窓ガラスに付着した基部と、車両車体の穴に挿入するのに適合したセンタリング部とを備え、前記センタリング部を前記基部に接合し、窓ガラスを保管し得る下降位置と、窓ガラスを車両の開口嵌合し得る上昇位置との間で移動可能である車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記センタリングピンのセンタリング部を前記基部上にピボットにより回転自在に設け、該センタリング部が前記下降位置で前記基部と実質的に平行となり、前記上昇位置で前記基部と実質的に垂直となる請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記センタリングピンの基部及びセンタリング部が、前記センタリング部を前記上昇位置に係止するよう作用するロック手段を備える請求項2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記ロック手段が、前記センタリング部上の対応する正方形の凹部と係合するのに適合した一対の対向する立方形の突起を基部上で備える請求項3に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記センタリングピンのセンタリング部が、該センタリング部の底に前記基部を受けて重なり合うサイズの2つの側壁をもつ空洞を備える請求項2〜4のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記ピボットが、前記空洞の前記側壁に対向する円形孔を有し、各穴が前記基部に挿入した円筒状の突起を有する請求項5に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記センタリングピンの基部とセンタリング部を可撓性材料のストリップにより接合する請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記上昇位置にあるとき、前記センタリングピンのセンタリング部及び基部が載頭円錐体を形成し、前記基部が円錐体の底を形成し、前記センタリング部が円錐体の上部を形成する請求項7に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記上昇位置において前記センタリングピンのセンタリング部が前記基部と係合する請求項7又は8に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記センタリングピンのセンタリング部が、前記下降部と前記上昇部との間を移動するために前記基部上で伸縮可能である請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記センタリングピンのセンタリング部を、前記下降位置で複数の蛇腹状の折り目に折り重ねられる可撓性材料から形成する請求項10に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記センタリングピンのセンタリング部を、下降位置で互いの内部及び基部の内部に収まるように配設された複数の同心体部から形成する請求項10に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記センタリングピンのセンタリング部が、車両車体の穴に挿入した際に該センタリング部の一部分が圧壊し得る停止領域を備える請求項10〜12のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【請求項14】
前記センタリングピンの基部及びセンタリング部の両方を、熱可塑性材料から形成する前記請求項のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
【請求項15】
前記熱可塑性材料が、ポリプロピレン、ポリアミド、ガラス繊維補強されたポリアミド又はポリオキシメチレンのうちの1つである請求項14に記載の車両用窓ガラス。
【請求項16】
基部と、車両車体の穴に挿入するのに適合したセンタリング部とを備え、
上昇位置にあるとき、前記センタリング部を基部と接合し、前記センタリング部が下降位置と上昇位置との間で移動可能であることを特徴とする車両用窓ガラスに適したセンタリングピン。
【請求項17】
前記センタリング部を前記基部上にピボットにより回転自在に設け、該センタリング部が下降位置で前記基部と実質的に平行となり、上昇位置で前記基部と実質的に垂直となる請求項16に記載のセンタリングピン。
【請求項18】
前記基部及びセンタリング部が、該センタリング部を上昇位置に係止するように作用するロック手段を備える請求項17に記載のセンタリングピン。
【請求項19】
前記ロック手段が、前記センタリング部上の対応する正方形の凹部と係合するのに適合した一対の対向する立方形の突起を基部上で備える請求項18に記載のセンタリングピン。
【請求項20】
前記センタリング部が、該センタリング部の底に前記基部を受けて重なり合うサイズの2つの側壁をもつ空洞を備える請求項17〜19のいずれかに記載のセンタリングピン。
【請求項21】
前記ピボットが、前記空洞の前記側壁に対向する円形孔を有し、各穴が前記基部に挿入した円筒状の突起を有する請求項20に記載のセンタリングピン。
【請求項22】
前記基部と前記センタリング部を可撓性材料のストリップにより接合する請求項16に記載のセンタリングピン。
【請求項23】
前記上昇位置にあるとき、前記センタリング部及び基部が載頭円錐体を形成し、前記基部が円錐体の底を形成し、前記センタリング部が円錐体の上部を形成する請求項22に記載のセンタリングピン。
【請求項24】
前記上昇位置において、前記センタリング部が前記基部と係合する請求項22又は23に記載のセンタリングピン。
【請求項25】
前記センタリング部が、前記下降部と前記上昇部との間を移動するために前記基部上で伸縮可能である請求項16に記載のセンタリングピン。
【請求項26】
前記センタリング部を、前記下降位置で複数の蛇腹状の折り目に折り重ねられる可撓性材料から形成する請求項25に記載のセンタリングピン。
【請求項27】
前記センタリング部を、下降位置で互いの内部及び基部の内部に収まるように配設された複数の同心体部から形成する請求項26に記載のセンタリングピン。
【請求項28】
前記センタリングピンのセンタリング部が、車両車体の穴に挿入した際に該センタリング部の一部分が圧壊し得る停止領域を備える請求項25〜27のいずれかに記載のセンタリングピン。
【請求項29】
前記基部及び前記センタリング部の両方を熱可塑性材料から形成する請求項16〜28のいずれかに記載のセンタリングピン。
【請求項30】
前記熱可塑性材料が、ポリプロピレン、ポリアミド、ガラス繊維補強ポリアミド又はポリオキシメチレンのうちの1つである請求項29に記載のセンタリングピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−500434(P2011−500434A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530471(P2010−530471)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064440
【国際公開番号】WO2009/053463
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(504106697)ピルキントン オートモーティヴ ドイチェラント ゲーエムベーハー (20)
【出願人】(500226546)ピルキントン イタリア ソシエタ ペル アチオニ (6)