説明

センタ装置、自動取引装置、手数料優遇システムおよび手数料優遇方法

【課題】ATMの利用において容易に手数料割引の優遇を受けることが可能な、新規かつ改良されたセンタ装置、自動取引装置、手数料優遇システムおよび手数料優遇方法を提供する。
【解決手段】顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置とネットワークを介して接続されたセンタ装置20は、顧客の所持するカードを用いて自動取引装置が利用された利用回数をカウントするカウント部204と、カウント部によりカウントされた利用回数に応じて自動取引装置の利用手数料割引率を決定する割引率決定部206と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタ装置、自動取引装置、手数料割引システムおよび手数料割引方法に関し、特に、自動取引装置において他行取引を実施した際に発生する手数料の割引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、現金自動支払機(ATM)は、銀行毎に設置するだけでなく、コンビニエンス・ストア等の店舗(小売店)内に設置することも行われている。通常、ATMのカードを発行した銀行とATMを設置している銀行とが同一の銀行の場合、昼間の時間帯は取引に伴う手数料を無料とし、夜間や土日・祝日には手数料を銀行が引き落とすこととしている。また、カードを発行した銀行とATMを設置している銀行とが異なる銀行の場合、通常の時間帯においても取引に伴う手数料を銀行が引き落とすこととなっている。
【0003】
また、小売店などの店舗内に設置されたATMを利用する場合には、他行口座からの引出しや、同一の銀行であっても夜間、土曜日・日曜日、祝日には、引出しのための手数料が掛かっていた。そこで、小売店などの店舗内にATM(Automated Teller Machine)が設置されている場合に手数料を割引く方法が考えられている。例えば、特許文献1では、特定の商品カードをATMで購入し、商品カードを購入した金額に応じて手数料を割り引く方法が例示されている。また、特許文献2では、顧客が、ATMが設置されている店舗の店舗会員になって、一定以上の商品を購入(ポイント獲得)することにより手数料を割り引く方法が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−248755号公報
【特許文献2】特開2006−260168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、手数料割引の優遇を受けようとする顧客は、特に必要がない場合でも一定の商品カードが額面分の出費が必要である上、店舗側においても商品カードの発行やATMにおける商品カード販売の機能を拡張しなければならなかった。また、特許文献2においても、ATMが店舗の会員システムと連携する必要がある上、顧客は会員登録をする必要があり、かつ一定以上のポイントを貯めなければならなかった。このように、上記文献においては、店舗の商品カードの購入や会員登録等を行わなければならず、容易に手数料割引の優遇を受けることが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ATMの利用において容易に手数料割引の優遇を受けることが可能な、新規かつ改良されたセンタ装置、自動取引装置、手数料優遇システムおよび手数料優遇方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置とネットワークを介して接続されたセンタ装置であって、顧客の所持するカードを用いて自動取引装置が利用された利用回数をカウントするカウント部と、カウント部によりカウントされた利用回数に応じて自動取引装置の利用手数料割引率を決定する割引率決定部と、を備えることを特徴とする、センタ装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、顧客の所持するカードを用いて自動取引装置が利用された利用回数をカウントして、該利用回数に応じて自動取引装置の利用手数料割引率を決定する。これにより、利用回数に応じた利用手数料割引率を決定することが可能となり、商品や商品カードを購入したりすることなく、一の銀行をATM取引に使い続けるだけで、手数料割引の特定を容易に享受することが可能となる。
【0008】
また、カードを用いて自動取引装置を利用する利用回数データと、利用回数に応じて設定される自動取引装置の利用手数料割引データとを関連付けて取引回数管理テーブルに記憶している記憶部を備え、割引率決定部は、カウント部によりカウントされた利用回数に対応する記憶部の利用回数データに関連付けられた利用手数料割引データを利用手数料割引率としてもよい。
【0009】
また、記憶部には、顧客のうち、通常顧客用の利用手数料割引データを記憶している通常顧客用の取引回数管理テーブルと、顧客のうち、重要顧客用の利用手数料割引データを記憶している重要顧客用の取引回数管理テーブルとが記憶されていてもよい。
【0010】
記憶部には、顧客を識別する顧客番号とカードを識別するカード番号とが関連付けて顧客テーブルに記憶されていてもよい。
【0011】
顧客テーブルには、顧客番号と顧客の取引回数と、顧客が最後に取引を行った時刻とが関連付けて記憶されていてもよい。
【0012】
また、顧客テーブルには、顧客番号と顧客が重要顧客であることを示す重要顧客フラグとが関連付けて記憶されていてもよい。
【0013】
また、割引率決定部は、カードのカード番号に重要顧客フラグが関連付けられている場合に、重要顧客用の利用手数料割引データに記憶されている利用手数料割引データを参照して利用手数料割引率を決定するようにしてもよい。
【0014】
また、センタ装置は、センタ装置とは異なる他のセンタ装置とネットワークを介して接続され、顧客が所持するカードは、センタ装置とは異なる他のセンタ装置により発行されたカードであり、他のセンタ装置から顧客の他のセンタ装置以外の最終取引情報を取得して、カウント部により利用回数が最後にカウントされた最終カウント時刻情報と取得した他のセンタ装置以外の最終取引情報とを比較する比較部とを備え、カウント部は、比較部による比較の結果、他のセンタ装置における他のセンタ装置以外の最終取引情報とカウント部における最終カウント時刻情報とが一致しない場合に、利用回数をリセットするようにしてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、センタ装置とネットワークを介して接続された顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置であって、
顧客により挿入されたカードのカード情報を読み取る読取部と、読取部により読み取られたカード情報をセンタ装置に送信する送信部と、センタ装置から、カードの利用回数に応じた利用手数料割引率情報を受信する受信部と、受信部により受信された利用手数料割引率情報を表示画面に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする、自動取引装置が提供される。
【0016】
また、表示制御部は、顧客に利用手数料割引を用いた取引を利用するか否かを選択させるための選択画面を表示画面に表示するようにしてもよい。
【0017】
また、送信部は、読取部により読み取られた金融機関情報、口座番号を含むカード情報をセンタ装置に送信し、受信部は、カード情報に対応する現在のカードの利用回数、利用手数料割引率、割引金額および付帯メッセージを含む割引手数料情報を受信し、表示制御部は、割引手数料情報を表示画面に表示するようにしてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置と自動取引装置の取引における手数料割引サービスを提供するセンタ装置とがネットワークを介して接続された手数料優遇システムであって、自動取引装置は、顧客により挿入されたカードのカード情報を読み取る読取部と、読取部により読み取られたカード情報をセンタ装置に送信する送信部と、を備え、センタ装置は、顧客の所持するカードを用いて自動取引装置が利用された利用回数をカウントするカウント部と、カウント部によりカウントされた利用回数に応じて自動取引装置の利用手数料割引率を決定する割引率決定部と、を備え、自動取引装置は、センタ装置から、決定された利用手数料割引率を含む利用手数料割引率情報を表示画面に表示することを特徴とする、手数料優遇システムが提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置と自動取引装置の取引における手数料割引サービスを提供するセンタ装置とにおいて実行される手数料優遇方法であって、顧客により挿入されたカードのカード情報を読み取るステップと、読み取りステップにおいて読み取られたカード情報をセンタ装置に送信するステップと、顧客の所持するカードを用いて自動取引装置が利用された利用回数をカウントするステップと、カウント部によりカウントされた利用回数に応じて自動取引装置の利用手数料割引率を決定するステップと、自動取引装置は、センタ装置から、決定された利用手数料割引率を含む利用手数料割引率情報を表示画面に表示するステップと、を含むことを特徴とする、手数料優遇方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、ATMの利用において容易に手数料割引の優遇を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる手数料優遇システムの概要を説明する説明図である。
【図2】同実施形態にかかる自動取引装置およびセンタ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態にかかる顧客テーブルの内容を説明する説明図である。
【図4】同実施形態にかかる取引回数管理テーブルの内容について説明する説明図である。
【図5】同実施形態にかかる手数料優遇処理を説明するタイミングチャートである。
【図6】同実施形態にかかるセンタ装置の顧客データ検索処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態にかかる表示部に表示される表示内容について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
また、以下に示す順序に従って、当該「発明を実施するための形態」を説明する。
〔1〕本実施形態の目的
〔2〕手数料優遇システムの概要
〔3〕センタ装置および自動取引装置の機能構成
〔4〕手数料優遇処理の詳細
【0024】
〔1〕本実施形態の目的
まず、本実施形態の目的について説明する。最近では、現金自動支払機(ATM)は、銀行毎に設置するだけでなく、コンビニエンス・ストア等の店舗(小売店)内に設置することも行われている。通常、ATMのカードを発行した銀行とATMを設置している銀行とが同一の銀行の場合、昼間の時間帯は取引に伴う手数料を無料とし、夜間や土日・祝日には手数料を銀行が引き落とすこととしている。また、カードを発行した銀行とATMを設置している銀行とが異なる銀行の場合、通常の時間帯においても取引に伴う手数料を銀行が引き落とすこととなっている。
【0025】
また、小売店などの店舗内に設置されたATMを利用する場合には、他行口座からの引出しや、同一の銀行であっても夜間、土曜日・日曜日、祝日には、引出しのための手数料が掛かっていた。そこで、小売店などの店舗内にATM(Automated Teller Machine)が設置されている場合に手数料を割引く一の方法が考えられている。例えば、特定の商品カードをATMで購入し、商品カードを購入した金額に応じて手数料を割り引く方法が挙げられる。また、顧客が、ATMが設置されている店舗の店舗会員になって、一定以上の商品を購入(ポイント獲得)することにより手数料を割り引く他の方法も挙げられる。
【0026】
しかし、上記一の方法では、手数料割引の優遇を受けようとする顧客は、特に必要がない場合でも一定の商品カードが額面分の出費が必要である上、店舗側においても商品カードの発行やATMにおける商品カード販売の機能を拡張しなければならなかった。また、上記他の方法においても、ATMが店舗の会員システムと連携する必要がある上、顧客は会員登録をする必要があり、かつ一定以上のポイントを貯めなければならなかった。このように、上記文献においては、店舗の商品カードの購入や会員登録等を行わなければならず、容易に手数料割引の優遇を受けることが困難であるという問題があった。
【0027】
そこで、本発明は、上記のような事情を一着眼点として、本発明の実施形態にかかる手数料優遇システム100が創作されるに至った。本実施形態にかかる手数料優遇システム100によれば、ATMの利用において容易に手数料割引の優遇を受けることが可能となる。
【0028】
〔2〕手数料優遇システムの概要
次に、図1を参照して、本発明の一実施形態にかかる手数料優遇システム100の概要について説明する。図1は、手数料優遇システム100の概要を説明する説明図である。本実施形態では、銀行の自動取引装置(ATM)を利用する際の手数料優遇システムを例示して説明するが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、銀行以外の金融機関等の自動取引装置に適用することも可能である。図1に示したように、手数料優遇システム100は、A銀行センタ110と、A銀行に備えられたATMコーナ120と、B銀行センタ140などを備える。
【0029】
A銀行センタ110には、主に取引回数管理データベース4と、A銀行ホスト5などを備える。取引回数管理データベース4には、利用回数に応じて設定される利用手数料割引率が予め記憶されている。また、A銀行のATMを利用する利用者毎の利用回数と利用年月日時刻なども保持されている。また、ネットワーク3を介してATMコーナ120のA銀行ATM2と接続されている。
【0030】
A銀行ホスト5は、A銀行ATM2が利用された利用回数をカウントしたり、当該利用回数に応じた利用手数料割引率を決定したりする機能を有する。また、ネットワーク3を介してA銀行ATM2と接続され、ネットワーク6を介してB銀行センタ140のB銀行ホスト7と接続されている。A銀行ホスト5は、B銀行ホスト7から、B銀行キャッシュカード1を用いて取引を行った利用者がA銀行以外の銀行で行った取引内容を取得し、該取引内容に応じて利用手数料割引率を決定する。
【0031】
ATMコーナ120に設置されているA銀行のATM2は、A銀行が発行したキャッシュカードだけでなく、A銀行以外(例えばB銀行)の発行したキャッシュカードを利用して現金の自動支払や振込み等の各種取引を行うことができる。本実施形態においては、A銀行に設置されたATMを利用する利用者が、B銀行のキャッシュカードを用いて取引を行う際に利用手数料割引が優遇される場合について説明する。
【0032】
B銀行センタ130のB銀行ホスト7は、ネットワーク6を介してA銀行ホストと接続して、A銀行ホスト5からの要求に応じて利用者の取引内容を提供する。以上、手数料優遇システム100の概要を説明した。
【0033】
〔3〕センタ装置および自動取引装置の機能構成
次に、図2を参照して、A銀行のATMに備わる機能を有する自動取引装置(ATM)10およびA銀行センタ110に備わる機能を有するセンタ装置20の機能構成について説明する。図2の機能構成を説明する前に、センタ装置20のハードウェア構成の一例について説明する。センタ装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、入力装置と、出力装置と、ストレージ装置(HDD)などを備える。
【0034】
CPUは、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってセンタ装置20の動作全般を制御する。また、CPUは、マイクロプロセッサであってもよい。ROMは、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAMは、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。
【0035】
入力装置は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPUに出力する入力制御回路などから構成されている。
【0036】
出力装置は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。
【0037】
ストレージ装置は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。ストレージ装置は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置は、ハードディスクを駆動し、CPUが実行するプログラムや各種データを格納する。
【0038】
以上、センタ装置20のハードウェア構成について説明した。自動取引装置10についても、センタ装置20とほぼ同様のハードウェア構成であるため、詳細な説明は省略する。次に、図2を参照して、自動取引装置10の機能構成について説明する。図2に示したように、自動取引装置10は、読取部102、送信部104、受信部106、表示制御部108などを備える。
【0039】
読取部102は、顧客(利用者)により挿入されたカード11のカード情報を読み取る機能を有する。カード11のカード情報は、例えば、カード11の磁気ストライプやICチップ等に記録されている。読取部102は、カード11の磁気ストライプやICチップ等に記録されている、顧客の口座番号や口座情報等を読み取る。読取部102は、読み取ったカード情報を送信部104に提供する。
【0040】
送信部104は、読取部102により提供されたカード情報を、センタ装置20に送信する機能を有する。また、送信部104は、後述する表示部(表示画面)12に表示された選択画面を介して顧客が選択入力をした場合に、当該選択結果をセンタ装置20に送信する。
【0041】
受信部106は、センタ装置20から、顧客がカードを利用して取引を行った利用回数に応じた利用手数料割引率情報を受信する。センタ装置20から送信される利用手数料割引率情報については、後で詳細に説明する。受信部106は、受信した利用手数料割引率情報を表示制御部108に提供する。
【0042】
表示制御部108は、受信部106により提供された利用手数料割引率情報を表示部12に表示する機能を有する。図2においては、表示部12を自動取引装置10とは別体の装置としたが、かかる例に限定されない。また、表示制御部108は、顧客に利用手数料割引を用いたサービスを利用するか否かを選択させる選択画面を表示部12に表示する機能を有する。
【0043】
以上、自動取引装置10の機能構成について説明した。次に、センタ装置20の機能構成について説明する。センタ装置20は、受信部202、カウント部204、割引率決定部206、記憶部208、比較部212、送信部214などを備える。
【0044】
受信部202は、自動取引装置10から送信されたカード情報を受信する機能を有する。受信部202は、受信したカード情報をカウント部204に提供する。カウント部204は、顧客が、顧客の所持するカードを用いて自動取引装置10を利用した利用回数をカウントする機能を有する。記憶部208には、後述するように、カードを識別するカード番号と、当該カード番号を用いて取引が行われた回数を保持している顧客テーブル210が記録されている。カウント部204は、受信部202から提供されたカード情報のカード番号に対応する顧客テーブルの取引回数を更新する。
【0045】
ここで、図3を参照して、記憶部208に記憶されている顧客テーブル210の内容について説明する。図3は、顧客テーブル210の内容を説明する説明図である。図3に示したように、顧客テーブル210には、口座番号を管理するテーブル2100に、広義の口座番号2101と銀行コードと支店コードとユーザIDとが関連付けられている。広義の口座番号2101は、各カードに付され、各カードを識別する番号である。銀行コード2102は、各銀行を識別する番号である。支店コード2103は、各支店を識別する番号である。また、ユーザIDは、各顧客を識別する番号である。
【0046】
また、ユーザIDを管理するテーブル2110に、ユーザID2111と利用回数2112とVIPフラグ2113と最終利用年月日時刻2114とが関連付けられている。ユーザID2111は、上記したように、各顧客を識別する番号である。利用回数2112は、各顧客がカードを利用して取引をした回数である。VIPフラグ2113は、顧客がVIP顧客であるか否か、すなわち、重要顧客であるか否かを判別するフラグである。VIPフラグ2113は、例えば、顧客の利用回数や預金残高等によって予め設定される。
【0047】
図2に戻り、センタ装置20の機能構成について引き続き説明する。割引率決定部206は、カウント部204によりカウントされた利用回数に応じて自動取引装置10の利用手数料割引率を決定する機能を有する。具体的には、カウント部204によりカウントされた利用回数に対応する利用手数料割引率を記憶部208の取引回数管理テーブル209から検索する。割引率決定部206は、決定した利用手数料割引率を送信部214に提供する。
【0048】
ここで、図4を参照して、記憶部208に記憶されている取引回数管理テーブル209の内容について説明する。図4は、取引回数管理テーブル209の内容について説明する説明図である。図4に示したように、取引回数管理テーブル209には、通常利用客用テーブル2091と、VIP客用テーブル2092とがある。通常利用客用テーブル2092には利用回数と手数料割引率(利用手数料割引率)とが関連付けて記憶されている。利用回数とは、顧客がカードを利用して所定の取引を行った回数であり、手数料割引率とは、利用手数料の割引率である。取引回数管理テーブル209には、予め、利用回数に対応する手数料割引率が設定されている。
【0049】
取引回数管理テーブル209には、手数料割引率だけでなく、利用回数リセットの有無や、利用回数リセット条件などを予め設定するようにしてもよい。なお、本実施形態では、上記した顧客テーブル210と取引回数管理テーブル209とを一の記憶媒体(記憶部208)に記憶するようにしたが、かかる例に限定されず、別々の記憶媒体に記憶するようにしてもよい。
【0050】
ここで、例えば、初期手数料割引率が10%、5回以上取引を行った場合の手数料割引率20%、10回以上取引を行った場合の手数料割引率30%、利用回数リセット有り、利用回数リセット条件をA銀行以外での他行取引の有無、であった場合について以下説明する。
【0051】
A銀行からB銀行扱い取引の手数料が105円であった場合、顧客がA銀行でB銀行において発行されたカードを用いて取引を行った場合、初回95円、5回以上取引を行った場合84円、10回以上取引を行った場合は74円となる。ただし、利用回数リセットが設定されており、利用回数リセット条件がA銀行以外での他行取引の有無であるため、5回以上取引を行った後に、A銀行以外の銀行(例えばC銀行)でB銀行の取引を行った場合には、利用回数がリセットされる。したがって、次回からの利用は再び初回手数料と同額の95円となる。
【0052】
利用回数リセット条件としては、A銀行以外の他行取引の有無の他、期間を指定するようにしてもよい。例えば、週単位、月単位で利用回数をリセットするようにしてもよい。また、使用回数の上限を設けて、例えば、週で5回以上使用した場合にはリセットするようにしてもよい。
【0053】
また、上記した顧客テーブル210において、VIPフラグが設定されている顧客である場合には、VIP客用テーブル2092が参照されて、利用回数に応じた手数料割引率が決定される。
【0054】
図2に戻り、センタ装置20の機能構成について引き続き説明する。比較部212は、他のセンタ装置30から顧客の他のセンタ装置30以外の最終取引情報を取得して、カウント部203により利用回数が最後のカウントされた最終カウント時刻情報と取得した他のセンタ装置30以外の最終取引情報とを比較する機能を有する。比較部212は、比較結果をカウント部204に提供する。
【0055】
比較部212により、他のセンタ装置30における他のセンタ装置30以外の最終取引情報と、カウント部204における最終カウント時刻情報とが一致しない場合には、カウント部204は、該当顧客の利用回数をリセット(利用回数0)する。他行取引の有無に応じたカウント部214による利用回数のリセットは、上記したように、取引回数管理テーブル209に利用回数リセットが設定されており、利用回数リセット条件がA銀行以外での他行取引の有無の場合に行われる。
【0056】
送信部214は、割引率決定部206から提供された利用手数料割引率を自動取引装置10に送信する機能を有する。送信部214は、利用手数料割引率だけでなく、現在の利用回数等やリセット条件などを送信するようにしてもよい。以上、センタ装置20の機能構成について説明した。
【0057】
〔4〕手数料優遇処理の詳細
次に、図5〜図7を参照して、手数料優遇処理の詳細について説明する。図5は、手数料優遇処理を説明するタイミングチャートである。図5に示したように、まず、自動取引装置10にカードが挿入される(S102)。そして、顧客の入力操作に応じて暗証番号が入力される(S104)。
【0058】
そして、自動取引装置10の読取部102は、ステップS102において挿入されたカードのカード情報を読み取る(S106)。そして、送信部104は、ステップS106において読み取られたカード情報をセンタ装置20に送信する(S108)。
【0059】
ステップS108においてカード情報を送信されたセンタ装置20は、カード情報に含まれるユーザIDを参照して、顧客テーブル210から該当する顧客データを検索する(S110)。ここで、図6を参照して、顧客データの検索について説明する。図6は、センタ装置20の顧客データ検索処理について説明するフローチャートである。
【0060】
図6に示したように、センタ装置20の受信部202は、カード情報を受信する(S202)。ステップS202において受信するカード情報には、カード番号(口座番号)や金融機関コード、支店コード等、カードや顧客を識別する情報およびカード発行元の金融機関情報などが含まれている。
【0061】
次に、ステップS202において受信したカード情報に含まれているカード番号に対応する顧客データが顧客テーブル210にあるか否かを判定する(S204)。ステップS204において、カード番号に対応する顧客データがあると判定された場合には、取引回数リセット条件が他行取引の有無か否かを判定する(S206)。
【0062】
ステップS206において、取引回数リセット条件が他行取引の有無であると判定された場合には、他行の最終取引情報を取得する(S214)。ステップS214において取得する他行の最終取引情報とは、上述したように、センタ装置20がA銀行のセンタ装置であり、顧客がB銀行により発行されたカードでA銀行の自動取引装置10で取引した場合に、B銀行においてA銀行以外の銀行(他行、例えばC銀行)との最終取引情報を意味する。
【0063】
ステップS214において取得された他行の最終取引情報とカウント部204においてカウントされた最終カウント時刻情報とが一致するか否かを判定する。ステップS216において、最終カウント時刻情報と他行の最終取引情報とが一致すると判定された場合には、他行で取引が行われていないため、カウントを「1」加算する(S218)。一方、ステップS216において、最終カウント時刻情報と他行の最終取引情報とが一致しないと判定された場合には、他行で取引が行われているため、カウントをリセット(「0」)する(S220)。
【0064】
ステップS204において、カード番号に対応する顧客データがないと判定された場合には、顧客データを新たに作成し(S210)、カウントを「1」加算する(S212)。また、ステップS206において、取引回数リセット条件が他行取引の有無ではないと判定された場合には、カウントを「1」加算する(S208)。以上、顧客データの検索について説明した。
【0065】
図5に戻り、ステップS110において顧客データを検索した後、センタ装置20は、ステップS110において検索した結果を自動取引装置10の送信する(S112)。ステップS112において送信される検索結果とは、ステップS102において挿入されたカードを所有する顧客が自動取引装置10を利用した回数や利用手数料割引率情報やリセット条件など、カード番号に対応するユーザの情報である。
【0066】
自動取引装置10の表示制御部108は、ステップS112において送信された検索結果に含まれている手数料割引情報などを表示部12に表示する(S114)。また、表示制御部108は、顧客が手数料割引サービスを選択するか否かの選択画面を表示部12に表示する。顧客の入力操作により、手数料割引サービスを利用するか否かを選択し、選択結果をセンタ装置20に送信する(S116)。
【0067】
ステップS116において送信された選択結果により、顧客により手数料割引サービスを選択することが決定した場合に割引率を決定し、割引手数料を算出する(S118)。そして、ステップS118において決定した割引率を元に算出された割引手数料情報を自動取引装置10に送信する(S120)。センタ装置20から割引手数料情報を送信された自動取引装置10は、表示部12に割引手数料情報を表示する(S122)。
【0068】
ここで、図7を参照して、自動取引装置10の表示制御部108による表示部12への表示内容について説明する。図7は、表示部12に表示される表示内容について説明する説明図である。まず、表示制御部108は、表示部12に割引手数料割引方法を表示する(S302)。そして、顧客の入力操作により手数料割引の利用が選択されたか否かを判定する(S304)。
【0069】
ステップS304において、顧客により手数料割引を利用することが選択された場合には、図5のステップS120においてセンタ装置20から送信された割引手数料情報を表示する(S306)。一方、ステップS204において、顧客により手数料割引を利用しないことが選択された場合には、通常の手数料情報を表示する(S308)。
【0070】
ステップS306において表示される割引手数料情報は、自動取引装置10に挿入されたカードのカード情報に対応する、該カードの利用回数、利用手数料割引率、割引金額および付帯メッセージなどの情報が含まれる。付帯メッセージとは、例えば、「後XX回で割引率アップです」や、「当行以外で他行取引を行ったため利用回数と割引率をリセットしました」等のメッセージである。
【0071】
図5に戻り、ステップS122において割引手数料情報が表示された後、顧客の入力操作により出金金額が入力される。そして、自動取引装置10から現金、カード、明細書票などが出力され、顧客により受け取られる。以上、手数料優遇処理の詳細について説明した。
【0072】
顧客の手数料割引料の享受については以下のように行う。センタ装置20が設置されている銀行において、一定の方針(例えば、月1回清算等)にしたがって、顧客テーブル210および取引回数管理テーブル209に記憶されている情報を用いて手数料割引分の金額を顧客の口座に振り込む。すなわち、顧客テーブル210に記憶されている利用回数やVIPフラグに対応する手数料割引率を取引回数管理テーブル209から検索して、手数料割引分の金額を算出する。手数料割引料の享受については、上記したような一括還元に限定されず、取引毎に都度還元してもよい。
【0073】
このように、本実施形態によれば、商品や商品カードを購入したりすることなく、一の銀行を他行取引に使い続けるだけで、手数料割引の特定を容易に享受することが可能となる。また、本実施形態にかかる手数料割引サービスを提供する銀行は、手数料割引の特典を顧客に提供することにより、集客アップを見込むことが可能となる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、上記実施形態では、図1において、A銀行ホスト5とA銀行ATM2とはA銀行内ネットワーク3により接続され、A銀行ホスト5とB銀行ホスト7とは銀行間ネットワーク6により接続されているが、本発明はかかる例に限定されない。すなわち、上記実施形態を実現可能なネットワーク構成であれば、銀行内ネットワークや銀行間ネットワークに限定されず、例えば、VPN(Virtual Private Network)などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 自動取引装置
11 カード
12 表示部
102 読取部
104 送信部
106 受信部
108 表示制御部
20 センタ装置
202 受信部
204 カウント部
206 割引率決定部
208 記憶部
209 取引回数管理テーブル
210 顧客テーブル
212 比較部
214 送信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置とネットワークを介して接続されたセンタ装置であって、
前記顧客の所持するカードを用いて前記自動取引装置が利用された利用回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされた前記利用回数に応じて前記自動取引装置の利用手数料割引率を決定する割引率決定部と、
を備えることを特徴とする、センタ装置。
【請求項2】
前記カードを用いて前記自動取引装置を利用する利用回数データと、前記利用回数に応じて設定される前記自動取引装置の利用手数料割引データとを関連付けて取引回数管理テーブルに記憶している記憶部を備え、
前記割引率決定部は、前記カウント部によりカウントされた前記利用回数に対応する前記記憶部の前記利用回数データに関連付けられた前記利用手数料割引データを前記利用手数料割引率とすることを特徴とする、請求項1に記載のセンタ装置。
【請求項3】
前記記憶部には、前記顧客のうち、通常顧客用の前記利用手数料割引データを記憶している通常顧客用の取引回数管理テーブルと、前記顧客のうち、重要顧客用の前記利用手数料割引データを記憶している重要顧客用の取引回数管理テーブルとが記憶されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のセンタ装置。
【請求項4】
前記記憶部には、前記顧客を識別する顧客番号と前記カードを識別するカード番号とが関連付けて顧客テーブルに記憶されていることを特徴とする、請求項1〜3に記載のセンタ装置。
【請求項5】
前記顧客テーブルには、前記顧客番号と前記顧客の取引回数と、前記顧客が最後に前記取引を行った時刻とが関連付けて記憶されていることを特徴とする、請求項4に記載のセンタ装置。
【請求項6】
前記顧客テーブルには、前記顧客番号と前記顧客が重要顧客であることを示す重要顧客フラグとが関連付けて記憶されていることを特徴とする、請求項4または5のいずれかに記載のセンタ装置。
【請求項7】
前記割引率決定部は、前記カードのカード番号に前記重要顧客フラグが関連付けられている場合に、前記重要顧客用の前記利用手数料割引データに記憶されている前記利用手数料割引データを参照して前記利用手数料割引率を決定することを特徴とする、請求項4に記載のセンタ装置。
【請求項8】
前記センタ装置は、前記センタ装置とは異なる他のセンタ装置とネットワークを介して接続され、
前記顧客が所持するカードは、前記センタ装置とは異なる他のセンタ装置により発行されたカードであり、
前記他のセンタ装置から前記顧客の前記他のセンタ装置以外の最終取引情報を取得して、前記カウント部により前記利用回数が最後にカウントされた最終カウント時刻情報と前記取得した前記他のセンタ装置以外の最終取引情報とを比較する比較部とを備え、
前記カウント部は、前記比較部による比較の結果、前記他のセンタ装置における前記他のセンタ装置以外の最終取引情報と前記カウント部における前記最終カウント時刻情報とが一致しない場合に、前記利用回数をリセットすることを特徴とする、請求項1に記載のセンタ装置。
【請求項9】
センタ装置とネットワークを介して接続された顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置であって、
顧客により挿入されたカードのカード情報を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記カード情報を前記センタ装置に送信する送信部と、
前記センタ装置から、前記カードの利用回数に応じた利用手数料割引率情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記利用手数料割引率情報を表示画面に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする、自動取引装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記顧客に前記利用手数料割引を用いた取引を利用するか否かを選択させるための選択画面を前記表示画面に表示することを特徴とする、請求項9に記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記送信部は、前記読取部により読み取られた金融機関情報、口座番号を含む前記カード情報を前記センタ装置に送信し、
前記受信部は、前記カード情報に対応する現在の前記カードの利用回数、利用手数料割引率、割引金額および付帯メッセージを含む割引手数料情報を受信し、
前記表示制御部は、前記割引手数料情報を前記表示画面に表示することを特徴とする、請求項9または10のいずれかに記載の自動取引装置。
【請求項12】
顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置と前記自動取引装置の取引における手数料割引サービスを提供するセンタ装置とがネットワークを介して接続された手数料優遇システムであって、
前記自動取引装置は、
顧客により挿入されたカードのカード情報を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記カード情報を前記センタ装置に送信する送信部と、
を備え、
前記センタ装置は、
前記顧客の所持するカードを用いて前記自動取引装置が利用された利用回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされた前記利用回数に応じて前記自動取引装置の利用手数料割引率を決定する割引率決定部と、
を備え、
前記自動取引装置は、前記センタ装置から、前記決定された利用手数料割引率を含む利用手数料割引率情報を表示画面に表示することを特徴とする、手数料優遇システム。
【請求項13】
顧客の入力操作に従って取引を行う自動取引装置と前記自動取引装置の取引における手数料割引サービスを提供するセンタ装置とにおいて実行される手数料優遇方法であって、
顧客により挿入されたカードのカード情報を読み取るステップと、
前記読み取りステップにおいて読み取られた前記カード情報を前記センタ装置に送信するステップと、
前記顧客の所持するカードを用いて前記自動取引装置が利用された利用回数をカウントするステップと、
前記カウント部によりカウントされた前記利用回数に応じて前記自動取引装置の利用手数料割引率を決定するステップと、
前記自動取引装置は、前記センタ装置から、前記決定された利用手数料割引率を含む利用手数料割引率情報を表示画面に表示するステップと、を含むことを特徴とする、手数料優遇方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate