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ゼオライト成形体の製造方法及びε−カプロラクタムの製造方法
説明

ゼオライト成形体の製造方法及びε−カプロラクタムの製造方法

【課題】優れた機械的強度を有するゼオライト成形体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明のゼオライト成形体の製造方法は、ケイ素化合物、水及び第四級アンモニウム水酸化物を含む混合物を水熱合成反応に付す工程(1)と、工程(1)で得られた結晶を含む反応混合物を濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離する工程(2)と、工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで水で洗浄する工程(3)と、工程(3)で得られた洗浄後の結晶を成形する工程(4)と、工程(4)で得られた成形体を焼成する工程(5)とを含むことを特徴とする。かかる製法により製造されたゼオライト成形体を触媒として用い、シクロヘキサノンを気相にてベックマン転位反応させることにより、ε−カプロラクタムを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト成形体を製造する方法に関するものである。また本発明は、ゼオライト成形体を触媒として用いて、シクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ε−カプロラクタムの製造方法の1つとして、固体触媒としてゼオライトを使用し、該ゼオライトの存在下、シクロヘキサノンオキシムを気相にてベックマン転位反応させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。かかるゼオライトは、成形して使用されることが知られており、該ゼオライト成形体の製造方法として、例えば、ケイ素化合物、水及び第四級アンモニウム水酸化物の混合物を水熱合成反応に付し、得られた反応混合物から固体を濾別後、濾液のpHが7付近になるまで水洗浄し、次いで洗浄後の固体を成形、焼成する方法が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−250866号公報
【特許文献2】特開平2−275850号公報
【特許文献3】特開平6−72706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の方法では、ゼオライト成形体の機械的強度の点で必ずしも満足のいくものではなかった。そこで、本発明の目的は、機械的強度の点で優れるゼオライト成形体を製造する方法を提供することにある。また本発明のもう1つの目的は、かかる製法により得られたゼオライト成形体を触媒として用いて、シクロヘキサノンオキシムを良好な転化率で反応させて、ε−カプロラクタムを良好な選択率で製造しうる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1]下記工程(1)〜(5)、
(1):ケイ素化合物、水及び第四級アンモニウム水酸化物を含む混合物を水熱合成反応に付す工程、
(2):工程(1)で得られた結晶を含む反応混合物を濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離する工程、
(3):工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで水で洗浄する工程、
(4):工程(3)で得られた洗浄後の結晶を成形する工程、及び
(5):工程(4)で得られた成形体を焼成する工程、
を含むことを特徴とするゼオライト成形体の製造方法。
[2]工程(3)が、下記工程(3’)、
(3’):工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄濾液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで、クロスフロー方式により水で洗浄濾過する工程、
であり、工程(3’)で得られた洗浄後の結晶を工程(4)に付す前記[1]に記載の製造方法。
[3]工程(4)における成形を、洗浄後の結晶を含むスラリーを噴霧乾燥することにより行う前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]下記工程(6)、
(6):工程(5)で得られた焼成品を水蒸気と接触させる工程、
をさらに含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]下記工程(7)、
(7):工程(6)で得られた水蒸気と接触させた後の焼成品を、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液で接触処理する工程、
をさらに含む前記[4]に記載の製造方法。
[6]工程(1)において、さらに、工程(2)で得られる濾液の少なくとも一部及び工程(3)の洗浄により得られる洗浄液の少なくとも一部の少なくとも一方を混合する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]ゼオライトがペンタシル型ゼオライトである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法によりゼオライト成形体を製造し、このゼオライト成形体の存在下に、シクロヘキサノンオキシムを気相にてベックマン転位反応させることを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた機械的強度を有するゼオライト成形体を製造することができ、かかる製法により得られたゼオライト成形体を触媒として、シクロヘキサノンオキシムを気相にてベックマン転位反応させることにより、シクロヘキサノンオキシムを良好な転化率で反応させることができ、ε−カプロラクタムを良好な選択率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明が製造の対象とするゼオライト成形体におけるゼオライトは、その骨格を構成する元素としてケイ素及び酸素を含むものであり、実質的にケイ素と酸素から骨格が構成される結晶性シリカであってもよいし、骨格を構成する元素としてさらに他の元素を含む結晶性メタロシリケート等であってもよい。メタロシリケート等の場合、ケイ素及び酸素以外に存在しうる元素としては、例えば、Be、B、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Sb、La、Hf、Bi等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が含まれていてもよい。また、これら元素に対するケイ素の原子比は、好ましくは5以上であり、さらに好ましくは500以上である。
【0009】
前記ゼオライトとしては、種々の構造のものが知られているが、中でもペンタシル型構造を有するものが好ましく、特にMFI構造を有するものが好ましい。MFI構造を有するゼオライトの中でも、シリカライト−1が好ましい。高シリケート性のMFI−ゼオライトであるシリカライト−1はオルトケイ酸テトラアルキル、水及び水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウムの混合液を自己圧下に水熱合成することにより合成することができる。
【0010】
本発明においては、工程(1)として、ケイ素化合物、水及び第四級アンモニウム水酸化物を含む混合物を水熱合成反応に付す。
【0011】
工程(1)で使用されるケイ素化合物としては、例えば、コロイダルシリカ、シリカゲル、フュームドシリカ等の非晶質シリカ;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸アルカリ;オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル等のオルトケイ酸テトラアルキルが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、オルトケイ酸テトラアルキルが好ましく、オルトケイ酸テトラエチルがより好ましい。
【0012】
本発明において、第四級アンモニウム水酸化物は、構造規定剤として用いられる。構造規定剤(テンプレート)とは、ゼオライト構造の形成に利用される有機化合物を意味する。前記構造規定剤は、その周囲にポリケイ酸イオンやポリメタロケイ酸イオンを組織することによりゼオライト構造の前駆体を形成することができる(ゼオライトの科学と工学、講談社サイエンティフィク、2000年、p.33−34参照)。工程(1)で使用される第四級アンモニウム水酸化物としては、例えば、次の式(I)、
【0013】
OH (I)
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。)
で示される化合物が挙げられる。
【0014】
式(I)で示される第四級アンモニウム水酸化物としては、水酸化テトラアルキルアンモニウムが好ましく、水酸化テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化n−プロピルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリエチルメチルアンモニウム、水酸化トリ−n−プロピルメチルアンモニウム、水酸化トリ−n−ブチルメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0015】
工程(1)における混合物中のケイ素に対する水のモル比は、5〜100が好ましく、より好ましくは10〜60である。
【0016】
工程(1)における混合物中のケイ素に対する第四級アンモニウムイオンのモル比は、0.1〜0.6が好ましく、より好ましくは0.2〜0.5である。
【0017】
工程(1)における混合物中のケイ素に対する水酸化物イオンのモル比は、通常0.1〜0.6、好ましくは0.2〜0.5に調整される。該混合物中のケイ素に対する水酸化物イオンのモル比が小さいほど得られるゼオライトの1次粒子径は大きくなる傾向にある。従って、該モル比が0.1未満であると、得られるゼオライトの1次粒子径が大きくなりすぎることがあり、その外表面積が減少するため、触媒活性が十分でないことがある。また、該モル比が0.6を越えると、得られるゼオライトの粒径が小さくなりすぎることがあり、濾過性等の取り扱い性が良好でないことがある。該混合物中のケイ素に対する水酸化物イオンのモル比は、例えば、ケイ素化合物や第四級アンモニウム水酸化物の使用量を調節することにより、適宜調整することができる。
【0018】
工程(1)における混合物中のケイ素に対するカリウムのモル比は、0〜0.1に調整するのが好ましく、0.04〜0.1に調整するのがより好ましい。該混合物中のケイ素に対するカリウムのモル比は、例えば、ケイ素化合物の使用量を調節することや、各原料、特に第四級アンモニウム水酸化物に不純物として含まれうるカリウム化合物の含有量を管理することにより、適宜調整することができる。
【0019】
前記混合物を調製する際には、必要に応じて、ケイ素化合物、水及び第四級アンモニウム水酸化物の他に、これら以外の成分を原料として用いてもよい。例えば、混合物中の水酸化物イオン濃度を調整するために、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような塩基性化合物を混合してもよい。また、例えば、第四級アンモニウム水酸化物として水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用する場合には、混合物中のテトラアルキルアンモニウムイオン濃度を調整するために、臭化テトラアルキルアンモニウムのようなテトラアルキルアンモニウム塩を混合してもよい。さらに、例えば、混合物中のカリウムイオン濃度を調整するために、水酸化カリウムのようなカリウム化合物を混合してもよい。上述のケイ素及び酸素以外の元素を含むゼオライトを調製する場合には、ケイ素及び酸素以外の元素を含む化合物を混合してもよい。先に例示したケイ素及び酸素以外の元素について、該元素を含む化合物を混合する場合には、前記混合物中、これら元素に対するケイ素のモル比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは500以上に調整される。
【0020】
工程(1)における混合物に含まれるケイ素の含有量については、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により求めることができる。第四級アンモニウム水酸化物として水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用する場合における、前記混合物中に含まれるテトラアルキルアンモニウムイオンの含有量については、例えば、イオンクロマトグラフィーにより求めることができる。また、前記混合物中の水酸化物イオンの含有量は、酸(例えば0.2N塩酸)による中和滴定により求められる塩基性イオンの合計含有量から、第四級アンモニウム水酸化物中に不純物として含まれ得る水酸化物イオン以外の塩基性イオンの含有量を差し引くことにより、求めることができる。
【0021】
工程(1)において、前記混合物は、水熱合成反応に付される。水熱合成における温度は、80〜160℃が好ましく、100〜140℃がより好ましい。また、水熱合成時間は、1〜200時間が好ましく、12〜72時間がより好ましい。水熱合成における圧力は、絶対圧で、0.10〜1.0MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.11〜0.50MPaの範囲である。水熱合成の方法は、特に限定されないが、例えば、前記混合物をオートクレーブ等の反応容器に封入し、密閉状態で前記温度条件下、攪拌することにより行われる。
【0022】
本発明においては、工程(2)として、工程(1)で得られた結晶を含む反応混合物を濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離する。濾過の方法としては、精密濾過膜(MF膜)又は限外濾過膜(UF膜)を使用した膜分離法が好ましい。MF膜又はUF膜の材質及び孔径は、適宜設定される。濾過の方式としては、クロスフロー方式であってもよく、全量濾過方式であってもよいが、簡便に効率良く洗浄が行える点で、クロスフロー方式が好ましい。また、外圧濾過方式であってもよく、内圧濾過方式であってもよい。濾過は、加圧濾過若しくは吸引濾過のいずれでもよいが、加圧濾過が好ましい。濾過における圧力は適宜設定され、濾液量を一定に保って濾過を行う定流量濾過若しくは膜差圧を一定に保って濾過を行う定圧濾過のいずれでもよい。濾過における温度は、室温〜水熱合成反応時の温度の範囲が好ましい。また、濾過時間は、0.1〜30時間が好ましい。濾過における圧力は、絶対圧で、0.01〜1MPaの範囲が好ましい。
【0023】
工程(1)で得られた反応混合物に含まれる結晶の含有割合は、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く結晶の質量として、1〜50質量%であるのが好ましい。工程(2)で得られる濃縮物に含まれる結晶の含有割合は、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く結晶の質量として、5〜80質量%であるのが好ましい。
【0024】
工程(2)で得られる濾液には、通常、有効成分となるケイ酸やオリゴマー、未反応の第四級アンモニウム水酸化物等が含まれることから、工程(1)において、該濾液の少なくとも一部を原料として混合し、リサイクル使用することにより有効利用が可能となり、廃棄物の少ない環境に優しい製造プロセスを構築することができる。該濾液中にエタノール等のアルコールが含まれる場合、例えば、ケイ素化合物としてオルトケイ酸テトラエチル等のオルトケイ酸テトラアルキルを用い、混合、水熱合成によりエタノール等のアルコールが生成した場合は、該濾液をリサイクル使用する前に、アルコールの一部または全部を蒸留等の操作により除去することが好ましい。該濾液をリサイクル使用するにあたっては、保存中等に、該溶液に二酸化炭素が溶け込まないように管理するのが好ましい。具体的には、窒素ガスや、二酸化炭素を除去した空気でシールして、該濾液を保存するのが好ましい。
【0025】
本発明においては、工程(3)として、工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで水で洗浄する。洗浄は、洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが、8.8〜9.2になるまで行うのが好ましい。工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物は、通常、該濃縮物に含まれる水酸化物イオンに起因して、高アルカリ域になっているが、前記洗浄を、洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが前記範囲となるように行うことにより、最終的に得られるゼオライト成形体の機械的強度を効果的に向上させることができる。前記洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが8.5未満となるまで洗浄を行うと、洗浄過多となり、前記pHが9.5を超えるところで洗浄を止めると、洗浄不足となり、それぞれ最終的に得られるゼオライト成形体の機械的強度が低下する傾向にある。前記洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで水で洗浄するには、例えば、洗浄水量を調整することにより、前記pHを前記範囲に調整することができる。
【0026】
前記洗浄の方法としては、例えば、(A)前記濃縮物に水を添加してクロスフロー方式により水で洗浄濾過する方法、(B)前記濃縮物に水を添加して全量濾過方式により水で洗浄濾過する方法、(C)前記濃縮物と水とを混合して撹拌し、デカンテーションにより上澄み液を分離する方法、等が挙げられる。前記(A)の方法においては、洗浄濾過により得られる洗浄濾液において、25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで洗浄濾過を行う。前記(A)の方法においては、前記濃縮物への水の添加とクロスフロー方式による洗浄濾過を連続的に行う洗浄方法であってもよいし、前記濃縮物に水を添加し、クロスフロー方式により洗浄濾過した後、新たな水を添加し、洗浄濾過するという、水の供給・洗浄濾過を繰り返す洗浄方法であってもよい。前記(A)の方法において、前記濃縮物への水の添加とクロスフロー方式による洗浄濾過を連続的に行う場合、洗浄濾液のpHは、連続的に検出してもよいし、洗浄濾過中に洗浄濾液を一部抜き出して測定してもよい。洗浄濾液のpHの連続的な検出は、例えば、pHセンサー等を用いて、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中で行うのが好ましい。洗浄中に洗浄濾液を一部抜き出してpHを測定する場合は、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中の洗浄濾液を一部抜き出すのが好ましい。前記(A)の方法において、水の供給・洗浄濾過を繰り返す場合、洗浄濾液のpHは、連続的に検出してもよいし、洗浄濾過中に洗浄濾液を一部抜き出して測定してもよいし、1回の水の供給・洗浄濾過ごとに洗浄濾液を貯槽等に回収し、回収した洗浄濾液のpHを測定してもよい。洗浄濾液のpHの連続的な検出は、例えば、pHセンサー等を用いて、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中で行うのが好ましい。洗浄濾過中に洗浄濾液を一部抜き出してpHを測定する場合は、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中の洗浄濾液を一部抜き出すのが好ましい。
【0027】
前記(B)の方法においては、洗浄濾過により得られる洗浄濾液において、25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで洗浄濾過を行う。前記(B)の方法においては、前記濃縮物への水の添加と全量濾過方式による洗浄濾過を連続的に行う洗浄方法であってもよいし、前記濃縮物に水を添加し、全量濾過方式により洗浄濾過した後、新たな水を添加し、洗浄濾過するという、水の供給・洗浄濾過を繰り返す洗浄方法であってもよい。前記(B)の方法において、前記濃縮物への水の添加と全量濾過方式による洗浄濾過を連続的に行う場合、洗浄濾液のpHは、連続的に検出してもよいし、洗浄濾過中に洗浄濾液を一部抜き出して測定してもよい。洗浄濾液のpHの連続的な検出は、例えば、pHセンサー等を用いて、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中で行うのが好ましい。洗浄中に洗浄濾液を一部抜き出してpHを測定する場合は、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中の洗浄濾液を一部抜き出すのが好ましい。前記(B)の方法において、水の供給・洗浄濾過を繰り返す場合、洗浄濾液のpHは、連続的に検出してもよいし、洗浄濾過中に洗浄濾液を一部抜き出して測定してもよいし、1回の水の供給・洗浄濾過ごとに洗浄濾液を貯槽等に回収し、回収した洗浄濾液のpHを測定してもよい。洗浄濾液のpHの連続的な検出は、例えば、pHセンサー等を用いて、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中で行うのが好ましい。洗浄濾過中に洗浄濾液を一部抜き出してpHを測定する場合は、濾過装置から洗浄濾液を抜き出した後の洗浄濾液が流れる配管中の洗浄濾液を一部抜き出すのが好ましい。
【0028】
前記(C)の方法においては、上澄み液において、25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで洗浄濾過を行う。前記(C)の方法においては、通常、前記濃縮物と水とを混合して撹拌し、デカンテーションにより上澄み液を分離した後、沈殿物と新たな水とを混合して撹拌し、デカンテーションにより上澄み液を分離するという、水の供給・デカンテーションを繰り返す洗浄方法が採用される。前記(C)の方法においては、デカンテーションにより得られる上澄み液において、25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで洗浄を行う。
【0029】
前記(A)〜(C)の方法の中でも、簡便に効率よく洗浄が行える点で、前記(A)の方法が好ましい。すなわち、工程(3)は、工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄濾液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで、クロスフロー方式により水で洗浄濾過する工程(3’)から構成され、工程(3’)で得られた洗浄後の結晶を後述する工程(4)に付すのが好ましい。
【0030】
工程(3)において、洗浄における温度は、室温〜水熱合成反応時の温度の範囲が好ましい。また、洗浄時間は、0.1〜30時間が好ましい。洗浄における圧力は、絶対圧で、0.01〜1MPaの範囲が好ましい。
【0031】
工程(3)において、洗浄濾過を行う場合、洗浄濾過の方法としては、MF膜又はUF膜を使用した膜分離法が好ましい。MF膜又はUF膜の材質及び孔径は、適宜設定される。洗浄濾過の方式としては、外圧濾過方式であってもよく、内圧濾過方式であってもよい。洗浄濾過は、加圧濾過若しくは吸引濾過のいずれでもよいが、加圧濾過が好ましい。洗浄濾過における圧力は適宜設定され、濾液量を一定に保って濾過を行う定流量濾過若しくは膜差圧を一定に保って濾過を行う定圧濾過のいずれでもよい。
【0032】
工程(3)で得られる洗浄後の結晶は、スラリーとして回収してもよいし、必要に応じて乾燥することにより、乾燥体として回収してもよいが、スラリーとして回収するのが好ましい。スラリーとして回収する場合、該スラリー中に含まれる結晶の含有割合は、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く結晶の質量として、10〜70質量%であるのが好ましく、30〜60質量%であるのがより好ましい。該スラリー中に含まれる結晶の含有割合は、例えば、洗浄時に添加する水の量や、洗浄液の抜き出し量を調整することにより、調整可能である。また、必要に応じて蒸留、遠心分離等の濃縮処理を施したり、水を添加することにより、該スラリー中に含まれる結晶の含有割合が前記範囲内となるように調整してもよい。
【0033】
工程(3)で得られる洗浄液、特に、洗浄初期の洗浄液には、有効成分となるケイ酸やオリゴマー、未反応の第四級アンモニウム水酸化物等が含まれ得ることから、工程(1)において、工程(3)で得られる洗浄液の少なくとも一部を原料として混合し、リサイクル使用することにより有効利用が可能となり、廃棄物の少ない環境に優しい製造プロセスを構築することができる。該洗浄液中にエタノール等のアルコールが含まれる場合、例えば、ケイ素化合物としてオルトケイ酸テトラエチル等のオルトケイ酸テトラアルキルを用い、混合、水熱合成によりエタノール等のアルコールが生成した場合は、該洗浄液をリサイクル使用する前に、アルコールの一部または全部を蒸留等の操作により除去することが好ましい。該洗浄液をリサイクル使用するにあたっては、保存中等に、該溶液に二酸化炭素が溶け込まないように管理するのが好ましい。具体的には、窒素ガスや、二酸化炭素を除去した空気でシールして、該洗浄液を保存するのが好ましい。
【0034】
本発明においては、工程(4)として、工程(3)で得られた洗浄後の結晶を成形する。成形は、例えば、押出、圧縮、打錠、流動、転動、噴霧等の方法により行うことができる。このような成形方法により所望の形状、例えば球状、円柱状、板状、リング状、クローバー状等に成形することができる。ゼオライトの成形体は、その用途に合わせて形状が選択され、その形状に合わせて成形方法が選択されうる。例えば、固定床反応の触媒として使用する場合は、押出、打錠等の方法を採用することにより、円柱状や円筒状の如きペレット状の成形体が製造され、また、流動床反応や移動床反応の触媒として使用する場合は、球状の如き微粒子状の成形体が、スラリーの噴霧乾燥により製造される。本発明のゼオライト成形体の製造方法は、特に、工程(3)で得られた洗浄後の結晶を含むスラリーを噴霧乾燥することにより成形を行う場合に有利に採用される。また、このゼオライト成形体は、実質的にゼオライトのみからなるものであってもよいし、ゼオライトと他の成分からなるものであってもよく、例えば、実質的にゼオライトのみを成形したものであってもよいし、ゼオライトをバインダーや補強材等と混合して成形したものであってもよいし、ゼオライトを担体に担持したものであってもよいが、実質的にゼオライトのみを成形する場合に、本発明のゼオライト成形体の製造方法は有利に採用される。また、該ゼオライト成形体の粒径は、通常5mm以下であり、好ましくは3mm以下である。成形に付すゼオライトとしては、その1次粒子径は5μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのがより好ましい。
【0035】
本発明においては、工程(5)として、工程(4)で得られた成形体を焼成する。この焼成は、通常、酸素含有ガス雰囲気下、例えば、空気雰囲気下や空気と窒素との混合ガス雰囲気下に、400〜600℃の温度で好適に行われる。また、この酸素含有ガス雰囲気下の焼成の前ないし後に、窒素等の不活性ガス雰囲気下での焼成を行ってもよい。
【0036】
本発明においては、工程(5)で得られた焼成品に対して、必要に応じて他の処理を施してもよい。他の処理としては、水蒸気に接触させる処理が好ましい。すなわち、本発明において、工程(6)として、工程(5)で得られた焼成品を水蒸気と接触させる工程を含むことが好ましい。前記焼成品を水蒸気に接触させることにより、最終的に得られるゼオライト成形体の機械的強度をより効果的に向上させることができる。
【0037】
前記焼成品を水蒸気に接触させる処理を行う場合、接触温度は、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。接触時間は、通常5分〜72時間である。該処理は、必要に応じて繰り返し行ってもよい。該処理の方法としては、例えば、前記焼成品を充填したカラムに水蒸気を流通させる方法、水蒸気雰囲気下に前記焼成品を保持する方法等が挙げられる。該水蒸気と共に、アンモニアやメチルアミン等の塩基性ガス、酸素含有ガス又は不活性ガスを共存させてもよい。塩基性ガスを共存させる場合、該塩基性ガスは、水蒸気1モルに対し、通常0.01〜1モル、好ましくは0.1〜0.5モル用いられる。該処理後の焼成品は、塩酸等の酸あるいは水で洗浄してもよく、酸で洗浄した場合は、さらに水で洗浄してもよい。水蒸気と接触させた後の焼成品は、必要に応じてさらに焼成することもできる。
【0038】
こうして得られるゼオライト成形体は、機械的強度の高いものとなり、有機合成反応用触媒をはじめ各種用途に用いることができるが、中でも、シクロヘキサノンオキシムを気相にてベックマン転位反応させることによりε−カプロラクタムを製造する際の触媒として、好適に用いることができる。
【0039】
本発明においては、有機合成反応用触媒としての触媒性能を向上させる点で、工程(5)で得られた焼成品又は工程(6)で得られた水蒸気と接触させた後の焼成品に対して、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液で接触処理を施すことが好ましく、最終的に得られるゼオライト成形体の機械的強度が良好なものとなる点で、工程(6)で得られた水蒸気と接触させた後の焼成品に対して該接触処理を施すことがより好ましい。すなわち、本発明において、工程(5)で得られた焼成品を前記水溶液で接触する場合、工程(6’)として、工程(5)で得られた焼成品をアンモニア及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液で接触処理する工程を含むことが好ましく、工程(6)で得られた水蒸気と接触させた後の焼成品を前記水溶液で接触する場合、工程(7)として、工程(6)で得られた水蒸気と接触させた後の焼成品を、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液で接触処理する工程を含むことが好ましい。
【0040】
該水溶液には、少なくともアンモニアが含まれるのが好ましく、該水溶液中のアンモニアの濃度は、2〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。前記接触処理に用いられるアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム等が挙げられ、中でも、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムが好ましい。上記水溶液にアンモニウム塩を含有させる場合、その含有量は、アンモニア1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.1モルである。
【0041】
前記水溶液には、アンモニア及びアンモニウム塩以外に、他の成分が含まれてもよく、他の成分としては、例えば、第四級アンモニウム化合物、低級アルキルアミン等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上が含まれてもよい。前記水溶液に第四級アンモニウム化合物及び低級アルキルアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種が含まれる場合、第四級アンモニウム化合物及び低級アルキルアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種の含有量は、アンモニア1モルに対して、通常0.00001〜0.1モル、好ましくは0.0001〜0.05モルである。第四級アンモニウム化合物及び低級アルキルアミンが含まれる場合は、その合計含有量が前記範囲となればよい。前記水溶液は、そのpHが通常9以上、好ましくは9〜13となるように、該水溶液中のアンモニア、アンモニウム塩及び必要に応じて含まれる他の成分の含有量を調整するのがよい。
【0042】
前記水溶液に第四級アンモニウム化合物が含まれる場合、この第四級アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、n−プロピルトリメチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリ−n−プロピルメチルアンモニウム、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウムのような各種第四級アンモニウムの水酸化物やハロゲン化物等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、テトラ−n−プロピルアンモニウム化合物が好ましく、さらに好ましくは水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウムや臭化テトラ−n−プロピルアンモニウムである。
【0043】
前記水溶液に低級アルキルアミンが含まれる場合、この低級アルキルアミンは、モノアルキルアミンであってもよいし、ジアルキルアミンであってもよいし、トリアルキルアミンであってもよく、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。通常、次の式(II)、
【0044】
N (II)
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルケニル基を表し、R、R及びRが同時に水素原子であることはない。)
で示される化合物が好適に用いられる。
【0045】
上記式(II)で示される低級アルキルアミンの具体例としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンのようなアルキルアミンや、モノアリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンのようなアリルアミン等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、トリプロピルアミンが好ましい。
【0046】
前記水溶液による接触処理は、回分式で行ってもよいし、連続式で行ってもよく、例えば、撹拌槽中で前記焼成品を前記水溶液に浸漬して撹拌してもよいし、前記焼成品を充填した管状容器に前記水溶液を流通させてもよい。
【0047】
前記水溶液による接触処理の温度は、通常50〜250℃、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは60〜150℃であり、接触処理の時間は通常0.1〜10時間である。また、前記水溶液の使用量は、前記焼成品100重量部に対して通常100〜5000重量部である。
【0048】
前記水溶液による接触処理後のゼオライト成形体は、必要に応じて水洗、乾燥等の処理に付される。なお、前記水溶液による接触処理は、必要に応じて複数回行ってもよい。
【0049】
前記水溶液による接触処理後のゼオライト成形体に対し、必要に応じて熱処理を行う。該熱処理の温度は、500〜700℃が好ましく、熱処理の時間は0.1〜100時間が好ましい。
【0050】
前記熱処理は、酸素含有ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。酸素含有ガスや不活性ガスには、水蒸気が含まれていてもよい。また、該熱処理は、酸素含有ガス又は不活性ガスの雰囲気下、多段階で行ってもよい。前記熱処理は、流動層式で行ってもよいし、固定床式で行ってもよい。
【0051】
本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、前記した本発明の製造方法により製造されたゼオライト成形体を触媒として用い、該成形体の存在下に、シクロヘキサノンオキシムを気相にてベックマン転位反応させるものである。ベックマン転位の反応条件は、反応温度が通常250〜500℃、好ましくは300〜450℃であり、反応圧力が通常0.005〜0.5MPa、好ましくは0.005〜0.2MPaである。この反応は、固定床形式で行ってもよいし、流動床形式で行ってもよく、原料のシクロヘキサノンオキシムの供給速度は、触媒1kgあたりの供給速度(kg/h)、すなわち空間速度WHSV(h−1)として、通常0.1〜20h−1、好ましくは0.2〜10h−1である。
【0052】
シクロヘキサノンオキシムは、例えば、単独で反応系内に導入してもよいし、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスと共に導入してもよい。また、特開平2−250866号公報に記載の如きエーテルを共存させる方法、特開平2−275850号公報に記載の如き低級アルコールを共存させる方法、特開平5−201965号公報に記載の如きアルコール及び/又はエーテルと水を共存させる方法、特開平5−201966号公報に記載の如きアンモニアを共存させる方法、特開平6−107627号公報に記載の如きメチルアミンを共存させる方法等も有効である。
【0053】
尚、シクロヘキサノンオキシムは、例えば、シクロヘキサノンをヒドロキシルアミン乃至その塩でオキシム化することにより調製されたものであってもよいし、シクロヘキサノンをチタノシリケート等の触媒の存在下にアンモニアと過酸化水素でアンモオキシム化することにより調製されたものであってもよい。
【0054】
また前記ベックマン転位反応は、触媒を空気等の酸素含有ガス雰囲気下に焼成する操作と組み合わせて実施してもよく、この触媒焼成処理により、触媒上に析出した炭素質物質を燃焼除去することができ、シクロヘキサノンオキシムの転化率やε−カプロラクタムの選択率の持続性を高めることができる。例えば、反応を固定床式で行う場合には、固体触媒を充填した固定床式反応器に、シクロヘキサノンオキシムを必要に応じて他の成分と共に供給して反応を行った後、シクロヘキサノンオキシムの供給を止め、次いで、酸素含有ガスを供給して焼成を行い、さらに、これら反応及び焼成を繰り返す処方が、好適に採用される。また、反応を流動床式で行う場合には、固体触媒が流動した流動床式反応器に、シクロヘキサノンオキシムを必要に応じて他の成分と共に供給して反応を行いながら、該反応器から固体触媒を連続的又は断続的に抜き出し、焼成器で焼成してから再び反応器に戻す処方が、好適に採用される。
【0055】
なお、前記ベックマン転位反応により得られた反応混合物の後処理操作としては、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、反応生成ガスを冷却して凝縮させた後、抽出、蒸留、晶析等の操作を行うことにより、ε−カプロラクタムを分離することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、シクロヘキサノンオキシムの空間速度WHSV(h−1)は、シクロヘキサノンオキシムの供給速度(kg/h)を触媒重量(kg)で除することにより算出した。また、シクロヘキサノンオキシム及びε−カプロラクタムの分析はガスクロマトグラフィーにより行い、シクロヘキサノンオキシムの転化率及びε−カプロラクタムの選択率は、供給したシクロヘキサノンオキシムのモル数をX、未反応のシクロヘキサノンオキシムのモル数をY、生成したε−カプロラクタムのモル数をZとして、それぞれ以下の式により算出した。以下の各例において得られたゼオライト成形体の粉化率の測定は、以下の方法により行った。
【0057】
・シクロヘキサノンオキシムの転化率(%)=[(X−Y)/X]×100
・ε−カプロラクタムの選択率(%)=[Z/(X−Y)]×100
【0058】
〔粉化率測定〕
ゼオライト成形体50gを、ステンレス製のカラム(127mmφ、長さ559mm)内で、下部から空気(7リットル/h)を20時間供給して流動させ、その間の成形体の粉化率を測定した。粉化率は、初期充填ゼオライト成形体重量(g)をx、空気供給開始後5時間までにカラム上部より出た粉化微粒子の重量(g)をy、空気供給開始後5時間から20時間までにカラム上部より出た粉化微粒子の重量(g)をzとして、以下の式により算出した。尚、粉化率は成形体の耐磨耗性に相当し、この数値が小さいほど耐摩耗性が高く、機械的強度に優れることを示す。
【0059】
・粉化率(%)=[z/(x−y)]×100
【0060】
実施例1
(ゼオライト成形体の製造)
[水熱合成及び洗浄]
容量30Lのステンレス製オートクレーブに、オルトケイ酸テトラエチル[Si(OC]5208g、40重量%水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム水溶液3246g、水酸化カリウム(純度85%)50.7g及び水14288gを入れ、室温にて120分間激しく攪拌した。得られた混合液中のケイ素に対する、水、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、水酸化物イオン及びカリウムイオンのモル比は、それぞれ36、0.248、0.278及び0.048であった。この混合液を、105℃にて48時間、300rpmの回転数で攪拌し、水熱合成反応を行った。得られた反応混合物をクロスフロー方式により濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離した。得られた結晶を含む濃縮物をクロスフロー方式により水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが9.03(25℃)になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、結晶を含むスラリー〔結晶(但し、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く)の含有量:54質量%〕2508gを回収した。
【0061】
[成形及び焼成]
上記で得られた結晶を含むスラリーをアトマイザー式スプレードライヤーで噴霧乾燥し、微粒子状に成形した。スプレードライヤーの平均入口温度、平均出口温度は、それぞれ210℃、90℃であった。得られた白色微粒子を、ロータリーキルンを用い、530℃にて1時間窒素流通下に焼成し、次いでさらに530℃にて1時間窒素と空気の混合ガス〔窒素:空気(体積比)=4:1〕流通下に焼成することにより白色の焼成物を得た。得られた焼成物の平均粒径は59μmであった。
【0062】
[水溶液による接触処理]
次いで、上記で得られた焼成物10gをシャーレに入れ、水100gを入れた1リットルのオートクレーブ中に吊るし、蓋を閉めた後、オートクレーブを80℃の恒温槽に入れ、3時間放置した。オートクレーブを取り出した後、20℃まで放冷した。この固体10gをオートクレーブに入れ、この中に、7.5質量%硝酸アンモニウム水溶液110gと25質量%アンモニア水溶液168gとの混合液278gを加え、90℃にて1時間攪拌した後、濾過により固体を分離した。この固体に対し、前記と同様の硝酸アンモニウム水溶液とアンモニア水溶液との混合液による処理をさらに2回繰り返した後、水洗、乾燥を行い、ゼオライト成形体(A)を得た。得られたゼオライト成形体(A)の粉化率は、3.1%であった。
【0063】
(ε−カプロラクタムの製造)
得られたゼオライト成形体(A)0.375gを、内径1cmの石英ガラス製反応管中に充填して触媒層を形成させ、窒素4.2L/hの流通下、350℃にて1時間予熱処理した。次いで、窒素4.2L/hの流通下、触媒層の温度を325℃に下げた後、気化させたシクロヘキサノンオキシム/メタノール=1/1.8(重量比)の混合物を8.4g/h(シクロヘキサノンオキシムのWHSV=8h−1)の供給速度で反応管に供給し、反応を行った。反応開始から5.5時間後〜5.75時間後の反応ガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。シクロヘキサノンオキシムの転化率は99.8%であり、ε−カプロラクタムの選択率は96.8%であった。
【0064】
実施例2
(ゼオライト成形体の製造)
[水熱合成及び洗浄]
容量30Lのステンレス製オートクレーブに、オルトケイ酸テトラエチル[Si(OC]5208g、40重量%水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム水溶液2618g、水酸化カリウム(純度85%)56.2g及び水14661gを入れ、室温にて120分間激しく攪拌した。得られた混合液中のケイ素に対する、水、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、水酸化物イオン及びカリウムイオンのモル比は、それぞれ36、0.200、0.234及び0.048であった。この混合液を、105℃にて48時間、300rpmの回転数で攪拌し、水熱合成反応を行った。得られた反応混合物をクロスフロー方式により濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離した。得られた結晶を含む濃縮物をクロスフロー方式により水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが9.01(25℃)になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、結晶を含むスラリー〔結晶(但し、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く)の含有量:57質量%〕2224gを回収した。
【0065】
[成形及び焼成]
上記で得られた結晶を含むスラリーについて、実施例1[成形及び焼成]と同様の操作を行い、白色の焼成物を得た。得られた焼成物の平均粒径は64μmであった。
【0066】
[水溶液による接触処理]
上記で得られた焼成物について、実施例1[水溶液による接触処理]と同様の操作を行い、ゼオライト成形体(B)を得た。得られたゼオライト成形体(B)の粉化率は、2.7%であった。
【0067】
(ε−カプロラクタムの製造)
ゼオライト成形体(A)に代えて、ゼオライト成形体(B)を使用した以外は、実施例1(ε−カプロラクタムの製造)と同様の操作を行った。シクロヘキサノンオキシムの転化率は99.3%であり、ε−カプロラクタムの選択率は96.8%であった。
【0068】
比較例1
(ゼオライト成形体の製造)
[水熱合成及び洗浄]
容量30Lのステンレス製オートクレーブに、オルトケイ酸テトラエチル[Si(OC]5208g、40重量%水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム水溶液3246g、水酸化カリウム(純度85%)50.7g及び水14288gを入れ、室温にて120分間激しく攪拌した。得られた混合液中のケイ素に対する、水、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、水酸化物イオン及びカリウムイオンのモル比は、それぞれ36、0.248、0.278及び0.048であった。この混合液を、105℃にて48時間、300rpmの回転数で攪拌し、水熱合成反応を行った。得られた反応混合物をクロスフロー方式により濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離した。得られた結晶を含む濃縮物をクロスフロー方式により水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが7.98(25℃)になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、結晶を含むスラリー〔結晶(但し、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く)の含有量:52質量%〕2213gを回収した。
【0069】
[成形及び焼成]
上記で得られた結晶を含むスラリーについて、実施例1[成形及び焼成]と同様の操作を行い、白色の焼成物を得た。得られた焼成物の平均粒径は54μmであった。
【0070】
[水溶液による接触処理]
上記で得られた焼成物について、実施例1[水溶液による接触処理]と同様の操作を行い、ゼオライト成形体(C)を得た。得られたゼオライト成形体(C)の粉化率は、7.4%であった。
【0071】
(ε−カプロラクタムの製造)
ゼオライト成形体(A)に代えて、ゼオライト成形体(C)を使用した以外は、実施例1(ε−カプロラクタムの製造)と同様の操作を行った。シクロヘキサノンオキシムの転化率は99.9%であり、ε−カプロラクタムの選択率は96.7%であった。
【0072】
比較例2
(ゼオライト成形体の製造)
[水熱合成及び洗浄]
容量30Lのステンレス製オートクレーブに、オルトケイ酸テトラエチル[Si(OC]5208g、40重量%水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム水溶液2618g、水酸化カリウム(純度85%)56.2g及び水14661gを入れ、室温にて120分間激しく攪拌した。得られた混合液中のケイ素に対する、水、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、水酸化物イオン及びカリウムイオンのモル比は、それぞれ36、0.200、0.234及び0.048であった。この混合液を、105℃にて48時間、300rpmの回転数で攪拌し、水熱合成反応を行った。得られた反応混合物をクロスフロー方式により濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離した。得られた結晶を含む濃縮物をクロスフロー方式により水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが8.10(25℃)になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、結晶を含むスラリー〔結晶(但し、結晶に取り込まれた構造規定剤の部分を除く)の含有量:55質量%〕2245gを回収した。
【0073】
[成形及び焼成]
上記で得られた結晶を含むスラリーについて、実施例1[成形及び焼成]と同様の操作を行い、白色の焼成物を得た。得られた焼成物の平均粒径は64μmであった。
【0074】
[水溶液による接触処理]
上記で得られた焼成物について、実施例1[水溶液による接触処理]と同様の操作を行い、ゼオライト成形体(D)を得た。得られたゼオライト成形体(D)の粉化率は、8.4%であった。
【0075】
(ε−カプロラクタムの製造)
ゼオライト成形体(A)に代えて、ゼオライト成形体(D)を使用した以外は、実施例1(ε−カプロラクタムの製造)と同様の操作を行った。シクロヘキサノンオキシムの転化率は99.6%であり、ε−カプロラクタムの選択率は96.7%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1)〜(5)、
(1):ケイ素化合物、水及び第四級アンモニウム水酸化物を含む混合物を水熱合成反応に付す工程、
(2):工程(1)で得られた結晶を含む反応混合物を濾過し、結晶を含む濃縮物と濾液とに分離する工程、
(3):工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄により得られる洗浄液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで水で洗浄する工程、
(4):工程(3)で得られた洗浄後の結晶を成形する工程、及び
(5):工程(4)で得られた成形体を焼成する工程、
を含むことを特徴とするゼオライト成形体の製造方法。
【請求項2】
工程(3)が、下記工程(3’)、
(3’):工程(2)で得られた結晶を含む濃縮物を、洗浄濾液の25℃におけるpHが8.5〜9.5になるまで、クロスフロー方式により水で洗浄濾過する工程、
であり、工程(3’)で得られた洗浄後の結晶を工程(4)に付す請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(4)における成形を、洗浄後の結晶を含むスラリーを噴霧乾燥することにより行う請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
下記工程(6)、
(6):工程(5)で得られた焼成品を水蒸気と接触させる工程、
をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
下記工程(7)、
(7):工程(6)で得られた水蒸気と接触させた後の焼成品を、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液で接触処理する工程、
をさらに含む請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(1)において、さらに、工程(2)で得られる濾液の少なくとも一部及び工程(3)の洗浄により得られる洗浄液の少なくとも一部の少なくとも一方を混合する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
ゼオライトがペンタシル型ゼオライトである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によりゼオライト成形体を製造し、このゼオライト成形体の存在下に、シクロヘキサノンオキシムを気相にてベックマン転位反応させることを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。

【公開番号】特開2013−112577(P2013−112577A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261481(P2011−261481)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】