説明

ゼニゴケ用除草剤

【課題】 周囲の有用植物に対する影響の少ないヒトと環境に優しいゼニゴケ用除草剤を提供する。
【解決手段】 5〜20重量%尿素および0.25〜1重量%多価アルコール水溶液のゼニゴケ用除草剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭および農家で使用するゼニゴケ用除草剤である。
【背景技術】
【0002】
従来ゼニゴケを防除するためには、ピンセットで摘み取る方法、熱湯をかける方法などのほか、特定農薬の食酢や重曹の水溶液を散布するなどが知られているが、最近はビアラホスやDCMUなどの農薬を散布する方法も行われている。
また、ゼニゴケ用ではないが、尿素などを含む除草剤では下記文献の出願もある。
【特許文献1】特開2003−40714
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から知られているゼニゴケを防除するための方法は、ピンセットで摘み取る方法や熱湯をかける方法が知られているが、ピンセットでは、手間と時間がかかり、胞子の除去までは難しく、また、熱湯は、やけどの危険を伴い取り扱いが難しい。さらに特定農薬の食酢や重曹の水溶液を散布する方法が知られているが、食酢は、散布時の臭いが強く不快感を与え、さらに両者とも、その効果の持続性が短く噴霧回数を頻繁にしなければならない。農薬のビアラホスやDCMUを使用する場合は、皮膚への刺激(ビアラホス)、温室内での使用制限(DCMU)および周囲の有用植物に対する薬害などの危険性がある。さらに農薬を年間に同一場所に使用できる総使用回数の制限(ビアラホスおよびDCMUともに3回以内)や公園、堤とう等で使用する場合は、縄囲いや立て札を立てるなど配慮し、人畜等に被害を及ぼさないよう注意を払わなければならない。また、散布時には農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖などの作業衣の着用等安全性に対する十分な注意が必要とされる。 また、特許文献1の出願は除草効果とモグラ対策を期待するもので、窒素に対してアルミナ、カルシュウム、マグネシュウム、鉄分、珪酸の含有物を混合した除草剤であるが、粒状または粉状で散布するものであり、雑草の発芽時期を狙っての散布を必要とする除草剤である。ゼニゴケを防除するためには粒状または粉状の散布は不均一になり易く、固体である除草剤の吸収は遅いため、除草効果の発現は遅延する。また、使用量が多くなるために防除する雑草だけではなく、他の植物にとっては少なからぬ影響を受ける。
【0004】
本発明は、従来の除草剤が有していたこれらの問題点を解決し、周囲の有用植物に対する悪影響が少なく、また、最近増加しているガラス温室などの施設栽培において、ヒトに対して健康被害の少ない、安心して使用できるゼニゴケ用除草剤を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のゼニゴケ用除草剤は、請求項1では、少なくとも5〜20重量%の尿素および0.25〜1重量%の多価アルコールを含有することを特徴とし、請求項2では、多価アルコールがグリセリンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ゼニゴケに対し少量の散布量で持続性のある除草効果を示す一方、他のゼニゴケ以外の有用植物に対しては悪影響を与えることなくむしろ尿素肥料として作用し、さらにヒトに対しては肌荒れ防止効果もある。
【0007】
鉢物の花きや盆栽においても、ゼニゴケを選択的に防除し、他の草木に悪影響を与えることが少ないゼニゴケ用除草剤である。
【0008】
非常に狭い範囲に繁殖しているゼニゴケを局所的に防除したい場合、空いている片方の手の平で作った防護面でゼニゴケを囲い、その内側にゼニゴケ用除草剤を散布することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための形態を実施例にもとづき以下詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
本発明のゼニゴケ用除草剤の実施例1は、精製水に尿素(日本薬局方または肥料取締法公定規格)濃度10重量%およびグリセリン(日本薬局方)濃度0.5重量%になるように常温で溶解した。
【0011】
このように製造された本発明のゼニゴケ用除草剤は、スプレー容器または噴霧器に入れて、ゼニゴケの表面が濡れる程度に散布した。その散布量は20〜30ml/mであった。1回の散布で1〜3日後には除草効果が現れたが、一週間の経過観察期間を置き、ゼニゴケを防除できなかった部分については、再散布することにより完全に防除できた。また、散布部分を識別し、散布残しを防ぐことができるかを炭酸カルシウムの微粉末を混合して検討した。
【0012】
実施例1では粘着性を高めるためにグリセリンを用いたが、それ以外の多価アルコールのキシリトール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、メチルグルセス、マルチトールおよびマンニトールを添加してもよい。その他プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールも多価アルコールであるが、ヒトへの安全性を考慮し表示指定成分は添加しない。
【0013】
また、20〜30重量%炭酸カルシウムの微粉末を混合することにより散布部分を識別することができた。着色材としては散布部分に隠蔽作用のあるタルク、カオリンおよびマイカの微粉末や、着色と防除後の肥料効果を期待した炭酸カルシウム(珊瑚、貝殻を含む)、シリカおよびその他の天然鉱物の微粉末を添加すれば、環境に対する負荷もなく、散布部位と非散布部位を識別し無駄のない散布を可能にすることもできる。
【実施例2】
【0014】
実施例2では、高濃度の50重量%尿素水溶液のゼニゴケ用除草剤について検討した。ゼニゴケを防除する濃度としては高濃度のため、散布液量を4〜6ml/mと少なく調整する必要があり、均一な散布が難しく、除草効果にばらつきを生じた。また、周囲の有用植物に対する影響も懸念された。このため高濃度の尿素水溶液は希釈して散布し、低濃度(5重量%尿素および0.25重量%多価アルコール)のものは散布液量を2倍に増やす事で除草効果を期待できる。
【0015】
ゼニゴケ用除草剤は、適用場所を限定しない。特に、ガラス温室などの施設栽培での農薬使用は、飛散した農薬により身体露出部分に対する刺激や呼吸器系疾患が危惧されるが、ゼニゴケ用除草剤を実施例1で散布する限りにおいては、ヒトに対する悪影響は少ない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液タイプの除草剤において、少なくとも5〜20重量%の尿素および0.25〜1重量%の多価アルコールを含有することを特徴とするゼニゴケ用除草剤。
【請求項2】
請求項1記載の多価アルコールがグリセリンである請求項1のゼニゴケ用除草剤。

【公開番号】特開2009−51801(P2009−51801A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248063(P2007−248063)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【特許番号】特許第4140653号(P4140653)
【特許公報発行日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(507319506)関東粉化工業有限会社 (1)
【Fターム(参考)】