説明

ゼリー状クリームソーダ飲料および冷凍クリームソーダ飲料

【課題】脂肪分特に生クリームを用いたゼリー状のクリームソーダ飲料を提供する。
【解決手段】単糖類を主成分とする糖質を含有し、可溶性固形分であるBrix度が10%以上であり、且つ、ゲル化剤A(重量%)および脂肪分B(重量%)の配合量が、以下の(イ)、(ロ)および(ハ)の関係式で示される条件を満足するゼリー状クリームソーダ飲料とする。(イ)A=0.15〜0.35(ロ)B=0.05〜0.6(ハ)B/A=0.142〜2.5

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゼリー状で炭酸ガスを含有するクリームソーダ飲料および冷凍状態でも炭酸ガスの刺激味を保持した冷凍クリームソーダ飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炭酸ガスとミルク成分が含有されている飲料をクリームソーダと呼称している。従来のクリームソーダは、酸味料によって生じる微弱な酸でミルク成分中のタンパク質であるカゼインを可溶化させることでクリームに類似した味を有する飲料とし、その後炭酸ガスを吸収させたものである。
【0003】
炭酸ガスが水に溶けると酸性を呈し、クリームの主成分である乳脂肪等の脂肪分は酸によって容易に固化してしまう。このため、炭酸飲料に乳脂肪を添加することができず、従来のクリームソーダは、脱脂粉乳等の無脂乳固形分を添加することでミルク味を持たせていた。
【0004】
一方、液体組成物である飲料にゲル化剤を添加してゼリー飲料を製造することが従来より行われているが、上のクリームソーダにゲル化剤を添加するとカゼインが分離してしまい、ゼリー状のクリームソーダを製造することができない。ゲル化剤によりカゼインが分離してしまう理由は、ゲル化剤はほとんど電荷を帯びているために、この電荷がミルク中のカゼインと反応し凝集沈殿を起こしてしまうからである。また、電荷を帯びていなくても、ゼリー飲料という組成物の特殊な粘弾性により、カゼインの凝集が起こり分離してしまうことがある。
【0005】
また、従来のゼリー飲料は、通常の清涼飲料水の製造ラインで製造することが困難であった。清涼飲料水の製造ラインでは、調合、充填、加熱殺菌、冷却後に、食品衛生法で必要不可欠な検査機器が存在している。容器内の内圧検査機、真空度測定機、X線検査機(内容量測定機)などがある。これらの検査機を通過する際には、常温まで冷却された製品がコンベア上を流れていくのであるが、その時点では既に内容組成物がゼリー状に固まっていて、その一部が缶蓋の裏に張り付いている場合があった。これを液体入り身検査機で検査した場合、缶蓋の裏に張り付いた組成物が原因で誤検出をしてしまい、良品であるにも係わらず排斥される製品が多数にのぼるという問題点があった。
【0006】
また、凍結飲料と呼ばれるものが市場に現れている。凍結飲料とは、たとえば、特許文献1のようにPETボトル入り飲料を冷凍したものであり、飲用者はこの凍結した飲料を解凍しながら飲用に供する。しかしながら、炭酸飲料を冷凍すると、水分が凍ったときに液体中に溶解している炭酸ガスが液体と分離して容器内の空寸容積に逃げ込んでしまい、再度融解しても炭酸飲料にもどらない。したがって、従来凍結した炭酸飲料を製造することは不可能であった。
【0007】
【特許文献1】特開2005−29181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、脂肪分を含む成分、特に生クリームを用いたクリームソーダ飲料を提供することを目的とする。
また、この発明は、ゼリー状クリームソーダ飲料を提供することを目的とする。
また、この発明は、冷凍状態でも炭酸ガスが液中に保持されている冷凍クリームソーダ飲料を提供することを目的とする。
さらに、この発明は、通常の清涼飲料水製造ラインにおいて、検査機器の誤検出なく製造できるゼリー状クリームソーダ飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、ゲル化剤、炭酸ガスおよび脂肪分を含有するゼリー状クリームソーダ飲料である。ゲル化剤を含有させてゼリー状にしたことにより、炭酸ガスを含有する酸性の液中でも脂肪分が固化・分離することなく、飲料中に均質に分布する。これにより生クリーム等の脂肪分を含んだ本来のクリームソーダを実現することができる。
【0010】
また、この発明は、上記発明において、カゼインを含有しないことを特徴とする。上記発明では、生クリーム等の脂肪分を含有しているため、ミルクの無脂固形分であるカゼインを含有しなくてもクリームソーダの味覚が実現されている。したがって、ゲル化剤を含有させることによってゼリー化されるゼリー飲料において、カゼインを組成から外すことにより、カゼインがゲル化剤によって固化されることがなくなる。
【0011】
また、この発明は、上記発明において、前記炭酸ガスの含有量が、ガスボリュームとして1.7〜3であることを特徴とする。クリームソーダでゼリー状にしたことにより、室温・冷蔵・冷凍のどの状態でも殆ど離水がなく、冷凍した場合でも炭酸ガスを含有するゼリー状飲料を実現できる。すなわち、冷凍する事により、炭酸ガスが含有されたままの冷凍クリームソーダを実現できる。
【0012】
さらに、この発明は、単糖類を主成分とする糖質を含有し、可溶性固形分であるBrix度が10%以上であり、且つ、ゲル化剤A(重量%)の配合量が、(イ)A=0.15〜0.35の範囲であるとしたことを特徴とする。
【0013】
ゲル化剤としては、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、ジェランガム、寒天、CMC、アルギン酸塩から選ばれる1種または2種類以上を配合する。
【0014】
またさらに、この発明は、脂肪分B(重量%)が、以下の(ロ)および(ハ)の関係式で示される条件を満足することを特徴とする。
(ロ)B=0.05〜0.6
(ハ)B/A=0.142〜2.5
【0015】
脂肪成分と、ゲル化剤の配合量との上記の関係式を満たしたことにより、25℃程度の室温ではそのまま飲用できる液体クリームソーダとなり、10℃程度に冷蔵することによりソフトな食感を有するゲル状のクリームソーダとなり、冷凍状態でも振ることによって容易に飲用できる状態になるゼリー状のクリームソーダとなる。また、製造されるときは室温で液体であるため、通常の清涼飲料水の製造ラインで製造できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、脂肪分特に生クリームを用いたクリームソーダ飲料を実現することができる。
また、この発明によれば、ゼリー状のクリームソーダ飲料を実現することができる。
また、この発明によれば、は、冷凍状態でも炭酸ガスが液中に保持されている冷凍クリームソーダ飲料を実現することができる。
さらに、この発明によれば、通常の清涼飲料水製造ラインにおいて、検査機器の誤検出なく製造、製造工場の生産性が上がり、不良品排斥率も少なくなるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の最も好適な実施形態としてゼリー状クリームソーダ飲料の成分とその調整について、以下に説明する。なお、本発明の組成は、この実施形態に示したものに限定されるものではない。
【0018】
まず、この発明のゼリー状クリームソーダ飲料は、単糖類を主成分とする糖質を含有し、その飲料用組成物の可溶性固形分であるBrix度が10%以上であり、乳脂肪成分あるいは植物性脂肪成分とゲル化剤を含有するものである。
【0019】
ここで言うBrix度%とは、光琳社発刊の最新ソフトドリンクスにも記載があるが、飲料液体中の可溶性固形分全体の濃度を糖用屈折計を用いて測定された値のことであり、20℃におけるBrix度をもって可溶性固形分としたものである。
【0020】
ここで言う単糖類とは、ぶどう糖(グルコース)、果糖(フラクトース)あるいはそれらの混合物が主成分である果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、ガラクトース、キシロース、マンノースなどが挙げられる。
【0021】
そして、ゲル化剤としては、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、ジェランガム、寒天、CMC、アルギン酸塩から選ばれる1種または2種類以上のゲル化剤を配合し、ゲル化剤がA(重量%)、脂肪分がB(重量%)を、以下の(イ)、(ロ)および(ハ)の関係式で示される条件を満足するゼリー状クリームソーダ用組成物である。
(イ)A=0.15〜0.35
(ロ)B=0.05〜0.6
(ハ)B/A=0.142〜2.5
【0022】
上述したように、ゼリー状クリームソーダ飲料は(イ)A=0.15〜0.35、(ロ)B=0.05〜0.6、(ハ)B/A=0.142〜2.5の数値範囲の条件を満足することが適切である。このようなバランスの組成とすることで、室温では液体で、冷蔵・冷凍することにより、ゼリー状を呈するクリームソーダとすることができる。
【0023】
なお、Brix度が10未満では、冷凍状態における飲食組成物の固化が強くなり、手で揉めるようになるまでに時間を要する。
【0024】
(イ)ゲル化剤A(重量%)は0.15〜0.35の範囲が好ましい。0.15未満では、ゼリーとならないので好ましくないからであり、また0.35を超える数値では、常温で固まっているので好ましくないからである。
【0025】
そして、より好ましくはA=0.18〜0.3であり、さらに好ましくは0.2〜0.28である。ゲル化剤の配合量Aをこれらの数値範囲とすることによって、室温、冷蔵、冷凍の各温度帯でゼリーの性状が変化し、食感が変化する飲料組成物を実現することができるとともに、製造時の温度範囲では液体となり製造が容易な飲料組成物を実現することができる。
【0026】
(ロ)脂肪分B(重量%)は0.05〜0.6の範囲が好ましい。0.05未満では、濁りが少なくなってクリームソーダらしくなくなる。また0.6を超えると、ゼリー飲料としての安定性が低下する。
【0027】
より好ましくはB=0.08〜0.4であり、さらに好ましくは0.1〜0.3である。脂肪分の含有量Bをこれらの数値範囲とすることにより、ゼリー状クリームソーダ飲料としての食感をより好ましくすることができる。
【0028】
(ハ)脂肪分とゲル化剤の含有比B/Aは0.142〜2.5であることが好ましい。0.142未満では、ゼリーが硬くなる一方で濃味が少なくなり、2.5を超える数値では、ゼリーが弱くなる一方で濃味が多くなる。
【0029】
そして、より好ましくはB/A=0.15〜2.0であり、さらに好ましくは0.16〜1.5である。脂肪分とゲル化剤の含有比B/Aをこれらの数値範囲とすることにより、冷蔵時には振っても炭酸ガスがゼリーの内部に包括されままで吹き出しがなく、冷凍時も炭酸ガスがゼリーの内部に包括されたままで炭酸飲料としての刺激味を保持することができる。
【0030】
この発明でいう室温とは、25℃以上の温度範囲で調節が行われない自然のなりゆき温度を示すものである。また、冷蔵とは、0℃から10℃程度の温度範囲に調節された温度条件下(冷蔵庫)に保存することを示し、冷凍とは−25℃から0℃程度の温度範囲に調節された温度条件下(冷凍庫)に保存することを示す。
【0031】
実施形態のクリームソーダ飲料には可溶性固形分として、ぶどう糖固形分、果糖固形分、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖の少なくとも1種以上の固形分が含まれているのが好ましく、この事により、可溶性固形分量が多くても、飲食物として適した味わいに調節でき、凍結後においても柔らかい触感を保持する事ができるのである。その他の可溶性固形分としては、発明の効果に影響を及ぼさない補助的な範囲内において麦芽糖固形分、糖アルコール固形分、デキストリン固形分、乳固形分、砂糖固形分を含有しても良い。
【0032】
この実施形態のクリームソーダ飲料にはその他の安定剤としては、発明の効果に影響を及ぼさない範囲内において、大豆多糖類、ペクチン、発酵セルロース、微結晶セルロース、ゼラチン、カゼインナトリウムを含有しても良い。例えば市販の大豆多糖類としては、三栄源エフエフアイ社製の「大豆多糖類」、ペクチンとしては、CP kelco Aps製の「GENUペクチン」等が挙げられる。
【0033】
この実施形態のクリームソーダ飲料には乳化剤として、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンを含有しても良い。例えば市販の蔗糖脂肪酸エステルとしては、三菱化学フーズ社製の「菱糖エステル」、第一工業社製の「DKエステル」等が挙げられる。
【0034】
また、この実施形態のクリームソーダ飲料は、カゼインを含まない乳製品を使用することができる。乳製品としては、クリーム、バター、バターオイル等が挙げられる。
【0035】
この実施形態のクリームソーダ飲料に使用する脂肪として、乳脂肪のほか植物性脂肪を使用することができる。植物性脂肪原料としては、ココナッツオイル(やし油)が好ましい。クリームソーダとしての安定性が優れているからである。
【0036】
また、この実施形態の飲料組成物には、酸味料を添加してもよく、そのような酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、りんご酸、乳酸、フマル酸、リン酸等が挙げられる。このことにより、飲料組成物のpHを好ましく調整する事ができる。
【0037】
また、この実施形態の飲料組成物には、以上説明した糖類、安定剤、乳化剤、乳製品、酸味料の他に、果汁、コーヒー、緑茶、烏龍茶、紅茶、香料、ビタミン類、ミネラル類およびアミノ酸類から選ばれる1種以上を添加しても良く、これらの添加により飲食物として、風味の向上、飲食者の健康補助効果など付加価値を高めることができる。
【0038】
このようなクリームソーダ飲料を充填する容器は、再封可能なキャップ付きのPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル、ボトル缶が好ましい。このことにより、振らないでクリームソーダ飲料を楽しんだ後は、振ってからゼリー飲料を楽しむという2重の味わい方を提供できるからである。その他の容器としてはスチール缶、アルミニウム缶、パウチ容器を使用しても良い。
【0039】
クリームソーダ飲料は、上記容器に充填された状態で、室温、冷蔵、冷凍のいずれの温度条件に保存した場合においても、少なくとも12ヶ月は安定に品質を維持することが可能である。なお、ゼリー状として、食感良く飲むことができる温度帯は飲料組成物の内部温度として0℃〜25℃、好ましくは5℃〜15℃、特に7℃〜10℃である事が好ましい。
【0040】
この実施形態の容器詰のゼリー状クリームソーダ飲料は、通常の炭酸飲料の製造工程と同じように、カーボネーターで炭酸ガスを吸収させた後に充填を行い、パストライザーで加熱殺菌・冷却し、所定の検査機器を通過した後で製品となるものである。
【0041】
このように製造された容器詰ゼリー状クリームソーダ飲料は、室温、冷蔵、冷凍において液体状、ゼリー状またはシャーベット状となり、そのまま飲食できる飲料組成物が密封容器に充填されているため、常温、冷蔵、冷凍のいずれの流通温度帯によっても流通可能であり、また、家庭で手軽に、クリームソーダ、ゼリー状クリームソーダ、シャーベット状クリームソーダを楽しむことが可能である。
【実施例】
【0042】
Brix度の測定
Brix度は、アタゴ社製の「デジタル屈折計RX−5000」を用いて測定できる。光琳社発刊の最新ソフトドリンクスにも記載があるが、清涼飲料水においてBrix度とは、飲料液体中の可溶性固形分全体の濃度を糖用屈折計を用いて測定された値の事を示し、20℃におけるBrix度をもって可溶性固形分としたものである。
【0043】
脂肪分の測定
栄養表示基準で定められているエーテル抽出法、ゲルベル法、酸分解法、レーゼゴットリーブ法などを用いて測定できる。
【0044】
[実施例a〜l]
下記の処方に示す組成の内、ぶどう糖・クエン酸以外に水を加え溶解した後、クエン酸にてpHを3.8に調整し、ぶどう糖にてBxを表Aに示す所定のBx値に調整し、炭酸ガスを吸収させた後に、ボトル缶(大和製罐社製300ml)に充填し、70℃で10分間加熱殺菌後に冷却し、容器詰クリームソーダゼリー飲料を得た。
(処方1)
生クリーム(50%) 0.2重量%
香料(高砂香料社製:メロンフレーバー) 0.1重量%
クエン酸 pH3.8まで
カラギナン 0.015重量%
キサンタンガム 0.03重量%
ローカストビーンガム 0.07重量%
グアガム 0.02重量%
ぶどう糖 Bx所定の数値まで
純水(残部)にて全量100重量%とする。
【0045】
得られた容器詰クリームソーダゼリー飲料について、−10℃、7℃、15℃、26℃となるように、冷凍庫、冷蔵庫、恒温槽に24時間保持し、以下に段階評価の詳細を示すように、振らないで飲食、10回振ってから飲料のゼリー性状を評価し、最後に冷凍製品としての適正評価を行い、これらの結果をまとめて表A中に示した。
【0046】
[ゼリー性状評価]
26℃は振らないで液体、15℃は振らないでゼリー食感を楽しめる、7℃は振ってゼリー食感を楽しめることを基準とした。
1 予定どおりの良好なゼリー性状である
2 若干不満はあるが、とりあえずゼリー性状を保っている
3 まったく予想していない劣悪な性状である
【0047】
[冷凍適正評価]
−10℃は凍結飲料として炭酸ガスを適度に保持していることを基準とした。
1 凍結後にも、飲料組成物には良好な炭酸ガスを保持している
2 炭酸ガスは保持しているが、凍結飲料としては飲みづらい
3 炭酸ガスが抜けて炭酸飲料ではない
【0048】
【表A】

【0049】
表Aの結果からも明らかなように、Bx10未満では、各温度帯でのゼリー性状が好ましくなく、凍結クリームソーダとしての適正も好ましくないという評価が得られた。
【0050】
[実施例m〜x]
下記の処方に示す組成の内、果糖・クエン酸以外に水を加え溶解した後、クエン酸にてpHを3.8に調整し、果糖にてBxを表Bに示す所定のBx値に調整し、炭酸ガスを吸収させた後に、ボトル缶(大和製罐社製300ml)に充填し、70℃で10分間加熱殺菌後に冷却し、容器詰クリームソーダゼリー飲料を得た。
(処方2)
生クリーム(50%) 0.2重量%
香料(高砂香料社製:メロンフレーバー) 0.1重量%
クエン酸 pH3.8まで
カラギナン 0.015重量%
キサンタンガム 0.03重量%
ローカストビーンガム 0.07重量%
グアガム 0.02重量%
果糖 Bx所定の数値まで
純水(残部)にて全量100重量%とする。
これらの結果をまとめて、表B中に示した。
【0051】
【表B】

【0052】
表Bの結果からも明らかなように、ぶどう糖と同じく単糖類である果糖を使用しても、Bx10未満では、各温度帯でのゼリー性状が好ましくなく、凍結クリームソーダとしての適正も好ましくないという評価が得られた。
【0053】
[比較例a〜p]
一方、比較例として、二糖類である砂糖、麦芽糖、その他の糖質として糖アルコール、デキストリンで同様な実験を行ったところ、どのようなBxに調整しても容器詰炭酸ゼリー飲料としては適さない結果が出た。糖アルコールとしては、林原商事社製の粉末マビット、デキストリンとしては、松谷化学工業社製のTK−16を使用した。結果は、表C中に示した。
【0054】
【表C】

【0055】
[実施例1〜10]
[比較例1〜10]
表1、表2に示す組成で各成分を配合し混合して飲食組成物を製造した。ここでいうゲル化剤とは、市販のカラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガムを使用した。ぶどう糖はサンエイ糖化社製:含水結晶ぶどう糖、果糖はダニスコ社製:純果糖、果糖ぶどう糖液糖は加藤化学社製のHF−55を使用した。生クリームは脂肪分50%の純生クリーム北海道産を使用した。やし油は不二製油社製:精製やし油を使用した。ショ糖脂肪酸エステルは三菱工業製薬社製の菱糖エステルP1670を使用した。
【0056】
ボトル缶容器の洗浄を行い、配合した組成物に炭酸ガスを吸収させ、容器に充填、密封後に、70℃の温度にて10分間維持した後、冷水にて30℃まで冷却を行った。ボトル缶容器は大和製罐社製の300mlアルミニウムボトル缶を使用し、300g重量を充填した。
【0057】
得られた容器詰飲料のA値、B値、B/A値を表1、表2中に示した。
得られた容器詰飲料に対して、同様な26℃、15℃、7℃、−10℃における評価を、成人男女多数のパネラーに判定させ、多数意見を考慮してその点数を表1、表2中に示した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表1、表2の結果からも明らかなように、実施例1〜10は、いずれも比較例1〜10に比べて各温度帯でのゼリー性状が好ましく、凍結クリームソーダとしての適正も好ましいという評価が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤、炭酸ガスおよび脂肪分を含有するゼリー状クリームソーダ飲料。
【請求項2】
カゼインを含有しないことを特徴とする請求項1に記載のゼリー状クリームソーダ飲料。
【請求項3】
単糖類を主成分とする糖質を含有し、可溶性固形分であるBrix度が10%以上であり、且つ、ゲル化剤A(重量%)の配合量が、(イ)A=0.15〜0.35の範囲である請求項1または請求項2に記載のゼリー状クリームソーダ飲料。
【請求項4】
脂肪分B(重量%)が、以下の(ロ)および(ハ)の関係式で示される条件を満足する請求項3に記載のゼリー状クリームソーダ飲料。
(ロ)B=0.05〜0.6
(ハ)B/A=0.142〜2.5
【請求項5】
前記炭酸ガスの含有量が、ガスボリュームとして1.7〜3であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のゼリー状クリームソーダ飲料。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のゼリー状クリームソーダ飲料を、容器に充填し封止してなるゼリー状クリームソーダ飲料。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のゼリー状クリームソーダ飲料を冷凍してなる冷凍クリームソーダ飲料。

【公開番号】特開2010−41955(P2010−41955A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207775(P2008−207775)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【特許番号】特許第4386380号(P4386380)
【特許公報発行日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(393000375)株式会社日本サンガリアベバレッジカンパニー (8)
【Fターム(参考)】