説明

ゼリー食品

【課題】こんにゃく入りゼリーが口の中に飛び込んでくることを防止することによって、食感を犠牲にすることなく、喉に詰まる危険性をより低減する。
【解決手段】ゼリー食品1は、可撓性を有するカップ10と、カップ10に充填されたこんにゃく入りゼリーと、カップ10を密封するためにカップ10にシールされた、フィルムからなる蓋20とを有する。カップ10と蓋20とのシール部は、イージーピール性を持つ弱シール部41と、イージーピール性を持たない強シール部とに分けられる。強シール部では蓋20は開封されず、カップ10の開口部13の一部が蓋20で覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、こんにゃく入りゼリーをカップに充填密封したゼリー食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリー食品には様々な種類があるが、そのうちの一つとして、一口サイズのカップに充填密封された形態で販売されているこんにゃく入りゼリーが知られている。こんにゃく入りゼリーは、原料としてこんにゃく粉を含有しており、これによって、単位重量当たりのカロリー低減効果が期待できる。この種のこんにゃく入りゼリーは、こんにゃく入りゼリーを口でカップから吸い出したり、あるいはカップを押し潰してこんにゃく入りゼリーをカップから押し出したりすることによって、手軽に食すことができるため、ゼリー食品の主流となってきている。
【0003】
しかし、こんにゃく入りゼリーは、こんにゃくを含有していないぜリーと比較して、かたく弾力性が高いためカップから吸い出されたり押し出されたりしただけでは形が崩れなく、しかも噛み潰しにくい。その結果、口に入ったこんにゃく入りゼリーを誤ってそのまま飲み込んでしまって喉に詰まらせるという事故が発生し、社会問題にまでなっている。
【0004】
そこで、特許文献1には、開口部を横断して線状体を張設したゼリー食品用カップが記載されている。また、特許文献2には、隔壁等によって内部を複数の区画に分割したゼリー食品用カップが記載されている。これらのカップを用いることで、カップから吸い出されたり押し出されたりしたこんにゃく入りゼリーは複数の小片に分割されるので、こんにゃく入りゼリーを噛まずに誤って飲み込んだとしても、喉に詰まらせる危険性が少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−323781号公報
【特許文献2】特開平10−17068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたようなカップに密封されたこんにゃく入りゼリーは、押し出し方または吸い込み方によってはカップから勢いよく飛び出すことがある。カップから飛び出したこんにゃく入りゼリーがそのまま喉の奥に入ってしまうと、たとえ分割されていたとしても、こんにゃく入りゼリーが喉に詰まる危険性は依然として残されたままである。
【0007】
こんにゃく入りゼリーが喉に詰まる危険性を小さくするためには、分割されるこんにゃく入りゼリーの小片のサイズを小さくすることが考えられる。しかしその場合は、口の中に入ったこんにゃく入りゼリーは予め小さく分割されているので、こんにゃく入りゼリーを噛み潰すことによって得られる食感が犠牲になってしまう。
【0008】
本発明は、こんにゃく入りゼリーが口の中に飛び込んでくることを防止することによって、食感を犠牲にすることなく、喉に詰まる危険性をより低減したこんにゃく入りゼリー食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明のゼリー食品は、こんにゃく入りゼリーが充填された可撓性を有するカップがフィルムからなる蓋でシールされることにより、こんにゃく入りゼリーを密封したゼリー食品において、
カップと蓋とのシール部が、イージーピール性を持つ弱シール部と、イージーピール性を持たずに強固にシールされた強シール部とに分けられ、強シール部では蓋が開封されず、カップの開口部の一部が蓋で覆われるように構成されることを特徴とする。
【0010】
上記のとおり構成された本発明のゼリー食品では、蓋を開封してもカップの開口部の一部が蓋で覆われているので、こんにゃく入りゼリーを食べるためにカップを強く押し潰したとしても、カップから押し出されるこんにゃく入りゼリーの移動は開口部を覆っている蓋の部分で制限される。その結果、カップからのこんにゃく入りゼリーの飛び出しが防止される。
【0011】
本発明のゼリー食品において、カップが蓋と接する面内における、カップの開口部全体の面積に対する蓋が開封される領域の面積の割合は、20%以上40%以下であることが好ましい。また、シール部は、蓋が開封されない部分が全て前記強シール部として形成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、蓋は、開封されることによってカップから剥離した蓋の部分の除去を補助するための除去補助構造を有していてもよい。除去補助構造は、蓋に形成された切り込みであってもよい。蓋は開封時の摘みとなるタブをさらに有し、除去補助構造はタブに形成されていると、蓋の開封が容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カップと蓋とのシール部を弱シール部と強シール部とに分け、蓋を開封したときにカップの開口部の一部が蓋で覆われるように構成することで、こんにゃく入りゼリーが飛び出すことによって喉に詰まる事故を防止することができる。しかも、こんにゃく入りゼリーを食べるためには、カップから押し出されたこんにゃく入りゼリーを噛み切る必要があるため、こんにゃく入りゼリーの独特の歯ごたえを満喫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるゼリー食品の斜視図である。
【図2】図1に示すゼリー食品の分解斜視図である。
【図3A】図1に示すカップの上面の、弱シール部および強シール部の一例を示す図である。
【図3B】図1に示すカップの上面の、弱シール部および強シール部の他の例を示す図である。
【図4】図1に示すゼリー食品の、開封した状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示すゼリー食品において、開封口からこんにゃく入りゼリーが押し出された状態を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図7】図6に示すゼリー食品を開封した状態を示す斜視図である。
【図8】図6に示すゼリー食品の一変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および図2を参照すると、カップ10と、カップ10内に充填されたこんにゃく入りゼリー30と、こんにゃく入りゼリー30の密封用の蓋20とを有する、本発明の一実施形態によるゼリー食品1が示されている。
【0016】
こんにゃく入りゼリー30は、通常のゼリーと同様、ゲル化剤などを含有するゼリー溶液をゲル化剤の作用によって固化させて作られるが、通常のゼリーと異なることは、ゼリー溶液がこんにゃく精粉をさらに含有していることである。本発明で用いるこんにゃく入りゼリー30は、少なくともゲル化剤およびこんにゃく精粉を含有していれば、任意の材料を含有することができる。こんにゃく精粉を含有することにより、こんにゃく入りゼリー30は弾力性の高い独特の歯ごたえがある。
【0017】
このような独特の歯ごたえを有するこんにゃく入りゼリー30の物性は、例えば「かたさ」および「弾力性」で表すことができる。こんにゃく入りゼリー30の「かたさ」および「弾力性」は、レオメーターを用いて測定することができる。具体的には、プランジャーを試料(こんにゃく入りゼリー30)に押し当てることによって試料を圧縮し、試料の表面が破断するまでにかかった力(gf)を「かたさ」とし、試料の表面が破断するまでの圧縮距離(mm)を「弾力性」とする。
【0018】
本発明では、こんにゃく入りゼリー30の「かたさ」および「弾力性」は特に制限されないが、「かたさ」は、好ましくは80〜1000gf、より好ましくは300〜400gfであり、「弾力性」は、好ましくは7〜20mm、より好ましくは7〜9mmである。ただし、上記の値は、温度24℃、湿度38%の雰囲気下で、株式会社山電製レオメーター(RE2−33005S)を用い、くさび形のプランジャー(試料と接触する先端面の寸法が、幅1mm、長さ30mm)によって試料を1mm/secの速度で圧縮した場合の値である。
【0019】
カップ10は、プラスチック材料により形成されており、こんにゃく入りゼリー30が充填されるカップ本体11と、カップ本体11の開口端にその全周にわたって一体に設けられたフランジ12とを有する。また、カップ10は、ユーザがカップ本体11を指で押し潰すことができる程度に可撓性を有している。
【0020】
カップ10の形状は任意であってよい。図では略円筒状のカップ10が示されているが、その他、開口部の形状を楕円、四角形、多角形、ハート型とすることもできる。また、カップ10の容量も任意であってよいが、好ましくは従来と同様、20〜25gのこんにゃく入りゼリー30が充填される程度の容量とすることができる。
【0021】
蓋20は、カップ10のフランジ12の外形とほぼ同じ形状に形成されたフィルムからなる。蓋20は、その外周縁部が全周にわたってフランジ12の上面に熱融着等により接着され、これによって、カップ本体11内に充填されたこんにゃく入りゼリー30が密封される。
【0022】
蓋20は、その面内方向において外側に突出して延びたタブ21を有しており、カップ10を開封する際は、このタブ21を摘んでカップ10から蓋20を剥離する。つまり、蓋20はカップ10のフランジ12に剥離可能に気密シールされている。
【0023】
従来のゼリー食品は、蓋全体がカップから剥離するように構成されている。ところが本発明では、蓋20は、フランジ11から剥離するのは一部のみであり、開封されたカップ10はその開口部の一部が蓋20で覆われた状態とされる。
【0024】
そのようにするため、本発明では、例えば図3Aに示すように、フランジと蓋とのシール40は、イージーピール性を持つ弱シール部41と、イージーピール性を持たず強固にシールされた強シール部42に分けられ、蓋20は強シール部42では開封されないように構成されている。フランジ12の周方向での強シール部42の長さは、フランジ12の周方向での強シール部42の両端同士を結ぶ直線が、図3Aに破線で示すように、カップ10の開口部13を横断するような長さとされる。これにより、弱シール部41での蓋20の剥離は強シール部42に達した位置で止まり、カップ10の開口部13の一部は蓋20で覆われたままとなる。
【0025】
図3Aでは、シール部40のうち蓋20が開封されない部分は全て強シール部42として形成されている例を示したが、図3Bに示すように、フランジ12の周方向に間隔をあけた2箇所に強シール部42を形成し、残りの部分を弱シール部41とすることもできる。この場合も、蓋20の剥離は強シール部42に達した位置で止まり、カップ10の開口部13の一部は蓋20で覆われたままとなる。なお、図3Bに示すように強シール部42をスポット状に2箇所に形成することによって、弱シール部41も2箇所に形成され、これらのどちらからも蓋20を開封することができる。ただし、実際にこんにゃく入りゼリー30を食べる際には、いずれか一方の弱シール部41で開封すればよく、タブ21は、開封する位置の目印にもなる。また、強シール部42をスポット状に形成する場合は、所望の弱シール部41以外では実質的に開封できないように、3箇所またはそれ以上の箇所に強シール部42を形成することもできる。
【0026】
本形態のゼリー食品1は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0027】
まず、通常のこんにゃく入りゼリーを作る場合と同様、ゲル化剤およびこんにゃく粉を含有させたこんにゃく入りゼリー溶液を調製する。こんにゃく入りゼリー溶液には、ゲル化剤およびこんにゃく粉の他に、糖類、果汁、香料、酸味料、着色料などを、必要に応じて加えることができる。
【0028】
次いで、調製したこんにゃく入りゼリー溶液を加熱殺菌する。加熱殺菌は、例えば、チューブ式の加熱殺菌装置を用いるなど、任意の方法で行なうことができる。殺菌条件は、例えば、120〜140℃、約3分とすることができる。
【0029】
殺菌が終了したこんにゃく入りゼリー溶液は、冷却装置により約60〜70℃まで冷却されて、カップ10内に充填される。さらに、こんにゃく入りゼリー溶液が充填されたカップ10に蓋20を接着し、こんにゃく入りゼリー溶液を密封する。カップ10への蓋20の接着は、例えば熱融着によって行なうことができる。その場合、カップ10および蓋20は、少なくとも両者の接着面がヒートシール性を有して構成される。また、カップ10と蓋20との熱融着は、シール部40が弱シール部41と強シール部42とに分けられるように、始めにシール部40全体を弱シール部41として熱融着した後に強シール部42となる部分を再び強固に熱融着したり、弱シール部41と強シール部42とをそれぞれの熱融着条件を変更して別個に熱融着したり、あるいは超音波シールによって弱シール部41を形成したりすることができる。こんにゃく入りゼリー溶液の密封は、殺菌したカップ10を用いて無菌環境下で行なうことが好ましい。
【0030】
こんにゃく入りゼリー溶液の密封後、密封されたこんにゃく入りゼリー溶液を25℃以下まで冷却して固化させる。これによって、こんにゃく入りゼリー30がカップ10内に充填封入されたゼリー食品1が得られる。得られたゼリー食品1は、こんにゃく入りゼリー10がカップ10内で固化されているので、こんにゃく入りゼリー10はカップ10内で一つの塊状に存在している。
【0031】
以上のように構成されたゼリー食品1において、カップ10内に密封されたこんにゃく入りゼリー30を食べるときは、ユーザは、まず、タブ21を摘んで蓋20を引き上げる。すると、図4に示すように、蓋20は弱シール部41のみでフランジ12から剥離し、カップ10は、その開口部1の一部が蓋20で覆われた状態で開封される。
【0032】
次いで、ユーザは、図5に示すように、指でカップ本体11を押し潰す。カップ本体11が押し潰されると、カップ10内に充填されているこんにゃく入りゼリー30は、カップ10から押し出される。このとき、カップ10の開口部はその一部が蓋20で覆われているため、こんにゃく入りゼリー30は、蓋20で覆われた部分では移動が制限され、弾性変形しながら、カップ10の開放された部分から押し出されるので、こんにゃく入りゼリー30の全量がカップ10から飛び出すことはない。ユーザーは、この押し出されたこんにゃく入りゼリー30を歯で噛み切って食べる。
【0033】
ユーザーがこんにゃく入りゼリー30を押し出す際、こんにゃく入りゼリー30をより大量に押し出そうとして強い力でカップ10を押し潰した場合は、押し出されるこんにゃく入りゼリー30にその弾性変形の限度を超える力が作用することがある。この場合、こんにゃく入りゼリー30には、カップ10の開放された部分と蓋20で覆われている部分との境界でせん断力が作用するが、こんにゃく入りゼリー30は、それが含有するこんにゃくに由来する独特の弾力性により、カップ10の内部と外部で完全に分断されるのではなく、押し出された部分のみが引きちぎられながら押し出される。よって、こんにゃく入りゼリー30は、全体として一つの塊状を維持したまま、カップ10内の部分から分離することなく、カップ10から押し出される。
【0034】
その結果、開封されたカップ10を強く押し潰しても、開口部を覆う蓋20によって移動が制限されたこんにゃく入りゼリー30の部分がアンカーの役割を果たすため、こんにゃく入りゼリー30がカップ10から飛び出すことはない。カップ10から押し出されたこんにゃく入りゼリー30を食べるためには、歯で噛み切る必要がある。従って、本形態のゼリー食品1においては、カップ10から押し出されたこんにゃく入りゼリー30がそのまま口の中に飛び込むことによって喉に詰まることを確実に防止することができる。しかも、こんにゃく入りゼリー30を食べるためには、カップ10から押し出されたこんにゃく入りゼリー30を噛み切る必要があるため、こんにゃく入りゼリー独特の歯ごたえを満喫することができる。
【0035】
カップ10の開口部を覆う蓋20の部分は、カップ10の底部から開口部へ向かう方向へのこんにゃく入りゼリー30の移動を制限するが、それ以外の方向へのこんにゃく入りゼリー30の移動については制限しない。よって、こんにゃく入りゼリー30をカップ10から押し出していき、カップ10内のこんにゃく入りゼリー30が残り少なくなってきた場合、蓋20に接しているこんにゃく入りゼリー30は、蓋20が剥離して開放された部分に向かって移動でき、最終的にはカップ10内から全てのこんにゃく入りゼリー30を押し出すことができる。
【0036】
以上のこんにゃく入りゼリー30の挙動は、カップ10を押し潰すことによってこんにゃく入りゼリー30を押し出す場合に限らず、カップ10内のこんにゃく入りゼリー30を口で吸い込む場合も同様である。
【0037】
上述のように、本発明においては、蓋20の一部がカップ10から剥離しないようにカップ10と蓋20とのシール強度に強弱を持たせ、それによってカップ10の開口面積を蓋20で制限することによって、こんにゃく入りゼリー30がカップ10から飛び出すのを防止している。こんにゃく入りゼリー20の飛び出しをより効果的に防止するためには、カップ10が蓋20と接する面内における、カップ10の開口部全体の面積に対する蓋20が開封される領域の面積の割合は、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。この割合が40%を越えると、こんにゃく入りゼリー30の弾力性が高い場合にカップ10を強く押し潰すと、カップ10内のこんにゃく入りゼリー30の全量が飛び出してしまうおそれがある。
【0038】
また、カップ10を押し潰したときに、こんにゃく入りゼリー30が良好に押し出されるようにするためには、上記の割合が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。
【0039】
以上のことを考慮すると、カップ10から蓋20を剥離したときにカップ10の開口部全体に対する開口面積の割合がおおよそ1/4〜1/3の範囲内となるように、強シール部42の位置および/または範囲を設定するのが好ましい。
【0040】
弱シール部41での蓋20の剥離を容易に行なえるようにするためには、弱シール部41のシール強度は4.9N/15mm〜11.8N/15mmの範囲であることが好ましい。また、強シール部42のシール強度は、弱シール部41のシール強度よりも強ければ特に制限されないが、強シール部42での蓋20の剥離をより確実に防止するためには、49N/15mm以上であることが好ましい。シール強度は、JIS Z 0238に準拠して、規定された寸法でサンプルを作製し、そのサンプルで測定した値である。
【0041】
ところで、カップと蓋とが全て弱シール部によって接着された従来のカップ入りゼリー食品においても、蓋の一部のみを開封することは可能である。しかし、従来のカップ入りゼリー食品では、カップと蓋とが全て弱シール部により接着されているので、カップを強く押し潰した場合、蓋の裏面側に作用するこんにゃく入りゼリーの応力によって、剥離していない弱シール部まで剥離することがある。これは、結果的には蓋が完全に剥離して、こんにゃく入りゼリーがカップから飛び出してしまう結果を招く。本発明のように、蓋の剥離を意図しない部分を強シール部42とすることによって、このような不測の事態を確実に防止することができる。
【0042】
上述した形態では、カップ10から剥離した蓋20の部分がそのまま残される例を示したが、この場合、こんにゃく入りゼリー30を食べる際に剥離した蓋20の部分が邪魔になるおそれがある。
【0043】
そこで、カップ10から剥離した蓋20の部分を除去できるように、開封されることによってカップ10から剥離した蓋20の部分の除去を補助するための除去補助構造を蓋20に設けることが好ましい。除去補助構造の一例として、図6に示すように、蓋20に予め切り込み22を形成しておき、この切り込み22に沿って蓋20を引き裂くことができるように構成することができる。切り込み22は、カップ10を開封するときにカップ10から剥離させる弱シール部41の、強シール部42との境界に位置しており、その長さは、蓋20の外縁から始まってカップ10のフランジ12の内縁に達しない長さとされる。
【0044】
上記のような構成において、ユーザは、まず、タブ21を摘んで蓋20の弱シール部41をカップから剥離する。この状態では、蓋20は、切り込み22が形成された位置まで剥離される。次いで、ユーザは、切り込み22をきっかけにして図6に示す二点鎖線に沿って蓋20を引き裂き、図7に示すように、蓋20の一部をカップ10から除去する。こうすることにより、蓋20のカップ10から剥離した部分が邪魔にならずにこんにゃく入りゼリー30を食べることができる。
【0045】
図6では、タブ21とは別の位置に切り込み22を形成した例を示したが、図8に示すように、タブ21の位置に切り込み22を形成することもできる。これにより、ユーザは、タブ21を摘んだまま蓋20を図中の二点鎖線に沿って引き裂くことで、カップ10から剥離した蓋20の部分を容易に除去することができる。タブ21に形成される切り込みの位置は任意であるが、図8に示すように、除去される部分の割合が多くなる位置に切り込み22を形成することにより、蓋20を剥離する際にタブ21を摘み易くなる。また、タブ21に切り込み22を形成することにより、図8に示すように、カップ10と蓋20とのシール性に影響を及ぼさないように、カップ10の外縁よりも外側に切り込み22を形成することができる。
【0046】
図6および図8では、除去補助構造として切り込み22を形成した例を示したが、除去補助構造は、その他にも、例えばV字型の切り欠き(不図示)であってもよい。また、図6および図8では2箇所に切り込み22を形成した例を示したが、切り込み22は1箇所でもよい。さらに、蓋20に除去補助構造を設ける場合、蓋20は、所望の方向への引き裂きを良好に行なえるようにするため、引き裂き方向性を有していることが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1 ゼリー食品
10 カップ
11 カップ本体
12 フランジ
20 蓋
21 タブ
22 切り込み
30 こんにゃく入りゼリー
40 シール部
41 弱シール部
42 強シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
こんにゃく入りゼリーが充填された可撓性を有するカップがフィルムからなる蓋でシールされることにより前記こんにゃく入りゼリーを密封したゼリー食品において、
前記カップと前記蓋とのシール部が、イージーピール性を持つ弱シール部と、イージーピール性を持たずに強固にシールされた強シール部とに分けられ、前記強シール部では前記蓋が開封されず、前記カップの開口部の一部が前記蓋で覆われるように構成されることを特徴とするゼリー食品。
【請求項2】
前記カップが前記蓋と接する面内における、前記カップの開口部全体の面積に対する前記蓋が開封される領域の面積の割合は、20%以上40%以下である請求項1に記載のゼリー食品。
【請求項3】
前記シール部は、前記蓋が開封されない部分が全て前記強シール部として形成されている請求項1または2に記載のゼリー食品。
【請求項4】
前記蓋は、開封されることによって前記カップから剥離した前記蓋の部分の除去を補助するための除去補助構造を有する請求項1から3の何れか1項に記載のゼリー食品。
【請求項5】
前記除去補助構造は、前記蓋に形成された切り込みである請求項4に記載のゼリー食品。
【請求項6】
前記蓋は開封時の摘みとなるタブをさらに有し、前記除去補助構造は前記タブに形成されている請求項4または5に記載のゼリー食品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−200713(P2010−200713A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52020(P2009−52020)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(506011021)オリヒロプランデュ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】