説明

ゼロヘッドスペース容器での安定pO2を有する多分析物参照溶液

【課題】ゼロヘッドスペース容器中に酸素の安定な分圧(pO2)を有する多分析物参照溶液を提供すること。
【解決手段】溶液は、室温で、長い貯蔵寿命および耐用寿命を有する。これらの参照溶液の成分用の原料物質は、低酸素反応性または非酸素反応性について、選別され選択される。これらの参照溶液は、低酸素反応性を有するかまたは酸素反応性を有しない材料で裏打ちされた容器にて包装される。これらの容器は、積層されるが、好ましくは、内層としてのポリプロピレン、中間層としてのアルミニウム箔、およびこのアルミ箔層を物理的損傷から保護する外層を包含する。さらに、安定な品質管理試薬が記述されており、これは、約5個〜約20個の分析物を試験するのに実行可能な限り少数の製剤として構成され、ここで、各製剤は、ゼロヘッドスペース容器にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第08/740,410号(これは、1996年10月29日に出願された)の部分継続出願であり、この出願は、現在、審査中であり、また、米国暫定特許出願第60/006,742号(これは、1995年11月2日に出願されたが、現在、放棄されている)から優先権を主張している。これらの2つの米国特許出願からの優先権は、35USCセクション120の下に、本願に対して主張されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、主として、臨床用参照溶液−品質管理試薬および標準物質(calibrators)の分野に関する。さらに具体的には、本発明は、ゼロヘッドスペース容器(好ましくは、可撓性箔積層体容器)中に安定な酸素分圧(pO2)を有する多分析物参照溶液を調製する方法に関する。この溶液は、室温で安定であり長い貯蔵寿命と使用寿命を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
臨床研究所は、患者試料の分析用の種々の機器システムを使用する。例えば、pH/血液ガス機器は、血液pH、pCO2およびpO2を測定する。CO−Oximeter機器は、典型的には、全ヘモグロビン濃度(tHb)、およびヘモグロビン画分−オキシヘモグロビン(O2Hb)、カルボキシヘモグロビン(COHb)、メトヘモグロビン(MetHb)、還元ヘモグロビン(HHb)およびスルフヘモグロビン(SHb)(集合的に、「CO−Ox画分」と呼ぶ)を測定する。イオン選択性電極(ISE)機器は、血液電解質(例えば、Na、Cl、Ca++、K、Mg++およびLi)の含量を測定する。また、種々の他のパラメータ(例えば、代謝物(例えば、グルコース、乳酸塩、クレアチニンおよび尿素))は、関連した機器システムにより、臨床研究所で測定できる。
【0004】
現在利用可能な機器システムは、血液の特性の包括的な検査のために、1つの機器にて、血液pH、気体、電解質、種々の代謝物およびCO−Ox画分の測定を組合せ得る。例えば、このような分析物の全ては、Chiron Diagnostics Corporation[Medfield,MA(USA)]製のRapidlab(登録商標)865重症者管理診断システムにより、測定される。
【0005】
それらのセンサの応答レベルを設定するためには、標準物質が使用される。このような計測システムの精度および信頼性を検証するためには、対照が使用される。
【0006】
対照とは、分析すべき試料が存在する同じまたは類似のマトリックス中に含有された既知濃度の分析物を有する溶液である。この対照生成物から生じるアッセイ結果は、このアッセイ方法が予想されるように行われていることを保証するために、予想されるアッセイ結果と比較される。
【0007】
市販の血液ガス分析システムは、1960年代以来、利用されている。最も初期の参照材料は、加圧シリンダー中の気体混合物であったが、これらの材料は、依然として、一般的に使用されている。1970年代には、液状参照溶液の開発が始まり、試薬が精密気体混合物で平衡化されてゼロヘッドスペースを備えた可撓性容器で包装された製品に至っており、これらは、安定性を維持するための冷却または保存中に予想されるpO2変化を補償するための計算手段のいずれかを必要としている。
【0008】
このような分析物用の殆どの品質管理材料は、ガラスアンプル中の蒸気圧計水溶液(溶存気体を含む溶液)からなる。これらのアンプル中の液体上の典型的なガスヘッドスペースは、この製品の寿命中にこの溶液内で起こり得る潜在的酸素消費反応に対して、酸素の蓄積を与える。
【0009】
それらの容器内にガスヘッドスペースがないと、酸素測定用の参照溶液は、安定性を維持するのが困難となる。本発明者は、該不安定性の原因がいくつかあり得ると断定した。
【0010】
まず、この不安定性は、溶存酸素とこの標準物質または品質管理試薬の他の成分との間の反応性に帰因し得る。これらの他の成分は、この溶存酸素と反応して、その濃度を低下させるか、あるいは、これらの他の成分は、互いに反応して、酸素を発生し、それにより、また、その酸素濃度を変えるか、いずれかであり得る。第二に、この溶液は、微生物で汚染され得、これは、その代謝のために、この酸素含量を変え得る。第三に、この酸素は、その包装材料を通って浸透するかまたはそれと反応し得、また、この参照材料の反応性に影響を与える。
【0011】
商業上の流通用に製造される参照材料は、その流通網で遭遇する種々の状態に耐えるように作製しなければならず、また、それらを消費者が使用する時間枠(これは、民間研究所および病院に配送される典型的な検定または品質管理溶液について、通常、少なくとも約6ヶ月、好ましくは、約9ヶ月、さらに好ましくは、およそ1年である)内にて、良好な性能を与えるように、充分に安定でなければならない。さらに、参照溶液は、他の試薬と同様に、取扱が容易で使用に便利であり意図した用途の他の設計要件に合う容器に包装すべきである。このことは、種々の分析機器と共に使用される試薬に当てはまる。血液または他の体液の酸素分圧を測定する機器の使用者は、このような参照材料を必要としており、調節装置と共にシリンダー内にある一般的な精密気体混合物よりも、液状材料が有益である。液状参照溶液は、本来、高圧ガスタンクよりも安価であり、安全であり、そして操作が容易である。
【0012】
pO2を測定する機器で使用される参照溶液は、過去において製造されているものの、それらは、不安定であり、高価であり、複雑であるか、またはその内容物にアクセスするには信頼できない手段であった。いくつかの参照溶液は、分析機器で使用したとき、酸素レベルの低下速度が履歴性能(historic performance)に基づいて予測できることを考慮すると、この機器が予想酸素レベル(該レベルは、この製品の年代から計算可能である)を計算できるようにすることにより、その有用性が延長された[Conlonら、Clin.Chem.,42:6−−Abstract S281(1996)]。一部の開発者は、それが熱密封性(例えば、US 5,405,510−Betts)または低気体浸透性(US 4,116,336−Sorensen)または気密(US 4,163,734−Sorensen)であるゆえに選択したプラスチック材料の内層を取り入れた。この内層が不活性なはずであると開示したものもあるが、いかにしてこのような内層を選択するかについての可能性を提供しておらず(US 4,643,976−Hoskins)、および/または血液ガス目的に適当な精度レベルで酸素を維持できなかった。
【0013】
今日、市場に出ている殆どの血液ガス/電解質/代謝物/CO−Oximetry/ヘマトクリット品質管理(QCs)は、ガラスアンプで供給されており、これは、手で壊して分析者に提供しなければならない。Ruther.H.の米国特許第5,628,353号(これは、1997年5月13日に登録された)は、自動化装置を記述しており、これは、厚い壁を備えた内径の小さい金属チューブを押し付けることにより、ガラスアンプルを壊して開き、アンプルの底に入り、次いで、このアンプルの内容物を分析機器へと吸引する。このような自動化アンプルブレーカーは、機械的に複雑であり、摩耗および故障リスクを受ける可動部品を必要とし、そして破壊されたアンプルガラスの小片からの妨害および閉塞を受け得る。
【0014】
1980年代では、Kevin J.Sullivanは、ガラスアンプルに代わるもの(可撓性ゼロヘッドスペースパッケージ中の血液ガス試薬を有する最初の市販製品)を開示した[米国特許第4,266,941号;第4,375,743号;および第4,470,520号]。いずれのヘッドスペースもなしで、被覆したアルミニウムチューブを、40〜50mLの血液ガスQC溶液で満たした。これらのチューブを加圧缶に封入して、気体がなくなるのを防止し、そしてこれらのQC溶液を血液ガス分析機器の試料経路へと流す力の源泉を供給した。Sullivanの包装設計の1個の容器は、約30本のアンプルの代わりになった。Sullivanの包装は、使用者が多数のアンプルを開く作業および壊れたガラスに付随した危険を軽減した。Sullivanの包装の欠点には、冷却する必要、1年未満の寿命、僅かに3個の分析物のリスト、およびバネ負荷バルブの複雑性およびコストが含まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,266,941号明細書
【特許文献2】米国特許第4,375,743号明細書
【特許文献3】米国特許第4,470,520号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、後述するとおりの特徴を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、詳細に後述するとおりの構成を採用することにより、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、後述するとおりの効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】図1aは、本発明の4側面多層パッケージの側面図である。
【図1b】図1bは、この包装の3個の層を示す断面図である。
【図1c】図1cは、図1aのパッケージの第一末端図である。
【図1d】図1dは、3側面中心継ぎ目パッケージの正面図である。
【図2】図2は、本発明の方法で使用されるアクセス装置の側面図である。
【図3】図3は、プローブの側面図であり、これは、その箔積層体に穴を開け、そして図2のアクセス装置に嵌る。
【図4a】図4aは、本発明の箔積層体容器と共に使用できるクランプ留め位置づけ装置の線図である。
【図4b】図4bは、図4aの装置の上面図である。
【図4c】図4cは、図4aの装置の側面図である。
【図5】図5は、本発明の新規な包装に含まれる典型的な製剤の予測貯蔵寿命を示すアレニウス線図である。
【図6】図6は、耐用寿命研究をグラフで示しており、ここで、代表的な自動化品質管理製剤のpO2は、長時間にわたって測定され、ここで、その穿刺プローブからこの箔積層体パウチの流体選択バルブへと溶液を運搬するのに使用される配管は、Nylon(登録商標)[DuPont;Wilmington,DE,USA]またはHytrel(登録商標)6356[DuPont]のいずれかであった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ガラスアンプルの限界(例えば、その液体の上のヘッドスペースによる気体値の室温に対する感受性、およびそれらを壊して開いたときに形成される鋭い縁部またはアンプル開放中に裂け得る鋭いガラス小片から生じる厄介な問題)を克服するだけでなく、上記Sullivanのゼロヘッドスペース包装の限界も克服する。本発明の安定なpO2を有する多分析物参照溶液は、ゼロヘッドスペースを備えた容器(好ましくは、可撓性箔積層体容器)で包装され、そして約1〜3年の寿命にわたって、室温で安定である。
【0021】
酸素測定のための参照溶液(酸素参照溶液)用の保存容器のさらに別の欠点は、保存中での流体の完全性を維持しつつ、使用のためにこの流体にアクセスするのに、開口部またはバルブが必要なことであった。バルブ構造に利用できる材料およびこのバルブを組み込むためにその障壁層を破る必要性は、流体の安定性を弱め得る。本発明の方法で使用される好ましい箔積層体容器のために本明細書中で開示されたアクセス装置は、その問題を解決する。一体型バルブが簡潔であるために、費用削減および多大な信頼性が得られるはずである。
【0022】
さらに、本発明のゼロヘッドスペース中に安定なpO2を有する多分析物参照溶液は、このような容器1個が、現在、市場に出ている30個またはそれ以上のアンプルの箱に相当し得る点で、費用削減が得られる。さらに、本発明の5レベル品質管理(QC)試薬(これは、5個〜約20個の分析物を制御するのに有用である)中に製剤を合併した点で、費用削減が得られる。pH/血液ガス/電解質/代謝物/全ヘモグロビン(tHb)/ヘマトクリットおよびCO−Oximetry分析物を制御する製剤の数を少なくしたことにより、分析機器システムに対して、時間が節約されるので、さらに多くの患者試料が分析できるようになり、結果的に、アッセイ費用を最小にする。
【0023】
(発明の要旨)
本発明の1目的は、QCおよび標準物質送達の自動化を可能にしつつ、全血分析機器と共に使用されるQCおよび標準物質用の保存容器として、ガラスアンプルの欠点を克服することにあった。1局面では、本発明は、血液分析物を測定する機器用の対照として使用される酸素参照溶液用の保存容器としてのガラスアンプルの問題を克服する。本明細書中では、酸素参照溶液用の新規な可撓性パッケージが開示されている。
【0024】
このパッケージは、積層フィルムから製造され、低い酸素反応性を有するかまたは酸素反応性がない内層(好ましくは、ポリプロピレン)、中間層としてのアルミ箔、およびこのアルミ箔層を物理的損傷(例えば、摩耗または腐食)から保護する外層を包含する。その継ぎ目は熱密封されるのに対して、この積層した層を破ることなく、このバッグの内壁には、その保存期間後にこの溶液へのアクセスを可能にするための任意のアクセス装置が装着される。この箔積層体包装は、機械的に簡単にできる。
【0025】
安定なpO2を有する多分析物参照溶液を容器から血液分析機器へと運搬するための好ましい配管もまた、開示されている。このような配管は、可撓性であり、そして比較的に気体不浸透性であって、10〜100、好ましくは、70〜94、さらに好ましくは、80〜84のデュロメーター(ショアーDスケール)を有する。このような配管には、ポリアミド縮合重合体が好ましく、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体またはポリエステルエラストマーは、さらに好ましく、Nylon(登録商標)[DuPont;Wilmington,DE(USA)]およびHytrel8238(登録商標)[DuPont]は、特に好ましい。
【0026】
本発明の他の目的は、ゼロヘッドスペース容器中で安定なpO2を有する多分析物参照溶液を提供することであり、ここで、これらの溶液は、室温で、少なくとも6ヶ月、好ましくは、少なくとも9ヶ月、さらに好ましくは、少なくとも約1年、さらにより好ましくは、1年より長く、さらにより好ましくは、2年から3年まで、安定である。他の分析物のうち酸素測定に使用されるゼロヘッドスペース環境で多分析物参照溶液の最も不安定な成分は、通常、pO2である。このような多分析物参照溶液のpO2を所定範囲内で維持する方法が提供されている。これらの方法の中心は、酸素反応性である物質を有する参照溶液中にて、この酸素の接触を最小にする原理である。
【0027】
本発明の好ましい箔積層体包装(これは、本発明の安定なpO2を有する多分析物参照溶液を含有する)の裏打ちは、酸素とのその低い反応性について、選択される。この箔積層体(好ましくは、泊積層体パウチ)の好ましいポリプロピレン裏打ちは、それが酸素に対して実質的に不活性であるように、選択された。
【0028】
さらに、本発明の安定なpO2を有する多分析物参照溶液の他の成分用の原料物質(特に、有機原料物質)もまた、低酸素反応性について、選別される。一部の原料物質は、このような多分析物参照溶液のpO2を不安定にするのに充分に酸素反応性である不純物を含有することが分かった。
【0029】
さらに、本発明の目的は、安定なpO2を有する多分析物参照溶液のパネルを提供することであり、これは、実行可能な限り少数の容器中で、約5個〜約20個の分析物(例えば、5個の箔積層体中の品質管理試薬(5レベルQC試薬))を制御し、ここで、各ゼロヘッドスペース容器中には、異なる製剤が存在する。非常に多くの重要な分析物を実行可能な限り少数の容器中で配合することの鍵は、(1)全包括レベル(all−inclusive level)で、低pH/低pO2/低グルコース/低tHb製剤を使用すること;および(2)グルコースから、また、tHbおよび/またはCO−Ox画分をシミュレートするのに必要な染料から、中pO2および高pO2参照溶液を分離することにある。
【0030】
本発明の多分析物参照溶液に対して低いと考えられるpH範囲は、約6.4〜約7.4である。低pO2範囲の例には、約20mmHg〜約75mmHgがある。中pO2〜高pO2の例には、約80mmHg〜約600mmHgがある。典型的な低グルコース濃度は、約10mg/dL〜約80mg/dLである。典型的な低染料濃度は、約5g/dL〜約11g/dLのtHb濃度に対応する。
【0031】
このような試薬を調製する方法は、これらの方法により調製される試薬と同様に、開示されている。さらに、5個の製剤から構成されるこのような品質管理試薬(5レベルQC試薬)の代表的な実施態様が開示されている。
【0032】
本明細書中では、臨床分野にて、本発明のゼロヘッドスペース容器中で安定なpO2を有する多分析物参照溶液を使用することが例示されているものの、それらはまた、酸素分析が必要な他の分野のうちとりわけ、環境分野および生物工学分野で使用され得る。例えば、本発明の溶液は、発酵分析で有用である。
【0033】
(略語および商標)
AQC − 自動化品質管理試薬
Brij 700(登録商標) − 0.01%のBHAおよび0.005%のクエン酸(防腐剤として)を有するポリオキシエチレン100ステアリルエーテル[ICI Americas,Inc.(Wilmington,DE,USA)製の界面活性剤]
CDC − Chiron Diagnostic Corporation(以前は、Ciba Corning Diagnostic Corporation)
COHb − カルボキシヘモグロビン
CO−Ox − それぞれ、全ヘモグロビンおよびヘモグロビン画分(例えば、O2Hb、MetHb、COHb、SHbおよびHHb)を測定するための機器および方法のためのCO−OximeterおよびCO−Oximetry
Cosmocil CQ(登録商標) − ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、20%[Zeneca Biocides(Wilmington,DE,USA)製の殺生物剤]
Dantogard(登録商標) − 水中の32%の1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントインおよび7.5%のヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン[Lonza,Inc.(Fair Lawn,NJ,USA)製の殺生物剤]
EDTA − エチレンジアミン四酢酸
Hct − ヘマトクリット
HDPE − 高密度ポリエチレン
HEPES − 2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸[37℃で7.31のpKa]
HHb − 還元ヘモグロビン
HIDA − N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸
ISE − イオン選択性電極
LLDPE − 線状低密度ポリエチレン
M288 − Model 288 Blood Gas Analyzer[Chiron Diagnostics Corporation:Medfield,MA(USA)]
MetHb−メトヘモグロビン
MIT − メチルイソチアゾロン[Boehringer−Mannheim GmBH(Indianapolis,Ind,USA)製の殺生物剤]
MOPS − 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸[37℃で7.01のpKa]
M.Yellow 7 − Mordant Yellow 7
2Hb − オキシヘモグロビン
P.B.Violet − Patent Blue Violet
PE − ポリエチレン
pCO2 − 二酸化炭素の分圧
pO2 − 酸素の分圧
PP − ポリプロピレン
ProClin 300(登録商標) − 94%の変性グリコール中の3%アルキルカルボキシレートを伴う2.3%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび0.7%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン[Rhom & Haas Co.(Spring House,PA,USA)製の殺生物剤]
PSI − 1平方インチあたりのポンド数
PVC − ポリ塩化ビニル
PVF − ポリフッ化ビニル
QC − 品質管理
Saran(登録商標) − ポリ塩化ビニル[Dow Chemical Company(Midland,MI,USA)]
SHb − スルホヘモグロビン
SRB − スルホローダミンB(染料;CAS #3520−42−1)
tHb − 全ヘモグロビン
TTF − 故障までの時間(time to failure)。
【0034】
(発明の詳細な説明)
(箔積層体包装)
1局面では、本発明は、酸素参照溶液用の新規な可撓性包装に関する。全血分析機器で使用される典型的な酸素参照溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムの塩、pH緩衝液、重炭酸ナトリウム、カルシウムキレート化剤、界面活性剤、および殺生物剤を含有し、これらは、充填前には、二酸化炭素/酸素気体混合物で、部分真空下にて、平衡化されている。典型的な酸素分圧は、約30mmHgから約700mmHgまでであるが、2000mmHg程度の高い分圧(すなわち、常態よりも高い分圧)は、0程度の分圧(酸素は存在しない)と同様に、使用できる。
【0035】
本明細書中で記述した包装は、その包装材料として多層フィルムを使用することにより、この酸素参照溶液を安定化する。さらに、このパッケージは、この溶液を除去するための独特のアクセス装置を包含する。このアクセス装置は、この容器の外側に露出していない。その代わりに、それは、この容器内に密封されており、その結果、このアクセス装置をこのパッケージの継ぎ目内またはこの容器の壁を通って密封することとは対照的に、その使用前の保存中に、このシールの回りで漏れが発生することはない(この場合、それは、密封されていると予想される)。
【0036】
本明細書中で記述した箔積層体包装は、新規である。第一に、この包装材料は、その内層が酸素と反応性でないことについて、選択される。第二に、その層の厚さは、以前の可撓性パッケージの厚さとは異なる。第三に、本明細書中で記述したパッケージは、任意の新規なバルブまたはアクセス装置を有し、これは、漏れの量を少なくして、この容器の内容物の完全性を良好に維持する。第四に、この技術領域の全ての従来技術は、そのパッケージの全周の回りに1個の連続シールの保証を備えた4側面バッグに基づいていたのに対して、本明細書中では、3側面中心シールパウチが開示されており、これは、適当な場所で、そこを通って密封するための積層体の2個の層を有し、他の場所で、その4個の層を有し、また、1バックあたり6個の応力点(ここで、積層体が360°で折り畳まれ、従って、気体交換を可能にする薄いチャンネルが得られると予想され得る)を有する。
【0037】
本発明の箔積層体包装は、その内容物を温度および大気圧の変化に対して非感受性とするために、この酸素参照溶液の上に気体のいずれかのヘッドスペースなしで、真空下にて、充填される。適当な充填容量は、10mLと1000mLの間、好ましくは、約20〜250mLである。
【0038】
この多層箔積層体包装は、「フィルム」の表題の表題にて、以下で詳細に記述する。このアクセス装置は、同様に、「アクセス装置」の表題にて、以下で詳細に記述する。
【0039】
(安定なpO2を有する多分析物参照溶液)
他の局面では、本発明は、ゼロヘッドスペース容器(好ましくは、本明細書中で記述した可撓性箔積層体包装)にて、安定なpO2を有する多分析物参照溶液を調製する方法に関する。「安定なpO2を有する多分析物参照溶液」との語句は、本明細書中では、pO2+1個またはそれ以上の分析物用の標準物質または対照として使用される参照溶液を意味するように定義されており、ここで、該参照溶液のpO2は、所定範囲内で維持される。このような範囲の代表例には、規定値±4mmHg、あるいは、規定値±2%、好ましくは、±1%である。
【0040】
安定なpO2を有する多分析物参照溶液の例には、以下が挙げられる:(1)pO2、pHおよびpCO2を検定または制御する安定なpO2を有する血液ガス参照溶液;(2)pO2、pH、pCO2および電解質(例えば、Na+、Cl-、K+、Ca++、Li+およびMg++)を検定または制御する血液ガスおよび電解質参照溶液;(3)pO2、pH、pCO2および代謝物(例えば、グルコース、乳酸塩、ビリルビン、尿素およびクレアチニン)を検定または制御する血液ガス/電解質および代謝物参照溶液;(4)血液ガス/電解質/代謝物およびtHb参照溶液;(5)血液ガス/電解質/代謝物/tHbおよびCO−Ox画分参照溶液;(6)酸素測定に使用される参照溶液であって、pH、CO2、電解質、代謝物、tHb、CO−Ox画分およびHctから選択される1個またはそれ以上の他の分析物を検定または制御する参照溶液。
【0041】
本発明の安定なpO2を有する多分析物参照溶液により検定または制御されるpO2範囲としては、0mmHgと1000mmHgの間の範囲、20〜700mmHgの範囲および30〜500mmHgの範囲が典型的である。血液ガスを検査する本発明の多分析物参照溶液により検定または制御される代表的なpO2範囲は、0〜150mmHgの間の範囲、5〜100mmHgの範囲、および15〜75mmHgの範囲がある。
【0042】
1〜約3年の所望の寿命にわたって、安定なpO2を有する多分析物参照溶液のpO2を所定範囲内で維持するための方法は、「安定なpO2を有する多分析物参照溶液を調製する方法」の表題にて、以下で詳細に記述されている。
【0043】
本発明の代表的な5レベルQC試薬は、「代表的なQCおよび標準物質試薬の分析物レベルおよび製剤」の副題にて、以下で記述されている。重要な全包括的レベル(以下にレベル3で例示される)は以下にその副題で記述する。
【0044】
(安定なpO2を有する多分析物参照溶液を調製する方法)
他の測定のうち、酸素測定に使用されるゼロヘッドスペース容器中の多分析物参照溶液の最も不安定な成分は、通常、pO2である。このような多分析物参照溶液のpO2を所定範囲内(すなわち、例えば、規定値±4mmHg、あるいは、±2%、好ましくは、±1%)で維持する方法が提供されている。
【0045】
ゼロヘッドスペース容器中の多分析物参照溶液中のpO2の安定性を維持する方法の中心は、このような溶液中の酸素の酸素反応性材料との接触を最小にすることである。以下に詳述するように、本発明の安定なpO2を有する多分析物参照溶液用の箔積層体包装の裏打ちは、酸素とのその低い反応性について、選択される。PPは、本発明の可撓性ゼロヘッドスペース包装に好ましい裏打ち材料である。
【0046】
さらに、安定なpO2を有する多分析物参照溶液を調製する本発明の方法は、低酸素反応性または酸素反応性を有しないことについて選別された成分で、このような参照溶液製剤を調製することを包含する。代表的な原料選別工程は、以下で提供する。低酸素反応性または酸素反応性を有しないことについて、有機物質を選別することは、特に重要である。以下で示すように、一部の原料物質は、ゼロヘッドスペース容器中のこのような多分析物参照溶液のpO2を不安定にするのに充分に酸素反応性である不純物を含有することが分かった。
【0047】
さらに、実行可能な限り多くの重症者管理分析物を検出するために、最小数のゼロヘッドスペース容器にて、安定なpO2を有する多分析物参照溶液を調製する方法が提供されている。以下では、このような製剤の例を述べる。再度、低酸素反応性は、安定な製剤を調製するのに重要である。全包括レベルを調合することが重要であり、ここで、このpO2は、低pH(例えば、pH 7.13または7.15)で、および低グルコース濃度(例えば、46または50mg/dL)および低染料濃度で、低い(例えば、30mmHg、40mmHgまたは50mmHg)。
【0048】
さらに、このような試薬の他のレベルに関して、中pO2および高pO2を検査する製剤を、グルコースから、また、tHbおよび/またはCO−Ox画分をシミュレートするのに必要な染料から分離することは、重要である。代表的な製剤を以下に提供する。
【0049】
(代表的なQCおよび標準物質試薬の分析物レベルおよび製剤)
分析機器の試験時間を最大にし費用を最小にするように、本発明の多分析物参照溶液パネル[すなわち、好ましい品質管理(QC)試薬]用の最小数の製剤を調製することが望ましい。しかしながら、本発明の包装でヘッドスペースがないことにより、従来のガラスアンプル包装(これは、容量ごとの基準で、溶液中よりもヘッドスペース中にて、大体、32倍多くの酸素を有する)とは異なり、本発明の包装が酸素の蓄積を有しないという点で、最大数の分析物を検査する製剤の数を最小にするという目標は、困難となる。酸素の蓄積がないと、これらの溶液中の有機物質(例えば、グルコース、およびヘモグロビンをシミュレートするのに使用する染料)、またはこのような原料物質中の不純物は、溶液中に存在する酸素と反応して、それにより、溶液中のpO2が低下する。
【0050】
非常に多くの重要な分析物を実行可能な限り少数の容器中で配合することの鍵は、(1)全包括レベルで(本明細書中ではレベル3が代表する)、低pH/低pO2/低グルコース/低tHb製剤を使用すること;および(2)グルコースおよび染料から、中pO2および高pO2参照溶液を分離することにある。5レベル品質管理試薬の典型的な製剤を、以下で提供する。このような5レベルQCは、約5個〜約20個の分析物、好ましくは、約12個〜約20個の分析物(これは、pH、pO2、pCO2、電解質、代謝物、ヘマトクリット、tHbおよびCO−Ox画分を含有する)を組み合わせる。このようなQC試薬の全包括レベルは、以下の分析物レベルを制御する:
(1)低pH(約6.4〜約7.4、さらに好ましくは、約6.8〜約7.3、さらにより好ましくは、約7.1〜約7.2);
(2)約20mmHg〜約75mmHg、さらに好ましくは、約25mmHg〜約70mmHg、さらにより好ましくは、約30mmHg〜約60mmHgのpO2;および
(3)約10mg/dL〜約80mg/dL、さらに好ましくは、約30mg/dL〜約60mg/dLの低グルコース濃度;および
(4)約5g/dL〜約11g/dL、好ましくは、約6g/dL〜約10g/dL、さらに好ましくは、約7g/dL〜約9g/dLのヘモグロビン濃度に対応する低染料濃度。
【0051】
以下の表1は、本発明の代表的な5レベル自動品質管理試薬(「5レベルAQC」)用の典型的な分析物レベルを示す。
【0052】
【表1】


さらに、これらの参照溶液の分析物レベルは、分析物としてのtHbだけでなく、他のCO−Ox画分(表1で示したO2Hb、COHb、MetHb、SHbおよびHHb)も含むことが好ましい。従って、以下のように、代表的な全包括レベル(レベル3)により、16個の分析物が制御される:
血液ガス pH、pCO2、pO2
電解質 Na+、K+、Ca++、Mg++、Cl-
代謝物 グルコース、乳酸塩、ビリルビン
CO−Ox tHb、O2Hb、COHb、MetHb、HHb。
【0053】
表2は、5レベルAQCを調製するのに使用できる代表的な製剤を示す。Hct、クレアチニンおよび尿素だけは2レベルでモニターするのが好ましいものの、他の分析物は、5個の製剤にて、3レベルでモニターされる。
【0054】
【表2】


(典型的な好ましい全包括レベル(レベル3)製剤)
5レベルAQCの好ましい全包括レベル(ここで、レベル3と称する)製剤は、約5個〜約20個、好ましくは、約12個〜約18個、さらに好ましくは、約14個〜約16個の分析物を制御する。以下は、14個の成分を含有する典型的な好ましい製剤である:
【0055】
【表20】


加速安定性研究は、その好ましい全包括レベル(レベル3)製剤について、以下で開示する。
【0056】
以下の分析物レベルは、好ましい全包括レベル(レベル3)製剤から得た:
【0057】
【表21】


加速安定性研究を実行して室温での予想寿命に対するアレニウスプロットを作成するために、そのロット全体から得たバッグをランダムに選択し、そして適当な時間間隔にて、高温で、応力を加えた。使用した方法は、以下で記述する方法と類似していた。pO2(最も安定性の低い分析物)に対する結果を、表3で示す。
【0058】
【表3】


以下の表は、推定寿命を誘導するためのアレニウス計算を示す。
【0059】
【表4】


代表的なレベル3製剤について、相関係数として0.94を用いて、875週間(すなわち、17年間)の予定室温寿命が見積もられた。大ざっぱなやり方(これは、10℃の反応温度の上昇あたりの反応速度の最小変化が、2倍の増加であるという事実に頼っている)を使用して、さらに控えめな見積もりを行うことができる。45℃で2ヶ月目の故障に基づいて、本発明者は、25℃で、少なくとも8ヶ月まで、故障は起こらないと推定している。しかしながら、本発明者は、10℃上昇あたりの反応速度の増加が、3倍未満のいずれかであることは殆どありそうにないと考えている。従って、本発明者は、代表的なレベル3製剤の寿命の現実的であるが依然として控えめな見積もりが、少なくとも18ヶ月であると考えられている。
【0060】
(製剤の調製)
本発明の製剤を調製するには、上で挙げた気体レベルを達成するために、全ての溶液は、適当な気体を用いた蒸気圧測定(tonometry)を必要としている。気体値は、レベル4および5について、上で常に挙げられているとは限らないものの、蒸気圧測定は、依然として、これらの気体センサに対するヒステリシスおよびドリフト効果を最小にする気体レベルを達成するために、望ましい。
【0061】
この蒸気圧測定は、25℃または37℃または50℃のような温度で実施でき、もちろん、温度の選択は、この蒸気圧測定気体の組成に影響を与える。さらに重要なことには、蒸気圧測定は、大気圧以下(好ましくは、300〜500mmHgの範囲)で実行すべきであり、その結果、もし、これらの溶液を高地(ここでは、大気圧は、通常よりも低い)、または温暖環境で使用するなら、気体放出が起こらない。明らかに、この蒸気圧測定温度が高くなる程、この蒸気圧計で許容される圧力が高くなる。適当な条件の一例は、450mmHgで37℃であり、この場合、レベル2QC用の気体組成は、10%のCO2、25%のO2および65%のN2である。
【0062】
本発明の製剤に好ましい典型的な染料は、表2(上記)で挙げている。これらの染料は、Li,J.,EP 0743 523 A2(これは、1996年11月20日に公開された)で開示されている。
【0063】
(緩衝液)
HEPESおよびMOPSは、本発明の製剤に好ましい緩衝液である。MOPSは、特に好ましい緩衝液である。他の適当な緩衝液システム(ナトリウム塩誘導体を含めて)は、Goodら、Biochemistry,5:467〜477(1966)およびFergusonら、Analytical Biochemistry,104:300〜310(1980)により、記述されている。
【0064】
(貯蔵寿命および耐用寿命)
本発明の1目的は、本発明のQCおよび標準物質製剤の貯蔵寿命および耐用寿命を延ばすことにある。許容できる貯蔵寿命(すなわち、閉じたパッケージの寿命)は、約1年である。好ましい貯蔵寿命は、約1〜2年であり、約1〜3年は、さらに好ましい。
【0065】
許容できる耐用寿命(すなわち、開いたパッケージの寿命)は、約2週間、好ましくは、約2週間〜約1ヶ月、さらに好ましくは、約2週間〜約2ヶ月である。この耐用寿命は、以下で記述するように、このアクセス装置から血液分析機器へと参照溶液を案内するための配管材料を適当に選択することにより、延長される。
【0066】
本発明者は、いかにして、これらの製剤が、pO2を不安定化することにより、貯蔵寿命に影響を与えるかについて、重要な要素を発見した。1つの研究は、非常に簡単な製剤(これは、(この蒸気圧測定気体中のCO2を中和するための)重炭酸ナトリウムと、(この溶液がこの蒸気圧計および充填剤中で正常に挙動するように、適当な表面張力を形成するための)Brij 700界面活性剤とだけを含有する)と、完成した10成分製剤とを比較した。このデータは、表5および6で要約する。
【0067】
【表5】

【0068】
【表6】


このアレニウス予測に対する相関性は、2成分製剤について、0.99999であり、また、10成分製剤について、0.9999(r)であった。8個の追加化学物質(無機化合物であるNaCl、KCl、CaCl2、NaOH、および有機化合物であるクエン酸、グルコース、MOPS(pH緩衝液)、およびProClin 300(殺生物剤))を添加することにより、そのpO2は、この簡単な2成分製剤と比較して、5〜6倍不安定になったことが分かる。25℃に対する貯蔵寿命見積もりは、この2成分製剤に対する34ヶ月から、この10成分製剤に対する6ヶ月まで低下した。それゆえ、これらの8個の化学物質の一部または全部は、この可撓性バッグ中の水溶液中の酸素と反応して、貯蔵寿命の早期喪失を引き起こした。
【0069】
従って、本発明者による研究により、成分間の相互作用もまた不安定化できることを理解して、多くの成分(各々は、潜在的に、酸素と反応できる)を有するゼロヘッドスペースパッケージ中で安定なpO2を達成することは困難であることが明らかとなった。具体的には、試験結果により、グルコース、およびヘモグロビンをシミュレートする染料は、酸素と反応できることが示唆されている。これらの化学物質の酸素反応性は、本発明者がQCレベル4および5の化学物質をQCレベル1および2から分離することを好む1つの理由である。しかしながら、本発明者は、このQC全包括レベル(レベル3)が、他の9個の分析物と共にこれらの3個の分析物を含有することを認めているが、全包括レベル3製剤は、以下の理由から、うまく機能するはずであると断定した:
1.pH 7.15では、グルコースは、2つのさらに高いpHレベルにおけるよりも安定である;
2.グルコースおよびHb−シミュレート染料のレベルは、全く低い;および
3.そのpO2は、低い。実際、この低いレベルでの真のpO2は、大体、測定したpO2の半分である。
【0070】
それゆえ、本発明者は、レベル3の独特の特性により、6個よりもむしろ5個の容器中でのQCの包装が可能となって一定時間にアッセイすべきさらに多くの患者試料を有する顧客には有利であることを発見した。
【0071】
(ゼロヘッドスペース包装とアンプルとのpO2安定性の直接比較)
ガラスアンプル中の通常の多分析物QC製剤(これは、米国特許第5,637,505号の表Aでの製剤と類似している)と、本発明のゼロヘッドスペース箔積層体パッケージの同じ製剤とを比較するために、研究を実施した。この箔積層体包装工程でほぼ同じpCO2およびpO2値を達成するために、この箔積層体パウチを、適当な気体での部分真空下にて蒸気圧測定したQC溶液で満たし、次いで、これらの溶液をゼロヘッドスペース積層体パウチへとポンプ上げして、以下で示すように低温殺菌した。次いで、上記方法に従って、限定加速安定性研究を実施した。これらの研究により、以下の比較を行うことが可能となった。
【0072】
【表7】


6つの倍率の間では、14倍という低い値と、それより3倍大きい値(42倍)との間には、相当な開きがあることが分かる。このデータから、比較的に不活性なゼロヘッドスペースパッケージ中でpO2安定性を維持することは、その溶液容量の少なくとも半分のヘッドスペースを有するパッケージ中でpO2安定性を維持することより、少なくとも一定規模(an order of magnitude)で困難であると結論できる。
【0073】
(原料選別試験)
本発明の製剤の成分に対する代表的な選別試験は、この節の研究により、示される。水浴中にて、50℃で、ガラス容器中にて、脱イオン水を平衡化することにより、同じ規定レベルのpO2を有する溶液を同時に調製した。この水浴の温度は、高温での応力サイクル中に酸素が出ていくのを回避するために、少なくとも、以下の加速試験で使用するつもりの温度と同程度に高くしなければならない。
【0074】
特に、1つまたは2つの主要な誘因とは対照的に、数個の些細な誘因が存在し得る場合には、個々の成分の酸素消費を拡大するために、それらの正常な使用レベルよりも上に、その濃度を高めるのが望ましい。この研究では、本発明者は、濃度を5倍高めた。
【0075】
本発明者は、「貯蔵寿命および耐用寿命」の表題にて上で記述した研究での2成分製剤に添加した8個の化学物質を単離した。これらの8個の化学物質は、無機化合物であるNaCl、KCl、CaCl2、NaOH、および有機化合物であるクエン酸、グルコース、MOPS(pH緩衝液)およびProClin 300(殺生物剤)である。しかしながら、中性pH範囲(6〜8)で試験するために、一部の化学物質は、一緒に試験しなければならなかった(すなわち、MOPSとNaOH、およびクエン酸と重炭酸ナトリウム)。効率的にするために、これらの3個の塩化物塩は、これらの無機化合物が酸化反応を遅くする重要な誘因ではありそうにないという予測に基づいて、共に試験した。既に述べた8個の化学物質に加えて、本発明者はまた、代替pH緩衝液であるHEPES、および2個の染料、SRBおよびMordant Yellow 7も試験した。
【0076】
ガラスビン中の予め暖めた脱イオン水に化学物質を添加し、そして逆さにすることにより、混合した。全ビン中の全ての化学物質を溶解したとき、その溶液を、3側面で密封したバッグに注ぎ、続いて、直ちに、その液体レベルの下の第四側面を密封した。44時間/65℃の低温殺菌工程後、これらのバッグの半分を室温で放置しつつ、他の半分には、50℃で、12日間にわたって、応力を加え、続いて、室温まで冷却した。対照および応力バッグを、2個のモデル288s上にて、1回の実験で、pO2について試験した。以下の結果を得た:
【0077】
【表8】


これらの結果から、以下のことが明らかとなる:
1.グルコースおよびMordant Yellow 7は、最も著しく酸素反応性がある;
2.ProClin 300は、中程度に酸素反応性である;
3.MOPS、HEPES、および3個の塩化物塩は、比較的に非反応性である;および
4.SRBおよびクエン酸/重炭酸塩/Brij混合物についての結果は、バック間の変化が過大であったために、確実ではなかった。しかしながら、さらに、実質的に類似の選別を行うことにより、SRBは、中程度に反応性であること、およびクエン酸、重炭酸ナトリウムおよびBrijは、比較的に反応性しにくいことが明らかとなった。
【0078】
Mordant Yellow 7に関して、上では、著しく酸素反応性であることが明らかになったが、本発明の製剤では、他の黄色染料または(例えば、他の源から得た)酸素反応性の低いMordant Yellow 7を使用することが好ましいと結論づけることができる。tHbが、検査する唯一のCO−Oximetryであるとき、赤色染料が充分である。SRBは、赤色染料であり、選別した特定のSRBは、中程度に反応性であることが分かった。さらに低い酸素反応性を有するSRBまたは他の赤色染料について、他の源から得たSRBまたは他の赤色染料を選別することが好まれ得る。しかしながら、表4の加速安定性結果から、上で選別したSRBおよびMordant Yellow 7染料を含有するレベル3製剤は、1年よりずっと長い貯蔵寿命を有することが明らかである。このような製剤の貯蔵寿命は、さらに低い酸素反応性を有する染料を選別してその中に組み込むことにより、さらに延長され得る。
【0079】
(pO2不安定性に対するグルコースの効果)
下記の研究において、pO2安定性に対するグルコースの強力な不安定化効果が認められた。この研究は、pH 6.8で150mmHgのpO2標準物質中にて1.8g/Lで使用した2個のグルコース源(Fluka Chemical Corp.[Ronkonkoma,NY(USA)]製のもの、およびSigma Chemical Co.[St.Louis,MO(USA)]のもの)と、いずれのグルコースの添加しなかった同じ標準物質とを比較した。これらの溶液に対して、限定加速安定性試験を行って、以下の結果を得た。
【0080】
【表9】


以下のことが分かる:
1.両方の温度にて、両方のグルコース源は、少なくとも、そのpO2減少を2倍にする;および
2.2個のグルコース源の間の差は、比較的に僅かである。
【0081】
それゆえ、これらの結果は、上記の原料選別に関する節で報告した結果と、極めてよく一致する。さらに、その源が比較的に軽微な役割しか果たしていないと思われるので、これは、その酸素反応性がグルコースに固有である(このことは、本発明者がこの研究に着手する前には、明らかではなかった)ことを示唆している。
【0082】
グルコースについて、以下の少なくとも3つの周知の分解機構がある:
1.もし、グルコースオキシダーゼが存在するなら、酸素とのと反応により、グルコン酸を形成する;
2.もし、ヘキソキナーゼが存在するなら、ATPとの反応により、グルコース−6−リン酸を形成する;および
3.アルカリ転位により、まず、フルクトースを形成し、その後、マンノースを形成する。
これらの最初の2つは、血中グルコースレベルを測定するために、臨床化学アッセイで広く使用されている。3番目は、弱い塩基性pHにおいてさえ起こり、グルコースアッセイに関連して使用される品質管理でのグルコース不安定性に対する最も一般的な経路である。
【0083】
これらの3つの一般的な反応のいずれも、本発明の製剤中でのグルコースと酸素との間の推定反応を説明しない。何故なら、そのうち1つだけが酸素を反応物として挙げており、その場合にも、その必須酵素は、本発明者の製剤では存在していない。さらに、グルコース減少モル数と酸素減少モル数との間の化学量論は、述べられておらず、また、1:1の関係は、発見されていなかった。
【0084】
【表10】


そのグルコース損失は、その酸素損失よりも相当に大きいことが分かる。余分なグルコース損失は、酸素を消費しない反応に依るにちがいない。
【0085】
(フィルム)
この容器に使用されるフィルムは、多層化され、その内層には、低い酸素反応性を有するかまたは酸素反応性がない材料(好ましくは、ポリプロピレン(PP))を使用し、その中間層には、アルミ箔を使用し、そしてこのアルミニウム層を保護する外層(好ましくは、ポリエステル)を使用する。この外層は、単に、このアルミニウム層に対して保護を与え、摩耗および腐食を防止する。それゆえ、例えば、ナイロン層、または簡単なラッカー被覆でさえ、適当な代替物となる。[ナイロンは、高強度の弾性合成材料の一群であり、その長鎖分子は、繰り返しアミド基CONHを含有する。「ナイロン」との用語は、E.I.duPont de Nemours & Co.Inc.にて、その発明者により作り出された]。しかしながら、この外層は、PPの融点(これは、約170℃である)よりも高い融点を有するべきである。
【0086】
このアルミニウム層の重要なパラメータは、ピンホールが存在しない程度に充分に厚い(それにより、酸素の物理的な漏れが防止される)が、自動化機械上のパウチに容易に形成できて、充填した後、その内容物を取り除くときに、容易に潰すことにより、過度な力なしに、この内容物を放出する程度に充分に薄いことである。
【0087】
そのPP内層は、いくつかの理由のために、重要である。第一に、それは、融解して、このパッケージを閉じるシールを形成しなければならない。第二に、それは、酸素と反応しないものでなければならない。本発明の目的のために、この包装材料を従来使用されていたものと区別するのは、この第二の因子である。
【0088】
本発明者の知る限りにおいて、この積層体は、科学的、医学的、分析的な目的のために、気体を溶解した高精度溶液を含有する包装製品には、決して、商業的には使用されていなかった。このPP裏打ち積層体が、化学製品用の酸素障壁として使用されることは、他に知られていない。酸素標準物質の以前の製造業者(Mallinckrodt Sensor Systems,Inc.,Ann Arbor,MI)は、フィルムを積層して標準物質を包装したが、その密封内層として、ポリエチレンを使用した。このPP裏打ち積層体は、主として、食品用に使用されており、このポリプロピレン密封層が高い融点である(それにより、この材料は、蒸気オートクレーブまたは類似の設備にて、殺菌に適当となる)ために、選択された。
【0089】
種々の業者から得たフィルムを、その中に保存した溶液の溶存気体濃度を維持する際の有効性について、評価した。フィルムは、Kapak Corp.(Minneapolis,MN;部品番号50703)、American National Can Co.(Mount Vernon,OH;部品番号M−8309、M−8359、M−8360)、James River Corp.(Cincinnati,OH;部品番号JR 4123、JR 4400)、Technipaq,Inc.(Crystal Lake,IL;「Dull Foil Laminate」)、Lawson Mardon Flexible,Inc.(Shelbyville,KY;仕様番号13362および15392)、Smurfit Flexible Packaging(Schaumburg,IL;LC Flex 70459、70464)、およびRollprint Packaging Products,Inc.(Addison,IL;RPP #26−1045)から得た。4側面バッグは、3側面予備密封バッグと共に購入したか、またはToss Machine Components,Inc.(Bethlehem,PA)製のモデル01617衝撃熱密封機を用いて形成したか、いずれかであった。この3側面密封バッグを、種々の参照溶液で満たし、直ちに、この液体で密封して、このパッケージの内側にヘッドスペースがないようにした。ある場合には、このバッグ内に保存した参照溶液中の酸素分圧の安定性を高めるために、充填し密封したバッグを、約50℃と121℃の間の高温で、その温度に依存して15分間〜7日間の範囲の時間にわたって、熱処理した。
【0090】
図1aは、密封バッグ1を示し、このバックの内部にあるアクセス装置5の1つの可能な位置が示されている。このバッグの密封部分6もまた、示されている。図1bは、好ましいフィルムの3個の層(ポリプロピレン内層2、アルミニウム中間層3、およびポリエステル外層4)を示す。
【0091】
一部の充填バッグは、室温で放置した;他は、種々の時間にわたって、高温で保存した。この試験および引き続いた試験の報告を簡単にするために、本発明者は、比較の基準として、55℃で1週間の保存を使用した。そのインキュベーターから試験バッグを取り除いた後、室温まで冷却し、そして同じ実験にて、対照バッグと共に、2個の重症者管理分析機器[一般に、Chiron Diagnostics Corporation(Medfield,MA,USA)により製造された200 Series Critical Care Diagnostic Systemsから選択された;278は、しばしば、288と共に使用された]で試験した。特に、一連の6回の研究において、そのpO2結果を調べた。試薬組成およびパッケージ表面−容量比のような条件の差のために、そのpO2の差は、直接的には比較できない。従って、全ての結果は、相対評点に変換し、この場合、最も安定な積層体には、1.00の評点を割り当て、他の全ての積層体には、ΔpO2比を基準にして、評点を割り当てた。この変換を用いて、以下の結果が得られた:
【0092】
【表11】


好ましい積層体および最も好ましい積層体は、以下で示す厚さの内部PPライナー、以下で示すアルミニウム中間層、およびポリエステル外層を有する。(この外層の厚さおよび材料選択は、最も重要性が低く、ある程度変えることができる)。許容できるフィルム厚さもまた、示されている。ミル(1/1000インチ)で示した層の概算厚み:
【0093】
【表12】


他の許容できる層は、この内層について、0.5〜2ミルのポリエステル、この外層について、0.2〜2ミルの厚さのナイロンかまたはラッカー被覆か、いずれかを含有する。ポリエチレンが内層として許容できることは、発見されていなかった。
【0094】
これらのフィルム層のいずれかが厚すぎると、好ましくない特性が生じる。すなわち、この積層体は、堅くなりすぎて、製造中に形成し充填するのが困難となり、また、使用中に、このパウチ/バッグからこの液体内容物を排水するのが困難となる。さらに、もし、このアルミニウム層が薄すぎるなら、ピンホールを生じる公算が大きく、これは、気体の漏れを引き起こし得る。もし、この密封層が薄すぎるなら、強力なシールに必要な高圧下にて、このシールでの熱密封の瞬間に、全体的に位置ずれし得、それにより、酸素と反応する裸のアルミニウムを露出する。
【0095】
安定性試験により、このPP裏打ちフィルムは、このポリエチレンフィルムよりも好ましいことが明らかとなった。製品の貯蔵寿命を予測するアレニウス法は、インビトロ診断および製薬工業において、充分に確立されている(Connersら、「Chemical Stability of Pharmaceuticals:A Handbook for Pharmacists」、NY:Wiley,1986;Porterfield & Capone,MD&DI 45−50,1984年4月;Anderson & Scott,Clin Chem,37:3,398〜402,1991;Kirkwood,Biometrics,33,736〜742,1977年12月)。製品は、種々の時間にわたって、高温で保存され、それに続いて、室温で再平衡化され、そして臨床特性(例えば、成分または測定分析物の活性)について、非応力対照に対して、試験される。所定分析物の変化速度(さらに便利には、故障までの時間)は、しばしば、時間に対するlog(C/Co)をプロットすることにより、各温度について決定され、これは、最も一般的な一次反応に対して、一次関数である。log(故障までの時間)と、その絶対温度の逆数(1/K)との間で、線形の関係があるために、この高温データから、プロットが作成でき、得られた線は、最高推奨保存温度に延長されて、その温度での故障までの時間が予測できる。このようにして、実際の貯蔵寿命が予め予測できる。
【0096】
ポリエチレン裏打ちバッグを用いて早期に予測した貯蔵寿命では、酸素参照溶液を満たした仕上げパッケージを、35℃、45℃および55℃で、その保存温度に依存して(低い保存温度では、長い時間を用いる)、4日間〜8週間の範囲の時間にわたって、保存した。各試験条件は、2個の血液ガス分析機器[Chiron Diagnostics Corp.(CDC)(上記)により製造された200シリーズ]で試験した4個のバッグを含んでいた。故障までの時間(TTF)は、pO2の2%変化として、規定した。
【0097】
【表13】


1/Kの関数としてlog(ttf)をプロットすることに基づいて、上記データを回帰分析することにより、このポリエチレン裏打ちバッグに保存した酸素参照溶液の3ヶ月の予測25℃貯蔵寿命が得られる。その相関係数rは、0.98である。
【0098】
そのポリプロピレン研究では、酸素参照溶液を含有する仕上げパッケージを、35℃、40℃、45℃および55℃で、その保存温度に依存して(低い保存温度では、長い時間を用いる)、1〜9週間の範囲の時間にわたって、保存した。各試験条件は、2個の血液ガス分析機器[CDC製の200シリーズ(上記)]で試験した3個のバッグを含んでいた。その一次モデルを使用して、故障までの時間を測定し、この場合、故障は、pO2の2%変化として、規定した。
【0099】
【表14】


4個のTTFを用いて、アレニウスプロットを作成し(図5を参照)、この場合、故障までの時間(週)(TTF)は、温度の逆数1/K(これは、図5では、Tとして示されている)の関数として、示される。(1/Kは、ケルビン温度の逆数である)。25℃への線形外挿は、0.066mmHG/週の平均pO2変化について、61週間(すなわち、14ヶ月)である。この予測の信頼性は、4点間の線形性の高い関係によって確認され、相関係数rは、0.99である。1.00の評点は、全ての点が直線上に入ることを意味する;0.00の評点は、log ttfと1/Kとの間に関係が存在しないことを意味する。(例示したアレニウスプロットに対する等式は、log y=−19.48+6339xであることが分かったことに注目)。
【0100】
ポリプロピレン裏打ちバッグ中の酸素参照溶液の得られた予測貯蔵寿命は、ポリエチレン裏打ちバッグで保存された酸素参照溶液に対して予測された貯蔵寿命よりも4〜5倍の改善に相当している。それはまた、「Cal B」(これは、Mallinckrodt Sensor Systems,Inc.[Ann Arbor,MI(USA)]により、販売された)として知られている当該技術製品の最近の状況よりも、ほぼ10倍の改善に相当している。そのシステムに付随しているGEM(登録商標)Premier Analyzerのソフトウエアは、このCal B標準物質をその予想商用使用期間にわたって使用できるようにするために、製造以来ずっと経過した週ごとに、その初期割り当てpO2から、0.58mmHgのpO2を自動的に差し引いている。もし、この計算のためではなく、本発明者の2%基準を使用するなら、その貯蔵寿命は、僅かに7週間になり、これは、明らかに、この製品の商用用途のための時間としては、短すぎる。さらに、実際のCal Bの貯蔵寿命である6ヶ月は、その全カートリッジの貯蔵寿命を僅か6ヶ月に制限し、これは、インビトロ診断用製品の最低実用貯蔵寿命であると言える。他方、14ヶ月は、明らかに、許容できる貯蔵寿命である。
【0101】
PP裏打ち積層体の使用を妨げる他の要因には、その高い堅さおよび高い融点がある。PPデュロメーター硬度は、ショアーDスケール(ASTM Designation:D 2240−91 American Society for Testing and Materials,Philadelphia,PA)で、PEに対する僅か44〜48と比較して、70〜80である。堅さは、高い表面:容量比(これは、貯蔵寿命を改善する)を妨げ、そして成形/充填/密封機の自動化をさらに困難にする。PEに対する僅か137.5℃と比較して、PPの融点が高い(171℃)ことから、これらのバッグを密封するのに、さらに多くのエネルギー、時間、またはそれらの両方が必要となる。
【0102】
この包装方法での他の変更は、可能である。例えば、パッケージの表面積とこのパッケージ内の溶液および気体の容量との比を小さくする他の形状のパッケージ(例えば、共に密封した2個の円形フィルム断片)は、このフィルムに対するこの溶液および気体の露出をさらに少なくし、その酸素分解をさらに少なくする。本明細書中で開示された包装はまた、酸素のほかに他の気体を含有する蒸気圧策定(tonometered solution)した溶液を保護するのに、効果的である。さらに、種々の形状の包装(例えば、3側面シールまたは側面継ぎ目;4側面密封したもの;ガセット付きパッケージ;または「スタンド−アップ」パウチ)が使用できる。(例えば、図1c(これは、4側面密封したものを示す)と図1d(これは、これは、3側面シールを示す)とを比較せよ)。これらの異形パッケージは、この包装方法の有用性に影響を与え、単なる設計上の代替物ではない。他の異形は、この技術分野の専門家に明らかとなる。
【0103】
(アクセス装置)
このアクセス装置は、このパッケージの内側に装着される。装着は、例えば、接着剤、熱結合、超音波溶接などによって、利用可能ないずれかの技術を用いて、達成できる。このアクセス装置は、このパッケージの任意の部品であり、この容器の内容物を長期の保存期間後の一定期間にわたって使用するとき、特に有用である。以前の方法では、バルブは、この容器の外側からアクセス可能になるように、この容器の縁部にまたはこの容器の壁を通って、密封されている。しかしながら、本明細書中で使用するパッケージでは、このアクセス装置は、このパッケージ内で、その内壁に全体的に密封され、この容器のシールまたは壁を破らない。
【0104】
図1a、1cおよび1dは、このアクセス装置に対する典型的な位置を示す。図2は、典型的なアクセス装置の詳細を示し、7は、この容器の壁の密封されたアクセス装置の一部であり、8は、その送達チャンネルの外部であり、9は、この送達チャンネルの内部であり、そして10は、この送達チャンネルの密封部分であり、これは、そのプローブにより穿刺され、これは、次いで、この送達チャンネルの内部と固く合わせられ、それにより、この容器からの漏れを防止する。図3は、典型的なプローブを示し、このプローブはバッグを穿刺し、そして、このバッグの内側にあるアクセス装置内に適合させるために使用され、11は、このプローブに相当し、そして12は、この送達チャンネルの密封部分を穿刺するこのプローブの鋭利末端に相当する。このプローブは、クランプ留め装置13(図4a、4bおよび4cを参照)に組み込まれており、この装置は、円形開口部14を有し、これは、アクセス装置15の半円形裏面(これは、このプローブをこの送達チャンネルと整列する)と適合する。このプローブは、この酸素参照溶液をアッセイで使用できる装置へと流すことを可能にする他の部品に接続される。このパッケージを穿刺するとき、このプローブは、この壁に穴を開けて、このアクセス装置の送達チャンネルとの密封を形成する。このパッケージを穿刺する前に、このアクセス装置は、この容器の(多少)不浸透性の壁内にて、全体的に隔離される。この方法は、外部環境への拡散経路を与えないという点で、他のバルブおよびアクセス装置よりも有利である。明らかに、このアクセス装置およびプローブの設計には、変更を加えることができ、これは、当業者に明らかである。
【0105】
このアクセス装置はまた、この容器の壁とよく密封するように、PPから製造される。このアクセス装置の記述は、好ましいアクセス装置のいくつかの変更を考慮している。例えば、このアクセス装置は、このパッケージの形状を安定化するという追加の利点を与えるために、このパッケージの両方の壁に密封され得る。このアクセス装置は、この容器の内側の任意の位置(例えば、角部(クランプの装着を容易にするために)、またはこの容器の縁部から離れた位置)で、密封できる。さらに、もし、このアクセス装置を位置づけるために、ある手法が含まれるなら、このアクセス装置は、この容器に装着する必要がない。例えば、もし、このアクセス装置が包埋磁石を含むべきなら、このアクセス装置を捕捉し配置するために、外部磁石の適用が使用できる。この位置づけ特徴には、他の形状(円錐、湾入など)が使用され得る。穿刺後のこのシールを改良するために、この送達チャンネルの内壁には、リングが成形できる。このプローブの移動距離は、この容器の隣接した壁を穿刺しないように、限定できる。
【0106】
(配管)
本発明の包装のアクセス装置は、酸素参照溶液の耐用寿命を延ばす。一旦、この包装を開くと、このアクセス装置は、酸素拡散を最小にして、それにより、この参照溶液の耐用寿命を長くするように、設計されている。さらに、酸素拡散を最小にするために、可撓性で比較的に気体不浸透性の配管が使用される。
【0107】
この配管は、このパッケージから、この穿刺プローブ(図3)を通って、その分析機器へと、酸素参照溶液を運搬する。例えば、図3では、このような配管は、その3個の円筒形領域のうちの第二のものに固く嵌る直径を有し、ここで、その第三の円筒形領域は、穿刺プローブ(11)と交差する配管(これは、図3にて、破線で図示されている)の内径と同じ直径を有する。
【0108】
このような配管のデュロメーター(ショア−Dスケール)は、10〜100、好ましくは、70〜94、さらに好ましくは、80〜84の範囲であるのが好ましい。必要なデュロメーター特性を有する縮合重合体が好ましく、ポリアミド縮合重合体は、特に好ましく、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体またはポリエステルエラストマーは、さらに好ましい。特に好ましい配管には、Nylon(登録商標)[DuPont;Wilmington,DE(USA)]およびHytrel(登録商標)8238[DuPont]がある。
【0109】
以下では、代表的な実験が記述されており、ここで、配管材料は、本発明の方法において使用するための安定性について、試験できる。シリコーン、フロオロポリマーおよび可塑化ポリ塩化ビニルは、それにより、適当な配管材料ではないと断定した。
【0110】
(耐用寿命−−配管材料の選択)
貯蔵寿命(これは、しばしば、包装または内容物と酸素との反応のために、pO2により限定される)と同様に、耐用寿命もまた、しばしば、pO2により限定されるが、それは、異なる機構(拡散)による。本発明の箔積層体包装のアクセス装置設計の有効性は、pO2拡散を最小にする。この研究は、2種の可撓性配管材料(Hytrel 6356[DuPont]およびZytel 42 Nylon[DuPont])を使用した。その配管は、(上述のような)図3のプローブ(これは、この箔積層体パウチのアクセス装置と適合する)から、その分析機器(CDC製のM288モデル、上記)へと、酸素参照溶液を案内するのに、使用した。
【0111】
40mmHgのpO2を有する以下の製剤について、開放バッグの耐用寿命試験を行った:
【0112】
【表22】


そのpO2平衡点は、37℃で測定したとき、22℃でおよそ190mmHgである。このバッグ内のさらに低いpO2により、大気からこのバッグへ(それにより、この試験溶液へと)と酸素が拡散する駆動力が高まる。2個のM288[CDC、上記]を用いて、28日間にわたって、6個のバッグを試験した。結果は、以下の表および図6で要約する。
【0113】
【表15】


許容できるpO2変化に対する合理的な許容限度は、この低いpO2にて、±4mmHgである。6個のバッグの全ては、この範囲内で機能したが、Nylon配管を装着したバッグは、平均して、この試験期間にわたって、pO2の上昇が少なかったことが分かる。
【0114】
Nylon配管を装着したバッグでのpO2のさらに高い安定性に関する本発明者の最も適切な説明は、Nylonが、Hytrel 6356よりも高いデュロメーター(すなわち、硬度)を有することにある。Shore Dスケール(ASTM表記、上記)を使用すると、Zytel 42 Nylon(Dupont)は、Hytrel 6356に対する63と比較して、82と見積もられている。デュロメーターが高いことは、このナイロンの分子が、共に、さらに堅く充填されており、この材料をさらに強固にすると共に、その間隙空間を通って気体分子が拡散するのを困難にする。従って、Zytel 42 Nylon、および多分、他のナイロンは、好ましい配管材料である。また、Hytrel 8238は、必要なデュロメーターを有し、好ましい配管材料である。
【0115】
配管材料を用いて、さらに別の実験を実行し、ここで、水溶液は、酸素を含まない気体混合物で蒸気圧測定し、注射器を用いて、100μLを含むのに充分な試験配管部分へと吸引し、この配管中で60秒間保持し、次いで、そのポンプローラーを手で回すことにより、その隔離バルブを超えて、モデル288分析機器[CDC、上記]へと吸引した。得られたpO2の読み取り値は、この配管からこの水溶液へと酸素が拡散する度合いの指標として供した。このようにして、15種より多い配管材料を試験した。これらの結果から、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体(特に、Zytel 42 NylonおよびHytel 8238)が好ましい配管材料であることが明らかとなった。他の好ましい配管材料には、Saran(登録商標)[ポリ塩化ビニリデン;Dow Chemical Company;Midland,MI(USA)]がある。シリコーン、フルオロポリマーおよび可塑化ポリ塩化ビニルは、配管材料として適当ではないことが分かった。
【0116】
(酸素とポリプロピレンとの反応性)
酸素は、ポリエチレンよりずっと、PPとの反応性が低い。PPが、本発明の箔積層体の内層として使用するのに望ましい材料であるのは、この低い反応性のためである。過去には、開発者は、この内層の酸素浸透性を気にしていたが、しかしながら、このことは、この種の参照溶液に対する反応性程には重要な属性ではないことが判明した。
【0117】
PPおよびPEの両方は、合理的な密封性を与えるが、PPは、高い融点を有する。さらに、両方の材料は、液体の漏れに対して、同等の保護を与える。しかしながら、ポリエチレンでは、この重合体と酸素との間の反応性が高いため、それにより、その酸素レベルを低くする。この酸素レベルの低下の大きな原因となったのは、このポリエチレンフィルムを通る浸透性ではない。この議論は、以下の番号を付けた点に基づいている:
1.この酸素参照溶液中のpO2レベルは、大体、200mmHgで、相当であると思われるものの、モルで言うと、それは、0.27mmol/Lにすぎない。mmHg分圧からmmol/L酸素濃度へと変換する計算は、相応に簡単であり、そして直接的であるが、酸素は、この文献では、めったにモル単位で記載されていない。むしろ、それが、mmHgまたはkPaのような分圧単位でない場合、それは、mg/LまたはmL/dLのような濃度単位で見られる。しかしながら、この酸素損失の問題をそのモルの視野から接近すると、僅かに0.0005mmol/L(2%)の反応が、製品の故障を引き起こすことが分かる。紫外線(UV)分光研究により、高温では、水溶性でUV吸収性の物質が、その密封層から、このバッグの内容物へと抽出されることが明らかとなった。このことは、PP裏打ちバッグおよびPE裏打ちバッグの両方に当てはまる。最後に、(pO2の減少による)製品の故障には、0.005mmol/Lの反応物しか要しないのに対して、4インチ×6インチバッグ中の100mL試薬を用いると、4ミルPPフィルム中にて、僅かに0.1%の添加剤(これは、500の分子量を有する)は、0.05mmol/Lの酸化可能反応物を与え、これは、pO2の2%低下を説明するのに必要な量の10倍である。それゆえ、この化学量論は、僅か10%の抽出効率を仮定したとしても、合理的である。
【0118】
2.異なる供給メーカーから得たPP密封層は、上記の表11で立証したように、高温に晒されるとき、その中に密封した酸素標準物質中のpO2変化において、著しく異なる。さらに、いくつかの供給メーカーのいずれかから得たポリプロピレンロールストック(roll stock)の浸透性は、変性して配向ポリプロピレンにしていなければ、そのバルク重合体の特性であるので、類似していると予想できる。(配向したPPがアルミニウム箔に積層されることは、知られていない)。それゆえ、浸透性の相違が、表11で示したpO2デルタの相違を説明できるとは思われない。しかしながら、種々のPP供給メーカーは、その基本PP樹脂に対して、相当に多様な添加剤を使用していることが知られているため(これらの添加剤は、ほぼ常に、専有されている(proprietary))、種々の樹脂間の添加剤の相違が、pO2デルタの差異の相当部分を説明することは、極めてありそうである。異なる添加剤、または異なる濃度の同じ添加剤でさえ、より大きいまたは小さい程度で、この標準物質中の酸素と反応するからである。
【0119】
3.浸透性よりも反応性の方が重要であることを支持する最も説得力のある証拠は、これらの2つの効果を隔離する実験から得られる。3側面密封PP裏打ちバッグの一様な集団に、その酸素分圧がおよそ200mmHgとなるように、蒸気圧測定した酸素検定溶液で満たした。同じバッグの対照群を、普通に満たし、直ちに、Toss衝撃密封機で密封した。2つの試験群は、充填および密封直前にこのバッグに添加したポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかの5個の小片(これは、このバッグにちょうど適合するように、切断した)を有していた。上記安定性試験のようにして、全部の3群からの一部のバッグを室温で放置したのに対して、他のもの(ランダムに選択した)は、55℃で、1、2および3週間保存した。バッグを冷却して、室温で、少なくとも24時間にわたって、平衡化させ、次いで、対照条件と試験条件との間で、操作中にて、交互にして、通常の様式(すなわち、2個の200シリーズ血液ガス分析機器[CDC,Medfield,MA(USA)]で3回(in triplicate))、試験した。以下の結果が得られた:
【0120】
【表17】


pO2に対するポリエチレンの効果は、劇的である(ポリプロピレンよりもずっと大きく)、かつ著しい(さらに29mmHgの低下は、最大SD(6mmHg)のほぼ5倍である)。これらのプラスチックシートは、このバッグ内に完全に含まれているので、浸透性は、この相違を説明できない。
【0121】
本発明の前述の実施態様の記述は、例示および説明の目的のために、提示されている。それらは、全てを網羅している訳ではなく、または開示された形状に本発明を限定することを意図しておらず、明らかに、上記教示に照らして、多くの改変および変更が可能である。当業者が、考慮した特定の用途に合うような種々の改変を用いて、種々の実施態様で、本発明を使用できるように、これらの実施態様は、本発明の原理およびその実用的な応用を説明するために、選択され記述されている。本発明の範囲は、添付の請求の範囲により規定されるように意図している。
【0122】
本明細書中で引用した参考文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下の試薬などが提供される。
(項1) 約5個〜約20個の分析物を制御するための品質管理試薬であって、ここで、該分析物の1個は、pO2であり、該試薬は、実行可能な限り少数の製剤からなり、ここで、各製剤は、別個のゼロヘッドスペース容器にある;
ここで、該製剤の1個は、全包括レベルを与え、該レベルは、約6.4〜約7.4のpH範囲であり、そして所定範囲±4mmHgにある規定値でpO2を制御し、ここで、該値は、約20mmHg〜約75mmHgであり、また、約10mg/dL〜約80mg/dLの範囲から選択される規定値でグルコースを制御し、そしてtHbおよびCO−Ox画分をシミュレートする染料を含有し、該染料は、約5g/dL〜約11g/dLのtHb濃度をシミュレートする;そして
ここで、該品質管理試薬内の他の製剤は、80mmHg〜600mmHgから選択される所定範囲±4mmHg内の規定値でpO2を制御するが、グルコース、またはtHbおよびCO−Ox画分をシミュレートする染料を含有しない、
品質管理試薬。
(項2) 前記全包括レベルのpO2値が、約25mmHg〜約70mmHgである、上記項1に記載の品質管理試薬。
(項3) 前記全包括レベルのpO2値が、約30mmHg〜約60mmHgである、上記項1に記載の品質管理試薬。
(項4) 前記pH範囲が、約6.8〜約7.3であり、前記グルコース濃度が、約30mg/dL〜約60mg/dLであり、そして前記染料が、約6g/dL〜約10g/dLのtHb濃度をシミュレートする、上記項2に記載の品質管理試薬。
(項5) 前記pH範囲が、約7.1〜約7.2であり、前記pO2値が、約30mmHg〜約60mmHgであり、そして前記染料が、約7g/dL〜約9g/dLのtHb濃度をシミュレートする、上記項4に記載の品質管理試薬。
(項6) 約12個〜約20個の分析物を制御する、上記項5に記載の品質管理試薬。
(項7) 5個の製剤からなる、上記項1に記載の品質管理試薬。
(項8) pH、pCO2、pO2、電解質、tHbおよびCO−Ox画分、および代謝物が、尿素およびクレアチニンを除いて、3つのレベルでモニターされる、上記項1に記載の品質管理試薬。
(項9) 2つのレベルでモニターされる分析物が、ヘマトクリット、クレアチニンおよび尿素からなる群から選択される、上記項6に記載の品質管理試薬。
(項10) 全包括レベルを与える前記製剤が、30mmol/LのMOPS、25mmol/LのNaOH、20mmol/LのNaHCO2、75mmol/LのNaCl、3.4mmol/LのKCl、3mmol/LのCaCl2、3mmol/LのLi+乳酸塩、2.8mmol/Lのグルコース、2mmol/Lのクエン酸、0.49g/LのSRB、0.25g/LのMordant Yellow 7、0.003g/LのFD&C Blue 1、0.05g/Lの界面活性剤、および0.5g/Lの殺生物剤を含有する、上記項1に記載の品質管理試薬。
(項11) 少なくともpH、pO2、グルコースおよびtHbを制御する全包括レベルの品質管理試薬を製剤する方法であって、該方法は、6.4〜7.4の範囲のpH、20mmHg〜75mmHgの範囲のpO2、10mg/dL〜80mg/dLの範囲のグルコース濃度、および5g/dL〜11g/dLのtHb濃度に対応する染料濃度を有するように、該全包括レベルを作成することを包含する、
方法。
(項12) 少なくともpH、pO2、グルコースおよびtHbを制御するあるレベルの品質管理試薬を製剤する方法であって、ここで、該レベルは、80mmHg〜600mmHgの範囲のpO2を有し、該方法は、該レベルからグルコースを省くことを包含する、
方法。
(項13) さらに、該レベルから、tHbおよび/またはCO−Ox画分をシミュレートするのに使用する染料を省くことを包含する、上記項12に記載の方法。
(項14) ゼロヘッドスペース容器中に安定酸素分圧を有する多分析物参照溶液であって、ここで、該容器は、以下を包含する多層積層体から形成される:
(a)該容器用の内層であって、該内層は、低酸素反応性を有するかまたは酸素反応性を有しない;
(b)該容器用の中間層であって、該中間層は、アルミニウムである;および
(c)該容器用の外層であって、該外層は、アルミニウムである該中間層を物理的損傷から保護する、
多分析物参照溶液。
(項15) ゼロヘッドスペース容器中に安定酸素分圧を有する多分析物参照溶液であって、ここで、該安定酸素分圧は、上記項14に記載の前記容器を使用することにより維持され、該多分析物参照溶液は、低酸素反応性または非酸素反応性について選別され選択された化学物質で、調合される、
多分析物参照溶液。
(項16) 室温で、規定値±4mmHgで、ゼロヘッドスペース容器内の多分析物参照溶液中の酸素分圧を維持する方法であって、ここで、該容器は、多層積層体から形成され、該方法は、以下により該容器を作製することを包含する:
(a)該容器用の内層を選択することであって、該内層は、低酸素反応性を有するかまたは酸素反応性を有しない;
(b)該容器用の中間層を選択することであって、該中間層は、アルミニウムである;および
(c)該容器用の外層を選択することあって、該外層は、アルミニウムである該中間層を物理的損傷から保護する、
方法。
(項17) 前記内層が、ポリプロピレンである、上記項16に記載の方法。
(項18) 前記酸素分圧が、室温で、少なくとも6ヶ月間にわたって、前記規定値±4mmHgで維持される、上記項17に記載の方法。
(項19) 前記規定値が、20mmHgと700mmHgの間であり、そして前記分圧が、室温で、少なくとも6ヶ月間にわたって、前記規定値±4mmHgで維持される、上記項16に記載の方法。
(項20) 前記酸素分圧が、20mmHと700mmHgの間(これらの数値を含めて)である、上記項16に記載の方法。
(項21) 前記酸素分圧が、30mmHと500mmHgの間(これらの数値を含めて)である、上記項16に記載の方法。
(項22) ポリプロピレンである前記内層が、およそ1.5ミルと5ミルの間の厚さを有し、アルミニウムである前記中間層が、およそ0.3ミルと1ミルの間の厚さを有し、そして前記外層が、およそ0.1〜2ミルの厚さを有する、上記項17に記載の方法。
(項23) 前記ポリプロピレン層が、約2〜5ミルの厚さを有し、そして前記アルミニウム層が、約0.5〜0.7ミルの厚さを有する、上記項22に記載の方法。
(項24) 前記ポリプロピレン層が、約4ミルの厚さを有し、前記アルミニウム層が、約0.5ミルの厚さを有し、そして前記外層が、ラッカー被覆、ポリエステルまたはナイロンのいずれかである、上記項23に記載の方法。
(項25) 前記外層が、ポリエステルである、上記項17に記載の方法。
(項26) 前記容器が、アクセス装置を包含し、該アクセス装置が、全体的に、該容器内に位置しており、該容器の積層した層を破らず、かつ該容器が密封されている容器縁部を妨害しない、上記項16に記載の方法。
(項27) 前記アクセス装置が、前記容器の1個またはそれ以上の壁に接続されている、上記項26に記載の方法。
(項28) 前記容器が、3側面中心密封パウチ内に形成されている、上記項26に記載の方法。
(項29) 前記多分析物参照溶液が、pO2および以下からなる群から選択される1個またはそれ以上の分析物を検定または制御する、上記項16に記載の方法:pH、pCO2、電解質、代謝物、tHb、CO−Ox画分およびヘマトクリット。
(項30) 前記代謝物が、グルコース、乳酸塩、ビリルビン、尿素およびクレアチニンからなる群から選択される、上記項29に記載の方法。
(項31) さらに、前記多分析物参照溶液を、低酸素反応性または非酸素反応性について選別され選択された化学物質で、調合することを包含する、上記項16に記載の方法。
(項32) 前記化学物質が、有機物である、上記項31に記載の方法。
(項33) 前記酸素分圧が、20mmHと700mmHgの間(これらの数値を含めて)である、上記項32に記載の方法。
(項34) 前記酸素分圧が、30mmHと500mmHgの間(これらの数値を含めて)である、上記項32に記載の方法。
(項35) 前記アクセス装置が、プローブで穿刺され、該プローブが、10〜100の範囲のデュロメーターを有する配管により、分析物に接続されている、上記項26に記載の方法。
(項36) 前記配管が、70〜94の範囲のデュロメーターを有する、上記項35に記載の方法。
(項37) 前記配管が、80〜84の範囲のデュロメーターを有する、上記項35に記載の方法。
(項38) 前記配管が、ポリアミド縮合重合体である、上記項35に記載の方法。
(項39) 前記配管が、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体またはポリエステルエラストマーである、上記項15に記載の方法。
(項40) パッケージの内容物にアクセスを与えるためのアクセス装置であって、該アクセス装置は、該パッケージ内に全体的に含まれ、そして該パッケージがプローブにより穿刺されるとき、該パッケージからまたはそこへの空気の漏れを防止することができ、該アクセス装置は、以下を包含する:
(a)該プローブの該パッケージ内での配置を可能にする特性または部品;および
(b)該パッケージおよびアクセス装置をプローブにより穿刺したとき、該プローブの周りでシールを与えて、該パッケージからまたはそこへの空気の漏れを防止する部品。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
約5個〜約20個の分析物を制御するための品質管理試薬であって、ここで、該分析物の1個は、pO2であり、該試薬は、実行可能な限り少数の製剤からなり、ここで、各製剤は、別個のゼロヘッドスペース容器にある;
ここで、該製剤の1個は、全包括レベルを与え、該レベルは、約6.4〜約7.4のpH範囲であり、そして所定範囲±4mmHgにある規定値でpO2を制御し、ここで、該値は、約20mmHg〜約75mmHgであり、また、約10mg/dL〜約80mg/dLの範囲から選択される規定値でグルコースを制御し、そしてtHbおよびCO−Ox画分をシミュレートする染料を含有し、該染料は、約5g/dL〜約11g/dLのtHb濃度をシミュレートする;そして
ここで、該品質管理試薬内の他の製剤は、80mmHg〜600mmHgから選択される所定範囲±4mmHg内の規定値でpO2を制御するが、グルコース、またはtHbおよびCO−Ox画分をシミュレートする染料を含有しない、
品質管理試薬。
【請求項2】
前記全包括レベルのpO2値が、約25mmHg〜約70mmHgである、請求項1に記載の品質管理試薬。
【請求項3】
前記全包括レベルのpO2値が、約30mmHg〜約60mmHgである、請求項1に記載の品質管理試薬。
【請求項4】
前記pH範囲が、約6.8〜約7.3であり、前記グルコース濃度が、約30mg/dL〜約60mg/dLであり、そして前記染料が、約6g/dL〜約10 g/dLのtHb濃度をシミュレートする、請求項2に記載の品質管理試薬。
【請求項5】
前記pH範囲が、約7.1〜約7.2であり、前記pO2値が、約30mmHg〜約60mmHgであり、そして前記染料が、約7g/dL〜約9g/dLのtHb濃度をシミュレートする、請求項4に記載の品質管理試薬。
【請求項6】
約12個〜約20個の分析物を制御する、請求項5に記載の品質管理試薬。
【請求項7】
5個の製剤からなる、請求項1に記載の品質管理試薬。
【請求項8】
pH、pCO2、pO2、電解質、tHbおよびCO−Ox画分、および代謝物が、尿素およびクレアチニンを除いて、3つのレベルでモニターされる、請求項1に記載の品質管理試薬。
【請求項9】
2つのレベルでモニターされる分析物が、ヘマトクリット、クレアチニンおよび尿素からなる群から選択される、請求項6に記載の品質管理試薬。
【請求項10】
全包括レベルを与える前記製剤が、30mmol/LのMOPS、25mmol/LのNaOH、20mmol/LのNaHCO2、75mmol/LのNaCl、3.4mmol/LのKCl、3mmol/LのCaCl2、3mmol/LのLi+乳酸塩、2.8mmol/Lのグルコース、2mmol/Lのクエン酸、0.49g/LのSRB、0.25g/LのMordant Yellow 7、0.003g/LのFD&C Blue 1、0.05g/Lの界面活性剤、および0.5g/Lの殺生物剤を含有する、請求項1に記載の品質管理試薬。
【請求項11】
少なくともpH、pO2、グルコースおよびtHbを制御する全包括レベルの品質管理試薬を製剤する方法であって、該方法は、6.4〜7.4の範囲のpH、20mmHg〜75mmHgの範囲のpO2、10mg/dL〜80mg/dLの範囲のグルコース濃度、および5g/dL〜11g/dLのtHb濃度に対応する染料濃度を有するように、該全包括レベルを作成することを包含する、
方法。
【請求項12】
少なくともpH、pO2、グルコースおよびtHbを制御するあるレベルの品質管理試薬を製剤する方法であって、ここで、該レベルは、80mmHg〜600mmHgの範囲のpO2を有し、該方法は、該レベルからグルコースを省くことを包含する、
方法。
【請求項13】
さらに、該レベルから、tHbおよび/またはCO−Ox画分をシミュレートするのに使用する染料を省くことを包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ゼロヘッドスペース容器中に安定酸素分圧を有する多分析物参照溶液であって、ここで、該容器は、以下を包含する多層積層体から形成される:
(a)該容器用の内層であって、該内層は、低酸素反応性を有するかまたは酸素反応性を有しない;
(b)該容器用の中間層であって、該中間層は、アルミニウムである;および
(c)該容器用の外層であって、該外層は、アルミニウムである該中間層を物理的損傷から保護する、
多分析物参照溶液。
【請求項15】
ゼロヘッドスペース容器中に安定酸素分圧を有する多分析物参照溶液であって、ここで、該安定酸素分圧は、請求項14に記載の前記容器を使用することにより維持され、該多分析物参照溶液は、低酸素反応性または非酸素反応性について選別され選択された化学物質で、調合される、
多分析物参照溶液。
【請求項16】
パッケージの内容物にアクセスを与えるためのアクセス装置であって、該アクセス装置は、該パッケージ内に全体的に含まれ、そして該パッケージがプローブにより穿刺されるとき、該パッケージからまたはそこへの空気の漏れを防止することができ、該アクセス装置は、以下を包含する:
(a)該プローブの該パッケージ内での配置を可能にする特性または部品;および
(b)該パッケージおよびアクセス装置をプローブにより穿刺したとき、該プローブの周りでシールを与えて、該パッケージからまたはそこへの空気の漏れを防止する部品。

【図6】
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【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−101908(P2010−101908A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17456(P2010−17456)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2000−530793(P2000−530793)の分割
【原出願日】平成11年2月1日(1999.2.1)
【出願人】(500046243)バイエル コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】