説明

ソフトウェア更新システム、情報処理装置およびソフトウェア更新方法

【課題】ソフトウェアを更新する際の不具合を少なくすることが可能なソフトウェア更新システム、情報処理装置およびソフトウェア更新方法を提供する。
【解決手段】CPU25は、通信部21が更新ソフトウェアファイルを受け付けると、その更新ソフトウェアファイルに設定された制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されている識別情報を示しているか否かを判断する。CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合のみ、不揮発性メモリ23に格納されているソフトウェアを、その受け付けられた更新ソフトウェアファイルに更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア更新システム、情報処理装置およびソフトウェア更新方法に関し、特には、現在インストールされているソフトウェアを、更新ソフトウェアに更新するソフトウェア更新システム、情報処理装置およびソフトウェア更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、WEB等を利用してソフトウェア等のプログラムを更新する技術が知られている。
【0003】
例えば、ボタン電話装置においても、利便性の観点から、WEBを利用したソフトウェア更新が主流となっている。
【0004】
ボタン電話装置には、客先用途に合わせたシステムデータが設定され、その設定されたデータに基づいて、ボタン電話装置が運用されることが多い。
【0005】
また、客先でボタン電話装置の機能が拡充される場合、ボタン電話装置をネットワークサービスに対応させることもさることながら、既存のシステムデータの構成を変更して、ボタン電話装置の機能性および利便性を改善することがある。
【0006】
お客ごとに異なるシステムデータが設定されている場合、システムデータに関係なく、不用意にファームウェア等のソフトウェアが更新されると、ボタン電話装置の運用に支障をきたす場合がある。
【0007】
例えば、特定のシステムデータを処理するファームウェアが、その特定のシステムデータを処理できないファームウェアに更新されてしまうと、ボタン電話装置の運用に支障をきたす。
この問題は、ボタン電話装置に限らない。例えば、運用環境(例えばシステムデータ)が変化する装置の場合、運用中のソフトウェアが、運用環境にそぐわないソフトウェアに更新されると、使用上問題が発生することも少なくない。
【0008】
この対策として、個々のお客にソフトウェア更新の可・不可および注意事項を文書で伝達することが考えられる。しかしながら、すべてのお客にソフトウェア更新の可・不可および注意事項を文書で伝達するには限界がある。
【0009】
また、本来必要のないソフトウェア更新を行うことによるトラブルおよび課金が、必要なソフトウェア更新を妨げていた。
【0010】
特許文献1(特開2004−164115号公報)には、不必要なプログラムの更新を防止できる端末機が記載されている。
【0011】
この端末機は、自己の端末プログラムを更新対象とする更新プログラムを更新管理装置に要求し、その要求に応じて更新管理装置から送信された更新プログラムを受信すると、端末プログラムを、その更新プログラムに更新する。
【0012】
また、特許文献2(特開平5−257701号公報)には、プログラムの改版情報に基づいてプログラムを更新する端末機が記載されている。
【0013】
この端末機は、自己のプログラムの新版プログラムをホストから探し出し、その新版のプログラムをホストから読み取り、自己のプログラムを、その新版のプログラムに更新する。
【特許文献1】特開2004−164115号公報
【特許文献2】特開平5−257701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に記載の端末機は、なんらかの原因で更新管理装置が要求と異なる更新プログラムを送信しても、端末プログラムをその更新プログラムに更新してしまう。
【0015】
また、特許文献2に記載の端末機は、誤ったプログラムをホストから読み取ってしまうと、自己のプログラムをその誤ったプログラムに更新してしまう。
【0016】
従来、更新用の更新ソフトウェアが誤っている場合または破損している場合、その更新ソフトウェアをインストールした装置が誤動作することを防止して装置を保護する技術が知られている。
【0017】
しかしながら、この保護技術では、いったん装置内の不揮発デバイス(フラッシュROM等)に誤った更新ソフトウェアを書き込んでからでないと、すなわち、ソフトウェアを更新してからでないと、装置の保護の必要性を判断できなかった。
【0018】
このため、誤った更新ソフトウェアを不揮発デバイスに書き込むための時間が無駄になる。また、デバイスのトラブル、または、ユーザの不用意な操作により、ソフトウェアを回復できなかったりする。
【0019】
本発明の目的は、ソフトウェアを更新する際の不具合を少なくすることが可能なソフトウェア更新システム、情報処理装置およびソフトウェア更新方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するため、本発明のソフトウェア更新システムは、更新用の更新ソフトウェアを提供する提供装置と、自己にインストールされているソフトウェアを前記提供装置から提供された更新ソフトウェアに更新する情報処理装置と、を含むソフトウェア更新システムであって、前記提供装置は、前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報を、前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供する提供部を含み、前記情報処理装置は、前記ソフトウェアと、該ソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する格納部と、前記提供部から前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付部と、前記受付部が前記更新ソフトウェアと前記制御情報とを受け付けると、該制御情報が、前記格納部に格納されている識別情報を示す場合のみ、該格納部に格納されているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御部とを含む。
【0021】
また、本発明のソフトウェア更新方法は、更新用の更新ソフトウェアを提供する提供装置と、前記ソフトウェアと該ソフトウェアを識別するための識別情報とを格納し該ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置と、を含むソフトウェア更新システムが行うソフトウェア更新方法であって、前記提供装置が、前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報を、前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供する提供ステップと、前記情報処理装置が、前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付ステップと、前記情報処理装置が、前記受け付けられた制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記ソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御ステップとを含む。
【0022】
また、本発明の情報処理装置は、更新用の更新ソフトウェアと前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報とを提供する提供装置と接続され、前記制御情報に基づいて、自己にインストールされているソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置であって、前記ソフトウェアと、該ソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する格納部と、前記提供装置から前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付部と、前記受付部が前記更新ソフトウェアと前記制御情報とを受け付けると、該制御情報が、前記格納部に格納されている識別情報を示す場合のみ、該格納部に格納されているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御部とを含む。
【0023】
また、本発明のソフトウェア更新方法は、更新用の更新ソフトウェアと前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報とを提供する提供装置と接続され、ソフトウェアと該ソフトウェアを識別するための識別情報とを格納し前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置が行うソフトウェア更新方法であって、前記提供装置から前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付ステップと、前記受け付けられた制御情報が、前記識別情報を示す場合のみ、前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する制御ステップとを含む。
【0024】
また、本発明の情報処理装置は、更新用の更新ソフトウェアが記録された記録媒体から該更新ソフトウェアを読み出し、自己にインストールされているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する情報処理装置であって、前記ソフトウェアと、該ソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する格納部と、前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報が前記更新ソフトウェアとともに記録されている記録媒体から、該更新ソフトウェアおよび該制御情報を読み取る読取部と、前記読取部にて読み取られた制御情報が、前記格納部に格納されている識別情報を示す場合のみ、該格納部に格納されているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御部とを含む。
【0025】
また、本発明のソフトウェア更新方法は、更新用の更新ソフトウェアが記録された記録媒体から該更新ソフトウェアを読み出し、また、ソフトウェアと該ソフトウェアを識別するための識別情報とを格納し、前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置が行うソフトウェア更新方法であって、前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報が前記更新ソフトウェアとともに記録されている記録媒体から、該更新ソフトウェアおよび該制御情報を読み取る読取ステップと、前記読取部にて読み取られた制御情報が、前記識別情報を示す場合のみ、前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する制御ステップとを含む。
【0026】
上記の発明によれば、更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報が、情報処理装置のソフトウェアを示す場合のみ、情報処理装置のソフトウェアが更新ソフトウェアに更新される。
【0027】
このため、情報処理装置は、更新ソフトウェアが自己のソフトウェアを更新対象としない場合、その更新ソフトウェアを格納部に格納しない。よって、誤った更新ソフトウェアを格納部に格納する無駄を防止することが可能になる。
【0028】
また、誤った更新ソフトウェアが格納部に格納されないため、情報処理装置のソフトウェアを誤った更新ソフトウェアに更新することを防止できる。
【0029】
したがって、ソフトウェアを更新ソフトウェアに更新する際の不具合を少なくすることが可能になる。
【0030】
なお、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新することが望ましい。
【0031】
上記の発明によれば、前記情報処理装置に格納されている更新ソフトウェアと、前記情報処理装置に格納されているソフトウェアを示す識別情報との整合を取ることが可能になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ソフトウェアを更新ソフトウェアに更新する際の不具合を少なくすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施例のソフトウェア更新システムを示したブロック図である。
【0035】
図1において、本ソフトウェア更新システムは、提供装置1と、情報処理装置2と、記録媒体3とを含む。提供装置1と情報処理装置2とは、ケーブル等を介して接続される。なお、提供装置1と情報処理装置2とは、通信回線の一例であるインターネット4を介して接続されてもよい。
【0036】
提供装置1は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)であり、提供部11を含む。
【0037】
提供部11は、ソフトウェアの更新用の更新ソフトウェアと、その更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報と、その更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報とを、情報処理装置2に提供する。
【0038】
提供部11は、メモリ11aと、通信部11bと、制御部11cとを含む。
【0039】
メモリ11aは、更新ソフトウェア、制御情報、および、更新識別情報を格納する。
【0040】
なお、本実施例では、メモリ11aは、更新ソフトウェアを、PC等のコンピュータで取り扱い可能なファイル形式で格納する。以下、ファイル形式の更新ソフトウェアを更新ソフトウェアファイルと称する。
【0041】
また、本実施例では、制御情報および更新識別情報は、更新ソフトウェアファイルに設定される。
【0042】
通信部11bは、情報処理装置2と通信する。
【0043】
制御部11cは、メモリ11aに格納されている更新ソフトウェアファイルを読み取り、その更新ソフトウェアファイルを、通信部11bから情報処理装置2に送信する。
【0044】
情報処理装置2は、例えば、ボタン電話装置またはPCであり、通信部21と、メモリ22と、不揮発性メモリ23と、読取部24と、CPU25とを含む。
【0045】
通信部21は、提供装置1の通信部11bと通信し、提供装置1から更新ソフトウェアファイルを受け付ける。
【0046】
メモリ22は、コンピュータにて読み取り可能で書換え可能な記録媒体(例えば、RAM)であり、情報処理装置2にて運用されているソフトウェアを格納する。
【0047】
不揮発性メモリ23は、格納部の一例である。
【0048】
不揮発性メモリ23は、コンピュータにて読み取り可能な不揮発性記録媒体(例えば、フラッシュROM)であり、情報処理装置2にて運用されているソフトウェアと、そのソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する。
【0049】
読取部24は、記録媒体3に記録されている情報を読み取る。
【0050】
記録媒体3には、提供装置1のメモリ11aに格納されている更新ソフトウェアファイルが記録されている。
【0051】
CPU25は、コンピュータの一例である。
【0052】
CPU25は、起動時に、不揮発性メモリ23に格納されているソフトウェアを読み取り、その読み取られたソフトウェアをメモリ22に格納する。
【0053】
CPU25は、メモリ22に格納されているソフトウェアを読み取り、そのソフトウェアを実行することによって種々の機能を実現する。
【0054】
例えば、CPU25は、そのソフトウェアを実行することによって、以下の処理を行う。
【0055】
CPU25は、通信部21が更新ソフトウェアファイルを受け付けると、または、読取部24が更新ソフトウェアファイルを読み取ると、その更新ソフトウェアファイルに設定された制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されている識別情報を示しているか否かを判断する。
【0056】
換言すると、CPU25は、不揮発性メモリ23に格納されているソフトウェアが、更新ソフトウェアファイルの更新対象であるか否かを判断する。
【0057】
CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合のみ、つまり、不揮発性メモリ23に格納されているソフトウェアが更新ソフトウェアファイルの更新対象である場合のみ、不揮発性メモリ23に格納されているソフトウェアを更新ソフトウェアファイルに更新する。
【0058】
なお、CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合、更新ソフトウェアファイルに基づいてソフトウェアを更新した旨の更新情報を、通信部21から提供装置1に提供する。
【0059】
また、CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合、情報処理装置2に課金する。
【0060】
次に、動作を説明する。
【0061】
まず、具体的な例を挙げて動作を説明する。
【0062】
情報処理装置2の不揮発性メモリ23は、現在、Aというファームバーションのファームウェア(Aのファームウェア)、および、そのファームウェアの識別情報Aを格納しているものとする。
【0063】
CPU25は、Aのファームウェアを実行して所定のシステムデータを処理する。
【0064】
また、情報処理装置2のファームウェアとして、他に、Bというファームバーション(識別情報B)のファームウェア(Bのファームウェア)と、Cというファームバーション(識別情報C)のファームウェア(Cのファームウェア)が存在するとする。
【0065】
ただし、AのファームウェアがBのファームウェアに更新された場合には、CPU25は依然として所定のシステムデータを処理できるが、AのファームウェアがCのファームウェアに更新されると、CPU25は所定のシステムデータを処理できなくなるとする。
【0066】
このとき、運用されているファームウェアをBのファームウェアに更新する更新ソフトウェアファイル(Bの更新ソフトウェアファイル)には、更新可能な運用ファームウェアのバージョン(更新対象)として「A」を示す制御情報が設定される。
【0067】
一方、運用されているファームウェアをCのファームウェアに更新する更新ソフトウェア(Cの更新ソフトウェアファイル)には、更新可能な運用ファームウェアのバージョン(更新対象)として「A」を示さない制御情報が設定される。
【0068】
提供装置1のメモリ11aは、Bの更新ソフトウェアファイルと、Cの更新ソフトウェアファイルとを、格納しているとする。
【0069】
この状況下で、提供装置1の制御部11cが、Bの更新ソフトウェアファイルをメモリ11aから読み取り、Bの更新ソフトウェアファイルを通信部11bから情報処理装置2に送信すると、情報処理装置2は、以下のように動作する。
【0070】
通信部21は、Bの更新ソフトウェアファイルを受け付ける。
【0071】
CPU25は、通信部21がBの更新ソフトウェアファイルを受け付けると、Bの更新ソフトウェアファイルに設定された制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されている識別情報「A」を示しているか否かを判断する。
【0072】
この制御情報は識別情報「A」を示しているため、CPU25は、不揮発性メモリ23内のAのファームウェアをBの更新ソフトウェアファイルに更新する。このとき、CPU25は、Bの更新ソフトウェアファイルから制御情報を削除してもよい。
【0073】
このため、CPU25は、ファームウェアが更新されても、所定のシステムデータを処理できる。
【0074】
一方、不揮発性メモリ23内にAのファームウェアおよび識別情報「A」が格納されている状況下で、提供装置1の制御部11cが、Cの更新ソフトウェアファイルをメモリ11aから読み取り、Cの更新ソフトウェアファイルを通信部11bから情報処理装置2に送信すると、情報処理装置2は、以下のように動作する。
【0075】
通信部21は、Cの更新ソフトウェアファイルを受け付ける。
【0076】
CPU25は、通信部21がCの更新ソフトウェアファイルを受け付けると、Cの更新ソフトウェアファイルに設定された制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されている識別情報「A」を示しているか否かを判断する。
【0077】
この制御情報は識別情報「A」を示していないため、CPU25は、Cの更新ソフトウェアファイルを不揮発性メモリ23に格納せず、ファームウェア更新処理を中止する。
【0078】
このため、CPU25は、ファームウェアの更新により所定のシステムデータを処理できなくなることを防止できる。
【0079】
また、CPU25は、不要な更新ソフトウェアファイルが提供されても、そのファイルを不揮発性メモリ23に格納しないので、不要な更新ソフトウェアファイルを不揮発性メモリ23に格納することを防止できる。
【0080】
なお、CPU25は、読取部24が記録媒体3から更新ソフトウェアファイルを読み取った場合も、その更新ソフトウェアファイルの制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されている識別情報「A」を示しているか否かを判断し、以下、上記と同様に動作する。
【0081】
図2は、ソフトウェア更新システムの動作を説明するためのシーケンス図である。なお、図2において、図1に示したものと同一のものには同一符号を付してある。以下、図2を参照してソフトウェア更新システムの動作を説明する。
【0082】
以下では、ソフトウェアの一例として、ファームウェアが用いられる。なお、ソフトウェアは、ファームウェアに限定されない。
【0083】
ステップ201では、提供装置1の制御部11cは、メモリ11aに格納されている更新ソフトウェアファイルを読み取り、その更新ソフトウェアファイルを、通信部11bから情報処理装置2に送信する。
【0084】
情報処理装置2は、更新ソフトウェアファイルを受け付けると、ステップ202を実行する。
【0085】
ステップ202では、情報処理装置2のCPU25は、その更新ソフトウェアファイルに設定された制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されている識別情報を示しているか否かを判断する。
【0086】
CPU25は、制御情報が識別情報を示していると、ステップ203を実行し、一方、制御情報が識別情報を示していないと、ステップ204を実行する。
【0087】
ステップ203では、CPU25は、不揮発性メモリ23に格納されているファームウェアを更新ソフトウェアファイルに更新する。このとき、CPU25は、更新ソフトウェアファイルに設定されている制御情報を削除する。
【0088】
CPU25は、制御情報が削除された更新ソフトウェアファイルを不揮発性メモリ23に格納すると、ステップ205を実行する。
【0089】
ステップ205では、CPU25は、メモリ22内のファームウェアを、不揮発性メモリ23に格納された更新ソフトウェアファイルに更新する。CPU25は、ファームウェアを更新すると、ステップ206を実行する。
【0090】
ステップ206では、CPU25は、更新情報を通信部21から提供装置1に提供する。なお、この更新情報は、情報処理装置2が更新ソフトウェアファイルに基づいてソフトウェアを更新した旨を示す。
【0091】
提供装置1は、その提供された更新情報に基づいて、情報処理装置2でのソフトウェアの更新状況すなわち情報処理装置2のメンテナンス状態を管理する。
【0092】
CPU25は、更新情報を提供装置1に提供すると、ステップ207を実行する。
【0093】
ステップ207では、CPU25は、情報処理装置2に課金する。CPU25は、ファームウェアを更新するごとに、情報処理装置2への課金状態を示す課金値(例えば、CPU25内に設定される)をインクリメントする。
【0094】
この場合、例えば、識別情報に使用期限が設定されており、更新ソフトウェアファイルがその期限を更新できる場合、その更新ソフトウェアファイルを有償で提供することが可能になる。
【0095】
CPU25は、情報処理装置2への課金を終了すると、ファームウェア更新処理を終了する。
【0096】
一方、ステップ204では、CPU25は、更新ソフトウェアファイルを不揮発性メモリ23に格納せず、ファームウェア更新処理を中止する。
【0097】
なお、CPU25は、読取部24が記録媒体3から更新ソフトウェアファイルを読み取った場合も、上記と同様に動作する。
【0098】
本実施例によれば、CPU25は、更新ソフトウェアファイルが提供されると、その更新ソフトウェアファイルの更新対象を示す制御情報が、不揮発性メモリ23に格納されたソフトウェアを示す場合のみ、不揮発性メモリ23内のソフトウェアをその更新ソフトウェアファイルに更新する。
【0099】
このため、CPU25は、更新ソフトウェアファイルが不揮発性メモリ23内のソフトウェアを更新対象としない場合、その更新ソフトウェアファイルを不揮発性メモリ23に格納しない。よって、誤った更新ソフトウェアファイルを不揮発メモリ23に格納する無駄を防止することが可能になる。
【0100】
したがって、更新ソフトウェアを用いたソフトウェアの更新に伴う不具合を少なくすることが可能になる。
【0101】
本実施例では、CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合のみ、識別情報を更新識別情報に更新する。
【0102】
この場合、ソフトウェアが更新されても、情報処理装置2に格納されているソフトウェアと、情報処理装置2に格納されている識別情報との整合を取ることが可能になる。
【0103】
本実施例では、CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合、更新情報を提供装置1に提供する。
【0104】
この場合、情報処理装置2は、ソフトウェアの更新状況すなわちメンテナンス状態を提供装置1に通知できる。よって、提供装置1は、その提供された更新情報に基づいて、情報処理装置2でのソフトウェアの更新状況すなわち情報処理装置2のメンテナンス状態を管理することが可能になる。
【0105】
なお、情報処理装置2は、ソフトウェアの識別情報を表示してもよい。
【0106】
また、本実施例では、CPU25は、制御情報が識別情報を示す場合、情報処理装置2に課金する。
【0107】
この場合、CPU24は、制御情報に基づいて課金を制御することが可能になる。
【0108】
以上説明した実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の一実施例のソフトウェア更新システムを示したブロック図である。
【図2】ソフトウェア更新システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0110】
1 提供装置
11 提供部
11a メモリ
11b 通信部
11c 制御部
2 情報処理装置
21 通信部
22 格納部
23 不揮発性メモリ
24 読取部
24 CPU
3 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新用の更新ソフトウェアを提供する提供装置と、自己にインストールされているソフトウェアを前記提供装置から提供された更新ソフトウェアに更新する情報処理装置と、を含むソフトウェア更新システムであって、
前記提供装置は、前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報を、前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供する提供部を含み、
前記情報処理装置は、
前記ソフトウェアと、該ソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する格納部と、
前記提供部から前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記更新ソフトウェアと前記制御情報とを受け付けると、該制御情報が、前記格納部に格納されている識別情報を示す場合のみ、該格納部に格納されているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御部と、を含むソフトウェア更新システム。
【請求項2】
請求項1に記載のソフトウェア更新システムにおいて、
前記提供部は、前記更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報を、前記制御情報および前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供し、
前記受付部は、前記更新識別情報をさらに受け付け、
前記制御部は、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新する、ソフトウェア更新システム。
【請求項3】
更新用の更新ソフトウェアを提供する提供装置と、前記ソフトウェアと該ソフトウェアを識別するための識別情報とを格納し該ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置と、を含むソフトウェア更新システムが行うソフトウェア更新方法であって、
前記提供装置が、前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報を、前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供する提供ステップと、
前記情報処理装置が、前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付ステップと、
前記情報処理装置が、前記受け付けられた制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記ソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御ステップと、を含むソフトウェア更新方法。
【請求項4】
請求項3に記載のソフトウェア更新方法において、
前記提供ステップでは、前記提供装置が、前記更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報を、前記制御情報および前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供し、
前記受付ステップでは、前記情報処理装置が、前記更新識別情報をさらに受け付け、
前記制御ステップでは、前記情報処理装置が、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新する、ソフトウェア更新方法。
【請求項5】
更新用の更新ソフトウェアと前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報とを提供する提供装置と接続され、前記制御情報に基づいて、自己にインストールされているソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置であって、
前記ソフトウェアと、該ソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する格納部と、
前記提供装置から前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記更新ソフトウェアと前記制御情報とを受け付けると、該制御情報が、前記格納部に格納されている識別情報を示す場合のみ、該格納部に格納されているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御部と、を含む情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記提供装置は、前記更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報を、前記制御情報および前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供し、
前記受付部は、前記更新識別情報をさらに受け付け、
前記制御部は、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新する、情報処理装置。
【請求項7】
更新用の更新ソフトウェアと前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報とを提供する提供装置と接続され、ソフトウェアと該ソフトウェアを識別するための識別情報とを格納し前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置が行うソフトウェア更新方法であって、
前記提供装置から前記更新ソフトウェアおよび前記制御情報を受け付ける受付ステップと、
前記受け付けられた制御情報が、前記識別情報を示す場合のみ、前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する制御ステップと、を含むソフトウェア更新方法。
【請求項8】
請求項7に記載のソフトウェア更新方法において、
前記提供装置は、前記更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報を、前記制御情報および前記更新ソフトウェアとともに前記情報処理装置に提供し、
前記受付ステップでは、前記更新識別情報をさらに受け付け、
前記制御ステップでは、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新する、ソフトウェア更新方法。
【請求項9】
更新用の更新ソフトウェアが記録された記録媒体から該更新ソフトウェアを読み出し、自己にインストールされているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する情報処理装置であって、
前記ソフトウェアと、該ソフトウェアを識別するための識別情報と、を格納する格納部と、
前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報が前記更新ソフトウェアとともに記録されている記録媒体から、該更新ソフトウェアおよび該制御情報を読み取る読取部と、
前記読取部にて読み取られた制御情報が、前記格納部に格納されている識別情報を示す場合のみ、該格納部に格納されているソフトウェアを該更新ソフトウェアに更新する制御部と、を含む情報処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置において、
前記記録媒体は、前記更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報を、さらに記録しており、
前記読取部は、前記更新識別情報をさらに読み取り、
前記制御部は、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新する、情報処理装置。
【請求項11】
更新用の更新ソフトウェアが記録された記録媒体から該更新ソフトウェアを読み出し、また、ソフトウェアと該ソフトウェアを識別するための識別情報とを格納し、前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する情報処理装置が行うソフトウェア更新方法であって、
前記更新ソフトウェアの更新対象を示す制御情報が前記更新ソフトウェアとともに記録されている記録媒体から、該更新ソフトウェアおよび該制御情報を読み取る読取ステップと、
前記読取部にて読み取られた制御情報が、前記識別情報を示す場合のみ、前記ソフトウェアを前記更新ソフトウェアに更新する制御ステップと、を含むソフトウェア更新方法。
【請求項12】
請求項11に記載のソフトウェア更新方法において、
前記記録媒体は、前記更新ソフトウェアを識別するための更新識別情報を、さらに記録しており、
前記読取ステップでは、前記更新識別情報をさらに読み取り、
前記制御ステップでは、前記制御情報が前記識別情報を示す場合のみ、前記識別情報を前記更新識別情報に更新する、ソフトウェア更新方法。

【図1】
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【図2】
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