説明

ソフトウェア開発環境導入システム

【課題】フリーアドレス環境において、ソフトウェア開発に用いる複数の端末に対し、必要なツール等のインストール/アンインストールを行なうことにより、簡単かつ確実に共通の開発環境を導入する。
【解決手段】ソフトウェアの開発環境の導入対象である端末120,130と、各端末の操作およびデータ管理を行うために各端末と連携する端末管理サーバ160と、各端末に対する開発環境導入制御およびインストール情報管理を行う開発環境導入サーバ110とを備え、開発環境導入サーバが、開発スタイル毎にツールおよびデータから構成される環境導入データ114をデータ格納部113に格納し、管理者により選択された開発スタイルを受信すると、開発スタイルに応じた環境導入データをデータ格納部から取得して端末管理サーバに送信しかつツールのインストール指示を与える、ソフトウェア開発環境導入システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーアドレス環境におけるソフトウェア開発を支援するために、その開発環境を導入するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のソフトウェア開発においては、各開発者が利用する端末毎にそれぞれ有効な開発ツールおよび当該開発ツールに関連するテンプレートなどのソフトウェア開発に必要なデータを探して当該開発ツールのインストール等による開発環境の導入を行なうか、または、サーバ上にあらかじめ導入された開発環境一式ないしは一部を、各開発者が利用する端末のハードディスク内に、ネットワークを介してコピー(インストール)することにより開発環境の導入を行なう形式などが知られている。
【0003】
特許文献1では、ネットワークシステムを介し、ソフトウェアを配布元(サーバ)から配布先(端末)に配布するソフトウェア自動配布管理システムが開示されており、配布先は自己の環境情報を配布元に通知し、配布元は通知された環境情報に基づき配布するソフトウェアの使用条件と適合するかをチェックした上でソフトウェアを自動配布(インストールを自動実行)するものである。
【特許文献1】特開平10−301760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、管理者/開発者がそれぞれ独自に開発環境の導入を行なった場合、有効な開発環境(開発ツール・テンプレート等)を探すために相応の時間と労力を要するとともに、必ずしも共通した開発環境を導入できるとは限らなかった。この場合、あらかじめ開発ツールに検索用のキーワードを付してデータベースに格納することにより、時間と作業の効率化を図ることも考えられるが、その検索作業は個々の開発者が行なうため、必ずしも同一の開発ツールを検索できるとは限らなかった。
【0005】
従って、開発ツールや当該開発ツールのバージョン等の相違により、開発者によって異なる環境でソフトウェアの開発が行われる場合があり、これが原因で開発されたソフトウェアに不具合が発生したり、ソフトウェア開発終了後にも有効となるノウハウが蓄積されないといった問題が生じることがあった。
【0006】
一方、サーバ上に導入された開発環境をそれぞれの端末にコピー/削除する場合には、共通の開発環境を導入することが可能であるが、端末上の環境が全てサーバ上の開発環境に置き換わり、各開発者が独自に設定していた(プロジェクト終了後も必要とする)環境等が失われてしまうという問題があった。
【0007】
また、近年ではソフトウェアの不具合による事故の規模・影響が大きくなっており、不具合防止の重要性が求められるようになってきているが、その一方で、企業内におけるコスト削減を目的として、社員が個々に机を持たないオフィススタイル「フリーアドレス」を採用する企業において、フリーアドレスが持つデメリット(メンバの管理やコミュニケーション不足)を原因として、共通な開発環境の導入を阻害する、つまり、不具合を生みやすい状況が発生している。このため、(フリーアドレス環境下においても)プロジェクトのメンバに対して共通の開発環境を適切に導入することは、ソフトウェアの不具合を未然に防ぐ重要な要素となる。
【0008】
本発明はこれら前記課題を解決するためのものであり、ソフトウェア開発に用いられる、(フリーアドレス環境下における)複数の端末に対し、開発環境の導入に必要な開発ツールなどのインストール指示・管理等を行なうことによって、各端末に既に設定されていた環境等を失わせることなく、共通の開発環境の導入を容易かつ確実に行なうことを実現する開発環境導入システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ソフトウェアの開発環境の導入対象であり管理者または開発者により使用される複数の端末と、各前記端末の操作およびデータ管理を行うために各前記端末と連携する端末管理サーバと、各前記端末に対する開発環境導入制御およびインストール情報管理を行う開発環境導入サーバとを備えたソフトウェア開発環境導入システムであって、前記開発環境導入サーバは、ソフトウェアの開発環境の開発スタイル毎に、開発環境の導入に必要なツールおよびデータから構成される環境導入データをあらかじめデータ格納部に格納するデータ格納手段と、管理者により選択された開発スタイルを前記端末から受信することに応じて該選択された開発スタイルに応じた環境導入データを前記データ格納部から取得し、取得した環境導入データを、前記端末管理サーバに送信するとともに、前記環境導入データに含まれるツールのインストール指示を与える環境導入制御管理手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、前記端末管理サーバは、前記開発環境導入サーバから送信された前記環境導入データおよび前記インストール指示を受信することに応じて、前記環境導入データに含まれるツールのうち各端末にあらかじめインストールされていないツールのみを新たにインストールするとともに、該環境導入データに含まれるツールについて、該インストール指示により新たにインストールされたツールとあらかじめインストールされていたツールとを識別するインストール情報を前記開発環境導入サーバに送信するインストール制御手段を備え、前記開発環境導入サーバはさらに、前記端末管理サーバから受信した前記インストール情報を前記データ格納部に格納するインストール情報管理手段を備え、前記開発環境導入サーバにおける前記環境導入制御管理手段は、前記環境導入データに含まれる全部もしくは一部のツールについての管理者によるアンインストール指示を前記端末から受信することに応じて、前記データ格納部に格納された前記インストール情報に基づいて、各前記端末に新たにインストールされたツールのみのアンインストール指示を前記端末管理サーバの前記インストール制御手段に与えることを特徴とする。
【0011】
またさらに、前記端末管理サーバの前記インストール制御手段は、前記環境導入データに含まれない新ツールが開発者により前記端末にインストールされた場合に、管理者により使用される前記端末に通知する手段を備え、前記開発環境導入サーバの前記環境導入制御管理手段は、管理者からの生体認証による認証手段を利用したインストール指示を前記端末から受信することに応じて、前記新ツールを受信し、新たな環境導入データとして前記データ格納部に格納するとともに、前記端末管理サーバに対し該新ツールをインストールしていない端末へのインストール指示を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、(フリーアドレス環境下においても)ソフトウエア開発に用いられる端末について既に設定されていた環境等を失わせることなく、容易かつ確実に共通の開発環境を導入することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本システム実施の形態に係る開発環境導入システムの概略構成を示すブロック図である。
開発環境導入システムは、開発環境導入サーバ110と、開発環境導入サーバ110に対しイントラネット/インターネットのネットワークを介して接続された環境導入対象としての管理者PCクライアント端末120および開発者PCクライアント端末130と、利用者認証サーバ140と、開発用サーバ150と、クライアント端末管理サーバ160とから構成されている。
【0014】
なお、管理者PCクライアント端末120および開発者PCクライアント端末130はここではシンクライアントを用いるものとし、実際の機器構成上同一の端末であるが、機能上2つの態様を備えているので便宜上分けて説明する。管理者PCクライアント端末120および開発者PCクライアント端末130は、それぞれネットワークを介してクライアント端末管理サーバ160の管理者PCクライアント管理部170および開発者PCクライアント管理部180と連携している。
【0015】
開発環境導入サーバ110は、環境導入制御部111と、インストール情報管理部112と、データ格納部113とを備えている。
開発環境導入サーバ110のデータ格納部113には、管理者PCクライアント端末120、開発者PCクライアント端末130および開発用サーバ150に応じた開発環境を導入するための環境導入データ114と、環境導入データ114に含まれる、各端末のツール等に関するインストール情報管理データ115とが格納されている。
【0016】
開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、管理者PCクライアント端末120、開発者PCクライアント端末130および開発用サーバ150の各インストール制御部171、181、151に対し、環境導入データ114をそれぞれに対して送信するとともに、環境導入データ114に含まれるツールのインストール/アンインストールを指示する。
なお、管理者PCクライアント端末120および開発者PCクライアント端末130の各々ためのインストール制御部171、181並びにデータ格納部173、183は、クライアント端末管理サーバ160に備わっている。
【0017】
各インストール制御部171、181、151は、環境導入制御部111からの指示に応じてツールのインストールを行なうことにより開発環境を導入する。また、ソフトウェア開発が終了(プロジェクトが終了)した際には、環境導入制御部111からの指示に応じてツールのアンインストールを行なうことにより各クライアント120、130を元の環境に戻す。
【0018】
開発環境導入サーバ110のインストール情報管理部112は、環境導入制御部111の行なうインストール/アンインストールの指示に基づき、各クライアント端末120、130にインストールなどが行なわれたツールを管理する。
【0019】
管理者PCクライアント端末120は、認証装置121を備えるとともに、ネットワークを通じて前述のインストール制御部171の他、作業進捗管理部172およびデータ格納部173と連携している。なお、認証装置121の認証手段として固定ID/パスワード、OTPなどの方法があるが、ここでは比較的セキュリティが高いと言われている静脈などの生体認証をベースに用いるものとする。作業進捗管理部172は、開発者からの作業の進捗状況の報告に基づき、進捗管理データ174を生成してデータ格納部173に格納する。データ格納部173には、プロジェクトにおける各開発者の進捗を管理する進捗管理データ174と、プロジェクトに参加している開発者および当該開発者の使用している開発者PCクライアント端末130に関する開発用端末管理データ175とが格納されている。
【0020】
開発者PCクライアント端末130は、認証装置131を備えるとともに、ネットワークを通じて前述のインストール制御部181の他、作業進捗報告部182およびデータ格納部183と連携している。なお、認証装置131の認証手段として、認証装置121と同様に生体認証をベースに用いるものとする。作業進捗報告部182は、管理者PCクライアント端末120の作業進捗管理部172に対し開発作業の進捗状況を報告する。データ格納部183には、各開発者が開発者PCクライアント端末130を使用した開発成果物としての開発作業データ184が格納される。
【0021】
開発用サーバ150は、前述のインストール制御部151の他、開発成果物を蓄積・管理するための開発成果物蓄積部152と、データ格納部153とを備えている。データ格納部153には、各開発者PCクライアント端末の開発作業データ184をまとめた開発成果物データ154が格納される。開発成果物蓄積部152は、各開発者の開発作業が終了したときに、開発者PCクライアント端末130のデータ格納部183に格納された開発作業データ184を取得して、データ格納部153に開発成果物データ154が格納される。
【0022】
図2は、開発環境導入サーバ110のデータ格納部113に格納される環境導入データ114を構成する開発スタイルー覧データ200の一例を示した図である。
開発スタイルー覧データ200は、各開発環境を識別するための開発スタイル名201と、各開発スタイルに含まれる開発環境の概要202を有する。なお、ここでは開発スタイル名と概要のみを示しているが、業種/業務から開発スタイルを選択できるようにするのも良い。
【0023】
図3は、開発スタイル別環境導入データ300の各データ構造の一例を示した図である。開発スタイル別環境導入データ300は、開発スタイルー覧データ200に示されるスタイル名201ごとに、各クライアント端末120、130および開発用サーバ150に応じた環境を導入するためのツールやデータ等を有している。例えば、開発スタイル310を構成するデータ(ここでは「開発スタイルA」と呼称する)は、各環境種別に応じて管理者PC環境導入データ311と、開発者PC環境導入データ312と、開発用サーバ環境導入データ313を有する。
【0024】
管理者PC環境導入データ311には、開発スタイルAを必要とするプロジェクト管理に用いられる進捗管理ツール314と、進捗管理ツール314のテンプレートデータおよび進捗管理のノウハウドキュメント等から成る進捗管理データ315を有する。
開発者PC環境導入データ312には、開発スタイルAを必要とするプロジェクト管理に用いられる進捗報告ツール316と、開発スタイルAのソフトウェア開発に用いられる開発支援ツール317と、開発支援ツール317のテンプレートデータおよびソフトウェア開発のノウハウドキュメント等から成る開発作業データ318とを有する。
開発用サーバ環境導入データ313には、開発スタイルAを必要とするプロジェクト開発に用いられるサーバ上で動作する開発支援ツール319と、ソフトウェア開発の成果物を格納されるためのフォルダ構成等から成る開発成果物格納フォルダデータ320を有する。
【0025】
図4はフリーアドレス環境における、プロジェクトメンバ(管理者および開発者)が利用するシステムの実行環境を示す概略図400である。各デスク401には固定のIPアドレスがそれぞれ割り振られており、そこにプロジェクトメンバが利用するシンクライアント(クライアント端末120、130となるクライアント端末402)が備え付けられている。
【0026】
クライアント端末402には認証装置403(図1のクライアント端末120、130における認証装置121、131)が備え付けられており、利用する際には、認証装置403を用いて図1の利用者認証サーバ140にて認証処理を行なう。なお、ここではクライアント端末のみ備え付けているが、必要に応じてIP電話などを設置するのも良い。
【0027】
図5は、開発環境導入サーバ110のデータ格納部113に格納されるインストール情報管理データ115のデータ構造の一例を示す図である。
インストール情報管理データ115は、本システムによる開発環境導入処理によりインストールされたツールの管理を行なうものであり、各クライアント端末を識別するための管理ID501と、インストールソフトを識別するための枝番502と、端末名503と、IPアドレス504と、インストール済ソフト名505と、既インストールフラグ506とからなる各情報を有している。インストール済ソフト名505および既インストールフラグ506は、後述する開発環境導入処理において各クライアント端末から受信したインストール情報に基づき生成する。
【0028】
インストール済ソフト名505は、環境導入データ114に基づいてインストールしたツールを示す。既インストールフラグ506は、インストール済ソフト名505に示されるツールが、本システムによりインストールしたものか、あらかじめインストールされていたものかを識別するフラグであり、各ツールについて、あらかじめインストールされていた場合は「True」に、本システムにより新規インストールした場合は「False」に設定する。開発作業終了時において、本システムによりツールのアンインストール処理を行なう際には、既インストールフラグ506を「False」に設定したツールのみをアンインストールする。
【0029】
図6は、管理者PCクライアント端末120のデータ格納部173に格納される開発用端末管理データ175のデータ構造の一例を示す図である。
開発用端末管理データ175は、開発環境の導入処理においてあらかじめ作成されるものであり、各クライアント端末を識別するための管理ID601と、各端末を識別するための端末名602と、IPアドレス603と、各クライアント端末の使用者604と、各クライアント端末の環境種別605との各情報を有している。
【0030】
環境種別605は、図3の開発スタイル別環境導入データ300のデータ構造における環境種別に対応するものであり、管理者PC環境311、開発者PC環境312又は開発用サーバ環境313のいずれかが設定される。この場合、管理者PC環境311および開発者PC環境312の双方を一台の端末に設定してもよい。
【0031】
以上の構成により、ソフトウェア開発を行なう際に、各クライアント端末120、130および開発用サーバ150における開発環境を導入する方法について説明する。
図7は、本システムを用いた開発環境導入方法の処理手順を示すフローチャートである。
管理者PCクライアント端末120は、まず管理者に認証要求を行ない(S701)、認証装置121を用いて認証動作が行なわれたことをトリガに、利用者認証サーバ140にて管理者であることの認証処理を実施する(S702)。認証処理によって利用者が管理者本人と一致することが確認できた場合に、管理者PCクライアント端末120は、開発環境導入サーバ110に対して開発スタイルー覧データ200の送信要求を行なう(S703)。
【0032】
開発スタイルー覧データ200の送信要求を受信した開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、データ格納部113から開発スタイルー覧データ200を取得し、管理者PCクライアント端末管理部170に送信する(S704)。
【0033】
管理者PCクライアント端末120は、管理者PCクライアント管理部170を通じて受信した開発スタイルー覧データ200を表示し(S705)、管理者の選択操作に応じて、開発環境導入サーバ110に選択された開発スタイル名201および開発用端末管理データ175を送信して環境導入指示を行なう(S706)。
【0034】
環境導入制御部111は、管理者PCクライアント端末120から受信した開発スタイル名201に基づきデータ格納部113から開発スタイル別環境導入データ300を取得し、開発用端末管理データ175の環境種別605に応じて環境導入データ311〜313を各クライアント端末120、130および開発用サーバ150に送信するとともに、環境導入データ311〜313のインストール指示を行なう(S707)。
【0035】
各クライアント端末120、130のクライアント管理部170、180および開発用サーバ150は、環境導入制御部111の指示に応じて、受信した環境導入データ311〜313のインストール等の開発環境導入処理を行ない、インストール結果をインストール情報として開発環境導入サーバ110に送信する(S708〜S710)。
【0036】
なお、各開発者PCクライアント端末130の開発者PCクライアント管理部180における環境導入処理(S709)では、あらかじめインストールされているツールについてはこれを行わず、当該ツールについてあらかじめインストール済みであることをインストール情報に含めて送信する。
【0037】
開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、受信したインストール結果をインストール情報管理部112に通知し、インストール情報管理部112は、インストール情報管理データ115を更新する(S711)。この際、各端末において既にインストールされていたソフトについては、既インストールフラグ506を「True」に設定し、その他のソフト(新規にインストールされたもの)については「False」に設定する。
以上の処理により、各端末に共通の開発環境が導入される。
【0038】
次に、開発作業の終了した開発者の開発者PCクライアント端末130からツール等をアンインストールする処理について説明する。
図8は、本システムを用いたツールのアンインストール方法の処理手順を示すフローチャートである。
開発者PCクライアント端末130は、開発者の操作に応じて作業進捗報告部181を通じて作業終了を管理者PCクライアント端末120に通知する(S801)。
管理者PCクライアント端末120は通知された作業報告に基づき、進捗管理データ174を更新するとともに、作業終了の報告を表示して管理者に確認させ、アンインストールの認証要求を行なう(S802)。
【0039】
そして、管理者による認証動作が行なわれたことをトリガに、利用者認証サーバ140で認証処理を行ない(S803)、利用者が管理者本人と一致することを確認できた場合に、開発環境導入サーバ110に対して作業終了を確認した開発者PCクライアント端末130についてのアンインストール指示を送信する(S804)。
【0040】
管理者PCクライアント120からのアンインストール指示を受信した開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、データ格納部113からインストール情報管理データ115を取得し、開発者PCクライアント端末130についてのインストール済ソフト505および既インストールフラグ506を参照し、開発者PCクライアント端末130に対してアンインストール指示を送信する(S805)。この際、既インストールフラグ506が「False」のツールについてのみアンインストール指示を送信する。
【0041】
アンインストール指示を受信した開発者PCクライアント端末130のインストール制御部181は、上記のアンインストール指示に示されるツールについてアンインストール処理を行ない、アンインストール結果を開発環境導入サーバ110に送信(S806)するとともに、データ格納部183に格納された開発作業データ184を開発用サーバ150に送信する(S807)。なお、開発作業データ184の送信に伴い、データ格納部183から開発作業データ184の削除を行なう。
【0042】
開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、受信したアンインストール結果をインストール情報管理部112に通知し、インストール情報管理部112はインストール情報管理データ115を更新する(S808)。
【0043】
開発用サーバ150の開発成果物蓄積部152は、受信した開発作業データ184をデータ格納部153に開発成果物データ154として格納する(S809)。
以上の処理により、開発作業の終了した開発者の開発者PCクライアント端末130から開発者PC環境導入データ312がアンインストールされる。
【0044】
前述の説明では、あらかじめ開発スタイル別環境導入データ300に基づき各クライアント等の開発環境を導入することとしているが、近年ではオープンソースのツールなどの開発も盛んになってきており、各開発者がこれらを独自に取得し、開発者PCクライアント端末にインストールした開発支援ツール(以下「新ツール」と呼称する)がソフトウェア開発に有効となる場合もある。
【0045】
従って、本システムでは、開発者が独自にインストールした新ツールについて、管理者がソフトウェア開発に「有効」と判断した場合には、新ツールを他の全ての開発者PCクライアント端末にインストールさせることにより、管理者が最適と考える開発環境の導入を行なうこととしている。
【0046】
図9は、開発者が独自に取得・インストールした新ツールを他の開発者PCクライアント端末にインストールする処理手順を示すフローチャートである。
ある開発者により、開発者PCクライアント端末130(以下「開発者端末A」と呼称)に新ツールがインストールされた(S901)ことをトリガに、開発者端末Aのインストール制御部181が新ツールのデータを管理者PCクライアント端末120に送信し、インストール報告を行なう(S902)。
【0047】
新ツールのインストール報告を受けた管理者PCクライアント端末120では、管理者に対して新ツールインストールの旨を報告するとともに、新ツールのデータを表示して管理者に当該新ツールの有効性を判断させ、各開発者PCクライアント端末130にインストールさせるための認証要求を行なう(S903)。
【0048】
管理者による認証操作を行なったことをトリガに認証処理を行ない(S904)、利用者が管理者と一致することを確認できた場合に、開発環境導入サーバ110に新ツールデータおよび開発用端末管理データ175を送信して新ツールのインストール指示を行なう(S905)。
【0049】
開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、受信した新ツールデータを環境導入データ114の開発者PC環境導入データ312に追加するとともに、開発用端末管理データ175に基づき新ツールをインストールしていない開発者PCクライアント端末130(以下「開発者端末B」と呼称)に新ツールのデータを送信して新ツールのインストール指示を行なう(S906)。
【0050】
インストール指示を受信した開発者端末Bのインストール制御部181は、環境導入制御部111の指示に応じて、受信した新ツールのインストールによる開発環境導入処理を行ない、インストール結果を開発環境導入サーバ110に送信する(S907)。
【0051】
開発環境導入サーバ110の環境導入制御部111は、受信したインストール結果をインストール情報管理部112に通知し、インストール情報管理部112は、インストール情報管理データ115を更新する(S908)。
以上の処理により、開発者端末Aに新ツールがインストールされた場合に、開発者PC環境導入データ312に新ツールが追加されるとともに、新ツールを開発者端末Bにインストールする。
【0052】
本システムの効果をまとめると次の通りである。
以上のように、本システムによれば、管理者により選択された環境導入データのインストールを各端末に指示する環境導入管理制御部を備えたことにより、(フリーアドレス環境における)ソフトウェア開発に適した環境の導入を容易に行なうことが可能となる。この場合、各開発者がツールの検索作業により発生するムダを排除することができるとともに、全ての管理者・開発者に対して共通の開発環境を導入することが可能となる。
【0053】
また、本システムではインストール情報管理データとして開発者PCクライアント端末にインストールされた開発者PC環境導入データに含まれるツールを管理し、当該インストール情報管理データに、既にインストールされていたツールか否かを示すフラグを含め、当該フラグに基づきアンインストール処理を行なうことにより、より確実に元の環境に戻すことが可能となる。
【0054】
また、各開発者が開発者PCクライアント端末に対し独自にインストールしたツール等について、管理者の判断に応じて、環境導入管理制御部より他の開発者PCクライアント端末にインストールを指示することとしたことによって、全ての開発者PCクライアント端末に対して、管理者がより最適と考える開発環境を導入することができる。
【0055】
なお、上述の実施の形態では、開発作業の終了した開発者の開発者PCクライアント端末について、インストール制御部によりインストールされた全ツールをアンインストールすることとしているが、これに限られるものではなく、管理者の指示に応じて開発者PC環境導入データに含まれるツールの一覧を管理者PCクライアント端末に表示させ、管理者の選択により、開発作業の終了前に一部のツールのアンインストールを行なうこととしてもよい。
これにより、開発作業中に開発者PC環境導入データに含まれるツールが不要となった場合に、当該ツールのみの削除を行なうことができる。
【0056】
また、開発者PCクライアント端末に独自に取得・インストールされたツールについて、管理者の選択に応じて開発者PC環境導入データヘの追加のみを行なうこととしてもよい。また、開発者の作成したテンプレートやノウハウドキュメント等のデータについては、開発作業が終了した時点で開発者PCクライアント端末から管理者PCクライアント端末に送信して管理者に有用性を判断させ、管理者の指示に応じて開発環境導入サーバに送信することにより、環境導入制御部が開発者PC環境導入データの開発作業データに追加することとしてもよい。
【0057】
このように、開発環境の導入に必要なツールやノウハウ等のデータが管理者の判断に応じて蓄積されることにより、次回のソフトウェア開発時に、管理者がより好適と考える開発環境を導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の開発環境導入システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】環境導入データを構成する、開発スタイル一覧のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】環境導入データを構成する、開発スタイル別環境導入データのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の実行環境の一例をを示す図である。
【図5】インストール情報管理データのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】開発用端末管理データのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】本発明による開発環境導入方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明による環境導入データのアンインストール方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明による新ツールのインストール方法の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
110:開発環境導入サーバ
111:環境導入制御部
112:インストール情報管理部
113:データ格納部
114:環境導入データ
115、500:インストール情報管理データ
120:管理者PCクライアント端末
121:認証装置
130:開発者PCクライアント端末
131:認証装置
140:利用者認証サーバ
150:開発用サーバ
151:インストール制御部
152:開発成果物蓄積部
153:データ格納部
154:開発成果物データ
154、200:開発スタイル一覧
160:クライアント端末管理サーバ
170:管理者PCクライアント管理部
171:インストール制御部
172:作業進捗管理部
173:データ格納部
174:進捗管理データ
175、600:開発用端末管理データ
181:インストール制御部
182:作業進捗報告部
183:データ格納部
184:開発作業データ
300:開発スタイル別環境導入データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアの開発環境の導入対象であり管理者または開発者により使用される複数の端末と、各前記端末の操作およびデータ管理を行うために各前記端末と連携する端末管理サーバと、各前記端末に対する開発環境導入制御およびインストール情報管理を行う開発環境導入サーバとを備えたソフトウェア開発環境導入システムであって、前記開発環境導入サーバは、
ソフトウェアの開発環境の開発スタイル毎に、開発環境の導入に必要なツールおよびデータから構成される環境導入データをあらかじめデータ格納部に格納するデータ格納手段と、
管理者により選択された開発スタイルを前記端末から受信することに応じて該選択された開発スタイルに応じた環境導入データを前記データ格納部から取得し、取得した環境導入データを、前記端末管理サーバに送信するとともに、前記環境導入データに含まれるツールのインストール指示を与える環境導入制御管理手段とを有することを特徴とするソフトウェア開発環境導入システム。
【請求項2】
前記端末管理サーバは、
前記開発環境導入サーバから送信された前記環境導入データおよび前記インストール指示を受信することに応じて、前記環境導入データに含まれるツールのうち各端末にあらかじめインストールされていないツールのみを新たにインストールするとともに、該環境導入データに含まれるツールについて、該インストール指示により新たにインストールされたツールとあらかじめインストールされていたツールとを識別するインストール情報を前記開発環境導入サーバに送信するインストール制御手段を備え、
前記開発環境導入サーバはさらに、
前記端末管理サーバから受信した前記インストール情報を前記データ格納部に格納するインストール情報管理手段を備え、
前記開発環境導入サーバにおける前記環境導入制御管理手段は、前記環境導入データに含まれる全部もしくは一部のツールについての管理者によるアンインストール指示を前記端末から受信することに応じて、前記データ格納部に格納された前記インストール情報に基づいて、各前記端末に新たにインストールされたツールのみのアンインストール指示を前記端末管理サーバの前記インストール制御手段に与えることを特徴とする請求項1に記載のソフトウェア開発環境導入システム。
【請求項3】
前記端末管理サーバの前記インストール制御手段は、
前記環境導入データに含まれない新ツールが開発者により前記端末にインストールされた場合に、管理者により使用される前記端末に通知する手段を備え、
前記開発環境導入サーバの前記環境導入制御管理手段は、管理者からの生体認証による認証手段を利用したインストール指示を前記端末から受信することに応じて、前記新ツールを受信し、新たな環境導入データとして前記データ格納部に格納するとともに、前記端末管理サーバに対し該新ツールをインストールしていない端末へのインストール指示を与えることを特徴とする請求項1または2に記載のソフトウェア開発環境導入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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