説明

ソフトコンタクトレンズパッケージ

【課題】開封時の振動等によって収容されている保存液が零れてしまうことを有利に回避することが出来ると共に、後面を汚さずにソフトコンタクトレンズを取り出すことが出来る、新規な構造のソフトコンタクトレンズパッケージを提供することを、目的とする。
【解決手段】開封可能に密閉されたパッケージ16内に保存液32を含浸させたスポンジ状支持体22を収容すると共に、スポンジ状支持体22において球状凸形の支持面24を形成し、この支持面24に対してソフトコンタクトレンズ26の球状凹形の後面28を重ね合わせてソフトコンタクトレンズ26を収容せしめた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトコンタクトレンズを保存等する際に用いるソフトコンタクトレンズパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、近視や遠視,乱視,老眼の矯正等を目的として、角膜の表面に重ね合わせて装着するコンタクトレンズが提供されている。
【0003】
かかるコンタクトレンズは、製造メーカーから需要者に提供するまでの過程における損傷防止や雑菌による汚染防止等を目的として、密封された容器に収容されて提供されることが多い。特にソフトコンタクトレンズは、水分を含んで柔らかくされた膨潤状態で使用するようになっていることから、容器に収容された保存液に浸漬せしめた状態で需要者に提供されるようになっている。
【0004】
また、ソフトコンタクトレンズは、上述の如く水分を含ませておく必要があることから、装用しない場合には、容器に収容した保存液に浸漬せしめた状態で保存する必要がある。
【0005】
従って、ソフトコンタクトレンズを装用する場合には、保存液が収容されている容器を開封して、保存液に浸漬されているソフトコンタクトレンズを取り出さなければならない。しかし、保存液は、ソフトコンタクトレンズを浸漬するために、多量に収容されていることから、容器を開封する際の振動等によって、保存液が漏れるおそれがある。それ故、容器を開封する際に、特に洗面所以外の場所では、周囲に気を配らなければならないという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1乃至4において、保存液を染み込ませたスポンジとコンタクトレンズを一緒に収容するコンタクトレンズパッケージが提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のコンタクトレンズパッケージにおいては、パッケージを開けた際に、コンタクトレンズの前面がスポンジに形成された球状凹形に窪んだ凹部に収容されるようになっていることから、コンタクトレンズをパッケージから取り出す際に、装用時に角膜と直接に接するコンタクトレンズの後面に指を接触させて摘み出さなければならず、コンタクトレンズの後面が使用前に手指の汚れによって汚染されるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1乃至4に記載のコンタクトレンズパッケージにおいては、スポンジに形成された凹部にコンタクトレンズが収容されるようになっていることから、コンタクトレンズをパッケージから取り出す際やコンタクトレンズを保存する際や流通せしめる際において、コンタクトレンズがスポンジに形成された凹部内で回転したり、表裏反転するおそれがある。そして、コンタクトレンズが凹部内で回転して後面を上に向けると、開封して取り出す際に、コンタクトレンズの裏面に手指が一層触れ易くなる。また、コンタクトレンズが表裏反転してしまった場合には、コンタクトレンズの表裏を区別することが困難になり、コンタクトレンズを正しく装着することが一層難しくなるという問題もある。
【0009】
【特許文献1】特表2003−521737号公報
【特許文献2】米国特許第6138312号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/102384号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/54514号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、開封時の振動等によって収容されている保存液が零れてしまうことを有利に回避することが出来ると共に、後面を汚さずにソフトコンタクトレンズを取り出すことが出来る、新規な構造のソフトコンタクトレンズパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0012】
本発明に係るソフトコンタクトレンズパッケージは、開封可能に密閉されたパッケージ内に保存液を含浸させたスポンジ状支持体を収容すると共に、スポンジ状支持体において球状凸形の支持面を形成し、この支持面に対してソフトコンタクトレンズの球状凹形の後面を重ね合わせてソフトコンタクトレンズを収容せしめたことを、特徴とする。
【0013】
このような本発明に従う構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージにおいては、保存液を含ませて浸透させたスポンジ状支持体がパッケージ内に収容されていることから、パッケージを開封した際の振動等によって保存液が零れ難いようにすることが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、スポンジ状支持体に形成された球状凸形の支持面にソフトコンタクトレンズの球状凹形の後面を重ね合わせた状態でソフトコンタクトレンズをパッケージ内に収容するようになっていることから、ソフトコンタクトレンズを取り出す際に、ソフトコンタクトレンズの前面に指が触れるようにすることが可能となる。これにより、ソフトコンタクトレンズをパッケージから取り出す際に、ソフトコンタクトレンズの後面を汚してしまうことを有利に回避することが可能となる。
【0015】
なお、本発明における保存液とは、保存作用のみが発揮される保存液だけでなく、保存作用に加えて洗浄・殺菌作用や殺菌・消毒作用等が併せて発揮される各種の保存液も含む。
【0016】
また、本発明におけるスポンジ状支持体とは、内部に空隙(孔)が多数形成された多孔質の弾性変形可能なものであって、液体に浸した場合には、孔内の空気と入れ換えるようにして液体を吸い取って保持する一方、外力が加わった場合には、吸い取った液体を容易に放出する特性を有するものが望ましい。そこにおいて、本発明のスポンジ状支持体の原料としては、ポリウレタン等の合成樹脂材料や合成ゴム等の各種ゴム材料が、何れも採用可能であるが、耐熱性や耐圧性,耐薬品性等の観点から、クロロプレンゴムやエチレンプロピレンゴム,シリコーンゴム等が好適に採用される。また、本発明のスポンジ状支持体の製造方法としては、従来から公知のスポンジの製造方法を採用することが出来る。
【0017】
さらに、本発明においては、パッケージが密閉された状態ではスポンジ状支持体が圧縮されて収容されている一方、パッケージが開封されることによりスポンジ状支持体が膨らむようになっていても良い。これにより、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの全体サイズをコンパクトにすることが可能となる。
【0018】
また、本発明においては、パッケージが密閉された状態でスポンジ状支持体が非圧縮状態で収容されていても良い。これにより、より多くの保存液をスポンジ状支持体に染み込ませて保持させることが可能となる。その結果、ソフトコンタクトレンズの保存期間が長期間に亘る場合であっても、ソフトコンタクトレンズを膨潤状態に維持しておくことが一層容易となる。また、ソフトコンタクトレンズにおける収容状態での歪を抑えることが出来て、ソフトコンタクトレンズの形状の安定性の向上も図られ得る。
【0019】
さらに、本発明においては、保存液を溜めておく液溜まり凹部が、パッケージを開封した際にパッケージにおいてスポンジ状支持体が配置される部位に設けられていることが望ましい。これにより、パッケージを開封する際に外力が加わることによってスポンジ状支持体から含浸されていた保存液が染み出したとしても、かかるスポンジ状支持体から染み出した保存液を液溜まり凹部によって受けることが可能となる。その結果、パッケージを開封した際に、保存液が零れてしまうことを一層効果的に回避することが可能となる。
【0020】
そこにおいて、上述の如き構成を採用する場合、液溜まり凹部の容積は、圧縮前の含浸されたスポンジ状支持体をパッケージ密閉で圧縮する際に、該スポンジ状支持体から染み出る保存液の体積以上の大きさに設定されていることが望ましい。これにより、スポンジ状支持体から染み出した保存液が液溜まり凹部から溢れることがなくなる。その結果、パッケージを開封した際に、保存液が零れてしまうことをより一層有利に回避することが可能となる。
【0021】
また、上述の如く液溜まり凹部を設ける場合には、液溜まり凹部が、パッケージにおいてスポンジ状支持体が配置された位置からはみ出していることが望ましい。これにより、液溜まり凹部の容積をより大きく確保することが可能となる。
【0022】
更にまた、本発明においては、互いに密着状態で重ね合わされて固定される一対のパッケージ構成部材によってパッケージが構成されていると共に、一対のパッケージ構成部材の一方がソフトコンタクトレンズの球状凸形の前面を覆うフィルムによって構成されており、このフィルムを一対のパッケージ構成部材の他方から剥離させてパッケージを開封するようにしても良い。この場合、一対のパッケージ構成部材の一方がフィルムによって構成されていることから、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの厚さ寸法を小さくすることが可能となる。その結果、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの全体サイズを小さくすることが可能となる。
【0023】
そこにおいて、上述の如き構成を採用する場合、パッケージが密閉された状態で、フィルムがソフトコンタクトレンズの球状凸形の前面に接触していることが望ましい。これにより、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの厚さ寸法を一層小さくすることが可能となる。その結果、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの全体サイズを一層コンパクトにすることが可能となる。
【0024】
また、本発明においては、スポンジ状支持体が配置される凹部を備えた容器本体と、かかる凹部の開口を流体密に覆蓋する蓋体とによって、パッケージが構成されていても良い。これにより、パッケージを密閉する際に、スポンジ状支持体の位置決めと所定位置への保持が容易となる。
【0025】
かくの如き構成を採用する場合、パッケージが密閉された状態で、蓋体がソフトコンタクトレンズの球状凸形の前面に接触していることが望ましい。これにより、ソフトコンタクトレンズの位置ずれを抑えることが出来る。また、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの厚さ寸法を小さくして、パッケージが密閉された状態でのソフトコンタクトレンズパッケージの全体サイズを小さくすることが可能となる。
【0026】
また、上述の如く容器本体と蓋体によってパッケージを構成する場合、容器本体は硬質材によって形成されていることが望ましい。これにより、パッケージを開封する際に、容器本体に力が加わったとしても、容器本体の変形、特に容器本体に形成された凹部の変形を有利に回避することが可能となる。その結果、パッケージを開封する際に、保存液が零れてしまうことを回避することが可能となる。
【0027】
なお、本発明における硬質材とは、外力が加わった際に凹部の形状を維持することが可能な強度を有する材料をいい、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリエチレンテレフタレート等の従来から公知の硬質な合成樹脂材料等が採用可能である。
【0028】
更にまた、本発明においては、パッケージの裏面が、ソフトコンタクトレンズの付着が防止される付着防止面とされていることが望ましい。これにより、パッケージを開封した際に、パッケージの裏面にソフトコンタクトレンズが付着してしまうことを回避することが可能となる。
【0029】
そこにおいて、本発明の付着防止面は、例えば、パッケージの裏面を凹凸面としたり、或いは、パッケージの裏面を疎水面とすること等によって、実現され得る。なお、パッケージの裏面を凹凸面とする方法としては、例えば、パッケージの裏面に対して梨地加工やエンボス加工等を施すことによって実現され得る。また、パッケージの裏面を疎水面とする方法としては、パッケージの裏面そのものを疎水性を有する材料で形成することやパッケージの裏面に疎水加工を施すこと等によって実現され得る。
【0030】
また、本発明においては、パッケージを開封した状態で、スポンジ状支持体における支持面が形成されたほうと反対側の部分がパッケージに固定されていても良い。この場合、パッケージを開封した際に、スポンジ状支持体がパッケージから落ちてしまうことを回避することが可能となる。
【0031】
更にまた、本発明のソフトコンタクトレンズパッケージは、ソフトコンタクトレンズが市場で流通する際に用いられる流通ケースとして使用されても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0033】
先ず、図1乃至図6には、本発明の第一実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージ10が示されている。
【0034】
より詳細には、本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ10は、容器本体12と蓋体14で構成されたパッケージ16を備えている。容器本体12は、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリエチレンテレフタレート等の硬質の合成樹脂材やセルロース等によって形成されており、全体として厚肉の矩形平板形状を呈している。
【0035】
また、本実施形態の容器本体12には、図4乃至図6に示されているように、厚さ方向一方の面に向かって開口する凹部としての位置決め凹部18が形成されている。特に本実施形態では、位置決め凹部18が、容器本体12の略中央に位置して、略一定の円形で開口形成されている。
【0036】
更にまた、本実施形態の容器本体12には、位置決め凹部18の底壁において、位置決め凹部18内に開口する液溜まり凹部としての液溜溝20が一対形成されている。特に本実施形態では、かかる一対の液溜溝20,20は、それぞれ、円形の位置決め凹部18の中心を挟んだ径方向両側で互いに平行に延びており、各液溜溝20の長さ方向両端が、何れも、位置決め凹部18から外周側へ延び出している。
【0037】
一方、本実施形態の蓋体14は、アルミニウムが蒸着された合成樹脂製のフィルムによって構成されている。なお、フィルムの形成材料として用いられる合成樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン,エチレン酢酸ビニル樹脂,エチレンエチルアクリレート,エチレンアクリル酸樹脂,ポリエステル等が採用され得る。また、合成樹脂製のフィルムは単層構造であっても良いし、多層構造であっても良い。更にまた、蓋体14として、アルミニウムが蒸着されていない合成樹脂製のフィルムを採用することも可能である。
【0038】
そこにおいて、本実施形態の蓋体14の裏面には、フッ素樹脂が塗布されており、それによって、蓋体14の裏面が付着防止面としての疎水面とされている。その結果、後述の如く蓋体14を容器本体12から剥離してパッケージ16を開封した際に、後述するソフトコンタクトレンズ26が蓋体14の裏面に付着してしまうことを有利に回避することが可能となる。
【0039】
また、容器本体12の位置決め凹部18には、スポンジ状支持体としての支持台スポンジ22が配置されている。この支持台スポンジ22は、ゴムスポンジによって形成されており、特に本実施形態では、耐熱性及び耐圧性を得るために、クロロプレンゴムやエチレンプロピレンゴム,シリコーンゴム等の発泡成形体によって形成されている。なお、本実施形態の支持台スポンジ22は、連続気泡を有しており、それによって、弾性及び液体の浸透性が大きく確保されている。そこにおいて、連続気泡を有するゴムスポンジは、例えば、特開2005−89611号公報や特開2002−12696号公報,特開平6−107865号公報,特公平5−54858号公報,特公平5−79250号公報等に記載されている、従来から公知の製造方法によって得ることが出来る。
【0040】
また、本実施形態の支持台スポンジ22は、厚肉円板形状を呈する基端部分の上端面から球状凸形の湾曲面24を有する突部が一体的に設けられた形状とされており、かかる球状凸形の湾曲面24によって、球状凸形の支持面が構成されている。なお、本実施形態では、球状凸形の湾曲面24における中央部分の曲率半径は略一定とされており、これによって、後述するソフトコンタクトレンズ26を安定して支持する支持面が形成されている。
【0041】
このような形状とされた支持台スポンジ22は、生理食塩水等で構成された保存液32を染み込ませた状態で、容器本体12に設けられた位置決め凹部18に対して基端部分が嵌め入れられて固定されることにより、位置決め凹部18から開口方向に向かって突出するようにして配置されている。
【0042】
そして、このようにして支持台スポンジ22が位置決め凹部18内に配置された状態で、ソフトコンタクトレンズ26の球状凹形の後面28が支持台スポンジ22の球状凸形の湾曲面24に重ね合わせられて、ソフトコンタクトレンズが支持されるようになっている。なお、ソフトコンタクトレンズは、HEMA(ハイドロキシエチルメタクリレート)やN−VP(N−ビニルピロリドン),DMAA(ジメチルアクリルアミド),グリセロールメタクリレート(GMA)等によって形成された含水性ソフトコンタクトレンズであっても良いし、シリコンラバーやブチルアクリレート,ジメチルシロキサン等によって形成された非含水性ソフトコンタクトレンズであっても良い。
【0043】
また、このようにしてソフトコンタクトレンズ26の後面28が支持台スポンジ22の湾曲面24に重ね合わせられた状態で、外方から蓋体14が重ね合わされて組み合わされている。そして、蓋体14の外周縁部が、容器本体12の上面外周縁部に対して熱溶着や超音波溶着等によって固着されている。これにより、容器本体12の位置決め凹部18が蓋体14で流体密に覆蓋されて、ソフトコンタクトレンズ26が重ね合わされた支持台スポンジ22を収容する、密閉されたパッケージ16が形成されている。そして、ソフトコンタクトレンズ26は、この状態で所定の滅菌処理が施された後、出荷される。
【0044】
本実施形態では、上述の如く密閉されたパッケージ16において、支持台スポンジ22は、湾曲面24に重ね合わせられているソフトコンタクトレンズ26を含めて、蓋体14によって高さ方向(厚さ方向)に押え付けられることにより、高さ方向に圧縮された状態でパッケージ16に収容されている。特に本実施形態では、このように支持台スポンジ22が圧縮されて収容された状態で、蓋体14は容器本体12の上面に沿って略平坦に貼り付けられており、それによって、パッケージ16が全体として略平板形状を呈するようになっている。
【0045】
また、上述の如く支持台スポンジ22が圧縮されることにより、支持台スポンジ22に染み込ませていた保存液32は、支持台スポンジ22から染み出てきて液溜溝20,20に収容されるようになっている。なお、本実施形態では、液溜溝20,20の容積が、支持台スポンジ22が圧縮された状態で支持台スポンジ22から染み出てくる保存液32の体積よりも大きく設定されている。
【0046】
上述の如き構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ10は、フィルム状の蓋体14を容器本体12から剥離してパッケージ16を開封することにより、図3乃至6に示されているように、それまで圧縮されていた支持台スポンジ22が弾性により膨らんでソフトコンタクトレンズ26を載置状態で支持するようになる。そして、この状態で、ソフトコンタクトレンズ26を取り出すようにされる。
【0047】
上述の如き構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ10においては、保存液32が支持台スポンジ22に染み込んでいることから、パッケージ16を開封した際に、保存液32が零れてしまうことを防止することが可能となる。
【0048】
本実施形態では、支持台スポンジ22が配置されている位置決め凹部18の底壁に液溜溝20,20が形成されていることから、パッケージ16を開封した際に、保存液32が零れてしまうことを効果的に防止できる。
【0049】
特に、これら液溜溝20,20が位置決め凹部18からはみ出して外側へ延びるように形成されていることから、液溜溝20,20の容積を充分に大きく確保することが出来て、開蓋時の保存液32のこぼれ出しをより効果的に防止できる。
【0050】
更にまた、本実施形態では、容器本体12が硬質の合成樹脂材によって形成されていることから、パッケージ16を開封する際に容器本体12に力が加わったとしても、容器本体12の変形、特に位置決め凹部18の変形を軽減乃至は阻止することが可能となる。これにより、パッケージ16を開封した際に、保存液32が零れてしまうことを一層効果的に防止することが可能となる。
【0051】
また、上述の如き構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ10においては、パッケージ16を開封した際に、ソフトコンタクトレンズ26が支持台スポンジ22に形成された湾曲面24に対して後面28が重ね合わせられていることから、前面30を指で触ることにより、ソフトコンタクトレンズ26を取り出すことが出来るようになっている。これにより、ソフトコンタクトレンズ26の取り出しに際してのソフトコンタクトレンズ26の後面28への手指の接触を回避して後面28を汚すことなくソフトコンタクトレンズ26を取り出すことが可能となる。
【0052】
更にまた、本実施形態では、パッケージ16が密閉された状態では支持台スポンジ22が圧縮されてパッケージ16に収容されている一方、パッケージ16が開封されることにより支持台スポンジ22が膨らむようになっていることから、ソフトコンタクトレンズパッケージ10の未開封状態における全体サイズを小さくすることが可能となる。
【0053】
これにより、本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ10を、ソフトコンタクトレンズ26が市場で流通する際に用いられる流通ケース、即ち、メーカーがソフトコンタクトレンズ26を出荷する際にソフトコンタクトレンズ26を収容するケースとして利用する場合には、保存場所が小さくて良いし、流通コストも抑えられる。また、ユーザーも未開封のソフトコンタクトレンズパッケージ10を、例えば、パスケース等に入れて持ち歩くこと等が可能となる。そして、使用時には、開封によって支持台スポンジ22が膨らんでソフトコンタクトレンズ26を上方に持ち上げることから、ソフトコンタクトレンズ26を容易に摘むことが出来て、優れた使用性能が発揮されるのである。
【0054】
また、本実施形態では、パッケージ16が密閉された状態で、蓋体14がソフトコンタクトレンズ26の球状凸形の前面30に直接に接触して押え付けられていることから、ソフトコンタクトレンズパッケージ10の全体厚さサイズを一層小さくすることが可能となる。
【0055】
さらに、本実施形態では、パッケージ16を開封した状態で、支持台スポンジ22における基端部分が容器本体12の位置決め凹部18に嵌め込まれて固定されていることから、パッケージ16を開封した際に、支持台スポンジ22が落下等することを防止できる。
【0056】
続いて、本発明の第二実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージ34を、図7及び図8に基づいて説明する。
【0057】
本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ34は、一対のフィルム36,38が互いに密着状態で重ね合わされて外周縁部が溶着固定されることにより、内部に収容空間が形成されるパッケージ40を備えている。特に本実施形態では、一対のフィルム36,38は、予め連結されて、恰も1枚のフィルムを構成するようにされている。なお、各フィルム36,38の形成材料は、第一実施形態の蓋体(14)と同様な材料によって形成されている。
【0058】
そこにおいて、本実施形態では、一方のフィルム36の裏面中央部分に対してエンボス加工が施されており、それによって、一方のフィルム36の裏面中央部分が付着防止面としての凹凸面42とされている。
【0059】
なお、一方のフィルム36の裏面にエンボス加工を施す方法としては、例えば、少なくとも一方に凹凸面が形成された一対の成形型でフィルム36を挟み、その状態で、フィルム36を加熱しながら、フィルム36に対して圧力を加えることにより、凹凸面の凹凸をフィルム36に転写する方法や、表面に凹凸が形成されたエンボスロールとかかるエンボスロールに対向して配置された支持ロールとによってフィルム36を挟み、この状態で、フィルム36を加熱しながら、フィルム36を挟んでいるロールを回転させることにより、フィルム36に対して凹凸を転写する方法等の従来から公知のエンボス加工方法が採用可能である。また、凹凸の形状は、後述の如くパッケージ40を開封した際にソフトコンタクトレンズ48が一方のフィルム36の裏面に付着することを防止できるのであれば、特に限定されることはなく、例えば、半球形状や円錐台形状,円柱形状,蒲鉾形状等の外面形状を有する凸部が規則的乃至は不規則に並んだものであっても良いし、半球状や円柱状等の内面形状を有する凹部が規則的乃至は不規則に並んだものであっても良い。
【0060】
また、本実施形態のスポンジ状支持体としての支持台スポンジ44は、球状凸形の支持面46を備えており、全体として円板形状を呈している。なお、支持台スポンジ44は、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な材料によって形成されていると共に、第一実施形態と同様な特性を有している。
【0061】
このような支持台スポンジ44は、他方のフィルム38の裏面中央部分に対して、平坦な底面が重ね合わせられて、必要に応じて接着剤等で固定されている。そして、支持台スポンジ44に保存液を染み込ませて、且つ、球状凸形の支持面46にソフトコンタクトレンズ48の球状凹形の後面50を重ね合わせた状態で、一方のフィルム36と他方のフィルム38の連結部分を折り曲げて、一方のフィルム36を他方のフィルム38に重ね合わせた後、一対のフィルム36,38の外周縁部を溶着することにより、密閉されたパッケージ40が形成されている。そして、この状態で、ソフトコンタクトレンズ48は市場に供給されることとなる。
【0062】
ここにおいて、本実施形態では、上述の如くソフトコンタクトレンズ48がパッケージ40内に収容された状態で、ソフトコンタクトレンズ48の前面52に対して一方のフィルム36の裏面中央部分に形成された凹凸面42が近接若しくは接触するようになっている。
【0063】
また、本実施形態では、上述の如くソフトコンタクトレンズ48がパッケージ40に収容された状態で、支持台スポンジ44は高さ方向(厚さ方向)において実質的に圧縮されていない状態とされることが好ましい。
【0064】
そして、上述の如き構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ34は、一方のフィルム36を他方のフィルム38から剥離することで開封されて、図7に示されているように、ソフトコンタクトレンズ48が支持台スポンジ44に載置された状態で現れるようになっている。この開封状態で、ソフトコンタクトレンズ48を取り出すようになっている。
【0065】
従って、上述の如き構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ34においては、保存液が含まれている支持台スポンジ44に形成された球状凸形の支持面46に対して、ソフトコンタクトレンズ48の球状凹形の後面50が重ね合わされた状態で、ソフトコンタクトレンズ48がパッケージ40内に収容されるようになっていることから、第一実施形態と同様な効果を得ることが出来る。
【0066】
そこにおいて、本実施形態では、パッケージ40が密閉された状態で支持台スポンジ44が圧縮されていないことから、支持台スポンジ44により多くの保存液を染み込ませることが可能となる。これにより、ソフトコンタクトレンズ48の保存期間が長期間に亘る場合であっても、ソフトコンタクトレンズ48を膨潤状態に維持することが出来る。
【0067】
また、本実施形態では、パッケージ40が一対のフィルム36,38によって構成されていることから、ソフトコンタクトレンズパッケージ34の全体サイズを小さくすることが可能となり、ソフトコンタクトレンズパッケージ34の携帯性を高めることが可能となる。
【0068】
更にまた、本実施形態では、一方のフィルム36の裏面中央部分が凹凸面42とされており、かかる凹凸面42がソフトコンタクトレンズ48の前面52に接触するようになっていることから、パッケージ40を開封した際にソフトコンタクトレンズ48が一方のフィルム36の裏面に付着することを有利に回避することが可能となる。
【0069】
次に、本発明の第三実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージ54について、図9及び図10に基づいて説明する。
【0070】
本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ54は、有底筒形状を有する容器本体56の開口が蓋体としてのキャップ58によって流体密に覆蓋される構造とされたパッケージ60が支持板62上に一対設けられた構造とされている。なお、本実施形態では、キャップ58は容器本体56に対して螺着されるようになっている。また、本実施形態では、各パッケージ60を構成する容器本体56とキャップ58は、それぞれ、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材によって形成されている。
【0071】
このような構造とされたパッケージ60の容器本体56の内部には、スポンジ状支持体としての支持台スポンジ64が配置されている。この支持台スポンジ64は、円形ブロック形状を呈する基端部分の上端面において上方に突出する球状凸部が一体形成された形状とされており、それによって、軸方向上方に向かって凸となる球状凸形の支持面66が形成されている。なお、本実施形態の支持台スポンジ64は、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な材料によって形成されていると共に、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な特性を有している。
【0072】
このような支持台スポンジ64は、基端部分が容器本体56の底壁に重ね合わせられるようにして容器本体56の内部に配置されるようになっている。そして、支持台スポンジ64に保存液が染み込んだ状態で、支持台スポンジ64の支持面66に対してソフトコンタクトレンズ68の後面70を重ね合わせた後、キャップ58を容器本体56に螺着固定することにより、容器本体56の開口がキャップ58によって流体密に覆蓋されて、密閉されたパッケージ60が形成されるようになっている。
【0073】
本実施形態では、上述の如くパッケージ60が密閉された状態で、キャップ58がソフトコンタクトレンズ68の前面72に当接せず、キャップ58とソフトコンタクトレンズ68の前面72との間に隙間が形成されている。また、支持台スポンジ64はキャップ58で圧縮されていない状態とされている。
【0074】
このような構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ54においては、保存液が含まれている支持台スポンジ64に形成された球状凸形の支持面66に対して、ソフトコンタクトレンズ68の球状凹形の後面70が重ね合わされた状態で、ソフトコンタクトレンズ68がパッケージ60内に収容されるようになっていることから、第一実施形態と同様な効果を得ることが出来る。
【0075】
特に本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ54は、日常生活においてソフトコンタクトレンズ68を装用しない場合にソフトコンタクトレンズ68を保存するための保存ケースとして使用されるようになっていることから、日常生活においてソフトコンタクトレンズ68を装用しない場合にソフトコンタクトレンズ68を膨潤状態に維持することが有利に実現され得ることとなる。
【0076】
また、本実施形態では、支持台スポンジ64が容器本体56に対して固定されていないことから、支持台スポンジ64を交換することが可能となる。これにより、支持台スポンジ64が汚れてしまった場合に、支持台スポンジ64を取り換えることにより、ソフトコンタクトレンズ68の後面70に接する支持台スポンジ64の支持面66を清潔な状態にすることが可能となる。
【0077】
なお、容器本体56内には、支持台スポンジ64で吸収しきれない量の保存液が充填されていても良い。
【0078】
そして、本実施形態においても、ソフトコンタクトレンズ68が、その後面70を支持台スポンジ64の支持面66に重ね合わされて載置状態で支持されていることから、表裏反転が防止された安定状態で保存され得るのである。
【0079】
次に、本発明の第四実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージ74について、図11及び図12に基づいて説明する。
【0080】
本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ74は、有底筒形状を有する容器本体76の開口が蓋体としてのキャップ78によって流体密に覆蓋される構造とされたパッケージ80が支持板82上に一対設けられた構造とされている。なお、本実施形態では、キャップ78はヒンジ84を介して一軸回りに回動可能な状態で容器本体76に組み付けられており、キャップ78に設けられた係止片86が容器本体76に設けられた係止突起88に係合せしめられることにより、容器本体76の開口がキャップ78によって覆蓋されるようになっている。また、本実施形態では、容器本体76とキャップ78の間にゴムパッキン90が配されており、上述の如く容器本体76の開口がキャップ78によって覆蓋された状態で、ゴムパッキン90がキャップ78と容器本体76によって挟圧保持されるようになっており、それによって、密閉されたパッケージ80が形成されるようになっている。更にまた、本実施形態では、各パッケージ80を構成する容器本体76とキャップ78は、それぞれ、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材によって形成されている。
【0081】
このような構造とされたパッケージ80の容器本体76の内部には、スポンジ状支持体としての支持台スポンジ92が配置されている。この支持台スポンジ92は、円形ブロック形状を呈する基端部分の上端面において上方に突出する球状凸部が一体形成された形状とされており、それによって、軸方向上方に向かって凸となる球状凸形の支持面94が形成されている。なお、本実施形態の支持台スポンジ92は、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な材料によって形成されていると共に、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な特性を有している。
【0082】
このような支持台スポンジ92は、基端部分が容器本体76の底壁に重ね合わせられるようにして容器本体76の内部に配置されるようになっている。そして、支持台スポンジ92に保存液が染み込んだ状態で、支持台スポンジ92の支持面94に対してソフトコンタクトレンズ96の後面98を重ね合わせた後、容器本体76の開口をキャップ78で覆蓋することにより、密閉されたパッケージ80が形成されるようになっている。
【0083】
本実施形態では、上述の如くパッケージ80が密閉された状態で、キャップ78がソフトコンタクトレンズ96の前面100に当接せず、キャップ78とソフトコンタクトレンズ96の前面100との間に隙間が形成されている。また、支持台スポンジ92は圧縮されていない状態とされている。
【0084】
このような構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ74においては、保存液が含まれている支持台スポンジ92に形成された球状凸形の支持面94に対して、ソフトコンタクトレンズ96の球状凹形の後面98が重ね合わされた状態で、ソフトコンタクトレンズ96がパッケージ80内に収容されるようになっていることから、第三実施形態と同様な効果を得ることが出来る。
【0085】
次に、本発明の第五実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージ102について、図13及び図14に基づいて説明する。
【0086】
本実施形態のソフトコンタクトレンズパッケージ102は、有底筒形状を有する容器本体104の開口が蓋体としてのキャップ106によって流体密に覆蓋される構造とされたパッケージ108が支持板110上に一対設けられた構造とされている。なお、本実施形態では、キャップ106に設けられた係止凹部112が容器本体104に設けられた係止片114に係合せしめられることにより、容器本体104の開口がキャップ106によって覆蓋されるようになっている。これにより、密閉されたパッケージ108が形成されるようになっている。また、本実施形態では、各パッケージ108を構成する容器本体104とキャップ106は、それぞれ、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材によって形成されている。
【0087】
このような構造とされたパッケージ108の容器本体104の内部には、スポンジ状支持体としての支持台スポンジ118が配置されている。この支持台スポンジ118は、円形ブロック形状を呈する基端部分の上端面において上方に突出する球状凸部が一体形成された形状とされている。これにより、支持台スポンジ118には、軸方向上方に向かって凸となる球状凸形の支持面120が形成されている。なお、本実施形態の支持台スポンジ118は、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な材料によって形成されていると共に、第一実施形態の支持台スポンジ(22)と同様な特性を有している。
【0088】
このような支持台スポンジ118は、基端部分が容器本体104の底壁に重ね合わせられるようにして容器本体104の内部に配置されるようになっている。そして、支持台スポンジ118に保存液が染み込んだ状態で、支持台スポンジ118の支持面120に対してソフトコンタクトレンズ122の後面124を重ね合わせた後、キャップ106を容器本体104に固定することにより、容器本体104の開口がキャップ106によって流体密に覆蓋されて、密閉されたパッケージ108が形成されるようになっている。
【0089】
そこにおいて、本実施形態では、上述の如くパッケージ108が密閉された状態で、キャップ106がソフトコンタクトレンズ122の前面126に当接しないようになっている。即ち、キャップ106とソフトコンタクトレンズ122の前面126との間には、隙間が形成されているのである。また、支持台スポンジ118は圧縮されていない状態とされている。
【0090】
このような構造とされたソフトコンタクトレンズパッケージ102においては、保存液が含まれている支持台スポンジ118に形成された球状凸形の支持面120に対して、ソフトコンタクトレンズ122の球状凹形の後面124が重ね合わされた状態で、ソフトコンタクトレンズ122がパッケージ108内に収容されるようになっていることから、第四実施形態と同様な効果を得ることが出来る。
【0091】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0092】
例えば、前記第一実施形態において、一対の液溜溝20,20の代わりに、図15及び図16に示されているように、液溜まり凹部としての液溜穴128を設けるようにしても良い。そこにおいて、液溜穴128は、支持台スポンジ22の底面よりも小さな面積で開口するようになっており、特に図15及び図16では、円形断面で開口するようになっている。なお、液溜穴128の開口断面形状は、円形に限定されることはなく、例えば、三角形や四角形等の多角形,楕円形,三日月形、更には、これらの形状を歪めた形状等が何れも採用可能である。また、図15及び図16においては、液溜穴128の深さ寸法は一定とされているが、例えば、中心側へ行くに従って次第に深くなるようにする等、深さ寸法を場所によって異ならせるようにしても良い。なお、理解を容易にするために、図15及び図16においては、第一実施形態と同様な部材及び部位について、第一実施形態と同一の符号を付してある。
【0093】
また、前記第一実施形態において、各液溜溝20において位置決め凹部18の外側へ延び出している部分の底面は、位置決め凹部18のほうへ下る傾斜面とされていても良い。これにより、支持台スポンジ22から染み出た保存液32が再び支持台スポンジ22に吸収させることが可能となる。
【0094】
更にまた、前記第一実施形態において、各液溜溝20の底面は、溝幅方向中央が最も深くなるようにされていても良い。
【0095】
また、前記第一乃至第五実施形態において、パッケージに密閉された状態で、ソフトコンタクトレンズの前面に対して、保存液を染み込ませたスポンジが当接せしめられるようになっていても良い。即ち、蓋体14,36,58,78,106の裏面に保存液を含浸させたスポンジを重ねて配したり、固着させて、ソフトコンタクトレンズの前面に重ねるようにしても良い。また、そのスポンジは、薄いシート状としても良い。
【0096】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第一実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージを示す斜視図。
【図2】同ソフトコンタクトレンズパッケージの密閉状態での断面図。
【図3】同ソフトコンタクトレンズパッケージの蓋体が剥離された状態を示す斜視図。
【図4】同ソフトコンタクトレンズパッケージの蓋体が剥離された状態を示す平面図。
【図5】図4におけるV−V断面図。
【図6】図4におけるVI−VI断面図。
【図7】本発明の第二実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージが開封された状態を示す斜視図。
【図8】同ソフトコンタクトレンズパッケージの密閉状態を示す断面図。
【図9】本発明の第三実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージを示す斜視図。
【図10】同ソフトコンタクトレンズパッケージの密閉状態を示す断面図。
【図11】本発明の第四実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージを示す斜視図。
【図12】同ソフトコンタクトレンズパッケージの密閉状態を示す断面図。
【図13】本発明の第四実施形態としてのソフトコンタクトレンズパッケージを示す斜視図。
【図14】同ソフトコンタクトレンズパッケージの密閉状態を示す断面図。
【図15】第一実施形態で採用可能な液溜まり凹部の他の態様を示す平面図。
【図16】図15におけるXVI−XVI断面図。
【符号の説明】
【0098】
10:ソフトコンタクトレンズパッケージ,16:パッケージ,22:支持台スポンジ,24:湾曲面,26:ソフトコンタクトレンズ,28:後面,32:保存液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封可能に密閉されたパッケージ内に保存液を含浸させたスポンジ状支持体を収容すると共に、該スポンジ状支持体において球状凸形の支持面を形成し、この支持面に対してソフトコンタクトレンズの球状凹形の後面を重ね合わせて該ソフトコンタクトレンズを収容せしめたことを特徴とするソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項2】
前記パッケージが密閉された状態では前記スポンジ状支持体が圧縮されて収容されている一方、該パッケージが開封されることにより該スポンジ状支持体が膨らむようになっている請求項1に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項3】
前記パッケージが密閉された状態で前記スポンジ状支持体が非圧縮状態で収容されている請求項1に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項4】
前記保存液を溜めておく液溜まり凹部が、前記パッケージを開封した際に該パッケージにおいて前記スポンジ状支持体が配置される部位に設けられている請求項1又は2に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項5】
前記液溜まり凹部の容積が、前記パッケージが密閉されて前記スポンジ状支持体が圧縮されている状態で該スポンジ状支持体から染み出る前記保存液の体積以上の大きさに設定されている請求項4に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項6】
前記液溜まり凹部が、前記パッケージにおいて前記スポンジ状支持体が配置された位置からはみ出している請求項4又は5に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項7】
互いに密着状態で重ね合わされて固定される一対のパッケージ構成部材によって前記パッケージが構成されていると共に、該一対のパッケージ構成部材の一方が前記ソフトコンタクトレンズの球状凸形の前面を覆うフィルムによって構成されており、このフィルムを該一対のパッケージ構成部材の他方から剥離させて該パッケージを開封するようにした請求項1乃至6の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項8】
前記パッケージが密閉された状態で、前記フィルムが前記ソフトコンタクトレンズの球状凸形の前面に接触している請求項7に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項9】
前記スポンジ状支持体が配置される凹部を備えた容器本体と、該凹部の開口を流体密に覆蓋する蓋体とによって、前記パッケージが構成されている請求項1乃至8の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項10】
前記パッケージが密閉された状態で、前記蓋体が前記ソフトコンタクトレンズの球状凸形の前面に接触している請求項9に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項11】
前記容器本体が硬質材によって形成されている請求項9又は10に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項12】
前記パッケージの裏面が、前記ソフトコンタクトレンズの付着が防止される付着防止面とされている請求項1乃至11の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項13】
前記パッケージを開封した状態で、前記スポンジ状支持体における前記支持面が形成されたほうと反対側の部分が該パッケージに固定されている請求項1乃至12の何れか1項に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。
【請求項14】
前記ソフトコンタクトレンズが市場で流通する際に用いられる流通ケースとして使用される請求項1乃至13に記載のソフトコンタクトレンズパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−67403(P2009−67403A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235154(P2007−235154)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】