ソフトシール仕切弁
【課題】ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造できるようにすることである。
【解決手段】弁体4を、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGを施し、流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材7と、筒形部材7の孔部の上流側と下流側をそれぞれ、ゴムライニングGを施さない一対の蓋部材8とで閉塞することにより、ゴムライニングGが水道水等に晒される表面領域を少なくして、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制するソフトシール仕切弁の弁体4の製造方法。
【解決手段】弁体4を、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGを施し、流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材7と、筒形部材7の孔部の上流側と下流側をそれぞれ、ゴムライニングGを施さない一対の蓋部材8とで閉塞することにより、ゴムライニングGが水道水等に晒される表面領域を少なくして、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制するソフトシール仕切弁の弁体4の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁箱内の流体通路を直角方向に直線移動する弁体で開閉し、弁体にゴムシール材を取り付けたソフトシール仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
上水道等に用いられ、内部の流体通路と直角方向に開口する開口部を有する弁箱と、この開口部から流体通路と直角方向に挿入される弁棒に取り付けられ、流体通路を開閉する弁体と、弁箱の開口部を閉塞し、弁棒を挿通させる蓋とからなる仕切弁には、弁体に閉弁状態で弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムシール材を装着したソフトシール仕切弁がある。なお、仕切弁には、弁棒のねじ部に螺合したナット部材を弁体に取り付け、弁棒の回転に伴ってナット部材と弁体を直線移動させる内ねじ式のものと、ナット部材を弁箱の蓋等に回転可能に装着し、弁棒の回転を拘束して、ナット部材の回転に伴って弁棒と弁体を直線移動させる外ねじ式のものとがあり、内ねじ式のものは、弁棒が直線移動しないのでコンパクトに設計できる利点がある。
【0003】
このようなソフトシール仕切弁の弁体には、弁箱の開口部および流体通路内面との間をシールするゴムシール材として、鋳物で形成した弁体の全表面にゴムライニングを施したものが多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。このように全表面にゴムライニングを施した弁体を用いたソフトシール仕切弁を上水道に用いると、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等のゴム添加剤が水道水中に溶け出す。近年、このように水道水中に溶け出す添加剤の量を抑制することが要求されている。
【0004】
このような要求に対して、鋳物で形成した弁体の全表面に施したゴムライニングの水道水に晒される表面領域を、熱圧着したポリエチレンフィルムで被覆することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されたものでは、まず、所定形状にカットしたポリエチレンフィルムを、圧空用成形型を用いてゴム被覆した状態の弁体の表面形状に圧空成形したのち、被覆用成形型の中に、芯体とゴムシートと圧空成形したポリエチレンフィルムを順に外側に配置するようにセットし、ゴムシートを溶融状態として芯体の表面全体にコンプレッション成形で被覆するとともに、ゴム被覆層の表面にポリエチレンフィルムを圧着するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−17263号公報
【特許文献2】特開2007−154970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載されたソフトシール仕切弁は、ポリエチレンフィルムによるゴムライニングの被覆によって、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制することができるが、予めポリエチレンフィルムを圧空成形するとともに、ゴム被覆層を形成するコンプレッション成形で、被覆用成形型の中に圧空成形したポリエチレンフィルムをセットする必要があるので、施工が複雑なものとなる問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、内部の流体通路と直角方向に開口する開口部を有する弁箱と、この開口部から流体通路と直角方向に挿入される弁棒に取り付けられ、前記流体通路の上流側と下流側を仕切る弁体と、前記弁箱の開口部を閉塞し、前記弁棒を挿通させる蓋とからなり、前記弁体に、閉弁状態で前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施したソフトシール仕切弁において、前記弁体を、少なくとも外周面に前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、前記流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部が設けられた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成した構成を採用した。
【0009】
すなわち、弁体を、少なくとも外周面に弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成することにより、ゴムライニングが水道水等に晒される表面領域を少なくして、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造できるようにした。また、このソフトシール仕切弁は、従来は全体が重量のある鋳物で形成されていた弁体を、上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞する孔部閉塞部材とで形成したので、孔部閉塞部材を薄肉化することによって、弁体を軽量化できる利点もある。
【0010】
前記筒形部材を、鋳鉄の芯材の露出する全表面にゴムライニングを施したものとすることにより、筒形部材の強度を確保して、流体との接触による腐食を防止することができる。
【0011】
前記孔部閉塞部材を、前記筒形部材の孔部の上流側と下流側をそれぞれ閉塞する一対の蓋部材で形成することにより、筒形部材の孔部を簡単に閉塞することができる。
【0012】
前記上流側と下流側の一対の蓋部材の間に、これらの間隔を保持するスペーサ部材を介在させることにより、一対の蓋部材の間の空間を安定して保持することができる。
【0013】
前記仕切弁を、前記弁棒のねじ部に螺合したナット部材を前記弁体に取り付け、前記弁棒の回転に伴って前記ナット部材と弁体を直線移動させるものとする場合は、前記ナット部材を前記一対の蓋部材の間に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るソフトシール仕切弁は、弁体を、少なくとも外周に弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成したので、ゴムライニングが水道水等に晒される表面領域を少なくして、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造することができる。このソフトシール仕切弁は、弁体を上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、筒形部材の孔部を閉塞する孔部閉塞部材とで形成したので、孔部閉塞部材を薄肉化することによって、弁体を軽量化できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態のソフトシール仕切弁を示す縦断側面図
【図2】図1の弁体を示す分解斜視図
【図3】図1の弁体を示す切欠き正面図
【図4】図3の縦断側面図
【図5】(a)は図3の弁体の変形例を示す正面図、(b)は(a)の縦断側面図
【図6】第2の実施形態のソフトシール仕切弁の弁体を示す分解斜視図
【図7】図6の弁体を示す切欠き正面図
【図8】図7の縦断側面図
【図9】第3の実施形態のソフトシール仕切弁の弁体を示す分解斜視図
【図10】図9の弁体を示す切欠き正面図
【図11】図10の縦断側面図
【図12】(a)は図9のスペーサを示す正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の切欠き平面図
【図13】第4の実施形態のソフトシール仕切弁の弁体を示す切欠き正面図
【図14】図13の縦断側面図
【図15】図13の蓋部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図4は、第1の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁は、図1に示すように、内部の流体通路1と直角方向に開口する開口部2aを有する弁箱2と、開口部2aから流体通路1と直角方向に挿入される弁棒3に取り付けられ、流体通路1の上流側と下流側を仕切る弁体4と、弁箱2の開口部2aを閉塞し、弁棒3を挿通させる蓋5とからなり、弁棒3を回転させて、弁棒3のねじ部3aに螺合された銅合金製のナット部材6を取り付けた弁体4を、流体通路1と直角方向に直線移動させる内ねじ式のものである。図示は省略するが、弁体4は流体通路1の左右両側に設けられた弁箱2のガイド条によって、流体通路1と直角方向の直線移動を案内されるようになっている。
【0017】
図2乃至図4に示すように、前記弁体4は、流体通路1の上流側と下流側に貫通する孔部7aが設けられた筒形部材7と、筒形部材7の孔部7aの上流側と下流側をそれぞれ閉塞する孔部閉塞部材としての一対の蓋部材8で形成されている。筒形部材7の芯材は鋳鉄Fで形成され、弁箱2の開口部2aおよび開口部2aでの流体通路1内面との間をシールする外周面を含めて、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGが施されており、各蓋部材8には、ゴムライニングGは施されていない。なお、図2の分解斜視図では、一対の蓋部材8は同じ形状であるので、片側の蓋部材8の図示を省略した。
【0018】
前記筒形部材7は、外周面の上部に、ナット部材6を横方向から嵌め込むように一方向に開口する凹部10を有するナット取り付け部7bが設けられ、外周面の左右両側部に、弁箱2のガイド条に案内されるガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。ナット取り付け部7bの凹部10に嵌め込まれたナット部材6は、外径面の段差部6aを凹部10の両側に設けられた段差部10aに係止されて、軸方向に抜け止めされる。また、筒形部材7の上下部には、それぞれ弁棒3が通される丸孔11a、11bが設けられ、孔部7aの内周面には周方向に延び、上下部で各丸孔11a、11bの両側縁に沿って分岐するリブ12が設けられている。
【0019】
前記各蓋部材8は、ステンレス鋼板のプレス加工で形成され、筒形部材7の内周面のリブ12に外側から押し当てられる直角に屈曲したフランジ部8aが外周に設けられ、その内側に上下部を除いて設けられた平坦部8bが互いに突き合わされて、複数箇所の溶接部9でスポット溶接される。したがって、一対の蓋部材8が合体されるとともに、筒形部材7と一体化される。また、蓋部材8の中央部には、弁棒3を通す十分な空間を形成するとともに、剛性を持たせるために、それぞれ上流側と下流側の両側に膨出する膨出部8cが設けられている。
【0020】
図5(a)、(b)は、第1の実施形態の弁体4の変形例を示す。この変形例では、前記筒形部材7の上部にナット取り付け部7bがなく、ナット部材6が、一対の蓋部材8の膨出部8cの中間部に形成したナット取り付け部8dに挟持されるように取り付けられ、弁体4の中に収納されている。したがって、この変形例では、弁体4の高さ寸法を小さく設計することができる。
【0021】
図6乃至図8は、第2の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記弁体4の構成と、弁体4へのナット部材6の取り付け方が異なる。その他の部分は第1の実施形態のものと同じであり、図1に示したように、弁棒3を回転させて、弁棒3のねじ部3aに螺合されたナット部材6に取り付けられた弁体4を、流体通路1と直角方向に直線移動させる内ねじ式のものとされている。
【0022】
前記弁体4は、第1の実施形態のものと同様に、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGが施された筒形部材7と、ステンレス鋼板のプレス加工で形成された一対の蓋部材8とからなり、筒形部材7の外周面の左右両側部には、ガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。なお、図6の分解斜視図でも、一対の蓋部材8は同じ形状であるので、片側の蓋部材8の図示を省略した。
【0023】
前記筒形部材7の上部には、孔部7aに開口する開口13が設けられ、下部には、弁棒3を通す丸孔11bが設けられており、孔部7aの内周面には、上流側と下流側に離間して周方向に延び、開口13と丸孔11bの縁に沿って湾曲する2条のリブ12が設けられている。一対の蓋部材8は、各リブ12に内側から押し当てられるフランジ部8aが外周に設けられ、その内側の左右両側が平坦に形成されて、中央部に剛性を持たせるように上流側と下流側に膨出する膨出部8cが設けられている。また、銅合金製のナット部材6は、筒形部材7の外周面に押し当てられる円弧状の鍔部6bと、後述する左右一対のスペーサ14の凸部14aに係止される凹部15を有する一対の脚部6cとを備えている。
【0024】
この実施形態では、前記一対の蓋部材8は、上部の開口13から筒形部材7の中に挿入されて、フランジ部8aが上流側と下流側の各リブ12に内側から押し当てられる。ナット部材6の一対の脚部6cは、各フランジ部8aの間に上部の開口13から挿入され、さらに、下部の丸孔11bから左右一対のスペーサ14が挿入されて、各リブ12に押し当てられたフランジ部8aの左右両側の平坦部の間に押し込まれる。このとき、ナット部材6の各脚部6cに設けられた内向きの凹部15に各スペーサ14の凸部14aが嵌め込まれ、ナット部材6の各脚部6cが抜け止めされる。各スペーサ14はステンレス鋼で形成されており、同じくステンレス鋼で形成された各蓋部材8と溶接されて、間隔を開けた一対の蓋部材8を合体させるとともに、筒形部材7と一体化する。
【0025】
図9乃至図12は、第3の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁も、基本的な構成は第1の実施形態と同じ内ねじ式のものであり、前記弁体4の構成と、弁体4へのナット部材6の取り付け方が異なる。また、弁体4は、第1の実施形態のものと同様に、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGが施された筒形部材7と、ステンレス鋼板のプレス加工で形成された一対の蓋部材8とからなり、筒形部材7の外周面の左右両側部には、ガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。
【0026】
図9乃至図11に示すように、前記筒形部材7は、第2の実施形態のものと同様に、上部に開口13が設けられ、下部に弁棒3を通す丸孔11bが設けられて、孔部7aの内周面に、上流側と下流側に離間して周方向に延び、開口13と丸孔11bの縁に沿って湾曲する2条のリブ12が設けられている。また、一対の蓋部材8は、左右両側に平坦部8bが設けられ、その間の中央部に、上流側と下流側に膨出する膨出部8cが設けられており、左右両側の平坦部8bに、後述するピン16が挿入されるピン孔17aが設けられている。銅合金製のナット部材6は、開口13から挿入され、ピン16に係止されるピン孔17bと、後述するスペーサ18の突出部18cが嵌まり込む孔19を有する一対の脚部6cを備えている。なお、図9の分解斜視図では、一対の蓋部材8とスペーサ18は同じ形状であるので、片側の蓋部材8とスペーサ18の図示を省略した。
【0027】
この実施形態では、前記一対の蓋部材8は、外周部が上流側と下流側の各リブ12に外側から押し当てられる。また、一対の蓋部材8の間には、筒形部材7の孔部7aに横方向から挿入される上流側と下流側の一対のスペーサ18が配設され、一対の蓋部材8の膨出部8cを内側から支持する。各スペーサ18は鋳鉄で形成され、表面にエポキシ樹脂の粉体塗装を施されている。
【0028】
図12(a)、(b)、(c)に示すように、前記各スペーサ18は円盤状とされ、中央部に上流側と下流側に膨出し、一対の蓋部材8の膨出部8cを内側から支持する膨出支持部18aが設けられ、その左右両側の平坦部に、ピン16が通される切欠き部18bと、2つの突出部18c、18dが設けられている。
【0029】
図11に示したように、前記各スペーサ18の突出部18c、18dは互いに突き合わされて、一対の蓋部材8の間隔を保持する。また、ピン16はステンレス鋼で形成され、一対の蓋部材8のピン孔17a、各スペーサ18の切欠き部18b、およびナット部材6の脚部6cのピン孔17bに通されて、各蓋部材8のピン孔17aの縁に溶接され、各スペーサ18で間隔を保持された一対の蓋部材8を合体させて筒形部材7と一体化するとともに、ナット部材6の脚部6cを抜け止めする。
【0030】
図13乃至図15は、第4の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁も、基本的な構成は第1の実施形態と同じ内ねじ式のものであり、前記筒形部材7の孔部7aの上流側と下流側を閉塞する孔部閉塞部材20が、ステンレス鋼板のプレス加工で下向きU字形状に形成された一体のものとされ、この一体の孔部閉塞部材20が、鋳鉄Fで形成された筒形部材7の芯材と鋳ぐるみで一体化されたのち、鋳鉄Fの芯材の露出する全表面にゴムライニングGが施されている点が異なる。
【0031】
前記筒形部材7は、図5に示した第1の実施形態の変形例と同様に、上部のナット取り付け部7bがなく、上部と下部にそれぞれ弁棒3が通される丸孔11a、11bが設けられ、左右両側部にガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。
【0032】
前記一体の孔部閉塞部材20は、筒形部材7の孔部7aの上流側と下流側を閉塞する一対の蓋部20aと、筒形部材7の上方に突出し、ナット部材6を横方向から嵌め込んで取り付けるナット取り付け部20bとからなり、各蓋部20aの周囲は筒形部材7の鋳鉄Fの芯材の孔部7aの周縁に鋳ぐるみされている。また、各蓋部20aの左右方向の中央部には、上流側と下流側に膨出する膨出部20cが設けられ、この膨出部20cの内径側にステンレス鋼製の筒状の補強部材21が取り付けられるとともに、ナット取り付け部20bの天井には、弁棒3を通す丸孔22が設けられている。
【0033】
上述した各実施形態では、筒形部材の芯材の露出する全表面にゴムライニングを施したが、ゴムライニングは、弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールする外周面のみに施してもよい。
【0034】
また、上述した各実施形態では、弁棒に螺合されたナット部材に取り付けた弁体を直線移動させる内ねじ式のものとしたが、本発明に係るソフトシール仕切弁は、回転可能に装着されたナット部材に回転を拘束された弁棒を螺合し、弁棒を弁体と一緒に直線移動させる外ねじ式のものにも採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
G ゴムライニング
1 流体通路
2 弁箱
2a 開口部
3 弁棒
3a ねじ部
4 弁体
5 蓋
6 ナット部材
6a 段差部
6b 鍔部
6c 脚部
7 筒形部材
7a 孔部
7b ナット取り付け部
7c ガイド部
8 蓋部材
8a フランジ部
8b 平坦部
8c 膨出部
8d ナット取り付け部
9 溶接部
10 凹部
10a 段差部
11a、11b 丸孔
12 リブ
13 開口
14 スペーサ
14a 凸部
15 凹部
16 ピン
17a、17b ピン孔
18 スペーサ
18a 膨出支持部
18b 切欠き部
18c、18d 突出部
19 孔
20 孔部閉塞部材
20a 蓋部
20b ナット取り付け部
20c 膨出部
21 補強部材
22 丸孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁箱内の流体通路を直角方向に直線移動する弁体で開閉し、弁体にゴムシール材を取り付けたソフトシール仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
上水道等に用いられ、内部の流体通路と直角方向に開口する開口部を有する弁箱と、この開口部から流体通路と直角方向に挿入される弁棒に取り付けられ、流体通路を開閉する弁体と、弁箱の開口部を閉塞し、弁棒を挿通させる蓋とからなる仕切弁には、弁体に閉弁状態で弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムシール材を装着したソフトシール仕切弁がある。なお、仕切弁には、弁棒のねじ部に螺合したナット部材を弁体に取り付け、弁棒の回転に伴ってナット部材と弁体を直線移動させる内ねじ式のものと、ナット部材を弁箱の蓋等に回転可能に装着し、弁棒の回転を拘束して、ナット部材の回転に伴って弁棒と弁体を直線移動させる外ねじ式のものとがあり、内ねじ式のものは、弁棒が直線移動しないのでコンパクトに設計できる利点がある。
【0003】
このようなソフトシール仕切弁の弁体には、弁箱の開口部および流体通路内面との間をシールするゴムシール材として、鋳物で形成した弁体の全表面にゴムライニングを施したものが多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。このように全表面にゴムライニングを施した弁体を用いたソフトシール仕切弁を上水道に用いると、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等のゴム添加剤が水道水中に溶け出す。近年、このように水道水中に溶け出す添加剤の量を抑制することが要求されている。
【0004】
このような要求に対して、鋳物で形成した弁体の全表面に施したゴムライニングの水道水に晒される表面領域を、熱圧着したポリエチレンフィルムで被覆することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されたものでは、まず、所定形状にカットしたポリエチレンフィルムを、圧空用成形型を用いてゴム被覆した状態の弁体の表面形状に圧空成形したのち、被覆用成形型の中に、芯体とゴムシートと圧空成形したポリエチレンフィルムを順に外側に配置するようにセットし、ゴムシートを溶融状態として芯体の表面全体にコンプレッション成形で被覆するとともに、ゴム被覆層の表面にポリエチレンフィルムを圧着するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−17263号公報
【特許文献2】特開2007−154970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載されたソフトシール仕切弁は、ポリエチレンフィルムによるゴムライニングの被覆によって、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制することができるが、予めポリエチレンフィルムを圧空成形するとともに、ゴム被覆層を形成するコンプレッション成形で、被覆用成形型の中に圧空成形したポリエチレンフィルムをセットする必要があるので、施工が複雑なものとなる問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、内部の流体通路と直角方向に開口する開口部を有する弁箱と、この開口部から流体通路と直角方向に挿入される弁棒に取り付けられ、前記流体通路の上流側と下流側を仕切る弁体と、前記弁箱の開口部を閉塞し、前記弁棒を挿通させる蓋とからなり、前記弁体に、閉弁状態で前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施したソフトシール仕切弁において、前記弁体を、少なくとも外周面に前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、前記流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部が設けられた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成した構成を採用した。
【0009】
すなわち、弁体を、少なくとも外周面に弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成することにより、ゴムライニングが水道水等に晒される表面領域を少なくして、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造できるようにした。また、このソフトシール仕切弁は、従来は全体が重量のある鋳物で形成されていた弁体を、上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞する孔部閉塞部材とで形成したので、孔部閉塞部材を薄肉化することによって、弁体を軽量化できる利点もある。
【0010】
前記筒形部材を、鋳鉄の芯材の露出する全表面にゴムライニングを施したものとすることにより、筒形部材の強度を確保して、流体との接触による腐食を防止することができる。
【0011】
前記孔部閉塞部材を、前記筒形部材の孔部の上流側と下流側をそれぞれ閉塞する一対の蓋部材で形成することにより、筒形部材の孔部を簡単に閉塞することができる。
【0012】
前記上流側と下流側の一対の蓋部材の間に、これらの間隔を保持するスペーサ部材を介在させることにより、一対の蓋部材の間の空間を安定して保持することができる。
【0013】
前記仕切弁を、前記弁棒のねじ部に螺合したナット部材を前記弁体に取り付け、前記弁棒の回転に伴って前記ナット部材と弁体を直線移動させるものとする場合は、前記ナット部材を前記一対の蓋部材の間に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るソフトシール仕切弁は、弁体を、少なくとも外周に弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成したので、ゴムライニングが水道水等に晒される表面領域を少なくして、ゴム添加剤の溶け出し量を抑制できるソフトシール仕切弁の弁体を簡単に製造することができる。このソフトシール仕切弁は、弁体を上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、筒形部材の孔部を閉塞する孔部閉塞部材とで形成したので、孔部閉塞部材を薄肉化することによって、弁体を軽量化できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態のソフトシール仕切弁を示す縦断側面図
【図2】図1の弁体を示す分解斜視図
【図3】図1の弁体を示す切欠き正面図
【図4】図3の縦断側面図
【図5】(a)は図3の弁体の変形例を示す正面図、(b)は(a)の縦断側面図
【図6】第2の実施形態のソフトシール仕切弁の弁体を示す分解斜視図
【図7】図6の弁体を示す切欠き正面図
【図8】図7の縦断側面図
【図9】第3の実施形態のソフトシール仕切弁の弁体を示す分解斜視図
【図10】図9の弁体を示す切欠き正面図
【図11】図10の縦断側面図
【図12】(a)は図9のスペーサを示す正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の切欠き平面図
【図13】第4の実施形態のソフトシール仕切弁の弁体を示す切欠き正面図
【図14】図13の縦断側面図
【図15】図13の蓋部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図4は、第1の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁は、図1に示すように、内部の流体通路1と直角方向に開口する開口部2aを有する弁箱2と、開口部2aから流体通路1と直角方向に挿入される弁棒3に取り付けられ、流体通路1の上流側と下流側を仕切る弁体4と、弁箱2の開口部2aを閉塞し、弁棒3を挿通させる蓋5とからなり、弁棒3を回転させて、弁棒3のねじ部3aに螺合された銅合金製のナット部材6を取り付けた弁体4を、流体通路1と直角方向に直線移動させる内ねじ式のものである。図示は省略するが、弁体4は流体通路1の左右両側に設けられた弁箱2のガイド条によって、流体通路1と直角方向の直線移動を案内されるようになっている。
【0017】
図2乃至図4に示すように、前記弁体4は、流体通路1の上流側と下流側に貫通する孔部7aが設けられた筒形部材7と、筒形部材7の孔部7aの上流側と下流側をそれぞれ閉塞する孔部閉塞部材としての一対の蓋部材8で形成されている。筒形部材7の芯材は鋳鉄Fで形成され、弁箱2の開口部2aおよび開口部2aでの流体通路1内面との間をシールする外周面を含めて、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGが施されており、各蓋部材8には、ゴムライニングGは施されていない。なお、図2の分解斜視図では、一対の蓋部材8は同じ形状であるので、片側の蓋部材8の図示を省略した。
【0018】
前記筒形部材7は、外周面の上部に、ナット部材6を横方向から嵌め込むように一方向に開口する凹部10を有するナット取り付け部7bが設けられ、外周面の左右両側部に、弁箱2のガイド条に案内されるガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。ナット取り付け部7bの凹部10に嵌め込まれたナット部材6は、外径面の段差部6aを凹部10の両側に設けられた段差部10aに係止されて、軸方向に抜け止めされる。また、筒形部材7の上下部には、それぞれ弁棒3が通される丸孔11a、11bが設けられ、孔部7aの内周面には周方向に延び、上下部で各丸孔11a、11bの両側縁に沿って分岐するリブ12が設けられている。
【0019】
前記各蓋部材8は、ステンレス鋼板のプレス加工で形成され、筒形部材7の内周面のリブ12に外側から押し当てられる直角に屈曲したフランジ部8aが外周に設けられ、その内側に上下部を除いて設けられた平坦部8bが互いに突き合わされて、複数箇所の溶接部9でスポット溶接される。したがって、一対の蓋部材8が合体されるとともに、筒形部材7と一体化される。また、蓋部材8の中央部には、弁棒3を通す十分な空間を形成するとともに、剛性を持たせるために、それぞれ上流側と下流側の両側に膨出する膨出部8cが設けられている。
【0020】
図5(a)、(b)は、第1の実施形態の弁体4の変形例を示す。この変形例では、前記筒形部材7の上部にナット取り付け部7bがなく、ナット部材6が、一対の蓋部材8の膨出部8cの中間部に形成したナット取り付け部8dに挟持されるように取り付けられ、弁体4の中に収納されている。したがって、この変形例では、弁体4の高さ寸法を小さく設計することができる。
【0021】
図6乃至図8は、第2の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記弁体4の構成と、弁体4へのナット部材6の取り付け方が異なる。その他の部分は第1の実施形態のものと同じであり、図1に示したように、弁棒3を回転させて、弁棒3のねじ部3aに螺合されたナット部材6に取り付けられた弁体4を、流体通路1と直角方向に直線移動させる内ねじ式のものとされている。
【0022】
前記弁体4は、第1の実施形態のものと同様に、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGが施された筒形部材7と、ステンレス鋼板のプレス加工で形成された一対の蓋部材8とからなり、筒形部材7の外周面の左右両側部には、ガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。なお、図6の分解斜視図でも、一対の蓋部材8は同じ形状であるので、片側の蓋部材8の図示を省略した。
【0023】
前記筒形部材7の上部には、孔部7aに開口する開口13が設けられ、下部には、弁棒3を通す丸孔11bが設けられており、孔部7aの内周面には、上流側と下流側に離間して周方向に延び、開口13と丸孔11bの縁に沿って湾曲する2条のリブ12が設けられている。一対の蓋部材8は、各リブ12に内側から押し当てられるフランジ部8aが外周に設けられ、その内側の左右両側が平坦に形成されて、中央部に剛性を持たせるように上流側と下流側に膨出する膨出部8cが設けられている。また、銅合金製のナット部材6は、筒形部材7の外周面に押し当てられる円弧状の鍔部6bと、後述する左右一対のスペーサ14の凸部14aに係止される凹部15を有する一対の脚部6cとを備えている。
【0024】
この実施形態では、前記一対の蓋部材8は、上部の開口13から筒形部材7の中に挿入されて、フランジ部8aが上流側と下流側の各リブ12に内側から押し当てられる。ナット部材6の一対の脚部6cは、各フランジ部8aの間に上部の開口13から挿入され、さらに、下部の丸孔11bから左右一対のスペーサ14が挿入されて、各リブ12に押し当てられたフランジ部8aの左右両側の平坦部の間に押し込まれる。このとき、ナット部材6の各脚部6cに設けられた内向きの凹部15に各スペーサ14の凸部14aが嵌め込まれ、ナット部材6の各脚部6cが抜け止めされる。各スペーサ14はステンレス鋼で形成されており、同じくステンレス鋼で形成された各蓋部材8と溶接されて、間隔を開けた一対の蓋部材8を合体させるとともに、筒形部材7と一体化する。
【0025】
図9乃至図12は、第3の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁も、基本的な構成は第1の実施形態と同じ内ねじ式のものであり、前記弁体4の構成と、弁体4へのナット部材6の取り付け方が異なる。また、弁体4は、第1の実施形態のものと同様に、鋳鉄Fの芯材の全表面にゴムライニングGが施された筒形部材7と、ステンレス鋼板のプレス加工で形成された一対の蓋部材8とからなり、筒形部材7の外周面の左右両側部には、ガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。
【0026】
図9乃至図11に示すように、前記筒形部材7は、第2の実施形態のものと同様に、上部に開口13が設けられ、下部に弁棒3を通す丸孔11bが設けられて、孔部7aの内周面に、上流側と下流側に離間して周方向に延び、開口13と丸孔11bの縁に沿って湾曲する2条のリブ12が設けられている。また、一対の蓋部材8は、左右両側に平坦部8bが設けられ、その間の中央部に、上流側と下流側に膨出する膨出部8cが設けられており、左右両側の平坦部8bに、後述するピン16が挿入されるピン孔17aが設けられている。銅合金製のナット部材6は、開口13から挿入され、ピン16に係止されるピン孔17bと、後述するスペーサ18の突出部18cが嵌まり込む孔19を有する一対の脚部6cを備えている。なお、図9の分解斜視図では、一対の蓋部材8とスペーサ18は同じ形状であるので、片側の蓋部材8とスペーサ18の図示を省略した。
【0027】
この実施形態では、前記一対の蓋部材8は、外周部が上流側と下流側の各リブ12に外側から押し当てられる。また、一対の蓋部材8の間には、筒形部材7の孔部7aに横方向から挿入される上流側と下流側の一対のスペーサ18が配設され、一対の蓋部材8の膨出部8cを内側から支持する。各スペーサ18は鋳鉄で形成され、表面にエポキシ樹脂の粉体塗装を施されている。
【0028】
図12(a)、(b)、(c)に示すように、前記各スペーサ18は円盤状とされ、中央部に上流側と下流側に膨出し、一対の蓋部材8の膨出部8cを内側から支持する膨出支持部18aが設けられ、その左右両側の平坦部に、ピン16が通される切欠き部18bと、2つの突出部18c、18dが設けられている。
【0029】
図11に示したように、前記各スペーサ18の突出部18c、18dは互いに突き合わされて、一対の蓋部材8の間隔を保持する。また、ピン16はステンレス鋼で形成され、一対の蓋部材8のピン孔17a、各スペーサ18の切欠き部18b、およびナット部材6の脚部6cのピン孔17bに通されて、各蓋部材8のピン孔17aの縁に溶接され、各スペーサ18で間隔を保持された一対の蓋部材8を合体させて筒形部材7と一体化するとともに、ナット部材6の脚部6cを抜け止めする。
【0030】
図13乃至図15は、第4の実施形態を示す。このソフトシール仕切弁も、基本的な構成は第1の実施形態と同じ内ねじ式のものであり、前記筒形部材7の孔部7aの上流側と下流側を閉塞する孔部閉塞部材20が、ステンレス鋼板のプレス加工で下向きU字形状に形成された一体のものとされ、この一体の孔部閉塞部材20が、鋳鉄Fで形成された筒形部材7の芯材と鋳ぐるみで一体化されたのち、鋳鉄Fの芯材の露出する全表面にゴムライニングGが施されている点が異なる。
【0031】
前記筒形部材7は、図5に示した第1の実施形態の変形例と同様に、上部のナット取り付け部7bがなく、上部と下部にそれぞれ弁棒3が通される丸孔11a、11bが設けられ、左右両側部にガイド溝を有するガイド部7cが設けられている。
【0032】
前記一体の孔部閉塞部材20は、筒形部材7の孔部7aの上流側と下流側を閉塞する一対の蓋部20aと、筒形部材7の上方に突出し、ナット部材6を横方向から嵌め込んで取り付けるナット取り付け部20bとからなり、各蓋部20aの周囲は筒形部材7の鋳鉄Fの芯材の孔部7aの周縁に鋳ぐるみされている。また、各蓋部20aの左右方向の中央部には、上流側と下流側に膨出する膨出部20cが設けられ、この膨出部20cの内径側にステンレス鋼製の筒状の補強部材21が取り付けられるとともに、ナット取り付け部20bの天井には、弁棒3を通す丸孔22が設けられている。
【0033】
上述した各実施形態では、筒形部材の芯材の露出する全表面にゴムライニングを施したが、ゴムライニングは、弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールする外周面のみに施してもよい。
【0034】
また、上述した各実施形態では、弁棒に螺合されたナット部材に取り付けた弁体を直線移動させる内ねじ式のものとしたが、本発明に係るソフトシール仕切弁は、回転可能に装着されたナット部材に回転を拘束された弁棒を螺合し、弁棒を弁体と一緒に直線移動させる外ねじ式のものにも採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
G ゴムライニング
1 流体通路
2 弁箱
2a 開口部
3 弁棒
3a ねじ部
4 弁体
5 蓋
6 ナット部材
6a 段差部
6b 鍔部
6c 脚部
7 筒形部材
7a 孔部
7b ナット取り付け部
7c ガイド部
8 蓋部材
8a フランジ部
8b 平坦部
8c 膨出部
8d ナット取り付け部
9 溶接部
10 凹部
10a 段差部
11a、11b 丸孔
12 リブ
13 開口
14 スペーサ
14a 凸部
15 凹部
16 ピン
17a、17b ピン孔
18 スペーサ
18a 膨出支持部
18b 切欠き部
18c、18d 突出部
19 孔
20 孔部閉塞部材
20a 蓋部
20b ナット取り付け部
20c 膨出部
21 補強部材
22 丸孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の流体通路と直角方向に開口する開口部を有する弁箱と、この開口部から流体通路と直角方向に挿入される弁棒に取り付けられ、前記流体通路の上流側と下流側を仕切る弁体と、前記弁箱の開口部を閉塞し、前記弁棒を挿通させる蓋とからなり、前記弁体に、閉弁状態で前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施したソフトシール仕切弁において、前記弁体を、少なくとも外周面に前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、前記流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成したことを特徴とするソフトシール仕切弁。
【請求項2】
前記筒形部材を、鋳鉄の芯材の露出する全表面にゴムライニングを施したものとした請求項1に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項3】
前記孔部閉塞部材を、前記筒形部材の孔部の上流側と下流側をそれぞれ閉塞する一対の蓋部材で形成した請求項1または2に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項4】
前記上流側と下流側の一対の蓋部材の間に、これらの間隔を保持するスペーサ部材を介在させた請求項3に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項5】
前記仕切弁を、前記弁棒のねじ部に螺合したナット部材を前記弁体に取り付け、前記弁棒の回転に伴って前記ナット部材と弁体を直線移動させるものとし、前記ナット部材を前記一対の蓋部材の間に取り付けた請求項3または4に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項1】
内部の流体通路と直角方向に開口する開口部を有する弁箱と、この開口部から流体通路と直角方向に挿入される弁棒に取り付けられ、前記流体通路の上流側と下流側を仕切る弁体と、前記弁箱の開口部を閉塞し、前記弁棒を挿通させる蓋とからなり、前記弁体に、閉弁状態で前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施したソフトシール仕切弁において、前記弁体を、少なくとも外周面に前記弁箱の開口部および開口部での流体通路内面との間をシールするゴムライニングを施し、前記流体通路の上流側と下流側に貫通する孔部を設けた筒形部材と、この筒形部材の孔部を閉塞し、表面にゴムライニングを施さない孔部閉塞部材とで形成したことを特徴とするソフトシール仕切弁。
【請求項2】
前記筒形部材を、鋳鉄の芯材の露出する全表面にゴムライニングを施したものとした請求項1に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項3】
前記孔部閉塞部材を、前記筒形部材の孔部の上流側と下流側をそれぞれ閉塞する一対の蓋部材で形成した請求項1または2に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項4】
前記上流側と下流側の一対の蓋部材の間に、これらの間隔を保持するスペーサ部材を介在させた請求項3に記載のソフトシール仕切弁。
【請求項5】
前記仕切弁を、前記弁棒のねじ部に螺合したナット部材を前記弁体に取り付け、前記弁棒の回転に伴って前記ナット部材と弁体を直線移動させるものとし、前記ナット部材を前記一対の蓋部材の間に取り付けた請求項3または4に記載のソフトシール仕切弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−163440(P2011−163440A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26530(P2010−26530)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】
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