説明

ソーラー一体型表示パネルシステム、ソーラー一体型表示パネルおよびその製造方法

【課題】パネルの明るさを向上させて、かつ、電力消費を低減させるソーラー一体型表示パネルシステムを提供する。
【解決手段】ソーラー一体型表示パネルシステムは、図柄に沿って面実装された複数の発光ダイオード230、および、前記複数の発光ダイオード230を電気的に接続する透明電極パターン220を表面に有する透明発光パネル200と、透明発光パネル200の裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネル200を透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネル100と、充放電可能な蓄電池400と、ソーラーパネル100と蓄電池400との接続と、前記蓄電池400と前記透明発光パネル200との接続とを切り換える制御部300とを備え、前記ソーラーパネルは、その表面に形成された図柄であって、前記複数の発光ダイオードが沿う図柄に相当する図柄を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告板、案内表示版、看板などのサインパネルであって、特にソーラー一体型表示パネルシステム、ソーラー一体型表示パネルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面側と裏面側との両方向に均一な輝度の面発光させる面発光体を有し、任意の図柄が印刷された印刷フィルムが太陽電池と面発光体との間に挟まれることにより、印刷フィルムに印刷内容がそのまま表現され、昼夜を通して広告板や表示板として機能させる光源一体型太陽電池モジュールが開示されている。
【0003】
特許文献2には、電源に、ソーラーモジュールを利用し、発電、その電力を充放電式電池に逐電、必要に応じ、LEDライトを要した内照式看板文字を表示するソーラー充放電式LED内照式看板を開示している。
【0004】
特許文献3には、昼間に太陽電池により発電してその電気で蓄電池を充電し、夜間に蓄電池の放電により発光ダイオードなどの発光手段を発光させる自発光装置を開示している。これにより、電池交換が不要で、維持費の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−66619号公報
【特許文献2】特開2010−20152号公報
【特許文献3】特開2005−70095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の面発光体で、表面側と裏面側との両方向に均一な輝度の面発光させるため、図柄表示に必要以上の発光をしており、図柄に関わりなく発光光量を無駄にしているという課題がある。
【0007】
特許文献2は、LEDライトにより看板を照射する反射型であり、発光光量の一部は、看板を外れたり、透過したりするため、看板自体の明るさ又は輝度に対してLEDの発光光量の一部しか寄与していない。このように、LEDの発光光量に無駄が発生するという課題がある。あるいは、看板に一定以上の明るさ又は輝度を確保するには反射による無駄な光量に相当する電力も供給する必要があり、看板の明るさ又は輝度に対する消費電力が大きいという課題がある。
【0008】
特許文献3では、看板の本体であるアクリル板の端に備えたLEDから、アクリル板を照射する反射型であり、特許文献2と同様の課題、つまり、発光光量に無駄が発生、あるいは、消費電力が大きいという課題がある。
【0009】
本発明は、パネルの明るさを向上させて、かつ、消費電力を低減させるソーラー一体型表示パネルシステムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明のソーラー一体型表示パネルシステムは、図柄に沿って面実装された複数の発光ダイオード、および、前記複数の発光ダイオードを電気的に接続する透明電極パターンを表面に有する透明発光パネルと、前記透明発光パネルの裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネルを透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、充放電可能な蓄電池と、前記ソーラーパネルと前記蓄電池との接続と、前記蓄電池と前記透明発光パネルとの接続とを切り換える制御部とを備える。
【0011】
この構成によれば、パネルの輝度(明るさ)を向上させて、かつ、消費電力を低減させることができる。
【0012】
具体的には第1に、各発光ダイオードは面実装されているので、透明発光パネルの表示方向と各発光ダイオードの発光方向とがほぼ一致し、透明発光パネルを見る人の目には、発光ダイオードからの光は間接的ではなく直接目に届く。つまり、パネル自体の明るさ又は輝度に対してLEDの発光光量のほぼ全部が寄与する。これにより、従来の照射式などの間接照明と比べて、発光光量の無駄を大きく低減することができ、より少ない消費電力で高い輝度を確保することができる。
【0013】
第2に、複数の発光ダイオードが図柄に沿って面実装されるので、従来の面発光体と比べて、面全体ではなく、図柄の部分のみが発光するので、無駄な発光光量を大きく低減することができる。
【0014】
ここで、前記ソーラーパネルは、さらに、その表面に形成された図柄であって、前記複数の発光ダイオードが沿う図柄に相当する図柄を有する構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、透明発光パネルを発光させない期間(蓄電池を充電している期間)で、ソーラーパネル自体に形成された図柄を表示し、一方、透明発光パネルを発光している期間では、複数の発光ダイオードの発光による図柄を表示することができる。これにより、昼も夜も同じ図柄を表示させることができ、昼夜を問わず広告、看板、案内板等のサインパネルとしての訴求力を向上させることができる。しかも、昼間に充電した電力を夜間に利用可能なので、維持コストを低減することができる。
【0016】
ここで、前記ソーラーパネルは、その表面に形成された保護膜を有し、前記保護膜は、不均一な膜厚を有することにより前記図柄を形成し、前記図柄に対応する部分における前記保護膜の膜厚は、前記図柄に対応しない部分における前記保護膜の膜厚と異なり、前記図柄に対応する部分における前記保護膜は、前記図柄の色に対応する光を反射する構成としてもよい。
【0017】
この構成によれば、図柄の形状および色は、図柄の色に対応する膜厚の保護膜により形成することができる。すなわち、図柄は、保護膜の一部分として、ソーラーパネルの製造プロセスにより任意の形状に形成できるので、極めて高精細にすることができる。かつ、図柄に対応する保護膜により反射される色は、その膜厚に依存するので、ソーラーパネルパネルの製造プロセスにより色とりどりの図柄を実現することができる。しかも、図柄に対応する保護膜は、反射する色以外の光は透過するので、図柄の部分は入射光を完全には遮光しない。これにより、図柄によるソーラーパネルの発電効率の低下を最小限に押さえることができる。
【0018】
ここで、前記図柄は、第1の色を表す第1図柄部分と、前記第1の色と異なる第2の色を表す第2図柄部分とを含み、前記第1の図柄部分は、前記保護膜のうち、前記第1の色に対応する第1の膜厚を有する部分により形成され、前記第2の図柄部分は、前記保護膜のうち、前記第2の色に対応する第2の膜厚を有する部分により形成されるようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、保護膜のうち、膜厚が異なる部分を複数も受けることにより、ソーラーパネル表面にカラー図柄を精度良く実現することができる。
【0020】
また、本発明のソーラー一体型表示パネルは、図柄に沿って面実装された複数の発光ダイオードと、前記複数の発光ダイオードを電気的に接続する透明電極パターンとを表面に有する透明発光パネルと、前記透明発光パネルの裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネルを透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネルとを備える。
【0021】
この構成によれば、パネルの輝度(明るさ)を向上させて、かつ、消費電力を低減させることができる。
【0022】
具体的には第1に、各発光ダイオードは面実装されているので、透明発光パネルの表示方向と各発光ダイオードの発光方向とがほぼ一致し、透明発光パネルを見る人の目には、発光ダイオードからの光は間接的ではなく直接目に届く。つまり、パネル自体の明るさ又は輝度に対してLEDの発光光量のほぼ全部が寄与する。これにより、従来の照射式などの間接照明と比べて、発光光量の無駄を大きく低減することができ、より少ない消費電力で高い輝度を確保することができる。
【0023】
第2に、複数の発光ダイオードが図柄に沿って面実装されるので、従来の面発光体と比べて、面全体ではなく、図柄の部分のみが発光するので、無駄な発光光量を大きく低減することができる。
【0024】
また、本発明のソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法は、面実装された複数の発光ダイオード、および、前記複数の発光ダイオードを電気的に接続する透明電極パターンを表面に有する透明発光パネルと、前記透明発光パネルの裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネルを透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネルとを有するソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法であって、図柄を示す線画データを作成するステップと、前記線画データの示す図柄に沿って、前記透明発光パネル上の発光ダイオード配置位置と、前記発光ダイオードを接続するための透明電極パターン配置位置とを決定するステップと、前記線画データの示す図柄に沿って、当該図柄の色に対応する膜厚の保護膜パターンを前記ソーラーパネル上に形成するステップとを有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明のソーラー一体型表示パネルシステムによれば、パネルの輝度(明るさ)を向上させて、かつ、消費電力を低減させることができる。昼間に充電した電力を夜間に利用可能にし、維持コストを低減することができる。
【0026】
また、図柄を極めて高精細に形成することができ、ソーラーパネル表面に色とりどりの図柄を形成することができる。また、図柄による遮光を抑え、図柄の存在によるソーラーパネルの発電効率の低下を最小限に押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態におけるソーラー一体型表示パネルシステムの構成を示す図である。
【図2】パネル部の断面図である。
【図3】透明発光パネルに形成された透明電極パターンおよび発光ダイオードを示す図である。
【図4】透明発光パネルの断面図である。
【図5】ソーラーパネルに形成された図柄の一例を示す図である。
【図6】ソーラーパネルのA−A線の断面図である。
【図7】ソーラーパネルのB−B線の断面図である。
【図8】ソーラーパネルのC−C線の断面図である。
【図9】ソーラーパネルのD−D線の断面図である。
【図10】ソーラーパネルのE−E線の断面図である。
【図11】ソーラー一体型表示パネルシステムの構成を示すブロック図である。
【図12】ソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法を示すフローチャートである。
【図13】ソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態におけるソーラー一体型表示パネルシステムについて図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態におけるソーラー一体型表示パネルシステムの構成を示す図である。同図のように、ソーラー一体型表示パネルシステム1は、ソーラー一体型表示パネル(以下、パネル部と呼ぶ)10、制御部300および蓄電池400とを備える。パネル部10は、ソーラーパネル100、透明発光パネル200、保護パネル600、下部ハウジング510、および上部ハウジング520を備える。図1では、パネル部10は分解図になっている。図2は、組み立て後のパネル部10の断面図を示す。
【0030】
本発明の実施の形態におけるソーラー一体型表示パネルシステムは、図1、図2に示す構成例のように、少なくとも透明発光パネル200、ソーラーパネル100、蓄電池400および制御部300を備える。
【0031】
透明発光パネル200は、図柄に沿って面実装された複数の発光ダイオード230と、複数の発光ダイオード230を電気的に接続する透明電極パターン220とを表面に有する。ここで、図柄は、例えば、文字、図形、模様、絵、イラスト、写真等のあらゆる図柄を含み、カラーでもモノクロでもよい。図1では文字列「KOREA」を図柄の一例として示している。
【0032】
ソーラーパネル100は、透明発光パネル200の裏面に重ね合わされ、透明発光パネル200を透過する入射光を電気エネルギーに変換する。図1のソーラーパネル100は、面状に組み合わされた複数枚のソーラーモジュール110からなる構成例を示しているが、1枚のソーラーモジュール110からなる構成であってもよい。
【0033】
蓄電池400は、充放電可能な蓄電池400である。
【0034】
制御部300は、ソーラーパネル100と蓄電池400との接続と、蓄電池400と透明発光パネル(200)との接続とを切り換える。例えば、制御部300は、昼間にソーラーパネル100と蓄電池400との接続し、夜間に蓄電池400と透明発光パネル(200)とを接続する。これにより、昼間はソーラーパネル100からの電気エネルギーを蓄電池400に充電し、夜間は蓄電池400から透明発光パネル200に電力を供給して透明発光パネル200を発光させる。
【0035】
ソーラー一体型表示パネルシステム1をこのように構成とすることにより、パネル部10の輝度、明るさを向上させて、かつ、電力消費効率を向上させるという効果がある。
【0036】
より詳しく説明すると、第1に、各発光ダイオードは面実装されているので、透明発光パネルの表示方向と各発光ダイオードの発光方向とがほぼ一致し、透明発光パネルを見る人の目には、発光ダイオードからの光は間接的ではなく直接目に届く。つまり、パネル自体の明るさ又は輝度に対してLEDの発光光量のほぼ全部が寄与する。これにより、従来の照射式などの間接照明と比べて、発光光量の無駄を大きく低減することができ、より少ない消費電力で高い輝度を確保することができる。
【0037】
第2に、複数の発光ダイオードが図柄に沿って面実装されるので、従来の面発光体と比べて、面全体ではなく、図柄の部分のみが発光するので、無駄な発光光量を大きく低減することができる。
【0038】
さらに、上記ソーラーパネル100は、次のように構成すれば、昼も夜も同じ図柄を表示させることができ、昼夜を問わず広告、看板、案内板等としての訴求力を向上させることができるという効果を奏することができる。
【0039】
ソーラーパネル100は、その表面に形成された図柄(図1の例では文字列「KOREA」)を有し、透明発光パネル200表面の複数の発光ダイオード230および前記透明電極パターン220は、前記ソーラーパネル100の図柄に沿って配置される構成としてもよい。
【0040】
この場合、上記の図柄は、図7に示すように保護膜120の膜厚の設定によって形成することができる。ソーラーパネル100は、その表面に形成された保護膜120を有する。保護膜120のうち図柄に対応する部分(例えば保護膜120a等)の膜厚は、前記図柄に対応しない部分(保護膜120)の膜厚と異なっており、図柄の色に対応する光を反射するように形成されている。
【0041】
次に、図2〜図5を用いて透明発光パネル200について説明する。
【0042】
図2に示すように、パネル部10において、ソーラーパネル100の受光面の上に透明発光パネル200の裏面(発光ダイオードを有しない面)が配置される。ソーラーパネル100と透明発光パネル200は一体に重ね合わされる。
【0043】
透明発光パネル200の表面(ソーラーパネル100の反対側)には、透明電極パターン220とLED230が図柄に沿って配置される。
【0044】
さらに、透明発光パネル200の上には保護パネル600が重ね合わされる。保護パネル600はガラスや樹脂製である。
【0045】
下部ハウジング510および上部ハウジング520は、ソーラーパネル100、透明発光パネル200、保護パネル600を一体に支持する。ソーラーパネル100と透明発光パネル200は透明な接着剤により貼りあわせるようにしてもよい。同様に保護パネル600と透明発光パネル200も透明な接着剤により貼りあわせるようにしてもよい。下部ハウジング510とソーラーパネル100と上部ハウジング520は接着剤により接着してもよい。
【0046】
図3は、透明発光パネル200上の図柄の構成を示す図である。同図は透明発光パネル200上の図柄の一部「K」とその一部分の拡大図を示している。この例では、透明発光パネル200上の図柄は、ソーラーパネル100表面の図柄に相当するものとする。透明発光パネル200上の図柄は、複数の発光ダイオード230の配置パターンにより描かれる。図3破線内の拡大図の例では、複数のLED230を透明電極パターン220を介して直列に接続することにより図柄の一部を構成している。
【0047】
図4は、発光ダイオード230の配置パターンの他の例を示す図である。図3の拡大図に示した配置の代わりに図4のように、発光ダイオードを並列接続と直列接続とを組み合わせて配置してもよい。
【0048】
図5は、透明発光パネル200の断面図である。同図のように、透明発光パネル200は、透明パネル210と、透明パネル210の表面に形成された透明電極パターン220と、透明電極パターン220によって電気的に接続されるLED230とを有する。
【0049】
透明パネル210は、典型的にはガラス基板であるが、樹脂基板、透明シートでもよい。
【0050】
透明電極パターン220は、例えばITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)で形成される薄膜である。
【0051】
LED230は、透明電極パターン220にはんだ付けされる2つの端子231(アノードとカソード)を有し、透明パネル210上に面実装される。LED230の主たる発光方向は、透明発光パネル200の表面から垂直方向である。
【0052】
さらに、図6〜図11を用いてソーラーパネル100について説明する。
【0053】
図6は、ソーラーパネルに形成された図柄の一例を示す図である。同図では、図1と同じ文字列の図柄を例示している。ここでは、「KOREA」の各文字が異なる色を示すように構成した例を説明する。図7〜図11は、図6のA−A断面、・・・、E−E断面を示す断面図である。
【0054】
ソーラーパネル100は、その表面に形成された保護膜120を有する。この保護膜120は、例えば酸化シリコンの透明薄膜である。
【0055】
保護膜の全面のうち図柄に対応する部分の保護膜120a〜120eの膜厚(ta〜te)は、図柄に対応しない部分の保護膜120の膜厚と異なっている。図柄に対応する部分の保護膜120a〜120eの膜厚は、それぞれ図柄の色に対応する光を反射するように設定されている。それぞれの膜厚(ta〜te)は、反射を所望する色の光の半波長(λ/2)の整数倍にすることにより決定できる。
【0056】
このように、図柄の形状および色は、図柄の色に対応する膜厚を有する保護膜により形成することができる。図柄は、保護膜の一部分として、ソーラーパネルの製造プロセスにより任意の形状に形成できるので、極めて高精細に形成することができる。図柄に対応する保護膜により反射される色は、その膜厚に依存するので、ソーラーパネルパネルの製造プロセスにより色とりどりの図柄を実現することができる。
【0057】
保護膜の全面のうち図柄に対応しない部分の保護膜120は、保護する機能だけでなく、入射光の反射をできるだけ防止する反射防止膜として形成される。
【0058】
例えば、図柄のうち「K」と「O」に注目すると、図柄は、第1の色を表す第1図柄部分「k」(保護膜120a)と、第1の色と異なる第2の色を表す第2図柄部分「O」(保護膜120b)とを含む。第1の図柄部分「K」は、保護膜のうち、前記第1の色に対応する第1の膜厚taを有する部分の保護膜120bにより形成される。第2の図柄部分「O」は、保護膜のうち第2の色に対応する第2の膜厚tbを有する部分の保護膜120bにより形成される。
【0059】
図12は、ソーラー一体型表示パネルシステムの構成を示すブロック図である。同図では、図1の制御部300の構成をより詳細に示している。制御部300は、スイッチ310、切換制御部311、LED制御部320を備えている。
【0060】
スイッチ310は、ソーラーパネル100と蓄電池400との接続と、蓄電池400と透明発光パネル200との接続とを切り換えるスイッチである。
【0061】
切換制御部311は、スイッチ310の切り換えを制御する。例えば、切換制御部311は、内部に時計を有し、第1の時間帯では、ソーラーパネル100と蓄電池400とを接続するようスイッチ310を制御し、第2の時間帯では、蓄電池400と透明発光パネル200とを接続するようにスイッチ310を制御する。ここで、第1の時間帯は昼間、第2の時間帯は夜間等でよい。あるいは、切換制御部311は、内部に、明るさセンサーを有し、明るさがしきい値以上である期間は、ソーラーパネル100と蓄電池400とを接続するようスイッチ310を制御し、明るさがしきい値より小さい期間では、蓄電池400と透明発光パネル200とを接続するようにスイッチ310を制御するようにしてもよい。
【0062】
LED制御部320は、スイッチ310がソーラーパネル100と蓄電池400とを接続しているときに、透明発光パネル200の発光を制御する。例えば、LED制御部320は、全てのLED230又は、関連するLED230からなるグループ毎に発光態様(点灯、点滅または消灯)を制御する。
【0063】
さらに、ソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法について説明する。
【0064】
図13は、ソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法を示すフローチャートである。
【0065】
まず、作成者は、ソーラーパネル100および透明発光パネル200に描画すべき所望の図柄を示す線画データを作成する(S11)。次に、線画データの示す図柄に沿って、透明パネル210上のLED230の配置位置と、当該LED230を接続するための透明電極パターン220の形状とを決定し(S12)、当該形状に対応するマスクを作成し、マスクを用いて透明パネル210上に透明電極パターン220を形成し(S13)、透明パネル210上にLED230を面実装する(S14)ことによりソーラーパネル100を製造する。
【0066】
さらに、保護膜の形状と膜厚とを線画データの色毎に決定し(S15)、決定した形状と膜厚を持つ保護膜をソーラーパネル上に形成する(S16)ことにより、ソーラーパネル100を製造する。
【0067】
最後に、ソーラーパネル100および透明発光パネル200を含むパネル部10(ソーラー一体型表示パネル)を組み立て(S17)、さらに制御部300および蓄電池400を接続してソーラー一体型表示パネルシステムに組み立てる。
【0068】
この製造方法によれば、1つの線画データを、ソーラーパネル100、透明発光パネル200に共通に適用することにより、ソーラーパネル100と透明発光パネル200の図柄を一致させることができる。
【0069】
以上説明してきたように本実施の形態におけるソーラー一体型表示パネルシステムによれば、パネル部10の輝度(明るさ)を向上させて、かつ、消費電力を低減させることができる。昼間に充電した電力を夜間に利用可能にし、維持コストを低減することができる。
【0070】
また、ソーラーパネル100の図柄を極めて高精細に形成することができ、ソーラーパネル表面に色とりどりの図柄を形成することができる。また、図柄による遮光を抑え、図柄の存在によるソーラーパネルの発電効率の低下を最小限に押さえることができる。
【0071】
以下、本実施形態におけるソーラー一体型表示パネルシステム1の変形例について説明する。
【0072】
(1)ソーラーパネル100は、面状に組み合わされた複数枚のソーラーモジュール110からなる構成であってもよいし、1枚のソーラーモジュール110からなる構成であってもよい。
【0073】
(2)LED制御部320は、LED230に直流電圧を常時印加することにより静的に発光させてもよいし、パルス状の直流電圧を印加することにより動的に発光させてもよい。動的に発光させる場合は、パルス幅やパルスの頻度を調整することにより、LED230の輝度を調整することができる。例えば、夜間の時間帯に応じて輝度を変更することが可能になる。
【0074】
(3)LED230の発光色は、図柄の色と同じ色であってよいし、異なる色であってもよい。
【0075】
(4)LED制御部320は、LED230発光色を動的に変化させるようにしてもよい。例えば、赤緑青の三原色に対応する3つのLEDを発光単位とし、発光単位を図柄に沿って配置し、発光単位中の1つ以上のLEDを選択的に発光させるようにすればよい。
【0076】
(5)透明発光パネル200表面の透明電極パターン220およびLED230を含む層(発光層)を絶縁膜を介して複数形成してもよい。この場合、例えば、第1の発光層と第2の発光層とで異なる図柄または異なる色を持たせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のソーラー一体型表示パネルシステムは、広告板、案内表示版、看板などのサインパネルに適している。
【符号の説明】
【0078】
1 ソーラー一体型表示パネルシステム
10 パネル部(ソーラー一体型表示パネル)
100 ソーラーパネル
110 ソーラーモジュール
120 保護膜
120a〜120e 保護膜
200 透明発光パネル
210 透明パネル
220 透明電極パターン
230 発光ダイオード(LED)
231 端子
300 制御部
310 スイッチ
311 切換制御部
320 LED制御部
400 蓄電池
510 下部ハウジング
520 上部ハウジング
600 保護パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄に沿って面実装された複数の発光ダイオード、および、前記複数の発光ダイオードを電気的に接続する透明電極パターンを表面に有する透明発光パネルと、
前記透明発光パネルの裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネルを透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネルと、
充放電可能な蓄電池と、
前記ソーラーパネルと前記蓄電池との接続と、前記蓄電池と前記透明発光パネルとの接続とを切り換える制御部とを備え、
前記ソーラーパネルは、その表面に形成された図柄であって、前記複数の発光ダイオードが沿う図柄に相当する図柄を有する
ソーラー一体型表示パネルシステム。
【請求項2】
図柄に沿って面実装された複数の発光ダイオードと、前記複数の発光ダイオードを電気的に接続する透明電極パターンとを表面に有する透明発光パネルと、
前記透明発光パネルの裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネルを透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネルと
を備えるソーラー一体型表示パネル。
【請求項3】
面実装された複数の発光ダイオード、および、前記複数の発光ダイオードを電気的に接続する透明電極パターンを表面に有する透明発光パネルと、前記透明発光パネルの裏面に重ね合わされ、前記透明発光パネルを透過する入射光を電気エネルギーに変換するソーラーパネルとを有するソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法であって、
図柄を示す線画データを作成するステップと、
前記線画データの示す図柄に沿って、前記透明発光パネル上の発光ダイオード配置位置と、前記発光ダイオードを接続するための透明電極パターン配置位置とを決定するステップと、
前記線画データの示す図柄に沿って、当該図柄の色に対応する膜厚の保護膜パターンを前記ソーラーパネル上に形成するステップと
を有するソーラー一体型表示パネルシステムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−145658(P2012−145658A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2532(P2011−2532)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【特許番号】特許第4819971号(P4819971)
【特許公報発行日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(511008300)エコフューチャー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】