タイミングチャート編集システム
【課題】 グリッドコントロールを利用することで開発工数を大幅に削減したタイミングチャート編集システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 各ビットマップデータを重ね合わせることにより、各セルに合わせたビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、背景用ビットマップデータ100、関係線があるビットマップデータ101、状態線のあるビットマップデータ102、各種マーク類のビットマップデータ103、遅延時間を示すビットマップデータ105がある。各ビットマップデータ100〜105を重ね合わせることにより、セル200を作成する。また、セル201〜207も各セルを作成するのに必要なビットマップデータを重ね合わせる。ビットマップデータを重ね合わせて作成したセル200〜207を合成させ、タイミングチャートを作成する。
【解決手段】 各ビットマップデータを重ね合わせることにより、各セルに合わせたビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、背景用ビットマップデータ100、関係線があるビットマップデータ101、状態線のあるビットマップデータ102、各種マーク類のビットマップデータ103、遅延時間を示すビットマップデータ105がある。各ビットマップデータ100〜105を重ね合わせることにより、セル200を作成する。また、セル201〜207も各セルを作成するのに必要なビットマップデータを重ね合わせる。ビットマップデータを重ね合わせて作成したセル200〜207を合成させ、タイミングチャートを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的なタイミングチャートやそれに改良を加えて分岐を扱えるようにしたタイミングチャートの編集システムにおいて、特に、開発工数を大幅に削減するもので、いくつかの特徴がタイミングチャートに類似したチャート類に関する編集システムを対象としたタイミングチャート編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイミングチャートに限らずチャート類をパソコンの画面上に描画する場合、グラフィカルな表現を必要とするため、何らかの背景画またはベタ画面に対して、直線、曲線、点などを描画する命令(描画関数)を実行することで実現される。これは表示をするには十分であるが、そのままでは当然、描画結果は一つのビットマップデータとなってしまう。
【0003】
この状態でデータを扱う代表的なものとしては画像編集システムがあるが、チャート類を編集するシステムは、チャートを構成する各部分を(オブジェクト)として扱えなければ編集が困難なので、三角や丸等のグラフィカルなオブジェクトを操作対象とする図形編集システムの特殊形といえる。
【0004】
図形編集システムでは、一度追加した三角や丸は将来にわたって(追加時のままに)三角や丸といったオブジェクトとして移動やコピー等の編集操作ができなければならないが、通常、パソコンの画面上の描画に際しては上記の通りに単一のビットマップデータとなってしまう。
【0005】
そこで図形編集システムでは、ユーザインターフェース上でオブジェクトとして扱えるように、内部的にオブジェクト単位で全オブジェクトの理論データを管理するばかりでなく、例えばオブジェクトの移動に際して、オブジェクトが今の位置に描画される前の状態への復帰や新たな位置の状態の退避を行うなど、表示データが単一のビットマップであるにも関わらずオブジェクトとして操作されているかのように見せかけるための多くの処理が追加されている。
【0006】
一般的な図形編集システムは様々なオブジェクトを自由に編集できるよう作られているため、カスタマイズ可能な図形編集システムを核に目的とするチャート用の編集システムをアドオン開発すれば新たに必要となる開発工数は大幅に削減できるが、高機能ゆえに不要な機能も多くなって無駄なばかりか、高機能ゆえにその採用はコスト高になりがちであり、核となるシステムのバージョンアップへの対応も不安が残る。
【0007】
そのため、新たにチャートの編集システムを開発しようとするものは、チャートを構成する各部分をオブジェクトとして扱えるように作り込む困難な開発に挑むか、一般的な図形編集システムをカスタマイズして高コストとバージョンアップ時のリスクを受け入れるかの二者択一を迫られ、多くの場合前者を選ばざるを得ない。
【0008】
また、メカトロニクスの制御等に用いるプログラマブルコントローラやステッピングモータ制御システムとして開示された従来技術として、以下に示す技術がある。
ステッピングモータのコントローラとドライバを一体化したモータ駆動制御装置とコンピュータとを通信回線で接続し、コンピュータ側において、ステッピングモータを制御する最小動作単位として定めた開始、加速、低速、減速及び停止の各ユニットを組み合わせることにより、ステッピングモータの動作開始から停止までのシーケンスを編集し、この編集データをモータ駆動制御装置へ送信してメモリ内に記憶させ、記憶されたシーケンスに従ってモータ駆動制御装置がステッピングモータを制御するようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−339994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、グリッドコントロールを利用することで開発工数を大幅に削減したタイミングチャート編集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載のタイミングチャート編集システムは、複数のセルを合成してタイミングチャートを編集するシステムであって、セルと同じサイズの背景を示すビットマップデータと、中央に縦線があるビットマップデータと、信号の状態を表す水平線及び該水平線と繋がって状態の変化を表す斜め線である状態線のビットマップデータと、マーク類のビットマップデータと、タイミングの基準となる信号変化と該信号変化によりタイミングが規定される信号変化とを関連付ける関係線のビットマップデータとを重ね合わせてセルを作成することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のタイミングチャート編集システムであって、タイミングチャート上で信号状態の変化と変化の間に遅延時間があった時に、状態線や関係線のみしか描画されていない空のセルを設けることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のタイミングチャート編集システムであって、セルの幅を遅延時間の幅に調節し、該セルにおける信号の状態の変化を示すマーク及び本来なら中央にある縦線を該セルの右端からの距離を全て同じ位置に配置することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のタイミングチャート編集システムであって、信号の状態の変化あるセルの状態を保持しつつ、追加した空のセルの幅を遅延時間に合わせて調節することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システムであって、セルの幅を調節する時に、目視で容易に区別できるようにすることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システムであって、遅延時間が発生したセルとsビットマップデータを重ね合わせて作成したセルとのサイズを統一することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から本発明は、ドラッグアンドドロップでの編集機能、操作対象やマウスカーソルの位置管理、図形データや画像データの取り扱い等が容易になって、単なる画像表示に編集機能を作り込むよりも容易に、また少ない開発工数で実現できる。
また、一般的な図形編集システムを核とした場合に生じる欠点である無駄な機能を多く包含したり高コストになったりすることも避けられる。
また、このようなコントロール類は、一般的な図形編集システムのような単体としてではなく、部品として組み込まれて使用されることが前提となっているので、寿命やバージョンアップ時の不安も少ないことが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、システムを実行するために必要な構成を示した図である。
表示装置1に表示された図2に示すようなタイミングチャートをマウス3やキーボード4を使用して編集を行い、本体2に内蔵されているHDDに保存する。
【0018】
次に図2に示すタイミングチャートの構成を説明する。
まず、タイミングチャートを構成する線について説明する。状態線は、タイミングチャート上で信号の状態を表す水平線及びそれと繋がって状態の変化を表す斜め線である。変化点とは、タイミングチャート上で信号の状態が変化する斜め線の部分を指す。関係線とは、タイミングの基準となる信号変化とそれによりタイミングが規定される信号変化とを関連付ける線を指す。基準線とは、タイミングチャート上で遅延時間の基準となる信号変化の位置を表す垂直線を指す。
【0019】
図2に示すように、各出力信号の状態を示すタイミングチャートは、状態線、変化点、関係線、基準線から構成され、図3では、図2で示される縦の罫線が消去されたものである。これらのタイミングチャートは図4に示すようにして作成される。
【0020】
図4では、各ビットマップデータを重ね合わせることにより、各セルに合わせたビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、背景用ビットマップデータ100、関係線があるビットマップデータ101、状態線のあるビットマップデータ102、各種マーク類のビットマップデータ103、遅延時間を示すビットマップデータ105がある。各ビットマップデータ100〜105を重ね合わせることにより、セル200を作成する。また、セル201〜207も各セルを作成するのに必要なビットマップデータを重ね合わせる。ビットマップデータを重ね合わせて作成したセル200〜207を合成させ、タイミングチャートを作成する。
【0021】
図5に示すタイミングチャートは、変化点や何らかのよりの間に遅延がない場合とある場合で、ある場合の方がない場合よりも横方向に距離が設けられていることで、その時間的差が横軸方向の配置として表現されている。そこで、図5に示すタイミングチャートの作成方法を図6に示す。
【0022】
図6では、変化点や何らかの処理の間で遅延時間のある箇所に、状態線や関係線のみしか描画されていない空のセル(チャート全体としては空の列)を設けている。図4に示したビットマップの合成にさらに、状態線や関係線のみしか描画されていないビットマップデータ209と、206を設けている。
【0023】
次に、図7に示すタイミングチャートは、変化点や何らかの処理の間が時間に合わせて調節され、時間的差が横軸方向の配置として(グラフィカルに)表現されている。そこで、図8に、図7に示すタイミングチャートの作成方法を示す。
図8では、変化点や何らかの処理とその直前の遅延時間とをペアで扱い、該当するセルの幅を遅延時間に合わせた幅に調節する。また、そのセルにおける変化点や何らかの処理を表すマーク、及び本来なら中央にある縦線は、セル右端からの距離を総て同じに配置して表示する。なお、直後の遅延時間とペアで扱い左端からの距離を総て同じに配置して表示してもよい。
【0024】
図8に示すように、ビットマップを合成して作成したセルの一部分を切り出して他のセルと合体させている。例えば、セル210の一部分を切り出して204のセルと合体させることにより、遅延時間分のビットマップを遅延時間に合わせた幅に調整することができる。同様に、切り出したセル211の一部分とセル205、切り出したセル212の一部分とセル213とを合体させている。
【0025】
次に、図9に示すタイミングチャートは、遅延時間の違いを空セルの幅として表現するので、図7に示すタイミングチャートのように時間的差がより適切に表現される一方、幅を調節するセルは状態線や関係線しか持たない空のセルなので、セルに貼り付けるビットマップの生成処理が複雑になっていない。そこで、変化点や何らかの処理があるセルはそのままに、図5に示したタイミングチャートのように追加したセルの幅を遅延時間に合わせて調節する。
【0026】
次に、図10に示すタイミングチャートは、遅延時間の大小の概略をすばやく把握できるように、例えば、10ミリ秒ずつとか100ミリ秒ずつとかのある一定の単位に対し、5ミリずつとか10ミリずつとかの一定のサイズでセル幅を調節するようにし、ある程度以上の時間差が離散的なサイズの違いとして強調されている。また、幅を変える遅延時間の単位や幅を変える量は目視で容易に区別がつく量が良いが、特定の数値に限定するものではない。
【0027】
次に、図11に示すタイミングチャートは、各セルに貼り付けるビットマップの生成の際に、同一のサイズで用意した基本パターンの必要なものを単純に合成すればよりので、セルに貼り付けるビットマップの生成処理が非常に簡便なものとなる。
そこで、遅延時間を同一幅のセルの数として表現し、遅延時間に合わせたセルの幅の変わりに遅延時間に合わせたセルの数を管理する。また、変化点や何らかの処理を配置しているセルを含めてサイズを統一しても良い。
【0028】
次に、図12〜15を参照して、ビットマップ生成の処理動作を説明する。
まず、図12に示すフローチャートでは、全セルの生成が終了かを判断する(ステップS100)。全セルの生成が終了の場合は(ステップS100/YES)、終了する。全セルの生成が終了していない場合は(ステップS100/NO)、1セルサイズのビットマップの生成を行い(ステップS101)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS102)。次に、ステップS100に戻り、全セルの生成が終了しているかを判断する。
【0029】
次に、図13に示すフローチャートは、1セルサイズの生成の処理動作を示したものである。
まず、背景ビットマップを内部バッファにコピーする(ステップS200)。次に、縦線ビットマップがあるか否かを判断し(ステップS201)、縦線ビットマップがない場合は(ステップS201/NO)、次に関係線のビットマップがあるか否かの判断を行う(ステップS203)。縦線ビットマップがある場合は(ステップS201/YES)、縦線ビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS202)、次に、関係線があるか否かの判断を行う(ステップS203)。
【0030】
関係線のビットマップがない場合は(ステップS203/NO)、状態線のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS205/YES)。関係線のビットマップがある場合は(ステップS203/YES)、関係線のビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS204)、次に、状態線のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS205)。
【0031】
状態線のビットマップがない場合は(ステップS205/NO)、マーク類のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS207)。状態線のビットマップがある場合は(ステップS205/YES)、該当する状態線のビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS206)、マーク類のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS207)。マーク類のビットマップがない場合は(ステップS207/NO)、そのまま終了となり、マーク類のビットマップがある場合は(ステップS207)、該当するマーク類のビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS208)、終了とする。
【0032】
次に、図14を参照して、ビットマップ生成の処理動作を説明する。
まず、全セルの生成が終了かを判断する(ステップS300)。全セルの生成が終了の場合は(ステップS300/YES)、終了となる。全セルの生成が終了でない場合は(ステップS300/NO)、次に、変化点を含むか否かの判断を行う(ステップS301)。変化点を含まない場合は(ステップS301/NO)、1セルサイズのビットマップを生成し(ステップS307)、生成したビットマップを列幅に合わせて調整し(ステップS308)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS306)。
【0033】
変化点を含む場合は(ステップS301/YES)、変化点部分の1セルサイズのビットマップを生成し(ステップS302)、遅延時間部分の1セルサイズのビットマップを生成する(ステップS303)。次に、遅延時間部分のビットマップを遅延時間に合わせた幅に調整し(ステップS304)、変化点部分と遅延時間部分のビットマップを内部バッファで合体させ(ステップS305)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS306)。そして、ステップS300に戻り、全セルの生成が終了したかを判断する。
【0034】
次に、図15を参照して、ビットマップ生成の処理動作を説明する。
まず、全セルの生成が終了かを判断する(ステップS400)。全セルの生成が終了した場合(ステップS400/YES)、そのまま終了となる。全セルの生成が終了していない場合は(ステップS400/NO)、変化点があるか否かを判断する(ステップS401)。変化点がある場合は(ステップS401/YES)、変化点部分の1セルサイズのビットマップ生成を行い(ステップS402)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付け(ステップS403)、ステップS400に戻り、全セルの生成が終了しているか判断を行う。
【0035】
また、変化点がない場合(ステップS401/NO)、遅延時間部分の1セルサイズのビットマップを生成し(ステップS404)、生成したビットマップを列幅に合わせて調整し(ステップS405)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS403)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】タイミングチャート編集システムの全体構成を示した図である。
【図2】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図3】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図4】セルビットマップの合成を示した図である。
【図5】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図6】セルビットマップの合成を示した図である。
【図7】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図8】セルビットマップの合成を示した図である。
【図9】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図10】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図11】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図12】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【図13】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【図14】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【図15】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 表示装置
2 本体
3 マウス
4 キーボード
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的なタイミングチャートやそれに改良を加えて分岐を扱えるようにしたタイミングチャートの編集システムにおいて、特に、開発工数を大幅に削減するもので、いくつかの特徴がタイミングチャートに類似したチャート類に関する編集システムを対象としたタイミングチャート編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイミングチャートに限らずチャート類をパソコンの画面上に描画する場合、グラフィカルな表現を必要とするため、何らかの背景画またはベタ画面に対して、直線、曲線、点などを描画する命令(描画関数)を実行することで実現される。これは表示をするには十分であるが、そのままでは当然、描画結果は一つのビットマップデータとなってしまう。
【0003】
この状態でデータを扱う代表的なものとしては画像編集システムがあるが、チャート類を編集するシステムは、チャートを構成する各部分を(オブジェクト)として扱えなければ編集が困難なので、三角や丸等のグラフィカルなオブジェクトを操作対象とする図形編集システムの特殊形といえる。
【0004】
図形編集システムでは、一度追加した三角や丸は将来にわたって(追加時のままに)三角や丸といったオブジェクトとして移動やコピー等の編集操作ができなければならないが、通常、パソコンの画面上の描画に際しては上記の通りに単一のビットマップデータとなってしまう。
【0005】
そこで図形編集システムでは、ユーザインターフェース上でオブジェクトとして扱えるように、内部的にオブジェクト単位で全オブジェクトの理論データを管理するばかりでなく、例えばオブジェクトの移動に際して、オブジェクトが今の位置に描画される前の状態への復帰や新たな位置の状態の退避を行うなど、表示データが単一のビットマップであるにも関わらずオブジェクトとして操作されているかのように見せかけるための多くの処理が追加されている。
【0006】
一般的な図形編集システムは様々なオブジェクトを自由に編集できるよう作られているため、カスタマイズ可能な図形編集システムを核に目的とするチャート用の編集システムをアドオン開発すれば新たに必要となる開発工数は大幅に削減できるが、高機能ゆえに不要な機能も多くなって無駄なばかりか、高機能ゆえにその採用はコスト高になりがちであり、核となるシステムのバージョンアップへの対応も不安が残る。
【0007】
そのため、新たにチャートの編集システムを開発しようとするものは、チャートを構成する各部分をオブジェクトとして扱えるように作り込む困難な開発に挑むか、一般的な図形編集システムをカスタマイズして高コストとバージョンアップ時のリスクを受け入れるかの二者択一を迫られ、多くの場合前者を選ばざるを得ない。
【0008】
また、メカトロニクスの制御等に用いるプログラマブルコントローラやステッピングモータ制御システムとして開示された従来技術として、以下に示す技術がある。
ステッピングモータのコントローラとドライバを一体化したモータ駆動制御装置とコンピュータとを通信回線で接続し、コンピュータ側において、ステッピングモータを制御する最小動作単位として定めた開始、加速、低速、減速及び停止の各ユニットを組み合わせることにより、ステッピングモータの動作開始から停止までのシーケンスを編集し、この編集データをモータ駆動制御装置へ送信してメモリ内に記憶させ、記憶されたシーケンスに従ってモータ駆動制御装置がステッピングモータを制御するようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−339994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、グリッドコントロールを利用することで開発工数を大幅に削減したタイミングチャート編集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載のタイミングチャート編集システムは、複数のセルを合成してタイミングチャートを編集するシステムであって、セルと同じサイズの背景を示すビットマップデータと、中央に縦線があるビットマップデータと、信号の状態を表す水平線及び該水平線と繋がって状態の変化を表す斜め線である状態線のビットマップデータと、マーク類のビットマップデータと、タイミングの基準となる信号変化と該信号変化によりタイミングが規定される信号変化とを関連付ける関係線のビットマップデータとを重ね合わせてセルを作成することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のタイミングチャート編集システムであって、タイミングチャート上で信号状態の変化と変化の間に遅延時間があった時に、状態線や関係線のみしか描画されていない空のセルを設けることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のタイミングチャート編集システムであって、セルの幅を遅延時間の幅に調節し、該セルにおける信号の状態の変化を示すマーク及び本来なら中央にある縦線を該セルの右端からの距離を全て同じ位置に配置することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のタイミングチャート編集システムであって、信号の状態の変化あるセルの状態を保持しつつ、追加した空のセルの幅を遅延時間に合わせて調節することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システムであって、セルの幅を調節する時に、目視で容易に区別できるようにすることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システムであって、遅延時間が発生したセルとsビットマップデータを重ね合わせて作成したセルとのサイズを統一することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から本発明は、ドラッグアンドドロップでの編集機能、操作対象やマウスカーソルの位置管理、図形データや画像データの取り扱い等が容易になって、単なる画像表示に編集機能を作り込むよりも容易に、また少ない開発工数で実現できる。
また、一般的な図形編集システムを核とした場合に生じる欠点である無駄な機能を多く包含したり高コストになったりすることも避けられる。
また、このようなコントロール類は、一般的な図形編集システムのような単体としてではなく、部品として組み込まれて使用されることが前提となっているので、寿命やバージョンアップ時の不安も少ないことが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、システムを実行するために必要な構成を示した図である。
表示装置1に表示された図2に示すようなタイミングチャートをマウス3やキーボード4を使用して編集を行い、本体2に内蔵されているHDDに保存する。
【0018】
次に図2に示すタイミングチャートの構成を説明する。
まず、タイミングチャートを構成する線について説明する。状態線は、タイミングチャート上で信号の状態を表す水平線及びそれと繋がって状態の変化を表す斜め線である。変化点とは、タイミングチャート上で信号の状態が変化する斜め線の部分を指す。関係線とは、タイミングの基準となる信号変化とそれによりタイミングが規定される信号変化とを関連付ける線を指す。基準線とは、タイミングチャート上で遅延時間の基準となる信号変化の位置を表す垂直線を指す。
【0019】
図2に示すように、各出力信号の状態を示すタイミングチャートは、状態線、変化点、関係線、基準線から構成され、図3では、図2で示される縦の罫線が消去されたものである。これらのタイミングチャートは図4に示すようにして作成される。
【0020】
図4では、各ビットマップデータを重ね合わせることにより、各セルに合わせたビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、背景用ビットマップデータ100、関係線があるビットマップデータ101、状態線のあるビットマップデータ102、各種マーク類のビットマップデータ103、遅延時間を示すビットマップデータ105がある。各ビットマップデータ100〜105を重ね合わせることにより、セル200を作成する。また、セル201〜207も各セルを作成するのに必要なビットマップデータを重ね合わせる。ビットマップデータを重ね合わせて作成したセル200〜207を合成させ、タイミングチャートを作成する。
【0021】
図5に示すタイミングチャートは、変化点や何らかのよりの間に遅延がない場合とある場合で、ある場合の方がない場合よりも横方向に距離が設けられていることで、その時間的差が横軸方向の配置として表現されている。そこで、図5に示すタイミングチャートの作成方法を図6に示す。
【0022】
図6では、変化点や何らかの処理の間で遅延時間のある箇所に、状態線や関係線のみしか描画されていない空のセル(チャート全体としては空の列)を設けている。図4に示したビットマップの合成にさらに、状態線や関係線のみしか描画されていないビットマップデータ209と、206を設けている。
【0023】
次に、図7に示すタイミングチャートは、変化点や何らかの処理の間が時間に合わせて調節され、時間的差が横軸方向の配置として(グラフィカルに)表現されている。そこで、図8に、図7に示すタイミングチャートの作成方法を示す。
図8では、変化点や何らかの処理とその直前の遅延時間とをペアで扱い、該当するセルの幅を遅延時間に合わせた幅に調節する。また、そのセルにおける変化点や何らかの処理を表すマーク、及び本来なら中央にある縦線は、セル右端からの距離を総て同じに配置して表示する。なお、直後の遅延時間とペアで扱い左端からの距離を総て同じに配置して表示してもよい。
【0024】
図8に示すように、ビットマップを合成して作成したセルの一部分を切り出して他のセルと合体させている。例えば、セル210の一部分を切り出して204のセルと合体させることにより、遅延時間分のビットマップを遅延時間に合わせた幅に調整することができる。同様に、切り出したセル211の一部分とセル205、切り出したセル212の一部分とセル213とを合体させている。
【0025】
次に、図9に示すタイミングチャートは、遅延時間の違いを空セルの幅として表現するので、図7に示すタイミングチャートのように時間的差がより適切に表現される一方、幅を調節するセルは状態線や関係線しか持たない空のセルなので、セルに貼り付けるビットマップの生成処理が複雑になっていない。そこで、変化点や何らかの処理があるセルはそのままに、図5に示したタイミングチャートのように追加したセルの幅を遅延時間に合わせて調節する。
【0026】
次に、図10に示すタイミングチャートは、遅延時間の大小の概略をすばやく把握できるように、例えば、10ミリ秒ずつとか100ミリ秒ずつとかのある一定の単位に対し、5ミリずつとか10ミリずつとかの一定のサイズでセル幅を調節するようにし、ある程度以上の時間差が離散的なサイズの違いとして強調されている。また、幅を変える遅延時間の単位や幅を変える量は目視で容易に区別がつく量が良いが、特定の数値に限定するものではない。
【0027】
次に、図11に示すタイミングチャートは、各セルに貼り付けるビットマップの生成の際に、同一のサイズで用意した基本パターンの必要なものを単純に合成すればよりので、セルに貼り付けるビットマップの生成処理が非常に簡便なものとなる。
そこで、遅延時間を同一幅のセルの数として表現し、遅延時間に合わせたセルの幅の変わりに遅延時間に合わせたセルの数を管理する。また、変化点や何らかの処理を配置しているセルを含めてサイズを統一しても良い。
【0028】
次に、図12〜15を参照して、ビットマップ生成の処理動作を説明する。
まず、図12に示すフローチャートでは、全セルの生成が終了かを判断する(ステップS100)。全セルの生成が終了の場合は(ステップS100/YES)、終了する。全セルの生成が終了していない場合は(ステップS100/NO)、1セルサイズのビットマップの生成を行い(ステップS101)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS102)。次に、ステップS100に戻り、全セルの生成が終了しているかを判断する。
【0029】
次に、図13に示すフローチャートは、1セルサイズの生成の処理動作を示したものである。
まず、背景ビットマップを内部バッファにコピーする(ステップS200)。次に、縦線ビットマップがあるか否かを判断し(ステップS201)、縦線ビットマップがない場合は(ステップS201/NO)、次に関係線のビットマップがあるか否かの判断を行う(ステップS203)。縦線ビットマップがある場合は(ステップS201/YES)、縦線ビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS202)、次に、関係線があるか否かの判断を行う(ステップS203)。
【0030】
関係線のビットマップがない場合は(ステップS203/NO)、状態線のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS205/YES)。関係線のビットマップがある場合は(ステップS203/YES)、関係線のビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS204)、次に、状態線のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS205)。
【0031】
状態線のビットマップがない場合は(ステップS205/NO)、マーク類のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS207)。状態線のビットマップがある場合は(ステップS205/YES)、該当する状態線のビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS206)、マーク類のビットマップがあるか否かを判断する(ステップS207)。マーク類のビットマップがない場合は(ステップS207/NO)、そのまま終了となり、マーク類のビットマップがある場合は(ステップS207)、該当するマーク類のビットマップを内部バッファに重ね合わせ(ステップS208)、終了とする。
【0032】
次に、図14を参照して、ビットマップ生成の処理動作を説明する。
まず、全セルの生成が終了かを判断する(ステップS300)。全セルの生成が終了の場合は(ステップS300/YES)、終了となる。全セルの生成が終了でない場合は(ステップS300/NO)、次に、変化点を含むか否かの判断を行う(ステップS301)。変化点を含まない場合は(ステップS301/NO)、1セルサイズのビットマップを生成し(ステップS307)、生成したビットマップを列幅に合わせて調整し(ステップS308)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS306)。
【0033】
変化点を含む場合は(ステップS301/YES)、変化点部分の1セルサイズのビットマップを生成し(ステップS302)、遅延時間部分の1セルサイズのビットマップを生成する(ステップS303)。次に、遅延時間部分のビットマップを遅延時間に合わせた幅に調整し(ステップS304)、変化点部分と遅延時間部分のビットマップを内部バッファで合体させ(ステップS305)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS306)。そして、ステップS300に戻り、全セルの生成が終了したかを判断する。
【0034】
次に、図15を参照して、ビットマップ生成の処理動作を説明する。
まず、全セルの生成が終了かを判断する(ステップS400)。全セルの生成が終了した場合(ステップS400/YES)、そのまま終了となる。全セルの生成が終了していない場合は(ステップS400/NO)、変化点があるか否かを判断する(ステップS401)。変化点がある場合は(ステップS401/YES)、変化点部分の1セルサイズのビットマップ生成を行い(ステップS402)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付け(ステップS403)、ステップS400に戻り、全セルの生成が終了しているか判断を行う。
【0035】
また、変化点がない場合(ステップS401/NO)、遅延時間部分の1セルサイズのビットマップを生成し(ステップS404)、生成したビットマップを列幅に合わせて調整し(ステップS405)、内部バッファのビットマップを該当セルに貼り付ける(ステップS403)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】タイミングチャート編集システムの全体構成を示した図である。
【図2】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図3】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図4】セルビットマップの合成を示した図である。
【図5】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図6】セルビットマップの合成を示した図である。
【図7】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図8】セルビットマップの合成を示した図である。
【図9】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図10】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図11】タイミングチャートの構成を示した図である。
【図12】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【図13】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【図14】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【図15】タイミングチャートの作成方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 表示装置
2 本体
3 マウス
4 キーボード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを合成してタイミングチャートを編集するシステムであって、
前記セルと同じサイズの背景を示すビットマップデータと、
中央に縦線があるビットマップデータと、
信号の状態を表す水平線及び該水平線と繋がって状態の変化を表す斜め線である状態線のビットマップデータと、
マーク類のビットマップデータと、
タイミングの基準となる信号変化と該信号変化によりタイミングが規定される信号変化とを関連付ける関係線のビットマップデータとを重ね合わせて前記セルを作成することを特徴とするタイミングチャート編集システム。
【請求項2】
前記タイミングチャート上で信号状態の変化と変化の間に遅延時間があった時に前記状態線や前記関係線のみしか描画されていない空のセルを設けることを特徴とする請求項1記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項3】
前記セルの幅を前記遅延時間の幅に調節し、該セルにおける信号の状態の変化を示すマーク及び本来なら中央にある縦線を該セルの右端からの距離を全て同じ位置に配置することを特徴とする請求項1記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項4】
前記信号の状態の変化あるセルの状態を保持しつつ、追加した空のセルの幅を遅延時間に合わせて調節することを特徴とする請求項1または2記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項5】
前記セルの幅を調節する時に、目視で容易に区別できるようにすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項6】
遅延時間が発生したセルと前記ビットマップデータを重ね合わせて作成したセルとのサイズを統一することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項1】
複数のセルを合成してタイミングチャートを編集するシステムであって、
前記セルと同じサイズの背景を示すビットマップデータと、
中央に縦線があるビットマップデータと、
信号の状態を表す水平線及び該水平線と繋がって状態の変化を表す斜め線である状態線のビットマップデータと、
マーク類のビットマップデータと、
タイミングの基準となる信号変化と該信号変化によりタイミングが規定される信号変化とを関連付ける関係線のビットマップデータとを重ね合わせて前記セルを作成することを特徴とするタイミングチャート編集システム。
【請求項2】
前記タイミングチャート上で信号状態の変化と変化の間に遅延時間があった時に前記状態線や前記関係線のみしか描画されていない空のセルを設けることを特徴とする請求項1記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項3】
前記セルの幅を前記遅延時間の幅に調節し、該セルにおける信号の状態の変化を示すマーク及び本来なら中央にある縦線を該セルの右端からの距離を全て同じ位置に配置することを特徴とする請求項1記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項4】
前記信号の状態の変化あるセルの状態を保持しつつ、追加した空のセルの幅を遅延時間に合わせて調節することを特徴とする請求項1または2記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項5】
前記セルの幅を調節する時に、目視で容易に区別できるようにすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システム。
【請求項6】
遅延時間が発生したセルと前記ビットマップデータを重ね合わせて作成したセルとのサイズを統一することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のタイミングチャート編集システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−4375(P2006−4375A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182968(P2004−182968)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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