説明

タイミング校正機能を具備した半導体試験装置

【課題】 タイミング校正時に、基準ピンとスキュー調整部間の電気長を測定していたので、回路規模が増大し、かつスキュー調整部内のコンパレータとテストピン内のコンパレータのTpdのマッチング誤差を校正できないので、タイミングを精度よく校正することができなかったという課題を解決する。
【解決手段】 第1のスイッチによって基準ピンと各テストピンを接続し、テストピン内のコンパレータを用いて基準ピンと各テストピン間の電気長を測定するようにした。また、判定レベルとして、同じテストピン内のドライバのDCレベルを用いた。スキュー調整部および判定信号発生部が不要になるので、回路規模を縮小できる。また、同じコンパレータを用いてタイミング校正を行うので、Tpdのマッチング誤差が発生せず、高精度でタイミング校正ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験半導体に出力する信号のタイミングを校正する機能を具備した半導体試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体試験装置は、被試験半導体に印加するテスト信号を出力するドライバと、この被試験半導体の出力信号を判定するコンパレータで構成されるテストピンを備えている。被試験半導体の複数の端子、あるいは複数の被試験半導体に同時にテスト信号を印加して試験できるようにするために、通常テストピンは複数個搭載されている。
【0003】
このような半導体試験装置では、被試験半導体に同時に信号を印加しなければならない。そのため、各ドライバが出力する出力信号のタイミングを校正して、同時にテスト信号が被試験半導体に印加されるようにする。
【0004】
図6にこのようなタイミング校正機能を有する半導体試験装置の構成を示す。図6において、20はテストピンLSI(Large Scale Integration)であり、ドライバおよびコンパレータで構成されたテストピン21a〜21nが内蔵される。このコンパレータは2つの比較電圧入力端子と1つの測定信号入力端子を有し、2つの比較電圧入力端子にはそれぞれ比較電圧VOHa、VOLa〜VOHn、VOLnが入力され、測定信号入力端子には同じテストピンのドライバの出力が入力される。なお、VOHは被試験半導体の出力信号のH側レベルの良否を判定するレベルで、VOLはL側レベルの良否を判定するレベルである。
【0005】
タイミング発生部10の出力信号はテストピン21a〜21n内のドライバおよびOUTリレー11a〜11nを経由して被試験半導体12に印加される。また、被試験半導体12の出力信号はOUTリレー11a〜11nを介してテストピン21a〜21n内のコンパレータの測定信号入力端子に入力され、このコンパレータの出力はタイミング発生部10に入力される。
【0006】
基準ピン14はタイミング校正の基準信号を出力するものであり、ドライバ14aおよびコンパレータ14bで構成される。ドライバ14aの出力は50Ωの抵抗を介して外部に出力される。この出力信号はリレーマトリクス13、リレー15a〜15nを経由して、テストピン21a〜21n内のコンパレータの測定信号入力端子に入力される。なお、テストピン21a〜21n内のドライバ、およびドライバ14aはその出力をオフ(ハイインピーダンス)にできる機能を有する。
【0007】
タイミング校正を行うときは、OUTリレー11a〜11n、およびテストピン21a〜21n内のドライバの出力をオフにし、リレー15a〜15nを操作してドライバ14aの出力をテストピン21a〜21n内のコンパレータの測定信号入力端子に入力する。そして、ドライバ14aからタイミング校正用の信号を出力し、電気長を測定する。テストピン21a〜21nについてこの測定を行い、測定した電気長を用いて被試験半導体12に同時に信号が到着するようにタイミング調整を行う。
【0008】
しかし、このようなタイミング調整手法は、被試験半導体12からの信号と基準ピン14の信号を同じ測定信号入力端子に入力するものであるため、被試験半導体12の測定時にリレー15a〜15nのオフ容量などによる反射の影響で信号波形に歪みが発生し、測定精度が悪化するという課題があった。
【0009】
図7にこのような課題を解決した半導体試験装置の構成を示す。なお、図6と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図7において、22はテストピンLSIであり、テストピン21a〜21n、およびスキュー調整部23で構成されている。
【0010】
スキュー調整部23は、その出力がオフにできるドライバ23bとコンパレータ23aで構成される。ドライバ23bには終端電圧VTSが入力され、その出力は50Ωの抵抗を介してコンパレータ23aに入力される。コンパレータ23aの一方の入力端子にはリレーマトリクス13を介して基準ピン14の出力が入力され、他方の入力端子には比較電圧VOSが入力される。また、その出力はタイミング発生部10に入力される。
【0011】
次にタイミング校正の手順を説明する。校正は手順1〜手順4の4つの手順に分けて実行される。手順1でリレーマトリクス13を操作して基準ピン14からスキュー調整部23への経路を確立する。そして、基準ピン14内のドライバからスキュー調整部23に向けて校正信号を出力し、TDR(Time Domein Reflectmetry)法を用いて基準ピン14とスキュー調整部23間の電気長を測定する。このときドライバ23bの出力はオフとする。
【0012】
次に手順2で、ドライバ14aの出力のエッジタイミングをコンパレータ23aおよびタイミング発生部10内のデジタルコンパレータで判定し、コンパレータ23aの判定タイミングを調整する。このとき、スキュー調整部23の特性インピーダンス不整合の影響を抑えるために、必要に応じてドライバ23bの出力をオンにして、50ΩでVTSレベルに終端する。
【0013】
次に手順3で、OUTリレー21a〜21nを順次オンにしてテストピン21a〜21nと被試験半導体12間の経路を確保し、テストピン内のドライバとコンパレータを用いて、TDR法によりテストピン21a〜21nと被試験半導体12間の電気長を順次測定する。
【0014】
最後に手順4で、OUTリレー11a〜11nを開放にして、各テストピン内のドライバ出力を同じテストピン内のコンパレータで受けて、タイミングを測定する。手順3で測定した電気長に手順4で測定したタイミングを加算し、テストピン21a〜21nの出力が同じタイミングで被試験半導体12に到達するように、ドライバの出力波形のエッジタイミングを調整する。
【0015】
図8に測定波形の例を示す。図8(A)はコンパレータに入力される信号と判定タイミングを決める判定タイミング信号の波形である。コンパレータは判定タイミング信号の立ち上がりのタイミングで入力信号を判定する。(B)はTDR法による測定の波形である。測定信号に反射波が重畳されるので、階段状の波形になる。最初の立ち上がりから次の立ち上がりまでが電気長の2倍になる。
【特許文献1】特開2007−212279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、このような半導体試験装置には次のような課題があった。半導体試験装置では、測定精度の低下を防止し、かつ被試験半導体の高速化に対応するために、図7に示すようにスキュー調整部23用いて電気長を測定する構成を取っている。そのため、回路規模が増大してしまうという課題があった。
【0017】
また、テストピンとスキュー調整部23内のコンパレータは同じLSI中に配置されているので、それらのTpd(プロパレーションディレイ)マッチングは0であることを前提として校正を行っている。しかし、実際にはテストピン21a〜21n内のコンパレータとスキュー調整部23のコンパレータ23aのTpdにはオフセットが存在するので、Tpdマッチングを0にすることはできない。そのため、このオフセット以上の精度でタイミング調整を行うことができないという課題もあった。
【0018】
従って本発明の目的は、回路規模が増大することなくタイミング精度を向上させることができるタイミング校正機能を具備した半導体試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
被試験半導体に信号を出力するドライバと、このドライバの出力信号および比較電圧が入力されるコンパレータで構成される複数のテストピンと、
タイミング校正の基準信号を出力する基準ピンと、
タイミング校正時に、前記複数のテストピンに内蔵されているコンパレータの入力端子のうち、前記比較電圧が入力される端子と前記基準ピンの出力端子を選択的に接続する第1のスイッチと、
を具備したものである。スキュー調整部が不要になるので回路規模を縮小でき、かつタイミング校正と試験で同じコンパレータを用いるので、タイミングの校正精度を高めることができる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記コンパレータは、同じテストピン内にあるドライバの出力レベルを判定レベルとするようにしたものである。判定信号の発生回路が不要になる。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1若しくは請求項2記載の発明において、
前記複数のテストピンおよび前記第1のスイッチを同じLSI(Large Scale Integration)に内蔵したものである。各回路間の特性のばらつきを小さくできる。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3いずれかに記載の発明において、
前記基準ピンと前記第1のスイッチとの間に第1のバッファを配置したものである。高周波特性を改善できる。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、
前記複数のテストピン、前記第1のスイッチ、および前記第1のバッファを同じLSI(Large Scale Integration)に内蔵したものである。各回路間の特性のばらつきを小さくできる。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5いずれかに記載の発明において、
終端電圧が入力される第2のバッファと、
この第2のバッファの出力を前記複数のテストピンに入力する第2のスイッチを具備したものである。終端するかどうかを選択できる。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6いずれかに記載の発明において、
前記テストピンに、タイミング校正時には終端電圧を入力し、試験時には被試験半導体の出力信号を判定する判定電圧を入力するようにしたものである。回路規模を小さくできる。
【0026】
請求項8記載の発明は、
タイミング校正の基準信号を出力する基準ピンと、
被試験半導体に信号を出力する複数のドライバと、
前記複数のドライバの各々に対応して設けられ、校正時に前記基準ピンの出力信号を判定する複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータの出力の1つを選択する選択部と、
を具備したものである。回路規模を小さくできる。
【0027】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、
前記複数のドライバ、前記複数のコンパレータ、および前記選択部を同じLSI(Large Scale Integration)に内蔵したものである。各回路の特性のばらつきを小さくできる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2、3、4、5、6、7、8および9の発明によれば、校正時に第1のスイッチを操作して、テストピン内のコンパレータの比較電圧が入力される端子と基準ピンを順次接続して、基準ピンの出力を比較電圧が入力される端子に接続し、電気長を測定するようにした。
【0029】
スキュー調整部が不要になるので、回路規模を縮小することができるという効果がある。また、基準ピンとテストピン間の電気長をテストピン内のコンパレータを用いて測定するので、スキュー調整部内のコンパレータとテストピンのコンパレータのTpdマッチング誤差をなくすることができる。従って、タイミング校正精度を高めることができるという効果もある。
【0030】
また、テストピン内のコンパレータにおいて、同じテストピン内のドライバ出力および被試験半導体の出力信号が入力される端子と、基準ピンの出力が入力される端子を異ならせるようにしたので、波形の歪みが軽減され、測定精度が悪化することがなくなるという効果もある。
【0031】
さらに、電気長測定時のコンパレータの判定レベルを、同じテストピン内のドライバのDCレベルとすることにより、判定信号発生回路が不要になるので、回路規模をさらに縮小することができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るタイミング校正機能を具備した半導体試験装置の一実施例を示す構成図である。なお、図6と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0033】
図1において、30はテストピンLSIであり、テストピン31a〜31n、50Ωの抵抗32a〜32n、スイッチ33a〜33n、およびバッファ34で構成されている。また、テストピン31a〜31nは同じ構成を有し、それぞれドライバ35、コンパレータ36およびスイッチ37で構成されている。
【0034】
ドライバ35は出力をオフ(ハイインピーダンス)にできるドライバであり、タイミング発生部10から信号が入力され、その出力信号はOUTリレー11a〜11nを介して被試験半導体12に入力される。コンパレータ36は被試験半導体12の出力信号が入力される測定信号入力端子と、比較電圧VOHa、VOLa〜VOHn、VOLnが入力される比較電圧入力端子を有する。このコンパレータ36の出力信号はタイミング発生部10に入力される。比較電圧VOHa〜VOHnとコンパレータ36の間にはスイッチ37が配置されている。このスイッチ37を操作することにより、比較電圧VOHa〜VOHnをコンパレータ36に入力し、また切り離すことができる。
【0035】
抵抗32a〜32nの一端はそれぞれテストピン31a〜31n内のコンパレータ36の入力端子のうち、比較電圧VOHa〜VOHnが入力される比較電圧入力端子に接続される。また、その他端はそれぞれスイッチ33a〜33nの一端に接続される。スイッチ33a〜33nの他端はバッファ34の出力端子に接続される。バッファ34には電圧VTSが入力される。抵抗32a〜32nは終端抵抗であり、バッファ34は第2のバッファに相当する。
【0036】
40a〜40nはスイッチであり、その一端はそれぞれテストピン31a〜31n内にあるコンパレータ36の入力端子のうち、比較電圧VOHa〜VOHnが入力される端子に接続され、他端はリレーマトリクス13に接続される。スイッチ40a〜40nは基準ピン14とテストピン31a〜31nを選択的に接続するスイッチであり、第1のスイッチに相当する。
【0037】
次に、タイミング校正の手順について説明する。タイミング校正は、手順1〜手順4の4つの手順に分けて行われる。なお、タイミング校正を行うときはテストピン31a〜31n内のスイッチ37をオフ(ハイインピーダンス)にして、比較電圧VOHa〜VOHnがコンパレータ36に入力されないようにしておく。
【0038】
まず手順1で、リレーマトリクス13を操作して、基準ピン14から校正対象テストピン(例えばテストピン31a)までの経路を確保し、校正対象テストピン内のドライバの出力はオフにする。スイッチ40a〜40nのうち、校正対象テストピンに接続されているスイッチのみオンにする。そして、ドライバ14aから基準信号を出力し、コンパレータ14bで反射波のエッジタイミングをサーチすることにより、TDR法によって基準ピン14と校正対象テストピン間の電気長を測定する。テストピン31a〜31nの全てについて、電気長の測定を行う。
【0039】
次に、手順2で校正対象テストピン内のコンパレータ36の判定タイミング調整を行う。リレーマトリクス13を操作して基準ピン14と校正対象テストピン間の経路を確保し、スイッチ40a〜40nのうち該当スイッチをオンにする。また、必要に応じてスイッチ33a〜33nのうち校正対象テストピンに接続されているスイッチをオンにして、VTSレベルで終端する。
【0040】
ドライバ35の出力をDCレベル(出力の高レベルあるいは低レベル)に固定し、ドライバ14aから調整用信号を出力する。この状態でこの調整用信号のエッジタイミングをサーチする。そして、手順1で測定した電気長を含めて、テストピン31a〜31nの全テストピン内のコンパレータ36の判定タイミングが等しくなるように、タイミング発生部10内のタイミングジェネレータとデジタルコンパレータを調整する。
【0041】
なお、このときコンパレータ36の測定信号入力端子と比較電圧入力端子は被試験半導体12の試験時とは逆になるので、判定結果の出力も反転する。そのため、タイミング発生部10内のデジタルコンパレータで極性を反転して判定する。
【0042】
次に、手順3で校正対象テストピンに内蔵されているドライバ35とコンパレータ36を用いて、校正対象テストピンと被試験半導体12間の電気長を測定する。すなわち、OUTリレー11a〜11nのうち、校正対象テストピンに接続されているOUTリレーをオンにし、ドライバ35から校正信号を出力して、コンパレータ36を用いてTDR法により電気長を測定する。このときのコンパレータ36の判定レベルは、被試験半導体12を試験するときにコンパレータ36入力されるVOHi(i=a〜n)とする。
【0043】
最後に、手順4でドライバ35のエッジタイミングの調整を行う。校正対象テストピンに接続されているOUTリレーを開放し、ドライバ35の出力信号のエッジタイミングをコンパレータ36でサーチする。手順3によって得られたテストピンと被試験半導体12間の電気長を加味し、テストピン31a〜31n内のドライバの出力信号が同じタイミングで被試験半導体12に入力されるように、ドライバ35の出力波形のエッジタイミングを調整する。
【0044】
この実施例では、基準ピン14の出力を順次テストピン31a〜31n内のコンパレータ36の比較電圧入力端子に入力して、基準ピン14とテストピン間の電気長を測定してタイミングを校正するようにした。そのため、テストピンLSI30にスキュー調整部を配置する必要がなくなるので、回路規模を縮小することができる。
【0045】
また、コンパレータ36の判定レベルをドライバ35のDCレベルを用いるようにしたので、従来スキュー調整部内のコンパレータに入力した電圧VOSが不要になる。このため、VOSを作成するデジタルアナログ変換器が不要になり、回路規模を更に縮小することができる。
【0046】
さらに、テストピン31a〜31n内のコンパレータ36を用いて判定タイミングを調整するので、従来問題になっていたスキュー調整部内のコンパレータとコンパレータ36のTpdマッチングが取れないことに起因する誤差をなくすことができ、より高精度にタイミングを校正することができる。
【0047】
なお、この実施例ではコンパレータ36の比較電圧VOHa〜VOHnが入力される比較電圧入力端子に基準ピン14の出力信号を入力したが、VOLa〜VOLnが入力される比較電圧入力端子に入力するようにしてもよい。この場合、スイッチ37もVOLa〜VOLn側に配置する。また、抵抗32a〜32n、スイッチ33a〜33n、およびバッファ34は必要に応じて省いてもよい。
【0048】
図2にテストピンLSIの他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図2において、50はテストピンLSIであり、テストピン31a〜31n、バッファ34、スイッチ51a〜51nおよび53、50Ωの抵抗52で構成される。
【0049】
スイッチ51a〜51nはその一端がそれぞれテストピン31a〜31n内のコンパレータ36のVOHi(i=a〜n)が入力される入力端子に接続され、他端が抵抗52の一端に接続される。この抵抗52の他端はスイッチ53の一端に接続され、スイッチ53の他端はバッファ34の出力端子に接続される。スイッチ54の一端はスイッチ51a〜51nと抵抗52の接続点に接続される。図示していないが、このスイッチ54の他端はリレーマトリクス13に接続される。
【0050】
動作は図1実施例と同じなので、説明を省略する。スイッチ51a〜51nは図1実施例のスイッチ40a〜40nに相当する。また、スイッチ54は校正時のみオンにする。図1実施例ではスイッチ40a〜40nはテストピンLSI30の外部に配置されていたが、この実施例ではこれらのスイッチをテストピンLSI50の内部に取り込んだものである。なお、バッファ34は第2のバッファに相当し、スイッチ53は第2のスイッチに相当する。
【0051】
なお、コンパレータ36の入力容量および入力電流が十分小さく、他のテストピンの測定中にそのテストピンに与える影響を無視できる場合には、スイッチ51a〜51nを省略することができる。
【0052】
また、バッファ34、スイッチ53、抵抗52はコンパレータ36を終端電圧VTSで終端する目的で用いられる。この実施例ではこの回路をスイッチ51a〜51nの共通接続点側に接続したので、抵抗52、スイッチ53は1組のみでよい。
【0053】
図3にテストピンLSIの他の実施例を示す。なお、図2と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図3において、60はテストピンLSI、61はバッファである。バッファ61は第1のバッファに相当する。この実施例は図2実施例とほぼ同じであるが、スイッチ51a〜51nの共通接続点と、抵抗52とスイッチ54の共通接続点の間にバッファ61を配置した点が異なる。このバッファ61を設けることによって、基準ピン14から入力される信号の高周波特性を改善することができる。
【0054】
図4にテストピンLSIの他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図4において、70はテストピンLSIであり、テストピン71a〜71n、電流バッファ72a〜72n、スイッチ73a〜73n、および50Ωの抵抗74a〜74nで構成される。
【0055】
テストピン71a〜71nは各々ドライバ75とコンパレータ76で構成され、図6のテストピン21a〜21nとほぼ同じ構成を有している。テストピン71a〜71n内のコンパレータ76の一方の入力端子には、それぞれ比較電圧VOLa〜VOLnが入力される。
【0056】
電流バッファ72a〜72nには、それぞれ校正時には終端電圧VTSa〜VTSnが、被試験半導体12の試験時には判定電圧VOHa〜VOHnが入力される。この電流バッファ72a〜72nの出力端子にはそれぞれスイッチ73a〜73nの一端が接続され、このスイッチ73a〜73nの他端にはそれぞれ抵抗74a〜74nが接続される。抵抗74a〜74nの他端はそれぞれスイッチ40a〜40n、およびテストピン71a〜71n内のコンパレータ76の他方の入力端子に接続される。
【0057】
この実施例では、判定電圧VOHa〜VOHnと終端電圧VTSa〜VTSnの入力回路を共通化している。そのため、VTS終端回路を別途持つ必要がないので、テストピンLSIの構成を簡略化することができる。なお、抵抗74a〜74nは終端抵抗であり、スイッチ73a〜73nは終端するか否かを選択するスイッチである。
【0058】
また、この実施例では電流バッファ72a〜72n、スイッチ73a〜73n、抵抗74a〜74nで構成したが、これに限られることはない。要は、タイミング校正時に終端電圧VTSa〜VTSnを入力し、試験時に判定電圧VOHa〜VOHnを入力できる構成であればよい。また、図2実施例のようにスイッチ40a〜40nをテストピンLSIの中に取り込んでもよく、図3実施例のようにバッファ61を挿入してもよい。
【0059】
図5にドライバ専用ピンを搭載したテストピンLSIの実施例を示す。なお、図4と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図5において、80はテストピンLSI、81a〜81nは出力をオフにできるドライバであり、それぞれ50Ωの抵抗およびOUTリレー11a〜11nを経由して被試験半導体(図示せず)に信号を出力する。
【0060】
82a〜82nはコンパレータであり、それぞれドライバ81a〜81nの出力が入力される。83はマルチプレクサであり、コンパレータ82a〜82nの出力が入力され、これらの入力信号のうち1つを選択して出力する。マルチプレクサ83の出力はタイミング発生部10に入力される。84は出力をオフにできるバッファであり、スイッチ54を介して基準ピン14の出力が入力される。バッファ84の出力はコンパレータ82a〜82nに入力される。マルチプレクサ83は選択部に相当する。
【0061】
このような構成において、マルチプレクサ83によってコンパレータ82a〜82nの出力の1つを選択し、選択したコンパレータを用いて前述した手順1〜手順4の測定を行う。基準ピン14からの信号をコンパレータ82a〜82nに分配するバッファ84を内蔵しており、またテストピンLSI内でコンパレータの出力を選択するので、タイミング発生部10の構成を簡略化することができる。
【0062】
なお、これらの実施例ではテストピンLSIにテストピン、スイッチ、バッファ等を内蔵させる構成としたが、これに限られることはない。それぞれ別回路として構成することもできる。但し、1つのLSIに内蔵すると、各回路相互間の特性のばらつきを小さくすることができる。
【0063】
また、これらの実施例ではテストピン内のコンパレータに入力される差動信号の極性は、試験の時とは逆になる。従って、タイミング校正時と試験時で判定する波形のエッジを異ならせる(例えば試験時は判定波形の立ち上がりで判定し、タイミング校正時は立ち下がりで判定する等)ことにより、タイミング発生部10内のデジタルコンパレータの判定極性を反転する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図6】従来の半導体試験装置の構成図である。
【図7】従来の半導体試験装置の構成図である。
【図8】測定を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0065】
10 タイミング発生部
11a〜11n OUTリレー
12 被試験半導体
13 リレーマトリクス
14 基準ピン
30、50、60、70、80 テストピンLSI
31a〜31n、71a〜71n テストピン
32a〜32n、52、74a〜74n 抵抗
33a〜33n、37、40a〜40n、51a〜51n、53、54 スイッチ
34、61、72a〜72n、84 バッファ
35、75、81a〜81n ドライバ
36、76、82a〜82n コンパレータ
73a〜73n スイッチ
83 マルチプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験半導体に信号を出力するドライバと、このドライバの出力信号および比較電圧が入力されるコンパレータで構成される複数のテストピンと、
タイミング校正の基準信号を出力する基準ピンと、
タイミング校正時に、前記複数のテストピンに内蔵されているコンパレータの入力端子のうち、前記比較電圧が入力される端子と前記基準ピンの出力端子を選択的に接続する第1のスイッチと、
を具備したことを特徴とするタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項2】
前記コンパレータは、同じテストピン内にあるドライバの出力レベルを判定レベルとするようにしたことを特徴とする請求項1記載のタイミング校正機能を有する半導体試験装置。
【請求項3】
前記複数のテストピンおよび前記第1のスイッチを同じLSI(Large Scale Integration)に内蔵したことを特徴とする請求項1若しくは請求項2記載のタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項4】
前記基準ピンと前記第1のスイッチとの間に第1のバッファを配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載のタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項5】
前記複数のテストピン、前記第1のスイッチ、および前記第1のバッファを同じLSI(Large Scale Integration)に内蔵したことを特徴とする請求項4記載のタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項6】
終端電圧が入力される第2のバッファと、
この第2のバッファの出力を前記複数のテストピンに入力する第2のスイッチを具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれかに記載のタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項7】
前記テストピンに、タイミング校正時には終端電圧を入力し、試験時には被試験半導体の出力信号を判定する判定電圧を入力するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載のタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項8】
タイミング校正の基準信号を出力する基準ピンと、
被試験半導体に信号を出力する複数のドライバと、
前記複数のドライバの各々に対応して設けられ、校正時に前記基準ピンの出力信号を判定する複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータの出力の1つを選択する選択部と、
を具備したことを特徴とするタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。
【請求項9】
前記複数のドライバ、前記複数のコンパレータ、および前記選択部を同じLSI(Large Scale Integration)に内蔵したことを特徴とする請求項8記載のタイミング校正機能を具備した半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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