説明

タイヤホイールの把持方法およびタイヤホイールの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャック

【課題】 タイヤホイールの生産性の向上および低コスト化を図ることのできるタイヤホイールの把持方法およびタイヤホイールの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャックを提供する。
【解決手段】 タイヤホイール加工用チャック1に、タイヤホイールWの中心孔Daを径方向内側から外側に押圧して芯出し把持する第1把持手段11と、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧してリム部Lを径方向外側へ押圧把持する第2把持手段15と、リム部Lのディスク部Dの配設側とは反対側の開口側リム端Lbを軸方向に沿ってディスク部D側に向かって押圧して開口側リム端Lbを押圧把持する第3把持手段24とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤホイールの加工に用いるのに好適なタイヤホイールの把持方法およびタイヤホイールの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤホイール、例えば、自動車のタイヤホイールは、近年、軽量化による燃費の向上などの理由によりアルミニウムなどの軽合金により形成されたものが主流となっている。
【0003】
図5は、一般的なタイヤホイールの一例を示すものであり、このタイヤホイールWは、図示しない車軸に嵌め込んで固定される中心孔Daを具備する円盤状のディスク部Dを有している。このディスク部Dの外周には、円筒状のリム部Lの一端が接続されている。そして、リム部Lの軸方向に沿った両端のうちのリム部Lのディスク部Dの配設側の一方は、ディスク部側リム端Laとされており、他方は、ディスク部Dの配設側とは反対側の開口側リム端Lbとされている。
【0004】
ところで、このようなタイヤホイールWは、例えば、鋳造などにより完成品の形状に近似したタイヤホイールWの原型を形成し、このタイヤホイールWの内外面に、切削加工を主とした加工を施すことにより高精度に形成されている。
【0005】
このようなタイヤホイールWの加工は、例えば、図6に示す第1加工工程CP101と、図7に示す第2加工工程CP102と、図8に示す第3加工工程CP103とをこの順に行うようになっている。
【0006】
すなわち、第1加工工程CP101においては、図6に示すように、第1タイヤホイール加工用チャック111の複数の爪111a(1つのみ図示)を図6の下向き太矢印にて示す下方に移動させることにより、図6の2点鎖線にて示す加工に供するタイヤホイールW、すなわち、加工する前の加工対象物(ワーク)のディスク部側リム端Laの端面を第1タイヤホイール加工用チャック111の爪111aと受け台111bとの間に挟持することで把持し、この状態で第1タイヤホイール加工用チャック111とともにタイヤホイールWを回転させつつ切削加工が行われるようになっている。
【0007】
第1加工工程CP101における切削加工においては、中心孔Da、ディスク部Dの内面Db、リム部Lの内面Lcおよびリム部Lの外面Ldのうちのディスク部Dの配設側とは反対側(開口側リム端Lbを含む)の荒加工と、中心孔Da、ディスク部Dの内面Dbおよびリム部Lの内面Lcの仕上げ加工とが行われるようになっている。
【0008】
なお、図6において、第1加工工程101CPにおける荒加工部位を加工に供するタイヤホイールWに隣接する長い破線にて示してある。また、第1加工工程101CPにおける仕上げ加工部位を短い破線にて長い破線の外側に示してある。
【0009】
第2加工工程CP102においては、図7に示すように、第1タイヤホイール加工用チャック111とは異なる第2タイヤホイール加工用チャック112が用いられる。そして、第2タイヤホイール加工用チャック112の第1爪112aを図7の水平方向の太矢印にて示すように径方向外側に拡径することで、図7の2点鎖線にて示す加工に供するタイヤホイールW、すなわち、第1加工工程CP101の終了後に得られた中間加工品(ワーク)の中心孔Daを芯出し把持するとともに、複数の第2爪112b(1つのみ図示)を図7の下向き太矢印にて示す下方に移動させることにより、開口側リム端Lbの端面を第2タイヤホイール加工用チャック112の爪112bと受け台112cとの間に挟持することで把持し、この状態で第2タイヤホイール加工用チャック112とともにタイヤホイールWを回転させつつ切削加工が行われるようになっている。
【0010】
したがって、第1加工工程CP101を終了した後に、第1タイヤホイール加工用チャック111から第2タイヤホイール加工用チャック112への交換、すなわち、段取り替えが行われている。勿論、加工に供するタイヤホイールWの着脱および付け替えも行われている。
【0011】
第2加工工程CP102における切削加工は、ディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldのうちのディスク部Dの配設側(第1加工工程CP101において荒加工がなされなかった部位:ディスク部側リム端Laを含む)の荒加工が行われるようになっている。
【0012】
なお、図7において、第2加工工程CP102における荒加工部位を加工に供するタイヤホイールWに隣接する長い破線にてに示してある。
【0013】
第3加工工程CP103においては、図8に示すように、第1および第2タイヤホイール加工用チャック111、112とは異なる第3タイヤホイール加工用チャック113が用いられる。そして、第3タイヤホイール加工用チャック113の第1爪113a(1つのみ図示)を図8の水平方向の太矢印チャックにて示すように径方向外側に拡径することで、図8の2点鎖線にて示す加工に供するタイヤホイールW、すなわち、第2加工工程CP102の終了後に得られた中間加工品(ワーク)の中心孔Daを芯出し把持するとともに、ストッパ113bにディスク部Dの中心孔Daに接続する内端面Ddを当接させることで軸方向の位置決めを行う。さらに、複数の押圧ピン113c(1つのみ図示)を図8の上向き太矢印にて示すように上方に移動させることにより、押圧ピン113cの先端を開口側リム端Lb、詳しくは内側段部Leに当接させて把持し、これらの状態で第3タイヤホイール加工用チャック113とともにタイヤホイールWを回転させつつ切削加工が行われるようになっている。
【0014】
したがって、第2加工工程CP102を終了した後に、第2タイヤホイール加工用チャック112から第3タイヤホイール加工用チャック113への交換、すなわち、段取り替えが行われている。勿論、加工に供するタイヤホイールWの着脱および付け替えも行われている。
【0015】
第3加工工程CP103における切削加工においては、ディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldの仕上げ加工が行われるようになっている。
【0016】
なお、図8において、第3加工工程CP103における仕上げ加工部位を加工に供するタイヤホイールWに隣接する短い破線にてに示してある。
【0017】
このように、従来のタイヤホイールWの把持方法および加工方法においては、各加工工程CP101、CP102、CP103毎に把持方法が異なるために、各加工工程CP101、CP102、CP103毎に、タイヤホイール加工用チャック110(符号110は、第1タイヤホイール加工用チャック111、第2タイヤホイール加工用チャック112、第3タイヤホイール加工用チャック113を総称する)の交換という段取り替えの作業が行われている。
【0018】
なお、タイヤホイール加工用チャックとしては、中心孔を芯出し把持するとともに、リム部の自由端部をクランプアームによって把持するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0019】
また、タイヤホイール加工用チャックとして、ハブ部の中心孔を芯出し把持する芯出爪と、リム部の自由端部を支持する防振ダンパを設けた構成のものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
さらにまた、タイヤホイール加工用チャックとして、中心孔を芯出し把持するとともに、リム部の内面を径方向外側に向けて押圧把持するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0021】
【特許文献1】特開2005−081449号公報
【特許文献2】特開2002−144804号公報
【特許文献3】特開2002−144116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ところで、近年においては、タイヤホイールWの生産性の向上および低コスト化が求められている。
【0023】
しかしながら、従来のタイヤホイールWの把持方法およびタイヤホイールWの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャック110では、近年の生産性の向上および低コスト化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0024】
例えば、生産性の向上および低コスト化を図るために、荒加工における加工代(切削量)を大きくして加工時間の短縮を図ることが考えられるが、荒加工における加工代を大きくした場合、リム部Lの外面Ldの荒加工において、加工に供するタイヤホイールWに対して、加工に用いる切削工具であるバイトにより径方向外側から内側に向かって作用する力が大きくなる。そのため、加工中にバイトが当接するリム部Lの加工部位が径方向内側に弾性変形するので高精度の加工を行うことができなかった。
【0025】
また、タイヤホイールWの加工に、第1、第2および第3加工工程CP101、CP102、CP103の3つの工程を必要とするとともに、各加工工程CP101、CP102、CP103毎に、異なるタイヤホイール加工用チャック110への段取り替えと、これらのタイヤホイール加工用チャック110に対するタイヤホイールWの着脱を必要とし、実際の加工時間以外の無駄な時間が多いという問題点があった。
【0026】
そこで、タイヤホイールの生産性の向上および低コスト化を図ることのできるタイヤホイールの把持方法およびタイヤホイールの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャックが求められている。
【0027】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、タイヤホイールの生産性の向上および低コスト化を図ることのできるタイヤホイールの把持方法およびタイヤホイールの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前述した目的を達成するため、本発明に係るタイヤホイールの把持方法の特徴は、中心孔を備えた円盤状のディスク部と、当該ディスク部の外周に一端が接続された円筒状のリム部とを有するタイヤホイールを加工する際に用いるタイヤホイールの把持方法において、加工に供するタイヤホイールの前記中心孔と、前記リム部の内面と、前記リム部の前記ディスク部の配設側とは反対側の開口側リム端との3箇所を把持する点にある。
【0029】
本発明に係るタイヤホイールの把持方法においては、前記中心孔の把持が、前記中心孔を径方向内側から外側に押圧する芯出し把持であり、前記リム部の内面の把持が、前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧する径方向外側への把持であり、前記開口側リム端の把持が、前記リム部の開口側リム端を軸方向に沿って前記ディスク部側に向かって押圧する軸方向の把持であることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係るタイヤホイールの加工方法の特徴は、中心孔を備えた円盤状のディスク部と、当該ディスク部の外周に一端が接続された円筒状のリム部とを有するタイヤホイールを把持して回転させつつ切削加工するタイヤホイールの加工方法において、前記中心孔、前記ディスク部の内面および前記リム部の内面のそれぞれが仕上げ加工されるとともに、前記リム部の外面のうちの前記ディスク部の配設側とは反対側が荒加工されたものを加工に供するタイヤホイールとし、当該タイヤホイールを請求項1または請求項2に記載のタイヤホイールの把持方法により把持し、ついで前記タイヤホイールを回転させつつ前記ディスク部の外面および前記リム部の外面の残りの部分を荒加工し、ついで前記ディスク部の外面および前記リム部の外面を仕上げ加工する点にある。
【0031】
本発明に係るタイヤホイールの加工方法においては、前記荒加工を行った後に、前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減し、ついで前記仕上げ加工を行うことが好ましく、また、前記荒加工を行った後に、前記タイヤホイールの回転数を小さくし、ついで前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減し、ついで前記タイヤホイールの回転数をもとの回転数に復帰するかあるいはもとの回転数より大きくして前記仕上げ加工を行うことが好ましい。
【0032】
また、本発明に係るタイヤホイール加工用チャックの特徴は、中心孔を備えた円盤状のディスク部と、当該ディスク部の外周に一端が接続された円筒状のリム部とを有するタイヤホイールを加工する際に、加工に供するタイヤホイールを把持するタイヤホイール加工用チャックにおいて、前記中心孔を径方向内側から外側に押圧して芯出し把持する第1把持手段と、前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧して前記リム部を径方向外側へ押圧把持する第2把持手段と、前記リム部の前記ディスク部の配設側とは反対側の開口側リム端を軸方向に沿って前記ディスク部側に向かって押圧して前記開口側リム端を押圧把持する第3把持手段とを有している点にある。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るタイヤホイールの把持方法によれば、加工時に、加工に用いる切削工具により、加工に供するタイヤホイールに対してリム部の径方向の外側から内側、および、ディスク部の軸方向の外側から内側に加わる力を、中心孔を把持する力と、リム部の内面を把持する力と、リム部の開口側リム端を把持する力との3者で受けることができるので、荒加工の加工代を大きくしても加工部位が弾性変形するのを防止することができる。
【0034】
また、本発明に係るタイヤホイールの加工方法によれば、加工時に、加工に用いる切削工具により、加工に供するタイヤホイールに対してリム部の径方向の外側から内側、および、ディスク部の軸方向の外側から内側に加わる力を中心孔を把持する力と、リム部の内面を把持する力と、リム部の開口側リム端を把持する力との3者で受けることができるので、加工に供するタイヤホイールに対してディスク部の外面およびリム部の外面の残りの部分の荒加工と、ディスク部の外面およびリム部の外面の仕上げ加工とを、従来必要であった段取り替えをせずに、1つの工程で行うことができる。
【0035】
さらに、本発明に係るタイヤホイール加工用チャックによれば、本発明のタイヤホイールの把持方法および本発明のタイヤホイールの加工方法を容易に実施することができる。
【0036】
したがって、本発明に係るタイヤホイールの把持方法およびタイヤホイールの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャックによれば、タイヤホイールの生産性の向上および低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0038】
図1は本発明に係るタイヤホイール加工用チャックの第1実施形態の要部の断面図である。
【0039】
図1に示すように、本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1は、ほぼ円筒状に形成されたチャック本体2を有している。このチャック本体2は、複数のチャック取付ボルト3(1つのみ図示)により、工作機械、例えば、旋盤の主軸MSに取り付けられるようになっている。
【0040】
前記チャック本体2の図1の上方に示す上面の中央部には取付凹部4が形成されており、この取付凹部4には、チャック頭部5が着脱自在に配設されている。このチャック頭部5は、取付凹部4に複数の取付ボルト6により着脱自在に取着されるほぼ円筒状の基部7と、この基部7の上面に配設された環状のストッパ8とを有している。そして、ストッパ8の上面は、加工に供するタイヤホイールWのディスク部Dの内端面Ddが着座可能な着座面9とされている。なお、取付凹部4に対するチャック頭部5の取り付けは、インロー構造によって位置決めがなされている。
【0041】
前記チャック本体2の内孔2aには、ドローパイプ10の先端側が軸方向に沿って摺動自在に配設されている。このドローパイプ10は、図示しないシリンダなどのアクチュエータの駆動力により、図1の上下方向に往復移動自在とされている。また、ドローパイプ10の図1の上方に示す先端部分には、芯出し爪12の基端部が着脱自在に取着されている。この芯出し爪12は、チャック頭部5にテーパ部材取付ボルト13により着脱自在に取着されたテーパ部材14の外周面に外嵌されている。そして、芯出し爪12の先端面は、着座面9より上方へ突出されており、タイヤホイールWの中心孔Daに内端面Dd側から挿入されるようになっている。また、芯出し爪12は、ドローパイプ10を図1の下方に移動させることで、テーパ部材14のテーパ面14aにより拡径して中心孔Daを芯出し保持することができるようになっている。
【0042】
前記芯出し爪12、テーパ部材14およびドローパイプ10により、本実施形態の加工に供するタイヤホイールWの中心孔Daを径方向内側から外側に押圧して芯出し把持する第1把持手段11が形成されている。
【0043】
なお、チャック頭部5、芯出し爪12およびテーパ部材14は、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lの幅寸法(軸方向の長さ)および/または形状に応じて異なる寸法および/または形状のものと交換されるようになっている。
【0044】
前記チャック本体2の上面には、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧してリム部Lを径方向外側へ押圧把持するための第2把持手段15が配設されている。この第2把持手段15は、チャック本体2の上面に図示しない取付ボルトにより着脱自在に取着された第2取付基体16を有している。この第2取付基体16は環状に形成されており、この第2取付基体16には、複数、本実施形態においては、3つのリム内面用押圧体17が配設されている。これらのリム内面用押圧体17は、チャック本体2の軸心から等距離位置において隣位の2つのリム内面用押圧体17の中心間距離が等しくなるように等角度配置されている。また、各リム内面用押圧体17は、径方向外側に位置する先端面が第2取付基体16の外周面から径方向外側に突出して配設されている。そして、リム内面用押圧体17の径方向中心側に位置する基体部には、ピストン体18が一体に形成されている。
【0045】
なお、リム内面用押圧体17の設置数としては、3以上の任意の数から選択することができる。
【0046】
前記第2取付基体16の内部には、各ピストン体18の基端部が装着されるシリンダ室19が形成されており、このシリンダ室19は、ピストン体18の後方(径方向中心側)に設けられた押出し側シリンダ室20と、ピストン体18の前方(径方向外側)に設けられた引き込み側シリンダ室21とを有している。そして、押出し側シリンダ室20には、押出し用通路(配管)22の一端が接続されており、引き込み側シリンダ室21には、引き込み用通路23の一端が接続されている。そして、図示しない油圧源から送出される作動油を押出し用通路22を介して押出し側シリンダ室20に供給することで、リム内面用押圧体17を径方向に沿って外側へ水平に移動させることができるようになっている。また、作動油を引き込み用通路23を介して引き込み側シリンダ室21に供給することで、リム内面用押圧体17を径方向に沿って内側へ水平に移動させることができるようになっている。
【0047】
すなわち、本実施形態の第2把持手段15は、油圧駆動される往復動形のピストンシリンダと同様の構成とされており、第2取付基体16がシリンダケースの機能を分担し、リム内面用押圧体17がピストンロッドの機能を分担するように構成されている。
【0048】
なお、駆動源としては、作動油を用いた油圧に限定されるものではなく、電気、空気圧などの各種のものから設計コンセプトなどの必要に応じて選択使用することができる。
【0049】
また、第2把持手段15としては、本実施形態のリム内面用押圧体17を径方向に沿って水平方向に直線的に往復動させる構成に限定されるものではなく、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧することのできる構成であれば、各種の構成から選択使用することができる。
【0050】
さらに、第2把持手段15、詳しくは、リム内面用押圧体17の配設位置としては、チャック本体2の軸心方向においてできるだけ上方に設けられていることが好ましい。これは、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lがディスク部Dの外周を支え部とした片持ち状に形成されているため、リム内面用押圧体17によるリム部Lの内面Lcの押圧位置がディスク部Dに近い方が、リム部Lの内面Lcの押圧力によるリム部Lの径方向外側に向かう変形を抑えることができるためである。
【0051】
さらにまた、第2把持手段15は、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lの幅寸法(軸方向の長さ)および/または形状に応じて異なる寸法および/または形状のものと交換されるようになっている。
【0052】
前記チャック本体2の外周面の下端部側には、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lのディスク部Dの開口側リム端Lbとしての内側段部Leを軸方向に沿ってディスク部D側に向かって押圧して開口側リム端Lbを押圧把持する第3把持手段24が配設されている。この第3把持手段24は、チャック本体2の外周面の下端に形成された取付フランジ部25の上面に、図示しない取付ボルトなどにより着脱自在に取着された第3取付基体26を有している。この第3取付基体26は環状に形成されており、この第3取付基体26には、複数、本実施形態においては9つのリム端用押圧シリンダ27が配設されている。これらのリム端用押圧シリンダ27は、チャック本体2の軸心から等距離位置において隣位の2つのリム端用押圧シリンダ27の中心間距離が等しくなるように等角度配置されている。また、各リム端用押圧シリンダ27は、その軸方向をチャック本体2の軸心に沿って平行な上下方向に向けて配設されている。
【0053】
前記リム端用押圧シリンダ27は、第3取付基体26に着脱可能に取着されるシリンダ本体28と、このシリンダ本体28に装着されたピストンロッド29とを有している。そして、ピストンロッド29は、図1の下方に示す基端部がシリンダ本体28の内部に装着され、図1の上方に示す先端部がシリンダ本体28から上方へ突出して配設されており、ピストンロッド29の先端面は、加工に供するタイヤホイールWを把持した把持状態において開口側リム端Lbとしての内側段部Leに当接する当接面30とされている。
【0054】
本実施形態のリム端用押圧シリンダ27は、単動形のエアシリンダと同様に形成されており、シリンダ本体28の内部に圧縮空気を供給することで、ピストンロッド29を図1の上方に移動させることができるように形成されている。また、シリンダ本体28の内部に供給した圧縮空気を排気することで、ピストンロッド29は、図示しないばねの付勢力によって、図1の下方に移動し、元の位置に復帰するように形成されている。
【0055】
なお、リム端用押圧シリンダ27としては、圧縮空気を用いた空気圧駆動に限定されるものではなく、電気駆動、油圧駆動などの各種の駆動形式のものから設計コンセプトなどの必要に応じて選択使用することができる。
【0056】
また、第3把持手段24によるタイヤホイールWの把持位置としては、軸方向に沿った開口側リム端Lbの端面であってもよい。
【0057】
さらに、第3把持手段24は、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lの幅寸法(軸方向の長さ)および/または形状に応じて異なる寸法および/または形状のものと交換されるようになっている。
【0058】
さらにまた、本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1においては、タイヤホイール加工用チャック1により加工に供するタイヤホイールWを確実かつ適正に把持させることができるという意味で、第1把持手段11による加工に供するタイヤホイールWの中心孔Daの芯出し把持と、第2把持手段15によるリム部Lの内面Lcの押圧把持と、第3把持手段24による開口側リム端Lbの押圧保持とがこの順番で実施されるように形成されていることが肝要である。すなわち、第1、第2および第3把持手段11、15、24による把持順序が異なると、加工に供するタイヤホイールWが変形したり、甚だしくは操作の途中で脱落する危険性も発生する。
【0059】
その他の構成については、従来公知のタイヤホイール加工用チャックと同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
【0060】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について本発明のタイヤホイールの把持方法および本発明のタイヤホイールの加工方法とともに説明する。
【0061】
図1は、タイヤホイールを把持した状態を示している。また、図2は、本発明に係るタイヤホイールの加工方法による加工工程を簡略化して示す説明図である。
【0062】
本実施形態のタイヤホイールWの把持方法および加工方法は、前述した従来の第1加工工程CP101を終了したもの(図6参照)を加工に供するタイヤホイールWとして用いたものを例示している。
【0063】
すなわち、中心孔Da、ディスク部Dの内面Dbおよびリム部Lの内面Lcのそれぞれが仕上げ加工されるとともに、リム部Lの外面Lcのうちのディスク部Dの配設側とは反対側が荒加工されたものを加工に供するタイヤホイールWとする。
【0064】
本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1を用いて、タイヤホイールWを加工する場合には、まず、加工に供するタイヤホイールWをチャック本体2に被せ、中心孔Daを芯出し爪12に挿入し、ディスク部Dの内端面Ddをチャック頭部5のストッパ8に載置する。これにより、ディスク部Dの内端面Ddがストッパ8の着座面9に着座し、タイヤホイールWの軸方向への位置決めが容易にできる。この時、第2把持手段15のリム内面用押圧体17の外周面は、タイヤホイールWのリム部Lの内面Lcと対向している。さらに、第2把持手段15のピストンロッド29の当接面30は、タイヤホイールWの開口側リム端Lbの内側段部Leと対向している。
【0065】
ついで、ドローパイプ10を図1の下方に駆動し、芯出し爪12を径方向外側に拡開し、タイヤホイールWの中心孔Daを径方向内側から外側に押圧して芯出し把持する。
【0066】
ついで、押出し側シリンダ室20に作動油を供給することで、第2把持手段15を駆動する。そして、第2把持手段15が駆動すると、リム内面用押圧体17が径方向外側に向かって水平に移動し、タイヤホイールWのリム部Lの内面Lcをリム内面用押圧体17の外周面で径方向内側から外側に押圧してリム部Lの内面Lcを径方向外側へ押圧把持する。
【0067】
ついで、第3把持手段24のリム端用押圧シリンダ27のシリンダ本体28に圧縮空気を供給することで、第3把持手段24を駆動する。そして、第3把持手段24が駆動すると、リム端用押圧シリンダ27のピストンロッド29が開口側リム端Lbに向かって軸方向に沿って上昇し、開口側リム端Lbとしての内側段部Leをピストンロッド29の当接面30で軸方向に沿ってディスク部D側に向かって押圧して開口側リム端Lbを押圧把持する。
【0068】
すなわち、図1に示すように、加工に供するタイヤホイールWの中心孔Daと、リム部Lの内面Lcと、開口側リム端Lbとの3箇所を支持して把持する。
【0069】
なお、中心孔Daを芯出し把持する力と、リム部Lの内面Lcを押圧把持する力と、開口側リム端Lbを押圧保持する力との比を、1:5:0.05程度とするとよい。
【0070】
ついで、加工に供するタイヤホイールWを把持した状態で、タイヤホイール加工用チャック1を搭載した工作機械の主軸を回転駆動し、タイヤホイールWの加工を行う。
【0071】
本実施形態のタイヤホイールWの加工方法は、タイヤホイール加工用チャック1とともにタイヤホイールWを、例えば2000rpm程度で回転させつつ加工工具であるバイトで切削加工を行う。この加工工程は、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法、すなわち、図2の水平の中太矢印にて示す中心孔Daの芯出し把持と、図2の水平の大太矢印にて示すリム部Lの内面Lcの押圧把持と、図2の上向き小太矢印にて示す開口側リム端Lb、詳しくは内側段部Leの押圧把持とを行った状態で、図2に示すように、まず、ディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldのうちの荒加工がなされていない部位(開口側リム端Lbを含む)の荒加工を行う。
【0072】
ついで、タイヤホイールWの回転数を小さく、例えば、1500rpm程度とし、ついでリム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減する。この時、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を解除してもよい。
【0073】
ここで、タイヤホイールWの回転数を小さくするのは、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する力を低減しやすくするためである。
【0074】
すなわち、第2把持手段15には、タイヤホイール加工用チャック1の回転による遠心力が作用するので、リム内面用押圧体17には、遠心力による径方向内側から外側へ向かう力が加わることになる。したがって、リム内面用押圧体17には、押出し側シリンダ室20に供給された作動油による圧力以上の力が径方向内側から外側へ向かって作用する。そのため、タイヤホイールWの回転数、すなわち、タイヤホイール加工用チャック1の回転数を小さくすることで、リム内面用押圧体17に加わる遠心力を弱めて、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する力を低減しやすくしている。
【0075】
なお、タイヤホイールWの回転数を小さくせずに、単に、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減するようにしてもよい。この場合、第2把持手段15に加わる遠心力には、第2把持手段15のリム内面用押圧体17の作動力を大きくすることで対応することができる。但し、リム内面用押圧体17による作動力を大きくするには、ピストン体18およびシリンダ室19、ひいては第2取付基体16などの第2把持手段15自体の大型化を必要とするので、タイヤホイールW、すなわち、タイヤホイール加工用チャック1の回転数を変更することで対応することが最も好ましい。
【0076】
ついで、タイヤホイールW、すなわち、タイヤホイール加工用チャック1の回転数をもとの回転数に復帰するかあるいはもとの回転数より大きくして、ディスク部Dの外面およびリム部Lの外面Ldの仕上げ加工を行う。
【0077】
ここで、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減する前に、タイヤホイールWの回転数を小さくしなかった場合には、タイヤホイール加工用チャック1の回転数をもとの回転数のままあるいはもとの回転数より大きくして、仕上げ加工を行うとよい。
【0078】
なお、図2において、本実施形態の加工方法による加工工程CP01における荒加工部位を加工に供するタイヤホイールWに隣接する長い破線にて示してある。また、仕上げ加工部位を短い破線にて長い破線の外側に示してある。
【0079】
このように本実施形態のタイヤホイールWの把持方法によれば、加工に供するタイヤホイールWの中心孔Daと、リム部Lの内面Lcと、リム部Lのディスク部Dの配設側とは反対側の開口側リム端Lbとの3箇所を把持するので、加工時に、加工に用いる切削工具により、加工に供するタイヤホイールWに対してリム部Lの径方向の外側から内側、および、ディスク部Dの軸方向の外側から内側(図3の上から下)に加わる力を、中心孔Daを把持する力と、リム部Lの内面Lcを把持する力と、リム部Lの開口側リム端Lbを把持する力との3者で受けることができる。
【0080】
すなわち、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法によれば、加工時にタイヤホイールWに外側から加わる全ての力に対向してタイヤホイールWを支持することができる。
【0081】
その結果、荒加工の加工代を大きくしても加工部位が弾性変形するのを防止することができる。
【0082】
また、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法によれば、加工に供するタイヤホイールWに対して、ディスク部Dの外面およびリム部Lの外面Ldのディスク部Dの配設側の荒加工と、ディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldの仕上げ加工との両者に用いることができる。
【0083】
すなわち、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法によれば、段取り替えせずに、荒加工と仕上げ加工との両者をこの順に実施することができる。
【0084】
したがって、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法によれば、荒加工の加工代を大きくして加工時間を短縮することができるので、タイヤホイールWの生産性の向上および低コスト化を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法によれば、中心孔Daの把持が、中心孔Daを径方向内側から外側に押圧する芯出し把持であり、リム部Lの内面Lcの把持が、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する径方向外側への把持であり、開口側リム端Lbの把持が、リム部Lの開口側リム端Lbを軸方向に沿ってディスク部D側に向かって押圧する軸方向への把持であるので、加工時において、加工に用いる切削工具により、加工に供するタイヤホイールWに対して外側から内側に加わる力を確実かつ容易に受けることができる。
【0086】
本実施形態のタイヤホイールWの加工方法によれば、中心孔Da、ディスク部Dの内面Dbおよびリム部Lの内面Lcのそれぞれが仕上げ加工されるとともに、リム部Lの外面Ldのうちのディスク部Dの配設側とは反対側が荒加工されたものを加工に供するタイヤホイールWとし、このタイヤホイールWを本実施形態のタイヤホイールWの把持方法により把持し、ついでタイヤホイールWを回転させつつディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldの残りの部分を荒加工し、ついでディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldを仕上げ加工するので、加工時に、加工に用いる切削工具により、加工に供するタイヤホイールWに対してリム部Lの径方向の外側から内側、および、ディスク部Dの軸方向の外側から内側に加わる力を中心孔Daを把持する力と、リム部Lの内面Lcを把持する力と、リム部Lの開口側リム端Lbを把持する力との3者で受けることができる。
【0087】
したがって、加工に供するタイヤホイールWに対してディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldの残りの部分の荒加工と、ディスク部Dの外面Dcおよびリム部Lの外面Ldの仕上げ加工とを、従来必要であった段取り替えをせずに、1つの工程で行うことができる。その結果、タイヤホイールWの生産性の向上および低コスト化を図ることができる。
【0088】
また、本実施形態のタイヤホイールWの加工方法によれば、荒加工を行った後に、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減し、ついで仕上げ加工を行うので、仕上げ加工を実行する前に、荒加工により薄肉とされたリム部Lに加わる遠心力を小さくして、荒加工した後のタイヤホイールWに加わる遠心力の影響による変位を除去することができる。その結果、仕上げ加工による加工精度を高く保持することができる。
【0089】
また、本実施形態のタイヤホイールWの加工方法によれば、荒加工を行った後に、タイヤホイールWの回転数を小さくし、ついでリム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減し、ついでタイヤホイールWの回転数をもとの回転数に復帰するかあるいはもとの回転数より大きくして仕上げ加工を行うので、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧する押圧力を容易に低減することができるとともに、仕上げ加工を実行する前に、荒加工により薄肉とされたリム部Lに加わる遠心力を小さくして、荒加工した後のタイヤホイールWに加わる遠心力の影響による変位を除去することができる。その結果、仕上げ加工による加工精度を高く保持することができる。なお、タイヤホイールWがアルミホイールの場合、タイヤホイール加工用チャック1の回転数をもとの回転数より大きくすることにより、仕上げ面の光沢がより増加するので、外観品質の向上に寄与する。
【0090】
本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1によれば、中心孔Daを径方向内側から外側に押圧して芯出し把持する第1把持手段11と、リム部Lの内面Lcを径方向内側から外側に押圧してリム部Lを径方向外側へ押圧把持する第2把持手段15と、リム部Lのディスク部Dの配設側とは反対側の開口側リム端Lbを軸方向に沿ってディスク部D側に向かって押圧して開口側リム端Lbを押圧把持する第3把持手段24とを有しているので、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法および加工方法を容易に実施することができる。したがって、タイヤホイールWの生産性の向上および低コスト化を図ることができる。
【0091】
したがって、本実施形態のタイヤホイールWの把持方法およびタイヤホイールWの加工方法ならびにタイヤホイール加工用チャック1によれば、タイヤホイールWの生産性の向上および低コスト化を図ることができる。
【0092】
図3および図4は本発明に係るタイヤホイール加工用チャックの第2実施形態の要部を示す断面図である。
【0093】
本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1Aは、前述した第1実施形態のタイヤホイール加工用チャック1の第2把持手段15の変形例を示すものである。
【0094】
すなわち、図3および図4に示すように、本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1Aの第2把持手段15Aは、チャック本体2の上面に着脱自在に取着された環状取付基体33を有しており、この環状取付基体33の上面には、複数、本実施形態においては3つのレバーユニット34(1つのみ図示)が配設されている。これらのレバーユニット34は、図4に示すように、チャック本体2の軸心から等距離位置において隣位の2つのレバーユニット34の中心間距離が等しくなるように等角度配置されている。また、各レバーユニット34は、図3に示すように、チャック本体2の内孔2aとドローパイプ10との間に独立して上下動する第2ドローパイプ35に対してプランジャ40およびプランジャプレート41により挟持されて接続される上下動可能なプレート36と、このプレート36の上方に水平に設けられた支持軸37を中心として回動自在に配設されたマスタージョウ38と、このマスタージョウ38の先端に着脱自在に取着された把持爪としてのリム内面用押圧体39とを有している。
【0095】
本実施形態の第2把持手段15Aは、タイヤホイールWのリム部Lの内面Lcを把持する際には、第2ドローパイプ35を下方へ駆動し、プレート36を下方に移動すると、プレート36に設けられたマスタージョウ38が支持軸37を中心として図4の反時計方向へ回動し、リム内面用押圧体39の先端面がリム部Lの内面Lcに当接し、タイヤホイールWのリム部Lの内面Lcをリム内面用押圧体39の外周面で径方向内側から外側に押圧してリム部Lの内面Lcを径方向外側へ押圧把持するように形成されている。
【0096】
なお、第2把持手段15Aは、加工に供するタイヤホイールWのリム部Lの幅寸法(軸方向の長さ)および/または形状に応じて異なる寸法および/または形状のものと交換されるようになっている。
【0097】
その他の構成については、前述した第1実施形態のタイヤホイール加工用チャック1と同様とされているので、前述した第1実施形態のタイヤホイール加工用チャック1と同一ないし相当する構成については図面中に同一の符号を付し、その詳しい説明については省略する。
【0098】
このような構成からなる本実施形態のタイヤホイール加工用チャック1Aによれば、前述した第1実施形態のタイヤホイール加工用チャック1と同様の効果を奏することができる。
【0099】
本発明のタイヤホイールの把持方法は、タイヤホイールのディスク部にボルト孔やエアバルブ取付用孔を穿孔加工するに際に用いることができる。
【0100】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係るタイヤホイール加工用チャックの第1実施形態のタイヤホイールを把持した状態の要部を加工に供するタイヤホイールとともに示す概略断面図
【図2】本発明に係るタイヤホイールの把持方法および加工方法による加工工程を簡略化して示す説明図
【図3】本発明に係るタイヤホイール加工用チャックの第2実施形態の要部を示す図1と同様の図
【図4】図3の要部の平面図
【図5】一般的なタイヤホイールの一例を示す要部の断面図
【図6】従来のタイヤホイールの把持方向および加工方法における第1加工工程を説明する説明図
【図7】図6に続く第2加工工程を説明する図6と同様の図
【図8】図7に続く第3加工工程を説明する図6と同様の図
【符号の説明】
【0102】
1、1A タイヤホイール加工用チャック
2 チャック本体
3 取付凹部
4 チャック頭部
8 ストッパ
9 着座面
10 ドローパイプ
11 第1把持手段
12 芯出し爪
13 テーパ部材
15、15A 第2把持手段
16 第2取付基体
17、39 リム内面用押圧体
18 ピストン体
24 第3把持手段
26 第3取付基体
27 リム端用押圧シリンダ
28 シリンダ本体
29 ピストンロッド
30 当接面
33 環状取付基体
34 レバーユニット
35 第2ドローパイプ
36 プレート
37 支持軸
38 マスタージョウ
CP01 加工工程
W タイヤホイール
D ディスク部
Da 中心孔
Db 内面
Dc 外面
Dd 内端面
L リム部
La ディスク側リム端
Lb 開口側リム端
Lc 内面
Ld 外面
Le 内側段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心孔を備えた円盤状のディスク部と、当該ディスク部の外周に一端が接続された円筒状のリム部とを有するタイヤホイールを加工する際に用いるタイヤホイールの把持方法において、
加工に供するタイヤホイールの前記中心孔と、前記リム部の内面と、前記リム部の前記ディスク部の配設側とは反対側の開口側リム端との3箇所を把持することを特徴とするタイヤホイールの把持方法。
【請求項2】
前記中心孔の把持が、前記中心孔を径方向内側から外側に押圧する芯出し把持であり、
前記リム部の内面の把持が、前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧する径方向外側への把持であり、
前記開口側リム端の把持が、前記リム部の開口側リム端を軸方向に沿って前記ディスク部側に向かって押圧する軸方向の把持であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤホイールの把持方法。
【請求項3】
中心孔を備えた円盤状のディスク部と、当該ディスク部の外周に一端が接続された円筒状のリム部とを有するタイヤホイールを把持して回転させつつ切削加工するタイヤホイールの加工方法において、
前記中心孔、前記ディスク部の内面および前記リム部の内面のそれぞれが仕上げ加工されるとともに、前記リム部の外面のうちの前記ディスク部の配設側とは反対側が荒加工されたものを加工に供するタイヤホイールとし、
当該タイヤホイールを請求項1または請求項2に記載のタイヤホイールの把持方法により把持し、ついで前記タイヤホイールを回転させつつ前記ディスク部の外面および前記リム部の外面の残りの部分を荒加工し、ついで前記ディスク部の外面および前記リム部の外面を仕上げ加工することを特徴とするタイヤホイールの加工方法。
【請求項4】
前記荒加工を行った後に、前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減し、ついで前記仕上げ加工を行うことを特徴とする請求項3に記載のタイヤホイールの加工方法。
【請求項5】
前記荒加工を行った後に、前記タイヤホイールの回転数を小さくし、ついで前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧する押圧力を低減し、ついで前記タイヤホイールの回転数をもとの回転数に復帰するかあるいはもとの回転数より大きくして前記仕上げ加工を行うことを特徴とする請求項3に記載のタイヤホイールの加工方法。
【請求項6】
中心孔を備えた円盤状のディスク部と、当該ディスク部の外周に一端が接続された円筒状のリム部とを有するタイヤホイールを加工する際に、加工に供するタイヤホイールを把持するタイヤホイール加工用チャックにおいて、
前記中心孔を径方向内側から外側に押圧して芯出し把持する第1把持手段と、
前記リム部の内面を径方向内側から外側に押圧して前記リム部を径方向外側へ押圧把持する第2把持手段と、
前記リム部の前記ディスク部の配設側とは反対側の開口側リム端を軸方向に沿って前記ディスク部側に向かって押圧して前記開口側リム端を押圧把持する第3把持手段とを有していることを特徴とするタイヤホイール加工用チャック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−341357(P2006−341357A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171139(P2005−171139)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(594142207)トヨタ自動車北海道株式会社 (10)
【出願人】(505219071)株式会社エス・ケー・イー (2)
【出願人】(000154901)株式会社北川鉄工所 (63)
【Fターム(参考)】