説明

タイヤ搬送ローラコンベヤ

【課題】 ローラをベルト間でスリップさせることなく駆動を確実に行い得、比較的急加速、急減速をも行い得るタイヤ搬送用ローラコンベヤを提供する。
【解決手段】 支持フレーム2上に設けたコンベヤフレーム8,9と、コンベヤフレーム間に設けた駆動コンベヤローラ6、7と、駆動コンベヤローラ6、7の端部に固定して設けた歯付きベルト用プーリ10と、支持フレーム2に設けた駆動モータ4に設けた歯付きベルト用プーリ17と、駆動コンベヤローラ6、7の歯付きベルト用プーリ10と駆動モータ4の歯付きベルト用プーリ17とに掛け回して取付けた歯付きベルト19と、を備え、前記駆動コンベヤローラ6、7の歯付きベルト用プーリ10が、歯付きベルト19を巻付けたとき、歯付きベルト19の反歯側外周面で形成される巻付け半径が駆動コンベヤローラ6,7の半径とほぼ同一となる基準ピッチ円直径に形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ搬送ローラコンベヤに関し、詳細にはタイヤをタイヤ試験機、マーキング装置あるいはルブリケータ装置などに確実に移送するためのタイヤ搬送ローラコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、タイヤのビード部に潤滑剤を塗布するため、ルブリケータ装置にタイヤを搬送するためのタイヤ搬送ローラコンベヤが特開平8−257460号公報(特許文献1)に示されている。
【0003】
図6は、上記特許文献1に示されている図1、図2を引用して示すものであって、この図6に示すタイヤ搬送ローラコンベヤは、同特許文献1の段落[0017]〜[0022]に説明されている通りの構成からなる。即ち、タイヤ搬送ローラコンベヤ30はコンベヤフレーム31を有する。該フレーム31の上部に、左右方向の水平横軸姿勢の複数のコンベヤローラが回動自在に支持されている。
【0004】
前記コンベヤローラは、フレーム31の後部に配置された前後3本の第1ローラ32と、該第1ローラ32の前方の右側に配置された前後2本の第2ローラ33と、同左側に配置された前後2本の第3ローラ34と、該第2、第3ローラ33、34の前方に配置された前後2本の第4ローラ35と、該第4ローラ35の間とその前方に配置された前後2本の第5ローラ36と、該第5ローラ36の前方に配置された第6ローラ37とからなる。
【0005】
前記第1、第2、第4、及び、第6ローラ32、33、35、37は、軸方向に沿って一体もののローラからなり、第1ローラ32は遊転自在とされ、第2、第4、第6ローラ33、35、37は、駆動ローラとされている。前記第3ローラ34及び第5ローラ36の各々は、軸方向に沿って分割されたベアリングローラからなり、軸方向に相隣接する各ベアリングローラは相互に遊転自在に設けられている。
【0006】
第2ローラ33と第4ローラ35は、図示省略の昇降装置により、各々独立して昇降自在に設けられている。第2ローラ33と第4ローラ35の上昇位置において、第1〜第6ローラ32、33、34、35、36、37の全ての上面は、同一水平搬送面に位置する。第2及び第4ローラ33、35の下降位置において、その上面は搬送面の下方に位置する。
【0007】
前記第2、第4、及び、第6ローラ33、35、37を駆動するための駆動装置は、前記フレーム31に取付けられたモータ38と、該モータ38の動力を第6と第2ローラ37、33に伝達する第1ベルト39と、該第1ベルト39を掛け渡す複数のプーリ40と、並びに、第6ローラ37の回転を第4ローラ35に伝達する第2ベルト41と、該第2ベルト41を掛け渡す複数のプーリ42とからなる。前記第1ベルト39と第2ベルト41は、前記フレーム31の左右両側にそれぞれ配置されている。該第1ベルト39と第2ベルト41は、第2、第4、及び、第6ローラ33、35、37の下面に圧接することにより動力を伝達可能としている。
【0008】
上記構成のタイヤ搬送ローラコンベヤでは、タイヤTを塗布位置に搬入した後、塗布の際のタイヤTの回動を、第1ベルト39の駆動を介して第2ローラ33を駆動して行い、また塗布後のタイヤTの搬出は、第1ベルト39と第2ベルト41の駆動を介して第2、第4及び第6ローラ33、35、37を駆動して行われている。
【特許文献1】特開平8−257460号公報(段落0017〜0022、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のタイヤ搬送ローラコンベヤ30においては、タイヤTを搬送したり、回動するのに、モータ38を駆動して第1ベルト39や第2ベルト41を駆動させ、その第1ベルト39や第2ベルト41の駆動力を、圧接させた第2、第4及び第6ローラ33、35、37に摩擦力で伝達し、その摩擦力で伝達された駆動力によって第2、第4及び第6ローラ33、35、37を回転駆動して行われている。
【0010】
しかしながら、プーリとローラ外周面で形成されるベルトの巻き掛け角度が小さく、更にローラをベルト背面に圧接させて駆動するのでは相互の摩擦係数が小さいため、スリップしやすい。特にタイヤをローラコンベヤ(ローラ)上に積載中に起動又は停止する場合、比較的大きな伝達トルクを必要とするためスリップが大きくなりタイヤの搬送量が不確実となり停止位置がバラツキやすい。また特に、タイヤビード部に塗布した離けい剤が飛散してローラ外周面を濡らした場合には、更にベルト背面とローラ表面間の摩擦係数が小さくなるため、タイヤが搬送不能になることがある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、ローラ(コンベヤローラ)をベルト間でスリップさせることなく駆動を確実に行い得るとともに、比較的急加速、急減速をも行い得るタイヤ搬送用ローラコンベヤを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤは、支持フレームと、支持フレーム上に設けられたコンベヤフレームと、コンベヤフレーム間に設けられた複数の駆動コンベヤローラと、駆動コンベヤローラの端部又は中央部に固定して設けられた歯付きベルト用プーリと、前記支持フレームに設けられた駆動ユニットブラケットと、駆動ユニットブラケットに設けられた駆動モータの駆動力を伝達する歯付きベルト用プーリと、前記駆動コンベヤローラに設けた歯付きベルト用プーリと前記駆動ユニットブラケットに設けられた歯付きベルト用プーリとに掛け回して取付けた歯付きベルトと、を備えてなるタイヤ搬送用ローラコンベヤであって、前記駆動コンベヤローラの歯付きベルト用プーリが、歯付きベルトを巻付けたとき、歯付きベルトの反歯側外周面で形成される巻付け半径が駆動コンベヤローラの半径とほぼ同一となる基準ピッチ円直径に形成されてなるものである。
【0013】
上記構成では、駆動コンベヤローラの駆動を、駆動用コンベヤローラと同軸に設けた歯付きベルト用プーリに歯付きベルトを掛け回して行うので、駆動コンベヤローラをベルト間でスリップさせることなく駆動を確実に行うことができ、加えて比較的急加速、急減速をも行うことができる。また、駆動コンベヤローラの歯付きベルト用プーリが、歯付きベルトを巻付けたとき、歯付きベルトの反歯側外周面で形成される巻付け半径が駆動コンベヤローラの半径とほぼ同一となる基準ピッチ円直径に形成されているので、駆動モータと駆動コンベヤローラの回転同調が行え、これにより、タイヤの搬送量が明確になりタイヤの停止位置を正確にできる。また、歯付きベルトの反歯側上にタイヤ側面が接触した(載った)状態でもタイヤ搬送速度が変化することなく搬送量が明確になるので、コンベヤローラは予め搬送する最大タイヤ外径と同等の幅にでき、経済的な搬送設備にすることができる。
【0014】
本発明(請求項2)に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤは、上記請求項1記載のタイヤ搬送用ローラコンベヤにおいて、駆動コンベヤローラに設けた歯付きベルト用プーリに代えて、駆動コンベヤローラ自体に歯付きベルト用の歯車を加工してなるものである。この構成であっても、上記請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0015】
本発明(請求項3)に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤは、上記請求項1又は2記載のタイヤ搬送用ローラコンベヤにおいて、複数の駆動コンベヤローラの間の下方にアイドルローラが千鳥に配設され、駆動コンベヤローラとアイドルローラとに交互に蛇行して歯付きベルトが掛け回されてなるものである。このように構成することにより、更に駆動コンベヤローラ間での歯付きベルトの緊張力が均一にできるとともに、駆動コンベヤローラとベルト間でのスリップがないので、ベルトの寿命を長くできる。
【0016】
本発明(請求項4)に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤは、上記請求項3記載のタイヤ搬送用ローラコンベヤにおいて、更に、アイドルローラが個々に又は複数を同時に昇降可能にブラケットを介してコンベヤフレームに設けられてなるものである。このように構成することにより、更に駆動コンベヤローラ間での歯付きベルトの緊張力が均一にできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤによれば、駆動コンベヤローラをベルト間でスリップさせることなく駆動を確実に行うことができ、加えて比較的急加速、急減速をも行うことができる。また、駆動モータと駆動コンベヤローラの回転同調が行えるため、タイヤの搬送量が明確になりタイヤの停止位置を正確にできる。また、このようなことから、タイヤ試験機のラインに設置することで、タイヤへの潤滑剤の塗布装置(ルブリケータ)、タイヤ試験機、マーキング装置などへのタイヤの搬入、搬出及び停止が確実に行え、試験時間の短縮が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤの正面図、図2は、図1の上面図、図3は、図1のA−A断面要部拡大図、図4は、図2のB−B断面要部拡大図である。
【0019】
タイヤ搬送用ローラコンベヤ1は、支持フレーム2、ローラコンベヤ3、駆動モータ(ギヤードモータ)4、動力伝達機構部5を備えて構成されている。支持フレーム2は、鋼材を用いて組み立てた架台である。
【0020】
ローラコンベヤ3は、長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7を備え、両側のコンベヤフレーム8に支持されて長尺駆動コンベヤローラ6が取付けられ、また、両側のコンベヤフレーム8と短尺駆動コンベヤローラ用のコンベヤフレーム9とに支持されて短尺駆動コンベヤローラ7が取付けられている。また、長尺駆動コンベヤローラ6の端部と短尺駆動コンベヤローラ7の端部には、それぞれ歯付きベルト用プーリ10が、図5に示すように内嵌めされピン11により止めて設けられ、軸受12を介して長尺駆動コンベヤローラ6や短尺駆動コンベヤローラ7と一体に回転可能に支持軸13に取付けられている。このローラコンベヤ3は、上記支持フレーム2の上部横フレーム上にコンベヤフレーム8、9を載置して固設されている。なお、歯付きベルト用プーリ10の基準ピッチ円直径は、後記する歯付きベルト19を巻付けたとき、歯付きベルト19の反歯側外周面で形成される巻付け半径が駆動コンベヤローラの半径とほぼ同一となる基準ピッチ円直径に形成されている。
【0021】
駆動モータ4は、上記支持フレーム2の上部横フレームの下部にモータブラケット14を介して設置され、本例では、図1における上側の長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7を共用して駆動する駆動モータと、下側の短尺駆動コンベヤローラ7を駆動する駆動モータとを備えており、各駆動モータ4の出力軸にはVプーリ15が取付けられている。
【0022】
動力伝達機構部5は、上記駆動モータ4の動力をローラコンベヤ3の長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7、7に伝達して回転駆動させる機構部であって、上記支持フレーム2の上部横フレーム上に設置した駆動ユニットブラケット16と、この駆動ユニットブラケット16に回転自在に支持された回転軸の一端に設けた歯付きベルト用プーリ17と他端に設けたVプーリ18と、前記歯付きベルト用プーリ17と上記長尺駆動コンベヤローラ6の端部に設けた歯付きベルト用プーリ10及び短尺駆動コンベヤローラ7の端部に設けた歯付きベルト用プーリ10との間に掛け回した歯付きベルト19と、前記Vプーリ18と駆動モータ4に設けたVプーリ15との間に掛け回したVベルト20と、を含んで構成されている。
【0023】
また、符号21は、歯付きベルト19の張力調整装置であって、板状フレーム22に、駆動コンベヤローラ6(又は7)のローラ間に千鳥に位置するようにテンションローラ23を設置し、板状フレーム22を図4に示す左右2本のボルト24で取付け、その取付け位置を上下方向に調整可能とし、張力調整が同時に行えるようになっている。なお、歯付きベルト19は、前記駆動コンベヤローラ6(又は7)とテンションローラ23とに交互に蛇行するように掛け回される。
【0024】
上記構成のタイヤ搬送用ローラコンベヤ1によるタイヤの搬送は、タイヤを上流に搬送する場合には、長尺駆動コンベヤローラ6と、図1における上下の短尺駆動コンベヤローラ7、7とを同一方向に回転駆動することで行え、またタイヤに潤滑油を塗布するなどタイヤを回転させる場合には、図1における上下の短尺駆動コンベヤローラ7、7を別方向に駆動することで行える。そして、これらのタイヤの搬送や回転は、歯付きベルト用プーリ10と歯付きベルト19の採用により、また歯付きベルト用プーリ10の基準ピッチ円直径を、歯付きベルト19を巻付けたとき、歯付きベルト19の反歯側外周面で形成される巻付け半径が駆動コンベヤローラの半径とほぼ同一となるように形成していることから、従来のように駆動コンベヤローラをベルト間でスリップさせることなく確実に行わせることができる。また、駆動モータ4と駆動コンベヤローラ6(又は7)の回転同調が行えるため、タイヤの搬送量が明確になりタイヤを停止位置で正確に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るタイヤ搬送用ローラコンベヤの正面図である。
【図2】図1の上面図である。
【図3】図1のA−A断面要部拡大図である。
【図4】図2のB−B断面要部拡大図である。
【図5】本発明に係るコンベヤローラの説明図であって、aはコンベヤローラの端部に歯付きベルト用プーリを設けた場合、bは中央部に設けた場合の断面図である。
【図6】従来のタイヤ搬送用ローラコンベヤの説明図であって、aは平面図、bは一部断面側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1:タイヤ搬送用ローラコンベヤ 2:支持フレーム
3:ローラコンベヤ 4:駆動モータ 5:動力伝達機構部
6:長尺駆動コンベヤローラ 7:短尺駆動コンベヤローラ
8、9:コンベヤフレーム 10:歯付きベルト用プーリ
11:ピン 12:軸受 13:支持軸
14:モータブラケット 15:Vプーリ
16:駆動ユニットブラケット 17:歯付きベルト用プーリ
18:Vプーリ 19:歯付きベルト 20:Vベルト
21:張力調整装置 22:板状フレーム 23:テンションローラ
24:ボルト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、支持フレーム上に設けられたコンベヤフレームと、コンベヤフレーム間に設けられた複数の駆動コンベヤローラと、駆動コンベヤローラの端部又は中央部に固定して設けられた歯付きベルト用プーリと、前記支持フレームに設けられた駆動ユニットブラケットと、駆動ユニットブラケットに設けられた駆動モータの駆動力を伝達する歯付きベルト用プーリと、前記駆動コンベヤローラに設けた歯付きベルト用プーリと前記駆動ユニットブラケットに設けられた歯付きベルト用プーリとに掛け回して取付けた歯付きベルトと、を備えてなるタイヤ搬送用ローラコンベヤであって、前記駆動コンベヤローラの歯付きベルト用プーリが、歯付きベルトを巻付けたとき、歯付きベルトの反歯側外周面で形成される巻付け半径が駆動コンベヤローラの半径とほぼ同一となる基準ピッチ円直径に形成されてなることを特徴とするタイヤ搬送用ローラコンベヤ。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ搬送用ローラコンベヤにおいて、駆動コンベヤローラに設けた歯付きベルト用プーリに代えて、駆動コンベヤローラ自体に歯付きベルト用の歯車が加工されてなるタイヤ搬送用ローラコンベヤ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のタイヤ搬送用ローラコンベヤにおいて、複数の駆動コンベヤローラの間の下方にアイドルローラが千鳥に配設され、駆動コンベヤローラとアイドルローラとに交互に蛇行して歯付きベルトが掛け回されてなるタイヤ搬送用ローラコンベヤ。
【請求項4】
アイドルローラが個々に又は複数を同時に昇降可能にブラケットを介してコンベヤフレームに設けられてなる請求項3記載のタイヤ搬送用ローラコンベヤ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−103923(P2006−103923A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295112(P2004−295112)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】