説明

タイヤ検査装置

【課題】大規模な機構部を用いることなく負荷が掛かったタイヤを検査するタイヤ検査装置を提供する。
【解決手段】ホイール3に装着保持され内部の空気が加圧されたタイヤ2に対し、接地面に加圧板4cを押し付けて負荷を掛ける負荷機構4bと、負荷を掛けられたタイヤ2を撮影して複数の互いに平行な断面像7(7a,7b,7c)を撮影するCT部5と、複数の互いに平行な断面像7から断面変換してホイール3の回転軸HAを通る複数の互いに傾斜した断面像を作る画像処理部6を有することを特徴とするタイヤ検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを非破壊で検査するタイヤ検査装置に関する。特に、タイヤの断面像を撮影するCT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの内部を非破壊で検査する装置としては、近年、タイヤの断面像を得るタイヤ用CT(Computed Tomography)装置が用いられている。
【0003】
図10は、従来のタイヤ用CT装置の概念図(正面図)である。これは、特許文献1に記載されているタイヤ用CT装置である。タイヤ101は、一般市販のホイール102に装着され、ホイール102はホイールの回転軸HAが規定位置になるようにホルダ103に取り付けられ、ホルダ103には負荷機構104が固定され、負荷機構104は加圧板105をタイヤ101の接地面(外周面)に押し付けて負荷を掛ける構成である。
【0004】
ホルダ103はホイールの回転軸HAに対して回転できるように支持台106により支持され、傾斜駆動部107が伸縮することで、負荷が掛けられたタイヤがホルダ103ごとホイールの回転軸HAを中心に傾斜され、位置決めされる。
【0005】
CT部108は、X線源108a、X線検出器108b、CT用機構部108c、制御処理部(不図示)より成る。CT部108は、ホイールの回転軸HAを通る水平な撮影面TPの断面像を撮影するものである。X線源108aは撮影面TPに沿ってファン状のX線108dを放射し、X線検出器108bは被検体を透過したX線108dをファンに沿って分解して測定する。測定は所謂TR方式CT装置として行われる。すなわち、支持台106及び傾斜駆動部107ごとタイヤ101をファンに沿って水平方向(図の紙面に垂直な方向)に、X線が被検体を完全に横切る範囲で平行移動(Translate)しつつ測定し、次に、撮影面TPに垂直なCT用回転軸RAに対し、支持台106及び傾斜駆動部107ごとタイヤ101をX線108dのファン角分だけステップ回転(Rotate)させる。この横移動しつつの測定とステップ回転とを繰り返すことで180°方向からの測定データを得ると、このデータからタイヤ101とホイール102(及び加圧板105とホルダ103と支持台106の一部)の撮影面TP位置の断面像を再構成する。
【0006】
さらに、傾斜駆動部107によって、ホルダ103の傾斜位置を変えて断面像を撮影することで、ホイールの回転軸HAを通る複数の互いに傾斜した断面像を得ることができる。図11は、従来例におけるタイヤ101と加圧板105に対して撮影された断面像の位置109を示す図である。
【0007】
従来例においては、負荷を掛けたタイヤに対して、ホイールの回転軸HAを通る複数の互いに傾斜した断面像を得ることができ、加圧板105に直交する面から任意角度傾斜した面での変形を角度ごとに求めることができる。
【0008】
この傾斜角度ごとの断面像は、タイヤが回転したときの時間経過に沿ったタイヤ形状の変形、及びタイヤ内部の部材の変形と移動量が判るので、タイヤの耐久性、クッション性、振動、騒音等を解析する上で重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−218844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来例においては、固定した撮影面TPに対し、タイヤ101及び、ホイール102、ホルダ103、負荷機構104、加圧板105の全てを負荷を掛けた状態で傾斜させて、断面位置を変更している。ここで、ホルダ103、負荷機構104、加圧板105は、傾斜しても負荷状態が変わらないようにするため高い剛性が必要となり、大型で大重量と成っている。さらに、そのために、それらを傾斜させる大規模な傾斜駆動部107および支持台106が必要であり、また、CT用機構部108cの平行移動やステップ回転の機構も大掛かりとなり、精度確保や製作の困難さが課題となっている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、大規模な機構部を用いることなく負荷が掛かったタイヤを検査するタイヤ検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ホイールに装着保持され内部の空気が加圧されたタイヤに対し、接地面に加圧板を押し付けて負荷を掛ける負荷手段と、前記負荷を掛けられたタイヤを撮影して複数の互いに平行な断面像を撮影するCT手段と、前記複数の互いに平行な断面像から断面変換して前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を作る画像処理部を有することを要旨とする。
【0013】
この構成により、複数の互いに平行な断面像を撮影し、ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を断面変換で得るので、タイヤ、ホイール、及び負荷手段の全てを、負荷を掛けた状態でホイールの回転軸に対して傾斜させる大規模な傾斜駆動部を無くすことができる。
【0014】
また、得られた複数の傾斜した断面像は、タイヤに固定した1つの断面に対するタイヤが回転したときの時系列の複数断面像に相当し、タイヤを解析する上で有用である。
【0015】
前記目的を達成するため、請求項2記載の発明は、ホイールに装着保持され内部の空気が加圧され、かつ、負荷手段により接地面に加圧板を押し付けて負荷を掛けられたタイヤを撮影した複数の互いに平行な断面像を入力して、前記複数の互いに平行な断面像から断面変換して前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を作る画像処理部を有することを要旨とする。
【0016】
この構成により、請求項1記載の発明と同様な作用、効果が得られる。
【0017】
前記目的を達成するため、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のタイヤ検査装置において、前記画像処理部は、前記複数の互いに平行な断面像から前記ホイールの回転軸の位置を求めることを要旨とする。
【0018】
この構成により、互いに平行な複数の断面像自身から、ホイールの回転軸を求めて断面変換するので、ホイールとCT手段との位置関係を正確に合わせる必要がなく、正確に断面変換できる。
【0019】
前記目的を達成するため、請求項4記載の発明は、請求項3に記載のタイヤ検査装置において、前記画像処理部は、前記複数の互いに平行な断面像から、前記ホイールの回転軸方向の端面と平行な少なくとも2つの平面に対応するホイールの断面像をそれぞれ求め、前記求めたホイールの断面像上でホイールの中心座標をそれぞれ求め、前記求めたホイールの中心座標を結ぶ線として前記ホイールの回転軸の位置を求めることを要旨とする。
【0020】
この構成により、ホイールの回転軸の位置を3次元的に正確に求めることができる。
【0021】
前記目的を達成するため、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ検査装置において、前記画像処理部は、前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像の1つにおいて、前記ホイールの回転軸を挟んだ2つのタイヤ断面像を、一方を前記ホイールの回転軸で折り返して互いに重ねて表示する、または、一方を前記ホイールの回転軸で折り返して互いに重ねたときの互いの重なりのずれ量を求めることを要旨とする。
【0022】
この構成により、ホイールの回転軸を挟んだ2つのタイヤ断面像を、一方をホイールの回転軸で折り返して互いに重ねて表示するので、加圧板に遠いタイヤ断面像を基準として、加圧板に近いタイヤ断面像の変形を容易に視認できる。
【0023】
または、ホイールの回転軸を挟んだ2つのタイヤ断面像を、一方をホイールの回転軸で折り返して互いに重ねたときの互いの重なりのずれ量を求めるので、加圧板に遠いタイヤ断面像を基準として、加圧板に近いタイヤ断面像の変形を定量的に求めることができる。
【0024】
前記目的を達成するため、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ検査装置において、前記画像処理部は、前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像の1つにおいて、前記ホイールの回転軸を挟んだ2つのタイヤ断面像を、互いにずらして所定の部位をフィッティングして重ねて表示する、または、互いにずらして所定の部位をフィッティングして重ねたときの互いの重なりのずれ量を求めることを要旨とする。
【0025】
この構成により、加圧板に遠いタイヤ断面像に対する加圧板に近いタイヤ断面像の変形を、所定の部位を基準(不動点)として、視認することができる。
【0026】
または、加圧板に遠いタイヤ断面像に対する加圧板に近いタイヤ断面像の変形を、所定の部位を基準(不動点)として、定量的に求めることができる。
【0027】
前記目的を達成するため、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ検査装置において、前記画像処理部は、前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を用いて、前記タイヤの所定の部位が形作る円環について前記ホイールの回転軸に対する変形を求めることを要旨とする。
【0028】
この構成により、ホイールの回転軸を通る複数の断面像を用いて、タイヤの所定の部位の位置をホイールの回転軸と直交する平面にプロットしたときのタイヤの所定の部位が形作る円環について、ホイールの回転軸に対する変形を求めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、大規模な機構部を用いることなく負荷が掛かったタイヤを検査するタイヤ検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るタイヤ検査装置の構成を示した模式図(正面図)。
【図2】第一の実施形態におけるタイヤと加圧板に対して撮影された断面像の位置を示す図。
【図3】第一の実施形態におけるタイヤと加圧板に対して撮影された断面像の一例。
【図4】第一の実施形態に係る画像処理部が行う断面変換処理のフロー図。
【図5】第一の実施形態に係るホイール端面とそれに平行な2つの面の位置を示す断面図。
【図6】第一の実施形態に係る傾斜面の設定を示す幾何図。
【図7】第一の実施形態に係る傾斜面での断面像の一例。
【図8】第一の実施形態においてビードが形作る円環の変形を示すグラフ。
【図9】第一の実施形態においてビードが形作る円環の変形状態を示す図。
【図10】従来のタイヤ用CT装置の概念図(正面図)。
【図11】従来例におけるタイヤと加圧板に対して撮影された断面像の位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0032】
(本発明の第一の実施の形態の構成)
以下、本発明の第一の実施形態の構成について図1を参照して説明する。
【0033】
図1は本発明の第一の実施形態に係るタイヤ検査装置の構成を示した模式図(正面図)である。
【0034】
タイヤ検査装置1は、タイヤ2に負荷を掛ける負荷機構部4、断面像を撮影するCT部(CT手段)5、断面像を画像処理してタイヤを評価する画像処理部6より成る。
【0035】
負荷機構部4は、ホルダ4a、負荷機構(負荷手段)4b及び加圧板4cより成る。タイヤ2は一般市販のホイール3に装着保持されて内部の空気が加圧された状態とされ、ホイール3はホイールの回転軸HA(以下適宣、軸HAと略記する)が規定位置になるようにボルトでホルダ4aに取り付けられ、ホルダ4aには負荷機構4bが固定され、負荷機構4bは加圧板4cをタイヤ2の接地面(外周面)に押し付けて負荷を掛ける構成である。なお、負荷機構4bは負荷制御部(図示省略)により制御される。
【0036】
CT部5は、X線源5a、X線検出器5b、回転・平行移動機構5c、昇降機構5d,5e、制御処理部5gより成る。CT部5は、水平な撮影面TPの断面像を撮影するものである。X線源5aは撮影面TPに沿ってファン状のX線5fを放射し、X線検出器5bは被検体を透過したX線5fをファンに沿って分解して測定し、透過データとして出力する。
【0037】
回転・平行移動機構5cは、ホルダ4aごとタイヤ2を撮影面TPに沿ってX線5fを横切るように水平方向(図の紙面に垂直な方向)に平行移動(姿勢を変えずに移動すること)させる。また、回転・平行移動機構5cは、撮影面TPに垂直でタイヤ2のほぼ中心を通るCT用回転軸RAに対し、ホルダ4aごとタイヤ2を回転させる。
【0038】
昇降機構5d,5eは、それぞれ、X線源5aとX線検出器5bを同じ量だけ昇降(紙面に沿った上下方向)させて位置決めすることで、撮影面TP(及びX線5f)を昇降させる。
【0039】
制御処理部5gは、通常のコンピュータで、CPU、記憶部、インターフェース、表示部、入力部、機構制御部、通信部などを有する。制御処理部5gは、CPUがプログラムに基づいて実施する機能として、X線源5a、X線検出器5b、回転・平行移動機構5c、昇降機構5d,5eを制御してスキャン(断面像撮影走査)を実施する機能、またスキャンで得られた透過データからタイヤ2とホイール3の断面像を再構成する機能等を有する。
【0040】
画像処理部6は、通常のコンピュータで、CPU、記憶部、インターフェース、表示部、入力部、通信部などを有する。画像処理部6は、CPUがプログラムに基づいて実施する機能として、制御処理部5gから取り込んだ複数の断面像を断面変換する機能や、タイヤ2を評価する機能等を有する。
【0041】
(第一の実施の形態の作用)
図1乃至図9を参照して第一の実施形態の作用について説明する。
【0042】
図1を参照して、まず、負荷機構部4は、タイヤ2に所定の負荷を掛けた状態とする。昇降機構5d,5eはX線源5aとX線検出器5bを昇降位置決めして撮影面TPを設定する。この状態で、CT部5がスキャン(断面像撮影走査)を行ってタイヤ2の断面像を撮影する。
【0043】
スキャンは所謂TR方式CT装置として行われる。すなわち、ホルダ4a(及びCT用回転軸RA)ごとタイヤ2を撮影面TPに沿って、X線5fがタイヤ2を完全に横切る範囲で平行移動(Translate)しつつ透過したX線を測定し、次に、CT用回転軸RAに対し、ホルダ4aごとタイヤ2をX線5fのファン角分だけステップ回転(Rotate)させる。この横移動しつつの測定とステップ回転とを繰り返すことで180°方向からの測定データを得る。以上の測定は、制御処理部5gより制御され、X線検出器の出力する透過データは制御処理部5gに取り込まれる。制御処理部5gは取り込んだ透過データからタイヤ2とホイール3(及び加圧板4cとホルダ4aの一部)の撮影面TP位置の断面像を再構成する。再構成は公知の処理で行なう。
【0044】
1回目のスキャンに引き続き、タイヤ2を同一負荷に保った状態で、昇降機構5d,5eは撮影面TPを変更して設定し、2回目のスキャンと再構成を同様に行う。
【0045】
さらに、タイヤ2を同一負荷に保った状態で、制御処理部5gは、撮影面TPを所定間隔で変更しながら、同様にスキャンを制御し、再構成し、負荷状態のタイヤ2の複数の互いに平行な断面像を得て、記憶すると共に、画像処理部6に送信する。
【0046】
図2は、第一の実施形態におけるタイヤ2と加圧板4cに対して撮影された断面像7の位置を示す図である。複数の断面像7はxy面に平行で、z方向に所定間隔で並んでおり、所定サイズのボクセルを積み重ねた3次元データを成している。ボクセル位置は座標xyzで表せる。なお、ホイール3の回転軸HAは、y軸と概略平行であるが、誤差のため正確には平行ではなく、断面像7上の位置も正確には定まっていない。
【0047】
図3は、第一の実施形態におけるタイヤ2と加圧板4cに対して撮影された断面像7の一例である。図3(a)、図3(b)図3(c)は、それぞれ、図2で位置を示した断面像7a,7b,7cで、それぞれ、ホイール3のz方向下端寄り、約中央、上端寄りを通る断面像である。なお、断面像7a,7b,7cには、ホルダ4aも現れるが、図示省略している。
【0048】
画像処理部6は受信したタイヤ2の複数の互いに平行な断面像7を断面変換処理すると共にタイヤ2の評価を行う。
【0049】
図4を参照して断面変換処理を説明する。図4は画像処理部6が行う断面変換処理のフロー図である。
【0050】
ステップS1で、次のように軸HA方向のホイール端面を求出する。先ず、断面像7a(図3(a))を用いて、ホイール3の二つの端点P1,P2を求める。これには、2値化処理でホイール3を抽出し、ホイール3が「1」で他が「0」の画像を作り、画面の上半分で最右端の「1」を求めP1とし、画面の下半分で最右端の「1」を求めP2とすることで、点P1,P2の位置がx,y,z座標で得られる。
【0051】
次に、同様に、断面像7c(図3(c))を用いて、ホイール3の二つの端点P3,P4を求める。
【0052】
ホイール端面は面上の3点が分かれば決定するので、例えば、点P1,P2,P3から、端面を求める。具体的には、ホイール端面を表す方程式を、
y=a・x+b・z+c ………(1)
としたとき、3点P1,P2,P3の座標値(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)をそれぞれ式(1)のx,y,zに代入してできるa,b,cに対する連立方程式を解くことで、a,b,cが求まり、ホイール端面が求まる。
【0053】
さらに、図5を参照して、ホイール端面に平行な2つの面を求める。
【0054】
図5はホイール端面とそれに平行な2つの面の位置を示す断面図であり、断面像7bとの交線で表している。ホイール端面に平行な平面9a、9bは、ホイール端面8をそれぞれy方向にd1、d2だけ移動させた面で、それぞれホイール3の両端に近い面で、リム部(タイヤと接触する部分)を通る面である。ここで、d1、d2は予めホイール種ごとに定めておく定数である。既知の係数a,b,cを用いて、平面9aは方程式、
y=a・x+b・z+c−d1 ………(2)
で、平面9bは方程式、
y=a・x+b・=z+c−d2 ………(3)
で設定される。
【0055】
ステップS2で、端面に平行な平面9aでの第一断面像を断面変換により作成する。これは、式(2)で既知である平面9a上に格子状に点を設定すると、各点のx,y,z座標が計算できるので、断面像7から、断面変換することができるのである。
【0056】
ステップS3で、ステップS2で作成した第一断面像上で、ホイール3の外周が作る円弧の中心点Aを求める。これには、例えば、外周と円とのフィッティングなどを用いる。中心点Aは、x,y,z座標で求め、座標値(xa,ya,za)(中心座標)を得る。
【0057】
ステップS4では、ステップS2と同様に、端面に平行な平面9bでの第二断面像を断面変換により作成する。
【0058】
ステップS5では、ステップS3と同様に、ステップS4で作成した第二断面像上で、ホイール3の外周が作る円弧の中心点Bを、x,y,z座標で求め、座標値(xb,yb,zb)(中心座標)を得る。
【0059】
ステップS6で、ホイール3の回転軸HAの位置を求める。すなわち、軸HAは中心点Aと中心点Bを結ぶ線として決定される。軸HAは、例えば、軸HA上の1点Bの座標と軸HA方向の単位ベクトルηで記述する。
【0060】
ステップS7で、以下のように軸HAを通る傾斜面を設定する。
【0061】
図6は傾斜面の設定を示す幾何図である。軸HAは点Bと単位ベクトルηで規定され、既知である。ηのx,y,z成分をηx,ηy,ηzとする。
【0062】
先ず、ηに直交しxy平面に平行な単位ベクトルξ(のx,y,z成分)を、式、
ξx=ηy/√(ηx^2+ηy^2),
ξy=−ηx/√(ηx^2+ηy^2),
ξz=0 ………(4)
で求める。点Bとηとξで規定される面が軸HAを通って最も水平に近い面で、負荷板4cと直交する基準面10である。
【0063】
次に、ベクトル積、
ζ=ξ×η ………(5)
で基準面10の法線ベクトルζが求められる。次に、ξを軸HAに対してθi回転した単位ベクトルξiが、式、
ξi=ξ・cos(θi)+ζ・sin(θi) ………(6)
で求まり、基準面10からθi傾斜した傾斜面10−iが、面内の点B、及び、面に沿った直交する2つの単位ベクトル,ηとξiとで設定される。
【0064】
なお、予め枚数Iと傾斜角度θiを設定しておくことで、複数の傾斜面10−i(i=1,2…I)が自動的に設定される。また、傾斜面10−iは、一般に、傾斜してない面(θi=0)も含む。
【0065】
ステップS8で、傾斜面10−i(i=1,2…I)全てに対し、傾斜面10−iでの断面像11−iを断面変換により作成する。これは、単位ベクトル,ηとξiとを用いて傾斜面10−i上に格子状に点(n・ξi+m・η)を設定すると、各点のx,y,z座標が計算できるので、断面像7から、断面変換することができるのである。
【0066】
以上のステップS1乃至ステップS8で断面変換処理が終わる。
【0067】
画像処理部6は断面変換処理した傾斜面10−iでの断面像を用いて、以下のように、タイヤ2の評価を行う。
【0068】
図7は、傾斜面での断面像の一例である。これは傾斜面10−iでの断面像11−iを示す。全ての断面像11−i(i=1,2…I)はホイール3の回転軸HAを通る断面で、互いに、加圧板4cの位置とタイヤの変形具合が異なったものである。
【0069】
画像処理部6は、1つの断面像11−iにおいて、ホイールの回転軸HAを挟んだ2つのタイヤ断面像2a,2bを、一方をホイールの回転軸HAで折り返して互いに重ねて表示する。この重ねた表示は加算画像でも差画像でも差分を強調した画像でもよい。これにより、加圧板4cに遠いタイヤ断面像2aの変形と近いタイヤ断面像2bの変形とを目視して比較できる。また、画像処理部6は、折り返して互いに重ねたときの遠いタイヤ断面像2aと近いタイヤ断面像2bの互いの重なりのずれ量の分布を定量的に計算して表示する。このずれ量は、例えば、重ねた断面像上あるいは重ねてない断面像上のタイヤ縁部に、ずれ量に対応した長さの矢印を重ねて、または、ずれ量に対応させた色をつけるなどして表示できる。また、断面像上のタイヤ縁部に、ずれ量に対応した高さの棒を立てた3D表示のグラフ等でも表示できる。
【0070】
加圧板4cに遠い側では変形が少ないので、上述した重ねた表示及びずれ量の表示は、概略として、加圧板4cに近い側のタイヤの変形を表している。
【0071】
さらに、この処理を各断面像11−i毎に、それぞれで行って傾斜角度θi毎の変形を比較することができる。
【0072】
次に、第二の評価として、画像処理部6は、タイヤ2の所定の部位が形作る円環について、軸HAに対する変形(軸HAを中心とする円からの変形)を求める。所定の部位としては、ビード12(補強ワイヤ)、内壁13の外周側、あるいはトレッド14(接地部)の接地面、等がある。変形が無い場合のこれらの円環は、軸HAを中心とした円筒ないし円となるものである。
【0073】
具体的に、ここでは片側(右側)のビード12を考える。各断面像11−iにおいて、ビード12の4つの断面を2値化処理で抽出し、それぞれの位置、正確にはそれぞれの重心または中心の位置を求める。次に、加圧板4cに遠いビード12a位置(右側)と軸HAとの距離(局所的半径)Raと、加圧板4cに近いビード12b位置(右側)と軸HAとの距離Rbとを求める。さらに、図8に示すように傾斜角度θiと距離Rの関係をグラフとして表示する。距離、Ra,Rbは、ビード12が形作る円環の軸HAに対する変形(軸HAを中心とする半径R0の円からの変形)を示す。
【0074】
また、図9に示すように、軸HAに直交する平面上でのビード12の円環の変形状態を表示する。これは、ビード12の位置(θi,Ra,Rb)をプロットすることで描画でき、同時に変形の無い場合の円15(軸HA中心の半径R0の円)も描画して比較表示する。差分が小さくて観づらいときは拡大表示や差分強調表示を行う。さらに、変形のパラメータとして、プロットしたビード12の円環を円でフィッティングして円環の平均的中心を求め、この円環の平均的中心について軸HAからのずれを求めることができる。
【0075】
なお、ここでは片側(右側)のビード12を考えたが、他方(左側)のビード12も同様に評価できる他、左右の平均を評価してもよい。
【0076】
同様に、タイヤ2の内壁13の外周側、トレッド14(接地部)の接地面、等が軸HAに直交する平面上で形作る円環の変形及び円環の平均的中心のずれも同様に求めることができる。この場合は、軸HA方向の複数位置で円環の変形及び円環の平均的中心のずれを求めることができ、グラフィカルに表示することができる。
【0077】
次に、第三の評価として、タイヤの応力を解析する。軸HAを通る複数の断面像11−iを傾斜角度θiごとに得るので、断面像11−iは、タイヤに固定した1つの断面について、タイヤが回転したときの時間経過に沿った複数断面像と見なすことができ、変形の時間変化が判り、断面各部の応力(張力、圧力、せん断力等)の繰り返し変化成分としての応力分布が判る。これにより、応力分布の強い位置(すなわち強く曲げ伸ばしされる部分)が判り、繰り返し応力を受けたときの劣化しやすい部分が判る。
【0078】
この評価は、応力分布を一様にして耐久性を向上させたタイヤの設計製造に役立てることができる。なお、設計時に応力分布をシュミュレーションして推定している場合は、比較することでシュミュレーションの妥当性を評価することもできる。
【0079】
以上で述べた、撮影と評価は、タイヤの負荷、また、タイヤ内部の空気圧を変えて行い、比較して評価することができる。
【0080】
(第一の実施の形態の効果)
第一の実施形態によれば、互いに平行な複数の断面像7を撮影し、ホイールの回転軸HAを通る複数の互いに傾斜した断面像を断面変換で得るので、タイヤ2、ホイール3、及び負荷機構部4の全てを、負荷を掛けた状態でホイールの回転軸HAに対して傾斜させる大規模な傾斜駆動部を無くすことができる。また、傾斜を無くしたために、負荷機構部4に高い剛性が不要となり、さらに、CT部5の回転・平行移動機構5cも大掛かりとならず、精度確保や製作の困難さが著しく改善される。
【0081】
第一の実施形態によれば、得られた複数の互いに傾斜した断面像は、タイヤに固定した1つの断面に対するタイヤが回転したときの時系列の複数断面像に相当し、タイヤを解析する上で有用である。
【0082】
第一の実施形態によれば、互いに平行な複数の断面像7自身から、ホイールの回転軸HAを求めて断面変換するので、負荷機構部4とCT部5(すなわちホイール3とCT部5)との位置関係を正確に合わせる必要がなく、正確に断面変換できる。また、ホイール3の負荷機構部4への取り付け誤差や負荷を掛けたときの軸HAのずれなども自動的に補正され、正確に断面変換できる。
【0083】
第一の実施形態によれば、ホイールの回転軸HAを通る面の断面像を用いて、ホイールの回転軸HAを挟んだ2つのタイヤ断面像2a,2bを、一方をホイールの回転軸HAで折り返して互いに重ねて表示するので、加圧板4cに遠いタイヤ断面像2aを基準として、加圧板4cに近いタイヤ断面像2bの変形を容易に視認できる。
【0084】
第一の実施形態によれば、ホイールの回転軸HAを通る面の断面像を用いて、ホイールの回転軸HAを挟んだ2つのタイヤ断面像2a,2bを、一方をホイールの回転軸HAで折り返して互いに重ねたときの互いの重なりのずれ量を求めるので、加圧板4cに遠いタイヤ断面像2aを基準として、加圧板4cに近いタイヤ断面像2bの変形を定量的に求めることができる。
【0085】
第一の実施形態によれば、ホイールの回転軸HAを通る面の断面像を用いて、タイヤ2の所定の部位の位置を軸HAと直交する平面にプロットしたときのタイヤ2の所定の部位が形作る円環について、軸HA(を中心とする円)に対する変形を求めることができる。また、所定の部位が形作る円環の平均的中心について、軸HAからのずれを求めることができる。所定の部位として、特に、タイヤのビード、内壁またはトレッドが形作る円環、等の変形を求めることができる。
【0086】
また、第一の実施形態によれば、タイヤ2の負荷や空気圧を変えて撮影することで、負荷や空気圧の違いによるタイヤ2の変形の違いを比較できる。
【0087】
(第一の実施の形態の変形)
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。以下に示す変形例は組合せて実施することもできる。
【0088】
(変形例1)
第一の実施形態では、ホイール3の3つの端点P1,P2,P3からホイールの端面8を求めているが、4点、P1〜P4から平均的に求めてもよい。また、断面像7の中の3つ以上の断面像で端点を求め、それらの端点から平均的にホイールの端面8を求めてもよい。
【0089】
(変形例2)
第一の実施形態では、ホイールの端面8と平行な第一断面像と第二断面像上で、それぞれホイール3の中心点Aと中心点Bを求めることで、ホイールの回転軸HAを求めているが、平行な3つ以上の断面像上でそれぞれホイール3の中心点を求め、求めた3つ以上の中心点から平均的にホイールの回転軸HAを求めることもできる。
【0090】
(変形例3)
第一の実施形態で、傾斜断面像11−iにおいて、軸HAでタイヤ2を折り返し、重ねて表示するが、軸HAで折り返す代わりに、軸HAを挟んだ一方のタイヤ断面像を180°回転させるか鏡像反転した後、ずらして、他方のタイヤ断面像に、所定の部位の重なりが最も良いようにフィッティングして重ねて表示しても良い。フィッティングする所定の部位としては、例えば、ビード12、ホイール3のリム部(タイヤと接触する部分)、タイヤ内壁13全体あるいは内壁13の指定した部分、トレッド14の接地面、タイヤ2全体(平均的に全体が合うようにする)、等がある。
【0091】
これにより、加圧板4cに遠いタイヤ断面像2aに対する加圧板4cに近いタイヤ断面像2bの変形を、所定の部位を基準(不動点)として、容易に視認することができる。
【0092】
また、軸HAを挟んだ一方のタイヤ断面像を180°回転させるか鏡像反転した後、ずらして、他方のタイヤ断面像に所定の部位の重なりが最も良いようにフィッティングして重ねたときの互いの重なりのずれ量を、第一の実施形態と同様に求めて表示を行う。
【0093】
これにより、加圧板4cに遠いタイヤ断面像2aに対する加圧板4cに近いタイヤ断面像2bの変形を、所定の部位を基準(不動点)として、定量的に求めることができる。
【0094】
(変形例4)
第一の実施形態では、傾斜断面像11−iにおいて、軸HAでタイヤ2を折り返し、重ねて表示または重ねたときの重なりのずれ量を求めるが、負荷を掛けたときの傾斜断面像11−iと負荷を掛けないときの傾斜断面像11−iを軸HAが合致するように、重ねて表示または重ねたときの重なりのずれ量を求めるようにしてもよい。
【0095】
荷重により軸HAがずれてもずれが補正されて正確に重ねられるので、負荷を掛けないときのタイヤ断面像を基準として、タイヤ断面像の変形を容易に視認、または変形を定量的に求めることができる。
【0096】
(変形例5)
変形例3では、傾斜断面像11−iにおいて、軸HAを挟んだ一方のタイヤ断面像を、他方のタイヤ断面像に、所定の部位の重なりが最も良いようにフィッティングして、重ねて表示または重ねたときの重なりのずれ量を求めているが、負荷を掛けたときの傾斜断面像11−iと負荷を掛けないときの傾斜断面像11−iを所定の部位の重なりが最も良いようにフィッティングして、重ねて表示または重ねたときの重なりのずれ量を求めるようにしてもよい。
【0097】
荷重により軸HAがずれてもずれが補正されて正確に重ねられるので、負荷を掛けないときのタイヤ断面像に対するタイヤ断面像の変形を、所定の部位を基準(不動点)として、容易に視認または変形を定量的に求めることができる。
【0098】
(変形例6)
第一の実施形態では、第二の評価として、画像処理部6は、タイヤ2の所定の部位が形作る円環について、軸HAに対する変形を求めているが、ここで、さらにタイヤ2の内壁13、タイヤ2の外壁(トレッド14の接地面を含む)、等が軸HAにたいして形作る円環の全体の変形を求め、3次元表示することができる。
【0099】
例えば、点Bを原点とし、単位ベクトルξ、η、ζで規定される直交座標系での座標
(ξ,η,ζ)(図6参照)を用いて3次元表示を行うことができる。
具体的には、各傾斜角θiで、傾斜断面像11−i上で各部位(内壁,外壁等)の軸HA方向の各位置(η)での軸HAからの距離Rを求めて点群(θi,η,R)を得て、これを直交座標(ξ,η,ζ)に変換した3D点群データとする。この3D点群データ、あるいはこの3D点群データを変換して作ったSTL(Standard Triangulated Language)データを用いて、各部位(内壁,外壁)の3次元表示を行う。
【0100】
また、さらに、作成した各部位(内壁,外壁等)の3D点群データあるいはSTLデータを用いて、タイヤの3D−CADデータ(設計データ)に対する誤差検証ができる。誤差検証は、作成したデータとCADデータ間で所定箇所をフィッティングして重ねたときの差異を求め3D表示することで行う。フィッティングする所定箇所としては、例えば、ホイールの回転軸HA、ビード12、ホイール3のリム部(タイヤと接触する部分)、タイヤ内壁13全体あるいは内壁13の指定した部分、トレッド14の接地面、タイヤ2全体(平均的に全体が合うようにする)、等がある。
【0101】
上述した誤差検証は、3D−CADデータの代わりに、他の機械的な評価試験で性能確認された同一型式の別のタイヤについて断面撮影して作成された3D点群データあるいはSTLデータとの間で行うこともできる。
【0102】
(変形例7)
変形例6では、各傾斜断面像11−iで、各部位(内壁,外壁等)が作る点群(θi,η,R)を得て、これを直交座標(ξ,η,ζ)に変換して3D点群データを求めているが、撮影で得られた互いに平行な複数の断面像7から直接3D点群データ(あるいはSTLデータ)を求めてもよい。
【0103】
具体的には、点Bと単位ベクトルξ、η、ζが(ステップS7で)xyz座標系で得られているので、平行な複数の断面像7上で各部位(内壁,外壁等)が作る点群(x,y,z)を求めれば、これを座標(ξ,η,ζ)に変換して軸HAを基準とした3D点群データに変換できるのである。
【0104】
(変形例8)
第一の実施形態で、負荷機構4bは加圧板4cをタイヤ2の接地面(外周面)に押し付けて負荷を掛けるが、負荷の掛け方は色々ある。
【0105】
通常は加圧板4cを軸HAと平行とし、加圧板4cと垂直の方向(図1で左方向)に力を掛ける。
【0106】
ブレーキング(または加速)を模擬した試験では、加圧板4cを軸HAと平行とし、力は、加圧板4cと垂直の方向からタイヤ2の周方向(図1で上下方向)に傾けて掛ける。
【0107】
コーナーリングを模擬した試験では、加圧板4cを軸HAと平行とし、力は、加圧板4cと垂直の方向から軸HA方向に傾けて掛ける。
【0108】
また、軸HAが地面と平行でない場合(コーナーリング時の傾斜や前輪の傾斜配置など)を模擬する場合は、加圧板4cを軸HAと平行から傾斜(z軸と平行な軸について回転)させた状態で、加圧板4cに垂直な方向、または垂直な方向から傾いた方向に負荷を掛ける。
【0109】
さらに、ブレーキング(または加速)とコーナーリングと軸HAが地面と平行でない場合とを任意に組合せて負荷を掛けることができる。
【0110】
(変形例9)
第一の実施形態では、得られた複数の互いに傾斜した断面像11−iは、タイヤに固定した1つの断面に対するタイヤが回転したときの時系列の複数断面像と見なすことができるが、実際は異なった箇所の断面で、周に沿った違い(トレッド14の溝模様等)が多少、生じる。
【0111】
これに対し、厳密に同じ1つの断面が回転したときの時系列の断面像の変化を撮影することが可能である。
【0112】
これには、ホイール3をホルダ4aに固定するとき、ホイールの軸HAで回転可能にベアリングを介して固定する。そしてタイヤ2の回転位置φjを固定し、第一の実施形態と同じスキャンと断面変換をすることで複数の傾斜した断面像11−iを得る。ここで、断面像11−iの傾斜角θiはΔθの等ピッチとする。
【0113】
次に、回転位置φjをΔθずつ変更して、それぞれで、複数の傾斜した断面像11−iを得る。φjを変えての断面像11−i(3Dデータ)の複数組は、タイヤの回転をピッチΔθで追った複数組の3Dデータなので、これにより、タイヤに固定した断面の実際に回転したときの時系列の断面像が得られる。
【0114】
(変形例10)
第一の実施形態では、CT部5は、TR方式で1列検出器(1断面/1スキャン)のCT部5であったが、CT部5は他の方式でもよい。
【0115】
例えば、多列検出器のTR方式として、複数の平行断面像を1回のスキャンで得るCT部でもよい。また、多列の場合、さらに、z移動させて複数スキャンすることで、広いz範囲の平行断面像を少ないスキャンで得ることができる。
【0116】
また、TR方式で無く、回転のみのRR方式のCT部であってもよく、この場合の検出器も、1列でも多列でもよい。1列の場合はz移動させてスキャンして複数の平行断面像を得、多列の場合は1回のスキャンで複数の平行断面像を得る。多列の場合は、さらに、z移動させて複数スキャンすることで、広いz範囲の平行断面像を少ないスキャンで得ることができる。
【0117】
(変形例11)
第一の実施形態では、X線を用いているが、X線は他の透過性の放射線でもよい。例えば、γ線や中性子線などでもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…タイヤ検査装置、2…タイヤ、2a,2b…タイヤ断面像、3…ホイール、4…負荷機構部、4a…ホルダ、4b…負荷機構、4c…加圧板、5…CT部、5a…X線源、5b…X線検出器、5c…回転・平行移動機構、5d,5e…昇降機構、5f…X線、5g…制御処理部、6…画像処理部、7,7a,7b,7c…断面像、8…ホイール端面、9a,9b…平面、10…基準面、10−i…傾斜面、11−i…断面像、12,12a,12b…ビード、13,13a,13b…内壁、14,14a,14b…トレッド、15…円
TP…撮影面、HA…ホイールの回転軸、RA…CT用回転軸、θi…傾斜角度、
101…タイヤ、102…ホイール、103…ホルダ、104…負荷機構、105…加圧板、106…支持台、107…傾斜駆動部、108…CT部、109…断面像の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールに装着保持され内部の空気が加圧されたタイヤに対し、接地面に加圧板を押し付けて負荷を掛ける負荷手段と、
前記負荷を掛けられたタイヤを撮影して複数の互いに平行な断面像を撮影するCT手段と、
前記複数の互いに平行な断面像から断面変換して前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を作る画像処理部を有することを特徴とするタイヤ検査装置。
【請求項2】
ホイールに装着保持され内部の空気が加圧され、かつ、負荷手段により接地面に加圧板を押し付けて負荷を掛けられたタイヤを撮影した複数の互いに平行な断面像を入力して、前記複数の互いに平行な断面像から断面変換して前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を作る画像処理部を有することを特徴とするタイヤ検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のタイヤ検査装置において、
前記画像処理部は、前記複数の互いに平行な断面像から前記ホイールの回転軸の位置を求めることを特徴とするタイヤ検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載のタイヤ検査装置において、
前記画像処理部は、前記複数の互いに平行な断面像から、前記ホイールの回転軸方向の端面と平行な少なくとも2つの平面に対応するホイールの断面像をそれぞれ求め、前記求めたホイールの断面像上でホイールの中心座標をそれぞれ求め、前記求めたホイールの中心座標を結ぶ線として前記ホイールの回転軸の位置を求めることを特徴とするタイヤ検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ検査装置において、
前記画像処理部は、前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像の1つにおいて、前記ホイールの回転軸を挟んだ2つのタイヤ断面像を、一方を前記ホイールの回転軸で折り返して互いに重ねて表示する、または、一方を前記ホイールの回転軸で折り返して互いに重ねたときの互いの重なりのずれ量を求めることを特徴とするタイヤ検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ検査装置において、
前記画像処理部は、前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像の1つにおいて、前記ホイールの回転軸を挟んだ2つのタイヤ断面像を、互いにずらして所定の部位をフィッティングして重ねて表示する、または、互いにずらして所定の部位をフィッティングして重ねたときの互いの重なりのずれ量を求めることを特徴とするタイヤ検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ検査装置において、
前記画像処理部は、前記ホイールの回転軸を通る複数の互いに傾斜した断面像を用いて、前記タイヤの所定の部位が形作る円環について前記ホイールの回転軸に対する変形を求めることを特徴とするタイヤ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−64709(P2013−64709A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221343(P2011−221343)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】