説明

タイヤ点検装置および方法

ここには、タイヤにおける異常を検出するための異常検出装置10が記載してある。この異常検出装置10は、タイヤ表面24に直接光27をあて、タイヤから光を反射32させるコヒーレント光の光源18と、タイヤに圧力をかけることができる圧力付与装置12と、タイヤが応力をかけられた状態、応力をかけられていない状態にあるときにタイヤ表面24から直接反射してきた光32を受け取る反射光受け取り装置40と、タイヤが圧力をかけられているときおよび圧力をかけられていないときの反射光受け取り装置40からの反射光イメージを比較し、タイヤにおける異常を確認し、比較から得た出力を生成するプロセッサ44と、プロセッサに電子的に接続してあってプロセッサからの出力を表示できるディスプレイ装置46とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査(NDT)の分野に関係する。特に、本発明は、検査したタイヤのイメージを自動的に出力表示できるコンピュータを利用したタイヤ非破壊検査に関係する。
【背景技術】
【0002】
長年、シアログラフィック/ホログラフィック・タイヤ検査機を較正するための標準的な実務はASTMF1364−92であった。この検査法は、干渉レーザ画像形成式非破壊タイヤ検査システムの異常検出性能を示すための較正装置の構造と使用法を記載している。このような検査技術から生じる代表的なシアログラフィック干渉縞パターンが図1に示してある。
【0003】
米国特許第6,433,874号に記載されているように、シヤリング・インターフェロメトリまたはシアログラフィの技術では、同じ物体の2つの側方変位イメージの干渉を使って干渉イメージを形成する。普通のシアログラフィック方法では、物体に応力がかかっていない状態、または、第1の応力がかかった状態にある間に第1の干渉イメージ(または基準線イメージ)を採り、物体が第2の応力のかかった状態にある間に別の干渉イメージを採る必要がある。これら2つの干渉イメージを(好ましくは画像減算法を使用して)比較してひずみ集中についての情報を明らかにする。それ故、単一のイメージにおける物体の整合性をシアログラムと呼ぶ。図1は、干渉技術によって得られた2つの側方変位イメージの直接的な結果であるイメージを示している。このように得られたイメージは、タイヤにおける異常の比率になっていない。さらに、非常に微小な異常(1.7mmのオーダー)は、図1に示すようなシアログラムからは容易に確認することができない。
【0004】
シアログラフィ用の或る種のシステムは‘874特許のコンピュータ・システムの表示のような出力を有するが、利用されるシステムの多くは、極めて高コストであって特殊な目視検査装置を必要とする非常に感度の良いフィルムの出力を有するものである。さらに、フィルム・ベースのシアログラフィック・タイヤ検査機(および個々のタイヤ検査)は、普通は非常に高価であり、したがって、この業界の個々のプラントで利用される数は限られている。
【0005】
‘874特許の電子シアログラフィは、米国特許第4,887,899号に記載されているシアログラフィに基づいている。この米国特許第4,887,899号は、検査対象から反射してきた光を複屈折材料および偏光器に通すことによって干渉イメージを生成する装置を記載している。複屈折材料は、光線を2つの光線に分割し、それを偏光させ、一対のポイントから反射してきた光線を互いに干渉させることができる。したがって、物体上の各ポイントは、2つの光線を生成し、その結果、同じ物体の2つの側方変位イメージの干渉によって干渉イメージが形成される。
【0006】
タイヤにおける異常の数量化解析またはスケーラビリティを可能にする直接測定を容易にする改良したタイヤ検査技術およびタイヤ検査装置についての要望がある。
【0007】
インターフェログラム光学部品または専用の光学部品に依存しないタイヤ検査機器から出力を得、それによって、このような検査技術の出力を正確に描写し、異常を特定する必要がある。
【0008】
コヒーレント光を利用し、このような光の反射を安価な設備によって取り込み、普通に利用できるコンピュータ・システムを使用して表示できるタイヤ検査技術およびタイヤ検査装置に対する要望がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、直接測定を容易にすると共に、タイヤにおける異常の数量化解析またはスケーラビリティを容易にする承認されるタイヤ検査技術およびタイヤ検査装置を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、異常を正確に描写し、特定するのにインターフェログラムに依存しないタイヤ検査技術およびタイヤ検査装置を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、コヒーレント光を利用し、このような光の反射を安価な設備によって取り込み、普通に利用できるコンピュータ・システムを使用して表示することができ、側方変位イメージを利用せず、異常の単一イメージを出力として利用するタイヤ検査技術およびタイヤ検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書には、タイヤにおける異常を検出するための異常検出装置が記載されている。この異常検査装置は、タイヤ表面に直接に光をあて、この光をタイヤから反射させるコヒーレント光の光源と、タイヤに応力をかけることができる圧力付与装置と、タイヤが応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態にあるときにタイヤから直接反射してきた光を受け取るための反射光受け取り装置と、タイヤが応力をかけられているときおよび応力をかけられていないときの反射光受け取り装置からの反射光の反射光イメージを比較し、タイヤにおける異常を確認し、比較から得た出力を生成するプロセッサと、プロセッサに電子的に接続してあってプロセッサからの出力を表示できるディスプレイ装置とを含む。
【0013】
また、本明細書には、タイヤにおける異常を検出する方法が記載されている。この方法は、コヒーレント光の光源を用意する工程と、タイヤ表面に直接光をあて、タイヤからの反射光を生成する工程と、タイヤに応力をかける工程と、タイヤが応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態にあるときにタイヤから直接反射してきた光を受け取るための反射光受け取り装置を用意する工程と、タイヤが応力をかけられているときおよび応力をかけられていないときに反射光受け取り装置から反射光イメージを取り込み、比較し、この比較からの出力を生成してタイヤにおける異常を確認するプロセッサを用意する工程と、プロセッサの出力からこのプロセッサに電子的に接続した装置からの出力を表示する工程とを含む。
【0014】
また、本明細書には、コンピュータからの出力がタイヤ表面上に直接示されるコヒーレント光の光源の反射してきた単一の拡散ビームからのものであり、タイヤ表面がタイヤが応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態にあるときに示される光を有し、出力が応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態または多数の応力をかけられた状態においてタイヤ上に示される反射光を比較した結果であり、出力がタイヤ上に示されたるコヒーレント光の単一の拡散ビームから得られる異常の単一イメージとして特徴付けられるタイヤ異常のイメージが記載されている。
【0015】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付図面から明らかとなろう。
【0016】
図1は、従来技術シアログラムである。
図2は、本発明の装置の概略図である。
図3Aは、タイヤが応力をかけられていない場合のタイヤ検査設備の概略図である。
図3Bは、タイヤが応力をかけられた状態に或る場合のタイヤ検査設備の概略図である。
図4Aは、図4Bのための凡例である。この凡例は、図4Bで使用される工程シーケンス中に種々のレベルに置かれたタイヤで取り込まれたイメージに名称を付けるのに役立つ。
図4Bは、応力をかけられていないときおよび真空作用のような普通の応力をかけた状態を適用したときの応力をかけられた状態の異なったイメージを取り込み、演算処理するコンピュータの演算シーケンスのブロック図である。
図5は、検査対象として使用される較正ブロックを示しているタイヤ検査装置および本発明の方法の代表的な出力である。
【0017】
定義
ここで用いる異常という用語は、タイヤ構成要素の厚さの変動の結果として加硫タイヤ内に閉じ込められた空気、タイヤの小孔および空隙、分離、タイヤの加硫不足、閉じ込められた気泡、層間接着不足、コード接着不足、裸線、破断コードならびに機械構築エラーとして一般的に特徴付けることができるタイヤの欠陥として定義する。
【0018】
ビットマップとは、好ましくは、ディスプレイのビデオメモリに保存されることになる同じフォーマットであるいは装置独立ビットマップとして、画面上に表示されるイメージとビット単位で対応するデータファイルまたはデータ構造である。ビットマップとは、ピクセル単位のイメージの幅、高さおよび再現できるグレイまたはカラーのシェード数を決定する1ピクセル当たりのビット数によって特徴付けられる。
【0019】
コヒーレント光とは、ただ1つの波長、周波数および位相を有する光である。コヒーレント光とは、また、フィールド内の異なったポイント間の明確な位相関係を与える、同じまたはほとんど同じ波長の放射電磁エネルギーでもある。
【0020】
差分計算後のフレームまたはデルタフレームとしても知られるフレームは先行するキー・フレームとは異なったピクセルのみを含んでいるアニメーション・フレームを意味する。
【0021】
ディフューザとは、検査すべきタイヤ上への入射光の分布を可能にする半透明材料を通して光を伝達する装置である。
【0022】
干渉計とは、光源からの光を2つまたはそれ以上のビームに分割し、これらのビームが異なった経路を通って移動した後に再結合し、干渉を表示するようにした機器である。
【0023】
レーザとは、光子誘導発光の結果としてコヒーレント単色光のビームを発生する装置である。このようなビームはただ1つの波長および周波数しか持たない。この効果をもたらすことのできる材料は、ルビー、イットリウム・ガーネット、金属タングステン酸塩または希土類イオンでドープ処理したモリブデン酸塩のような或る種の高周期結晶、ガリウムヒ素、ネオジムドープ処理したガラスのような半導体、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、プラズマなどを含む種々の気体である。
【0024】
側方変位とは、二重イメージまたは並んだイメージであるように見えるが、実際には単一の異常の正、負の干渉であるものを意味する用語である。さらに、側方にという副詞は、並んでということを意味するが、装置における光学要素の向きに依存してなんらかの角度を持つ場合もある。
【0025】
非破壊検査(NDT)のこの形態においては、非破壊のという用語は、検査すべき物体を応力付与要素にさらし、検査の終りに物体がほぼその当初の状態に回復する検査技術を意味する。
【0026】
プロセッサとは、装置またはソフトウェアであり、通常、中央演算処理装置であるる。これは、また、或る種の入力をコンピュータまたはリンクエディタのような或る種の出力に変換するプログラムでもあってもよいし、イメージの比較を容易にするものであってもよいし、比較を実施するように埋め込んだ命令を使用するハードワイヤード装置であってもよい。
【0027】
応力付与要素とは、物体に応力またはひずみを付与してその当初の状態からの変化を生じさせるのに用いる要素を意味する。このような応力をかけるということは、真空の付与、光の付与、気体の付与、撓みを生じさせるような機械力の付与、タイヤを振動させる音響の付与または他のなんらかの振動付与技術の形を採り得る。
【0028】
一般的に、本発明の装置および方法は、以下のように説明できる。
【0029】
タイヤの内面は拡散反射型表面であるが、これは鏡面反射型表面のミラーとは対照的である。スペックルパターンは、レーザ光線で照明された、鏡面というよりもむしろ拡散反射型表面上で見ることができる。異常領域からのこれらの反射は、表面が変形するにつれて応力付与サイクル中に変化する。このサイクル中にカメラによって複数イメージを取り込んだ場合、コンピュータは、図4Aおよび図4Bに示すようなソフトウェア・アルゴリズムを使用してイメージ情報を演算処理できる。本発明において、光が複屈折材料またはシヤリング光学部品材料を通過することはない。
【0030】
本発明のための代表的な検査セットアップを以下に説明する。検査すべきタイヤは、真空室内のプレート上に水平に置く。普通に入手できる工業用デジタル・カメラをタイヤ内面の領域が見えるようにタイヤの中央に据え付ける。このようなカメラとしては、カナダ国オンタリオ州オタワのLumens Corporation(Lumenera.com)から入手できる、40フレーム/秒を得ることができるSVGA(800×600)サブサンプリングを有するカラー2.0メガピクセルであるカメラ、モデルLU−205Cがある。このデジタル・カメラは、デジタル画像センサ上にタイヤ領域の反射スペックルパターン・イメージを合焦するのに普通に入手可能なレンズを使用している。
【0031】
ケーブルでカメラをコンピュータに接続する。このケーブルを通してイメージ情報をコンピュータメモリに送る。メモリからのイメージは、ほぼリアルタイムで、すなわち、イメージが機器によって取り込まれ、処理されると直ぐにコンピュータのディスプレイ上で見ることができる。
【0032】
一般的には、各イメージは黒/白ビットマップ・ファイルとしてメモリに保存される。それによって、各イメージ・センサ画素値またはピクセル値のグレースケール・レベルを保存するのに8ビットが使用される。同様に、コンピュータディスプレイ上に見えるイメージは、メモリに保存されるとき、ビットマップ・イメージに対応する8ビット・グレースケール・ビットマップ・ディスプレイ・イメージの形を採ることになる。表示されたイメージの各ピクセルと関連して28=256(十進法で0から255まで)の可能なグレースケール8ビット値がある。個々の表示画像ピクセルのグレースケール・レベルを直接表すとき、10進値「0」は、黒ピクセル、すなわち、最も暗いグレースケール・ピクセルに対応する。同様にして、10進値「255」は、最も明るいグレースケール・ピクセル、すなわち、「白」を表す。0〜255間の残りの数値は、暗から明までグレーレベルの進行を表している。
【0033】
ここで、まったく同等である2つのディジタル・イメージは、あらゆるイメージ・ピクセルについて0から255までの同じ数値を有することになることに注意されたい。逆に、同等でない2つのディジタル・イメージは、すべてのイメージ・ピクセルについて同じ数値を持つことはない。2つのまったく同等のディジタル・イメージのあらゆる対応するイメージ・ピクセル間の算術的な差は0となる。このことは、2つの同等のディジタル・イメージを差分計算することから得られた差分イメージが完全に黒いイメージとして表示されることになることを意味する。2つの異なるディジタル・イメージを差分計算することから得られた差分イメージは、完全に黒いイメージとなることはない。イメージ差分表現機能は、2つのディジタル・イメージ間の軽微な変更を観察するためのツールとなる。
【0034】
一実施形態において、応力付与要素は真空を使用する。タイヤの所与領域と関連したスペックルパターンは、タイヤ表面の非常に小さい変形と共に変化することになる。このような表面変形は、真空検査室内に圧力降下が生じたときに発生し、層間はく離内部の空気が膨張してタイヤ内面に変形を生じさせる。
【0035】
実地の面から言うと、下層の局所的な層間はく離が存在するタイヤ表面領域の2つのスペックルパターン・イメージは、2つのイメージが異なった真空レベルで採取された場合、異なることになる。また、これらのイメージは、層間はく離と関連した変形領域においてのみ数値的に異なることになる。2つのイメージの差分イメージは、変形が発生した領域を除いて至る所で黒いことになる。イメージの変形領域においては、種々のシェードのグレー・ピクセルがあることになる。変形領域は、差分計算イメージで観ることができる。
【0036】
この検査法の一実施形態においては、タイヤのレーザ照明内面領域の6つのディジタル・イメージが採られ、各イメージは6つの真空レベルのうちの1つの真空レベルで採られる。レーザは、波長808ナノメートルのガリウムヒ素レーザ、カナダ国オンタリオ州トロントのWorld Star Tech.(worldstartech.com)によって供給されるモデルUH5−200808である。第1のイメージを0.0インチHg(大気圧)で採る。この第1のイメージはベース・イメージと呼ぶ。5つの残りのイメージを、それぞれ、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5インチHgで採る。これら6つのイメージをコンピュータメモリに保存する。ベース・イメージを差分計算しようとしている2つのイメージのうちの1つとして使用して次の5つの差分計算イメージを得ることになる。5つの差分計算イメージを作るのに使用された他のイメージは、5つの非ベース・イメージである。5つの差分計算イメージの各々は、ノイズをフィルタ除去し、コントラスト/輝度を向上させるように処理する。他の処理を使用してもよい。すなわち、自動異常検出、特殊効果、フィルタリング、ノイズ低減、シャープニング、引き伸ばし、カラー化、ポジ、ネガなどを含む利用可能な画像処理ソフトウェアまたはカスタム画像処理ソフトウェアの任意組み合わせを使用してもよい。5つの処理済みのイメージを累積加算する。2つのイメージの加算毎に、この加算で形成された新しいイメージを処理する。所与のタイヤ領域についての評価のために最終的なイメージを使用する。好ましい検査法を使用して複数の検査領域を検査してタイヤ全体を評価する。
【0037】
ここで、表示とは、肉眼で見えるか見えないかに関わらずイメージの様々な電子出力を含むことを意味しており、画面表示、ハードコピーまたは電子イメージを含むことは了解されたい。電子イメージは、肉眼に対して実際にイメージを表示することなく検査対象が検査基準をパスしたかどうかを決定するのに使用できる。
【0038】
ここで図面に戻る。
【0039】
図1は、ASTMF1364−92と同じとみなされる検査設備で得た従来技術シアログラムである。見やすくするために、図1は白地に黒のイメージであるが、実際のASTM検査からの1出力では黒地に白である。ここで、この出力における異常が側方変位イメージであることを留意されたい。
【0040】
図2は、本発明の異常検出装置の概略図である。一般的に、異常検出装置10は、真空出口14を有するものとして示す真空室12内に入っている。タイヤ16は、支持部材(図示せず)上に置いてあり、真空室の外側にあるモータ駆動式コンベヤ(図示せず)上に置いて真空室内へ移動させてもよい。このような技術はこの技術分野では周知である。異常検出装置は、軸20に装着したレーザ18からなり、この軸は、回転できると共に、真空装置内で前後に移動できる。レーザ18から放出されたコヒーレント光22は、ポイント26ならびに種々の他のポイントのところでタイヤの内面24で反射する。レーザ18からのコヒーレント光22は、ディフューザ30を通過し、このディフューザ30は、見ようとしているタイヤ基体24の部分を横切っての光の拡散を容易にする。拡散光27は、ビーム32で示すように、基体24のポイント26からスペックル状に反射する。光は、スペックル状であり、カメラ40に取り込まれる。好ましくは、カメラ(単数または複数)は、電荷結合素子としてこの工業分野で周知のCCD集合体である。他の感光性検出設備を利用してもよい。このカメラはイメージ・センサと呼ぶことができる。すなわち、タイヤ表面24上へ直射的にレーザ光線を当てることで得られたスペックルド・イメージ32を検出する。
【0041】
ディフューザは、より高いディフューザ伝送効率を有する25mm直径のホログラフィック・ディフューザである。あるいは、ディフューザは、直径25ミリメートルの乳白拡散ガラスであってもよい。これらは、共にニュージャージー州バリントンのEdmund Industrial Opticsから入手可能である。
【0042】
カメラとコンピュータがワイヤ42を介して電気的に接続している。ここで、レーザおよびカメラの動作のために電流は必要であるが、カメラからの出力は、平行線43で表した周知の無線通信技術によってもコンピュータ44に供給できることは了解されたい。コンピュータ・ハードドライブ44が、スペックルド出力32の表示のためにモニタ46に取り付けてある。
【0043】
ここで、基体24上で拡散したコヒーレント・レーザ光線は基体から反射し、取り込みはCCD40による反射32の直接的な取り込みであることは了解されたい。これは、光学シヤリング装置を使用する従来技術のシアログラムまたはインターフェロメトリで利用されるものとは異なる。図2、3A、3Bに示す装置の直接出力が図5に示すものである。ここで、図5の出力が、所望の出力をどのように見たいかということに応じて、白地に黒または黒地に白のいずれであってもよいことは了解されたい。イメージがイメージ・センサによって取り込まれるので、イメージの各ピクセルはデジタル形態で識別するかまたは保存できる。たとえば、白色または黒色を除いてイメージの異なった部分にカラーを割り当て、イメージを強調できる。
【0044】
同様にして、この設備の動作が図3A、3Bに示してある。これらの図では、異なったポイント26のところに多数の拡散光線27がある。拡散要素30からの光27は、図2、3A、3Bに示すように拡散する。
【0045】
タイヤに応力付与要素、たとえば、真空の付与、光の付与、気体の付与、撓みを与える機械力の付与、タイヤを振動させる音響の付与またはその他の振動技術を適用すると、その結果、タイヤ基体24が動き、これがポイント26からのレーザ光線の反射を生じさせる。図3Bは、タイヤの滑らかな表面24から膨張形態すなわち変形状態24までの変化を誇張して示している。したがって、レーザ光線が異なった角度に偏向し、反射したスペックルド光32となり、これがCCDカメラ40で取り込まれるイメージを創り出す。
【0046】
電気ケーブル42が平行マーク43を持って示してあるが、このことは、カメラからコンピュータ・モニタまでイメージを送るための直接的なワイヤを必ずしも必要とせず、無線技術により行うことができることを意味している。カメラによるイメージの取り込みは、この技術分野では周知である。技術が周知であるイメージのアニメーションの形を採ってもよい。
【0047】
アニメーションがどのように生じるかを視覚的に説明するために、図4A、4Bを参照する。図4Aは凡例を示している。それによって、種々の真空レベルで取り込まれたイメージに参照目的のために名称を与える。図4Bは、タイヤの内面の或る1つの領域を評価するのに使用するステップのシーケンスを示している。検査シーケンスは、50で示すボックスで開始し、ステップ68で終わる。51のところで、タイヤ領域のベース・イメージを取り込む。その間、タイヤに応力をかけず、0.0インチHgの圧力(大気圧)にさらす。図4Aに示す凡例から、このイメージは0_0で示される。0_0で示されるこのベース・イメージは、ステップ51中にイメージ「A」として保存する。一貫性を保つために、ボックス52のところで、ベース・イメージは、それ自体で差分計算し、アニメーションの第1のイメージとして表示される黒色イメージとなる。このイメージは、「AA」として53のところで保存する。ここで、黒色イメージはタイヤ領域を実際に像形成することなくソフトウェアで作ることができるが、検査シーケンスの以降のステップで使用されるのでベース・イメージ「A」は実際に取り込まれることは了解されたい。イメージAAが54で表示された後、次のイメージがステップ55で取り込まれる。このとき、タイヤは0.5インチHgの真空にさらす。このイメージ「0_5」はステップ55で「B」として保存する。56のところで、イメージBをベース・イメージAで差分計算し、イメージ「AB」を作り、これをステップ57で保存する。次いでABを58で表示し、このABはアニメーション・シーケンスにおける第2イメージとして役立つ。ステップ60ならびに以降のステップ63、64、66で、先に表示したイメージを、直前のステップで形成されたイメージに加算する。たとえば、ステップ60で、先に表示したイメージはABである、このイメージに加算するイメージは、たった今形成されたイメージ「AC」であり、これをステップ59で保存する。新しく形成されたイメージは、ステップ61で「A_C」として保存する。次に、A_Cをステップ62で表示する。検査の途中、0.5インチHg増分毎にイメージを取り込み、最終的なイメージ「2_5」は、タイヤを2.5インチHg真空にさらしながら取り込む(ステップ65)。67のところで、アニメーション・シーケンスにおける最終的なイメージを表示する。タイヤ検査中に得られたイメージは、図5に示すように印刷出力の主題となり得る。このような技術の代表例が図5に示してある。ここでは上記のASTM検査技術に従った手順を利用しているが、ただし、図1、2の装置を干渉計技術の代わりに使用した点で異なる。
【0048】
ここで、また、たとえ図4A、4Bが0.0Hgから2.5Hgの真空サイクルを示していても、真空レベルまたはセット・ポイントの増減の任意組み合わせを使用できることも了解されたい。一例として、5.5Hgから1.0Hgがある。
【0049】
ペックルド・イメージを処理し、それを表示するのに利用される ソフトウェアは、任意の市販の画像処理ソフトウェア、たとえば、ミネソタ州エデン・プレーリーのJasc Software Incの供給するPAINT SHOP PRO V. #8.0であってもよい。使用できる他のソフトウェアとしては、テキサス州オースティンのNational Instrumentsから入手可能なLabViewがある。
【0050】
図5は、ASTM手順を利用したときのイメージAAからA_Fまでのうちの任意の1つの代表例である。ただし、干渉計技術の代わりに図1、2の装置を使用した。図5は、ASTMキャリブレーション装置のイメージを示している。ここで、このイメージは、応力をかけられたキャリブレーション装置の基体から反射されたイメージである。レーザ光線は基体上で直接拡散し、拡散光の反射をカメラによってスペックルド・イメージとして取り込まれ、コンピュータメモリに保存され、これを順次利用して図5の出力を生成する。ここで、この出力がタイヤ上に拡散したコヒーレント光の拡散ビームから得られた異常の計測可能な代表例として特徴付けられることに留意されたい。反射光源のイメージは散乱スペックル反射として特徴付けることができることにも留意されたい。さらに、タイヤは、応力をかけなかったり、応力をかけたりした状態または多数の応力をかけた状態にあってもよいことにも了解されたい。コンピュータは、これらの状態のすべてまたはその一部を比較し、表示できる。本発明は、演算した出力形態におけるこのような比較のすべてを含む。
【0051】
本技術の利用により、異常の数量的測定が容易になる。数量的測定の代わりに、コンピュータ・モニタ上に示されるか、または、図5のような出力として生成されたイメージで異常を計測することによって異常範囲を評価してもよい。従来技術では、タイヤにおける異常の範囲を確認するために異常のこのような測定または計測を行うことができなかった。
【0052】
ここに説明した本発明の好ましい実施形態においては、光の動きに合わせたミラーを利用していない。しかしながら、光源、カメラ、ディフューザ、検査基体および基体の採ろうとしているイメージの数に応じてミラーを使用してもよいことは了解されたい。特定の所望検査技術および状態の下でミラーを使用してもよい。
【0053】
ここに開示した発明の形態は現在のところ好ましい実施形態をなすものではあるが、ほかに多く実施形態が可能である。本発明の可能な限りの同等の形態または変更をすべて述べることはここでは意図していない。ここで用いた用語が、限定の意味で用いているのではなくて単なる説明のためのものであり、発明の精神または範囲から逸脱することなく種々の変更をなし得ることは理解されたい。たとえば、利用するレーザのタイプは実質的に変更可能であり、ここに説明したコンピュータのソフトウェアは、コンピュータまたはコンピュータ装置に関する技術における変化およびソフトウェアのタイプに対するアップデートに応じて変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来技術シアログラムである。
【図2】本発明の装置の概略図である。
【図3A】タイヤが応力をかけられていない場合のタイヤ検査設備の概略図である。
【図3B】タイヤが応力をかけられた状態に或る場合のタイヤ検査設備の概略図である。
【図4A】図4Bのための凡例である。
【図4B】応力をかけられていないときおよび真空作用のような普通の応力をかけた状態を適用したときの応力をかけられた状態の異なったイメージを取り込み、演算処理するコンピュータの演算シーケンスのブロック図である。
【図5】検査対象として使用される較正ブロックを示しているタイヤ検査装置および本発明の方法の代表的な出力である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ表面上に直接的に光をあてるコヒーレント光の光源であり、光がタイヤから反射する光源と、タイヤに応力をかけることができる圧力付与装置と、タイヤが応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態にあるときにタイヤから直接反射してきた光を受け取るための反射光受け取り装置と、タイヤが応力をかけられているときおよび応力をかけられていないときの反射光受け取り装置からの反射光イメージを比較し、タイヤにおける異常を確認し、比較から得た出力を生成するプロセッサと、プロセッサに電子的に接続してあってプロセッサからの出力を表示できるディスプレイ装置とを含む、タイヤにおける異常を検出するための異常検出装置。
【請求項2】
光が複屈折材料またはシヤリング光学部品材料を透過しない、請求項1記載の装置。
【請求項3】
光源がレーザである請求項1記載の装置。
【請求項4】
さらに、光源とタイヤの間に設置してあり、タイヤ表面の一部に渡って光を分布させるディフューザを含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
さらに、光源とタイヤの間に設置してあり、タイヤの一部にわたって光を均等に分布させるディフューザを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
反射光受け取り装置がカメラである、請求項1記載の装置。
【請求項7】
カメラがコンピュータに電子的に接続してある、請求項6記載の装置。
【請求項8】
プロセッサが出力を表示するコンピュータで作動するソフトウェアである、請求項1記載の装置。
【請求項9】
コヒーレント光の光源を用意する工程と、タイヤ表面上に直接的に光をあて、タイヤからの反射光を生成する工程と、タイヤに応力をかける工程と、タイヤが応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態にあるときにタイヤから直接反射してきた光を受け取るための反射光受け取り装置を用意する工程と、タイヤが応力をかけられているときおよび応力をかけられていないときの反射光受け取り装置からの反射光イメージを見て比較し、タイヤにおける異常を確認し、比較から得た出力を生成するプロセッサを用意する工程と、プロセッサに電子的に接続した装置からプロセッサからの出力を表示する工程とを含む、タイヤにおける異常を検出する方法。
【請求項10】
光が複屈折材料またはシヤリング光学部品材料を透過しない、請求項9記載の方法。
【請求項11】
光源がレーザである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
さらに、光源とタイヤの間に設置したディフューザによって、タイヤの一部にわたって光を分布させる工程を含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
さらに、光源とタイヤの間に設置したディフューザによって、タイヤの一部にわたって光を均等に分布させる工程を含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
反射光受け取り装置がカメラである、請求項9記載の方法。
【請求項15】
さらに、カメラからコンピュータへイメージを送る工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
プロセッサが出力を表示するコンピュータで作動するソフトウェアである、請求項9記載の方法。
【請求項17】
請求項9記載の方法の製品。
【請求項18】
出力が、タイヤが応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態にあるときに光が当たっているタイヤ表面上に直接示されるコヒーレント光の光源の反射拡散ビームからのものであり、出力が、応力をかけられた状態および応力をかけられていない状態または多数の応力をかけられた状態においてタイヤ上に示される反射光を比較した結果であり、出力が、タイヤ上に示されたるコヒーレント光の拡散ビームから得られる異常の単一イメージとして特徴付けられる、コンピュータからの出力を含むタイヤの異常のイメージ。
【請求項19】
光が複屈折材料またはシヤリング光学部品材料を透過しない、請求項18記載のイメージ。
【請求項20】
タイヤにおける異常を大きさを決めるために基準化した請求項18記載のイメージ。
【請求項21】
散乱スペックル反射として特徴付けられる、請求項18記載のイメージ。
【請求項22】
光源からの光がディフューザを通過してからタイヤ表面に当たる、請求項18記載のイメージ。
【請求項23】
出力が白地に黒または黒地に白である、請求項18記載のイメージ。
【請求項24】
出力がイメージの可視性を向上させるように多数のカラーとなっている、請求項18記載のイメージ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−505313(P2007−505313A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526147(P2006−526147)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/028219
【国際公開番号】WO2005/025894
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506081552)シェアログラフィックス・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】