説明

タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ

【課題】特定の粘着付与剤を配合し、石油系樹脂やテルペン系樹脂を配合した場合と比べても、粘着性および各種物性が向上するタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】アルキッド樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ。前記アルキッド樹脂中には、石油外資源由来の材料、とくには、動物および/または植物由来の材料、さらには、動物油および/または植物油由来の材料を含むことが好ましく、さらに、不飽和多塩基酸を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に配慮し、さらに、高性能なタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着付与剤として、トレッドやサイドウォール用ゴム組成物には、石油などの化石燃料に由来するフェノールレジンや石油系レジンなどが用いられている。
【0003】
近年、地球環境問題が重視されるようになり、従来使用されている石油系オイル由来のレジンに代わる新しい粘着付与剤が求められているため、石油系オイルの代わりに環境に配慮した植物油などの石油外資源由来の粘着付与剤を配合することが好ましい。
【0004】
粘着付与剤として、石油外資源由来の材料(バイオマス材料)であるロジンやテルペン系樹脂などを使用したゴム組成物が知られているが、粘着性付与能力や各種物性などに改善の余地がある。たとえば、テルペン系樹脂で粘着力を高める場合、石油系モノマーを共重合する手法を用いるため、環境に配慮するという観点では好ましくない。
【0005】
特許文献1には、特定の性質を有するロジンエステル樹脂を特定量配合することで、グリップ性能および耐摩耗性に優れるゴム組成物が開示されているが、充分な粘着性の改善効果が得られにくく、グリップ性能および耐摩耗性においても、改善の余地がある。
【0006】
【特許文献1】特開2005−248056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特定の粘着付与剤を配合し、石油系樹脂やテルペン系樹脂を配合した場合と比べても、粘着性および各種物性が向上するタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アルキッド樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0009】
前記アルキッド樹脂中に、石油外資源由来の材料を50重量%以上含むことが好ましい。
【0010】
前記石油外資源由来の材料は、動物および/または植物由来の材料であることが好ましく、動物油および/または植物油由来の材料であることがより好ましい。
【0011】
前記植物由来の材料は、パームオイルおよび/またはパームカーネルオイル由来の材料であることが好ましい。
【0012】
前記アルキッド樹脂中に、不飽和多塩基酸を含むことが好ましい。
【0013】
前記タイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分中に、天然ゴムおよび/または改質天然ゴムを50重量%以上含むことが好ましい。
【0014】
本発明の空気入りタイヤは、前記タイヤ用ゴム組成物を用いたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アルキッド樹脂を粘着付与剤として配合することで、石油系樹脂やテルペン系樹脂を配合した場合と比べても、硬度の上昇を抑制し、転がり抵抗の低減および粘着性の向上の点で非常に優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
【0016】
とくに、本発明のタイヤ用ゴム組成物をトレッドに用いることで、耐摩耗性を維持しながらウェットグリップ性能を向上させることができ、また、本発明のタイヤ用ゴム組成物をサイドウォールに用いることで、引裂強さを維持しながら耐クラック性能を向上させることができる。
【0017】
さらに、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、アルキッド樹脂を配合することで、石油資源由来の材料を削減でき、CO2排出による地球温暖化などの環境問題の解決に寄与することができる。
【0018】
そのうえ、アルキッド樹脂は、天然ゴム、改質天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムなどを硫黄加硫した際に見られる加硫もどり(リバージョン)を抑制するため、高温短時間加硫をした際にも良好な性能を得ることができ、生産性も向上できるので、非常に好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分およびアルキッド樹脂を含む。
【0020】
本発明で使用するゴム成分としては、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などがあげられ、これらは単独で用いても、混合して用いてもよい。なかでも、トレッド用やサイドウォール用として、耐摩耗性、耐疲労特性および耐屈曲亀裂成長性において優れるなどの効果が得られることから、NR、改質天然ゴム、SBRおよびBRからなる群から選ばれる1種以上のゴムが好ましく、さらに、環境に配慮した観点から、NRおよび/または改質天然ゴムがより好ましい。
【0021】
SBRの結合スチレン量は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。結合スチレン量が10%未満では、トレッド用として用いた場合に充分なグリップ性能が得られにくくなる傾向がある。また、結合スチレン量は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。結合スチレン量が60%をこえると、トレッド用として用いた場合に耐摩耗性が悪化する傾向がある。
【0022】
BRは、90%以上がシス1,4−結合である高シスBRが好ましい。該BRを配合することにより、特にトラック・バス用タイヤのトレッド用途や、一般の乗用車用も含めたサイドウォール用途において、耐屈曲亀裂成長性および耐老化性能を改善することができる。
【0023】
SBRおよび/またはBRを配合する場合、SBRおよび/またはBRの含有率は、ゴム成分中に50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。SBRおよび/またはBRの含有率が50重量%をこえると、全体として石油資源比率が高くなり、環境に配慮するという本発明の特徴を出しにくくなる傾向がある。とくに、サイドウォール用ゴム組成物とする場合、通常SBRは使用できず、BRの含有率を50重量%以下とすることが好ましく、30重量%以下とすることがより好ましい。
【0024】
改質していないNRを配合する場合、該NRの含有率は、85重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。該NRの含有率が85重量%をこえると、耐屈曲亀裂成長性および耐オゾン性に問題が生じる可能性がある。なお、トレッド用ゴム組成物とする場合、該NRの含有率は80重量%以下とすることが好ましく、サイドウォール用ゴム組成物とする場合、該NRの含有率は15〜85重量%とすることが好ましい。
【0025】
改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴムなどがあげられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、トレッド用途では、必要なグリップ性能を得ることができ、サイドウォール用途では、NRと適度な大きさの海島構造をつくり、耐屈曲亀裂成長性を改善でき、他の改質天然ゴムに比べて比較的安価に入手できるという理由から、ENRが好ましい。ENRには、NRと比較してリバージョンをおこしやすいという問題もあるが、ENRにアルキッド樹脂を配合すると、とくに高温加硫をした場合により大きな物性改善効果が得られるため、好ましい。
【0026】
ENRとしては、市販のENRを用いてもよいし、NRをエポキシ化して用いてもよい。NRをエポキシ化する方法は、とくに限定されるものではなく、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などの方法を用いて行なうことができる。過酸法としては、たとえば、NRに過酢酸や過ギ酸などの有機過酸を反応させる方法などがあげられる。
【0027】
ENRのエポキシ化率は、3モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましい。エポキシ化率が3モル%未満では、改質の効果が小さくなる傾向がある。また、エポキシ化率は、80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。エポキシ化率が80モル%をこえると、ポリマーがゲル化する傾向がある。
【0028】
改質天然ゴムを配合する場合、トレッド用途では、改質天然ゴムの含有率は、ゴム成分中に30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。改質天然ゴムの含有率が30重量%未満では、改質天然ゴムの配合によるグリップ性能改善などの効果が充分ではない傾向がある。一方、サイドウォール用途では、改質天然ゴムの含有率は、15〜85重量%が好ましい。サイドウォール用途では、改質天然ゴムの含有率を前記範囲内に設定することで、NRなどの他のゴムと適切な海島構造をつくり、それによって耐クラック性を改善させることができる。
【0029】
ゴム成分中におけるNRおよび/または改質天然ゴムの含有率は、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、75重量%以上がさらに好ましく、85重量%以上がとくに好ましい。NRおよび/または改質天然ゴムの含有率が50重量%未満では、全体として石油資源比率が高くなり、環境に配慮するという本発明の特徴を出しにくくなり、NRや改質天然ゴムとの相溶性がよいアルキッド樹脂の特徴を生かしにくくなる傾向がある。
【0030】
本発明で使用するアルキッド樹脂は、多価アルコールおよび多塩基酸、もしくは多価アルコール、多塩基酸および変性剤を配合し、加熱縮合させることで得られるものをいう。
【0031】
多価アルコールとは、二価以上のアルコールであり、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット、マンニット、ソルビットなどのポリアルコールなどがあげられ、これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、前記縮合反応をする際の官能基数が適切で、分子量が適度なアルキッド樹脂を得られるという理由から、三価アルコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
【0032】
アルキッド樹脂中における多価アルコールの重量比率は、5〜40重量%が好ましく、10〜25重量%がより好ましく、15〜20重量%がさらに好ましい。重量比率が5重量%未満では、前記縮合反応が進みにくくなり、分子量が向上しにくい傾向があり、また、重量比率が40重量%をこえると、多価アルコールが未反応のまま残留したり、過剰な多価アルコールの水酸基により吸湿性が過度に高くなったりする傾向がある。
【0033】
多塩基酸とは、1分子中に金属と置換したり、塩基を中和したりすることのできる水素原子が2個以上含まれている酸、つまり、塩基度が2以上の酸のことをいい、多塩基酸としては、たとえば、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和二塩基酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和二塩基酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの飽和二塩基酸または不飽和二塩基酸の無水物、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物などのディールス−アルダー反応による二塩基酸などがあげられ、これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、より強い粘着性が得られるという理由から、不飽和多塩基酸および/またはその無水物が好ましく、前記縮合反応時の官能基数が適切で、分子量が適度なアルキッド樹脂を得るのに都合がよく、より安価に入手できるという理由から、不飽和二塩基酸およびその無水物がより好ましく、さらに安価に入手できるという理由から、フマル酸、無水フタル酸および無水マレイン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸がさらに好ましく、環境に配慮でき、より強い粘着性が得られるという理由から、植物由来のフマル酸を含むことがさらに好ましい。フマル酸は、従来、アルキッド樹脂の原料として汎用されるマレイン酸などと異なり、カルボキシル基がトランスの位置にあるため、分子間で水素結合し、それにより高い粘着性を与えることが可能となる。
【0034】
アルキッド樹脂中における多塩基酸の重量比率は、10〜50重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。重量比率が10重量%未満では、前記縮合反応が進みにくくなり、適度な分子量が得られにくい傾向があり、また、重量比率が50重量%をこえると、粘着力が低下したり、ゴムに配合した際に硬度が上昇しすぎたりする傾向がある。
【0035】
変性剤としては、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、羊脂、牛脚脂などの動物油、パームオイル、パームカーネルオイル、大豆油、オリーブオイル、ナタネ油、ゴマ油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油などの植物油などの石油外資源由来の油脂、ロジン、コハク、セラックなどの天然樹脂、エステルガム、フェノール樹脂、炭素樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂などがあげられ、これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、環境に配慮する観点から、石油外資源由来の油脂または天然樹脂が好ましく、安価に入手でき、硬度を過度に上昇させずに粘着性を付与できることから、動物油および/または植物油がより好ましく、植物油がさらに好ましい。植物油としては、パームオイルおよび/またはパームカーネルオイルが好ましく、パームカーネルオイルがより好ましい。
【0036】
アルキッド樹脂中における変性剤の重量比率は、10〜85重量%が好ましく、30〜75重量%がより好ましく、40〜65重量%がさらに好ましい。重量比率が10重量%未満では、アルキッド樹脂をゴムに配合した際に硬度が過度に上昇する傾向があり、また、重量比率が85重量%をこえると、多価アルコールおよび多塩基酸の重量比率が低下し、前記縮合反応が進みにくくなり、分子量が適度なアルキッド樹脂が得られにくくなる傾向がある。
【0037】
アルキッド樹脂中の石油外資源由来の材料の比率(バイオマス比率)は、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がとくに好ましい。バイオマス比率が50重量%未満では、石油資源由来材料の比率が高くなり、環境に配慮したゴム組成物を得ることが難しい傾向がある。
【0038】
アルキッド樹脂の酸価は、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。酸価が5未満では、安価に入手または合成するのが難しい傾向がある。また、酸価は、60以下が好ましく、30以下がより好ましい。酸価が60をこえると、架橋密度が低下し、摩耗外観の悪化や走行中の硬度の低下を引き起こす傾向がある。ここで酸価とは、樹脂をトルエンなどの有機溶媒に溶解させて、水酸化カリウム(KOH)にて中和滴定するときに、樹脂1gあたりの中和滴定に必要なKOHの添加量(mg)をいう。
【0039】
アルキッド樹脂の水酸基価は、50以上が好ましく、70以上がより好ましい。水酸基価が50未満では、充分な粘着性を得るのが難しい傾向がある。また、水酸基価は、100以下が好ましく、90以下がより好ましい。水酸基価が100をこえると、ゴムに配合した際にロスが大きくなり、転がり抵抗が悪化する傾向がある。ここで水酸基価とは、樹脂をアセチル化させてKOHにて中和するときに、樹脂1gから得られる樹脂のアセチル化物に結合している酢酸を中和するのに必要なKOHの添加量(mg)をいう。
【0040】
アルキッド樹脂の数平均分子量(Mn)は、250以上が好ましく、500以上がより好ましく、1000以上がさらに好ましい。Mnが250未満では、ブリードしたり、場合によっては、加硫時に揮発してゴムが発泡したりする傾向がある。また、Mnは、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、1500以下がさらに好ましい。Mnが5000をこえると、硬度が過度に上昇し、グリップ性能、特にウェットグリップ性能が低下し、燃費が悪化する傾向がある。
【0041】
アルキッド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、450以上が好ましく、900以上がより好ましい。Mwが450未満では、ブリードしたり、加硫時に揮発してゴムが発泡したりする傾向がある。また、Mwは、10000以下が好ましく、6000以下がより好ましく、3000以下がさらに好ましい。Mwが10000をこえると、硬度が過度に上昇し、ウェットグリップ性能が低下したり、燃費が悪化したりする傾向がある。
【0042】
なお、本発明における分子量とは、GPCにて測定されるポリスチレン換算の分子量を示す。
【0043】
アルキッド樹脂の軟化点は、−40℃以上が好ましく、−20℃以上がより好ましく、0℃以上がさらに好ましい。軟化点が−40℃未満では、充分な粘着性が得られにくい傾向がある。また、軟化点は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。軟化点が30℃をこえると、転がり抵抗が増大したり、硬度が過度に上昇してウェットグリップ性能が低下したりする傾向がある。
【0044】
アルキッド樹脂の含有量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましく、1.5重量部以上がさらに好ましい。アルキッド樹脂の含有量が0.5重量部未満では、リバージョン抑制効果が得られず、さらに、充分な粘着性も得られにくい傾向がある。また、アルキッド樹脂の含有量は、10重量部以下が好ましく、7重量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらに好ましい。アルキッド樹脂の含有量が10重量部をこえると、転がり抵抗が著しく上昇し、耐摩耗性が低下する傾向がある。なお、トレッド用ゴム組成物とする場合、アルキッド樹脂の配合量は0.5〜10重量部とすることが好ましく、サイドウォール用ゴム組成物とする場合、アルキッド樹脂の配合量は1〜10重量部とすることが好ましい。
【0045】
アルキッド樹脂は、芳香族系(アロマ系)オイル、大豆油、パーム油などの軟化剤と併用しても構わない。併用するものとしては、価格が安いという観点ではアロマオイル、環境に配慮するという観点では大豆油、パーム油等の植物油と併用することが好ましい。特にゴムとしてNRや改質天然ゴムを主成分とするような系では、アルキッド樹脂および植物油を併用することで、硬度を過度に上昇させることなく、粘着性の向上および転がり抵抗の低減を実現させることができる。
【0046】
軟化剤として用いる植物油のヨウ素価は、5〜150が好ましく、40〜140がより好ましい。ヨウ素価が5未満のものは安価に入手しにくい傾向がある。また、ヨウ素価が150をこえると、tanδおよび硬度が上昇し、熱老化特性が悪化する傾向がある。
【0047】
植物油の炭素数18以上の脂肪酸成分の含有率は、5〜100%が好ましく、20〜97%がより好ましく、50〜95%がさらに好ましい。脂肪酸成分の含有率が5%未満では、分子量が低下し、ブリードしやすくなる傾向がある。また、脂肪酸成分の含有率は高いほうがよいが、過度に上昇させたものは容易に入手しにくく、コストが上昇する傾向がある。
【0048】
アルキッド樹脂と植物油を併用する場合、植物油の含有量は、ゴム成分100重量部に対して、2〜30重量部が好ましく、4〜15重量部がより好ましい。植物油の含有量が2重量部未満では、ゴムの硬度が高くなりすぎる傾向がある。また、植物油の含有量が30重量部をこえると、ゴムの強度が低下しすぎたり、植物油の種類によってはブリードしてきたりする傾向がある。
【0049】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、さらに、無機充填剤を含有することが好ましい。前記無機充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイト、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、クレー、タルク、酸化マグネシウムなどがあげられる。なかでも、環境的観点から、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイト、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、クレー、タルク、酸化マグネシウムが好ましく、とくに、アルキッド樹脂と併用することでゴムの補強性を確保するために、シリカが好ましい。
【0050】
無機充填剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、10〜150重量部が好ましく、20〜100重量部がより好ましい。無機充填剤の配合量が10重量部未満では、補強性を充分に確保できない傾向がある。また、無機充填剤の配合量が150重量部をこえると、加工性に劣る傾向がある。
【0051】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、さらに、シリカとともにシランカップリング剤を併用することができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ポリスルフィドなどがあげられ、これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、カップリング剤添加効果とコストの両立から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが好適に用いられる。
【0052】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分、アルキッド樹脂、軟化剤、無機充填剤およびシランカップリング剤の他に、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックスなどの通常ゴム工業にて使用される配合剤を適宜配合することができる。
【0053】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、成形時に粘着性が必要とされ、加硫時に金型に接するため、リバージョンを抑制することがとくに重要であり、タイヤ中の部材としては、最も体積および重量が大きいことから、トレッドおよび/またはサイドウォールに使用することが好ましい。
【0054】
本発明の空気入りタイヤは、本発明のタイヤ用ゴム組成物を用い通常の方法で製造される。すなわち、必要に応じて前記配合剤を配合した本発明のタイヤ用ゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドまたはサイドウォールの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼りあわせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより本発明のタイヤを得る。
【実施例】
【0055】
実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0056】
(アルキッド樹脂の合成)
下記作製方法により、実施例に用いるアルキッド樹脂を作製した。なお、多価アルコール、多塩基酸および変性剤の配合量は、表1の配合処方にしたがった。
【0057】
パームカーネルオイル(PKO)を、水酸化リチウム(アルカリ触媒)の存在下で攪拌しながら180〜200℃で処理し、その後、180℃になるまで冷却し、攪拌しながら無水フタル酸およびキシレン(反応溶媒)を添加し、さらに、グリセリンを添加して210〜220℃になるまで昇温して反応させ、反応によって生成した水や溶媒などを減圧除去し、アルキッド樹脂1を作製した。
【0058】
多塩基酸として、無水フタル酸を添加する際に、同時にフマル酸も添加した以外はアルキッド樹脂1と同様に、アルキッド樹脂2、3および4を作製した。
【0059】
変性剤として、PKOのかわりに魚油を添加した以外はアルキッド樹脂1と同様に、アルキッド樹脂5を作製した。
【0060】
多塩基酸として、無水フタル酸を添加する際に、同時に無水マレイン酸も添加した以外はアルキッド樹脂1と同様に、アルキッド樹脂6および7を作製した。
【0061】
得られたアルキッド樹脂1〜7の各種特性を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
次に、実施例および比較例で用いたアルキッド樹脂以外の薬品をまとめて説明する。
スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のニッポールNS116(溶液重合SBR、結合スチレン量:21%、ガラス転移温度:−25℃)
天然ゴム(NR):RSS#3
エポキシ化天然ゴム(ENR):GUTHRIE POLYMER SDN.BHD社製のENR−25(エポキシ化率:25モル%、ガラス転移温度:−41℃)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3(BET比表面積:175m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi−69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
大豆油:日清製油(株)製の大豆白絞油(S)(ヨウ素価:131、炭素数18以上の脂肪酸成分:84.9%)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
石油系レジン:丸善石油化学(株)製のマルカレッツT100AS(脂肪族系炭化水素樹脂、軟化点:100℃)
テルペンレジン:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジン PX300N(数平均分子量:2500、重量平均分子量:4800、軟化点:30℃)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエース0355
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤BBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルファンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
【0064】
実施例1〜19および比較例1〜9
(未加硫ゴム組成物の作製)
トレッド用未加硫ゴム組成物は、(株)神戸製鋼所製の1.7L密閉式バンバリーミキサーを用いて、表2〜3の工程1の配合処方に記載の薬品を充填率が58%になるように配合し、回転数80rpmで、混練機の表示温度が140℃になるまで3〜8分間混練りし(工程1)、混練物1を得た。なお、実施例1〜2および比較例1では、シリカの配合量が多いため、まず、シリカ50重量部およびシランカップリング剤4重量部ならびに表1の工程1に記載のその他の薬品をその配合処方にしたがって配合し、4分間混練りし、排出した後、表1の工程1に記載の残りの薬品(シリカ50重量部およびシランカップリング剤4重量部)を配合し、混練物1を得た。得られた混練物1に、硫黄ならびに加硫促進剤BBSおよびDPGを表2〜3の工程2の配合処方にしたがい配合し、2軸オープンロールを用いて50℃で3分間混練りする(工程2)ことで、本発明のトレッド用未加硫ゴム組成物を作製した。
【0065】
一方、サイドウォール用未加硫ゴム組成物は、表4の工程3の配合処方に記載の薬品を配合した以外はトレッド用未加硫ゴム組成物の工程1と同様に(工程3)、混練物2を得た。次に、前記バンバリーミキサー中の混練物2に、ENRを表4の工程4の配合処方にしたがい添加して3分間混練りし(工程4)、混練物3を得た。さらに、得られた混練物3に、硫黄および加硫促進剤BBSを表4の工程5の配合処方にしたがい配合した以外はトレッド用未加硫ゴム組成物の工程2と同様に(工程5)、本発明のサイドウォール用未加硫ゴム組成物を作製した。
【0066】
得られたトレッド用およびサイドウォール用未加硫ゴム組成物を用いて、以下の粘着性試験およびリバージョン試験に用いた。
【0067】
(粘着性試験)
(株)東洋精機製作所製のPICMA・タックテスタを用いて、上昇スピード30mm/min、測定時間2.5秒間の条件下で、温度23℃、湿度55%での未加硫ゴム組成物の粘着力[N]を測定した。さらに、基準配合の粘着性指数を100とし、下記計算式により、粘着力を指数表示した。粘着性指数が大きいほど粘着力が大きく、優れていることを示す。なお、基準配合は、実施例1〜2および比較例1では比較例1、実施例3〜17および比較例2〜6では比較例2、実施例18〜19および比較例7〜9では比較例7とした。
(粘着性指数)=(各配合の粘着力/基準配合の粘着力)×100
【0068】
(リバージョン試験)
キュラストメーターを用い、170℃における未加硫ゴム組成物の加硫曲線を測定した。最大トルク(MH)値を100として、加硫開始時点から15分後のトルク値を相対値で示し、相対値を100から引いた値をリバージョン率とした。リバージョン率が小さいほど、リバージョンが抑制され、良好であることを示す。
【0069】
粘着性試験およびリバージョン試験の評価結果を表2〜4に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
(加硫ゴム組成物の作製)
前記トレッド用およびサイドウォール用未加硫ゴム組成者を必要なサイズに成形し、150℃で30分間(低温加硫)または170℃で12分間(高温加硫)プレス加硫することで、下記転がり抵抗試験および引裂試験に使用する加硫ゴムスラブシートならびにランボーン摩耗試験、ウェットグリップ試験、硬度試験およびデマチャ屈曲亀裂成長試験のそれぞれの試験に必要なサイズの加硫ゴム試験片を作製した。
【0074】
そして、トレッド用途の実施例1〜17および比較例1〜6において、加硫ゴムスラブシートは下記転がり抵抗試験に、加硫ゴム試験片は下記ランボーン摩耗試験、ウェットグリップ試験および硬度試験の各試験に必要なサイズに成形して用いた。一方、サイドウォール用途の実施例18〜19および比較例7〜9において、加硫ゴムスラブシートは下記転がり抵抗試験および引裂試験に、加硫ゴム試験片は下記硬度試験およびデマチャ屈曲亀裂成長試験の各試験に必要なサイズに成形して用いた。
【0075】
下記各評価試験において、低温加硫した加硫ゴム組成物および高温加硫した加硫ゴム組成物の各特性を評価し、実施例1〜2および比較例1では比較例1を、また、実施例3〜17および比較例2〜6では比較例2を、実施例18〜19および比較例7〜9では比較例7を基準配合とし、以下に述べるように、基準配合の低温加硫時の数値を基準に指数表示した。
【0076】
(転がり抵抗試験)
加硫ゴム組成物として、2mm×130mm×130mmの加硫ゴムスラブシートを作製し、そこから測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、各試験用ゴム組成物のtanδを測定し、基準配合の低温加硫時の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により、転がり抵抗特性をそれぞれ指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が低く、優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(基準配合の低温加硫時のtanδ)
÷(各配合の低温加硫時または高温加硫時のtanδ)×100
【0077】
(ランボーン摩耗試験)
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機にて、負荷荷重2.5kg、スリップ率40%、温度20℃、測定時間2分間の条件下で、ランボーン摩耗試験用加硫ゴム試験片を摩耗させて、各配合のランボーン摩耗量を測定し、容積損失量を算出した。さらに、基準配合の低温加硫時のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、耐摩耗性を指数表示した。ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性が優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(基準配合の低温加硫時の容積損失量)
÷(各配合の低温加硫時または高温加硫時の容積損失量)×100
【0078】
(ウェットグリップ試験)
スタンレー社製のポータブルスキッドテスターにて、ASTM E303−83の方法にしたがって最大摩擦係数を測定した。さらに、基準配合の低温加硫時のウェットグリップ指数を100とし、下記計算式により、ウェットグリップ性能を指数表示した。ウェットグリップ指数が大きいほど、ウェットグリップ性能が優れることを示す。
(ウェットグリップ指数)=(各配合の低温加硫時または高温加硫時の最大摩擦係数)
÷(基準配合の低温加硫時の最大摩擦係数)×100
【0079】
(硬度試験)
JIS K6253「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に従い、タイプAデュロメーターにて測定した。さらに、基準配合の低温加硫時の硬度を100とし、下記計算式により、硬度を指数表示した。硬度指数が大きいほど、硬度が大きいことを示す。
(硬度指数)=(各配合の低温加硫時または高温加硫時の硬度)
÷(基準配合の低温加硫時の硬度)×100
【0080】
(引裂試験)
JIS K 6252「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方」に準じて、切り込みなしのアングル型試験片を使うことにより、引裂強さ(N/mm)を測定した。さらに、基準配合の低温加硫時の引裂強さを100とし、下記計算式により、引裂強さを指数表示した。引裂強さ指数が大きいほど、引裂強さが向上し、サイドウォール用ゴム組成物として優れていることを示す。
(引裂強さ指数)=(各配合の低温加硫時または高温加硫時の引裂強さ)
÷(基準配合の低温加硫時の引裂強さ)×100
【0081】
(デマチャ屈曲亀裂成長試験)
JIS K6260「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、加硫ゴム組成物のサンプルに関して、100万回試験後の亀裂長さ、あるいは成長が1mmになるまでの回数を測定し、得られた回数および亀裂長さをもとに、加硫ゴム組成物のサンプルに1mmの亀裂成長がおこるまでの屈曲回数を常用対数値で表現する。なお、70%および110%とは、もとの加硫ゴム組成物のサンプルの長さに対する伸び率を表し、該常用対数値が大きいほど、亀裂が成長しにくく、耐屈曲亀裂成長性が優れていることを示す。
【0082】
上記試験結果を表2〜4に示す。
【0083】
石油系レジンまたはテルペンレジンに替えて、アルキッド樹脂を用いた実施例1〜19では、低温加硫した加硫ゴム組成物および高温加硫した加硫ゴム組成物ともに、リバージョンを抑制し、粘着性を向上させることができる。さらに、硬度の上昇を抑制し、低温加硫時だけでなく、高温加硫時においても、転がり抵抗を向上させることができる。
【0084】
実施例1〜17では、耐摩耗性を維持し、低温加硫時だけでなく、高温加硫時においても、ウェットグリップ性を向上させることができ、とくにトレッド用途として好適である。とくに、天然ゴムおよびその変性物、とくにはENRの比率の高い実施例3〜17では、転がり抵抗がより良好となっている。
【0085】
また、実施例18〜19では、引裂強さを維持し、低温加硫時および高温加硫時ともに、より高い耐屈曲亀裂成長性を維持させることができ、とくにサイドウォール用途として好適である。
【0086】
一方、比較例1〜9では、リバージョンを抑制できない。さらに、トレッド用途の比較例1〜6では、転がり抵抗や耐摩耗性が悪化し、サイドウォール用途の比較例7〜9では、引裂強さや耐屈曲亀裂成長性が悪化しており、トレッド用途およびサイドウォール用度ともに、高温加硫した場合に、著しく悪化している。
【0087】
また、レジンを配合していない比較例1〜2および7では、さらに、粘着性が悪化している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキッド樹脂を含むタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
アルキッド樹脂中に、石油外資源由来の材料を50重量%以上含む請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
石油外資源由来の材料が、動物および/または植物由来の材料である請求項2記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
植物由来の材料が、パームオイルおよび/またはパームカーネルオイル由来の材料である請求項3記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
アルキッド樹脂中に、不飽和多塩基酸を含む請求項1、2、3または4記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
ゴム成分中に、天然ゴムおよび/または改質天然ゴムを50重量%以上含む請求項1、2、3、4または5記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載のタイヤ用ゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2007−119629(P2007−119629A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314448(P2005−314448)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】