タイヤ/ホイール組立体
【課題】タイヤおよびホイール周りの空気流を改善することができるタイヤ/ホイール組立体を提供することにある。
【解決手段】タイヤ/ホイール組立体100は、車両に連結する連結部を備えるホイール102と、ホイール102の外周に装着される空気入りタイヤ1と、を有し、空気入りタイヤ1は、車両外側となるタイヤサイド部Sに多数のタイヤ凸部9を有し、ホイール102は、車両外側となる表面に多数のホイール凸部120を有することで、上記課題を解決する。
【解決手段】タイヤ/ホイール組立体100は、車両に連結する連結部を備えるホイール102と、ホイール102の外周に装着される空気入りタイヤ1と、を有し、空気入りタイヤ1は、車両外側となるタイヤサイド部Sに多数のタイヤ凸部9を有し、ホイール102は、車両外側となる表面に多数のホイール凸部120を有することで、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ/ホイール組立体に関し、さらに詳しくは、タイヤおよびホイール周りの空気流を改善するタイヤ/ホイール組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、車両と連結するホイールに対して組み立てられることで、タイヤ/ホイール組立体となる。例えば、特許文献1は、両側のタイヤ側面の内の少なくとも車両外側の、サイドウォール部からビード部にかけて、回転軸に対して垂直な面に略平行な面が設けられていることを特徴とする車両用タイヤと、車両用タイヤに取り付けられたホイールとが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、車両用ホイールに空気入りタイヤが組み付けられた状態において、本体部の少なくとも一部の表面となる部分に本体部から所定方向に向けて突出する突出部を備えたホイールを備えるタイヤ/ホイール組立体が記載されている。特許文献3には車軸に連結されタイヤが装着されたホイールと、ホイールに取付けられ、ホイールに対してホイール軸回りに相対回転可能とされたホイールキャップと、ホイールキャップの車幅方向外側壁部に車両上下方向に分散配置され、車幅方向外側壁部に沿って車両前方側から車両後方側へ流れる空気流を整流する複数の整流手段と、を備えるタイヤ/ホイール組立体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−274809号公報
【特許文献2】特開2010−6135号公報
【特許文献3】特開2008−1300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献2に示すタイヤ/ホイール組立体は、タイヤが装着されるホイールの車両装着時の外側となる表面に突出部を設けることで、突出部を乗り越える空気流を発生させることができる。これにより、空気入りタイヤの周りの空気を調整することができ、タイヤの温度上昇を抑制することができる。
【0006】
また、特許文献3に記載のタイヤ/ホイール組立体は、回転しないホイールキャップに整流手段を設けることで、タイヤ周りの空気流を整流することができ、空気抵抗を低減することができる。
【0007】
しかしながら、ホイールキャップをホイール軸周りに相対回転可能とする構成は、構造が複雑になる。また、特許文献3に記載の装置でも整流の効果(空気流の改善効果)が不十分である場合がある。また、特許文献2に記載されているようにホイールに突出部を設けたり、タイヤのサイドウォール部に突起部を設けたりすることでも空気流を整流することができるが効果が不十分な場合がある。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤおよびホイール周りの空気流を改善することができるタイヤ/ホイール組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のタイヤ/ホイール組立体は、車両に連結する連結部を備えるホイールと、前記ホイールの外周に装着される空気入りタイヤと、を有し、前記空気入りタイヤは、車両外側となるタイヤサイド部に多数のタイヤ凸部を有し、前記ホイールは、車両外側となる表面に多数のホイール凸部を有することを特徴とする。
【0010】
タイヤ/ホイール組立体は、上記構成により、車両外側の表面(空気入りタイヤおよびホイールの車両外側の表面)で好適な乱流を発生させることができ、単に凸部を設ける面積を大きくする以上に空力性能を飛躍的に向上させることができる。
【0011】
ここで、前記ホイールは、前記車両と連結する連結部と、前記連結部に固定されかつ前記車両外側の表面に露出する表面が円板形状であり、車両外側となる表面を構成するホイールディスクと、を有し、前記ホイール凸部は、前記ホイールディスクに形成されていることが好ましい。ホイールディスクを設けることで、車両外側の表面から組立体の内側に空気が流れることを抑制でき、空力性能をより向上させることができる。
【0012】
また、前記タイヤ凸部は、タイヤ周方向において一部の角度範囲に配置されており、前記ホイール凸部は、少なくとも前記タイヤ凸部が形成されていない角度範囲の全域に配置されていることが好ましい。これにより、空力性能を向上させることができる。
【0013】
また、前記タイヤ凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつ、タイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることが好ましい。これにより、好適に乱流を発生させることができ、空力性能を向上させることができる。
【0014】
また、前記タイヤ凸部は、前記ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることが好ましい。これにより、好適に乱流を発生させることができ、空力性能を向上させることができる。
【0015】
また、前記タイヤ凸部は、少なくとも一部が、前記空気入りタイヤのタイヤ断面幅が最大となる位置からタイヤ径方向の外側に向かって、少なくともタイヤ断面高さの10%以上離れた位置に配置されていることが好ましい。これにより、全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0016】
また、前記タイヤ凸部は、前記タイヤサイド部から突出する高さが0.5[mm]以上10[mm]以下とされていることが好ましい。これにより、空気抵抗を顕著に低減でき、空力性能を向上させることができる。
【0017】
また、前記ホイール凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることが好ましい。これにより、好適に乱流を発生させることができ、空力性能を向上させることができる。
【0018】
また、前記ホイール凸部は、少なくとも一部が、タイヤ径方向において、前記空気入りタイヤが装着されるリム部のタイヤ径方向の外側端部からタイヤ回転軸までの距離をD1とした場合、前記リム部のタイヤ径方向の外側端部から0.1D1以上タイヤ径方向内側に配置されていることが好ましい。これにより、全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0019】
また、タイヤ幅方向おいて、前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記空気入りタイヤの車両外側の端部までの距離をL1とし、タイヤ幅方向における前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記ホイールの車両外側の端部までの距離をL2とした場合、前記距離L1と距離L2とは、L2≦L1の関係を満たすことが好ましい。これにより、全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0020】
また、前記タイヤ凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【0021】
また、前記タイヤ凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【0022】
また、前記ホイール凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【0023】
また、前記ホイール凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るタイヤ/ホイール組立体は、タイヤおよびホイール周りの空気流を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。
【図3】図3は、図1に示す空気入りタイヤの子午断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る空気入りタイヤを車両外側から視た一部外観図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。
【図6】図6は、他の実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。
【図8】図8は、他の実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。
【図9A】図9Aは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9B】図9Bは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9C】図9Cは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9D】図9Dは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9E】図9Eは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9F】図9Fは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図10A】図10Aは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図10B】図10Bは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図10C】図10Cは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図10D】図10Dは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図11A】図11Aは、規定の範囲の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。
【図11B】図11Bは、規定の範囲以下の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。
【図11C】図11Cは、規定の範囲以上の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。
【図12】図12は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図13】図13は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図14】図14は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図15】図15は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図16】図16は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0027】
図1は、本実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。図2は、図1に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。図3は、図1に示す空気入りタイヤの子午断面図である。図4は、本実施形態に係る空気入りタイヤを車両外側から視た一部外観図である。図5は、本実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0028】
タイヤ/ホイール組立体100は、図1および図2に示すように、空気入りタイヤ1と、ホイール102と、を含む。空気入りタイヤ(以下単に「タイヤ」ともいう。)1は、いわゆる空気入りタイヤである。タイヤ1に内部に充填される気体は、空気に限定されるものではない。
【0029】
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、図1から図3に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8とを備えている。空気入りタイヤ1は、使用にあたって、それぞれのビード部5が、ホイール102のリム部104に嵌合する。そして、空気入りタイヤ1とホイール102(より具体的にはホイール102のリム部104)とで囲まれるタイヤ内空間1ISに気体(空気や窒素)が充填される。
【0030】
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施の形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
【0031】
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
【0032】
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度(例えば85度〜95度)を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
【0033】
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
【0034】
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図3で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置された構成、または、例えば2層の補強層を有し、タイヤ径方向内側の補強層がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、タイヤ径方向外側の補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成、あるいは、例えば2層の補強層を有し、各補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
【0035】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、車両(図示せず)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、サイドウォール部4に設けられた指標により示される。以下、車両に装着した場合に車両の内側に向く側を車両内側、車両の外側に向く側を車両外側という。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両の内側(車両内側)および外側(車両外側)に対する向きが指定される。
【0036】
空気入りタイヤ1は、図3に示すように、車両外側のタイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの面よりタイヤの外側に突出する凸部9が多数設けられている。ここで、タイヤサイド部Sとは、図3において、トレッド部2の接地端Tからタイヤ幅方向外側であってリムチェックラインLからタイヤ径方向外側の範囲で一様の連続する面をいう。また、接地端Tとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重の70%をかけたとき、この空気入りタイヤ1のトレッド部2のトレッド面21が路面と接地する領域において、タイヤ幅方向の両最外端をいい、タイヤ周方向に連続する。また、リムチェックラインLとは、タイヤのリム組みが正常に行われているか否かを確認するためのラインであり、一般には、ビード部5の表側面において、リムフランジよりもタイヤ径方向外側であってリムフランジ近傍となる部分に沿ってタイヤ周方向に連続する環状の凸線として示されている。
【0037】
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0038】
凸部9は、例えば、図3に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向に長手状に形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつ、図4に示すようにタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0039】
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両内側のタイヤサイド部に凹凸を設けない構成としたが、車両内側のタイヤサイド部の形態については特に限定されない。本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両内側のタイヤサイド部に車両外側のタイヤサイド部と同様にタイヤ凸部を設けてもよいし、凹部を設けてもよい。
【0040】
次に、ホイール102について説明する。ホイール102は、タイヤ1が取り付けられる。ホイール102は、リム部104と、スポーク106と、ハブ107と、凸部120と、を有する。リム部104は、円筒形状の構造体である。リム部104は、中心軸(Zr軸)と平行な方向(幅方向)における両側に、タイヤ1が有するそれぞれのビード部2B、2Bと嵌合するタイヤ嵌合部105B、105Bを有する。
【0041】
スポーク106は、タイヤ径方向に延在する棒状の部材であり、タイヤ径方向外側の端部がリム部104と連結し、タイヤ径方向内側の端部がハブ107と連結している。スポーク106は、タイヤ周方向に所定間隔を置いて配置されている。
【0042】
ハブ107は、ホイール102の中心部に配置されるとともに、車両の車軸に取り付けられる。ハブ107は、複数のスポーク106によってリム部104と連結される。ハブ107と車両の車軸とは、ボルトとナットを有する締結部材112で連結されている。締結部材112は、ボルトが車軸に取り付けられている。なお締結部材112の構成はこれに限定されない。これにより、ハブ107は、車軸と一体で回転する。なお、ハブ107と車軸との連結方向は、予め決定された1つの方向である。これにより、ホイール102は、車両外側の面と車両内側の面が決まった構造となる。なお、ホイール102は、車軸と接する面が車両内側の面となり、車軸と接する面とは反対側の面が車両外側の面となる。
【0043】
ホイール102は、図2に示すように、スポーク106の車両外側の表面において、当該スポーク106の表面よりタイヤの外側に突出する凸部120が多数設けられている。ここで、スポーク106の表面とは、図2において、車両外側に露出している一様で連続する面(つまり繋がっている1つの面)である。つまり、凸部120は、スポーク106の表面から車両外側に突出した形状であり、図5に示すようにタイヤ幅方向に直交する面において、他の部分との境界線が閉じられた一本の線となる。
【0044】
凸部120は、例えば、図2に示すように、スポーク106の車両外側の表面において、タイヤ径方向に長手状に形成された突条として形成され、かつ、図5に示すようにタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。なお、凸部120は、スポーク106と同一の材料で形成しても、スポーク106とは別材料で形成してもよい。また、凸部120は、金型成型でスポーク106等のホイールの他の部材と一体で形成してもよいし、スポーク106とは別体で形成してスポーク106に貼り付けてもよい。
【0045】
このように、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、車両装着時での車両内外の向きが指定され、車両外側となるタイヤサイド部Sに多数設けられた凸部9と、車両外側となるスポーク106の表面に多数設けられた凸部120と、を備えることで、タイヤの空力性能をより高くすることができる。つまり、タイヤ/ホイール組立体100は、凸部9、凸部120によって車両外側を通過する空気を乱流化させる。このため、タイヤ/ホイール組立体100の周囲に乱流境界層が発生し、タイヤ/ホイール組立体100の車両外側を通過する空気の膨らみが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられ、車両の空気抵抗を低減させ、空力性能を向上させることができる。より具体的には、タイヤ/ホイール組立体100は、凸部9と凸部120を設けることで、凸部9と凸部120の両方を設けない場合よりもタイヤ/ホイール組立体100(の空気入りタイヤおよびホイール)の周りの空気をより適切に整流することができる。さらに、タイヤ/ホイール組立体100は、凸部9と凸部120を設けることで、凸部9と凸部120の一方のみを設ける場合に比べて、タイヤ径方向の一定の範囲に凸部を形成できるため、タイヤ/ホイール組立体100の車両外側の表面(空気入りタイヤおよびホイールの車両外側の表面)で好適な乱流を発生させることができ、単に凸部を設ける面積を大きくする以上に空力性能を飛躍的に向上させることができる。
【0046】
タイヤ/ホイール組立体100は、以上のように空力性能がより高くなることで、走行時の発生するタイヤ/ホイール組立体100の空気抵抗をより少なくすることができ、推進力が低下することを抑制でき、燃費を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、空気入りタイヤ1の凸部9が、タイヤ径方向に長手状に(いわゆるフィン形状で)形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されている。このタイヤ/ホイール組立体100によれば、タイヤ径方向に長手状に形成された突条によって空気をより乱流化させ、かつ周方向に配置されていることによって空気を効率よく乱流化させる。この結果、空気の乱流化の効果を顕著に得ることが可能になる。
【0048】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、ホイール102の凸部120が、タイヤ径方向に長手状に(いわゆるフィン形状で)形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されている。このタイヤ/ホイール組立体100によれば、タイヤ径方向に長手状に形成された突条によって空気をより乱流化させ、かつ周方向に配置されていることによって空気を効率よく乱流化させる。この結果、空気の乱流化の効果を顕著に得ることが可能になる。
【0049】
本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、ホイール102のリム部104とハブ107とを複数のスポーク106で連結する構造であるが、ホイール102はこのような構造に限定されるものではない。例えば、複数のスポーク106に代えて、リム部104の内周部に一枚の円板を取り付けるとともに、前記円板を車軸に取り付ける構造としてもよい。この構造は、スポーク106及びハブ107の機能を、前記円板が実現する。また、タイヤ/ホイール組立体は、ホイールの車両外側の面にホイールディスク,ホイールカバー,ホイールキャップを配置してもよい。
【0050】
以下、図6から図8を用いて、タイヤ/ホイール組立体の他の実施形態を説明する。図6は、他の実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。図7は、図6に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。図8は、他の実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。図6および図7に示すタイヤ/ホイール組立体200は、空気入りタイヤ201とホイール202とを有する。
【0051】
空気入りタイヤ201は、車両内側のタイヤサイド部Sにも凸部209を備えている点を除いて他の構成は空気入りタイヤ1と同様である。空気入りタイヤ1と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
ここで、凸部209は、配置されている位置が車両内側のタイヤサイド部Sである点以外の基本的な構成は、凸部209と同様である。凸部209は、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向に長手状に形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつ、タイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0053】
ホイール202は、ホイールディスク(ホイールカバー、ホイールキャップ)210を備える点、また、凸部220がスポーク106ではなくホイールディスク210に形成されている点以外は、基本的に同様の構成である。ホイール102と同様の構成については、説明を省略する。
【0054】
ホイールディスク(ホイールカバー、ホイールキャップ)210は、スポーク106の車両外側に配置された円板状の部材であり、タイヤ径方向の中心側のハブ107と対面する領域に開口が形成されている。つまりホイールディスク210は、中心に円形の穴が開いた円板である。ホイールディスク210は、スポーク106およびハブ107に固定され、スポーク106、ハブ107とともに回転する。本実施形態のホイールディスク210は、開口を備える形状としたが、ホイール202の車両外側の全面を覆う形状、例えば、開口がない円板形状としてもよい。
【0055】
ホイール202は、図7に示すように、ホイールディスク210の車両外側の表面において、当該ホイールディスク210の表面よりタイヤの外側に突出する凸部220が多数設けられている。ここで、ホイールディスク210の表面とは、図7において、車両外側に露出している一様で連続する面(つまり繋がっている1つの面)である。つまり、凸部220は、ホイールディスク210の表面から車両外側に突出した形状であり、図8に示すようにタイヤ幅方向に直交する面において、他の部分との境界線が閉じられた一本の線となる。
【0056】
凸部220は、例えば、図7に示すように、ホイールディスク210の表面において、タイヤ径方向に長手状に形成された突条として形成され、かつ、図8に示すようにタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。なお、凸部220は、ホイールディスク210と同一の材料で形成しても、ホイールディスク210とは別材料で形成してもよい。また、凸部220は、金型成型でホイールディスク210と一体で形成してもよいし、ホイールディスク210とは別体で形成してホイールディスク210に貼り付けてもよい。
【0057】
本実施形態のタイヤ/ホイール組立体200は、車両装着時での車両内外の向きが指定され、車両外側となるタイヤサイド部Sに多数設けられた凸部9と、車両外側となるホイールディスク210の表面に多数設けられた凸部220と、を備えることで、上述したタイヤ/ホイール組立体100と同様の効果を得ることができる。
【0058】
タイヤ/ホイール組立体200は、さらに空気入りタイヤ1の車両内側のタイヤサイド部Sに多数の凸部209を備えることで、タイヤの空力性能をより高くすることができる。つまり、タイヤ/ホイール組立体200は、凸部209によって車両内側を通過する空気も乱流化させる。このため、タイヤ/ホイール組立体200の周囲に乱流境界層が発生し、タイヤ/ホイール組立体100の車両外側を通過する空気の膨らみが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられ、車両の空気抵抗を低減させ、空力性能を向上させることができる。
【0059】
また、タイヤ/ホイール組立体200は、ホイール202の車両外側の面にディスクホイール210を備えることで、ホイール202の表面に空洞が露出していない形状とすることができ、タイヤの空力性能をより高くすることができる。つまり、タイヤ/ホイール組立体200は、ディスクホイール210により、車両外側を流れる空気がタイヤ/ホイール組立体200の内部に流れ込むことを抑制することができる。これにより、空気流の乱れをより少なくすることができ、車両の空気抵抗を低減させ、空力性能を向上させることができる。なお、タイヤ/ホイール組立体は、ホイールの車両外側の面に空洞(タイヤ/ホイール組立体の車両内側)に繋がる開口がない形状であればよく。ホイールディスクを設けずにスポークの形状を空洞がない形状とすることでも同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、タイヤ/ホイール組立体のホイールの車両外側に露出する部分の形状は、上記実施形態に限定されず、種々の形状とすることができる。また、ホイールの車両外側の表面は、スポーク106が露出する形状でも、ホイールディスク210が露出する形状でもよい。また、露出する部分は、曲面でも平面でもよい。なお、上述したように、車両外側に露出する部分をホイールディスク210のように1つの面とすることで、空力性能をより向上させることができる。
【0061】
次に、図2、図3および図7を用いて、タイヤ凸部9、209とホイール凸部120、220の配置位置の好適な範囲について説明する。本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100、200は、タイヤ凸部9の少なくとも一部が、空気入りタイヤ1のタイヤ断面幅が最大となる位置(最大断面幅L3となる位置)からタイヤ径方向の外側に向かって、少なくともタイヤ断面高さの10%以上離れた位置に配置されていることが好ましい。つまり、空気入りタイヤ1、201のタイヤ断面高さをd1とした場合、タイヤ凸部9は、タイヤ断面幅が最大となる位置からタイヤ断面高さd1の10%となる高さd2に含まれる領域のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側の高さd3に含まれる領域に少なくとも一部を形成することが好ましい。
【0062】
空気入りタイヤ1、201は、このように高さd3の領域にタイヤ凸部9の少なくとも一部を配置することで、空気入りタイヤ1のタイヤサイド部S内で、走行時に空気抵抗を受けやすく、かつ、回転速度が相対的に速くなる領域にタイヤ凸部9を設けることができる。これにより、走行時にバットレス付近の乱流剥離のポイントをタイヤ後方へずらすことができ、タイヤ全体の空気抵抗を低減することができる。
【0063】
また、ホイール102、202は、ホイール凸部120、220の少なくとも一部を、タイヤ径方向において、空気入りタイヤが装着されるリム部104のタイヤ径方向の外側端部からタイヤ回転軸までの距離をD1とした場合、リム部104のタイヤ径方向の外側端部から0.1D1以上タイヤ径方向内側に配置されているが好ましい。つまり、図2および図7に示すように、ホイール凸部120、220は、リム部104のタイヤ径方向の外側端部から距離0.1D1となる距離D2に含まれる領域に少なくとも一部を設けることが好ましい。このようにホイール凸部120、220をホイール102、202の表面において、回転速度が相対的に速くなる領域に設けることによりホイール付近での乱流剥離する位置をさらにタイヤ/ホイール組立体100、200の後方側へずらし、タイヤ/ホイール組立体100、200の全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0064】
また、タイヤ/ホイール組立体100、200は、タイヤ幅方向おいて、空気入りタイヤ1、201のタイヤ赤道面CLから空気入りタイヤ1、201の車両外側の端部までの距離をL1とし、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1、201のタイヤ赤道面CLからホイール102、202の車両外側の端部までの距離をL2とした場合、距離L1と距離L2とは、L2≦L1の関係を満たすことが好ましい。空気入りタイヤ1、201とホイール102、202とが上記関係を満たすことで、空気入りタイヤ1、201で生じるタイヤ凸部9の後方への空気の流れの膨らみを抑制することができ、空気の整流効果をより好適に得ることができる。なお、距離L1は、タイヤ赤道面CLから空気入りタイヤ1、201の車両外側の端部までの距離である。このため、タイヤ最大幅の幅方向外側端よりもタイヤ凸部9の幅方向最外方の位置の方が幅方向外側に位置する場合、タイヤ赤道面CLからタイヤ凸部9の幅方向最外方の位置まで距離が距離L1となり、タイヤ凸部9の幅方向最外方の位置よりもタイヤ最大幅の幅方向外側端の方が幅方向外側に位置する場合、タイヤ最大幅の半分の距離が距離L1となる。
【0065】
次に、図9Aから図9F、図10Aから図10Dを用いて、タイヤ凸部の形状、ホイール凸部の形状の他の実施形態について説明する。タイヤ凸部、ホイール凸部は、種々の形状とすることができる。ここで、タイヤ凸部、ホイール凸部は、タイヤ径方向が長手方向となる細長い形状、いわゆるフィン形状とすることが好ましい。タイヤ凸部、ホイール凸部をフィン形状とすることで、空力性能を好適に向上させることができる。
【0066】
図9Aから図9Fは、それぞれ他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。ここで、図9Aから図9Fは、それぞれ車両外側からタイヤ/ホイール組立体を見た場合のタイヤ凸部およびホイール凸部の形状の例を示している。図9Aに示すタイヤ/ホイール組立体300は、空気入りタイヤ301に形成されたタイヤ凸部303が、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、ホイール302に形成されたホイール凸部304が、タイヤ径方向に延在する直線形状である。図9Bに示すタイヤ/ホイール組立体310は、空気入りタイヤ311に形成されたタイヤ凸部313が、タイヤ径方向の中央付近で屈曲部を有する線形状(角度の異なる2つの直線をタイヤ周方向に凸となる向きで繋げた形状)であり、ホイール312に形成されたホイール凸部314が、タイヤ径方向の中央部に屈曲部を有する線形状である。図9Cに示すタイヤ/ホイール組立体320は、空気入りタイヤ321に形成されたタイヤ凸部323が、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状であり、ホイール322に形成されたホイール凸部324が、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状である。このように、タイヤ凸部およびホイール凸部は、直線状形状、湾曲形状、途中で屈曲している形状等、種々の形状とすることができる。また、タイヤ凸部およびホイール凸部は、当該屈曲や湾曲が複数であってもよい。
【0067】
図9Dに示すタイヤ/ホイール組立体330は、空気入りタイヤ331に形成されたタイヤ凸部333が、タイヤ径方向に平行な方向に対して所定角度傾斜した方向に延在する直線形状であり、ホイール332に形成されたホイール凸部334が、タイヤ径方向に平行な方向に対してタイヤ凸部333と同一の傾斜角度で傾斜した直線形状である。このように、タイヤ凸部およびホイール凸部は、タイヤ径方向に対して所定角度傾斜した形状としてもよい。
【0068】
図9Eに示すタイヤ/ホイール組立体340は、空気入りタイヤ341に形成されたタイヤ凸部343が、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、ホイール342に形成されたホイール凸部344が、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状である。図9Fに示すタイヤ/ホイール組立体350は、空気入りタイヤ351に形成されたタイヤ凸部353がタイヤ径方向に平行な方向に対して所定角度傾斜した方向に延在する直線形状であり、ホイール352に形成されたホイール凸部354が、タイヤ径方向に延在する直線形状である。このように、タイヤ凸部およびホイール凸部は、異なる形状を組み合わせてもよい。つまり、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部の形状とホイール凸部との形状とを異なる形状としてよい。
【0069】
図10Aから図10Dは、それぞれタイヤ凸部の一例の断面図である。ここで、図10Aから図10Dは、長手方向に交差する断面形状を示している。図10Aに示すタイヤ凸部362は、断面形状が半円形状である。図10Bに示すタイヤ凸部364は、断面形状がタイヤ凸部364の中心側に凸となる2つの円弧(円の1/4)を組み合わせた形状である。図10Cに示すタイヤ凸部366は、断面形状が三角形状である。図10Dに示すタイヤ凸部368は、断面形状が四角形状である。タイヤ凸部の断面形状は、これに限定されず、半楕円形状、半長円形状、台形状などとしてもよく、直線と曲線を組み合わせた形状としてもよい。
【0070】
ここで、タイヤ凸部は、図10Cに示すように断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。断面形状が頂点を持った略三角形状には、図10Cに示すような三角形状や三角形の頂点を面取りした形状や三角形の頂点をR形状とした形状等、サイドウォールから離れるに従って断面の幅が短くなる各種形状が含まれる。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部の断面形状を、頂点を持った略三角形状とすることで、断面形状の面積に対するタイヤサイド部Sの表面からの突出量の割合を大きくすることができ、タイヤ凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。
【0071】
また、タイヤ凸部は、図10Aおよび図10Bに示すように、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部の断面形状を少なくとも1つ以上の円弧で構成することでも、断面形状の面積に対するタイヤサイド部Sの表面からの突出量の割合を大きくすることができ、タイヤ凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。
【0072】
また、タイヤ凸部は、長手方向に断面形状が一様に形成されていてもよく、または長手方向に断面形状が変化して形成されていてもよい。また、タイヤ凸部は、その端部が、タイヤサイド部Sの面から滑らかに突出していてもよく、またはタイヤサイド部Sの面に切り立って突出していてもよい。また、上記実施形態のタイヤ凸部は、タイヤサイド部Sの範囲のタイヤ径方向で1つの突条として形成されているが、長手方向で複数に分割されていてもよい。タイヤ凸部が分割されている場合、そのタイヤ周方向に並ぶ別のタイヤ凸部が、タイヤ周方向で隣接するタイヤ凸部の分割部分に対してタイヤ周方向で重なるように配置されていてもよい。
【0073】
また、ホイール凸部も上述したタイヤ凸部と同様に断面形状を種々の形状としてもよく、タイヤ径方向における断面形状を一様としても変化させてもよく、タイヤ径方向における数(分割数)を種々の数とすることができる。
【0074】
ここで、ホイール凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部の断面形状を、頂点を持った略三角形状とすることで、断面形状の面積に対する車両外側の表面からの突出量の割合を大きくすることができ、ホイール凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。また、ホイール凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部の断面形状を少なくとも1つ以上の円弧で構成することでも、断面形状の面積に対する車両外側の表面からの突出量の割合を大きくすることができ、ホイール凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。
【0075】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1のタイヤ凸部は、タイヤサイド部Sから突出する高さを0.5[mm]以上10[mm]以下とすることが好ましい。ここで、図11Aは、規定の範囲の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。図11Bは、規定の範囲以下の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。図11Cは、規定の範囲以上の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。また、タイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤが乗用車用のタイヤである場合、上記範囲とすることがより好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤが重荷重用のタイヤである場合も、タイヤ凸部の形状を上記範囲とすることが好ましいが、タイヤ凸部の形状を上記範囲よりも大きい形状とすることも好ましい場合もある。
【0076】
空気入りタイヤは、図11Aに示すように、タイヤ凸部372を規定の範囲の高さとした場合、凸部372が空気の流れに適宜接触し、タイヤ凸部372の後方での空気の流れが乱流化して空気の膨らみが減少するため、車両の空気抵抗の低減効果を顕著に得ることが可能になる。これに対して、空気入りタイヤは、図11Bに示すように、凸部374を規定の範囲以下の高さ、つまり、タイヤ凸部374の高さを0.5[mm]未満とした場合、タイヤ凸部374が空気の流れに接触する範囲が小さいことから、タイヤ凸部374の後方での空気の流れが乱流化し難く、車両の空気抵抗の低減効果が小さくなる。また、空気入りタイヤは、図11Cに示すように、タイヤ凸部376を規定の範囲以上の高さ、つまりタイヤ凸部376の高さを10[mm]を超える高さとした場合、凸部376が空気の流れに接触する範囲が大きくことから、タイヤ凸部376の後方での空気の流れが膨らむ傾向となり、車両の空気抵抗の低減効果が小さくなる。
【0077】
また、本実施の形態の空気入りタイヤのタイヤ凸部は、タイヤサイド部Sから突出する高さを1[mm]以上5[mm]以下とすることがより好ましい。タイヤ凸部の高さを1[mm]以上5[mm]以下とすることで、上記効果をより好適に得ることができる。なお、ホイール凸部もタイヤ凸部と同様に上記範囲を満たす形状とすることが好ましい。
【0078】
ここで、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部およびホイール凸部をタイヤ周方向の全周に設けることが好ましい。製造を簡単にすることができ、タイヤ周方向の位置におけるバラツキを抑制することができ、タイヤとしての性能をより高くすることができる。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部およびホイール凸部をタイヤ周方向の全周に設けることで、上記効果を得ることができるが少なくとも一部に設ければよい。
【0079】
タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部がタイヤ周方向において一部の角度範囲に配置されている場合、ホイール凸部が少なくとも前記タイヤ凸部が形成されていない角度範囲の全域に配置されていることが好ましく、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されていることがより好ましい。つまり、ホイール凸部は、タイヤ周方向において少なくともタイヤ凸部が形成されてない部分にも配置することが好ましい。このように、ホイール凸部をタイヤ周方向においてタイヤ凸部が形成されていない領域にも配置することで、空気入りタイヤのサイドウォール部に商品名等の文字情報が表示されておりタイヤ凸部が形成されていない領域がある場合も、効率的に空力性能の向上させることができる。また、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されている領域にもホイール凸部を配置することで、空力性能を向上させることができる。
【0080】
また、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることが好ましい。つまり、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ周方向において、タイヤ凸部の位相とホイール凸部の位相とを一致させることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部とホイール凸部とを規則的に配列させることでよりさらに空力性能を向上させることができる。
【0081】
以下、図12から図14を用いて、具体的に説明する。図12から図14は、それぞれ他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。なお、図12から図14に示すタイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されており、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。
【0082】
図12に示すタイヤ/ホイール組立体460は、空気入りタイヤ461にタイヤ凸部463が配置されており、ホイール462にホイール凸部464が配置されている。タイヤ凸部463は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ461は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部463がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域465とタイヤ凸部463が配置されていない領域466が交互に配置されている。ホイール凸部464は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール462は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部464がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体460は、タイヤ凸部463が配置されている領域において、タイヤ凸部463がホイール凸部464の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部463は、中心線の延長線がホイール462に配置されたいずれかのホイール凸部464の中心線に重なる位置に配置されている。
【0083】
図13に示すタイヤ/ホイール組立体480は、空気入りタイヤ481にタイヤ凸部483が配置されており、ホイール482にホイール凸部484が配置されている。タイヤ凸部483は、タイヤ径方向に平行な方向に対して所定角度傾斜した方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ481は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部483がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域とタイヤ凸部483が配置されていない領域が交互に配置されている。ホイール凸部484は、タイヤ径方向に平行な方向に対してタイヤ凸部483と同一の傾斜角度で傾斜した直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール482は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部484がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体480は、タイヤ凸部483が配置されている領域において、タイヤ凸部483がホイール凸部484の中心線(タイヤ径方向に対して所定角度傾斜している。)を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部483は、中心線の延長線がホイール482に配置されたいずれかのホイール凸部484の中心線に重なる位置に配置されている。
【0084】
図14に示すタイヤ/ホイール組立体490は、空気入りタイヤ491にタイヤ凸部493が配置されており、ホイール492にホイール凸部494が配置されている。タイヤ凸部493は、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ491は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部493がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域とタイヤ凸部493が配置されていない領域が交互に配置されている。ホイール凸部494は、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール492は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部494がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体490は、タイヤ凸部493が配置されている領域において、タイヤ凸部493がホイール凸部494の中心線(円弧形状の曲率に基づいた曲線)を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部493は、中心線の延長線がホイール492に配置されたいずれかのホイール凸部494の中心線に重なる位置に配置されている。
【0085】
図12から図14に示すように、タイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されていることで、空力性能の向上させることができる。また、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることでも、空力性能の向上させることができる。
【0086】
また、上記実施形態では、空気入りタイヤのタイヤサイド部Sにタイヤ凸部を設け、かつ、ホイールの車両外側の表面にホイール凸部を設けた構成としたが、空気入りタイヤのタイヤサイド部Sとホイールの車両外側の表面の表面に、凸部に加えて、表面に対して凹んだ形状である凹部(ディンプル)を設けてもよい。
【0087】
なお、上述したタイヤ/ホイール組立体は、乗用車用のみならず、重荷重用やランフラット用のタイヤ/ホイール組立体に適用される。乗用車用の場合は、上述のごとく効果が得られる。また、重荷重用の場合は、特に、大荷重において、空気入りタイヤの凸部によってタイヤサイド部の圧縮時でのタイヤの変形をより抑えることができ耐久性を向上する。また、ランフラット用の場合も、特に、パンク時において、空気入りタイヤの凸部によってタイヤサイド部の圧縮時でのタイヤの変形をより抑えることができ耐久性を向上する。
【実施例】
【0088】
本実施例では、条件が異なる複数種類のタイヤ/ホイール組立体について、燃費改善率に関する性能試験が行われた。
【0089】
この性能試験では、タイヤサイズ185/65R15の空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して、排気量1500[cc]の小型前輪駆動車に装着した。
【0090】
本実施例では、比較例1から比較例3のタイヤ/ホイール組立体と実施例1から実施例3のタイヤ/ホイール組立体について性能試験を行った。ここで、図15および図16は、それぞれ他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
比較例1のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤとホイールとの両方とも凸部を設けない構成、つまりタイヤ凸部、ホイール凸部が構成とした。比較例2のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けない構成とした。比較例3のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設けず、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。
【0091】
実施例1のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。具体的には、実施例1のタイヤ/ホイール組立体は、図15に示すタイヤ/ホイール組立体500である。タイヤ/ホイール組立体500は、空気入りタイヤ501にタイヤ凸部503が配置されており、ホイール502にホイール凸部504が配置されている。タイヤ凸部503は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ501は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部503がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域とタイヤ凸部503が配置されていない領域が交互に配置されている。ホイール凸部504は、タイヤ周方向において、タイヤ凸部503が配置されている領域のみに配置されている。タイヤ/ホイール組立体500は、タイヤ凸部503がホイール凸部504の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部503は、中心線の延長線がホイール502に配置されたいずれかのホイール凸部504の中心線に重なる位置に配置されている。
【0092】
実施例2のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。具体的には、実施例1のタイヤ/ホイール組立体は、図16に示すタイヤ/ホイール組立体500である。タイヤ/ホイール組立体500は、図12に示すタイヤ/ホイール組立体460のタイヤ凸部を、中心線の延長線がホイールに配置されたいずれかのホイール凸部の中心線とも重ならない位置に配置した構成である。空気入りタイヤ511にタイヤ凸部513が配置されており、ホイール512にホイール凸部514が配置されている。タイヤ凸部513は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ511は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部513がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域515とタイヤ凸部513が配置されていない領域516が交互に配置されている。ホイール凸部514は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール512は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部514がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体510は、タイヤ凸部513が配置されている領域において、タイヤ凸部513の中心線がホイール凸部514の中心線を径方向外側に延長させたいずれの線とも重ならない位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部513は、中心線の延長線がホイール512に配置されたいずれかのホイール凸部514の中心線ともに重ならない位置に配置されている。
【0093】
実施例3のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。具体的には、実施例3のタイヤ/ホイール組立体は、上述した図12に示すタイヤ/ホイール組立体460である。
【0094】
燃費改善率の評価方法は、上記試験車両にて、全周2[km]のテストコースで時速100[km/h]にて50周走行した場合の燃費を計測した。そして、この計測結果に基づいて、比較例1のタイヤ/ホイール組立体を基準(100)とし燃費改善率を指数評価する。この指数評価は、数値が大きいほど燃費改善率が向上されていることを示している。測定結果を表1および表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
表1および表2に示すように、タイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設けかつホイールにホイール凸部を設けることで、空気入りタイヤとホイールのいずれか一方のみに凸部を設けた場合、空気入りタイヤとホイールのいずれにも凸部を設けない場合よりも燃費を向上できることがわかる。また、実施例3に示すように、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されており、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている構成とすることで、燃費をより向上できることがわかる。
【符号の説明】
【0098】
1 空気入りタイヤ
9 凸部
S タイヤサイド部
CL タイヤ赤道面
100 タイヤ/ホイール組立体
102 ホイール
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ/ホイール組立体に関し、さらに詳しくは、タイヤおよびホイール周りの空気流を改善するタイヤ/ホイール組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、車両と連結するホイールに対して組み立てられることで、タイヤ/ホイール組立体となる。例えば、特許文献1は、両側のタイヤ側面の内の少なくとも車両外側の、サイドウォール部からビード部にかけて、回転軸に対して垂直な面に略平行な面が設けられていることを特徴とする車両用タイヤと、車両用タイヤに取り付けられたホイールとが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、車両用ホイールに空気入りタイヤが組み付けられた状態において、本体部の少なくとも一部の表面となる部分に本体部から所定方向に向けて突出する突出部を備えたホイールを備えるタイヤ/ホイール組立体が記載されている。特許文献3には車軸に連結されタイヤが装着されたホイールと、ホイールに取付けられ、ホイールに対してホイール軸回りに相対回転可能とされたホイールキャップと、ホイールキャップの車幅方向外側壁部に車両上下方向に分散配置され、車幅方向外側壁部に沿って車両前方側から車両後方側へ流れる空気流を整流する複数の整流手段と、を備えるタイヤ/ホイール組立体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−274809号公報
【特許文献2】特開2010−6135号公報
【特許文献3】特開2008−1300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献2に示すタイヤ/ホイール組立体は、タイヤが装着されるホイールの車両装着時の外側となる表面に突出部を設けることで、突出部を乗り越える空気流を発生させることができる。これにより、空気入りタイヤの周りの空気を調整することができ、タイヤの温度上昇を抑制することができる。
【0006】
また、特許文献3に記載のタイヤ/ホイール組立体は、回転しないホイールキャップに整流手段を設けることで、タイヤ周りの空気流を整流することができ、空気抵抗を低減することができる。
【0007】
しかしながら、ホイールキャップをホイール軸周りに相対回転可能とする構成は、構造が複雑になる。また、特許文献3に記載の装置でも整流の効果(空気流の改善効果)が不十分である場合がある。また、特許文献2に記載されているようにホイールに突出部を設けたり、タイヤのサイドウォール部に突起部を設けたりすることでも空気流を整流することができるが効果が不十分な場合がある。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤおよびホイール周りの空気流を改善することができるタイヤ/ホイール組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のタイヤ/ホイール組立体は、車両に連結する連結部を備えるホイールと、前記ホイールの外周に装着される空気入りタイヤと、を有し、前記空気入りタイヤは、車両外側となるタイヤサイド部に多数のタイヤ凸部を有し、前記ホイールは、車両外側となる表面に多数のホイール凸部を有することを特徴とする。
【0010】
タイヤ/ホイール組立体は、上記構成により、車両外側の表面(空気入りタイヤおよびホイールの車両外側の表面)で好適な乱流を発生させることができ、単に凸部を設ける面積を大きくする以上に空力性能を飛躍的に向上させることができる。
【0011】
ここで、前記ホイールは、前記車両と連結する連結部と、前記連結部に固定されかつ前記車両外側の表面に露出する表面が円板形状であり、車両外側となる表面を構成するホイールディスクと、を有し、前記ホイール凸部は、前記ホイールディスクに形成されていることが好ましい。ホイールディスクを設けることで、車両外側の表面から組立体の内側に空気が流れることを抑制でき、空力性能をより向上させることができる。
【0012】
また、前記タイヤ凸部は、タイヤ周方向において一部の角度範囲に配置されており、前記ホイール凸部は、少なくとも前記タイヤ凸部が形成されていない角度範囲の全域に配置されていることが好ましい。これにより、空力性能を向上させることができる。
【0013】
また、前記タイヤ凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつ、タイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることが好ましい。これにより、好適に乱流を発生させることができ、空力性能を向上させることができる。
【0014】
また、前記タイヤ凸部は、前記ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることが好ましい。これにより、好適に乱流を発生させることができ、空力性能を向上させることができる。
【0015】
また、前記タイヤ凸部は、少なくとも一部が、前記空気入りタイヤのタイヤ断面幅が最大となる位置からタイヤ径方向の外側に向かって、少なくともタイヤ断面高さの10%以上離れた位置に配置されていることが好ましい。これにより、全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0016】
また、前記タイヤ凸部は、前記タイヤサイド部から突出する高さが0.5[mm]以上10[mm]以下とされていることが好ましい。これにより、空気抵抗を顕著に低減でき、空力性能を向上させることができる。
【0017】
また、前記ホイール凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることが好ましい。これにより、好適に乱流を発生させることができ、空力性能を向上させることができる。
【0018】
また、前記ホイール凸部は、少なくとも一部が、タイヤ径方向において、前記空気入りタイヤが装着されるリム部のタイヤ径方向の外側端部からタイヤ回転軸までの距離をD1とした場合、前記リム部のタイヤ径方向の外側端部から0.1D1以上タイヤ径方向内側に配置されていることが好ましい。これにより、全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0019】
また、タイヤ幅方向おいて、前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記空気入りタイヤの車両外側の端部までの距離をL1とし、タイヤ幅方向における前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記ホイールの車両外側の端部までの距離をL2とした場合、前記距離L1と距離L2とは、L2≦L1の関係を満たすことが好ましい。これにより、全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0020】
また、前記タイヤ凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【0021】
また、前記タイヤ凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【0022】
また、前記ホイール凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【0023】
また、前記ホイール凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。これにより、燃費を良くすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るタイヤ/ホイール組立体は、タイヤおよびホイール周りの空気流を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。
【図3】図3は、図1に示す空気入りタイヤの子午断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る空気入りタイヤを車両外側から視た一部外観図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。
【図6】図6は、他の実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。
【図8】図8は、他の実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。
【図9A】図9Aは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9B】図9Bは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9C】図9Cは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9D】図9Dは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9E】図9Eは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図9F】図9Fは、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。
【図10A】図10Aは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図10B】図10Bは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図10C】図10Cは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図10D】図10Dは、タイヤ凸部の一例の断面図である。
【図11A】図11Aは、規定の範囲の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。
【図11B】図11Bは、規定の範囲以下の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。
【図11C】図11Cは、規定の範囲以上の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。
【図12】図12は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図13】図13は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図14】図14は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図15】図15は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【図16】図16は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0027】
図1は、本実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。図2は、図1に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。図3は、図1に示す空気入りタイヤの子午断面図である。図4は、本実施形態に係る空気入りタイヤを車両外側から視た一部外観図である。図5は、本実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0028】
タイヤ/ホイール組立体100は、図1および図2に示すように、空気入りタイヤ1と、ホイール102と、を含む。空気入りタイヤ(以下単に「タイヤ」ともいう。)1は、いわゆる空気入りタイヤである。タイヤ1に内部に充填される気体は、空気に限定されるものではない。
【0029】
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、図1から図3に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8とを備えている。空気入りタイヤ1は、使用にあたって、それぞれのビード部5が、ホイール102のリム部104に嵌合する。そして、空気入りタイヤ1とホイール102(より具体的にはホイール102のリム部104)とで囲まれるタイヤ内空間1ISに気体(空気や窒素)が充填される。
【0030】
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施の形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
【0031】
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
【0032】
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度(例えば85度〜95度)を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
【0033】
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
【0034】
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図3で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置された構成、または、例えば2層の補強層を有し、タイヤ径方向内側の補強層がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、タイヤ径方向外側の補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成、あるいは、例えば2層の補強層を有し、各補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
【0035】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、車両(図示せず)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、サイドウォール部4に設けられた指標により示される。以下、車両に装着した場合に車両の内側に向く側を車両内側、車両の外側に向く側を車両外側という。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両の内側(車両内側)および外側(車両外側)に対する向きが指定される。
【0036】
空気入りタイヤ1は、図3に示すように、車両外側のタイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの面よりタイヤの外側に突出する凸部9が多数設けられている。ここで、タイヤサイド部Sとは、図3において、トレッド部2の接地端Tからタイヤ幅方向外側であってリムチェックラインLからタイヤ径方向外側の範囲で一様の連続する面をいう。また、接地端Tとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重の70%をかけたとき、この空気入りタイヤ1のトレッド部2のトレッド面21が路面と接地する領域において、タイヤ幅方向の両最外端をいい、タイヤ周方向に連続する。また、リムチェックラインLとは、タイヤのリム組みが正常に行われているか否かを確認するためのラインであり、一般には、ビード部5の表側面において、リムフランジよりもタイヤ径方向外側であってリムフランジ近傍となる部分に沿ってタイヤ周方向に連続する環状の凸線として示されている。
【0037】
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0038】
凸部9は、例えば、図3に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向に長手状に形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつ、図4に示すようにタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0039】
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両内側のタイヤサイド部に凹凸を設けない構成としたが、車両内側のタイヤサイド部の形態については特に限定されない。本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両内側のタイヤサイド部に車両外側のタイヤサイド部と同様にタイヤ凸部を設けてもよいし、凹部を設けてもよい。
【0040】
次に、ホイール102について説明する。ホイール102は、タイヤ1が取り付けられる。ホイール102は、リム部104と、スポーク106と、ハブ107と、凸部120と、を有する。リム部104は、円筒形状の構造体である。リム部104は、中心軸(Zr軸)と平行な方向(幅方向)における両側に、タイヤ1が有するそれぞれのビード部2B、2Bと嵌合するタイヤ嵌合部105B、105Bを有する。
【0041】
スポーク106は、タイヤ径方向に延在する棒状の部材であり、タイヤ径方向外側の端部がリム部104と連結し、タイヤ径方向内側の端部がハブ107と連結している。スポーク106は、タイヤ周方向に所定間隔を置いて配置されている。
【0042】
ハブ107は、ホイール102の中心部に配置されるとともに、車両の車軸に取り付けられる。ハブ107は、複数のスポーク106によってリム部104と連結される。ハブ107と車両の車軸とは、ボルトとナットを有する締結部材112で連結されている。締結部材112は、ボルトが車軸に取り付けられている。なお締結部材112の構成はこれに限定されない。これにより、ハブ107は、車軸と一体で回転する。なお、ハブ107と車軸との連結方向は、予め決定された1つの方向である。これにより、ホイール102は、車両外側の面と車両内側の面が決まった構造となる。なお、ホイール102は、車軸と接する面が車両内側の面となり、車軸と接する面とは反対側の面が車両外側の面となる。
【0043】
ホイール102は、図2に示すように、スポーク106の車両外側の表面において、当該スポーク106の表面よりタイヤの外側に突出する凸部120が多数設けられている。ここで、スポーク106の表面とは、図2において、車両外側に露出している一様で連続する面(つまり繋がっている1つの面)である。つまり、凸部120は、スポーク106の表面から車両外側に突出した形状であり、図5に示すようにタイヤ幅方向に直交する面において、他の部分との境界線が閉じられた一本の線となる。
【0044】
凸部120は、例えば、図2に示すように、スポーク106の車両外側の表面において、タイヤ径方向に長手状に形成された突条として形成され、かつ、図5に示すようにタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。なお、凸部120は、スポーク106と同一の材料で形成しても、スポーク106とは別材料で形成してもよい。また、凸部120は、金型成型でスポーク106等のホイールの他の部材と一体で形成してもよいし、スポーク106とは別体で形成してスポーク106に貼り付けてもよい。
【0045】
このように、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、車両装着時での車両内外の向きが指定され、車両外側となるタイヤサイド部Sに多数設けられた凸部9と、車両外側となるスポーク106の表面に多数設けられた凸部120と、を備えることで、タイヤの空力性能をより高くすることができる。つまり、タイヤ/ホイール組立体100は、凸部9、凸部120によって車両外側を通過する空気を乱流化させる。このため、タイヤ/ホイール組立体100の周囲に乱流境界層が発生し、タイヤ/ホイール組立体100の車両外側を通過する空気の膨らみが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられ、車両の空気抵抗を低減させ、空力性能を向上させることができる。より具体的には、タイヤ/ホイール組立体100は、凸部9と凸部120を設けることで、凸部9と凸部120の両方を設けない場合よりもタイヤ/ホイール組立体100(の空気入りタイヤおよびホイール)の周りの空気をより適切に整流することができる。さらに、タイヤ/ホイール組立体100は、凸部9と凸部120を設けることで、凸部9と凸部120の一方のみを設ける場合に比べて、タイヤ径方向の一定の範囲に凸部を形成できるため、タイヤ/ホイール組立体100の車両外側の表面(空気入りタイヤおよびホイールの車両外側の表面)で好適な乱流を発生させることができ、単に凸部を設ける面積を大きくする以上に空力性能を飛躍的に向上させることができる。
【0046】
タイヤ/ホイール組立体100は、以上のように空力性能がより高くなることで、走行時の発生するタイヤ/ホイール組立体100の空気抵抗をより少なくすることができ、推進力が低下することを抑制でき、燃費を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、空気入りタイヤ1の凸部9が、タイヤ径方向に長手状に(いわゆるフィン形状で)形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されている。このタイヤ/ホイール組立体100によれば、タイヤ径方向に長手状に形成された突条によって空気をより乱流化させ、かつ周方向に配置されていることによって空気を効率よく乱流化させる。この結果、空気の乱流化の効果を顕著に得ることが可能になる。
【0048】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、ホイール102の凸部120が、タイヤ径方向に長手状に(いわゆるフィン形状で)形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されている。このタイヤ/ホイール組立体100によれば、タイヤ径方向に長手状に形成された突条によって空気をより乱流化させ、かつ周方向に配置されていることによって空気を効率よく乱流化させる。この結果、空気の乱流化の効果を顕著に得ることが可能になる。
【0049】
本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100は、ホイール102のリム部104とハブ107とを複数のスポーク106で連結する構造であるが、ホイール102はこのような構造に限定されるものではない。例えば、複数のスポーク106に代えて、リム部104の内周部に一枚の円板を取り付けるとともに、前記円板を車軸に取り付ける構造としてもよい。この構造は、スポーク106及びハブ107の機能を、前記円板が実現する。また、タイヤ/ホイール組立体は、ホイールの車両外側の面にホイールディスク,ホイールカバー,ホイールキャップを配置してもよい。
【0050】
以下、図6から図8を用いて、タイヤ/ホイール組立体の他の実施形態を説明する。図6は、他の実施形態に係るタイヤ/ホイール組立体を示す斜視図である。図7は、図6に示すタイヤ/ホイール組立体の子午断面図である。図8は、他の実施形態に係るホイールを車両外側から視た一部外観図である。図6および図7に示すタイヤ/ホイール組立体200は、空気入りタイヤ201とホイール202とを有する。
【0051】
空気入りタイヤ201は、車両内側のタイヤサイド部Sにも凸部209を備えている点を除いて他の構成は空気入りタイヤ1と同様である。空気入りタイヤ1と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
ここで、凸部209は、配置されている位置が車両内側のタイヤサイド部Sである点以外の基本的な構成は、凸部209と同様である。凸部209は、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向に長手状に形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつ、タイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0053】
ホイール202は、ホイールディスク(ホイールカバー、ホイールキャップ)210を備える点、また、凸部220がスポーク106ではなくホイールディスク210に形成されている点以外は、基本的に同様の構成である。ホイール102と同様の構成については、説明を省略する。
【0054】
ホイールディスク(ホイールカバー、ホイールキャップ)210は、スポーク106の車両外側に配置された円板状の部材であり、タイヤ径方向の中心側のハブ107と対面する領域に開口が形成されている。つまりホイールディスク210は、中心に円形の穴が開いた円板である。ホイールディスク210は、スポーク106およびハブ107に固定され、スポーク106、ハブ107とともに回転する。本実施形態のホイールディスク210は、開口を備える形状としたが、ホイール202の車両外側の全面を覆う形状、例えば、開口がない円板形状としてもよい。
【0055】
ホイール202は、図7に示すように、ホイールディスク210の車両外側の表面において、当該ホイールディスク210の表面よりタイヤの外側に突出する凸部220が多数設けられている。ここで、ホイールディスク210の表面とは、図7において、車両外側に露出している一様で連続する面(つまり繋がっている1つの面)である。つまり、凸部220は、ホイールディスク210の表面から車両外側に突出した形状であり、図8に示すようにタイヤ幅方向に直交する面において、他の部分との境界線が閉じられた一本の線となる。
【0056】
凸部220は、例えば、図7に示すように、ホイールディスク210の表面において、タイヤ径方向に長手状に形成された突条として形成され、かつ、図8に示すようにタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。なお、凸部220は、ホイールディスク210と同一の材料で形成しても、ホイールディスク210とは別材料で形成してもよい。また、凸部220は、金型成型でホイールディスク210と一体で形成してもよいし、ホイールディスク210とは別体で形成してホイールディスク210に貼り付けてもよい。
【0057】
本実施形態のタイヤ/ホイール組立体200は、車両装着時での車両内外の向きが指定され、車両外側となるタイヤサイド部Sに多数設けられた凸部9と、車両外側となるホイールディスク210の表面に多数設けられた凸部220と、を備えることで、上述したタイヤ/ホイール組立体100と同様の効果を得ることができる。
【0058】
タイヤ/ホイール組立体200は、さらに空気入りタイヤ1の車両内側のタイヤサイド部Sに多数の凸部209を備えることで、タイヤの空力性能をより高くすることができる。つまり、タイヤ/ホイール組立体200は、凸部209によって車両内側を通過する空気も乱流化させる。このため、タイヤ/ホイール組立体200の周囲に乱流境界層が発生し、タイヤ/ホイール組立体100の車両外側を通過する空気の膨らみが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられ、車両の空気抵抗を低減させ、空力性能を向上させることができる。
【0059】
また、タイヤ/ホイール組立体200は、ホイール202の車両外側の面にディスクホイール210を備えることで、ホイール202の表面に空洞が露出していない形状とすることができ、タイヤの空力性能をより高くすることができる。つまり、タイヤ/ホイール組立体200は、ディスクホイール210により、車両外側を流れる空気がタイヤ/ホイール組立体200の内部に流れ込むことを抑制することができる。これにより、空気流の乱れをより少なくすることができ、車両の空気抵抗を低減させ、空力性能を向上させることができる。なお、タイヤ/ホイール組立体は、ホイールの車両外側の面に空洞(タイヤ/ホイール組立体の車両内側)に繋がる開口がない形状であればよく。ホイールディスクを設けずにスポークの形状を空洞がない形状とすることでも同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、タイヤ/ホイール組立体のホイールの車両外側に露出する部分の形状は、上記実施形態に限定されず、種々の形状とすることができる。また、ホイールの車両外側の表面は、スポーク106が露出する形状でも、ホイールディスク210が露出する形状でもよい。また、露出する部分は、曲面でも平面でもよい。なお、上述したように、車両外側に露出する部分をホイールディスク210のように1つの面とすることで、空力性能をより向上させることができる。
【0061】
次に、図2、図3および図7を用いて、タイヤ凸部9、209とホイール凸部120、220の配置位置の好適な範囲について説明する。本実施形態のタイヤ/ホイール組立体100、200は、タイヤ凸部9の少なくとも一部が、空気入りタイヤ1のタイヤ断面幅が最大となる位置(最大断面幅L3となる位置)からタイヤ径方向の外側に向かって、少なくともタイヤ断面高さの10%以上離れた位置に配置されていることが好ましい。つまり、空気入りタイヤ1、201のタイヤ断面高さをd1とした場合、タイヤ凸部9は、タイヤ断面幅が最大となる位置からタイヤ断面高さd1の10%となる高さd2に含まれる領域のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側の高さd3に含まれる領域に少なくとも一部を形成することが好ましい。
【0062】
空気入りタイヤ1、201は、このように高さd3の領域にタイヤ凸部9の少なくとも一部を配置することで、空気入りタイヤ1のタイヤサイド部S内で、走行時に空気抵抗を受けやすく、かつ、回転速度が相対的に速くなる領域にタイヤ凸部9を設けることができる。これにより、走行時にバットレス付近の乱流剥離のポイントをタイヤ後方へずらすことができ、タイヤ全体の空気抵抗を低減することができる。
【0063】
また、ホイール102、202は、ホイール凸部120、220の少なくとも一部を、タイヤ径方向において、空気入りタイヤが装着されるリム部104のタイヤ径方向の外側端部からタイヤ回転軸までの距離をD1とした場合、リム部104のタイヤ径方向の外側端部から0.1D1以上タイヤ径方向内側に配置されているが好ましい。つまり、図2および図7に示すように、ホイール凸部120、220は、リム部104のタイヤ径方向の外側端部から距離0.1D1となる距離D2に含まれる領域に少なくとも一部を設けることが好ましい。このようにホイール凸部120、220をホイール102、202の表面において、回転速度が相対的に速くなる領域に設けることによりホイール付近での乱流剥離する位置をさらにタイヤ/ホイール組立体100、200の後方側へずらし、タイヤ/ホイール組立体100、200の全体の空気抵抗を効率的に低減することができる。
【0064】
また、タイヤ/ホイール組立体100、200は、タイヤ幅方向おいて、空気入りタイヤ1、201のタイヤ赤道面CLから空気入りタイヤ1、201の車両外側の端部までの距離をL1とし、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1、201のタイヤ赤道面CLからホイール102、202の車両外側の端部までの距離をL2とした場合、距離L1と距離L2とは、L2≦L1の関係を満たすことが好ましい。空気入りタイヤ1、201とホイール102、202とが上記関係を満たすことで、空気入りタイヤ1、201で生じるタイヤ凸部9の後方への空気の流れの膨らみを抑制することができ、空気の整流効果をより好適に得ることができる。なお、距離L1は、タイヤ赤道面CLから空気入りタイヤ1、201の車両外側の端部までの距離である。このため、タイヤ最大幅の幅方向外側端よりもタイヤ凸部9の幅方向最外方の位置の方が幅方向外側に位置する場合、タイヤ赤道面CLからタイヤ凸部9の幅方向最外方の位置まで距離が距離L1となり、タイヤ凸部9の幅方向最外方の位置よりもタイヤ最大幅の幅方向外側端の方が幅方向外側に位置する場合、タイヤ最大幅の半分の距離が距離L1となる。
【0065】
次に、図9Aから図9F、図10Aから図10Dを用いて、タイヤ凸部の形状、ホイール凸部の形状の他の実施形態について説明する。タイヤ凸部、ホイール凸部は、種々の形状とすることができる。ここで、タイヤ凸部、ホイール凸部は、タイヤ径方向が長手方向となる細長い形状、いわゆるフィン形状とすることが好ましい。タイヤ凸部、ホイール凸部をフィン形状とすることで、空力性能を好適に向上させることができる。
【0066】
図9Aから図9Fは、それぞれ他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た一部外観図である。ここで、図9Aから図9Fは、それぞれ車両外側からタイヤ/ホイール組立体を見た場合のタイヤ凸部およびホイール凸部の形状の例を示している。図9Aに示すタイヤ/ホイール組立体300は、空気入りタイヤ301に形成されたタイヤ凸部303が、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、ホイール302に形成されたホイール凸部304が、タイヤ径方向に延在する直線形状である。図9Bに示すタイヤ/ホイール組立体310は、空気入りタイヤ311に形成されたタイヤ凸部313が、タイヤ径方向の中央付近で屈曲部を有する線形状(角度の異なる2つの直線をタイヤ周方向に凸となる向きで繋げた形状)であり、ホイール312に形成されたホイール凸部314が、タイヤ径方向の中央部に屈曲部を有する線形状である。図9Cに示すタイヤ/ホイール組立体320は、空気入りタイヤ321に形成されたタイヤ凸部323が、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状であり、ホイール322に形成されたホイール凸部324が、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状である。このように、タイヤ凸部およびホイール凸部は、直線状形状、湾曲形状、途中で屈曲している形状等、種々の形状とすることができる。また、タイヤ凸部およびホイール凸部は、当該屈曲や湾曲が複数であってもよい。
【0067】
図9Dに示すタイヤ/ホイール組立体330は、空気入りタイヤ331に形成されたタイヤ凸部333が、タイヤ径方向に平行な方向に対して所定角度傾斜した方向に延在する直線形状であり、ホイール332に形成されたホイール凸部334が、タイヤ径方向に平行な方向に対してタイヤ凸部333と同一の傾斜角度で傾斜した直線形状である。このように、タイヤ凸部およびホイール凸部は、タイヤ径方向に対して所定角度傾斜した形状としてもよい。
【0068】
図9Eに示すタイヤ/ホイール組立体340は、空気入りタイヤ341に形成されたタイヤ凸部343が、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、ホイール342に形成されたホイール凸部344が、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状である。図9Fに示すタイヤ/ホイール組立体350は、空気入りタイヤ351に形成されたタイヤ凸部353がタイヤ径方向に平行な方向に対して所定角度傾斜した方向に延在する直線形状であり、ホイール352に形成されたホイール凸部354が、タイヤ径方向に延在する直線形状である。このように、タイヤ凸部およびホイール凸部は、異なる形状を組み合わせてもよい。つまり、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部の形状とホイール凸部との形状とを異なる形状としてよい。
【0069】
図10Aから図10Dは、それぞれタイヤ凸部の一例の断面図である。ここで、図10Aから図10Dは、長手方向に交差する断面形状を示している。図10Aに示すタイヤ凸部362は、断面形状が半円形状である。図10Bに示すタイヤ凸部364は、断面形状がタイヤ凸部364の中心側に凸となる2つの円弧(円の1/4)を組み合わせた形状である。図10Cに示すタイヤ凸部366は、断面形状が三角形状である。図10Dに示すタイヤ凸部368は、断面形状が四角形状である。タイヤ凸部の断面形状は、これに限定されず、半楕円形状、半長円形状、台形状などとしてもよく、直線と曲線を組み合わせた形状としてもよい。
【0070】
ここで、タイヤ凸部は、図10Cに示すように断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。断面形状が頂点を持った略三角形状には、図10Cに示すような三角形状や三角形の頂点を面取りした形状や三角形の頂点をR形状とした形状等、サイドウォールから離れるに従って断面の幅が短くなる各種形状が含まれる。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部の断面形状を、頂点を持った略三角形状とすることで、断面形状の面積に対するタイヤサイド部Sの表面からの突出量の割合を大きくすることができ、タイヤ凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。
【0071】
また、タイヤ凸部は、図10Aおよび図10Bに示すように、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部の断面形状を少なくとも1つ以上の円弧で構成することでも、断面形状の面積に対するタイヤサイド部Sの表面からの突出量の割合を大きくすることができ、タイヤ凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。
【0072】
また、タイヤ凸部は、長手方向に断面形状が一様に形成されていてもよく、または長手方向に断面形状が変化して形成されていてもよい。また、タイヤ凸部は、その端部が、タイヤサイド部Sの面から滑らかに突出していてもよく、またはタイヤサイド部Sの面に切り立って突出していてもよい。また、上記実施形態のタイヤ凸部は、タイヤサイド部Sの範囲のタイヤ径方向で1つの突条として形成されているが、長手方向で複数に分割されていてもよい。タイヤ凸部が分割されている場合、そのタイヤ周方向に並ぶ別のタイヤ凸部が、タイヤ周方向で隣接するタイヤ凸部の分割部分に対してタイヤ周方向で重なるように配置されていてもよい。
【0073】
また、ホイール凸部も上述したタイヤ凸部と同様に断面形状を種々の形状としてもよく、タイヤ径方向における断面形状を一様としても変化させてもよく、タイヤ径方向における数(分割数)を種々の数とすることができる。
【0074】
ここで、ホイール凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部の断面形状を、頂点を持った略三角形状とすることで、断面形状の面積に対する車両外側の表面からの突出量の割合を大きくすることができ、ホイール凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。また、ホイール凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部の断面形状を少なくとも1つ以上の円弧で構成することでも、断面形状の面積に対する車両外側の表面からの突出量の割合を大きくすることができ、ホイール凸部の体積の増加を抑制しつつ、空力性能を向上させることができる。これにより、燃費を良くすることができる。
【0075】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1のタイヤ凸部は、タイヤサイド部Sから突出する高さを0.5[mm]以上10[mm]以下とすることが好ましい。ここで、図11Aは、規定の範囲の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。図11Bは、規定の範囲以下の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。図11Cは、規定の範囲以上の高さの凸部付近における空気の流れを示す説明図である。また、タイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤが乗用車用のタイヤである場合、上記範囲とすることがより好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤが重荷重用のタイヤである場合も、タイヤ凸部の形状を上記範囲とすることが好ましいが、タイヤ凸部の形状を上記範囲よりも大きい形状とすることも好ましい場合もある。
【0076】
空気入りタイヤは、図11Aに示すように、タイヤ凸部372を規定の範囲の高さとした場合、凸部372が空気の流れに適宜接触し、タイヤ凸部372の後方での空気の流れが乱流化して空気の膨らみが減少するため、車両の空気抵抗の低減効果を顕著に得ることが可能になる。これに対して、空気入りタイヤは、図11Bに示すように、凸部374を規定の範囲以下の高さ、つまり、タイヤ凸部374の高さを0.5[mm]未満とした場合、タイヤ凸部374が空気の流れに接触する範囲が小さいことから、タイヤ凸部374の後方での空気の流れが乱流化し難く、車両の空気抵抗の低減効果が小さくなる。また、空気入りタイヤは、図11Cに示すように、タイヤ凸部376を規定の範囲以上の高さ、つまりタイヤ凸部376の高さを10[mm]を超える高さとした場合、凸部376が空気の流れに接触する範囲が大きくことから、タイヤ凸部376の後方での空気の流れが膨らむ傾向となり、車両の空気抵抗の低減効果が小さくなる。
【0077】
また、本実施の形態の空気入りタイヤのタイヤ凸部は、タイヤサイド部Sから突出する高さを1[mm]以上5[mm]以下とすることがより好ましい。タイヤ凸部の高さを1[mm]以上5[mm]以下とすることで、上記効果をより好適に得ることができる。なお、ホイール凸部もタイヤ凸部と同様に上記範囲を満たす形状とすることが好ましい。
【0078】
ここで、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部およびホイール凸部をタイヤ周方向の全周に設けることが好ましい。製造を簡単にすることができ、タイヤ周方向の位置におけるバラツキを抑制することができ、タイヤとしての性能をより高くすることができる。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部およびホイール凸部をタイヤ周方向の全周に設けることで、上記効果を得ることができるが少なくとも一部に設ければよい。
【0079】
タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部がタイヤ周方向において一部の角度範囲に配置されている場合、ホイール凸部が少なくとも前記タイヤ凸部が形成されていない角度範囲の全域に配置されていることが好ましく、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されていることがより好ましい。つまり、ホイール凸部は、タイヤ周方向において少なくともタイヤ凸部が形成されてない部分にも配置することが好ましい。このように、ホイール凸部をタイヤ周方向においてタイヤ凸部が形成されていない領域にも配置することで、空気入りタイヤのサイドウォール部に商品名等の文字情報が表示されておりタイヤ凸部が形成されていない領域がある場合も、効率的に空力性能の向上させることができる。また、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されている領域にもホイール凸部を配置することで、空力性能を向上させることができる。
【0080】
また、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることが好ましい。つまり、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ周方向において、タイヤ凸部の位相とホイール凸部の位相とを一致させることが好ましい。タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部とホイール凸部とを規則的に配列させることでよりさらに空力性能を向上させることができる。
【0081】
以下、図12から図14を用いて、具体的に説明する。図12から図14は、それぞれ他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。なお、図12から図14に示すタイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されており、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。
【0082】
図12に示すタイヤ/ホイール組立体460は、空気入りタイヤ461にタイヤ凸部463が配置されており、ホイール462にホイール凸部464が配置されている。タイヤ凸部463は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ461は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部463がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域465とタイヤ凸部463が配置されていない領域466が交互に配置されている。ホイール凸部464は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール462は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部464がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体460は、タイヤ凸部463が配置されている領域において、タイヤ凸部463がホイール凸部464の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部463は、中心線の延長線がホイール462に配置されたいずれかのホイール凸部464の中心線に重なる位置に配置されている。
【0083】
図13に示すタイヤ/ホイール組立体480は、空気入りタイヤ481にタイヤ凸部483が配置されており、ホイール482にホイール凸部484が配置されている。タイヤ凸部483は、タイヤ径方向に平行な方向に対して所定角度傾斜した方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ481は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部483がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域とタイヤ凸部483が配置されていない領域が交互に配置されている。ホイール凸部484は、タイヤ径方向に平行な方向に対してタイヤ凸部483と同一の傾斜角度で傾斜した直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール482は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部484がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体480は、タイヤ凸部483が配置されている領域において、タイヤ凸部483がホイール凸部484の中心線(タイヤ径方向に対して所定角度傾斜している。)を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部483は、中心線の延長線がホイール482に配置されたいずれかのホイール凸部484の中心線に重なる位置に配置されている。
【0084】
図14に示すタイヤ/ホイール組立体490は、空気入りタイヤ491にタイヤ凸部493が配置されており、ホイール492にホイール凸部494が配置されている。タイヤ凸部493は、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ491は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部493がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域とタイヤ凸部493が配置されていない領域が交互に配置されている。ホイール凸部494は、タイヤ径方向に延在しタイヤ周方向に凸となる円弧形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール492は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部494がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体490は、タイヤ凸部493が配置されている領域において、タイヤ凸部493がホイール凸部494の中心線(円弧形状の曲率に基づいた曲線)を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部493は、中心線の延長線がホイール492に配置されたいずれかのホイール凸部494の中心線に重なる位置に配置されている。
【0085】
図12から図14に示すように、タイヤ/ホイール組立体は、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されていることで、空力性能の向上させることができる。また、タイヤ/ホイール組立体は、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることでも、空力性能の向上させることができる。
【0086】
また、上記実施形態では、空気入りタイヤのタイヤサイド部Sにタイヤ凸部を設け、かつ、ホイールの車両外側の表面にホイール凸部を設けた構成としたが、空気入りタイヤのタイヤサイド部Sとホイールの車両外側の表面の表面に、凸部に加えて、表面に対して凹んだ形状である凹部(ディンプル)を設けてもよい。
【0087】
なお、上述したタイヤ/ホイール組立体は、乗用車用のみならず、重荷重用やランフラット用のタイヤ/ホイール組立体に適用される。乗用車用の場合は、上述のごとく効果が得られる。また、重荷重用の場合は、特に、大荷重において、空気入りタイヤの凸部によってタイヤサイド部の圧縮時でのタイヤの変形をより抑えることができ耐久性を向上する。また、ランフラット用の場合も、特に、パンク時において、空気入りタイヤの凸部によってタイヤサイド部の圧縮時でのタイヤの変形をより抑えることができ耐久性を向上する。
【実施例】
【0088】
本実施例では、条件が異なる複数種類のタイヤ/ホイール組立体について、燃費改善率に関する性能試験が行われた。
【0089】
この性能試験では、タイヤサイズ185/65R15の空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して、排気量1500[cc]の小型前輪駆動車に装着した。
【0090】
本実施例では、比較例1から比較例3のタイヤ/ホイール組立体と実施例1から実施例3のタイヤ/ホイール組立体について性能試験を行った。ここで、図15および図16は、それぞれ他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体を車両外側から視た外観図である。
比較例1のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤとホイールとの両方とも凸部を設けない構成、つまりタイヤ凸部、ホイール凸部が構成とした。比較例2のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けない構成とした。比較例3のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設けず、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。
【0091】
実施例1のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。具体的には、実施例1のタイヤ/ホイール組立体は、図15に示すタイヤ/ホイール組立体500である。タイヤ/ホイール組立体500は、空気入りタイヤ501にタイヤ凸部503が配置されており、ホイール502にホイール凸部504が配置されている。タイヤ凸部503は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ501は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部503がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域とタイヤ凸部503が配置されていない領域が交互に配置されている。ホイール凸部504は、タイヤ周方向において、タイヤ凸部503が配置されている領域のみに配置されている。タイヤ/ホイール組立体500は、タイヤ凸部503がホイール凸部504の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部503は、中心線の延長線がホイール502に配置されたいずれかのホイール凸部504の中心線に重なる位置に配置されている。
【0092】
実施例2のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。具体的には、実施例1のタイヤ/ホイール組立体は、図16に示すタイヤ/ホイール組立体500である。タイヤ/ホイール組立体500は、図12に示すタイヤ/ホイール組立体460のタイヤ凸部を、中心線の延長線がホイールに配置されたいずれかのホイール凸部の中心線とも重ならない位置に配置した構成である。空気入りタイヤ511にタイヤ凸部513が配置されており、ホイール512にホイール凸部514が配置されている。タイヤ凸部513は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。空気入りタイヤ511は、タイヤ周方向において、複数のタイヤ凸部513がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接して配置されている領域515とタイヤ凸部513が配置されていない領域516が交互に配置されている。ホイール凸部514は、タイヤ径方向に延在する直線形状であり、タイヤ周方向に複数隣接して配置されている。ホイール512は、タイヤ周方向において、複数のホイール凸部514がタイヤ周方向に所定の間隔で隣接してタイヤ周方向の全周に配置されている。タイヤ/ホイール組立体510は、タイヤ凸部513が配置されている領域において、タイヤ凸部513の中心線がホイール凸部514の中心線を径方向外側に延長させたいずれの線とも重ならない位置に配置されている。つまり、タイヤ凸部513は、中心線の延長線がホイール512に配置されたいずれかのホイール凸部514の中心線ともに重ならない位置に配置されている。
【0093】
実施例3のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設け、ホイールにホイール凸部を設けた構成とした。具体的には、実施例3のタイヤ/ホイール組立体は、上述した図12に示すタイヤ/ホイール組立体460である。
【0094】
燃費改善率の評価方法は、上記試験車両にて、全周2[km]のテストコースで時速100[km/h]にて50周走行した場合の燃費を計測した。そして、この計測結果に基づいて、比較例1のタイヤ/ホイール組立体を基準(100)とし燃費改善率を指数評価する。この指数評価は、数値が大きいほど燃費改善率が向上されていることを示している。測定結果を表1および表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
表1および表2に示すように、タイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤにタイヤ凸部を設けかつホイールにホイール凸部を設けることで、空気入りタイヤとホイールのいずれか一方のみに凸部を設けた場合、空気入りタイヤとホイールのいずれにも凸部を設けない場合よりも燃費を向上できることがわかる。また、実施例3に示すように、ホイール凸部がタイヤ周方向においてタイヤ凸部が配置されていない角度範囲の全域およびタイヤ凸部が配置されている角度範囲に配置されており、タイヤ凸部が、ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されている構成とすることで、燃費をより向上できることがわかる。
【符号の説明】
【0098】
1 空気入りタイヤ
9 凸部
S タイヤサイド部
CL タイヤ赤道面
100 タイヤ/ホイール組立体
102 ホイール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に連結する連結部を備えるホイールと、
前記ホイールの外周に装着される空気入りタイヤと、を有し、
前記空気入りタイヤは、車両外側となるタイヤサイド部に多数のタイヤ凸部を有し、
前記ホイールは、車両外側となる表面に多数のホイール凸部を有することを特徴とするタイヤ/ホイール組立体。
【請求項2】
前記ホイールは、前記車両と連結する連結部と、前記連結部に固定されかつ前記車両外側の表面に露出する表面が円板形状であり、車両外側となる表面を構成するホイールディスクと、を有し、
前記ホイール凸部は、前記ホイールディスクに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項3】
前記タイヤ凸部は、タイヤ周方向において一部の角度範囲に配置されており、
前記ホイール凸部は、少なくとも前記タイヤ凸部が形成されていない角度範囲の全域に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項4】
前記タイヤ凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつ、タイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項5】
前記タイヤ凸部は、前記ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項6】
前記タイヤ凸部は、少なくとも一部が、前記空気入りタイヤのタイヤ断面幅が最大となる位置からタイヤ径方向の外側に向かって、少なくともタイヤ断面高さの10%以上離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項7】
前記タイヤ凸部は、前記タイヤサイド部から突出する高さが0.5[mm]以上10[mm]以下とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項8】
前記ホイール凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項9】
前記ホイール凸部は、少なくとも一部が、タイヤ径方向において、前記空気入りタイヤが装着されるリム部のタイヤ径方向の外側端部からタイヤ回転軸までの距離をD1とした場合、前記リム部のタイヤ径方向の外側端部から0.1D1以上タイヤ径方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項10】
タイヤ幅方向おいて、前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記空気入りタイヤの車両外側の端部までの距離をL1とし、タイヤ幅方向における前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記ホイールの車両外側の端部までの距離をL2とした場合、前記距離L1と距離L2とは、L2≦L1の関係を満たすことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項11】
前記タイヤ凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項12】
前記タイヤ凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項13】
前記ホイール凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項14】
前記ホイール凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項1】
車両に連結する連結部を備えるホイールと、
前記ホイールの外周に装着される空気入りタイヤと、を有し、
前記空気入りタイヤは、車両外側となるタイヤサイド部に多数のタイヤ凸部を有し、
前記ホイールは、車両外側となる表面に多数のホイール凸部を有することを特徴とするタイヤ/ホイール組立体。
【請求項2】
前記ホイールは、前記車両と連結する連結部と、前記連結部に固定されかつ前記車両外側の表面に露出する表面が円板形状であり、車両外側となる表面を構成するホイールディスクと、を有し、
前記ホイール凸部は、前記ホイールディスクに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項3】
前記タイヤ凸部は、タイヤ周方向において一部の角度範囲に配置されており、
前記ホイール凸部は、少なくとも前記タイヤ凸部が形成されていない角度範囲の全域に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項4】
前記タイヤ凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつ、タイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項5】
前記タイヤ凸部は、前記ホイール凸部の中心線を径方向外側に延長させた線上に中心線が重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項6】
前記タイヤ凸部は、少なくとも一部が、前記空気入りタイヤのタイヤ断面幅が最大となる位置からタイヤ径方向の外側に向かって、少なくともタイヤ断面高さの10%以上離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項7】
前記タイヤ凸部は、前記タイヤサイド部から突出する高さが0.5[mm]以上10[mm]以下とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項8】
前記ホイール凸部は、タイヤ径方向に長手状に形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項9】
前記ホイール凸部は、少なくとも一部が、タイヤ径方向において、前記空気入りタイヤが装着されるリム部のタイヤ径方向の外側端部からタイヤ回転軸までの距離をD1とした場合、前記リム部のタイヤ径方向の外側端部から0.1D1以上タイヤ径方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項10】
タイヤ幅方向おいて、前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記空気入りタイヤの車両外側の端部までの距離をL1とし、タイヤ幅方向における前記空気入りタイヤのタイヤ赤道面から前記ホイールの車両外側の端部までの距離をL2とした場合、前記距離L1と距離L2とは、L2≦L1の関係を満たすことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項11】
前記タイヤ凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項12】
前記タイヤ凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項13】
前記ホイール凸部は、断面形状が頂点を持った略三角形状であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【請求項14】
前記ホイール凸部は、断面形状が少なくとも1つ以上の円弧で構成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のタイヤ/ホイール組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−71659(P2013−71659A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213094(P2011−213094)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
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