説明

タイル、及び、タイル取付構造

【課題】本発明によれば、固定及び取り外しが十分に容易なタイル及びタイル取付構造が提供される。
【解決手段】主板部12、及び、主板部12の周縁から折れ曲がって延びる側板部14を備え、側板部14の主板部12とは反対側の縁14eには、互いに対向する位置に一対の切欠16b、16dが形成されたタイル10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル、及び、タイル取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、左官工事等をすることなく固定部材に対して着脱可能に固定できるタイルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−276121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タイルの表面にそれぞれ色やデザインを与え、これらのタイルを壁等に適切に配置して固定するによって全体として美観を与えることができる。この場合、デザインの模様替えを容易に行なうためには、タイルを容易に壁等に固定でき、かつ、必要に応じて容易に取り外せることが望まれる。また、タイル自体に色やデザインが無い場合であっても、例えば、タイル自体に脱臭機能や調湿機能等がある場合には、当該機能が劣化した場合にタイルの取替えを容易とすべく、タイルを容易に壁等に固定でき、かつ、容易に取り外せることが望まれる。
【0005】
しかしながら、従来のタイルは、固定及び取り外し共に必ずしもそれほど容易ではなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、固定及び取り外しが十分に容易なタイル及びタイル取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるタイルは、主板部、及び、主板部の周縁から折れ曲がって延びる側板部を備える。そして、側板部における主板部とは反対側の縁には、互いに対向する位置に一対の切欠が形成されている。
【0008】
本発明にかかるタイルによれば、側板部に設けられた一対の切欠を、壁等に設置された係合部材と係合させることにより、タイルを容易に壁等に固定できる。このとき、切欠が一対形成されているので、2箇所の係合によりタイル安定して固定できる。また、一対の切欠が、側板部の主板部とは反対側の縁にそれぞれ形成されているので、係合及び係合の解除の際に、タイルを、タイルの主板部に対して直交する方向、又は、主板部に対して斜めとなる方向に移動させればよく、従来のように、タイルの主板と平行な方向に移動させる必要が無い。したがって、タイルがマトリクス状に上下左右に近接して配置されている場合であっても、所望のタイルの着脱が容易となる。
【0009】
ここで、一対の切欠同士を結ぶ方向から見て、一対の切欠は、側板部の縁に平行な方向における一端側にそれぞれ形成され、かつ、切欠における開放端よりも、切欠の先端が、一端側に近くなるようにそれぞれ傾斜して形成されていることが好ましい。
【0010】
これによれば、切欠を傾斜せずに縁に対して垂直に形成した場合に比べて、タイルを鉛直に延びる板上に固定した場合の安定性が向上する。
【0011】
また、主板部の平面形状が正方形であり、側板部は、主板部の互いに対向する2辺にそれぞれ設けられた第一側板部及び第三側板部と、主板部の互いに対向する他の2辺にそれぞれ設けられた第二側板部及び第四側板部と、を有し、第一側板部及び第三側板部に対して一対の切欠が形成されると共に、第二側板部及び第四側板部にも一対の切欠が形成されることが好ましい。
【0012】
これによれば、タイルを、主板部に直交する軸周りに90°回転させた状態でも固定させることができ、よりデザイン性を高めることができる。
【0013】
また、主板部の表面が曲面とされることが好ましい。これにより、複数のタイルをマトリクス状に並べることにより表面にうねりが出てデザイン性に優れる。
【0014】
また、主板部及び側板部は、樹脂により一体に形成されていることが好ましい。このようなタイルは、低コストに製造が可能である。
【0015】
本発明にかかるタイル固定構造は、上述のタイルと、タイルの一対の切欠に係合する突起と、を備える。
【0016】
ここで、突起は、水平方向に延在する凸条であることが好ましい。これにより、水平方向に並べて複数のタイルを固定することが容易である。
【0017】
また、突起がその表面に設けられると共に、突起と係合したタイルと対向する板を備え、板には、タイルの下部と対向する位置に凹部が形成されることが好ましい。これにより、タイルが他のタイルに周りを囲まれていても、タイルの取り外しがより一層容易である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定及び取り外しが十分に容易なタイル及びタイル取付構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るタイルを示す斜視図である。
【図2】図1のタイルの裏面側の斜視図である。
【図3】図1のタイルの側面図である。
【図4】図1のタイルを多数マトリクス状に固定部材に対して固定した状態を示す図である。
【図5】(a)は図4の背板の垂直断面図、(b)は(a)にタイルが係合した状態の垂直断面図、(c)は(b)の上体からタイルを外す状況を示す垂直断面図である。
【図6】第二実施形態に係るタイルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るタイルを示す斜視図である。タイル10は、主として、主板部12、及び、側板部14を備える。
【0022】
主板部12は、平面視で正方形状の板である。主板部12の表面には、正方形の重心12pに比べ、正方形の一の対角線上にある一対の角部12i,12jが凹み、他の一の対角線上にある角部12k、12lが凸になるようになだらかな曲面が形成されている。
【0023】
主板部12の正方形の大きさは特に限定されないが、例えば、一辺の長さが5〜30cm程度とすることができる。
【0024】
主板部12の4つの周縁からは、−Z方向に折れ曲がって延びる第一側板部14a、第二側板部14b、第三側板部14c、第四側板部14dが設けられている。側板部14a〜14dは、隣接する側板部とそれぞれ連結されていて、筒状の側板部14を形成している。側板部14のZ方向の厚みも特に限定されないが、最薄部で3〜60mm、最厚部で5〜100mmとすることができる。
【0025】
側板部14の主板部12から離れた側の縁14eは、同一平面(XY平面)上に形成されている。
【0026】
そして、側板部14の縁eには切欠16a,16b,16c,16dが形成されている。詳しくは、互いに対向する第一側板部14a及び第三側板部14cには、互いに対向する位置に、それぞれ、切欠16a及び切欠16cが形成されている。また、互いに対向する第二側板部14b及び第四側板部14dには、互いに対向する位置に、それぞれ、切欠16b及び切欠16dが形成されている。
【0027】
切欠16b及び切欠16dは、これらの切欠16b、16dを結ぶ方向、すなわち、第二側板部14bに対して垂直な方向(X方向)から見て(図3参照)、縁14eに沿う方向(±Y方向)において、側板部14b(14d)の一端14be側(図3では+Y方向側)に偏ってそれぞれ設けられている。さらに、切欠16b、16dにおける開放端16bt、16dtよりも、切欠16b、16dの先端16bs、16dsが、一端14be側に近くなるようにそれぞれ切欠16b、16dが傾斜して形成されている。
【0028】
また、図1、図2に示すように、切欠16a、16cも、切欠16a,16cを結ぶ方向(Y方向)から見て、側板部14a,14cにおける縁14eに沿う方向の一端側(+X側)にそれぞれ偏って設けられ、切欠の向きも+X側に傾斜している。
【0029】
これらの切欠における、縁14eに対する傾斜角度θt(図3参照)は特に限定されないが、5〜85°が好ましく、10〜80°がより好ましく、20〜70℃がより一層好ましく、30〜60°がさらにより一層好ましく、40〜50°が最も好ましい。なお、θtは90°でも実施可能である。また、切欠における縁14eに沿う幅Wtも特に限定されないが、3〜50mmとすることができる。切欠における縁14eに直交する長さLtも特に限定されないが、2〜50mmとすることができる。
【0030】
このようなタイル10の材料は特に限定されず、PVC(ポリビニルクロライド)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、POM(ポリオキシメチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)等の樹脂及びこれらの混合樹脂、木、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属、紙、ガラス、陶器(セラミクス)等々が挙げられる。特に、樹脂が好ましく、一体に容易に成形できて好ましい。
【0031】
(固定構造)
つづいて、このようなタイル10の固定構造100について図4、5を参照して説明する。
【0032】
この固定構造100は、上述のタイル10と、固定板28とを有する。固定板28は、矩形板状の背板20と、背板20の中央部20aを露出させると共に背板20の周辺部を覆う化粧枠26と、背板20の中央部20a上に配置されて横方向に延びる凸条(突起)22とを備える。
【0033】
背板の中央部20aは、タイル10を縦方向、及び、横方向にそれぞれ複数配置して、タイル10によるマトリックスを形成できる広さとされている。
【0034】
水平方向に延びるレール状の凸条22は、上下方向に複数配置されている。この凸条22は、図5の(a)に示すように、背板20から上方に傾斜して突出している。凸条22の形状は、タイル10の切欠と係合可能な形状とされている。具体的には、例えば、凸条22の傾斜角度θsは、タイル10の切欠の傾斜角度θtと同じとされている。凸条22の突出長さLsも、タイル10の切欠の長さLtと同じとされている。凸条22の幅Wsは、タイル10の幅Wtよりも小さくされている。
【0035】
そして、図4及び図5の(b)に示すように、この凸条22に、一部のタイル10の一対の切欠16b、16dが係合され、これによりタイル10が背板20に対して固定されている。また、図4に示すように、他の一部のタイル10は、タイル10の一対の切欠16c、16aが凸条22に係合され、これによりタイル10が背板20に対して固定されている。そして、一対の切欠16b、16dで固定されるタイル10と、一対の切欠16c、16aで固定されるタイル10とが、水平方向にも交互に、上下方向にも交互に配置されることにより、タイル全体の表面に、タイル2枚の長さの周期で周期的に波立つうねり形状が表現される。
【0036】
さらに、背板20の中央部20aには、図4及び図5の(b)に示すように、タイル10の下部と対向する部分に凹部24が形成されている。そして、タイル10を外す場合には、図5の(c)の矢印Aに示すように、タイル10の下部を指等で凹部24に向かって押すことにより、凹部24の上縁を支点としてタイル10の上部が図5の(c)の矢印Bのように水平方向を軸に回転して切欠16b、16dが凸条22から外れて容易に係合が解除される。
【0037】
本実施形態に係るタイル10及び固定構造100によれば、主板部12、及び、主板部12の周縁から折れ曲がって延びる側板部14を備え、側板部14の主板部12とは反対側の縁14eには、互いに対向する位置に一対の切欠16b、16d等が形成されている。これにより、側板部14に設けられた一対の切欠16b、16dを、壁等に設置された凸条22と係合させることにより、タイル10を容易に壁等に固定できる。このとき、切欠16b、16dが一対形成されているので、2箇所の係合によりタイル10を安定して固定できる。また、一対の切欠16b、16dが、側板部14の主板部12とは反対側の縁14eにそれぞれ形成されているので、係合及び係合の解除の際に、タイル10を、主板部12に対して直交する方向、又は、主板部12に対して斜めとなる方向に移動させればよく、従来のように、タイル10の主板部12と平行な方向(図1ではY方向)に移動させる必要が無い。したがって、タイル10がマトリクス状に上下左右に近くに配置されている場合であっても、所望のタイル10の着脱が容易となる。
【0038】
また、図3に示すように、一対の切欠16d、16b同士を結ぶ方向(X方向)から見て、一対の切欠16b、16dは、側板部14の縁14eに平行な方向における一端(14be)側にそれぞれ形成され、かつ、切欠16b、16dにおける開放端16bt、16dtよりも、切欠16b、16dの先端16bs、16dsが、一端(14be)側に近くなるようにそれぞれ傾斜して形成されているので、タイル10を鉛直に延びる背板20上に固定した場合の安定性が向上する。
【0039】
さらに、主板部12の平面形状が正方形であり、第一側板部14a及び第三側板部14cに対して一対の切欠16a,16cが形成されると共に、第二側板部14b及び第四側板部14dにも一対の切欠16b、16dが形成されているため、タイル10を、主板部12に直交する軸周りに90°回転させてもタイル10を固定させることができ、よりデザイン性を高めることができる。
【0040】
さらに、背板20には、タイル10の下部と対向する位置に凹部24が形成されているので、タイル10の取り外しも特に容易となっている。
【0041】
(第二実施形態)
続いて、本発明の第二実施形態について図6を参照して説明する。本実施形態に係るタイル10が、第1実施形態と異なるのは主板部12が曲面でなく平面となっている点である。このようなタイル10でも、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。
【0043】
例えば、主板部12の表面形状は種々の形態とすることができる。また、タイル10ごとに色彩を替えたりすることにより、複数のタイルにより全体としてデザインを描くことができ、また、タイルに文字や記号を書くことにより、メッセージを表示させたり、言語の学習用教材として使用することもできる。
【0044】
また、上記実施形態では、一対の切欠を2組、合計で4つの切欠を有しているが、タイルが無地の場合等、タイルを回転させて固定させる必要がない場合には、一対の切欠のみを有してもよい。側板部も、筒状である必要はなく、例えば、第一側板部14a及び第三側板部14cの一対のみでも良い。
【0045】
また、主板部の平面形状も正方形に限定されず、正6角形、正8角形等も可能であり、さらに、正多角形でなくても、矩形、円形等にすることもできる。
【0046】
また、上記実施形態では、主板部12及び側板部14は、一体に形成されているが、別体となっていてもよい。
【0047】
さらに、切欠と係合する突起として、水平方向に延在する凸条を採用しているが、各切欠と係合可能であればこれに限られず、例えば、各切欠と個別に係合するリング状の突起等を採用できる。
【0048】
また、背板20の凹部24がなくても実施可能であることは言うまでも無い。
【0049】
さらに上記実施形態では、切欠は傾斜しているが、傾斜していなくても実施は可能であり、切欠の形状も突起と係合できれば特に限定されない。
【符号の説明】
【0050】
10…タイル、12…主板部、14…側板部、14a…第一側板部、14b…第二側板部、14c…第三側板部、14d…第四側板部、14e…縁、16a,16b,16c,16d…切欠、16bt、16dt…切欠の開放端、16bs、16ds…切欠の先端、20…背板(板)、22…凸条(突起)、24…凹部、100…固定構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主板部、及び、前記主板部の周縁から折れ曲がって延びる側板部を備え、前記側板部における前記主板部とは反対側の縁には、互いに対向する位置に一対の切欠が形成されたタイル。
【請求項2】
前記一対の切欠同士を結ぶ方向から見て、前記一対の切欠は、前記側板部の縁に平行な方向における一端側にそれぞれ形成され、かつ、前記切欠における開放端よりも、前記切欠の先端が、前記一端側に近くなるようにそれぞれ傾斜して形成されている請求項1記載のタイル。
【請求項3】
前記主板部の平面形状が正方形であり、
前記側板部は、前記主板部の互いに対向する2辺にそれぞれ設けられた第一側板部及び第三側板部と、前記主板部の互いに対向する他の2辺にそれぞれ設けられた第二側板部及び第四側板部と、を有し、
前記第一側板部及び前記第三側板部に対して前記一対の切欠が形成されると共に、第二側板部及び第四側板部にも前記一対の切欠が形成された請求項1又は2記載のタイル。
【請求項4】
前記主板部の表面が曲面とされた請求項1〜3の何れか記載のタイル。
【請求項5】
前記主板部及び前記側板部は、樹脂により一体に形成されている請求項1〜4の何れか記載のタイル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載のタイルと、前記タイルの前記一対の切欠に係合する突起と、を備えたタイル固定構造。
【請求項7】
前記突起は、水平方向に延在する凸条である請求項6記載のタイル固定構造。
【請求項8】
前記突起がその表面に設けられると共に、前記突起と係合した前記タイルと対向する板を備え、
前記板には、前記タイルの下部と対向する位置に凹部が形成された請求項6又は7に記載のタイル固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−94420(P2011−94420A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250761(P2009−250761)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】