説明

タイルカーペット

【課題】タイルカーペットの裏打ち層に使用されているコポリマーからなるポリ塩化ビニルの加工性は優れるが、価格的に高価であり、コストアップの原因になっていた。さらに柔軟性から、タイルカーペットの敷込み後、収縮や反りなどが発生する場合があり問題となっていた。
【解決手段】これら収縮や反りを減少させるのに、タイルカーペット1の裏打ち層3として、コポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンドされた混合塩化ビニルで構成を使用することが有効であることに着目し、優れた寸法安定性や反り性能を実現し、さらに経済性にも優れたタイルカーペット1とその製造法を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーペット基材の裏面にポリ塩化ビニル樹脂を主体とするバッキング材が裏打ちされたタイルカーペット、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からタイルカーペットの裏打ち層としては、アスファルト、ポリオレフイン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などの熱可塑性樹脂が一般的に使用されている.特にポリ塩化ビニル樹脂が、加工の容易さ、経済性の面で多く使用されている。さらにその使われているポリ塩化ビニル樹脂はその中でも高価ではあるが、最高強度に達する温度が低く、低温度でも加工が可能なコポリマーからなるポリ塩化ビニルが使用されている。
【0003】
そして、裏打ち層の構造としては、裏打ち層の中にガラス繊維などの不織布や織布を積層することにより、製品の寸法安定性を向上させ、反りを減少させることも行われている。特開昭59−135023号においては、そのガラス繊維などの不織布や織布を境に、裏打ち層を上層、下層の2層構造とし、上層をポリ塩化ビニルI00部に対し充填剤0〜300部、下層をポリ塩化ビニル100部に対し充填剤300〜800部を含有したタイルカーペットが開示されている。これは、主として表面パイル層としてパイル固着用の樹脂を塗布していないタフテッド布帛を用いた場合、裏打ち層の上層の樹脂によってタフテッド布帛のパイルを第1基布や裏打ち層に固定接着するためであり、樹脂100部に対し充填剤300部以上を入れると、樹脂の粘度が上がりパイルなどへの浸透が悪くなり、上記のパイルの固定が不十分となるためとある。
【特許文献1】特開昭59−135023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のごとくタイルカーペットの裏打ち層に使用されているコポリマーからなるポリ塩化ビニルの加工性は優れるが、価格的に高価であり、コストアップの原因になっていた。さらにタイルカーペットの裏打ち層の上層及び下層に使用されている樹脂がコポリマーからなるポリ塩化ビニルで構成され、充填剤を少量にした場合、表面パイル層のパイルの固定が十分ではあるが、コポリマーからなるポリ塩化ビニルのもつ柔軟性から、タイルカーペットの敷込み後、収縮や反りなどが発生する場合があり問題となっていた。本発明者は鋭意研究の結果、これら収縮や反りを減少させるのに、下層に用いる樹脂をコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンドされた混合塩化ビニルを使用することが有効であることに着目し、優れた寸法安定性や反り性能を実現し、さらに経済性にも優れたタイルカーペットとその製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0006】
[1]基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、ポリ塩化ビニル樹脂からなる裏打ち層で構成されたタイルカーペットにおいて、前記裏打ち層が上層の樹脂層とガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布や織布からなる中間層と下層の樹脂層の三層で形成されており、更に、前記上下各層の樹脂層はコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンドされた混合塩化ビニルで構成され、該ポリ塩化ビニル100重量部に対して充填剤が300〜500重量部含有していることを特徴とするタイルカーペット。
【0007】
[2]前記タイルカーペットにおいて、前記上下各層の樹脂層を構成する混合塩化ビニルがコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルの混合で1:2から2:1の比率でブレンドされていることを特徴とする前項1に記載のタイルカーペット。
【0008】
[3]所定の速度で移動する離形性ベルトの表面上に、下層の樹脂層となる前記混合塩化ビニルゾルを連続的に供給し、次いでその上にガラス繊維などの不織布や織布からなる中間層を積層し、さらに上層の樹脂層となる前記混合塩化ビニルゾルを連続的に供給し、さらに最後にパイル布帛からなる表面パイル層を積層した後、加熱雰囲気下で熱処理を施して上下各樹脂層の前記混合塩化ビニルゾルをゲル化するタイルカーペットの製造方法に於いて、熱処理領域における上下各樹脂層の前記混合塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を150〜200℃に設定することを特徴とする前項1または2に記載のタイルカーペットの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
[1]の発明によれば、本発明のタイルカーペットは、裏打層がポリ塩化ビニルで形成されているので耐熱性に優れており、タイル状に床面に敷き詰めた場合、経時変化がなく寸法安定性が優れているので、敷き詰めたタイル間に隙間が発生することがない。また、上層の樹脂層がコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンドされた混合塩化ビニルで構成されているため、表面パイル層のパイル部への浸透に優れているので、糸抜け止性の優れたタイルカーペットとなる。さらに下層の樹脂層も同様に、コポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンドされた混合塩化ビニルで構成されているため、タイルカーペットの敷込み後に収縮や反りなどが発生しにくい、寸法安定性及び反り性能の優れたタイルカーペットとなる。
【0010】
さらに上下各層の樹脂層はポリ塩化ビニル100重量部に対して充填剤が300〜500重量部含有しているために、加工時に樹脂層のポリ塩化ビニルを最適な粘度のゾル状態に保つことができ、最終製品のタイルカーペットに必要な厚みを確保することができる。
【0011】
[2]の発明によれば、コポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンド比率を調整することにより、表面パイル層の材質に応じた糸抜け止性の確保が可能となり、タイルカーペットが施工される環境に応じた優れた寸法安定性及び反り性能を確保することができる。また、コポリマーからなるポリ塩化ビニルを100%使用している従来のタイルカーペットに比べて、安価な製造コストが得られる。
【0012】
[3]の発明によれば、従来の加工方法では、裏打ち層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度は200〜300℃に設定されているが、本発明では150〜200℃と温度を低く設定することが可能で、従来法に比べ容易に安定したポリ塩化ビニルゾルのゲル化が得ることができる。この効果はエネルギーコストを削減させ、表面パイル層の熱によるダメージを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下この発明に係わるタイルカーペットの一実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態のタイルカーペットは、カーペット基材の裏面にポリ塩化ビニル樹脂を主体とするバッキング材が裏打ちされたタイルカーペットである。図1は、本実施形態のタイルカーペットの一部を拡大して示す概略断面図である。
【0014】
本発明のタイルカーペット(1)は、表面パイル層(2)と、裏打ち層(3)からなり、さらに前記裏打ち層(3)は上層の樹脂層(4)と中間層(5)と下層の樹脂層(6)で構成されている。
【0015】
本発明における表面パイル層(2)は、基布にパイル糸をタフティング等により植設したタフトカーペットを用いることが意匠的に好ましく、また、短繊維ウエブをニードルパンチにより起毛させたニードルパンチカーペットや、表面が起毛されてなる織編布や立体織編布、通常の織編布を使用してもよい。
【0016】
表面パイル層(2)を構成するパイル素材としては、一般的にカーペット素材として使用しているものを用いればよく、ウール、麻、コットン等の天然繊維やポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維等が挙げられる。またパイルが植設される基布はポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維からなる織布や不織布を用いることが好ましい。
【0017】
本発明における裏打ち層(3)は上層の樹脂層(4)と中間層(5)と下層の樹脂層(6)の3層からなり、前記上層の樹脂層(4)及び下層の樹脂層(6)はポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の中重合度(1300〜1700程度)のコポリマーと塩化ビニルのホモポリマーとの混合塩化ビニルからなるPVC系ゾルとDOP(ジオクチルフタレート)等の可塑剤との混合物ゾルに充填剤、安定剤、顔料等の所要の添加剤を配合したペースト状物であり、加熱によってゲル化して均質な樹脂層を形成する。
【0018】
前記混合塩化ビニルはコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルの混合で1:2から2:1の比率でブレンドされている。糸抜け止性の確保、寸法安定性、経済性等により1:1が好ましい。
【0019】
また、表面パイル層がポリプロピレンのような熱によってダメージを受け易い材質の場合は、1.5:1〜2:1の比率でブレンドすれば、加工温度を150〜170℃と低く設定することが可能となり、表面パイル層の繊維パイルに伝わる温度によって、パイルが倒伏して容易に回復せず、製品の意匠性へのダメージが減少される。
【0020】
さらに、タイルカーペットが実際に施工される特異な環境、例えば昼夜の温度差が激しい寒冷地のオフィス等では、さらに強い寸法安定性が求められるために、1:1.5〜1:2の比率でブレンドすれば、強い材料強度となり対応が可能となる。
【0021】
前記塩混合塩化ビニルからなるPVC系ゾルの190℃での溶融粘度は300〜30000cPの範囲にあり、表面パイル層(2
)へ十分に塗布含浸し糸抜け止性の優れたタイルカーペットとなる。また、強い材料強度により、収縮が発生しにくい優れたタイルカーペットとなる。
【0022】
前記混合塩化ビニルからなるPVC系ゾルと混合させる可塑剤は特に限定されず、例えばジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、リン酸エステル系、塩素化パラフィン、トリメリット酸エステルなどの1種又は混合物などを用いることができる。中でも、加工性が良いことからジ−2−エチルヘキシルフタレートを使用することが好ましい。可塑剤は、樹脂組成物全量に対し10〜20重量%程度配合される。
【0023】
前記上層の樹脂層(4)及び下層の樹脂層(6)に含有させる充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムあるいはガラス粉末などを使用できる。これらのうち、特に炭酸カルシウムが経済性および加工性の点で好ましい。充填剤の平均粒径は5〜500ミクロン、好ましくは10〜100ミクロンの範囲である。粒径が5ミクロンより小さいと該樹脂層の溶融時の粘度が増大し、加工が困難となる。また500ミクロンより大きいと該樹脂層の表面の肌あれが起こり、外観不良が発生する。
【0024】
前記充填剤は寸法安定性の向上と製品を安価にするという経済効果のために配合される。具体的には、該充填剤の含有量はポリ塩化ビニル100重量部に対して300〜500重量部、好ましくは400〜450重量%である。300重量部より少ないと寸法安定性が不安定になり、また添加する経済効果も得られない。一方500重量部より多いと粘度が高くなりすぎるために、上層の樹脂層(4)においては、表面パイル層(2)へ塗布含浸が不十分となり糸抜け止性の劣るタイルカーペットとなる。また下層の樹脂層(6)においては溶融時の粘度が増大し、反りを防止する強度が得られず、加熱によってゲル化せる加工時間を要する結果となる。
【0025】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の滑剤、例えばワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、油脂、フタル酸エステル等を使用することができる。また、塗布表面の外観を改良するために顔料を、更に導電性を付与するためにカーボン繊維、金属繊維等の導電性充填材を配合することもできる。さらに、適度なクッション性を付与するため、発泡剤を適量添加して発泡バッキング層とすることもできる。
【0026】
本発明の中間層(5)はタイルカーペットの形状及び寸法安定性を向上させるものであって、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布、織布、組布等が挙げられ、不織布としてはモノフィラメントを不規則に配列してバインダー又は熱で固定したもの、織布としてはモノフィラメントの束を織ったもの、組布としてはモノフィラメントの束を縦横斜めに配列してバインダーで固定したものを用いることができる。
【0027】
形状及び寸法安定性の観点から、中でもガラス又はポリエステル系不織布が好ましく、該ガラス又はポリエステル系不織布は、上下樹脂層の層間に挿入することにより、カーペットの形状安定性を向上させるものである。即ち、上記不織布は樹脂層との接触面積が大であるので、有効にカーペットの形状を安定化することが可能である。この点から目付け量は、好ましくはガラス系不織布では15〜60g/mの範囲とし、ポリエステル系不織布では20〜100g/mの範囲である。いずれもこの範囲より低い目付け量では、寸法安定性の効果が不足し、またこの範囲を超える高い目付け量では、いずれも樹脂層と不織布間の層間剥離が生じ易く好ましくない。
【0028】
さらに、本発明のタイルカーペット(1)の構成において、前記中間層(5)を境に最上層の伸びのある表面パイル層(2)と下層の樹脂層(6)とのバランスにより、本発明のタイルカーペットは、床面に密着し易いように僅かに裏側へ向かう反りを有するという、実用上好ましい形状を保有する。
【0029】
前記僅かに裏側へ向かう反りを有する形状とは、タイルカーペットの一辺をつまみ上げ、タイルカーペットを下方へ垂らし、上方からタイルカーペットの反りの状態を観察した時に、カーペットの裏面方向に僅かな反りが認められることを意味する。僅かな反りを有するために、該タイルカーペットを平坦な床面に載置した場合には、特に荷重をかけない状態でもタイルカーペットの少なくとも角部及び周辺部は、床面に自重で十分に密着する。
【0030】
次に本発明のタイルカーペット(1)の製造方法を以下に示す。まず始めに上層の樹脂層(4)と下層の樹脂層(6)を構成する組成物を準備する。その構成はポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の中重合度(1300〜1700程度)のコポリマーと塩化ビニルのホモポリマーとDOP(ジオクチルフタレート)等の可塑剤をブレンダー機によって混合させた混合物ゾルと、充填剤、安定剤、顔料等の所要の添加剤を所定の配合で混合させる。
【0031】
そして、図2で示すように所定の速度で移動する易剥離剤コーティングガラスベルトの上に、前記下層の樹脂層(6)を構成する組成物を0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜2.0mmの厚さに塗布し、中間層(5)としてガラス又はポリエステル系不織布をその上に貼リ合わせ、更に上層の樹脂層(4)を構成する組成物を0.1〜5.0mm、好ましくは0.5〜2.0mmの厚さに塗布し、表面パイル層(2)を積層し、ついでロール圧着し一体化させて、前記下層の樹脂層(6)及び前記上層の樹脂層(4)を構成する組成物をキュアさせるゲル化が達成されるのに十分な温度と時間を与えた後に、冷却工程を経て、最後に所定形状、例えば500mm角の正方形に裁断すれば、最終製品としてのタイルカーペットが得られる。
【0032】
本発明のタイルカーペット(1)の連続製造工程において、処理領域における該上下各層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を150〜200℃に、好ましくは150〜180℃に設定することにより、表面パイル層(2)と下層の樹脂層(6)に挟まれた上層の樹脂層(4)にかかる温度が120℃〜130℃、また前記易剥離剤コーティングガラスベルトに直接乗っている前記下層の樹脂層(6)にかかる温度が130℃〜160℃となり、安定したゲル化が行なわれ、均質な樹脂層となり、高強度かつ生産性の高いタイルカーペットを製造することができる。
【0033】
前記上下各層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度が150℃を下回ると前記上下各樹脂層のゲル化が不十分となり反りを防止する強度が得られない。また上層の樹脂層(4)は表面パイル層のパイル部への浸透しにくくなり、表面パイル層のパイル糸の抜け易いタイルカーペットとなる。一方前記上下各層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度が200℃を超えると樹脂組成物の熱劣化及び分解等を発生し、前記上下各樹脂層共に十分な強度を持つ樹脂層とはならず、タイルカーペットの寸法安定性が損なわれる。
【0034】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
<実施例1>所定の速度で移動する易剥離剤コーティングガラスベルトの上に、下記記載の配合処方にて混合された下層の樹脂層を構成する組成物を、1.5mmの厚さに塗布し、目付35g/mのガラス不織布をその上に張り合わせ、更に上層の樹脂層を構成する組成物のための組成物を1.5mmの厚さに同様にして塗布し、基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層を積層し、ついでロール圧着して、上下各樹脂層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を170℃で熱処理を施して、ポリ塩化ビニルをゲル化させて冷却し、最後に500mm角の正方形に裁断し、タイルカーペットを製造した。[上下各層の樹脂層を構成する組成物]コポリマーとホモポリマーとのブレンド比率1:1で混合されたポリ塩化ビニル樹脂 100重量部ジオクチルフタレート 100重量部炭酸カルシウム 400重量部安定剤 2重量部顔料 2重量部気泡防止剤 5重量部
【0036】
<実施例2>上層の樹脂層及び下層の樹脂層に含有させる充填剤である炭酸カルシウムを330重量部含有させたこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0037】
<実施例3>上層の樹脂層及び下層の樹脂層に含有させる充填剤である炭酸カルシウムを470重量部含有させたこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0038】
<実施例4>上層の樹脂層及び下層の樹脂層に使用するコポリマーとホモポリマーとのブレンド比率を1:1.5で混合したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0039】
<実施例5>上層の樹脂層及び下層の樹脂層に使用するコポリマーとホモポリマーとのブレンド比率を1.5:1で混合したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0040】
<実施例6>上下各樹脂層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を150℃で熱処理を施したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0041】
<実施例7>上下各樹脂層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を190℃で熱処理を施したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0042】
<比較例1>上下各樹脂層を構成する組成物をコポリマーからなるポリ塩化ビニル樹脂100%を使用したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0043】
<比較例2>上下各樹脂層に含有させる充填剤である炭酸カルシウムを270重量部含有させたこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0044】
<比較例3>上下各樹脂層に含有させる充填剤である炭酸カルシウムを530重量部含有させたこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0045】
<比較例4>上層の樹脂層及び下層の樹脂層に使用するコポリマーとホモポリマーとのブレンド比率を1:2.5で混合したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0046】
<比較例5>上層の樹脂層及び下層の樹脂層に使用するコポリマーとホモポリマーとのブレンド比率を2.5:1で混合したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0047】
<比較例6>上下各樹脂層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を130℃で熱処理を施したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0048】
<比較例7>上下各樹脂層のポリ塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を230℃で熱処理を施したこと以外実施例1と全く同様にして、タイルカーペットを得た。
【0049】
上記のようにして得られた各タイルカーペットに対して下記評価法に基づいて寸法安定性試験、反りを調べた。その結果を表1及び表2に示す。
【0050】
(寸法安定性試験)(A)JISL4406に準じて、各タイルカーペットを60℃で2時間放置後、水道水に2時間浸漬し、その後、60℃で24時間放置した後、20℃65RH%下で、タイルカーペットのたて方向及びタイルカーペットのよこ方向のそれぞれについて測定した。測定は、3サンプル行い、その平均値を求めた。(B)500mm角のタイルカーペット1枚の表面上に荷重90kgを加えたチェアーキャスターを2000回転動させた後、縦横寸法を測定し、転動前の寸法と対比した値を縦横の平均値で示した。(A)(B)共にその値が±0.100mm未満であれば実際の使用に耐えうるタイルカーペットとなる。
【0051】
(反り)JIS―L―1904に準じて、各タイルカーペットを標準状態「20±2℃、(65±2)RH%」で24時間以上放置した後、水平な試験台の上に置き、タイルカーペットの四隅と試験台の隙間の長さを測定し平均値で示した。その値が0.3mm未満であれば実際の使用に耐えうるタイルカーペットとなる。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
表1から明らかなように、実施例1〜7のタイルカーペットは、いずれも反りが無く、寸法安定性に優れた十分に使用に耐えうるタイルカーペットを得た。
【0055】
これに対し、比較例1のタイルカーペットは当然経済的にも問題があるが、反りに関しても良好な性能は得られなかった。また比較例2〜7に関しても反り及び寸法安定性、共に満足する良好な性能は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係わる本発明タイルカーペットの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる本発明タイルカーペットの製造装置の概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1………タイルカーペット2………表面パイル層3………裏打ち層4………上層の樹脂層5………中間層6………下層の樹脂層7………熱処理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、ポリ塩化ビニル樹脂からなる裏打ち層で構成されたタイルカーペットにおいて、前記裏打ち層が上層の樹脂層とガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布や織布からなる中間層と下層の樹脂層の三層で形成されており、更に、前記上下各層の樹脂層はコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルのブレンドされた混合塩化ビニルで構成され、該ポリ塩化ビニル100重量部に対して充填剤が300〜500重量部含有していることを特徴とするタイルカーペット。
【請求項2】
前記タイルカーペットにおいて、前記上下各層の樹脂層を構成する混合塩化ビニルがコポリマーからなるポリ塩化ビニルとホモポリマーからなるポリ塩化ビニルの混合で1:2から2:1の比率でブレンドされていることを特徴とする請求項1に記載のタイルカーペット
【請求項3】
所定の速度で移動する離形性ベルトの表面上に、下層の樹脂層となる前記混合塩化ビニルゾルを連続的に供給し、次いでその上にガラス繊維などの不織布や織布からなる中間層を積層し、さらに上層の樹脂層となる前記混合塩化ビニルゾルを連続的に供給し、さらに最後にパイル布帛からなる表面パイル層を積層した後、加熱雰囲気下で熱処理を施して上下各樹脂層の前記混合塩化ビニルゾルをゲル化するタイルカーペットの製造方法に於いて、熱処理領域における上下各樹脂層の前記混合塩化ビニルゾルをキュアさせる熱処理領域の温度を150〜200℃に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のタイルカーペットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−302051(P2008−302051A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152395(P2007−152395)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】