説明

タッチスクリーンイベントをアプリケーションフォーマットデータに変換するための方法およびシステム

方法は、タッチスクリーンイベントをアプリケーションに固有にフォーマットされたデータ(アプリケーション固有のフォーマットデータ)に変換するために提供される。その方法は、タッチスクリーンイベントを検出することと、タッチスクリーンと関連するアクティブイベントゾーンを識別することを含む。アクティブイベントゾーンはタッチスクリーンイベントを含む。その方法は、さらにアクティブイベントゾーンに基づいてアプリケーション固有のフォーマットデータを出力することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してタッチスクリーンイベントをアプリケーションフォーマットにフォーマットされたデータ(アプリケーションフォーマットデータ)に変換するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多種多様な従来のタッチスクリーンシステムはさまざまなアプリケーションにおいて使用されている。アプリケーションの例としては、小売、レストラン、POS端末装置、キオスク、現金自動預け払い機、医療システム、Eメールパッケージ等がある。タッチスクリーンシステムは、通常タッチまたは近接センサ手段(mechanism)と連結するディスプレイを含む。センサ手段は、ディスプレイの近傍に置かれたとき、ユーザの指や手または道具を検出する。ディスプレイは制御され、特にグラフィック、文字列、映像および音声を含む、アプリケーション固有の情報をユーザに示す。アプリケーション固有の情報の例としては、仮想テレホンパッド(virtual telephone pad)、計算機、キャッシュレジスタ、キーボード、電子的なドキュメント及びレシート、並びにウィンドウがある。アプリケーション固有のグラフィックは、ツールバー、ポップアップメニュー、スクロールバー、文字列入力ウィンドウ、アイコン、電子的な書き込みまたは署名ボックス等を示してもよい。
【0003】
センサ手段は、指または道具の存在を検出し、それらに応答してタッチスクリーンイベントを生成する。タッチスクリーンイベントは、タッチイベント、リリースイベント、ストリーミングまたはドラッグイベント等を示してもよい。タッチスクリーンイベントは、イベントタイプを示しかつイベントが発生した位置を識別するデータまたは信号を含む。
【0004】
ディスプレイはシステムコンピュータ上で実行中のアプリケーションにより制御される。アプリケーションはディスプレイを制御し、アプリケーション固有の情報をユーザに示す。ディスプレイおよびタッチスクリーンはユーザインタフェースとして機能し、そのユーザインタフェースを介して、ユーザはデータをアプリケーションに出力する。ユーザ入力データは、金額、製品情報、患者/顧客情報、医療情報、患者の生体情報(patient vitals)、テスト結果、インターネットアドレス、ウェブサイトコンテンツ、Eメールと関連するコンテンツ等を示してもよい。ユーザは、キー、メニューアイテムまたはボタンを選択し、ボックス内に記入し、仮想の英数字キーを押すこと等によりデータを入力してもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のタッチスクリーンシステムにおいて、ディスプレイを駆動するアプリケーションは、直接タッチスクリーンのセンサ手段と通信する。アプリケーションを書く/修正するとき、プログラマは表示させるための情報を定義する。さらに、アプリケーションとタッチスクリーンの間の直接対話のために、プログラマはアプリケーションの中にアプリケーションとタッチスクリーンの間のインタフェースを定義する命令を組み込まなければならない。インタフェース命令は、タッチスクリーンにユーザにより入力され得るタッチスクリーンイベントの特性を規定する。
【0006】
タッチスクリーンは、通常「加工していない」タッチスクリーンデータ、すなわち検出されたイベント及びそのイベントの位置を生成する。プログラマは、アプリケーションの中に、a)タッチスクリーンイベントを検証し、区別し、b)各イベントを表示される情報と関連付け、c)それに応じて関連したソフトウェアアプリケーションを制御するために作動する機能を組み込まなければならない。したがって、プログラマは、タッチスクリーンセンサ手段の低いレベルのフォーマットおよび操作、およびタッチスクリーンイベントの特性および内容を詳細に理解する必要がある。さらに、タッチスクリーンには多数のタイプが存在し、各タイプはタッチスクリーンイベント毎に異なるフォーマットを利用してもよい。それゆえ、プログラマは各アプリケーションをタッチスクリーンの対応するタイプ毎に特徴付けなければならない。
【0007】
アプリケーションソフトウェアとタッチスクリーンセンサ手段の間の汎用的なインタフェースを提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
タッチスクリーンイベントをアプリケーションに固有にフォーマットされたデータ(アプリケーション固有のフォーマットデータ)に変換するための方法が提供される。その方法は、タッチスクリーンイベントを検出し、タッチスクリーンと関連するアクティブイベントゾーンを識別する。アクティブイベントゾーンはタッチスクリーンイベントを含む。その方法は、さらにアクティブイベントゾーンに基づいてアプリケーション固有のフォーマットデータを出力する。
【0009】
また、その方法は、タッチスクリーンイベントをイベントゾーンのテーブルと比較し、潜在イベントゾーンのリストを生成する。その潜在イベントゾーンのリストから、後に、アクティブイベントゾーンが識別される。潜在イベントゾーンのリストが生成されるとすぐに、アクティブイベントゾーンは優先順位に基づいて識別されてもよい。タッチスクリーンイベントが重複するイベントゾーン内で発生した場合、1つのイベントゾーンがアクティブイベントゾーンとしてイベントゾーンの優先順位に基づいて識別される。タッチスクリーンイベントはタッチイベント、リリースイベント、ドラッグイベントの少なくとも1つを含んでもよいし、タッチスクリーン座標系に関連するイベント位置座標を備えてもよい。各イベントゾーンには少なくとも1つのモード、例えばスクロールモード、電子的書き込みモード、マウス機能モード、ボタンモード等が割り当てられてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、タッチスクリーンベースのアプリケーションに関連して示されるタッチスクリーン10である。タッチスクリーン10は、利用可能なタッチエリアを異なるタッチまたはイベントゾーンに分ける。アプリケーションソフトウェアは、異なる機能に関してタッチエリアの異なる部分を使用してもよい。各イベントゾーンは、異なるイベント応答特性またはモードと関連してもよい。
【0011】
「タッチスクリーン」という言葉は、最も広い意味で使用されている。例えば、タッチスクリーンは、グラフィックまたは画像情報を示す装置または機器、例えば一体型のまたは分離可能なタッチスクリーンを有する液晶ディスプレイ(LCD)を意味してもよい。LCDはタッチセンサ式であってもよい。また、タッチスクリーンは、ガラスのような、タッチを感知できる物理的な機器を意味してもよい。物理的な機器は、グラフィックまたは画像情報を必ずしも直接表す必要はない。代わりに、タッチセンサ式の物理的な機器は、分離可能なディスプレイスクリーンの前に設置されてもよい。「タッチスクリーン」という言葉は、単独でタッチセンサ式の物理的な機器を表してもよいし、さらにより広く、タッチセンサ式の物理的な機器と組み合わせたディスプレイスクリーンを意味してもよい。
【0012】
タッチスクリーン10によりまたはそれに関連して示される情報は、複数のボタンゾーン14(例えば、ボタン#1、ボタン#2、ボタン#3等)を含むツールバー12を含む。バックグラウンドゾーン16は、タッチスクリーン10の中央部分に表示され、その上に重ねられたポップアップメニュー18を含む。ポップアップメニュー18は、一連のメニューアイテムゾーン20〜25を含む。各メニューアイテムゾーン20〜25は、アイテム機能(例えば、アイテム#1、アイテム#2等)と関連する。一例として、ボタンゾーン14においてボタン#1が選択されたときに、メニュー18を生成するようにしてもよい。縦方向のスクロールバーは縦方向のスクロールゾーン26においてユーザに示される一方、横方向のスクロールバーは横方向のスクロールゾーン28においてユーザに示される。署名ボックスは書き込みゾーン30において示される。ゾーン14〜30は、以下でさらに詳細に説明されるように、異なるイベントモードまたは特性と関連する。
【0013】
図2は、ディスプレイ44と接続されるタッチスクリーン42を含むタッチスクリーンシステム40のブロック図である。ディスプレイ44は、ディスプレイ制御モジュール46により制御され、図1に示すようなタッチスクリーン10と接続して、グラフィックまたは画像情報を表示する。ディスプレイ制御モジュール46は、特に演算順序、配置、機能及びその他ユーザに提供されるもの等を決定し制御するアプリケーション48と通信する。アプリケーション48はタッチスクリーン制御モジュール50と通信し、タッチスクリーン制御モジュール50はタッチスクリーン42を駆動し、タッチスクリーン42からタッチスクリーンイベントを受信する。コンピュータマウス52は、任意にタッチスクリーン制御モジュール50および/またはアプリケーション48に接続されてもよい。アプリケーション48は汎用コンピュータ等で実行されてもよい。
【0014】
タッチスクリーン制御モジュール50は、タッチスクリーン42内のセンサに駆動信号を伝送するタッチスクリーンインタフェースまたはドライバ54を含む。また、タッチスクリーン制御モジュール50は、タッチスクリーン42から受信したタッチスクリーンイベントを処理する、イベントタイプ識別モジュール56とイベント位置識別モジュール58を含む。イベントタイプ識別モジュール56は、イベントタイプを識別する一方、イベント位置識別モジュール58は、イベント位置を識別する。イベントタイプの例としては、タッチイベント、リリースイベント、およびドラッグまたはストリーミングイベントがある。イベント位置は、画素位置、行および列の識別子、またはX−Y座標の組み合わせ等のようなタッチスクリーン42の座標系に基づいて定義されてもよい。
【0015】
タッチスクリーン制御モジュール50は、さらにゾーン位置テーブル60と、ゾーンモードテーブル62と、アプリケーションデータセットテーブル64とアプリケーションインタフェース66とを含む。
【0016】
ゾーン位置テーブル60は、イベントゾーンレコードのリストを含む。各イベントゾーンレコードは一意的にイベントゾーンと関連する。ゾーン位置テーブル60のイベントゾーンレコードのリストは、ディスプレイ44上に表示されるタッチスクリーン10に関連して利用されるすべてのイベントゾーンを含んでもよい。または、ゾーン位置テーブル60は、アプリケーション48の動作中ディスプレイ44上に表示されるように、複数のタッチスクリーン10と関連するイベントゾーンレコードのリスト一式を格納してもよい。後者の場合、各イベントゾーンレコードは、現在のタッチスクリーン10に関連して現在利用されているイベントゾーンを示す「動作可能な」フィールドも含む。
【0017】
各イベントゾーンレコードは、イベントゾーンID、関連するイベントゾーンの境界を定義する座標、例えばイベントゾーンの四辺形の対角部(例えば、X、Y及びx、y)、イベントゾーンのサイズ、イベントゾーンの形状、重複フラグFoverlap、選択順位(preference ranking)Prank等を含んでもよい。イベントゾーンは長方形、正方形、円形、楕円形、三角形および任意の他の境界のある形状であってよい。重複フラグFoverlapは、あるイベントゾーンが他のイベントゾーン(例えば、ポップアップウィンドウ)と重なっているか否かを示すために利用される。選択または優先順位(priority ranking)Prankは、重複している2つ以上のイベントゾーン内でタッチスクリーンイベントが発生したとき、どのイベントゾーンをアクティブにするかを決定するために使用されてもよい。例えば、ポップアップメニューが他のグラフィック、例えばアイコン、ツールバーボタン等と重複している場合である。ポップアップウィンドウのメニューアイテムゾーンは、その下に配置されたグラフィックと関連するイベントゾーンよりも高い優先または選択順位が与えられてもよい。
【0018】
ゾーンモードテーブル62は、イベントゾーンID及び1つ以上のイベントモードフラグFmode#Nを含むゾーンモードレコードを格納する。ゾーンモードテーブル62内のイベントゾーンIDは、ゾーン位置テーブル60内のイベントゾーンIDに対応して、それらの間でのクロスリファレンスを可能にする。イベントモードフラグFmodeNは、要求されるイベントタイプおよび/またはイベント順序を、アプリケーションフォーマットにフォーマットされたデータセット(アプリケーションフォーマットデータセット)の形式で、アプリケーション48に出力されるアプリケーションに固有の応答と関連付けるために使用される。一例として、イベントモードは、Fmode1=”イベントゾーンにおけるタッチ応答”、Fmode2=”イベントゾーンにおけるタッチ応答なし”、Fmode3=”タッチしてクリック”、Fmode4=”リリースしてクリック”、Fmode5=”タッチしてドラッグ”、Fmode6=”ダブルクリック左ボタン”、Fmode6=”右クリックボタン”等がある。
【0019】
上記例において、イベントモードFmode1は、タッチイベントが検出されたときに、タッチスクリーン制御モジュール50が、すぐにタッチ応答をアプリケーションインタフェース66からアプリケーション48に出力すべきことを示す。イベントモードFmode2は、タッチイベントが検出されたときに、タッチスクリーン制御モジュール50がいかなる出力もなさず、タッチイベントを無視すべきことを示す。イベントモードFmode3は、タッチイベントが検出されたときに、タッチスクリーン制御モジュール50が、すぐにコンピュータマウスの左ボタンのクリックに対応するコマンドを出力すべきことを示す。イベントモードFmode4は、有効なタッチイベントと有効なリリースイベントの両方を検出した後のみ、タッチスクリーン制御モジュール50がコンピュータマウスの左ボタンのクリックに対応するコマンドを出力すべきことを示す。イベントモードFmode5及びFmode5は、関連するイベントゾーン内の対応する有効な一連のタッチ及びリリースイベントを検出した後、タッチスクリーン制御モジュール50がコンピュータマウスの左ボタンのダブルクリック及び右ボタンのシングルクリックそれぞれに対応するコマンドを出力すべきことを示す。
【0020】
アプリケーションデータセットテーブル64はデータセットを格納する。各データセットは固有のアプリケーションのためにフォーマットされる。各アプリケーションフォーマットデータセットは、アプリケーション48により定義され、アプリケーション48が受け入れ可能な入力値を示す。一例として、アプリケーションフォーマットデータセットは、シングル左ボタンマウスクリック、ダブル左ボタンマウスクリック、右ボタンマウスクリック、ASCII文字、ASCII文字列、例えばエンター、コントロール、またはアルト機能等のキーボード機能、計算機と関連する機能、例えば署名を識別する等の一連の座標、または入力機器からデータシーケンスにより起動されてもよい任意のシステム機能コマンドと関連するコマンドを示してもよい。また、アプリケーションフォーマットデータセットは、ボタンや実質的なキーボードのキーを再定義またはその出力先を変更してもよい。例えば、キーボードのキー配列を整理し直してもよい。
【0021】
初期化中、アプリケーション48はゾーン位置テーブル60、ゾーンモードテーブル62及びアプリケーションデータセットテーブル64をアプリケーションインタフェース66を介して読み込んでもよい。また、アプリケーションは、同時にリアルタイムで、ゾーン位置テーブル60、ゾーンモードテーブル62及びアプリケーションデータセットテーブル64を変更してもよい。
【0022】
アプリケーション48及びタッチスクリーン制御モジュール50は、シングルプロセッサ、並列プロセッサ、個別の専用プロセッサ等を利用して実行されてもよい。タッチスクリーン制御モジュール50は、アプリケーション48を実行するホストコンピュータシステムから個別のエンティティを示してもよい。また、タッチスクリーン制御モジュール50は、ホストコンピュータシステムの一部として実行されてもよい。また、タッチスクリーン制御モジュール50およびアプリケーション48の機能は、任意にホストおよび個別のコンピュータシステムにより組み合わせて、または別個の(distinct)1組の個別の独立の機能エンティティとして実行されてもよい。
【0023】
以下、図3A及び図3Bを参照して、タッチスクリーン制御モジュール50の動作をより詳細に説明する。
【0024】
図3A及び図3Bは、タッチスクリーン制御モジュール50により実行される、タッチスクリーンイベントをアプリケーションフォーマットデータセットに変換するための処理の論理フローチャートである。ステップ100において、タッチスクリーン42はタッチスクリーンイベントを検出し、イベントタイプおよびイベント位置をタッチスクリーン制御モジュール50に提供する。イベントタイプ識別モジュール56は、ステップ102においてイベントタイプを識別する。イベント位置識別モジュール58は、ステップ104においてイベント位置をゾーン位置テーブル60内のイベントゾーンレコードと比較する。ステップ104における比較は、タッチスクリーンイベントの位置を現在選択されたイベントゾーンの境界座標と比較することにより実行される。
【0025】
タッチスクリーンイベント位置がイベントゾーンの境界にある場合、ステップ106においてイベントゾーンは潜在イベントゾーンのリストに追加される。ステップ108において、a)ステップ106において解析されたイベントゾーンがゾーン位置テーブル60内の最後のイベントゾーンであるか否か、b)イベントゾーンがバックグラウンドゾーンであるか否か、およびc)重複フラグが現在のイベントゾーンに関連して設定されたか否かが判定される。重複フラグは、現在のイベントゾーンがディスプレイ44上の他のイベントゾーンと重複する場合に、設定される。ステップ108の判定がYesの場合、フローはステップ110に進み、処理はゾーン位置テーブル60(図2)内の次のイベントゾーンレコードに移動する。ステップ106、108及び110は、各イベントゾーンレコードが検討され、またはイベント位置がバックグラウンドゾーン内に存在すると判定されるまで、繰り返される。
【0026】
ステップ112において、重複フラグが潜在イベントゾーンリスト上のイベントゾーンに対してクリアか否かが判定される。Yesの場合、フローは図3Bのステップ118に進む。Noの場合、フローはステップ114に進み、現在イベントゾーンが、ゾーン位置テーブル60内の最後のイベントゾーンを示すか否かが判定される。またステップ114において、イベント位置がディスプレイ44上で現在利用されているすべてのイベントゾーンの外側になるか否かが判定される。ステップ114における判定がYesの場合、フローはステップ116に進み、イベント位置がバックグラウンドゾーン内にあると判定され、処理は終了する。ステップ114において、イベント位置が少なくとも1つの他のイベントゾーン内にあると判定される場合、フローは図3Bのステップ118に進む。
【0027】
図3Bに戻り、ステップ118において、潜在イベントゾーンリストが空か否かが判定される。Yesの場合、バックグラウンドゾーンはステップ120においてアクティブである指定され、フローは終了する。また、ステップ118において、潜在イベントゾーンリストが空でない場合、フローはステップ122に進み、潜在イベントゾーンリストが、優先度が最も高いイベントゾーンを求めるために検索される。ゾーン位置テーブル60内の各イベントゾーンレコードは、優先度が最も高いイベントゾーンを識別するためのステップ122で使用される選択または優先順位を備える。ステップ124において、優先度が最も高いイベントゾーンは、アクティブイベントゾーンに指定される。ステップ126において、アクティブイベントゾーンのゾーンモードテーブル62内のゾーンモードレコードがアクセスされ、アクティブイベントゾーンと関連するイベントモードを取得する。ステップ128において、イベントモードがアプリケーション応答を含むか否かが判定される。アプリケーション応答が存在する場合、これはタッチスクリーン制御モジュール50がいくつかのタイプのデータセットをアプリケーション48(図2)に提供するべきであることを示す。イベントモードがアプリケーション応答を含まない場合、フローはステップ130に進み、タッチスクリーンイベントは廃棄され、この処理を終了する。ステップ128においてイベントモードがアプリケーション応答を含む場合、フローはステップ132に進み、ゾーンモードテーブル62はアクセスされ、イベントモードおよびイベントタイプに基づいてモードフラグを取得する。ステップ134において、ゾーンモードテーブル62(図2)からのインデックスまたはモードフラグを使用し、テーブル64に設定されたアプリケーションデータ内において、そのときアプリケーション48に出力されるアプリケーションフォーマットデータセットを識別する。その後処理は終了し、フローはステップ100に戻り、次のタッチスクリーンイベントの検出を待つ。
【0028】
アプリケーションベースの座標系は、タッチスクリーン42の座標系とは異なってもよい。例えば、アプリケーションベースの座標系はより低い解像度(例えば、1024×1024)を有する一方で、タッチスクリーン42は第1の解像度(例えば、4000×4000)を有する座標系を含んでもよい。また、タッチスクリーン42は、極座標系に基づいて動作する一方で、アプリケーションベースの座標系はデカルト座標系であってもよい(逆もまた同様)。タッチスクリーン制御モジュール50は座標系間の変換を実施する。
【0029】
また、タッチスクリーン制御モジュール50は、ユーザがタッチスクリーンで指または道具をドラッグするとき、ユーザの指(例えば、マウスまたはペン(line))に従い、その下に配置されたグラフィックの表示がユーザの指に遅れを取るような「遅延ドラッグ」機能を備えてもよい。また、タッチスクリーン制御モジュール50は、ユーザの指がタッチスクリーンの境界に近づいたとき、アプリケーション48に出力されるイベント位置情報がユーザの指の実際の位置より境界に近いと示されるような、タッチスクリーンの境界の近くで「拡張(extended)タッチ」機能を備えてもよい。イベントゾーンが小さいときや、ディスプレイ44の角や側辺の近くに位置しているときに、拡張タッチ機能は有用である。
【0030】
さまざまな具体的実施の形態において本発明を記述したが、当事者は本発明を請求項の意図および範囲内の変更を加えても実施できると認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態による、タッチスクリーンアプリケーションに関連して示されるタッチスクリーンを示す図
【図2】本発明の実施の形態により形成されるタッチスクリーンシステムのブロック図
【図3A】本発明の実施の形態による、タッチスクリーンイベントをアプリケーション固有のフォーマットデータに変換する論理フローチャート
【図3B】本発明の実施の形態による、タッチスクリーンイベントをアプリケーション固有のフォーマットデータに変換する論理フローチャート
【符号の説明】
【0032】
10 タッチスクリーン
12 ツールバー
14 ボタンゾーン
16 バックグラウンドゾーン
18 ポップアップメニュー
20、21、22、23、24、25 メニューアイテムゾーン
26 縦方向のスクロールゾーン
28 横方向のスクロールゾーン
30 書き込みゾーン
40 タッチスクリーンシステム
42 タッチスクリーン
44 ディスプレイ
46 ディスプレイ制御モジュール
48 アプリケーション
50 タッチスクリーン制御モジュール
52 マウス
54 タッチスクリーンドライバ
56 イベントタイプ識別モジュール
58 イベント位置識別モジュール
60 ゾーン位置テーブル
62 ゾーンモードテーブル
64 アプリケーションデータセットテーブル
66 アプリケーションインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーンイベントをアプリケーションフォーマットデータに変換するための方法であって、
タッチスクリーンイベントを検出するステップと、
タッチスクリーンと関連し、タッチスクリーンイベントを含むアクティブイベントゾーンを識別するステップと、
アクティブイベントゾーンに基づいてアプリケーションフォーマットデータを出力するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの潜在イベントゾーンを判定するために、タッチスクリーンイベントをイベントゾーンのテーブルと比較するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
潜在イベントゾーンのリストを生成するステップをさらに含み、
前記潜在イベントゾーンから、前記アクティブイベントゾーンが優先順位に基づいて識別されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タッチスクリーンイベントが、重複している第1および第2のイベントゾーンまたは複数の重複しているゾーンの中にあるか否かを判定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アクティブイベントゾーンおよびタッチスクリーンイベントのタイプに基づいてイベントモードを識別するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アクティブイベントゾーンおよびタッチスクリーンイベントに基づいて、複数のゾーン属性から少なくとも1つのゾーン属性にアクセスするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のゾーンをタッチスクリーンと関連付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
イベントゾーンに、スクロールモード、電子的書き込みモード、マウス機能モードおよびボタンモードの内の少なくとも1つを指定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記タッチスクリーンイベントは、タッチイベント、リリースイベント、ドラッグイベントおよびストリーミングイベントの内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記タッチスクリーンイベントは、タッチスクリーン座標系と関連するイベント位置座標を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
タッチスクリーン座標系および異なるアプリケーション座標系をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アプリケーション固有の情報を表示するタッチスクリーンと、
アプリケーション固有の情報を表示する前記タッチスクリーンと対話するアプリケーションと、
前記アプリケーションは、アプリケーション固有の情報に関連して前記アプリケーションにより利用されるアプリケーションフォーマットデータセットを定義し、
前記タッチスクリーンで発生するタッチスクリーンイベントを感知する、タッチスクリーンに隣接するセンサユニットと、
前記タッチスクリーン上に表示されるアプリケーション固有の情報と関連するイベントゾーンを含むイベントテーブルと、
前記イベントテーブル内の前記イベントゾーンから、前記タッチスクリーンイベントを含むアクティブイベントゾーンを識別し、前記アクティブイベントゾーンに基づいてアプリケーションフォーマットデータセットを前記アプリケーションに出力するタッチスクリーン制御モジュールとを備えることを特徴とするタッチスクリーンシステム。
【請求項13】
タッチスクリーンイベントをアプリケーションフォーマットデータセットに変換するためのタッチスクリーン制御モジュールであって、
タッチスクリーンと通信するために構成されるタッチスクリーンインタフェースと、
前記タッチスクリーンインタフェースは、タッチスクリーンイベントを受信し、各タッチスクリーンイベントは、タッチイベント、リリースイベント、ドラッグイベントおよびストリーミングイベントの内の少なくとも1つと関連し、アプリケーションインタフェースは、ソフトウェアアプリケーションと通信するために構成され、前記アプリケーションはイベントゾーン、前記イベントゾーンと関連するイベントモードおよび前記イベントモードと関連するアプリケーションフォーマットデータセットを定義し、
イベントモードを前記イベントゾーンと関連付けるゾーンモードレコードと、
前記タッチスクリーンイベントに基づいて、前記イベントゾーンの1つをアクティブイベントゾーンとして指定するイベント識別子と、
前記アプリケーションインタフェースは、前記アプリケーションに、前記タッチスクリーンイベントと関連するアプリケーションフォーマットデータセットを、前記アクティブイベントゾーンおよび前記アクティブイベントゾーンと関連するイベントモードに基づいて出力することを特徴とするタッチスクリーン制御モジュール。
【請求項14】
前記タッチスクリーンインタフェースは、一連のタッチイベントおよびリリースイベントを受信し、
それらに基づいて、前記アプリケーションインタフェースは、シングル左ボタンマウスクリック、ダブル左ボタンマウスクリック、右ボタンマウスクリック、ASCII文字、ASCII文字列、キーボード機能、計算機能、署名、一連の座標、およびシステム機能コマンドの内の少なくとも1つと対応するコマンドを出力することを特徴とする請求項13に記載のタッチスクリーン制御モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−516335(P2008−516335A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535710(P2007−535710)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/034688
【国際公開番号】WO2006/041685
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】