説明

タッチスクリーン装置、タッチ操作入力方法及びプログラム

【課題】表示オブジェクトが重畳もしくは密接に表示された画面においても、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作できるようにする。
【解決手段】タッチスクリーン装置は、複数レイヤ(レイヤ1〜4)に区分して定義された表示オブジェクトを、レイヤごとに配置してタッチパネルディスプレイ20の画面に表示する。ここで、接触点の数(ユーザがタッチ操作する指60の数)を検出し、接触点の数に基づいて操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択する。1本の指で移動操作すると、レイヤ1のサムネイルリスト土台15とともに、レイヤ2のサムネイル16が同方向に動く。2本の指で移動操作すると、レイヤ4のスクロール操作バー14が動き、レイヤ1のサムネイルリスト土台15及びレイヤ2のサムネイル16が逆方向に動く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触操作により入力指示等を行うタッチスクリーン装置、タッチ操作入力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末等の電子機器に見られるように、画面に表示されたアイテムを指で接触することで操作可能なタッチスクリーン装置が数多く登場している。
【0003】
この種のタッチスクリーン装置の入力操作に関する技術として、例えば4本の指と親指を回すジェスチュア動作により、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)である画面を回転させることが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、1本以上の指の接触を、画面スクロール、拡大・縮小、スクリーン回転などのコマンドに対応させることが知られている(特許文献2参照)。
【0005】
また、複数の接触点のうち、1つの接触点の検出座標の変化を検出した場合、この検出座標が存在する領域のオブジェクトを変化量に応じて移動させることが知られている(特許文献3参照)。
【0006】
このように、アイテムリスト(例えば、写真のサムネイル一覧)画面におけるスライドやフリック操作(軽く払う操作)として、「画面全体のスクロール」や「アイテムそのものに対する操作(座標移動)」を、接触する指の本数やジェスチャによって切り替えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−537051号公報
【特許文献2】特表2010−503127号公報
【特許文献3】国際公開第2010/008088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のタッチスクリーン装置では、次のような課題があり、より一層の改善が要望されている。
【0009】
課題の一つとして、アイテムリストにおける画面の表示位置を表すスクロールバーに関するものがある。画面に表示するアイテム数が多い場合、リストを大きく移動させるためには、画面を何度もスライドしてスクロールさせなければならないが、スクロールバーに触ることでスクロール操作を可能にすることによって、使いやすさが向上すると考えられる。しかし、画面の小さなモバイル機器では、サムネイルの一覧性と操作のしやすさを考慮し、使いやすいユーザインターフェース(UI)を実現する必要がある。
【0010】
例えば、アイテムリストとして写真のサムネイルを表示する場合、サムネイルの表示個数やサムネイルの表示エリアを優先的に確保し、画面を見やすくするためには、サムネイルとスクロールバーを重畳して表示することが考えられる。この場合、スクロールバーを触ってスクロールさせるつもりが、接触位置が他の領域にかかって画面全体のスクロールやサムネイルの移動になってしまい、ユーザの意図に反するスクロールあるいは移動を行
ってしまうことがある。また、操作対象の切り替えが複雑になってしまう。
【0011】
また、サムネイルの表示領域とは独立したスクロールバー専用領域を設けた場合を考える。この場合、1画面内に同時表示可能なサムネイルの枚数を維持すると、サムネイルの表示サイズが小さくなってしまう。逆に、サムネイルの表示サイズを維持すると、1画面内に同時表示可能なサムネイルの枚数が少なくなり、一覧性が下がる。
【0012】
また、指の接触時間(通常のタッチ、長タッチ等)によって操作対象の切り替えを行う場合を考える。この場合、接触時間の判定を行うために、「通常タッチ」であっても「リリース判定」(タッチしてから長タッチと判定される時間未満で離したタイミング)の後に動作を行う必要がある。このため、操作のレスポンス(ユーザがタッチ操作を行ってから、その画面が動作するまでの反応速度)が低下してしまう。
【0013】
ここでは、スクロールバーの場合について説明したが、その他、アイテムまたはGUIの部品が画面内で重畳する場合、同様に誤操作が発生しやすいと考えられる。また、マルチタスクによる画面表示としていくつかの機能あるいは画面(ウインドウ)が表示されている場合、ユーザは操作対象とする機能あるいは画面をアクティブにしてから、そのアクティブになった機能あるいは画面に対する操作を行うことになる。このため、操作対象が非アクティブ状態の場合、その都度、非アクティブからアクティブに切り替える操作が必要となる。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、表示オブジェクトが重畳もしくは密接に表示された画面においても、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作可能にすることにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、画面内に複数の操作対象の表示オブジェクトがある場合に、操作対象への操作、操作対象の切り替え等を行う際の操作レスポンスを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、接触操作が可能なタッチパネルディスプレイを有するタッチスクリーン装置であって、複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトの情報を保持する表示情報保持部と、前記表示オブジェクトをレイヤごとに配置して前記タッチパネルディスプレイの画面に表示する表示処理部と、前記タッチパネルディスプレイにおける接触操作物体の接触点を検出する接触点検出部と、前記検出された接触点の数に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作対象レイヤの表示オブジェクトに対して前記接触操作物体の接触操作に応じた操作入力動作を実行する操作入力実行部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示オブジェクトが重畳もしくは密接に表示された画面においても、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作できるようになる。また、画面内に複数の操作対象の表示オブジェクトがある場合に、操作対象への操作、操作対象の切り替え等を行う際の操作レスポンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態のタッチスクリーン装置の構成を示すブロック図
【図2】タッチパネルディスプレイに表示されるサムネイルリスト画面を示す図
【図3】サムネイルリスト画面のレイヤ階層を示す図
【図4】サムネイルリスト画面の各レイヤに対する操作パターンを示すテーブル
【図5】第1の実施形態の動作として、図4に示す各操作パターンに対応して指の接触点数を定義した設定例を示すテーブル
【図6】(A)、(B)は第1の実施形態における画面上の動作の具体例を示す図
【図7】第1の実施形態におけるタッチスクリーン装置の動作手順を示すフローチャート
【図8】第2の実施形態の動作として、図4に示す各操作パターンに対応して指の接触点数及び移動方向を定義した設定例を示すテーブル
【図9】第2の実施形態における画面上の動作の具体例を示す図
【図10】第2の実施形態におけるタッチスクリーン装置の動作手順を示すフローチャート
【図11】第3の実施形態の動作として、指の接触点数に対するUIとしての動作を定義した設定例を示すテーブル
【図12】(A)、(B)は第3の実施形態における画面上の動作の具体例を示す図
【図13】第3の実施形態におけるタッチスクリーン装置の動作手順を示すフローチャート
【図14】画面の表示態様の第2変形例を示す図
【図15】画面の表示態様の第3変形例を示す図
【図16】画面の表示態様の第4変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るタッチスクリーン装置、タッチ操作入力方法及びプログラムについて、以下に説明する。本実施形態のタッチスクリーン装置は、携帯電話やスマートフォン等の携帯端末装置、あるいは携帯ゲーム装置や携帯オーディオ装置など、小型の電子機器に搭載される。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のタッチスクリーン装置の構成を示すブロック図である。タッチスクリーン装置1は、制御部10、ROM40、RAM50、タッチパネルディスプレイ20、及び記憶部30を有する。
【0021】
制御部10は、周知のプロセッサを含むコンピュータにより構成され、タッチスクリーン装置1全体を制御する。ROM40には、タッチスクリーン装置1の動作に関する、各種のデータがあらかじめ記憶されている。RAM50には、制御部10の各処理における一時的なデータが記憶される。
【0022】
タッチパネルディスプレイ20は、液晶表示器等の表示デバイスを有してなる。このタッチパネルディスプレイ20は、操作検出部25及び表示処理部26を有する。操作検出部25は、表示デバイス上に配置されたユーザが接触操作可能な平面状の操作入力デバイスによるタッチパネルからなり、ユーザの指の接触(タッチ)点の座標や動き(ジェスチュア)を検出する。ここでは、接触操作物体としてユーザの指を想定しているが、スタイラスペンなどの他の接触操作物体を使用して接触操作を行うものでもよい。表示処理部26は、タッチパネルディスプレイ20の表示デバイスの画面における表示処理を行う。
【0023】
記憶部30には、オペレーティングシステム(OS)38、周辺機器をOS38に認識させるドライバ(ソフトウェア)36、コンテンツ管理部33、及びアプリケーションプログラム31が格納されている。コンテンツ管理部33は、写真、ドキュメントなどのコンテンツデータを登録・管理するものである。アプリケーションプログラム31は、後述する写真管理プログラムなど、各種のアプリケーションを実行するプログラムを含む。このアプリケーションプログラム31は、プログラム実行時の各種画面の情報を含む。
【0024】
ここでは、写真管理プログラムのアプリケーションを起動し、写真のサムネイルをリス
ト表示したサムネイルリスト画面を表示する場合のタッチスクリーン装置の動作について説明する。このサムネイルリスト画面により、ユーザが各写真の内容を示すサムネイルを一覧することができる。
【0025】
図2はタッチパネルディスプレイ20に表示されるサムネイルリスト画面を示す図である。
【0026】
タッチパネルディスプレイ20のサムネイルリスト画面20aには、メニューボタン11、戻るボタン12、スクロール全体バー13、スクロール操作バー14、背景画像となるサムネイルリスト土台(ベース)15、及び複数枚のサムネイル16が表示されている。ここで、スクロール全体バー13とスクロール操作バー14とを含んでスクロールバー21(図3参照)が構成される。また、サムネイルリスト土台15とサムネイル16とを含んでサムネイルリスト22(図3参照)が構成される。
【0027】
サムネイルリスト画面20aに表示されるこれらの画像(表示オブジェクト)は、複数レイヤに階層化して区分し、レイヤ(階層)ごとに分割されて定義され、表示オブジェクトの情報が記憶部30内のアプリケーションプログラム31において保持されている。表示オブジェクトとしては、写真等のサムネイルやアイコンなどの操作対象物を示すアイテム、スクロールバーやボタンなどのGUI部品、アプリケーションの動作に伴い各種表示を行う操作対象となるウインドウなどが含まれる。
【0028】
ここで、記憶部30が表示情報保持部の機能を実現する。また、表示処理部26が、制御部10の制御動作に従い、複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトをタッチパネルディスプレイ20の画面に表示する機能を実現する。また、操作検出部25が、制御部10の制御動作に従い、タッチパネルディスプレイ20における接触点の数、接触点の状況などを検出する接触点検出部の機能を実現する。また、制御部10が、タッチパネルディスプレイ20における接触操作に応じた操作入力動作を実行する操作入力実行部の機能を実現する。
【0029】
図3はサムネイルリスト画面20aのレイヤ階層を示す図である。本実施形態では、タッチパネルディスプレイ20の画面に表示される表示オブジェクトを、レイヤ0〜レイヤ4までの5つのレイヤ階層に分割した場合を示す。前述したアプリケーションプログラム31には、タッチパネルディスプレイ20の画面に表示される表示オブジェクトの画像データと、この表示オブジェクトが配置されるレイヤとの対応関係を表すテーブルが登録され、記憶されている。
【0030】
具体的に、レイヤ0には、アプリケーションの実行画面が表示されるアプリケーションウインドウ18が配置される。レイヤ1には、アイテムリストの背景としてサムネイルリスト土台15が配置される。レイヤ2には、アイテムとしてサムネイル16が配置される。レイヤ3には、固定されたUI操作部品(GUI部品)としてスクロール全体バー13、メニューボタン11及び戻るボタン12が配置される。レイヤ4には、可動自在なUI操作部品としてスクロール操作バー14が配置される。
【0031】
ここで、タッチパネルディスプレイ20の画面に表示される画像をレイヤ0〜レイヤ4までの5つのレイヤ階層に分割する基準について説明する。
【0032】
基本的に、レイヤの分割基準は、画面表示におけるユーザの見た目に合わせたものとする。すなわち、最下層にアプリケーションウインドウ、最上層にUI操作用の部品を配置し、これらの間(中間層)にその画面における主たる情報やファイルを表示することが行われる。
【0033】
具体的に、サムネイルリスト画面20aでは、写真の一覧表示を行うアプリケーションウインドウ18を最下層(レイヤ0)に配置し、その上(中間層)にサムネイルリスト22を配置する。さらに、その上(最上層)にUI操作用の部品としてスクロールバー21などを配置する。
【0034】
さらに、サムネイルリスト22は、サムネイルリスト全体を表す土台(背景)部分である「サムネイルリスト土台15」と個々のサムネイルである「サムネイル16」に分割することができる。この場合、前者を下位レイヤ(レイヤ1)に、後者を上位レイヤ(レイヤ2)配置する。
【0035】
また、スクロールバー21についても、スクロールの表示位置を変更するためのバーである「スクロール操作バー14」とスクロールバー可能領域全体を表すバーである「スクロール全体バー13」に分割することができる。この場合、後者を下位レイヤ(レイヤ3)に、前者を上位レイヤ(レイヤ4)に配置する。
【0036】
サムネイルリストの場合に限らず、他のアイテムリスト画面においても、上記「サムネイル」を「アイテム」に置き換えることで複数レイヤに分割配置し、表示することが可能である。また、アプリケーションの他の例として、ブラウザのサイト表示画面においては、中間層を「サイトの情報表示(画像、テキストなど)部分+リンク位置などを表すフォーカス」とすることで、複数レイヤに分割配置し、表示することが可能である。
【0037】
次に、サムネイルリスト画面の各レイヤに対する操作について説明する。図4はサムネイルリスト画面の各レイヤに対する操作パターンを示すテーブルである。ここでは、操作パターンとして、パターン1、2、3が挙げられている。図4に示すように、操作パターンごとに、UIとしての動作、各レイヤの表示オブジェクトの動作が定義されている。この操作パターンの選択により、操作対象となる表示オブジェクトのレイヤが選択され、当該レイヤに対する接触操作に応じた操作入力動作が実行される。
【0038】
操作パターンのパターン1では、UIとしての動作は、リスト画面の操作が実行される。この場合、レイヤ1が主操作レイヤとして接触点の移動に従って移動する。レイヤ2は主操作レイヤに付随した移動を行い、レイヤ1と同方向に移動する。レイヤ3は固定である。レイヤ4は主操作レイヤに付随した移動を行い、レイヤ1と逆方向に移動する。
【0039】
操作パターンのパターン2では、UIとしての動作は、スクロールバーの操作が実行される。この場合、レイヤ4が主操作レイヤとして接触点の移動に従って移動する。レイヤ1は主操作レイヤに付随した移動を行い、レイヤ4と逆方向に移動する。レイヤ2は主操作レイヤに付随した移動を行い、レイヤ4と逆方向に移動する。レイヤ3は固定である。
【0040】
操作パターンのパターン3では、UIとしての動作は、サムネイルの操作が実行される。この場合、レイヤ2が主操作レイヤとして接触点の移動に従って移動する。レイヤ1は主操作レイヤに付随した移動を行い、画面内の場合は固定である。レイヤ3は固定である。レイヤ4は主操作レイヤに付随した移動を行い、画面内の場合は固定である。
【0041】
図5は第1の実施形態の動作として、図4に示す各操作パターンに対応して指の接触点数を定義した設定例を示すテーブルである。第1の実施形態は、指の接触点数(操作する指の本数)によって複数の操作パターンを切り替えるものである。
【0042】
図5のように、タッチパネルディスプレイ20に接触し、操作検出部25にて検出された指の接触点数に応じて、操作パターンが定義されている。つまり、指の接触点数が1(
1本指での操作)の場合は操作パターンとしてパターン1の動作が実行される。指の接触点数が2(2本指での操作)の場合は操作パターンとしてパターン2の動作が実行される。指の接触点数が3(3本指での操作)の場合は操作パターンとしてパターン3の動作が実行される。
【0043】
図6は第1の実施形態における画面上の動作の具体例を示す図である。図6(A)は操作パターンのパターン1を、図6(B)は操作パターンのパターン2をそれぞれ示している。
【0044】
パターン1はリスト画面(アイテムリスト)の操作である。このパターン1は、1本の指60の接触により行われる。図6(A)に示すように、1本の指60でレイヤ1に配置されたサムネイルリスト土台15をタッチして、図6の右方向に移動させると、この指の移動に合わせて、サムネイルリスト土台15とともに、レイヤ2に配置されたサムネイル16は右方向(同方向)に動く。このとき、レイヤ1に付随した動きとして、レイヤ4に配置されたスクロール操作バー14は左方向(逆方向)に動く。なお、レイヤ3に配置されたスクロール全体バー13は固定されたままである。
【0045】
パターン2はスクロールバー(GUI部品)の操作である。このパターン2は、2本の指60の接触により行われる。図6(B)に示すように、2本の指60でレイヤ4に配置されたスクロール操作バー14をタッチして、図6の右方向に2本の指60を移動させると、スクロール操作バー14は指の移動に合わせて右方向に動く。このとき、レイヤ4に付随した動きとして、レイヤ1に配置されたサムネイルリスト土台15、及びレイヤ2に配置されたサムネイル16は左方向(逆方向)に動く。なお、レイヤ3に配置されたスクロール全体バー13は固定されたままである。
【0046】
従来では、スクロール操作バーを触ってスクロールさせるつもりが、誤ってサムネイルを触ってしまい、サムネイルが移動し、スクロール操作バーが反対に動いてしまうような不具合が生じていたが、本実施形態では、このような誤操作を回避できる。
【0047】
図6には示していないが、パターン3はサムネイル個別の操作である。このパターン3は3本の指により行われる。3本の指でレイヤ2に配置されたサムネイル16をタッチして移動させると、この指の移動に合わせて、サムネイル16は同方向に移動する。このとき、サムネイル16の移動が表示されている画面の範囲内である場合、レイヤ1、3、4にそれぞれ配置されたサムネイルリスト土台15、スクロール全体バー13、スクロール操作バー14は固定されたままである。一方、サムネイル16の移動が画面の範囲外まで大きくなると、レイヤ2に付随した動きとして、サムネイルリスト土台15及びスクロール操作バー14は同方向に移動する。なお、レイヤ3に配置されたスクロール全体バー13は固定されたままである。
【0048】
このように、本実施形態では、表示オブジェクトを複数レイヤに分割してレイヤごとの動作を定義し、各レイヤの表示オブジェクトを配置する。そして、ユーザがタッチ操作する指の接触点数によって複数の操作パターンの切り替えを行い、操作パターンに応じた各レイヤの移動等の動作を行う。これにより、サムネイルリストを操作対象として移動させる操作と、スクロールバーを操作対象として移動させる操作とを明確に分けることができる。また、サムネイルのアイテム全体を移動させる操作と、サムネイルの個別アイテムを移動させる操作とを明確に分けることができる。従って、意図しない誤操作を無くすことができる。
【0049】
図7は第1の実施形態におけるタッチスクリーン装置の動作手順を示すフローチャートである。本タッチスクリーン装置の処理を実行するプログラムは、写真管理プログラムの
一部に含まれるものであり、記憶部30内のアプリケーションプログラム31として格納されており、制御部10によって繰り返し実行される。
【0050】
まず、制御部10は、操作検出部25により第1接触点が検出されるまで待つ(ステップS1)。
【0051】
第1接触点が検出されると、制御部10は、同時に接触している他の接触点があるか否かを判別する(ステップS2)。他の接触点が検出されている場合、制御部10は、接触点の総数が3点以上であるか否かを判別する(ステップS3)。3点以上の接触点があった場合、制御部10は、レイヤ2を選択し、接触点の移動などの操作指示が行われたか否かを判別する(ステップS4)。この場合の操作指示は、パターン3の移動指示である。ここで、ステップS1、S2、S3の処理は接触点検出部の機能に相当する。
【0052】
操作指示があった場合、制御部10は、接触点座標から操作対象となるサムネイルを決定し(ステップS5)、パターン3のサムネイルアイコンに対する移動操作を行う(ステップS6)。この後、制御部10は本動作を終了する。このように、操作対象となるサムネイルは接触点の数及び接触点座標から決定されるので、操作性が良好である。ここで、ステップS5、S6の処理は操作入力実行部の機能に相当する。
【0053】
一方、ステップS4で操作指示がなかった場合、制御部10は、レイヤ2の選択を解除し、接触点が1点以上解除されたか否かを判別する(ステップS7)。1点以上解除された場合、制御部10は、ステップS1の処理に戻る。また、解除されていない場合、制御部10はステップS4の処理に戻る。
【0054】
また、ステップS2で同時に接触している他の接触点がない場合、制御部10は、レイヤ1を選択し、接触点の移動などの操作指示があるか否かを判別する(ステップS8)。この場合の操作指示は、パターン1の移動指示である。操作指示がない場合、制御部10は、レイヤ1の選択を解除し、ステップS2の処理に戻る。一方、操作指示がある場合、制御部10は、パターン1のリスト画面全体に対するスクロール操作を行う(ステップS9)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0055】
また、ステップS3で接触点の総数が3点未満である場合、つまり、接触点の総数が2点である場合、制御部10は、レイヤ4を選択し、操作指示があるか否かを判別する(ステップS10)。この場合の操作指示は、パターン2の移動指示である。操作指示がない場合、制御部10は、レイヤ4の選択を解除し、接触点が1点解除されたか否かを判別する(ステップS11)。1点解除された場合、制御部10は、ステップS8の処理に戻る。一方、解除されない場合、制御部10は、ステップS3の処理に戻る。
【0056】
また、ステップS10で操作指示があった場合、制御部10は、接触点座標から対象となる部品(ここでは、パターン2であるので、スクロール操作バー14)を決定する(ステップS12)。そして、制御部10は、パターン2のスクロール操作バー14に対する操作を行う(ステップS13)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0057】
第1の実施形態によれば、重畳もしくは密接に表示された画面においても、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作することができる。また、操作対象の切り替えを行う際、接触時間を操作切り替えの判定に用いないので、操作レスポンスを向上させることができる。
【0058】
また、小さな画面であっても、スクロール操作バーの操作と、画面のスクロール操作とを誤操作することなく両立させることができる。また、大量のアイテムが表示されたリス
トであっても、スクロール操作バーによる素早いスクロールと、画面スクロールによる細かい位置調整とを使い分けることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のタッチスクリーン装置は、前記第1の実施形態と同一の構成を有するので、同一の符号を付すことによりその説明を省略する。ここでは、前記第1の実施形態と異なる動作について説明する。
【0060】
図8は第2の実施形態の動作として、図4に示す各操作パターンに対応して指の接触点数及び移動状態を定義した設定例を示すテーブルである。第2の実施形態は、指の接触点数(操作する指の本数)と接触点の状況とによって複数の操作パターンを切り替えるものである。接触点の状況としては、ここでは各接触点の移動状態(移動の有無、移動方向)を用いる。
【0061】
図8のように、タッチパネルディスプレイ20に接触し、操作検出部25にて検出された指の接触点数と各接触点の移動方向に応じて、操作パターンが定義されている。つまり、指の接触点数が1(1本指での操作)の場合は操作パターンとしてパターン1の動作が実行される。指の接触点数が2(2本指での操作)であり、2つの接触点が同方向に移動する場合は操作パターンとしてパターン2の動作が実行される。指の接触点数が2(2本指での操作)であり、1つの接触点が固定でもう1つの接触点が移動する場合は操作パターンとしてパターン3の動作が実行される。ここでは、第1の実施形態とは異なるパターン3について説明する。
【0062】
図9は第2の実施形態における画面上の動作の具体例を示す図である。この図9は操作パターンのパターン3を示している。
【0063】
前述したように、パターン3はサムネイル個別の操作である。第2の実施形態では、前記第1の実施形態と異なり、パターン3は2本の指で操作指示が行われる。1本の指60aを接触させた状態で固定し、もう1本の指60bを「E14」のサムネイル16に接触させた後、この指60bをスライドさせると、操作対象となる「E14」のサムネイル16だけが同方向に移動する。
【0064】
このとき、サムネイル16の移動が表示されている画面の範囲内である場合、レイヤ1、3、4にそれぞれ配置されたサムネイルリスト土台15、スクロール全体バー13、スクロール操作バー14は固定されたままである。一方、サムネイル16の移動が画面の範囲外まで大きくなると、レイヤ2に付随した動きとして、サムネイルリスト土台15及びスクロール操作バー14は同方向に移動する。レイヤ3に配置されたスクロール全体バー13は固定されたままである。
【0065】
なお、サムネイルアイコンに対する機能としては、ドラッグで「移動」、フリックで「開く」、「転送」などを行えるようにしてもよい。
【0066】
図10は第2の実施形態におけるタッチスクリーン装置の動作手順を示すフローチャートである。本タッチスクリーン装置の処理を実行するプログラムは、写真管理プログラムの一部に含まれるものであり、記憶部30内のアプリケーションプログラム31として格納されており、制御部10によって繰り返し実行される。
【0067】
まず、制御部10は、操作検出部25により第1接触点が検出されるまで待つ(ステップS21)。
【0068】
第1接触点が検出されると、制御部10は、同時に接触している他の接触点があるか否かを判別する(ステップS22)。他の接触点が検出されている場合、制御部10は、1つの接触点のみに移動指示があるか否かを判別する(ステップS23)。1つの接触点のみ移動指示がある場合、パターン3の移動指示である。この場合、制御部10は、レイヤ2を選択し、接触点座標から操作対象となるサムネイルを決定し(ステップS24)、パターン3のサムネイルアイコンに対する移動操作を行う(ステップS25)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0069】
一方、ステップS22で同時に接触している他の接触点がない場合、制御部10は、レイヤ1を選択し、接触点の移動などの操作指示(移動指示)があるか否かを判別する(ステップS26)。操作指示がない場合、制御部10は、レイヤ1の選択を解除し、ステップS22の処理に戻る。一方、操作指示がある場合、制御部10は、パターン1のリスト画面全体に対するスクロール操作を行う(ステップS27)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0070】
また、ステップS23で1つの接触点のみの移動指示がなかった場合、制御部10は、両方同時に移動指示があったか否かを判別する(ステップS28)。両方同時の移動指示があった場合、パターン2の移動指示である。この場合、制御部10は、レイヤ4を選択し、接触点座標から対象となる部品(ここでは、スクロール操作バー14)を決定する(ステップS29)。そして、制御部10は、パターン2のスクロール操作バー14に対する操作を行う(ステップS30)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0071】
一方、ステップS28で両方同時の移動指示がなかった場合、制御部10は、1点の接触が解除されたか否かを判別する(ステップS31)。解除されていない場合、制御部10は、ステップS23の処理に戻る。一方、1点の接触が解除された場合、制御部10は、ステップS26の処理に戻る。
【0072】
第2の実施形態では、操作パターンとしてパターン3の操作をする場合、接触している2本の指のうち、1本の指を固定し、もう1本の指を移動させる。これにより、接触点の数と各接触点の移動状態により、複数の操作パターンを選択的に切り替えることができる。例えば、操作対象の表示オブジェクトのレイヤとして、アイテム全体が配置されたレイヤと個別アイテムが配置されたレイヤとを選択的に切り替えられる。この場合、3本の指を使用する前記第1の実施形態に比べ、指の本数を2本に減らすことができる。したがって、接触させる指の範囲(複数の接触点の領域)が広がってサムネイルをうまく指定できない不具合が解消される。また、操作対象のサムネイルアイコン上には、1本の指があるだけであるので、アイコンの視認性を確保することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
第3の実施形態のタッチスクリーン装置は、前記第1の実施形態と同一の構成を有するので、同一の符号を付すことによりその説明を省略する。第3の実施形態では、前記第1、第2の実施形態におけるサムネイルリスト画面の操作の代わりに、ユーザインタフェース(UI)としてタッチパネルディスプレイに表示されたウインドウを操作する場合を示す。
【0074】
図11は第3の実施形態の動作として、指の接触点数に対するUIとしての動作を定義した設定例を示すテーブルである。図11のように、タッチパネルディスプレイ20に接触し、操作検出部25にて検出された指の接触点数に応じて、UIとしての動作が定義されている。つまり、指の接触点数が1(1本指での操作)の場合は上位レイヤ(アクティブ)に対する操作が実行される。指の接触点数が2(2本指での操作)の場合は下位レイヤ(非アクティブ)に対する操作が実行される。
【0075】
図12は第3の実施形態における画面上の動作の具体例を示す図である。タッチパネルディスプレイ20には、2つのUIのウインドウが表示されている。下位レイヤには、第1のUI(G11)71が配置され、上位レイヤには、第2のUI(H12)72が配置されている。ここで、上位レイヤがアクティブ状態(有効)であり、下位レイヤが非アクティブ状態(無効)であるとする。
【0076】
図12(A)に示すように、1本の指60でタッチ操作を行うと、上位レイヤに配置されたアクティブであるUI(H12)72に対する操作が行われる。また、図12(B)に示すように、2本の指60でタッチ操作を行うと、下位レイヤに配置された非アクティブであるUI(G11)71に対する操作が行われる。
【0077】
図13は第3の実施形態におけるタッチスクリーン装置の動作手順を示すフローチャートである。本タッチスクリーン装置の処理を実行するプログラムは、マルチタスク環境下で実行されるプログラム等に含まれるものであり、記憶部30内のアプリケーションプログラム31として格納されており、制御部10によって繰り返し実行される。
【0078】
まず、制御部10は、操作検出部25により第1接触点が検出されるまで待つ(ステップS41)。
【0079】
第1接触点が検出されると、制御部10は、同時に接触している第2接触点があるか否かを判別する(ステップS42)。第2接触点がある場合、制御部10は、下位レイヤを選択し、接触点の移動などの操作指示があるか否かを判別する(ステップS43)。
【0080】
操作指示があると、制御部10は、非アクティブな下位レイヤに対する操作を行う(ステップS44)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0081】
一方、ステップS42で第2接触点がない場合、制御部10は、上位レイヤを選択し、接触点の移動などの操作指示があるか否かを判別する(ステップS45)。操作指示がない場合、制御部10は、上位レイヤの選択を解除し、ステップS42の処理に戻る。一方、操作指示があると、制御部10は、アクティブな上位レイヤに対する操作を行う(ステップS46)。この後、制御部10は本動作を終了する。
【0082】
また、ステップS43で操作指示がない場合、制御部10は、下位レイヤの選択を解除し、1点の接触が解除されたか否かを判別する(ステップS47)。解除されない場合、制御部10は、ステップS43の処理に戻る。一方、解除された場合、制御部10は、ステップS45の処理に戻る。
【0083】
第3の実施形態によれば、タッチ操作する指の接触点数によって操作対象の表示オブジェクトのレイヤ(ここではウインドウ)を選択的に切り替え、移動等の操作をすることができる。これにより、非アクティブな状態にあるウインドウに対する操作が容易になる。通常、アクティブな状態にあるウインドウ(タスク)のみが操作対象となるので、一旦、操作したいものをアクティブ化する必要がある。しかし、第3の実施形態では、2本の指でタッチ操作するだけで、非アクティブな下位レイヤのUIに対する操作を直接行うことができる。これにより、操作がきわめて簡便になる。また、上記例では、上位と下位の2つのレイヤにそれぞれ2つのUIのウインドウ(表示オブジェクト)が配置された場合を示したが、3つ以上のレイヤにそれぞれ3つ以上のウインドウ(表示オブジェクト)が配置される場合も同様に実施可能である。
【0084】
(変形例)
上述した第1、第2の実施形態では、タッチパネルディスプレイの画面に、サムネイルリスト土台、サムネイル、スクロール全体バー、スクロール操作バー、及びUI操作用ボタン等の表示オブジェクトを、単に重ねて表示している。これらの表示オブジェクトは、配置されたレイヤをユーザに分かりやすく表示するために、以下のような変形例の表示態様としてもよい。
【0085】
表示態様の第1変形例は、表示オブジェクトをタッチパネルディスプレイに同時に重畳した状態で表示するのではなく、パラパラ漫画のように、時間差を持たせてレイヤごとに順次表示するものである。この場合、下位レイヤの表示オブジェクトから1つずつ上位レイヤの表示オブジェクトを順に重ねるように、レイヤ別に時間差を持たせて表示する。
【0086】
図14は表示態様の第2変形例を示す図である。表示態様の第2変形例は、レイヤの識別を容易にしたサムネイルリスト画面の一例である。この第2変形例では、サムネイルリスト画面において、アイコンや部品などの表示オブジェクトをレイヤごとに立体的に表示している。このように、複数レイヤの表示オブジェクトを立体的に表現することで、ユーザは重畳された複数レイヤの区別や階層の上下関係などを容易に認識できる。
【0087】
図15は表示態様の第3変形例を示す図である。表示態様の第3変形例は、レイヤの識別を容易にしたサムネイルリスト画面の他の例である。この第3変形例では、サムネイルリスト画面において、レイヤ単位で表示態様を変更して表示している。図示例は、サムネイル16の枠線を破線とし、スクロール全体バー13の枠線を実線とし、スクロール操作バー14の枠線を間隔の広い破線として表示している。このように、枠線の線種を変えることで、ユーザは表示オブジェクトが配置されたレイヤを識別することができる。
【0088】
図16は表示態様の第4変形例を示す図である。表示態様の第4変形例は、操作方法の説明を表示するガイダンス画面の例である。ガイダンス画面には、表示オブジェクトのレイヤに関するガイド表示を配置する。例えば、レイヤごとに表示オブジェクトの説明、各レイヤの表示オブジェクトの操作方法などを表示し、ユーザが確認することができる。この際、例えば所定のタッチ操作を行うことにより、操作方法のガイダンスをタッチパネルディスプレイに表示させる。操作方法のガイダンスの一例として、レイヤごとに、「指1本でスライド操作」、「指2本で一緒にスライド操作」、「指2本のうち、一方はタッチ位置固定、他方でアイコンをスライド操作」などを表示する。これにより、操作対象となるレイヤの選択をユーザに分かりやすく伝えることができ、使い勝手が向上する。
【0089】
上述したように、本実施形態では、接触点の数に応じて操作対象となるレイヤを選択し、この選択されたレイヤに配置された表示オブジェクトに対し、接触点を変化させることで操作指示を行う。これにより、表示オブジェクトが重畳もしくは密接に表示された画面においても、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作することができる。また、操作対象となる表示オブジェクトの切り替えを行う際、接触時間を操作切り替えの判定に用いないので、操作レスポンスを向上させることができる。
【0090】
なお、上記実施形態では、表示オブジェクトに対する操作指示として、接触点の変化として、タッチ操作した指を移動させる場合を示したが、このような操作指示に限らず、例えばタッチした指の接触部分の面積を大小に変えることでもよい。
【0091】
また、前記第2の実施形態では、指の接触点数が2である場合、接触点の状況として、2本の指を同時に移動させると、操作対象としてレイヤ4が選択され、1本の指を固定しもう1本の指を移動させると、操作対象としてレイヤ2が選択される場合を示した。これに限らず、例えば接触している2本の指が近接している場合と所定距離以上離れている場合とで、操作対象のレイヤが切り替わるようにしてもよい。
【0092】
また、本発明のタッチスクリーン装置は、携帯電話やスマートフォン等の携帯端末装置に限らず、種々の電子機器に搭載可能である。
【0093】
また、本発明は、上記実施形態の各機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介してタッチスクリーン装置に供給し、このタッチスクリーン装置のコンピュータが読み出して実行するプログラムも適用範囲である。
【0094】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
【0095】
接触操作が可能なタッチパネルディスプレイを有するタッチスクリーン装置であって、複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトの情報を保持する表示情報保持部と、前記表示オブジェクトをレイヤごとに配置して前記タッチパネルディスプレイの画面に表示する表示処理部と、前記タッチパネルディスプレイにおける接触操作物体の接触点を検出する接触点検出部と、前記検出された接触点の数に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作対象レイヤの表示オブジェクトに対して前記接触操作物体の接触操作に応じた操作入力動作を実行する操作入力実行部と、を備えるタッチスクリーン装置。
上記構成により、複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトを表示し、検出された接触点の数に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作入力動作を実行できる。このため、表示オブジェクトが重畳もしくは密接に表示された画面においても、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作可能となる。また、接触点の数によって操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択するため、操作対象への操作、操作対象の切り替え等を行う際の操作レスポンスを向上できる。
【0096】
上記のタッチスクリーン装置であって、前記操作入力実行部は、前記検出された接触点の数と接触点の状況とに基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択する、タッチスクリーン装置。
上記構成により、検出された接触点の数と接触点の状況とに基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作入力動作を実行できる。この場合、より少ない接触点の数にて複数の表示オブジェクトのレイヤを選択可能である。
【0097】
上記のタッチスクリーン装置であって、前記操作入力実行部は、前記接触点の数とともに、前記接触点の状況として各接触点の移動の有無、移動方向のうちの少なくとも一方に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択する、タッチスクリーン装置。
上記構成により、接触点の数と、各接触点の移動の有無、移動方向とによって、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作入力動作を実行できる。この場合、より少ない接触点の数にて多様な操作パターンを選択し切り替えることができる。
【0098】
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示オブジェクトは、GUI部品と、操作対象物を示すアイテムとを含み、前記操作入力実行部は、前記操作対象レイヤとして、前記GUI部品が配置されたレイヤと前記アイテムが配置されたレイヤとを選択的に切り替える、タッチスクリーン装置。
上記構成により、スクロールバー等のGUI部品と、画像のサムネイル等のアイテムとを選択的に切り替えて、一方の表示オブジェクトを操作対象として操作可能である。
【0099】
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示オブジェクトは、操作対象物を示すアイテムを含み、前記操作入力実行部は、前記操作対象レイヤとして、前記アイテムのアイテム全体が配置されたレイヤと前記アイテムの個別アイテムが配置されたレイヤとを選択的に切り替える、タッチスクリーン装置。
上記構成により、アイテム全体と個別アイテムとを選択的に切り替えて、一方の表示オブジェクトを操作対象として操作可能である。
【0100】
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示オブジェクトは、操作対象となるウインドウを含み、前記操作入力実行部は、前記操作対象レイヤとして、前記ウインドウがそれぞれ配置された複数のレイヤを選択的に切り替える、タッチスクリーン装置。
上記構成により、複数のウインドウを選択的に切り替えて、一方の表示オブジェクトを操作対象として操作可能である。この場合、例えば重畳されて下に配置された非アクティブのウインドウを直接操作することが可能である。
【0101】
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示処理部は、前記表示オブジェクトを表示する際、レイヤごとに時間差を持たせて表示する、タッチスクリーン装置。
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示処理部は、前記表示オブジェクトを表示する際、レイヤごとに立体的に表示する、タッチスクリーン装置。
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示処理部は、前記表示オブジェクトを表示する際、レイヤによって表示態様を変更して表示する、タッチスクリーン装置。
上記のタッチスクリーン装置であって、前記表示処理部は、前記表示オブジェクトのレイヤに関するガイド表示を表示する、タッチスクリーン装置。
上記構成により、表示オブジェクトのレイヤの区別、各レイヤの操作方法などをユーザが容易に認識して操作できる。
【0102】
接触操作が可能なタッチパネルディスプレイを有するタッチスクリーン装置におけるタッチ操作入力方法であって、複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトを、レイヤごとに配置して前記タッチパネルディスプレイの画面に表示するステップと、前記タッチパネルディスプレイにおける接触操作物体の接触点を検出するステップと、前記検出された接触点の数に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作対象レイヤの表示オブジェクトに対して前記接触操作物体の接触操作に応じた操作入力動作を実行するステップと、を有するタッチ操作入力方法。
【0103】
上記のタッチ操作入力方法の各ステップを、コンピュータに実行させるプログラム。
【0104】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、重畳または密接配置された表示オブジェクトに対して、ユーザが誤操作することなく操作対象に対して確実に操作可能となる効果を有し、接触操作により入力指示等を行うタッチスクリーン装置、タッチ操作入力方法及びプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0106】
1 タッチスクリーン装置
10 制御部
11 メニューボタン
12 戻るボタン
13 スクロール全体バー
14 スクロール操作バー
15 サムネイルリスト土台
16 サムネイル
18 アプリケーションウインドウ
20 タッチパネルディスプレイ
20a サムネイルリスト画面
25 操作検出部
26 表示処理部
30 記憶部
31 アプリケーションプログラム
33 コンテンツ管理部
36 ドライバ
38 OS
40 ROM
50 RAM
60、60a、60b 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触操作が可能なタッチパネルディスプレイを有するタッチスクリーン装置であって、
複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトの情報を保持する表示情報保持部と、
前記表示オブジェクトをレイヤごとに配置して前記タッチパネルディスプレイの画面に表示する表示処理部と、
前記タッチパネルディスプレイにおける接触操作物体の接触点を検出する接触点検出部と、
前記検出された接触点の数に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作対象レイヤの表示オブジェクトに対して前記接触操作物体の接触操作に応じた操作入力動作を実行する操作入力実行部と、
を備えるタッチスクリーン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記操作入力実行部は、前記検出された接触点の数と接触点の状況とに基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択する、タッチスクリーン装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記操作入力実行部は、前記接触点の数とともに、前記接触点の状況として各接触点の移動の有無、移動方向のうちの少なくとも一方に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択する、タッチスクリーン装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示オブジェクトは、GUI部品と、操作対象物を示すアイテムとを含み、
前記操作入力実行部は、前記操作対象レイヤとして、前記GUI部品が配置されたレイヤと前記アイテムが配置されたレイヤとを選択的に切り替える、タッチスクリーン装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示オブジェクトは、操作対象物を示すアイテムを含み、
前記操作入力実行部は、前記操作対象レイヤとして、前記アイテムのアイテム全体が配置されたレイヤと前記アイテムの個別アイテムが配置されたレイヤとを選択的に切り替える、タッチスクリーン装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示オブジェクトは、操作対象となるウインドウを含み、
前記操作入力実行部は、前記操作対象レイヤとして、前記ウインドウがそれぞれ配置された複数のレイヤを選択的に切り替える、タッチスクリーン装置。
【請求項7】
請求項1に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示処理部は、前記表示オブジェクトを表示する際、レイヤごとに時間差を持たせて表示する、タッチスクリーン装置。
【請求項8】
請求項1に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示処理部は、前記表示オブジェクトを表示する際、レイヤごとに立体的に表示する、タッチスクリーン装置。
【請求項9】
請求項1に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示処理部は、前記表示オブジェクトを表示する際、レイヤによって表示態様を変更して表示する、タッチスクリーン装置。
【請求項10】
請求項1に記載のタッチスクリーン装置であって、
前記表示処理部は、前記表示オブジェクトのレイヤに関するガイド表示を表示する、タッチスクリーン装置。
【請求項11】
接触操作が可能なタッチパネルディスプレイを有するタッチスクリーン装置におけるタッチ操作入力方法であって、
複数レイヤに区分して定義された表示オブジェクトを、レイヤごとに配置して前記タッチパネルディスプレイの画面に表示するステップと、
前記タッチパネルディスプレイにおける接触操作物体の接触点を検出するステップと、
前記検出された接触点の数に基づいて、操作対象の表示オブジェクトのレイヤを選択し、操作対象レイヤの表示オブジェクトに対して前記接触操作物体の接触操作に応じた操作入力動作を実行するステップと、
を有するタッチ操作入力方法。
【請求項12】
請求項11に記載のタッチ操作入力方法の各ステップを、コンピュータにより実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−247861(P2012−247861A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117219(P2011−117219)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】