説明

タッチセンサ式入力デバイスと回転入力デバイスを有する入力装置

【課題】
【解決手段】
入力装置(1)は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計されて、少なくとも第1の入力機能を提供するタッチセンサ式入力デバイス(10)と、ユーザーによって少なくとも一回転方向(24)に回転可能な回転部(21)を有し、少なくとも第2の入力機能を提供する回転入力デバイス(20)と、を有し、前記回転部(21)は前記タッチセンサ式入力デバイス(10)と独立に回転可能であることを特徴とする。前記タッチセンサ式入力デバイス(10)は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作が、回転入力デバイスの回転部(21)を通して検出可能であるように、回転入力デバイスの回転部(21)の下側に配置されている。タッチセンサ式入力デバイス(50)はまた、回転部(61)がタッチセンサ式入力デバイス(50)の側部(55)の周囲で回転可能となるように、回転入力デバイスの前記回転部(61)に隣接して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計されたタッチセンサ式入力デバイスと、少なくとも一回転方向に回転可能な回転部を有する回転入力デバイスとを有する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサ式入力デバイスを有する入力装置は、例えば表示画面上で、ユーザーの指のようなユーザーの入力部を用いてカーソルを動かすための電子システムにおいて一般的に使用されている。タッチセンサ式入力デバイスは通常、多くは表面を特徴とする検出部を含み、前記検出部は、ユーザーの指、および/または他の物体の存在、位置、および/または動作を決定するために、容量技術、抵抗技術、誘導技術、光学技術、および/または他の技術を用いている。タッチセンサ式入力デバイスは、電子システムの入力に用いることができる。例えば、タッチセンサ式入力デバイス、または近接センサは、より大きなコンピュータシステムと同様、通信システムまたはメディアシステムのような携帯電話システムを含むより小さなコンピュータシステムのための入力デバイスとして用いられている。
【0003】
米国特許出願公開公報2007/0120830 A1では、自動車内部のハンドル表面に配置され、回転可能に支持されたタッチパッドを含む入力デバイスが開示されており、この入力デバイスは、さらに、参照システムに関連してタッチパッドの回転角度を測定するための手段、および測定された回転角度を考慮して前記タッチパッド上に与えられた入力を検出するための手段を有している。前記入力デバイスは、さらに、個々の文字を検出する文字認識のような、タッチパッド上に手書きされた入力を認識する手書き認識のための手段を有している。例えば、命令、地名、通り名および/またはマルチメディアセンターおよび/またはナビゲーションシステムを制御するための名前がタッチパッドから入力可能である。特定の実施形態において、タッチパッドはハンドルのクラクションボタン上に配置され、タッチパッドのすぐ近くには、ハンドルのクラクションボタン上にスクロールホイールさらには押しボタンが配置されており、自動車、マルチメディアシステムおよび/またはナビゲーションシステムは、前記ハンドルをタッチパッドを補うものとして用いて制御可能である。
【0004】
米国特許出願公開公報2007/0120830 A1による回転可能なタッチパッドの配置については、ハンドルは無限に回転可能ではないという問題が生じる。なぜならば、タッチパッドを自動車の電気系統に接続しているタッチパッドの配線は、回転ホイール内部を通らなければならず、したがってハンドルの回転角度は配線の長さによって制限されるからである。さらに、別の問題として、ハンドルの回転の結果として、参照システムに関連してタッチパッドの回転角度を測定するための手段が必要であり、これによりタッチパッド自体がハンドルとともに回転することになる、という点が挙げられる。このことによって、回転角度を計算しタッチパッドからのオフセット角を決定するために適切なソフトウェアを使用することが必要となる。しかしながら、タッチパッドからの検出データを出力するために回転角度を検出し、オフセット角を決めることが必要であるため、このことはタッチパッドの検出の質を低下させ、ハードウェアおよび装置をより複雑にさせることになる。
【0005】
米国特許6636197号では、制御つまみを有する入力デバイスが開示されており、前記制御つまみは、制御つまみから延びる軸に対してある自由度を有して回転する。前記制御つまみは、ユーザーによって回転方向軸にほぼ垂直な面内において1つまたはそれ以上の方向に回転可能であるという点で、ユーザーは前記制御つまみによって制御機能を有することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タッチセンサ式入力デバイスおよび回転入力デバイスを、コンパクトでより複雑でない方法で実行可能な入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の特徴によるタッチセンサ式入力デバイスと回転入力デバイスとを有する入力装置にかかる。さらに、本発明は、請求項8に記載の特徴によるタッチセンサ式入力デバイスと回転入力デバイスとを有する入力装置にかかる。本発明の特定の実施形態は、従属クレームから明らかにされる。
【0008】
第1の本発明の入力装置は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計され、少なくとも第1の入力機能を提供するタッチセンサ式入力デバイスと、ユーザーによって少なくとも一回転方向に回転可能な回転部を有し、少なくとも第2の入力機能を提供する回転入力デバイスとを有し、前記回転部は前記タッチセンサ式入力デバイスと独立に回転可能であることを特徴とする。特に、前記タッチセンサ式入力デバイスは回転可能ではない。タッチセンサ式入力デバイスは、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作は、回転入力デバイスの回転部を通してタッチセンサ式入力デバイスによって検出可能であるように、回転入力デバイスの回転部の下側に配置されている。
【0009】
本発明によれば、入力装置は、回転可能でないタッチセンサ式入力デバイスと、回転可能な入力デバイスとを、タッチセンサ式入力デバイスが回転入力デバイスの回転部の下側に配置されたコンパクトな形で備えている。さらに、本発明は、回転入力デバイスの回転部が回転した時にタッチセンサ式入力デバイスは回転しないように、タッチセンサ式入力デバイスは回転入力デバイスの回転部に対して固定することができる利点を有している。したがって、従来技術では、タッチパッドは回転可能に支持され、タッチパッドへの入力は測定された回転角度を考慮して決められていたが、本発明による入力装置は、このような従来技術で用いられていた回転角度を測定する手段を必要としない。したがって、そのような回転角度を測定する手段が不要であるため、本発明の入力装置は、より精度が高く、および/または信号処理がより速いものとすることができ、またより複雑でない方法で実行可能である。さらに、本発明の入力装置は回転に関して動作が制限されておらず、特に、回転入力デバイスは際限なく回転可能である。
【0010】
第2の本発明によれば、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計され、少なくとも第1の入力機能を提供するタッチセンサ式入力デバイスと、ユーザーによって少なくとも一回転方向に回転可能な回転部を有し、少なくとも第2の入力機能を提供する回転入力デバイスとを有し、前記回転部は前記タッチセンサ式入力デバイスと独立に回転可能であることを特徴とする入力装置が提供される。特に、回転入力デバイスの回転部がタッチセンサ式入力デバイスの上部を覆わないように、回転入力デバイスの回転部はタッチセンサ式入力デバイスに接続するための上部開口部を有し、回転部がタッチセンサ式入力デバイスの側部の周囲で回転可能となるように前記側部に沿って前記回転部が配置されている。
【0011】
本発明のこの実施形態では、前記第1の本発明で示したのと同様の効果が得られる。すなわち、タッチセンサ式入力デバイスは、回転入力デバイス内部にコンパクトな形で一体化されており、タッチセンサ式入力デバイスは回転入力デバイスの回転部の回転動作に関連して、固定された位置を維持することができる。
【0012】
本発明の一実施形態では、タッチセンサ式入力デバイスは入力装置の支持基体の上に取り付けられており、回転部は前記支持基体に対して回転可能に取り付けられて、前記支持基体に対し回転することができる。
【0013】
本発明の他の実施形態では、回転部は内部に空隙を有する回転つまみを有しており、タッチセンサ式入力デバイスは前記回転つまみの前記空隙に配置され、前記回転つまみはタッチセンサ式入力デバイスの周囲で回転可能である。
【0014】
本発明の他の実施形態では、回転入力デバイスの回転部は、前記回転方向を横切る少なくとも一つの押す方向または引く方向のそれぞれに、ユーザーによって押すことが可能でありおよび/または引くことが可能であって、これにより少なくとも第3の入力機能を提供しており、タッチセンサ式入力デバイスは、前記回転部がそれぞれの押す/引く方向に動作した時に、前記押すおよび/または引く方向に動作可能となるように設計されている。このようにして、回転入力デバイスの回転部を押すおよび/または引くことによって、さらなる機能がユーザーに有利に提供されるが、タッチセンサ式入力デバイスは前記回転部がそれぞれの押す/引く方向に動作した時に、前記押すおよび/または引く方向に動作可能となるように設計されているため、タッチセンサ式入力デバイスはこの押す/引く動作になんら影響を与えない。
【0015】
本発明の他の実施形態では、回転入力デバイスの回転部は、回転部が押す/引きされた後に基本姿勢に戻されるように第1の弾性部材と接触するように取り付けられており、タッチセンサ式入力デバイスは、タッチセンサ式入力デバイスが前記押す/引く方向に動作した後に基本姿勢に戻されるように第2の弾性部材と接触するように取り付けられている。したがって、回転部およびタッチセンサ式入力デバイスは、それぞれの基本姿勢に戻されるように、それぞれの弾性部材、例えば前記押す/引く方向に対して戻り力を発生させるばねのような、に対して独立して配置されている。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、回転入力デバイスの回転部は、回転部が押し/引き動作から戻された後に第1の姿勢に保持されるように、第1の保持部材によって保持されており、タッチセンサ式入力デバイスは、タッチセンサ式入力デバイスが押す/引く方向の動作から戻された後に第2の姿勢に保持されるように、第2の保持部材によって保持されている。前記第1および第2の保持部材は、部材間の摩擦を低減またはなくすために、前記第1の姿勢にある回転部と、前記第2の姿勢にあるタッチセンサ式入力デバイスとの間に間隙またはすべり領域が保持されるように配置されている。このようにして、押す/引く方向の動きから戻された後も、回転部とタッチセンサ式入力デバイスとの間には間隙が保持されているため、回転部が前記押す/引く方向に押された/引かれた後もなお、回転部はタッチセンサ式入力デバイスから独立して回転可能である。
【0017】
本発明の他の実施形態では、前記第1の保持部材はさらに、回転部が前記押す/引く方向に動作するのを案内するためのすべり部材として配置されており、および/または、前記第2の保持部材はさらに、タッチセンサ式入力デバイスが前記押す/引く方向に動作するのを案内するためのすべり部材として配置されている。
【0018】
第2の本発明の実施形態によれば、回転部は、内部に実質的に円形の空間を形成する回転リングつまみであり、タッチセンサ式入力デバイスは前記回転リングつまみの前記空間に配置される。
【0019】
回転入力デバイスの回転部は、前記回転方向を横切る少なくとも一つのそれぞれの押す方向または引く方向に、ユーザーによって押すことが可能でありおよび/または引くことが可能であって、これにより少なくとも第3の入力機能を提供しており、第2の本発明のタッチセンサ式入力デバイスは、前記回転部がそれぞれの押す/引く方向に動作した時に、前記押すおよび/または引く方向に動作しないように設計されている。
【0020】
本発明による入力装置は、回転入力デバイスの回転部はさらにユーザーによって、回転部の回転軸を横切る少なくとも1つの平行方向に動くことが可能である実施形態によって実施され、これにより少なくとも第4の入力機能を提供しており、回転部は、タッチセンサ式入力デバイスと独立して、少なくとも1つの平行方向に動作可能である。他の実施形態によれば、タッチセンサ式入力デバイスは、回転部が前記平行方向に動作した時に、少なくとも1つの平行方向に動作可能となるように設計されている。
【0021】
タッチセンサ式入力デバイスは、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するためのタッチパッドを有する。しかしながら、タッチセンサ式入力デバイスの他の実施形態も本発明に関連して用いることができる。
【0022】
本発明の他の実施形態によれば、タッチセンサ式入力デバイスは、タッチセンサ式入力デバイスから入力装置の電気回路に電気信号を送るために電気配線に接続されており、電気配線は、タッチセンサ式入力デバイスを支持するために回転入力デバイスの回転部の内部に配置されている、例えば管状のような、中空の支持部材の内部に配置されている。このようにして、タッチセンサ式入力デバイスの電気配線は回転入力デバイスのいかなる回転部とも干渉することがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、特に図面を参照して示されるが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0024】
図1ないし4は、本発明の入力装置の異なる実施形態を示すものであり、本発明の基本原理をそれぞれ示す、断面図である。
【0025】
図5は、本発明の入力装置を例示する実施形態を示すものであり、正面図と3つの異なる断面図である。
【0026】
図6は、図5に示す実施形態の部分を、異なる方向から詳細に示す図である。
【0027】
図7は、図5に示す実施形態の部分を、別に詳細に示す図であり、特に、本発明の入力装置に用いられている保持部材および弾性部材の実施形態を示す図である。
【0028】
図8は、図5に示す実施形態による管状の支持部材を別に詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明による入力装置の第1の実施形態を示す図である。特に、入力装置1は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計され、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出する入力機能を少なくとも提供する、回転不可能なタッチセンサ式入力デバイス10を有する。タッチセンサ式入力デバイス10は、ユーザーの入力部を検出するために配置されたタッチパッド11を頂部に有する支持部材12を有する。タッチセンサ式入力デバイス10は、通常種々の電子システムにおいて用いられる形式の近接センサデバイスとみなすことができる。そのような近接センサは、本実施形態ではタッチパッド11の頂部に設置されている検出部(例えば、図5の正面図に示されるタッチ検出部28のような)を含む。このような検出部は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を決定するために、容量技術、抵抗技術、誘導技術、光学技術、および/または他の技術を用いた表面によって区切られている。
【0030】
タッチセンサ式入力デバイス10は、タッチパッドまたはタッチセンサ式表示画面を有することができ、これらは特定の用途によって決まる。例えば、タッチセンサ式入力デバイス10は、例えば、適切なX−またはY−座標を用いてユーザーの入力を測定し、よって、それぞれの水平、垂直あるいは他の動作方向を検出するための1つまたは複数の容量センサ(あるいは上記したような他のいずれの形式のタッチセンサ)を有する容量性のタッチパッド11を含むことができる。特定の実施形態によれば、本発明の入力装置は、例えば、タッチパッド上に手書きされた入力を認識するためにタッチパッド11上に書かれた個々の文字を検出する文字認識のような手書き認識のための適切な手段を有している。この点において、入力装置は、例えば、メニューやアイコンなどから選択するような他の入力機能を、上記の代わりに用いて、あるいはさらに追加して用いて実行可能である。
【0031】
図1において、入力装置1は、さらに、実質的に水平である回転方向24に回転可能な回転部21を有する回転入力デバイス20を有する。特に、回転部は、内部に空隙22を形成する回転つまみ21を有している。このようにして、タッチセンサ式入力デバイス10は、タッチセンサ式入力デバイス10の周囲を回転方向24に回転可能な回転つまみ21の空隙22内に配置される。タッチパッド11は、電気配線14を通して、例えば検出回路または処理回路のような入力装置の電気回路(図示されない)に接続されている。回転つまみ21は、回転入力デバイス20の固定子としてよく知られ、回転動作に対して適切な案内手段35によって支持されている。
【0032】
タッチセンサ式入力デバイス10、特にタッチパッド11は、前記回転つまみ21の下側、特に、回転つまみ21の水平な頂部の下側に配置されている。このようにして、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作は、回転つまみ21、特にタッチパッド11の上部に位置する回転つまみの頂部を通して、タッチパッド11によって検出可能である。タッチパッド11が容量性のタッチパッドである実施形態においては、回転つまみ21の頂部は、さらに図5を参照して以下に詳細に説明されるように、タッチパッド11の検出範囲を超えないように、適切な厚み、例えば2mmより少ない、である必要がある。回転つまみ21がタッチパッド11の上側で独立して回転することができるように、回転つまみ21の頂部とタッチパッド11との間に、空間、間隙、またはすべり領域が保持され、回転つまみがタッチパッドの上部および周囲で回転した時に、前記2つの部材間に摩擦あるいは同様のものが発生しないようにしている。
【0033】
図2には、本発明の他の実施形態が示されている。この実施形態では、入力装置2はタッチセンサ式入力デバイス50を有し、タッチセンサ式入力デバイス50は、図1を参照して説明されたのと同様に、支持部材52の頂部に設けられたタッチパッド51を有する。タッチパッド51については、タッチパッド11を参照して上記で説明されたものと同様の実施形態を用いることができる。
【0034】
入力装置2はさらに、ユーザーによって回転方向24に回転可能な回転部61を有する回転入力デバイス60を有する。図1に示される回転つまみ21の回転と同様に、回転部61の回転について、前記入力装置はユーザーに第2の入力機能を提供する。例えば、ユーザーは、米国特許第6636197号の実施例について説明されているように、図1の回転つまみ21または図2の回転部61を、回転方向24の方向、あるいは回転方向24と逆方向に回転させることによって、画面上に表示されている入力メニューの個々の仕事を変えることができる。
【0035】
図2の回転部61は特に、タッチセンサ式入力デバイス50に接続するために上部開口部を有し、実質的に円形で外部と通じている空隙62を内部に形成する回転リングつまみ61として実施され、タッチセンサ式入力デバイス50は、支持部材52によって支持され、また前記回転リングつまみ61の空隙62内に配置されている。このようにして、回転リングつまみ61は、回転リングつまみがタッチセンサ式入力デバイス50の側部55の周囲を電気配線54を邪魔することなく回転可能であるように、回転リングつまみ61に隣接して配置されている、タッチセンサ式入力デバイス50と独立に回転可能である。タッチパッド51の上部には、回転リングつまみ61の回転不可能なふた63をさらに配置することができ、前記ふた63はタッチパッド51に固定されてタッチ表面となる。回転リングつまみ61は、図1を参照して説明されたような形式の案内手段35によって支持されている。
【0036】
図1および図2による両実施形態において、タッチセンサ式入力デバイス10および50は、それぞれ入力装置1,2支持基体31の上に固定されて取り付けられており、回転つまみ21および回転リングつまみ61は前記支持基体31に対して回転可能に取り付けられ、支持基体31に対して回転可能である。
【0037】
図3において、ユーザーにとって第3の入力機能となる本発明の他の実施形態が示される。特に、タッチパッド11による第1の入力機能、およびタッチパッド11周囲の回転つまみ21による第2の入力機能が、回転つまみ21をタッチパッド11と共に、あるいはタッチパッドと別に、回転方向24を横切る押し方向23に押すことによって与えられる第3の機能によって補われる。例えば、回転方向24に垂直な押し方向23に回転つまみ21を押すことによって、ユーザーは、表示画面に表示された特定の機能を選択することができ、このようにして周知の確認機能を与えることができる。
【0038】
この機能を実行するために、回転つまみ21は、回転つまみ21が押された後に基本姿勢に戻されるように第1の弾性部材32と接触するように取り付けられている。例えば、第1の弾性部材32は、回転つまみ21の側部の下に配置され、押し方向23と反対の方向に働く復元力を生じる、板ばね、平板ばね、またはコイルばねのようなばねである。回転つまみ21の頂部とタッチパッド11との間の隙間または空間は、回転つまみ21の回転方向23の押し動作を相殺するほど十分ではないので、タッチセンサ式入力デバイス10もまた、回転つまみ21が押し方向23に動作したときに押し方向23に動くことができるように設計されている。タッチセンサ式入力デバイス10が基本姿勢に戻るのは、第2の弾性部材33が押し方向23に動作した後、タッチセンサ式入力デバイスを基本姿勢に戻すことによって達成される。
【0039】
第1の弾性部材32と同様に、第2の弾性部材33も、押し方向23の押す力に対抗する適切な力を発揮する、例えば板ばね、または平板ばねのようなばねである。
【0040】
図4において、ユーザーに第4の入力機能を提供する本発明の実施形態による入力装置1の他の実施形態が示される。このような第4の機能を提供するために、回転つまみ21はユーザーによって、回転つまみ21の回転軸27(図5)を横切る少なくとも1つの平行方向26に動作可能であり、前記平行方向26は前記回転軸に対して垂直であってもよい。言い換えるならば、回転つまみ21は、側方に押され、および/または傾けられて、例えば、表示画面上に表示されている入力メニューの異なる仕事間を切り替える。回転入力デバイスをその基本姿勢に戻すために、適切なばねの形態の弾性部材34がまた用いられる。前記弾性部材34は、固定されたタッチセンサ式入力デバイス10に一方が固定され、固定子35に他方が固定されており、図4に示される対応するばね力が与えられたときに、回転入力デバイスをその基本姿勢に戻すものである。
【0041】
回転つまみ21は、支持基体31に固定されているタッチセンサ式入力デバイス10と独立に、前記平行方向26に動作可能である。他の実施形態によれば、タッチセンサ式入力デバイス10は、回転つまみ21が平行方向に動作したときに、例えば、つまみを持ち上げるまたは傾けるときのような、前記平行方向と同じ、または異なる方向である、平行方向に動作できるように設計されている。この場合、タッチセンサ式入力デバイス10は、支持基体31に適切に取り付けられている。
【0042】
図3および図4に示される実施形態は、原則として、図2に基本的に示されている入力装置2においても実施可能である。
【0043】
図5において、図1から4を参照して基本的に説明された入力装置1の例が示されている。図5には、一つの正面図と、図5の正面図の左側に示されているA−A、B−B、C−Cでそれぞれ切った断面を示した3つの断面図が示される。
【0044】
A−A、C−Cの断面図に特に明確に示されるように、回転つまみ21は、回転入力デバイスの回転部と結合しており、回転部29は支持基体31に固定されている固定子35に対して回転可能に取り付けられている。例えば、回転部29は、固定子35によって形成された適切な溝内部で回転するL字型のリングを含む。C−Cの断面図に示されるように、回転つまみ21は、保持部材25によって回転部29に固定されており、前記保持部材25はまた、上記で説明した押し方向23において、回転つまみ21を支持基体31に垂直な方向に案内するすべり部材として配置されている。保持部材25の頂部には突起またはスタッドが配置され、押し動作から戻された後に回転つまみ21をばね32に対抗して最高の姿勢に保持する。B−Bの断面図に示されるように、特定の実施形態において管状ドラム12の形状である保持部材は、タッチセンサ式入力デバイス、特にタッチパッド11を、ばね33によって発揮されたばね力によって押し方向23の動作から戻された後に最高の姿勢に保持するために他の保持部材13によって保持されている。第2の保持部材13はまた、タッチセンサ式入力デバイス10の前記押し方向の動作を案内するすべり部材として配置されている。第2の保持部材13の頂部には、突起またはスタッドが設けられて、管状ドラム12の周囲に管状に配置された対応するフランジ15と係合し、前記フランジ15はばね33によって保持部材13に対して押される。
【0045】
保持部材13および15は、回転つまみ21とタッチセンサ式入力デバイス10がそれぞれ最高の姿勢に位置したときに、回転つまみ21の頂部とタッチパッド11の上表面との間に間隙41が保持されるように配置される。タッチパッドの典型的な検出範囲である2mmを超えることがないように、回転つまみ21の頂部は厚みが1.8mmであるのに対し、このような間隙41はA−A断面図に示されるように、例えば、0.2mmである。
【0046】
図6〜8は、本発明の他の実施形態を示しており、特に、図5により実施される入力装置の部分を示している。図6は特に、保持部材13,および弾性部材32,33を示している。保持部材13は、タッチパッド11を支持しばね33上に位置する管状の支持ドラム12のフランジ15と係合して示されている。図6に示されるように、ばね32および33は、連続するばね部材を形成しているが、互いに連結していない分離したばねの形態でもよい。支持ドラム12の下に、回転つまみの押し動作に対応して作動され、タッチパッド11および支持ドラム12に従って作用し、それぞれ対応する入力機能を与える1つまたは複数のスイッチ36が設けられる。図7は、保持部材13,ばね32,33とともに、支持基体31上に設けられるスイッチ36を、タッチセンサ式入力デバイスを除いて示している。
【0047】
図8には、タッチセンサ式入力デバイス10の電気配線14が管状支持ドラム12内部に配置された実施形態が示されており、この実施形態では、前記電気配線14は回転入力デバイスおよび/またはタッチセンサ式入力デバイスのいかなる回転動作または押し動作をも邪魔することがない。これにより、回転つまみは、簡単な手段によって際限なく回転可能であり、例えば、たいていはより複雑となる誘導結合、または容量結合のようなスライダ、または近接連絡手段を用いる必要がなくなる。
【0048】
本発明による入力装置は、一方向あるいは複数方向のすべり動作、押し動作、あるいは持ち上げ動作に、タッチパッドとともに、あるいはタッチパッドと別に用いることができ、前記動作は、ニュートラルの姿勢からばね部材に抵抗して動作し、自動的にニュートラルの姿勢に戻すすべりまたは傾きの機能を形成する。
【0049】
本発明は実施形態の例を参照して示されたが、当業者は実施形態の種々の変化または組み合わせを行うことができ、本発明の範囲から離れることなく同等の部材によって置き換えられることができる。したがって、本発明は開示された実施形態に限られるものではない。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6A】

【図6B】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計されて、少なくとも第1の入力機能を提供するタッチセンサ式入力デバイス(10)と、
ユーザーによって少なくとも一回転方向(24)に回転可能な回転部(21)を有し、少なくとも第2の入力機能を提供する回転入力デバイス(20)と、を有する入力装置(1)であって、
前記回転部(21)は前記タッチセンサ式入力デバイス(10)と独立に回転可能であり、
前記タッチセンサ式入力デバイス(10)は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作が、回転入力デバイスの回転部(21)を通して検出可能であるように、回転入力デバイスの回転部(21)の下側に配置されていることを特徴とする入力装置(1)。
【請求項2】
タッチセンサ式入力デバイスは、入力装置(1)の支持基体(31)の上に取り付けられており、回転部(21)は前記支持基体に対して回転可能に取り付けられて、前記支持基体に対し回転することができる請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
回転部は内部に空隙(22)を有する回転つまみ(21)を有しており、タッチセンサ式入力デバイス(10)は前記回転つまみの前記空隙(22)に配置され、前記回転つまみ(21)はタッチセンサ式入力デバイス(10)の周囲で回転可能である請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
回転入力デバイスの回転部(21)は、前記回転方向(24)を横切る少なくとも一つの押す方向または引く方向(23)のそれぞれに、ユーザーによって押すことが可能でありおよび/または引くことが可能であって、これにより少なくとも第3の入力機能を提供しており、
タッチセンサ式入力デバイス(10)は、前記回転部(21)がそれぞれの押す/引く方向に動作した時に、前記押すおよび/または引く方向(23)に動作可能となるように設計されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
回転入力デバイスの回転部(21)は、回転部が押す/引きされた後に基本姿勢に戻されるように第1の弾性部材(32)と接触するように取り付けられており、
タッチセンサ式入力デバイス(10)は、タッチセンサ式入力デバイスが前記押す/引く方向(23)に動作した後に基本姿勢に戻されるように第2の弾性部材(33)と接触するように取り付けられている請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
回転入力デバイスの回転部(21)は、回転部が押し/引く動作から戻された後に第1の姿勢に保持されるように、第1の保持部材(25)によって保持されており、
タッチセンサ式入力デバイス(10)は、タッチセンサ式入力デバイスが押す/引く方向(23)の動作から戻された後に第2の姿勢に保持されるように、第2の保持部材(13)によって保持されており、
前記第1および第2の保持部材(25,13)は、部材間の摩擦を低減またはなくすために、前記第1の姿勢にある回転部(21)と、前記第2の姿勢にあるタッチセンサ式入力デバイス(10)との間に間隙(41)が保持されるように配置されている請求項4または5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記第1の保持部材(25)はさらに、回転部(21)が前記押す/引く方向(23)に動作するのを案内するためのすべり部材として配置されており、
前記第2の保持部材(13)はさらに、タッチセンサ式入力デバイス(10)が前記押す/引く方向(23)に動作するのを案内するためのすべり部材として配置されている請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するために設計されて、少なくとも第1の入力機能を提供するタッチセンサ式入力デバイス(50)と、
ユーザーによって少なくとも一回転方向(24)に回転可能な回転部(61)を有し、少なくとも第2の入力機能を提供する回転入力デバイス(60)と、を有する入力装置(2)であって、
前記回転部(61)は前記タッチセンサ式入力デバイス(50)と独立に回転可能であり、
回転入力デバイスの回転部(61)はタッチセンサ式入力デバイス(50)に接続するための上部開口部を有し、回転部がタッチセンサ式入力デバイスの側部(55)の周囲で回転可能となるように前記側部(55)に沿って前記回転部が配置されていることを特徴とする入力装置(2)。
【請求項9】
回転部は、内部に実質的に円形の空間(62)を形成する回転リングつまみ(61)であり、タッチセンサ式入力デバイス(50)は前記回転リングつまみの前記空間(62)に配置される請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
回転入力デバイスの回転部(61)は、前記回転方向(24)を横切る少なくとも一つのそれぞれの押す方向または引く方向(23)に、ユーザーによって押すことが可能でありおよび/または引くことが可能であって、これにより少なくとも第3の入力機能を提供しており、
タッチセンサ式入力デバイス(50)は、前記回転部(61)がそれぞれの押す/引く方向に動作した時に、前記押すおよび/または引く方向に動作するように、または動作しないように設計されている請求項8または9に記載の入力装置。
【請求項11】
回転入力デバイスの回転部(21,61)はさらにユーザーによって回転部の回転軸(27)を横切る少なくとも1つの平行方向(26)に動くことが可能であり、これにより少なくとも第4の入力機能を提供しており、
回転部(21,61)は、タッチセンサ式入力デバイス(10,50)と独立して、少なくとも1つの平行方向(26)に動作可能である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項12】
回転入力デバイスの回転部(21,61)は、さらにユーザーによって回転部の回転軸(27)を横切る少なくとも1つの平行方向(26)に動くことが可能であり、これにより少なくとも第4の入力機能を提供しており、
タッチセンサ式入力デバイス(10,50)は、回転部が平行方向に動作した時に、少なくとも1つの平行方向(26)に動作可能となるように設計されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項13】
タッチセンサ式入力デバイス(10,50)は、ユーザーの入力部の存在、位置、および/または動作を検出するためのタッチパッド(11,51)を有する請求項1ないし12のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項14】
タッチセンサ式入力デバイス(10,50)は、タッチセンサ式入力デバイスから入力装置の電気回路に電気信号を送るために電気配線(14,54)に接続されており、
電気配線は、タッチセンサ式入力デバイスを支持するために回転入力デバイスの回転部(21,61)の内部に配置された中空の支持部材(12)の内部に配置されている請求項1ないし13のいずれか1項に記載の入力装置。

【公表番号】特表2011−526385(P2011−526385A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515117(P2011−515117)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005335
【国際公開番号】WO2010/000281
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511002537)アルプス エレクトリック ヨーロッパ ジーエムビーエイチ (1)
【Fターム(参考)】