説明

タッチパネル、タッチパネルを備えた表示装置、及びタッチパネルの製造方法

【課題】 干渉縞が発生しないタッチパネルを提供する。
【解決手段】 環状シールにて固着され対向した第一基板と第二基板の間に空間層を形成し、この空間層に第二基板が凸形状に形成されるようガス体を封入したタッチパネルにおいて、環状シールの内周側に、第二基板の傾斜角を拡大する為の補助部材を配置し、第二基板を凸形状にすることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が表示画面を指やペン等で直接押してデータを入力するタッチパネル、このタッチパネルを備えた表示装置、およびタッチパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型パーソナルコンピュータなどのキーボードレス情報携帯端末機器の普及に伴い、液晶表示画面にキーボード、入力コマンドを直接表示して、指または特殊ペン等の指示具で操作可能なタッチパネルを搭載した表示装置が使用されている。これら製品に使用されるタッチパネルには、透明基板上にフォトリソ工程を用いてセンサパターンを形成した、透明電極による透明センサ基板からなる静電容量方式が多く用いられている。
【0003】
従来から使用されているタッチパネルには、静電容量方式以外に抵抗膜方式があり、金額ベースでは静電容量方式と市場占有率を2分している。抵抗膜方式によるタッチパネルは、タッチパネル構造、駆動方法並び耐ノイズ性などで高い評価を得ており、カーナビゲーションシステムや、航空機の操作パネル等に多く使用されている。抵抗膜方式は、デジタル方式とアナログ方式の2種に大別されるが、基本的なパネル構造は、両者ともに大差はない。
【0004】
また、マルチタッチ認識が可能な静電容量方式の影響で、近年、マルチタッチ認識が出来る抵抗膜方式の開発が進められており、特に10ポイント以上の認識が可能なデジタル方式が市場の注目を浴びている。このデジタル方式と従来のアナログ抵抗膜方式タッチパネルとの違いは、配線数の数のみであり、構造上の差異はほとんどない。
【0005】
抵抗膜方式タッチパネルの一般的な構造は、上基板と下基板からなる一対の透明基板と、透明基板の間に空間層を有し、この空間層にガス体が封入されている。2枚の透明基板は、ガラス−ガラス構造、又はフィルム−ガラス構造であり、ガス体を透明基板間の約5μm〜200mの空間層に封入することで、上下の透明基板を絶縁状態で維持するようになっている。
【0006】
そして、上基板と下基板が接触する際に導通する構造となっているが、空間層、つまり上下の透明基板の間隔が近接しているため、タッチパネルの駆動エリア内に光干渉縞(いわゆるニュートンリング)が発生するという問題があった。
以下の特許文献には、この干渉縞の発生を回避する手法が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3785936号明細書
【特許文献2】特開2010−66855号公報
【0008】
特許文献1は、図10に示すように、タッチパネルの下基板となる第一の透明基板(以後、第一基板と呼ぶ)101と、上基板となる第二の透明基板(以後、第二基板と呼ぶ)102と、それぞれに施された第一基板の透明電極103と第二基板の透明電極104を対向させて組み立てる際に、外周シール材107をある所定の厚さまで押圧する構造を有している。外周シール内には所定の厚さに制御する為の粒子107−1が混錬してあり、透明電極103、104の電極を導通させる電極端子上に有機金属膜109を形成した後、その上に導伝粒子106−1を混練したシール材106を配置してガス体を注入し、導電粒子106−1を含有したシール材106をくさび形状に硬化させる。その断面を図10(b)にZ部拡大図として示した。
【0009】
この構成において、外周シール材107が硬化した後にタッチパネル内のガス体が漏洩すると、外周シール107がくさび形状を形成維持していても、第二基板102がタッチパネル動作面に向かって凹形状となってしまい、タッチパネルの4隅に干渉縞が再出現する可能性がある。そして、特許文献1は、再出現した干渉縞の解消として、漏洩により不足したガス体量分を再注入し第二基板102を凸形状に湾曲に変形させることで、干渉縞を解消させることを報告している。
【0010】
特許文献2は、ギャップ材と称する2種の異なる粒子径をシール材料に混練し、コーナー部に小径のギャップ材粒子が含有したシール材を塗布し、辺部よりもコーナー部の基板間隔を小さく設定することで、干渉縞を解消することを報告している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、第一基板と第二基板を所定の位置で固着するシール材の断面形状をくさび形状とすることで、第一基板を凸形状に変形させることを目的としている。
【0012】
特許文献1による工法では、外周シール材と上下導通シール材をくさび形状に硬化させるために両シール材のみを加熱押圧する。その際、ガス体であるエアを注入して上基板を凸形状に変形した後硬化させると紹介されている。この工法は、製造上、第二基板の変形量の一定化、シール材の傾斜角の均一化等に関して著しく難易度が高い。また、シール硬化後に、ガス体漏出により第一基板と第二基板のギャップ量が硬化前に対して保持できなかった場合には、さらにガス体を注入して第一基板と第二基板のギャップの矯正を施した後、ガス体注入孔を光硬化型樹脂で封止するものである。
【0013】
尚、ガス注入の際は外周シール材及び上下導通シール材はまだ未硬化の為、ガス体がシール内に進入しボイドとして残存する場合があり、シール硬化後のガス体再注入によるギャップ矯正後にシール口を封止しても、干渉縞を解消できるギャップ間隔を維持することが出来ず、第二基板の凸状態を維持できず、干渉縞が再出現するという問題も発生している。さらに、本特許文献1に記載の製造方法では、タッチパネル単体、個片での製造の為生産性が著しく悪くコストダウンに貢献できないという問題があった。
【0014】
特許文献2は、2種の外周シール材を連続的に塗布して第一基板と第二基板を張り合わせた構造であるが、シール材の外径が異なるため、通常の加圧方法では大粒子を含有しているシール材の厚さと同一になり干渉縞の解消は出来ない。小粒子を含有した4隅のシール材にのみ集中的に加圧するような特殊治具を用いて硬化させれば干渉縞の解消が可能になると予想できるが、4隅のみを集中的に加圧させるのは、特殊な治具が必要であり、また、タッチパネルのシール4隅を正確に一致させ硬化させる必要性がある為、生産性の低下は間逃れない。さらに確実なる押圧、シール材硬化を行わないと、干渉縞の発生を招く恐れがある。
【0015】
上記の従来の課題を解決する為本発明の目的は、製造工程の簡素化による製造コストの低減を図るとともにくさび形状のシール材を形成することなく、確実で簡単な方法により、タッチパネルの4隅に干渉縞が発生することを抑制出来るタッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成とした。すなわち、環状シールにて固着され対向した第一基板と第二基板の間に空間層を形成し、この空間層に第二基板が凸形状に形成されるようガス体を封入したタッチパネルにおいて、環状シールの内周側に、第二基板の傾斜角を拡大する為の補助部材を配置し、第二基板を凸形状にすることとした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第二基板が効果的に凸形状となるため、干渉縞の発生を防ぐことが出来る。また、多面取りで形成されたタッチパネルの基板を多数枚重ね合わせてシール材を硬化させる工法により、効率良く安価に製作でき光学的に高品質なタッチパネルを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1におけるタッチパネルの平面及び側面を示す図である。
【図2】本発明の実施例1における環状シール部の拡大図である。
【図3】本発明のシール材硬化時の窓枠スペーサと基板との関係概略図である。
【図4】本発明のシール硬化工程のマザー基板の枚葉処理法断面図である。
【図5】本発明の第二の実施例を示す模式図である。
【図6】本発明の第二の実施例の環状シール部の拡大図である。
【図7】本発明の環状シール部コーナーの2点状シールの拡大模式図である。
【図8】本発明の環状シール部コーナーの斜線状シールの拡大模式図である。
【図9】本発明の工程フロー図である。
【図10】従来発明の断面模式図およびくさび形状のシール部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明におけるタッチパネルは、透明な電極を所望のパターンで形成した一対の透明な基板(第一基板、及び第二基板)を対向して配置し、周囲に設けられたシール材によって両者を固着し、基板間の空間層にガス体を注入封止した構成となっている。
【0020】
(実施例1)
本発明におけるタッチパネルの実施例1として、図1から図5を用いて、以下に説明する。
図1は、本発明のタッチパネルを上面から見た平面図および側面から見た図である。タッチパネルの周辺部には、第一基板1と第二基板2を固着する環状シール7が存在する。この環状シール7には、ガス体を注入封止するための注入口8−1が設けられている。そしてこの注入口は、紫外線光で硬化反応する樹脂からなる封止材8により、ガス体の漏洩が無きよう、封止、密閉状態が保たれている。
【0021】
タッチパネルの製作フローは図9に示す通りで、まず、第一基板1及び第二基板2に配線を形成する。第一基板1上には、所望のパターンが形成され、そのパターン面上にドットスペーサなる突起を印刷形成し、紫外線光の照射または加熱により硬化させる。なお、ドットスペーサの材質は、アクリル系または、ゴム系が一般的であり、タッチパネルの第二基板2を指で押したとき、第二基板2のたわみ変形によって第一基板1への接触を回避して誤動作を防ぐことを目的とするものである。よって、第二基板2は、指押圧力で簡単に変形することが望ましい。
【0022】
また、ドットスペーサは、通常、直径φ20μmからφ50μmで高さ5μmから10μmほどであり、今回製作したタッチパネルには、直径φ30μm、高さ6μmの半球状のドットスペーサを配置した。ドットスペーサの直径をφ50μm以上に大きくすると目視でも視認できてしまい、タッチパネルをLCDモニターへ取り付けた際に表示品質に支障をきたす恐れがあり、好ましくない。
【0023】
ドットスペーサを印刷形成した第一基板1には、第二基板2と固着する為の環状シール7を環状にスキージ印刷法で塗布する。その際、使用する環状シール7には、導電性の第一の粒子7−1(以後第一粒子と呼ぶ)と、所定のギャップ量以上に押し潰せないようにギャップを制御する為の第二の粒子7−2(以後第二粒子と呼ぶ)が1%wt〜3%wtで混錬している。導電性の第一粒子7-1は、第一基板1と第二基板1の上下導通材と使用されるため、第一基板1と第二基板2とに押し潰されて使用されるので、第二粒子7−2よりも1μm〜2μmほど大きいことが望ましい。
【0024】
環状シール7の内周側には、第二基板2の傾斜角を拡大させる補助部材6を配置する。この補助部材6は、図1に示すように、環状シール7の内周側に線形状又は点形状のものを複数個、環状に配置したものである。第一基板と第二基板間の空間層の間隔は補助部材に影響されるため、補助部材の厚みは20μm以下が望ましい。この補助部材は、ギャップ材6−1を2%wt〜10%wt含有している。
【0025】
今回用いた印刷方法では、第二基板2に補助部材6をスキージ印刷法にて塗布した。これは、第一基板1には既に未硬化状態の環状シール7が印刷されており、第二基板2の傾斜角拡大の為の補助部材6を新たにスキージ印刷で印刷することが出来ないからである。尚、ディスペンサにより補助部材6を描画して第一基板1の上に両シール材を塗布することも検討し、実験したが、ディスペンサでの1パターン当たりのシール描画のタクトタイムは、スキージ印刷法よりも時間を要する為、量産性に不向きであった。
【0026】
第一基板1と第二基板2を重ね合わせ、環状シール7と傾斜角拡大の為の補助部材6で第一基板1と第二基板2を固着させる際に、環状シール7のみを加熱加圧させるように、対向させた基板間に窓枠状のスペーサ10を挟み込み、一度に数枚のタッチパネルの基板が搭載されたマザー基板を加熱加圧することを可能とした。その状態を図3及び図4に示す。
【0027】
図3(a)は、第一基板1と第二基板2を重ね合わせた樹脂硬化前の貼合基板であり、4つのタッチパネルの基板が搭載されたマザー基板である。図3(b)は、前記マザー基板に搭載された4つのタッチパネル基板に対応した4つのくり貫き窓を設けた窓枠スペーサ10を示し、図3(c)は、第一基板1と第二基板2を重ね合わせた貼合基板上に窓枠スペーサ10を重ねた状態を示すものである。
【0028】
図4は、タッチパネルの貼合基板と窓枠スペーサ10を重ね合わせたものを加圧加熱装置に入れる際の断面図(図3(c)のA−A断面図)である。図4のように、傾斜角拡大の為の補助部材6は、設計上窓枠スペーサ10の枠外に位置している為に未加圧状態となるので都合がよい。また仮に、窓枠スペーサ10の位置ずれが起きて、傾斜角拡大の為の補助部材6上に枠部が配置され加圧されても、補助部材6に含有しているギャップ材6−1の粒子径は、第一粒子及び第二粒子の径よりも10μm〜15μmほど大きく、含有量は3%であり弾性係数は、環状シール材7に混錬されている第二の粒子7−2と同様の70GPa程度で有る為、容易に形状変形する、ということもない。
【0029】
環状シール7は、硬化する際に約120度以上で加熱硬化される。この加熱硬化の際に第二基板2に熱膨張による伸びが生じることを考慮して、窓枠スペーサ10の厚さを、例えば500μm程度とするとよい。この窓枠スペーサ10により、環状シール7を矩形(正方形、又は長方形)に硬化させることができる。
【0030】
なお、今回用いた環状シール7及び補助部材6のバインダー材質は熱硬化型エポキシであるが、補助部材6をUV光によって光硬化が可能な光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合によるアクリル系光硬化型樹脂、エポキシ系光硬化型樹脂を用いることもできる。
【0031】
しかしながら補助部材6へのUV光硬化型樹脂の使用は、第一透明基板と第二透明基板を重ね合わせた際直ちに硬化処理を実施せざるを得ずUV光硬化工程の追加、並びUV露光での枚葉処理の不施となるため著しく量産性が落とす。
【0032】
よって、環状シール7及び補助部材6のバインダー材質は硬化条件が同一な熱硬化型エポキシ樹脂を用いることは、環状シール7及び、補助部材6を同時に硬化させることが可能となり都合が良い。また、環状シール7及び補助部材6のバインダー材質を個々に硬化温度を変えた異熱硬化型エポキシ樹脂材を用いた場合、環状シール7の硬化温度と補助部材6の硬化温度との関係を、「環状シール7のバインダー硬化温度(低温) < 補助部材6のバインダー硬化温度(高温)」にすることで最外周に配置された環状シール7を補助部材6より早く硬化させることで第一透明基板と第二透明基板の硬化時の位置ずれを抑制し、両者の樹脂の流れ出しによる寸法変化を軽減することが可能である。
【0033】
この場合、個々の樹脂硬化条件である硬化温度に合わせて硬化温度を段階的に温度差分上昇させたステップキュア方式で硬化処理を実施すればよく、温度プロファイルのみの変更である為生産性を落とすことはない。
【0034】
環状シール7及び補助部材6を所定の温度、加圧を施して硬化した後、マザー基板を裁断して個片のタッチパネルにし、環状シール7の注入口8−1からガス体を注入する。このとき個片として切断されたタッチパネルは、第二基板2が凹状態になっている場合があり、環状シール7の4隅に干渉縞が発生することが多い。さらに環状シール7の内側が凹状態となっているため、第一基板1に形成したドットスペーサと第二基板2とが接触して、水玉状の干渉縞が発生してしまうことがある。
【0035】
よって、これらの干渉縞を解消、減少させる為に、環状シール7の注入口8−1より空間層にガス体を注入し、第二基板2を凸形状に変形させる。そのとき、コーナー部の傾斜角拡大の為の補助部材6からの第二基板2の立ち上がり角度(図2におけるA)は、第一基板1の平面に対して0.15〜0.55度の範囲で設定されるのがタッチパネルの視認性及び美観等の観点から推奨され、より好ましくは0.22度以上になるようにガス体を注入することが望ましい。
【0036】
その後、UV硬化樹脂等の封止材8を環状シール7の注入口8−1に塗布し、所定の積算光量分のUV光を照射してガス体を封入する。尚、ここで使用したガス体は、比較的簡単に入手可能なクリーンドライエアとしたが、これに限定されるものではなく、他のガス体を用いてもよい。
以上により、干渉縞を抑制したタッチパネルが完成する。
【0037】
(実施例2)
本発明におけるタッチパネルの実施例2として、図5を用いて以下に説明する。
図5は、本発明の実施例2におけるタッチパネルを、上面から見た平面図である。図5の通り、タッチパネルの周辺部には、第一基板11と第二基板12を固着するための環状シール17が存在する。この環状シール17には、ガス体を注入封止するための注入口18−1が設けられている。さらに環状シール17の内周側には、第二基板をガス注入後に変形させるための補助部材16が設けられ、その補助部材16には、環状シール17と同様に、ガス体を注入する為の注入口18−2が存在する。補助部材16は、この注入口18−2の配された箇所、4辺に沿って延びる長方形状と、角部に配された点部のものにより構成されるが、このような形状、配列に限定されるものではなく、適宜形状、配列を選択可能である。
【0038】
なお、補助部材16のガス体注入口18−2は、実施例1の補助部材6のように破線状でなく、その開口位置を環状シール17の注入口18−1と直線的に配置することで、分割後のタッチパネルにガス体を注入する作業が短時間化できる。しかし、補助部材16にガス体注入の専用注入口18−2を配置しなくても、図5に示されるように補助部材16の四隅が開口していれば、注入口18−1から注入されたガス体がこの開口部から微量に流入し、干渉縞対策として有効であることを確認している。従って、注入口18−2の位置はこれに限定されるものではない。そして、このガス体注入後環状シール17の注入口は、UV光で硬化反応を施す樹脂からなる封止材18を用いてガス体の漏洩が無きよう、封止され密閉状態が保持される。
【0039】
実施例2におけるタッチパネルの製作フローは、実施例1での紹介した製造フローである図9と同様である。
【0040】
ドットスペーサを印刷形成した第一基板11には、第二基板12と固着する為の環状シール17をスキージ印刷法で塗布する。その際、環状シール17には、導電性の第一粒子が1%wt混練され、所定のギャップ量以上に押し潰せないようにギャップを制御する為の第二粒子17−2が1%wt〜3%wtで混錬している。導電性の第一粒子材17−1は、第一基板11と第二基板12の上下導通材と使用されるため、第一基板11と既第二基板12とに押し潰されて使用される。
【0041】
第二粒子17−2は、第一基板11と既第二基板12の押圧によるギャップ量を制御することを目的としており、第一粒子17−1よりも1μm〜2μmほど大きいことが望ましい。
【0042】
環状シール17の内周側には、第二基板12の傾斜角を拡大させる補助部材16が配置される。今回用いた印刷方法では、傾斜角拡大の為の補助部材16を、第二基板にスキージ印刷法にて塗布した。第一基板11には未硬化状態の環状シール17が印刷されているため、第二基板11に補助部材16を新たにスキージ印刷で印刷することが出来ないためである。
【0043】
尚、ディスペンサにより第一基板1の上に環状シール17と補助部材16の両シール材を塗布することを検討し実験をしたが、ディスペンサでの1パターン当たりのシール描画のタクトタイムはスキージ印刷法よりも時間を要する為、量産性に不向きであった。
【0044】
その後、第一基板1と第二基板2を重ね合わせ、環状シール17と傾斜角拡大の為の補助部材16で第一基板1と第二基板12を固着させる。その際、環状シール17のみを加熱加圧させる為に、対向させた基板間の間に窓枠スペーサ10を挟み込み、一度に数枚のタッチパネル基板を加熱加圧できるようにした。このタッチパネルは、実施例1の図3、図4で紹介したものと同様な製造工法を用いて製作できる。
【0045】
この工法を用いることで、環状シール17並び傾斜角拡大の為の補助部材16は、正方形または、長方形である矩形状に硬化させることが可能となった。
【0046】
本工法を用いて環状シール17及び補助部材16に所定の温度、加圧を施して硬化した後、第一基板1と第二基板2の透明電極が対向した状態で、マザー基板を裁断して個片のタッチパネルにし、環状シール17の注入口18−1からガス体を注入する。
【0047】
このとき個片として切断されたタッチパネルは、動作エリアが凹状態になっている場合が多く、環状シール17の4隅に干渉縞が発生することも多い。さらに環状シール17の内側が凹状態のため、第一基板11に形成したドットスペーサと第二基板12が接触して、水玉状の環状縞も発生することもある。
【0048】
よって、これらの干渉縞を解消、減少させる為に、環状シール17の注入口18−1よりガス体を注入し、第二基板12を凸形状に変形させる。そのとき、第一基板11のコーナー部の補助部材16からの立ち上がり角度は、図6のBが、第一基板11の平面に対して0.15〜0.55度の範囲で設定されるのがタッチパネルの視認性及び美観等の観点から推奨され、より好ましくは0.22度以上になるようにガス体を注入することが望ましい。その後、UV硬化樹脂等の封止材18を環状シール17の注入口18−1に塗布し、UV光を所定の積算光量分照射することでガス体を封入する。尚、ここで使用したガス体は、比較的簡単に入手可能なクリーンドライエアとしたが、これに限定されるものではなく、他のガス体を用いてもよい。
以上によって、干渉縞を抑制したタッチパネルが完成する。
【0049】
実施例1、2に記載された、第二基板2,12を凸形状にするための補助部材6、16の4隅における塗布形状を図7及び図8に拡大図で示した。
4隅には、図7のC部のように点状の補助部材塗布を行った。点状補助部材6−3の寸法は、補助部材6の幅寸法と同様の直径寸法とすればよい。補助部材6、16に含有しているギャップ材6−1は、点状補助部材6−2の1箇所に少なくても1個含有させる。出来れば、直径0.5mmにおいて3個以上存在することが望ましい。
【0050】
さらに点状塗布以外でも、例えば図8のD部のように、点状補助部材6−3の2点を繋げ、図のような斜線状補助部材6−4としてもよい。斜線状補助部材6−4に含有されるギャップ材6−1の含有量は、幅0.5mm、長さ1.5mmの斜線補助部材6−4において、15個以上含有していることが望ましい。
【0051】
上記によれば、シール材の4隅に点状補助部材6−3または、斜線状補助部材6−4を配置することで、強制的に第二基板2を凸形状に形成することが可能となり、環状縞発生が防止できるタッチパネルの製造が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、抵抗膜式タッチパネルの製造コストを簡易的な方法で低減できると共に、シール材の4隅に干渉縞が発生することを確実に抑制することが出来る。そして、安価で光学的に高品質な液晶表示装置を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0053】
1、11 第一透明基板(第一基板)
2、12 第二透明基板(第二基板)
3、13 透明電極
4、14 透明電極
6、16 補助部材
6−1,16−1 ギャップ材
6−3 点状補助部材
6−4 斜線状補助部材
7、17 環状シール
7−1、17−1 第一粒子(導電性粒子)
7−2、17−2 第二粒子(ギャップ材)
8、18 封止材
8−1、18−1、18−2 注入口
10 窓枠スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第一基板と第二基板を環状シールにて固着し、前記基板間に形成した空間層にガス体を封入したタッチパネルにおいて、
前記環状シールの断面形状は矩形であり、前記ガス体を前記空間層に封入したあとに前記第二基板を凸形状に形成するための補助部材を、前記環状シール内周側に配置したことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記環状シール及び前記補助部材はそれぞれギャップ材を含有し、前記環状シールに含有されたギャップ材の外径が、前記補助部材に含有されたギャップ材の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第二基板がコーナー部において、前記補助部材から内側に立ち上がる傾斜角は、前記第一基板の平面に対して0.15〜0.55度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記補助部材の厚さは、0.020mm以上であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記補助部材は、少なくとも1種のギャップ材を含有しており、その混合比率は、補助部材の主剤に対して2%wt〜10wtで含有されていることを特徴とするとする請求項1から4のうちいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記環状シールのバインダー材と前記補助部材のバインダー材は、同じ材質からなることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記環状シールのバインダー材と前記補助部材のバインダー材は、熱硬化型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記環状シールのバインダー材の硬化温度よりも前記補助部材のバインダー材の硬化温度のほうが高いことを特徴とする請求項7記載のタッチパネル。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか1項に記載のタッチパネルを備えた表示装置。
【請求項10】
対向する第一基板と第二基板を環状シールにて固着し、前記基板間に形成した空間層にガス体を封入したあとに前記第二基板を凸形状に形成するための補助部材を、前記環状シールの内周側に配置したタッチパネルの製造方法において、
前記タッチパネルと、前記環状シールを押圧するためのスペーサを、それぞれ交互に積み重ねて、枚葉処理で前記環状シールを硬化させることを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項11】
前記スペーサは、前記環状シールのみを押圧しタッチパネルの中央部は加圧できないよう、タッチパネルの中央部に相当する部分をくり抜いた窓枠形状を有することを特徴とする請求項10記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項12】
前記環状シールのバインダー材の硬化温度よりも前記補助部材のバインダー材の硬化温度のほうが高く、段階的に温度を上昇させるステップキュア方式にて前記バインダー材の硬化処理を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載のタッチパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88864(P2013−88864A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225980(P2011−225980)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】