説明

タッチパネル入力装置

【課題】 タッチパネル装置において、ユーザに依存する押下力の違いにより、タッチパネルの応答に差が生じる場合がありユーザによって使い勝手の悪いものになっていた。
【解決手段】 タッチパネルの押下を認識したとき、誤操作を防止するために押下時間を計測することによって、ある一定の押下時間を超えた場合には押下されたと認識しているが、ユーザの押下の仕方によってはこの押下時間が短くなる場合があり、このときは本体が押下されたと認識しない場合がある。このような場合にはユーザはタッチパネルの押下を再度やり直すことになるが、その再度の押下の際にも押下時間が一定時間を満たさない場合には、押下と認識する時間の閾値を変更し、このユーザに対しては短い認識時間でも押下を判定することにより使い勝手を良くする。また、ユーザによる押下を認識する時間の閾値の設定を可能とし、そのユーザの好み等に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLCD上に重ねるように配置され、それに対するユーザの接触の検出と判定された際には、それと対応する位置にLCD表示しているキーアイコンを押下されたと判断し、そのキー設定に従った動作を行なうタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリや複写機などの操作部としてLCDに重ねるように配置され、LCD上に表示されたキーアイコン上の部分のユーザによる押下を検出することにより、キー押下を認識するいわゆるタッチパネルあるいはタッチスクリーンと呼ばれるものが提案されている。
【0003】
従来技術としては、LCDに表示されるキーの役割などによって、ユーザが該当するタッチパネルの範囲を押下したか否かを判別する閾値をキー毎に変更する制御方法なども提案されている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開平06−044254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では例えば誤操作されることが特に好ましくないキーなどの検出を厳しくすることにより、ユーザに対して安定した操作を提供するものであるが、ユーザに依存する、特に押下する際のユーザの癖、操作力などにより、キー押下が認識されなかったために、ユーザに対して応答を返さないために機械の故障の懸念やユーザに対するストレスを与えることについては考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために請求項1、請求項2では、ユーザがキー入力を行うための複数のキーアイコンを表示するLCD表示部と、前記LCD表示部に重ねられて、ユーザがそれに接触することにより前記LCD表示部に表示されたキーアイコンの押下を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルに対するユーザの接触時間を計時する計時手段と、前記計時手段により計時されたユーザの接触時間と検出閾値とを比較する手段と、前記検出閾値を変更する閾値変更手段とを備え、前記閾値変更手段は、前記計時手段により計時されたユーザの接触時間が所定回数連続して前記検出閾値以下だった場合に、前記閾値変更手段により検出閾値を変更する。また請求項3、請求項4では、前記タッチパネルに対するユーザの接触の圧力を計測する計測手段と、前記計測手段により計測されたユーザの接触の圧力と検出閾値とを比較する手段と、前記検出閾値を変更する閾値変更手段とを備え、前記閾値変更手段は、前記計測手段により計測されたユーザの接触の圧力が所定回数連続して前記検出閾値以下だった場合に、前記閾値変更手段により検出閾値を変更する。また、請求項6、請求項8では、さらにユーザによる前記検出閾値を変更する手段を備え、ユーザにより、反応時間や圧力の設定を可能とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ユーザに依存する、特に押下する際のユーザの癖、操作力などにより、キー押下の検出結果に差がある場合であっても、ユーザの癖、操作力を想定し、検出手段に変更を加え、またはユーザによる閾値の変更を可能することによりユーザのタッチパネルの押下に対して確実に応答を返すことにより機械の故障の懸念やユーザに対するストレスを与えることを回避することができるタッチパネルを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0008】
図3は、本発明の第1の実施例であるタッチパネル入力装置を用いたファクシミリ装置100の構成を示すブロック図である。
【0009】
図3において、ファクシミリ装置100は、制御部101と、ROM102と、DRAM103と、SRAM104と、画像読み取り部105と、ファクシミリ送受信部107と、記録部108と、操作部110と、電源供給部111とを有する。
【0010】
制御部101は、ファクシミリ装置全体を制御し、システムバス112を介してファクシミリ装置を制御するマイクロプロセッサユニット(MPU)であり、システムバス112内には、データバス、アドレスバスと接続される。また制御部101と記録部108間はプリンタを制御するシリアルインターフェイス(UART)113であるプリンタ制御信号線、プリンタ応答信号線で接続されている。
【0011】
ROM102は、MPUが動作するためのインストラクション群等のプログラムコード、オペレーティングシステム(OS)プログラムコード、初期値データ、テーブルデータ等を格納しているメモリである。
【0012】
DRAM103は、画像バッファ、画像メモリ、各種動作のワークエリア等に使用され、ファクシミリ送受信部105との間で送受信する際の画像データを一時的に保持するバッファであり、また、ファクシミリ送受信部105を介して受信された画像データや、画像読み取り部102で読み取られた画像データを、ファイルとして蓄積するためのメモリである。なお、DRAM103の保持しているデータは、バッテリバックアップによって停電等の不慮の障害等から保護されている。
【0013】
SRAM104はユーザー登録エリアや、ワークエリア、画像ファイルの管理情報等の格納に使用さる。このSRAM104もバッテリーバックアップによって、不慮の障害から保護されている。
【0014】
画像読み取り部105は、密着型イメージセンサ、読み取り画像補正部、読み取り画像処理部、読み取り駆動部、原稿が原稿台に置かれているかどうかを検出するドキュメントセンサ(DS)、ドキュメントエッジセンサ(DES)により構成されるものである。この画像読み取り部105においては、まず、読み取り駆動部を駆動して原稿を搬送し、密着型イメージセンサにより光学的に読み取って電気的な画像信号に変換する。この密着型イメージセンサにはR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色のLEDが内蔵されており、この3色のLEDを1ライン読み取り中に順次点灯することにより、そのラインのR、G、Bそれぞれのデータを読み取ることができるカラースキャナである。また、モノクロ読み取りモードで原稿を読み取る場合には、3色のLEDを同時に点灯することにより、モノクロ読み取りが可能となる。この信号を読み取り画像補正部にてシェーディング補正等を施し、さらに読み取り画像処理部によって2値化処理および中間調処理等の画像処理を施して高精細な画像データを出力する。このときDRAM103は画像処理を行う際の画像バッファとして用いられる。
【0015】
記録部108は記録制御部、画像メモリ等によって構成されている。
【0016】
記録部108は、記録制御用MPU、各種インストラクションを記述したROM、ROMからインストラクションを読み出す手段、読み出したインストラクションを処理する処理手段、制御部101から送信された画像データを格納したり、処理手段が必要とする情報を記憶しておくための入力が可能なRAM、記録画像処理部106から送られてくる画像データの受信を行うデータバスや、制御部101からのパワーオン指示、パワーオフ指示、回復動作指示、記録紙排出指示等の制御コマンドを受信したり、エラー情報、オンライン/オフライン状態などのステータス情報を制御部101に送信するシリアルインターフェイス(UART)の制御を行うインターフェイス制御部を備える。記録部108にはカートリッジ式の白黒記録専用のモノクロ記録ヘッドか、或いは、カートリッジ式のカラー記録ヘッドの何れかを搭載している。このモノクロ記録ヘッドとカラー記録ヘッドとは交換可能な構成となっている。また、どちらの記録ヘッドもインクタンクを内蔵した一体型のインクカートリッジであり、記録解像度360dpi(dots per inch)でインクの吐出を行う。この記録ヘッドはキャリッジに保持されながら、記録紙の搬送方向(副走査方向)とは直交する方向(主走査方向)に往復運動する。キャリッジの往復運動は、モータによって駆動されるプーリおよびタイミングベルトによって行われ、この時に記録ヘッドに与えられる記録信号や電力は、キャリッジと電気基板を接続しているフレキシブルケーブルによって電気回路より供給されている。記録ヘッドとフレキシブルケーブルとは互いの接点を圧接して接続しており、記録ヘッドの特定の接点間の開放/接続を検出することでモノクロ記録専用のカートリッジが装着されているか或いはカラー記録用のカートリッジが装着されているかを認識可能な構成となっている。
【0017】
記録画像処理部106は、受信した画像データを記録部108で出力する場合に、受信した画像データをプリンタの主走査解像度360dpi(dots per inch)の生画像データに変換するための解像度変換、スムージング、濃度補正等の各種画像処理を施し、高精細画像データに変換し、その画像データを記録部108に送信する。なお、記録部108は、インクジェットプリンタであるが、サーマルプリンタ、LEDプリンタ等であってもよい。
【0018】
ファクシミリ送受信部105は、NCU(網制御装置)等の通信接続部、モデム(変復調装置)等の通信制御部によって構成されるものであり、PSTN回線の通信網に接続され、G3のプロトコルによって通信制御、通信回線に対する発呼、着呼等の回線制御を行うものである。
【0019】
電源供給部111は、本ファクシミリ装置100の各部に電源を供給する電源である。
【0020】
LCD114は、ファクシミリの動作状況やエラー発生時などはそのときの本体の状態を表示し、また、後述のタッチパネル115を利用することにより操作キーを実現するためにキーのアイコンの表示などを行なう。制御部101からLCD114に対する表示の制御はLCD制御部110を介して行なう。
【0021】
タッチパネル115はLCD114の上部にLCD114に重なるような形で設けられている半透明のシート状のものを使用している。LCD115上に表示されたキーアイコン上部のタッチパネル115の該当する位置をユーザが押下することにより、後述する原理により押下された位置がLCD114のどの位置に相当するかを判別し、その押下位置にLCD114が表示しているキーアイコンが押下されたとして動作するものである。
【0022】
後述するようにタッチパネル115の制御のために、タッチパネル115に印加する電圧を制御する電圧印加制御部117と、ユーザがタッチパネル115に触れたときに発生する印加電圧に対する出力電圧の変化をA/D変換し、制御部101にデジタルデータとして入力するA/D変換部116を備える。
【0023】
ファクシミリ送受信部107はNCU(網制御装置)等の通信接続部と、モデム(変復調装置)等の通信制御部により構成される。これらによりPSTN回線に接続してG3のプロトコルにより通信制御を行うほか、通信回線に対する発呼、着呼などの回線制御を行うものである。さらにファクシミリ送受信部には電話機を接続し、通話やDTMFリモート制御などを行うことも可能である。
【0024】
次に上記構成のファクシミリ装置100の各種動作について説明する。
【0025】
・画像読み取り時の動作
本ファクシミリ装置100の画像読み取り時の動作は以下の通りである。
【0026】
密着型イメージセンサによって得られた信号は読み取り画像補正部により、シェーディング補正などの処理が施され、さらに2値化および画像変換処理が行われ、画像符号復号部109の画像復号部に入力される。入力された画像データは、DRAM103に展開され、画像符号部によって圧縮符号化されたあと、DRAM103に蓄積される。また同時にその画像データの受付番号、宛先情報、ページ数、格納画像メモリブロック情報等の管理情報をSRAM104に格納する。
【0027】
・画像記録動作
次に画像記録動作について説明する。DRAM103に蓄積された画像符号化データは、画像符号復号化部109の画像複合化部によって伸長復号され、記録画像処理部106によって補正および画像変換処理を行ったあと、記録部108に送信される。
【0028】
・ファクシミリ送信動作
次にファクシミリ送信動作について説明する。発呼して回線が補足されると、まずG3のプロトコルに従い、ファクシミリ通信の手順信号の送受信を行う。そしてDRAM103に蓄積された画像符号化データは、送信バッファに転送される。送信バッファに転送された送信データは、ファクシミリ送受信部107の通信制御部からの入力割り込み信号に応じて制御部101の制御のもと、通信制御部に1バイトづつ転送され変調される。そして通信接続部を介してPSTN回線に送出される。
【0029】
・ファクシミリ受信動作
次にファクシミリ受信動作について説明する。
【0030】
ファクシミリ送受信部107の通信接続部により着信が確認されると、受信データは通信接続部を通して通信制御部に入力される。そして、まずG3のプロトコルに従いファクシミリ手順信号の送受信を行い、その後画像データの受信を開始する。画像データは、通信制御部で復調され、通信制御部からの入力割り込み信号に応じて制御部101の制御のもと、受信バッファに転送される。受信バッファに転送された画像データは画像符号復号化部109の画像復号部によって伸長復号して画像誤りを検査し、DRAM103に画像データとして展開される。展開された画像データは、画像符号復号化部の画像符号部により圧縮符号化されてDRAM103に蓄積されるとともに、SRAM104に管理情報を格納する。
【0031】
次に図2を用いてタッチパネル115の動作について説明する。
【0032】
タッチパネル115の制御には図3を用いて説明したように電圧印加部117、A/D変換部116、制御部101により制御される。タッチパネル115は、LCD114に重ねられており、LCD114の表示エリアとほぼ等しい面積を有している。タッチパネル115は図2のように上部と下部の2枚の抵抗膜から構成され、電圧印加部117からそれぞれの抵抗膜に電圧を印加するようになっている。ここで、図にある押下点をユーザが押下した場合、まず上部の抵抗膜と下部の抵抗膜がこの押下点で接触する。このとき電圧印加部117により印加された電圧Eはこの押下点での上部と下部の接触により、aの長さとbの長さに抵抗分割されることになる。このaとbの比率で分圧された電圧が下部の抵抗膜115−2を通じてVx方向に出力される。この電圧はA/D変換部116に入力され、デジタルデータに変換された後に制御部101に入力され、制御部101は上部抵抗膜115−1上の押下点を判断することができる。また、制御部101は内部タイマーによる監視によりA/D変換部116から入力される電圧値の変化を計時することにより、ユーザによる押下時間がわかるようになっている。次に制御部101は電圧印加制御部117を制御することにより、下部の抵抗膜115−2に対して矢印方向に電圧Eの印加を行なう。このとき押下点での上部の抵抗膜115−1と下部の抵抗膜115−2の接触により、この印加された電圧Eはcとdの長さの比で分割されることになる。このとき同様にこのcとdに分圧された電圧が上部抵抗膜115−1によりVy方向に出力され、この電圧はA/D変換部116に入力され、デジタルデータに変換された後に制御部101に入力され、制御部101は下部抵抗膜115−2上の押下点を判断することができる。ここでも同様に制御部101は内部タイマーによる監視によりA/D変換部116から入力される電圧値の変化を計時することにより、ユーザによる押下時間がわかるようになっている。以上にようにタッチパネル上にx方向、y方向にそれぞれ電圧を印加し、抵抗分割された電圧値を読み取ることによりx方向、y方向の位置が判断され、タッチパネル115上のどの位置が接触しているか、すなわちユーザがタッチパネル115上のどの位置を押下したか、また電圧値の変化時間を計測することによりどれくらいの時間ユーザがタッチパネル115を押下しているかを判別するようになっている。
【0033】
以下、本実施の形態にかかるタッチパネル入力装置115の動作について図1のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
まず、ステップS101で制御部101はタッチパネル115へのアクセスがあるかどうかを監視する。これはA/D変換部116からの入力が通常状態(タッチパネル115に何も触れていない状態)からの変化を監視することによって行なう。ここでタッチパネル115へのユーザによる押下が行なわれたと判断した場合には、ステップS102に進み、その押下時間の測定を行なう。ここでは制御部101の制御プログラム上のタイマ機能を用い、前述のA/D変換部116からの入力値の変化がどの程度の時間継続しているかを判断することにより、押下時間の測定が行なわれる。また同時に図2を用いて説明したように、このA/D変換部116からの入力値によりタッチパネル115のどの部分が押下されたかが判別できるようになっている。ここで有効は範囲を押下されていると判断された場合にはステップS103に進み、今回の押下時間が予め設定してある閾値以上か否かを判断する。ここでタッチパネル115への押下時間が予め決められた閾値以上であるときには、そのタッチパネル115への入力を有効としてステップS109に進み、押下されたキーアイコンに相当する応答、動作を行なう。このステップS103で検出時間が予め決められた閾値以下である場合には、ステップS104とステップS105で今回のタッチパネル115への入力動作を無効として再度入力待ちを行なう。ステップS104で再度ユーザによるタッチパネル115への入力が行なわれた場合には、ステップS106に進みステップS103と同様にタッチパネル115への入力時間の判定を行なう。ここで今回の入力時間が予め決められている閾値を満足している場合には、前述の場合と同様にステップS109に進み、押下されたキーアイコンに相当する応答、動作を行なう。ステップS106で今回の入力時間が閾値に満たない場合には、ステップS107に進み、これも予め決められている入力時間の限度値との比較を行なう。この入力時間の限度値はユーザの意図しないタッチパネル115への接触、ノイズ等の影響を除去するために最低限の時間の接触を決めているものである。今回の入力値が閾値を越えてはいないが、この限度値以上である場合には、ステップS108に進み、このユーザの操作特性を鑑み、ユーザによりタッチパネル115が押下されたと判断して閾値の変更を行なう。この閾値変更後に同様にステップS109に進み、押下されたキーに対する応答、動作を行い終了する。
【0035】
なお、ここではユーザのタッチパネルに対する押下接触時間を検出し、その時間が検出閾値を満足しなかった場合には、その検出閾値を変更して接触時間に比較的短い操作を行うユーザに対しても確実でストレスを与えることのないタッチパネル装置の実現を説明したが、タッチパネル装置にユーザが接触した際の圧力を検出できる機能を備えている場合には、その検出した圧力を閾値を比較し、その圧力値が検出閾値を満足しなかった場合には、同様にその検出閾値を変更して、ユーザによる接触力が比較的小さい操作を行うユーザに対応することが可能であるのは明らかである。
【0036】
また、上記のように予め設定されている検出閾値を満足できないような操作がされた場合には検出閾値を変更するような制御を行なうが、ある一定時間操作が行なわれなかった場合には、そのユーザによる操作が終了したものと判断して、変更した閾値を元に戻すような制御を行なっても良い。
【0037】
また、操作時に明らかにそのユーザによる今回の一連の操作が終了したと判断されるような操作が行なわれた場合には、直ちに変更した検出閾値を元に戻す制御を行なっても良い。
【0038】
次に図4のフローチャートを用いて、ユーザによる閾値の設定が可能な場合の動作について説明する。
【0039】
まずステップS401でユーザによる閾値の設定が行なわれたならば、ステップS402に進み、その閾値の取得を行なう。ここではユーザがタッチパネル上のユーザ設定を行なう画面上にて3段階の閾値設定が可能であるものとする。すなわち、装置のデフォルト状態である中設定、タッチパネル上をより強く押下しなければ押下と認識しない設定である高負荷設定、タッチパネル上への軽い接触で押下を認識する軽負荷設定である。高負荷設定では、ユーザによるタッチパネルの接触が高圧力もしくは長時間行なわれないと押下と認識しない方向の設定であり、押下を検出する時間の閾値は通常状態よりも長めに設定される。また、押下の圧力により、押下されたか否かを判別する場合には、押下を検出する圧力の閾値は通常状態よりも高めに設定される。逆に軽負荷設定では、ユーザによるタッチパネルの接触が低圧力もしくは短時間での接触でも押下と認識する方向の設定であり、押下を検出する時間の閾値は通常状態よりも短めに設定される。また、押下の圧力により、押下されたか否かを判別する場合には、押下を検出する圧力の閾値は通常状態よりも低めに設定される。ステップS403で、いままでの設定閾値と異なる設定をユーザが行なったならば、ステップS404に進み。今回設定された閾値を新しい今後の判定用の閾値として設定する。次にステップS405に進み、今回設定された新しい閾値が軽負荷設定である場合には、短時間、あるいは低い圧力での接触で押下と判定されるために、ステップS406において、ユーザによる目的外の箇所への意図しない接触でも、タッチパネルを押下されたと判断されることになるため、ユーザに対してその旨をLCDに表示する、あるいは警告音を発するなどして注意喚起を行なう。
【0040】
なお、図4で説明したユーザによりタッチパネルの閾値の設定が行なわれる場合では、図1において説明したステップS104からステップS108でのユーザの押下特性に応じた閾値の変更制御は当然行なわないことになる。ステップS103において、ユーザが設定をおこなった閾値と、そのときの押下時間の測定結果、あるいは押下圧力の測定結果を比較することになる。
【0041】
以上説明したように本発明によれば、タッチパネルの押下を認識したとき、ユーザの押下の仕方によってはこの押下時間が短くなる場合があり、このときは本体が押下されたと認識しない場合がある。このような場合にはユーザはタッチパネルの押下を再度やり直すことになるが、その再度の押下の際にも押下時間が一定時間を満たさない場合には、押下と認識する時間の閾値を変更し、このユーザに対しては短い認識時間でも押下を判定することによりユーザに対応した確実な動作が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明におけるタッチパネル装置の制御フローチャート図。
【図2】本発明におけるタッチパネル装置の動作概念図。
【図3】本発明におけるタッチパネル装置を用いたファクシミリのブロック図。
【図4】本発明におけるタッチパネル装置において、ユーザが設定を行なう際のフローチャート図。
【符号の説明】
【0043】
101 制御部
110 LCD制御部
114 LCD
115 タッチパネル
116 A/D変換部
117 タッチパネル115への電圧印加制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがキー入力を行うための複数のキーアイコンを表示するLCD表示部と、
前記LCD表示部に重ねられて、ユーザがそれに接触することにより前記LCD表示部に表示されたキーアイコンの押下を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに対するユーザの接触時間を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時されたユーザの接触時間と検出閾値とを比較する手段と、
前記検出閾値を変更する閾値変更手段と
を備えたことを特徴とするタッチパネル入力装置。
【請求項2】
前記閾値変更手段は、前記計時手段により計時されたユーザの接触時間が所定回数連続して前記検出閾値以下だった場合に、前記閾値変更手段により検出閾値を変更することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル入力装置。
【請求項3】
ユーザがキー入力を行うための複数のキーアイコンを表示するLCD表示部と、
前記LCD表示部に重ねられて、ユーザがそれに接触することにより前記LCD表示部に表示されたキーアイコンの押下を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに対するユーザの接触の圧力を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測されたユーザの接触の圧力と検出閾値とを比較する手段と、
前記検出閾値を変更する閾値変更手段と
を備えたことを特徴とするタッチパネル入力装置。
【請求項4】
前記閾値変更手段は、前記計測手段により計測されたユーザの接触の圧力が所定回数連続して前記検出閾値以下だった場合に、前記閾値変更手段により検出閾値を変更することを特徴とする請求項3記載のタッチパネル入力装置。
【請求項5】
タッチパネルに一定時間入力が行われなかった場合には、前記閾値変更手段により変更された検出閾値を変更前の状態に戻すことを特徴とする請求項2乃至4に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項6】
ユーザがキー入力を行うための複数のキーアイコンを表示するLCD表示部と、
前記LCD表示部に重ねられて、ユーザがそれに接触することにより前記LCD表示部に表示されたキーアイコンの押下を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに対するユーザの接触時間を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時されたユーザの接触時間と検出閾値とを比較する手段と、
前記検出閾値のユーザによる変更を可能とする閾値変更手段と
を備えたことを特徴とするタッチパネル入力装置。
【請求項7】
前記閾値変更手段により、規定値よりもより短い時間でタッチパネルが接触されたと判断するように閾値が変更された場合には、ユーザに対して通知を行なう通知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項8】
ユーザがキー入力を行うための複数のキーアイコンを表示するLCD表示部と、
前記LCD表示部に重ねられて、ユーザがそれに接触することにより前記LCD表示部に表示されたキーアイコンの押下を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに対するユーザの接触の圧力を計測する計測手段と、
前記計時手段により計測されたユーザの接触圧力と検出閾値とを比較する手段と、
前記検出閾値のユーザによる変更を可能とする閾値変更手段と
を備えたことを特徴とするタッチパネル入力装置。
【請求項9】
前記閾値変更手段により、規定値よりもより低い圧力でタッチパネルが接触されたと判断するように閾値が変更された場合には、ユーザに対して通知を行なう通知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−109082(P2007−109082A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300470(P2005−300470)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】