説明

タッチパネル及び導電シート

【課題】基体上に形成される透明導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、しかも、モアレの発生を抑制することができるタッチパネル及び導電シートを提供する。
【解決手段】第1導電部16Aは、2以上の第1感知部24Aが第1方向に直列に接続されて構成された2以上の第1透明導電パターン18Aが第1方向と直交する第2方向に配列され、且つ、第1感知部24Aの辺の周囲に、複数の第1補助線36Aからなる第1補助パターン20Aが配列されて構成され、第2導電部16Bは、2以上の第2感知部24Bが第2方向に直列に接続されて構成された2以上の第2透明導電パターン18Bが第1方向に配列され、且つ、第2感知部24Bの辺の周囲に、複数の第2補助線36Bからなる第2補助パターン20Bが配列されて構成され、第1補助線36A及び第2補助線36Bの長さは、小格子26の一辺の長さよりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及び導電シートに関し、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適なタッチパネル及び導電シートに関する。
【背景技術】
【0002】
金属細線を用いた透明導電膜については、例えば、特許文献1及び2で開示されているように、研究が継続されている。
近時、タッチパネルが注目されている。タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
このような将来の動向において、従来の電極は、ITO(酸化インジウムスズ)を用いていることから、抵抗が大きく、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。
そこで、金属製の細線(金属細線)にて構成した格子を多数並べて電極を構成することで表面抵抗を低下させることが考えられる。金属細線を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献3〜9が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0229028号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/001461号パンフレット
【特許文献3】特開平5−224818号公報
【特許文献4】米国特許第5113041号明細書
【特許文献5】国際公開第1995/27334号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0239650号明細書
【特許文献7】米国特許第7202859号明細書
【特許文献8】国際公開第1997/18508号パンフレット
【特許文献9】特開2003−099185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、投影型静電容量方式のタッチパネルのタッチスイッチは、基板と、前記基板の一面に形成され、一定間隔で並べられた複数の第1電極と、前記基板の他面に形成され、一定間隔で並べられ、前記複数の第1電極とで格子状になる複数の第2電極と、を備え、ディスプレイの前面に取り付けられるタッチスイッチがある。前記第1電極と第2電極がそれぞれ複数の導体線によって金属細線で形成することが考えられる。このタッチスイッチでは、第1電極同士の間や第2電極同士の間に補助線を設け視認の均一性を担保することが必要になる。
【0005】
しかし、基板に第1電極同士の間や第2電極同士の間に補助線を形成する場合、製造ばらつき(成膜ばらつき)によって、格子形状が均一にならなくなり、特に、ずれの方向が補助線の軸線方向であった場合、ずれ量がわずかであっても、不均一な格子形状の一部において直線部分が重なることとなる。そうすると、直線部分同士が重なった部分の幅が大きくなり(線太り)、これにより、第1電極や第2電極の位置が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、基体上に形成される透明導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルの大サイズ化にも対応させることができ、しかも、モアレの発生を抑制することができるタッチパネルを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、基体上に形成される透明導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適な導電シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 第1の本発明に係るタッチパネルは、導電シートを有するタッチパネルにおいて、導電シートは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1方向に直列に接続されて構成された2以上の第1透明導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列され、且つ、前記第1感知部の辺の周囲に、複数の第1補助線からなる第1補助パターンが配列されて構成され、前記第2導電部は、2以上の第2感知部が前記第2方向に直列に接続されて構成された2以上の第2透明導電パターンが前記第1方向に配列され、且つ、前記第2感知部の辺の周囲に、複数の第2補助線からなる第2補助パターンが配列されて構成され、各前記第1感知部及び各前記第2感知部は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さよりも短く、上面から見たとき、前記第1透明導電パターンと前記第2透明導電パターンとが交差して配置された形態とされ、前記第1透明導電パターンと前記第2透明導電パターンとの間に、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成されていることを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、前記第1導電部及び前記第2導電部の線幅が30μm以下であり、前記小格子の一辺の長さが50〜500μmであることを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記第1感知部及び前記第2感知部の一辺の長さが3〜10mmであることを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さの4/5以下であることを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さの1/2以下であることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、前記組合せパターンは、2以上の小格子が組み合わされて構成されていることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記組合せパターンは、前記第1補助線と前記第2補助線とが直交して重ならない形態を有することを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、前記組合せパターンは、前記第1補助線の第1軸線と前記第2補助線の第2軸線とがほぼ平行とされ、前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅及び前記第2補助線の線幅のうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上であることを特徴とする。
[9] 第1の本発明において、前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅の1/2と前記第2補助線の線幅の1/2との合計であることを特徴とする。
[10] 第1の本発明において、前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅の1/2と前記第2補助線の線幅の1/2との合計未満であることを特徴とする。
[11] 第1の本発明において、前記組合せパターンは、前記第1補助線と前記第2補助線とが一部重なる形態を有することを特徴とする。
[12] 第1の本発明において、前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅の1/2と前記第2補助線の線幅の1/2との合計よりも長いことを特徴とする。
[13] 第1の本発明において、前記第1方向と前記第2方向とを二等分する方向を第3方向とし、該第3方向と直交する方向を第4方向としたとき、前記第1導電部と前記第2導電部は、基準位置から少なくとも前記第3方向に前記第1補助線の線幅及び前記第2補助線の線幅のうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上ずれて配置されていることを特徴とする。
[14] 第1の本発明において、前記基準位置は、前記第1補助線の第1軸線と第2補助線の第2軸線とが一致し、且つ、前記第1補助線と前記第2補助線とが重ならず、且つ、前記第1補助線の一端と前記第2補助線の一端とが一致する位置を示すことを特徴とする。
[15] 第1の本発明において、前記第1補助パターンは、複数の前記第1補助線と交差する第1補助長線を備え、前記第2補助パターンは、複数の前記第2補助線と交差する第2補助長線を備えることを特徴とする。
[16] 第1の本発明において、前記第1補助長線及び前記第2補助長線の長さは、前記小格子の一辺の長さと同等以上であることを特徴とする。
[17] 第1の本発明において、前記第1補助パターンは、複数の前記第1補助線と、前記第1補助長線とが交差することによる第1Z字状パターンを備え、
前記第2補助パターンは、複数の前記第1補助線と、前記第2補助長線とが交差することによる第2Z字状パターンを備えることを特徴とする。
[18] 第2の本発明に係る導電シートは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1方向に直列に接続されて構成された2以上の第1透明導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列され、且つ、前記第1感知部の辺の周囲に、複数の第1補助線からなる第1補助パターンが配列されて構成され、前記第2導電部は、2以上の第2感知部が前記第2方向に直列に接続されて構成された2以上の第2透明導電パターンが前記第1方向に配列され、且つ、前記第2感知部の辺の周囲に、複数の第2補助線からなる第2補助パターンが配列されて構成され、各前記第1感知部及び各前記第2感知部は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さよりも短く、上面から見たとき、前記第1透明導電パターンに隣接して前記第2透明導電パターンが配置された形態とされ、前記第1透明導電パターンと前記第2透明導電パターンとの間に、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明に係るタッチパネルによれば、基体上に形成される透明導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルの大サイズ化にも対応させることができ、しかも、モアレの発生を抑制することができる。
本発明に係る導電シートによれば、基体上に形成される透明導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係るタッチパネル用導電シートを一部省略して示す分解斜視図である。
【図2】図2Aはタッチパネル用導電シートの一例を一部省略して示す断面図であり、図2Bはタッチパネル用導電シートの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る第1導電シートと第2導電シートを組み合わせてタッチパネル用導電シートとした例(積層ずれがない場合)を一部省略して示す平面図である。
【図6】基準位置の例を示す説明図である。
【図7】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせてタッチパネル用導電シートとした例(積層ずれがある場合)を一部省略して示す平面図である。
【図8】図8A〜図8Cは組合せパターンのうち、第1大格子の辺に沿って配列された第1補助線と第2大格子の辺に沿って配列された第2補助線とによる組合せパターンの例を示す説明図である。
【図9】組合せパターンのうち、第1非接続部の2つの第1L字状パターンにおける各第1補助線と第2非接続部の2つの第2L字状パターンにおける各第2補助線とによる組合せパターンの例を示す説明図である。
【図10】第2の実施の形態に係るタッチパネル用導電シートを一部省略して示す分解斜視図である。
【図11】図11Aはタッチパネル用導電シートの一例を一部省略して示す断面図であり、図11Bはタッチパネル用導電シートの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図13】第2の実施の形態に係る第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図14】第2の実施の形態に係る第1導電シートと第2導電シートを組み合わせてタッチパネル用導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る導電シート及び静電容量方式タッチパネルの実施の形態例を図1〜図14を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0011】
先ず、第1の実施の形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。第1の実施の形態に係るタッチパネル用の導電シート(以下、タッチパネル用導電シート10と記す)は、図1及び図2Aに示すように、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bとが積層されて構成されている。
【0012】
第1導電シート12Aは、図1及び図3に示すように、第1透明基体14A(図2A参照)の一主面上に形成された第1導電部16Aを有する。この第1導電部16Aは、それぞれ第1方向(x方向)に延在し、且つ、第1方向と直交する第2方向(y方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線15による2以上の第1透明導電パターン18Aと、各第1透明導電パターン18Aの周辺に配列された金属細線15による第1補助パターン20Aとを有する。
【0013】
第1透明導電パターン18Aは、2以上の第1大格子24A(第1感知部)が第1方向に直列に接続されて構成され、各第1大格子24Aは、それぞれ2以上の小格子26が組み合わされて構成されている。また、第1大格子24Aの辺の周囲に、第1大格子24Aと非接続とされた上述の第1補助パターン20Aが形成されている。
【0014】
隣接する第1大格子24A間には、これら第1大格子24Aを電気的に接続する金属細線15による第1接続部28Aが形成されている。第1方向と第2方向とを二等分する方向を第3方向(m方向)とし、第3方向と直交する方向を第4方向(n方向)としたとき、第1接続部28Aは、n個(nは1より大きい実数)の小格子26が第4方向に配列された大きさの中格子30が配置されて構成されている。第1大格子24Aの第4方向と直交する辺のうち、中格子30と隣接する部分には、小格子26の1つの辺が欠除した第1欠除部32Aが形成されている。小格子26は、ここでは一番小さい正方形状とされている。中格子30は、図3の例では、3個分の小格子26が第4方向に配列された大きさを有する。
【0015】
また、隣接する第1透明導電パターン18A間は電気的に絶縁された第1非接続部34Aが配されている。
ここで、第1補助パターン20Aは、第1大格子24Aの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列された複数の第1補助線36A(第3方向を軸線方向とする)と、第1大格子24Aの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列された複数の第1補助線36A(第4方向を軸線方向とする)と、第1非接続部34Aにおいて、それぞれ2つの第1補助線36AがL字状に組み合わされた2つの第1L字状パターン38Aが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
【0016】
各第1補助線36Aの軸線方向の長さは、小格子26の内周に沿った1つの辺の4/5以下、好ましくは1/2以下の長さを有する。また、各第1補助線36Aは、第1大格子24Aから所定距離だけ離間した位置に形成されている。所定距離は、小格子26の内周に沿った1つの辺の長さから第1補助線36Aの軸線方向の長さを差し引いた長さである。例えば第1補助線36Aの軸線方向の長さが、小格子26の内周に沿った1つの辺の4/5や1/2であれば、前記所定距離は、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/5や1/2となる。
【0017】
上述のように構成された第1導電シート12Aは、図1に示すように、各第1透明導電パターン18Aの一方の端部側に存在する第1大格子24Aの開放端は、第1接続部28Aが存在しない形状となっている。各第1透明導電パターン18Aの他方の端部側に存在する第1大格子24Aの端部は、第1端子40Aを介して第1外部配線42Aに電気的に接続されている。
【0018】
一方、第2導電シート12Bは、図1及び図4に示すように、第2透明基体14B(図2A参照)の一主面上に形成された第2導電部16Bを有する。この第2導電部16Bは、それぞれ第2方向(y方向)に延在し、且つ、第1方向(x方向)に配列され、多数の格子にて構成された2以上の金属細線15による第2透明導電パターン18Bと、各第2透明導電パターン18Bの周辺に配列された金属細線15による第2補助パターン20Bとを有する。
【0019】
第2透明導電パターン18Bは、2以上の第2大格子24B(第2感知部)が第2方向に直列に接続されて構成され、各第2大格子24Bは、それぞれ2以上の小格子26が組み合わされて構成されている。また、第2大格子24Bの辺の周囲に、第2大格子24Bと非接続とされた上述の第2補助パターン20Bが形成されている。
【0020】
隣接する第2大格子24B間には、これら第2大格子24Bを電気的に接続する金属細線15による第2接続部28Bが形成されている。第2接続部28Bは、n個(nは1より大きい実数)の小格子26が第3方向に配列された大きさの中格子30が配置されて構成されている。第2大格子24Bの第3方向と直交する辺のうち、中格子30と隣接する部分には、小格子26の1つの辺が欠除した第2欠除部32Bが形成されている。
【0021】
また、隣接する第2透明導電パターン18B間は電気的に絶縁された第2非接続部34Bが配されている。
【0022】
第2補助パターン20Bは、第2大格子24Bの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列された複数の第2補助線36B(第4方向を軸線方向とする)と、第2大格子24Bの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列された複数の第2補助線36B(第3方向を軸線方向とする)と、第2非接続部34Bにおいて、それぞれ2つの第2補助線36BがL字状に組み合わされた2つの第2L字状パターン38Bが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
【0023】
各第2補助線36Bの軸線方向の長さは、上述した第1補助線36Aと同様に、小格子26の内周に沿った1つの辺の4/5以下、好ましくは1/2以下の長さを有する。また、各第2補助線36Bは、第2大格子24Bから所定距離だけ離間した位置に形成されている。この所定距離についても、上述した第1補助線36Aと同様に、小格子26の内周に沿った1つの辺の長さから第2補助線36Bの軸線方向の長さを差し引いた長さである。例えば第2補助線36Bの軸線方向の長さが、小格子26の内周に沿った1つの辺の4/5や1/2であれば、前記所定距離は、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/5や1/2となる。
【0024】
上述のように構成された第2導電シート12Bは、図1に示すように、各第2透明導電パターン18Bの一方の端部側に存在する第2大格子24Bの開放端は、第2接続部28Bが存在しない形状となっている。各第2透明導電パターン18Bの他方の端部側に存在する第2大格子24Bの端部は、第2端子40Bを介して第2外部配線42Bに電気的に接続されている。
【0025】
第1大格子24A及び第2大格子24Bの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、検出時の第1大格子24A及び第2大格子24Bの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子24A及び第2大格子24Bを構成する小格子26の一辺の長さは50〜500μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。小格子26が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0026】
また、第1透明導電パターン18A(第1大格子24A、中格子30)の線幅、並びに第2透明導電パターン18B(第2大格子24B、中格子30)の線幅は、それぞれ下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は30μm以下、15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると金属細線15に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。
【0027】
第1補助パターン20A(第1補助線36A)及び第2補助パターン20B(第2補助線36B)の線幅は、それぞれ下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は30μm以下、15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。この場合、第1透明導電パターン18Aの線幅や第2透明導電パターン18Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1透明導電パターン18A、第2透明導電パターン18B、第1補助パターン20A及び第2補助パターン20Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
【0028】
そして、例えば第2導電シート12B上に第1導電シート12Aを積層してタッチパネル用導電シート10としたとき、図5に示すように、第1透明導電パターン18Aと第2透明導電パターン18Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1透明導電パターン18Aの第1接続部28Aと第2透明導電パターン18Bの第2接続部28Bとが第1透明基体14A(図2A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部16Aの第1非接続部34Aと第2導電部16Bの第2非接続部34Bとが第1透明基体14Aを間に挟んで対向した形態となる。
【0029】
積層した第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを上面から見たとき、図5に示すように、第1導電シート12Aに形成された第1大格子24Aの隙間を埋めるように、第2導電シート12Bの第2大格子24Bが配列された形態となる。このとき、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの間に、第1補助パターン20Aと第2補助パターン20Bとが対向することによる組合せパターン44が形成される。組合せパターン44は、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bで積層ずれがない場合、図6に示すように、第1補助線36Aの第1軸線46Aと第2補助線36Bの第2軸線46Bとが一致し、且つ、第1補助線36Aと第2補助線36Bとが重ならず、且つ、第1補助線36Aの一端と第2補助線36Bの一端とが一致し、これにより、小格子26の1つの辺を構成することとなる。つまり、組合せパターン44は、2以上の小格子26が組み合わされた形態となる。その結果、積層した第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを上面から見たとき、図5に示すように、多数の小格子26が敷き詰められた形態となる。
【0030】
次に、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bで積層ずれがあった場合について以下に説明する。
組合せパターン44が、第1補助線36Aと第2補助線36Bとが直交して重ならない形態を有することから、第1補助線36A及び第2補助線36Bの軸線方向に積層ずれがあった場合であっても、図7に示すように、積層ずれが所定の範囲にあれば、視認性の低下をもたらすことはない。
【0031】
すなわち、視認性の低下をきたさない積層ずれの形態や範囲としては、以下の通りである。
組合せパターン44のうち、第1大格子24Aの辺に沿って配列された第1補助線36Aと第2大格子24Bの辺に沿って配列された第2補助線36Bとによる組合せパターンは、図8A〜図8Cに示すように、第1補助線36Aの第1軸線46Aと第2補助線36Bの第2軸線46Bとがほぼ平行とされ、第1軸線46Aと第2軸線46B間の平面から見た距離haが、第1補助線36Aの線幅Wa及び第2補助線36Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子26の配列ピッチの1/2以下)である。
【0032】
図8Aは、第1軸線46Aと第2軸線46B間の距離haが、第1補助線36Aの線幅Waの1/2と第2補助線36Bの線幅Wbの1/2との合計未満である場合を示し、この場合、第1補助線36Aと第2補助線36Bとが一部重なる形態となる。図8Bは、第1軸線46Aと第2軸線46B間の距離haが、第1補助線36Aの線幅Waの1/2と第2補助線36Bの線幅Wbの1/2との合計である場合を示す。図8Cは、第1軸線46Aと第2軸線46B間の距離haが、第1補助線36Aの線幅Waの1/2と第2補助線36Bの線幅Wbの1/2との合計よりも長い場合を示す。
【0033】
組合せパターン44のうち、第1非接続部34Aの2つの第1L字状パターン38Aにおける各第1補助線36Aと第2非接続部34Bの2つの第2L字状パターン38Bにおける各第2補助線36Bとによる組合せパターンは、4つのL字状パターン(38A、38A、38B及び38B)で小格子26を形成しない形態となる。
【0034】
すなわち、図9に示すように、一方の第2L字状パターン38B寄りに2つの第1L字状パターン38Aが位置し、他方の第2L字状パターン38Bが、これら一方の第2L字状パターン38B及び2つの第1L字状パターン38Aから離れて位置された形態となる。このうち、一方の第2L字状パターン38B及び2つの第1L字状パターン38Aは、一方の第2L字状パターン38Bを構成する2つの第2補助線36Bのうちの一方の第2補助線36Bの第2軸線46Bと、一方の第1L字状パターン38Aを構成する2つの第1補助線36Aのうちの一方の第1補助線36Aの第1軸線46Aとがほぼ平行とされ、これら第1軸線46Aと第2軸線46B間の距離haが、第1補助線36Aの線幅Wa及び第2補助線36Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子26の配列ピッチの1/2以下)である。
【0035】
同様に、一方の第2L字状パターン38Bを構成する2つの第2補助線36Bのうちの他方の第2補助線36Bの第2軸線46Bと、他方の第1L字状パターン38Aを構成する2つの第1補助線36Aのうちの一方の第1補助線36Aの第1軸線46Aとがほぼ平行とされ、これら第1軸線46Aと第2軸線46B間の距離haが、第1補助線36Aの線幅Wa及び第2補助線36Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子26の配列ピッチの1/2以下)である。そして、一方の第2L字状パターン38B及び2つの第1L字状パターン38Aにおける第2補助線36B及び第1補助線36Aの位置関係は、図8A〜図8Cと同様である。
【0036】
すなわち、第1導電部16Aと第2導電部16Bは、基準位置から少なくとも第3方向に第1補助線36Aの線幅Wa及び第2補助線36Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子26の配列ピッチの1/2以下)だけずれて配置されても視認性の低下をきたさない。特に、第1の実施の形態では、第3方向及び第4方向にそれぞれ第1補助線36Aの線幅Wa及び第2補助線36Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子26の配列ピッチの1/2以下)だけずれて配置されても視認性の低下をきたさない。
【0037】
ここで、基準位置は、図6に示すように、第1補助線36Aの第1軸線46Aと第2補助線36Bの第2軸線46Bとが一致し、且つ、第1補助線36Aと第2補助線36Bとが重ならず、且つ、第1補助線36Aの一端と第2補助線36Bの一端とが一致する位置を示す。
【0038】
このように、第1の実施の形態に係るタッチパネル用導電シート10においては、図5にも示すように、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの間に、第1補助パターン20Aと第2補助パターン20Bとの組合せパターン44が配置されることから、第1大格子24Aや第2大格子24Bとの間に、空白(幅が小格子26の辺の長さに相当し、長さが第1大格子24Aや第2大格子24Bの辺の長さに相当する空白)が配置されるということがなくなり、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの境界が目立つということがなくなる。
【0039】
しかも、積層ずれがあったとしても、図7に示すように、組合せパターン44において、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さを有する第1補助線36Aと第2補助線36Bとが一部重なった形態となり、その重なった部分の長さは、第1大格子24Aや第2大格子24Bの各辺の長さと比較して非常に短く、1/20以下の短さである。従って、第1補助線36Aと第2補助線36Bとが一部重なる部分が目立つということはなく、視認性の劣化はほとんどない。これは、第1L字状パターン38Aと第2L字状パターン38Bとの組合せにおいても同様であり、図9でも示すように、一方の第2L字状パターン38B及び2つの第1L字状パターン38Aにおいても、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さを有する第1補助線36Aと第2補助線36Bとが一部重なった形態となり、その重なった部分の長さは、第1大格子24Aや第2大格子24Bの各辺の長さと比較して非常に短く、1/20以下の短さである。従って、第1補助線36Aと第2補助線36Bとが一部重なる部分が目立つということはなく、視認性の劣化はほとんどない。
【0040】
また、第1大格子24Aと第2大格子24Bの各辺では、第1補助線36Aや第2補助線36Bが直交して重なることになるが、第1補助線36Aや第2補助線36Bの軸線方向の長さは、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さであるから、ほとんど目立つことがない。
【0041】
また、第1接続部28Aの中格子30と第2接続部28Bの中格子30とが直交して重なることになるが、この場合、第1導電部16A及び第2導電部16Bが第3方向と第4方向にずれていることから、一部において、小格子26の形状が均一にならない部分が生じる。しかし、小格子26が不均一となった部分の数は、第1接続部28Aの中格子30と第2接続部28Bの中格子30とが直交して重なる部分の四方に存在する第1大格子24Aの小格子26の数、第2大格子24Bの小格子26の数に比して少ないことから(5%程度)、小格子26の不均一さはほとんど目立たない。しかも、第1大格子24A及び第2大格子24Bに中格子30に隣接して第1欠除部32A及び第2欠除部32Bを形成するようにしたので、中格子30の直線部分が第1大格子24Aの直線部分や第2大格子24Bの直線部分と重なることがなく、視認性の劣化はほとんどない。
【0042】
そして、このタッチパネル用導電シート10をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電シート12A上に保護層を形成し、第1導電シート12Aの多数の第1透明導電パターン18Aから導出された第1外部配線42Aと、第2導電シート12Bの多数の第2透明導電パターン18Bから導出された第2外部配線42Bとを、例えばスキャンをコントロールするIC回路に接続する。このとき、タッチパネル用導電シート10のうち、液晶表示装置の表示画面から外れた外周領域(額縁領域)の面積が極力小さくなるように、第1透明導電パターン18Aと第1外部配線42Aとの各接続部が直線状に配列された形態にし、第2透明導電パターン18Bと第2外部配線42Bとの各接続部が直線状に配列された形態にすることが好ましい。
【0043】
指先を保護層上に接触させることで、指先に対向する第1透明導電パターン18Aと第2透明導電パターン18B間の静電容量が変化する。IC回路では、この変化量を検出し、この変化量に基づいて指先の位置を演算する。この演算をそれぞれの第1透明導電パターン18A/第2透明導電パターン18B間にて行う。従って、同時に2つ以上の指先を接触させても、各指先の位置を検出することが可能となる。
【0044】
このように、タッチパネル用導電シート10においては、該タッチパネル用導電シート10を用いて例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに適用した場合に、その表面抵抗が小さいことから応答速度を速めることができ、タッチパネルの大サイズ化を促進させることができる。
【0045】
しかも、第1導電部16Aと第2導電部16Bとがずれて配置されていても、上述したように、第1導電シート12Aの第1大格子24Aと第2導電シート12Bの第2大格子24Bとの境界が目立たなくなり、局部的に線太りが生じる等の不都合もなく、全体として、視認性が良好となる。さらに、第1大格子24Aと第2大格子24Bとが隣接して配置されることによる多数の規則的な小格子26の配列と、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの間に形成される第1補助線36Aと第2補助線36Bとのずれた配置による上述の小格子26の配列とは異なった配列が混在し、これにより、多数の空間周波数が合わさった形態となり、その結果、液晶表示装置の画素配列との干渉が抑制され、モアレの発生を効果的に低減させることができる。
【0046】
次に第2の実施の形態について、図10〜図14を参照しながら説明する。第2の実施の形態に係るタッチパネル用の導電シート(以下、タッチパネル用導電シート50と記す)は、図10に示すように第1導電シート52Aと第2導電シート52Bとが積層されて構成されている。
第1導電シート52Aは、図10、図11A及び図12に示すように、第1透明基体54A(図11A参照)の一主面上に形成された第1導電部56Aを有する。この第1導電部56Aは、それぞれ第1方向(x方向)に延在し、且つ、第1方向と直交する第2方向(y方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線55による2以上の第1透明導電パターン64Aと、各第1透明導電パターン64Aの周辺に配列された金属細線55による第1補助パターン66Aとを有する。小格子74は、ここでは一番小さいひし形とされている。小格子の頂角は60°〜120°から適宜選択することができる。
【0047】
各第1透明導電パターン64Aは、2以上の第1大格子68A(第1感知部)が第1方向(x方向)に直列に接続されて構成され、各第1大格子68Aは、それぞれ2以上の小格子74が組み合わされて構成されている。また、第1大格子68Aの辺の周囲に、第1大格子68Aと非接続とされた上述の第1補助パターン66Aが形成されている。
【0048】
第1大格子68Aは、略ひし形状であるが、より詳細には、第1方向の頂角の小格子74が欠除したソロバン珠形状を有している。すなわち、第1方向の2つの頂角部には、それぞれ第2方向にr個(rは1より大きい整数)の小格子74が並んだ第1上底部76Aが形成され、第2方向の2つの頂角部には、1つの小格子74が位置して、それ自体が頂角をなしている。図12では、第1大格子68Aの第1方向の2つの頂角部に、それぞれ第2方向に4個の小格子74が並び、第1上底部76Aを構成している。
【0049】
第1大格子68Aの各斜辺には、小格子74を構成する辺が一部突出した突出辺部78、段差80が設けられている。また、各斜辺と第1補助パターン66Aとの間には、第1大格子68Aと第1補助パターン66Aとを非接続とするための第1帯状空隙82Aが設けられている。この第1帯状空隙82Aは、第1大格子68Aの第2方向の頂角部から第1上底部76Aに向かって、第1傾斜方向(k方向)又は第2傾斜方向(l方向)に沿って配列した小格子74を斜めに切り取るようにして直線的に配置される。この場合、第1帯状空隙82Aは、第1傾斜方向又は第2傾斜方向に沿って配列したs個(sは1より大きい整数)の小格子74からなる平行四辺形の対角線に沿って配置される。図12の例では、第1傾斜方向又は第2傾斜方向に沿って配列した4個の小格子74からなる平行四辺形の対角線に沿って第1帯状空隙82Aが配置されている。その結果、段差80と段差80との間隔は小格子4個分であり、段差80と段差80の間にある3本の突出辺部78の長さは、それぞれ小格子74の一辺の長さの1/4、1/2、3/4となっている。このように、第1帯状空隙82Aの配置によって、第1大格子68Aの斜辺の角度が調整される。
【0050】
第1帯状空隙82Aの第1又は第2傾斜方向の幅は、小格子74の一辺の長さよりも小さく、例えば小格子74の一辺の長さの1/5以上、好ましくは1/2以上とすることができる。この場合、後述する第1補助パターン66Aの第1又は第2傾斜方向の幅は、小格子74の一辺の長さから、第1帯状空隙82Aの第1又は第2傾斜方向の幅を差し引いた大きさとすることができる。例えば、第1帯状空隙82Aの幅が、小格子74の一辺の長さの1/5や1/2であれば、第1補助パターン66Aの幅は、小格子74の一辺の長さの4/5や1/2となる。
【0051】
さらに、第1大格子68Aの第1方向の2つの第1上底部76Aと、第1傾斜方向の斜辺とが隣接する部分には、小格子74の一辺が欠除した第1欠除部90Aが設けられている。
【0052】
図12に示すように、第1方向に隣接する第1大格子68A間には、これら第1大格子68Aを接続する金属細線55による第1接続部84Aが形成されている。第1接続部84Aは、n個(nは1より大きい整数)の小格子74が第2傾斜方向に配列された大きさの第1中格子86Aと、小格子74が第2傾斜方向にp個(pは1より大きい整数)、第1傾斜方向にq個(qは1より大きい整数)の小格子74がp×qで配列された大きさの第1中格子88Aによって構成されている。図12の例では、第1中格子86Aは、nが7であり、7個分の小格子74が第2傾斜方向に配列された大きさを有し、第1中格子88Aは、第2傾斜方向のpが3、第1傾斜方向のqが5であり、合計15個分の小格子74が配列された大きさを有する。
【0053】
また、第1中格子88Aと第1大格子68Aとが隣接する部分には、上記した小格子74の1つの辺が欠除した第1欠除部90Aが位置している。
【0054】
さらに、第1方向に隣接する第1透明導電パターン64A間は、それぞれの第1大格子68Aを互いに非接続とする第1非接続部92Aが配されている。
【0055】
第1導電部56Aには、第1大格子68Aの辺の周囲に、第1大格子68Aと非接続とされた上述の第1補助パターン66Aが形成されている。ここで、第1補助パターン66Aは、第1大格子68Aの斜辺のうち、第1傾斜方向に沿って配列された小格子74を斜めに切り取った第1帯状空隙82Aの長手方向に沿って配列された複数の第1補助短線94A(第2傾斜方向を軸線方向とする)、第1補助長線96A(第1傾斜方向を軸線方向とする)と、第1大格子68Aの斜辺のうち、第2傾斜方向に沿って配列された小格子74を斜めに切り取った第1帯状空隙82Aの長手方向に沿って配列された複数の第1補助短線94A(第1傾斜方向を軸線方向とする)、と第1補助長線96A(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、第1非接続部92Aにおいて、それぞれ2つの第1補助短線94AがL字状に組み合わされた2つの第1L字状パターン98Aが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
【0056】
各第1補助短線94Aの軸線方向の長さは、小格子74の内周に沿った1つの辺の4/5以下、好ましくは1/2以下の長さを有する。また、各第1補助短線94Aは、第1大格子68Aから所定距離だけ離間した位置に形成されている。所定距離は、小格子74の内周に沿った1つの辺の長さから第1補助短線94Aの軸線方向の長さを差し引いた長さである。例えば第1補助短線94Aの軸線方向の長さが、小格子74の内周に沿った1つの辺の4/5や1/2であれば、前記所定距離は、小格子74の内周に沿った1つの辺の1/5や1/2となる。
【0057】
図12の例では、第1補助短線94Aの長さは、小格子74の一辺の長さの1/2である。この場合、上述したように第1補助短線94Aの長さは、第1帯状空隙82Aの第1又は第2傾斜方向の幅に等しくなっている。また、第1補助長線96Aは、小格子74の一辺の長さに対して、s/2倍の長さを有する。上述の通り、図12の例では、sが4であるから、第1補助長線96Aの長さは小格子74の一辺の長さの2倍である。第1補助長線96Aは、向かい合う小格子74の平行な一辺に対して、小格子74において対向する二辺と等間隔で配されている。なお、図12では、3本の第1補助短線94Aと1本の第1補助長線96Aとが交わることによって第1Z字状パターン100Aを形成している。
【0058】
第1大格子68Aの一辺の長さは、第1帯状空隙82Aに隣接する第2方向の頂角部から第1上底部76Aまでの距離、すなわち、同じく第1帯状空隙82Aに隣接し、第1補助パターン66Aを構成する頂角部側の第1補助短線94Aから第1上底部76A側の第1補助短線94Aまでの距離に該当する。その場合、第1大格子68Aの一辺の長さ、すなわち、第2方向の頂角部から第1上底部76Aまでの距離は、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、第1導電シート52Aを例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1大格子68Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子68Aを構成する小格子74の一辺の長さは、上述したように、50μm以上であることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子74が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置30の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0059】
上述のように構成された第1導電シート52Aは、図10に示すように、各第1透明導電パターン64Aの一方の端部側に存在する第1大格子68Aの開放端は、第1接続部84Aが存在しない形状となっている。各第1透明導電パターン64Aの他方の端部側に存在する第1大格子68Aの端部は、第1端子40Aを介して第1外部配線42Aに接続されている。
【0060】
一方、第2導電シート52Bは、図10、図11A及び図13に示すように、第2透明基体54B(図11A参照)の一主面上に形成された第2導電部56Bを有する。この第2導電部56Bは、それぞれ第2方向(y方向)に延在し、且つ、第1方向(x方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線55による2以上の第2透明導電パターン64Bと、各第2透明導電パターン64Bの周辺に配列された金属細線55による第2補助パターン66Bとを有する。
【0061】
各第2透明導電パターン64Bは、2以上の第2大格子68B(第2感知部)が第2方向(y方向)に直列に接続されて構成され、各第2大格子68Bは、それぞれ2以上の小格子74が組み合わされて構成されている。また、第2大格子68Bの辺の周囲に、第2大格子68Bと非接続とされた上述の第2補助パターン66Bが形成されている。
【0062】
第2大格子68Bは、略ひし形状であるが、より詳細には、第2方向の頂角の小格子74が欠除したソロバン珠形状を有している。すなわち、第2方向の2つの頂角部には、それぞれ第1方向にr個(rは1より大きい整数)の小格子74が並んだ第2上底部76Bが形成され、第1方向の2つの頂角部には、1つの小格子74が位置して、それ自体が頂角をなしている。図13では、第2大格子68Bの第2方向の2つの頂角部に、それぞれ第1方向に4個の小格子74が並び、第2上底部76Bを構成している。
【0063】
第2大格子68Bの各斜辺には、小格子74を構成する辺が一部突出した突出辺部78、段差80が設けられている。また、各斜辺と第2補助パターン66Bとの間には、第2大格子68Bと第2補助パターン66Bとを非接続とするための第2帯状空隙82Bが設けられている。この第2帯状空隙82Bは、第2大格子68Bの第1方向の頂角部から第2上底部76Bに向かって、第1傾斜方向又は第2傾斜方向に沿って配列した小格子74を斜めに切り取るようにして直線的に配置される。この場合、第2帯状空隙82Bは、第1傾斜方向又は第2傾斜方向に沿って配列したs個(sは1より大きい整数)の小格子74からなる平行四辺形の対角線に沿って配置される。図13の例では、第1傾斜方向又は第2傾斜方向に沿って配列した4個の小格子74からなる平行四辺形の対角線に沿って第2帯状空隙82Bが配置されている。その結果、段差80と段差80との間隔は小格子4個分であり、段差80と段差80の間にある3本の突出辺部78の長さは、それぞれ小格子74の一辺の長さの1/4、1/2、3/4となっている。このように、第2帯状空隙82Bの配置によって、第2大格子68Bの斜辺の角度が調整される。
【0064】
第2帯状空隙82Bの第1又は第2傾斜方向の幅は、小格子74の一辺の長さよりも小さく、例えば小格子74の一辺の長さの1/5以上、好ましくは1/2以上とすることができる。この場合、後述する第2補助パターン66Bの第1又は第2傾斜方向の幅は、小格子74の一辺の長さから、第2帯状空隙82Bの第1又は第2傾斜方向の幅を差し引いた大きさとすることができる。例えば、第2帯状空隙82Bの幅が、小格子74の一辺の長さの1/5や1/2であれば、第1補助パターン66Bの幅は、小格子74の一辺の長さの4/5や1/2となる。
【0065】
さらに、第2大格子68Bの第2方向の2つの第2上底部76Bと、第2傾斜方向の斜辺とが隣接する部分には、小格子74の一辺が欠除した第2欠除部90Bが設けられている。
【0066】
図13に示すように、第2方向に隣接する第2大格子68B間には、これら第2大格子68Bを接続する金属細線55による第2接続部84Bが形成されている。第2接続部84Bは、n個(nは1より大きい整数)の小格子74が第1傾斜方向に配列された大きさの第2中格子86Bと、小格子74が第1傾斜方向にp個(pは1より大きい整数)、第2傾斜方向にq個(qは1より大きい整数)の小格子74がp×qで配列された大きさの第2中格子88Bによって構成されている。図13の例では、第2中格子86Bは、nが7であり、7個分の小格子74が第1傾斜方向に配列された大きさを有し、第2中格子88Bは、第1傾斜方向のpが3、第2傾斜方向のqが5であり、合計15個分の小格子74が配列された大きさを有する。
【0067】
また、第2中格子88Bと第2大格子68Bとが隣接する部分には、上記した小格子74の1つの辺が欠除した第2欠除部90Bが位置している。
【0068】
さらに、第1方向に隣接する第2透明導電パターン64B間は、それぞれの第2大格子68Bを互いに非接続とする第2非接続部92Bが配されている。
【0069】
第2導電部56Bには、第2大格子68Bの辺の周囲に、第2大格子68Bと非接続とされた上述の第2補助パターン66Bが形成されている。ここで、第2補助パターン66Bは、第2大格子68Bの斜辺のうち、第1傾斜方向に沿って配列された小格子74を斜めに切り取った第2帯状空隙82Bの長手方向に沿って配列された複数の第2補助短線94B(第2傾斜方向を軸線方向とする)、第2補助長線96B(第1傾斜方向を軸線方向とする)と、第2大格子68Bの斜辺のうち、第2傾斜方向に沿って配列された小格子74を斜めに切り取った第2帯状空隙82Bの長手方向に沿って配列された複数の第2補助短線94B(第1傾斜方向を軸線方向とする)、と第2補助長線96B(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、第2非接続部92Aにおいて、それぞれ2つの第2補助短線94BがL字状に組み合わされた2つの第2L字状パターン98Bが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
【0070】
各第2補助短線94Bの軸線方向の長さは、上述した第1補助短線94Aと同様に、小格子74の内周に沿った1つの辺の4/5以下、好ましくは1/2以下の長さを有する。また、各第2補助短線94Bは、第2大格子68Bから所定距離だけ離間した位置に形成されている。この所定距離についても、上述した第1補助短線94Aと同様に、小格子74の内周に沿った1つの辺の長さから第2補助短線94Bの軸線方向の長さを差し引いた長さである。例えば第2補助短線94Bの軸線方向の長さが、小格子74の内周に沿った1つの辺の4/5や1/2であれば、前記所定距離は、小格子74の内周に沿った1つの辺の1/5や1/2となる。
【0071】
図13の例では、第2補助短線94Bの長さは、小格子74の一辺の長さの1/2である。この場合、上述したように第2補助短線94Bの長さは、第2帯状空隙82Bの第1又は第2傾斜方向の幅に等しくなっている。また、第2補助長線96Bは、小格子74の一辺の長さに対して、s/2倍の長さを有する。上述の通り、図13の例では、sが4であるから、第2補助長線96Bの長さは小格子74の一辺の長さの2倍である。第2補助長線96Bは、向かい合う小格子74の平行な一辺に対して、小格子74において対向する二辺と等間隔で配されている。なお、図13では、3本の第2補助短線94Bと1本の第2補助長線96Bとが交わることによって第2Z字状パターン100Bを形成している。なお、図13の例では、第2L字状パターン98Bは、第2Z字状パターン100Bと連結された形態を有している。
【0072】
第2大格子68Bの一辺の長さは、第2帯状空隙82Bに隣接する第1方向の頂角部から第2上底部76Bまでの距離、すなわち、同じく第2帯状空隙82Bに隣接し、第2補助パターン66Bを構成する頂角部側の第2補助短線94Bから第2上底部76B側の第2補助短線94Bまでの距離に該当する。その場合、第2大格子68Bの一辺の長さ、すなわち、第1方向の頂角部から第2上底部76Bまでの距離は、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、第2導電シート52Bを例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第2大格子68Bの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第2大格子68Bを構成する小格子74の一辺の長さは、上述したように、50μm以上であることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子74が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置30の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0073】
上述のように構成された第2導電シート52Bは、図10に示すように、第2透明導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端は、第2接続部84Bが存在しない形状となっている。各第2透明導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部は、第2端子40Bを介して第2外部配線42Bに接続されている。
【0074】
また、第1透明導電パターン64A(第1大格子68A、接続部84A)の線幅、並びに第2透明導電パターン64B(第2大格子68B、接続部84B)の線幅は、それぞれの線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は30μm以下、15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると金属細線55に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、金属細線55による導電パターンのモアレが改善され、視認性が特によくなる。また、少なくとも第1透明基体54Aの厚みは75μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下となっている。
【0075】
第1補助パターン66A(第1補助短線94A、第1補助長線96A)及び第2補助パターン66B(第2補助短線94B、第1補助長線96A)の線幅は、それぞれ下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は30μm以下、15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。この場合、第1透明導電パターン64Aの線幅や第2透明導電パターン64Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1透明導電パターン64A、第2透明導電パターン64B、第1補助パターン66A及び第2補助パターン66Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
【0076】
そして、例えば第2導電シート52B上に第1導電シート52Aを積層してタッチパネル用導電シート50としたとき、図10に示すように、第1透明導電パターン64Aと第2透明導電パターン64Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1透明導電パターン64Aの第1接続部84Aと第2透明導電パターン64Bの第2接続部84Bとが第1透明基体54A(図11A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部56Aの第1非接続部92Aと第2導電部56Bの第2非接続部92Bとが第1透明基体54Aを間に挟んで対向した形態となる。
【0077】
タッチパネル用導電シート50を上面から見たとき、図14に示すように、第1導電シート52Aに形成された第1大格子68Aの隙間を埋めるように、第2導電シート52Bの第2大格子68Bが配列された形態となる。
【0078】
このとき、第1接続部84Aと第2接続部84Bとが対向すること、すなわち、第1中格子86Aと第2中格子86Bとが対向し、第1中格子88Aと第2中格子88Bとが対向することにより、略長方形状の組合せパターン102が形成される。この組合せパターン102において、第1中格子86Aと第2中格子86Bとは対角線上に配置される。図12と図13で示す第1接続部84Aと第2接続部84Bとによって形成される組合せパターン102は、対角線上に小格子74が7個、4辺に小格子74が4個ずつ並んだ合計25個の小格子74から構成される。なお、組合せパターン102の頂角に位置する第1中格子86Aの小格子74の1辺は、第2大格子68Bおける第1欠除部90Aの欠除した1辺を補い、第2中格子86Bの小格子74の1辺は、第1大格子68Aおける第1欠除部90Aの欠除した1辺を補う。
【0079】
さらに、第1大格子68Aと第2大格子68Bとの間に、第1補助パターン66Aと第2補助パターン66Bとが対向することによる組合せパターン104が形成される。より正確には、第1補助パターン66Aは、第2帯状空隙82Bに対向し、と第2補助パターン66Bは、第1帯状空隙82Aに対向する。組合せパターン104は、第1の実施の形態における図6に示した例と同様に、第1補助短線94Aの第1軸線と第2補助短線94Bの第2軸線とが一致し、且つ、第1補助短線94Aと第2補助短線94Bとが重ならず、且つ、第1補助短線94Aの一端と第2補助短線94Bの一端とが一致し、これにより、小格子74(メッシュ形状)の1つの辺を構成することとなる。また、このとき、突出辺部78の先端と、第1補助短線94A、又は第2補助短線94Bの他端とが、一致することによっても、小格子74の1つの辺を構成する。
【0080】
なお、この関係は、第1補助長線96Aと第2補助長線96Bについても同様であり、第1補助長線96Aの第1軸線と第2補助長線96Bの第2軸線とが一致し、且つ、第1補助長線96Aと第2補助長線96Bとが重ならず、且つ、第1補助長線96Aの一端と第2補助長線96Bの一端とが一致し、これにより、小格子74の複数の辺を構成することとなる。
【0081】
つまり、組合せパターン102と、104とは、2以上の小格子74(メッシュ形状)が組み合わされた形態となる。その結果、タッチパネル用導電シート50を上面から見たとき、図14に示すように、多数の小格子74(メッシュ形状)が敷き詰められた形態となる。なお、このように第1補助短線94Aと第2補助短線94Bとによって小格子74の1つ辺を構成する位置が、第2の実施の形態における基準位置となる。
【0082】
本実施の形態に係るタッチパネル用導電シート50では、第1大格子68A、第2大格子68Bにおける各斜辺に配列された小格子74を斜めに切り取る第1帯状空隙82A、第2帯状空隙82Bを有し、それぞれの空隙を埋める第2補助パターン66B、第1補助パターン66Aを有する構成により、より一層第1大格子68Aと第2大格子68Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。また、第1帯状空隙82Aと第2帯状空隙82Bを設けることにより、パターンの重なりによって生じる寄生容量の増加を効果的に防ぐことができる。
【0083】
本実施の形態においても積層ずれが所定の範囲であれば、第1の実施の形態と同様に、視認性の低下をもたらすことがないことは勿論である。また、視認性の低下をきたさない積層ずれの形態や範囲は、上記した第1の実施の形態における図8A〜図8Cの位置関係とほぼ同様である。すなわち、第1導電部56Aと第2導電部56Bは、基準位置から少なくとも第1傾斜方向に第1補助短線94Aの線幅Wa及び第2補助短線94Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子74の配列ピッチの1/2以下)だけずれて配置されても視認性の低下をきたさない。特に、第2の実施の形態では、第1傾斜方向及び第2傾斜方向にそれぞれ第1補助短線94Aの線幅Wa及び第2補助短線94Bの線幅Wbのうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上100μm以下(あるいは小格子74の配列ピッチの1/2以下)だけずれて配置されても視認性の低下をきたさない。
【0084】
なお、第2の実施の形態における組合せパターン104のうち、第1非接続部92Aに配置される2つの第1L字状パターン98Aと、第2非接続部92Bに配置される2つの第2L字状パターン98Bとの位置関係は、第1の実施の形態における図9と同様である。この場合、視認性の低下をきたさない積層ずれの形態や範囲は、第1の実施の形態における図8A〜図8Cの位置関係と同様である。
【0085】
このタッチパネル用導電シート50をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電シート52A上に保護層を形成し、第1導電シート52Aの多数の第1透明導電パターン64Aから導出された第1外部配線42Aと、第2導電シート52Bの多数の第2透明導電パターン64Bから導出された第2外部配線42Bとを、例えばスキャンをコントロールするIC回路に接続する。
【0086】
なお、上述の第1の実施の形態に係るタッチパネル用導電シート10では、小格子26の形状を正方形状とし、また、第2の実施の形態に係るタッチパネル用導電シート50では、小格子74の形状をひし形状としたが、その他、多角形状としてもよい。また、一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
【0087】
また、上述した第1の実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおいては、第1接続部28A及び第2接続部28Bを構成する中格子30の大きさを、3個分の小格子26の大きさに設定し、また、第2の実施の形態に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bにおいては、第1接続部84A及び第2接続部84Bを構成する中格子86A、86B、88A、88Bの大きさを、それぞれ7個、15個の小格子74の大きさに設定したが、中格子の大きさは、1.5個、2個分、2.5個分等の3個分以下、或いは20個分等の15個分以上等、種々の組合せに設定することができる。ただし、中格子30、86A、86B、88A、88Bは、あまりに大きすぎると、第1大格子24A、68Aや第2大格子24B、68Bの配置が難しくなり、検出してはいけない交差部での静電容量変化が大きくなるため、最大で20個分、より好ましくは、最大で15個分の小格子26、74の大きさであることが好ましい。
【0088】
さらに、小格子26、74のサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1大格子24A、68Aを構成する小格子26、74の個数、第2大格子24B、68Aを構成する小格子26、74の個数も、適用されるタッチパネルのサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0089】
上述のタッチパネル用導電シート10、50では、図1、図2A、図10、図11Aに示すように、例えば、第1の実施の形態では、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第2透明基体14Bの一主面に第2導電部16Bを形成して、積層するようにしたが、その他、図2B、図11Bに示すように、例えば、第1の実施の形態では、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。また、第1導電シート12A、52Aと第2導電シート12B、52Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1透明導電パターン18A、64Aと第2透明導電パターン18B、64Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0090】
次に、第1導電シート12A、52Aや第2導電シート12B、52Bを製造する方法について、第1の実施の形態を例に挙げて説明する。なお、第2の実施の形態においても、同様の方法を適用できることは勿論である。
【0091】
第1導電シート12Aや第2導電シート12Bを製造する場合は、例えば第1透明基体14A上及び第2透明基体14B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0092】
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
【0093】
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
【0094】
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電部16A及び第2導電部16Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
【0095】
次に、本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおいて、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
【0096】
本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0097】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0098】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0099】
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0100】
ここで、本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[第1透明基体14A、第2透明基体14B]
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。タッチパネル用導電シート10に使用される第1導電シート12A及び第2導電シート12Bのような透明導電シートは透明性が要求されるため、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの透明度は高いことが好ましい。
【0101】
[銀塩乳剤層]
第1導電シート12Aの第1導電部16A(第1大格子24A、第1接続部28A、第1補助パターン20A等)及び第2導電シート12Bの第2導電部16B(第2大格子24B、第2接続部28B、第2補助パターン20B等)となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m2が好ましく、1〜25g/m2がより好ましく、5〜20g/m2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、タッチパネル用導電シート10とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有するタッチパネル用導電シートを得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0102】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0103】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
【0104】
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0105】
次に、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、第1導電部16A及び第2導電部16Bを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1導電部16A及び第2導電部16Bを露光と現像等によって形成する。すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0106】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
以上の工程を経て導電シートは得られるが、得られた導電シートの表面抵抗は100オーム/sq.以下が好ましく、0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましく、1〜50オーム/sq.の範囲がさらに好ましく、1〜10オーム/sq.の範囲にあることがより好ましい。このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の導電シートに対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0107】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0108】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0109】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部の線幅は、1μm以上30μm以下がよいが、1μm以上15μm以下が好ましい。さらに好ましくは5μm以上10μm以下、最も好ましくは5μm以上9μm以下である。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。線間隔は30μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上400μm以下、最も好ましくは100μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は30μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率(透過率)は80%以上であることが好ましく、83%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが最も好ましい。開口率とは、第1導電部及び第2導電部の導電部分を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状の開口率は、85%である。
【0110】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bのうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上であり、最も好ましくは85%以上である。
【0111】
[第1導電シート12A及び第2導電シート12B]
本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおける第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられる金属銀部の厚さは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
導電性金属部の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する第1導電シート12A及び第2導電シート12Bであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る第1導電シート12Aや第2導電シート12Bの製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る第1導電シート12Aや第2導電シート12Bの製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0112】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号公報に記載のものを挙げることができる。
【0113】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
上述の例では、第1透明導電パターン18Aを、2以上の第1大格子24Aを第1方向に直列に接続して構成し、第2透明導電パターン18Bを、2以上の第2大格子24Bを第2方向に直列に接続して構成した例を示したが、その他、第1透明導電パターン18Aを、ITO(酸化インジウムスズ)膜による例えばひし形状の2以上の透明電極を第1方向に直列に接続して構成し、第2透明導電パターン18Bを、ITO膜による例えばひし形状の2以上の透明電極を第2方向に直列に接続して構成してもよい。
この場合も、ITO膜による透明電極が隣接して配置されることによる多数の規則的な透明電極の配列と、透明電極間に形成される第1補助線36Aと第2補助線36Bとのずれた配置による上述の透明電極の配列とは異なった配列が混在し、これにより、多数の空間周波数が合わさった形態となり、その結果、液晶表示装置の画素配列との干渉が抑制され、モアレの発生を効果的に低減させることができる。
また、導電シートには、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
【実施例】
【0117】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0118】
[第1実施例]
この第1実施例では、実施例1〜8に係る導電シートについて、表面抵抗及び透過率を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例1〜8の内訳並びに測定結果及び評価結果を表3に示す。
<実施例1〜8>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/m2となるように第1透明基体14A及び第2透明基体14B(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0119】
(露光)
露光のパターンは、タッチパネル用導電シート10の第1導電シート12Aについては図1及び図3に示すパターンで、第2導電シート12Bについては図1及び図4に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体14A及び第2透明基体14Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0120】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0121】
(実施例1)
作製した第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの導電部(第1透明導電パターン18A、第2透明導電パターン18B)の線幅は1μm、小格子26の一辺の長さは50μm、大格子(第1大格子24A及び第2大格子24B)の一辺の長さは3mmであった。
(実施例2)
導電部の線幅を5μm、小格子26の一辺の長さを100μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
(実施例3)
導電部の線幅を7μm、小格子26の一辺の長さを150μm、大格子の一辺の長さを5mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
(実施例4)
導電部の線幅を8μm、小格子26の一辺の長さを150μm、大格子の一辺の長さを5mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
(実施例5)
導電部の線幅を9μm、小格子26の一辺の長さを150μm、大格子の一辺の長さを6mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
(実施例6)
導電部の線幅を10μm、小格子26の一辺の長さを300μm、大格子の一辺の長さを6mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
(実施例7)
導電部の線幅を15μm、小格子26の一辺の長さを400μm、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
(実施例8)
導電部の線幅を30μm、小格子26の一辺の長さを500μm、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る第1導電シート及び第2導電シートを作製した。
【0122】
〔評価〕
(表面抵抗測定)
検出精度の良否を確認するために、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
(透過率の測定)
透明性の良否を確認するために、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを分光光度計を用いて透過率を測定した。
(モアレの評価)
実施例1〜8について、第2導電シート12B上に第1導電シート12Aを積層してタッチパネル用導電シートを作製し、その後、液晶表示装置の表示画面にタッチパネル用導電シートを貼り付けてタッチパネルを構成した。その後、タッチパネルを回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−20°〜+20°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、液晶表示装置の表示画面から観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。
(視認性の評価)
上述のモアレの評価に先立って、タッチパネルを回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうか、また、タッチパネルの第1大格子24A及び第2大格子24Bの境界が目立つかどうかを肉眼で確認した。
【0123】
【表3】

【0124】
実施例1〜8のうち、実施例2〜8は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例1は導電性の点で実施例2〜6よりも劣っているが、50オーム/sq.であるため、検出感度上、問題はない。実施例7及び8はモアレの評価が実施例1〜6よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られる程度であるため、表示装置の表示画像が見え難くなるということはない。
【0125】
[第2実施例]
実施例11〜25に係るタッチパネル用導電シートについて、視認性を評価した。実施例11〜25の内訳並びに評価結果を表4に示す。
(実施例11)
上述した第1実施例に示す第2導電シート12B上に第1導電シート12Aを積層して、実施例11に係るタッチパネル用導電シートを作製した。この実施例11では、後述する表4にも示すように、導電部(第1透明導電パターン18A、第2透明導電パターン18B)の線幅が5μm、小格子26の一辺の長さが50μm、大格子(第1大格子24A及び第2大格子24B)の一辺の長さが3mmで(第1実施例の実施例2と同じ)、第1補助線36Aの軸線方向(第3方向)及び第2補助線36Bの軸線方向(第4方向)へのずれ量(以下、ずれ量と記す)が2.5μmである。
(実施例12、13)
実施例12及び13は、それぞれ導電部の線幅を8μm、小格子26の一辺の長さを150μm、大格子の一辺の長さを5mmとし、ずれ量を25μm及び75μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
(実施例14〜16)
実施例14、15及び16は、それぞれ導電部の線幅を8μm、小格子26の一辺の長さを250μm、大格子の一辺の長さを5mmとし、ずれ量を25μm、75μm及び125μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
(実施例17〜20)
実施例17、18、19及び20は、それぞれ導電部の線幅を10μm、小格子26の一辺の長さを300μm、大格子の一辺の長さを6mmとし、ずれ量を25μm、75μm、125μm及び150μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
(実施例21〜25)
実施例21、22、23、24及び25は、それぞれ導電部の線幅を15μm、小格子26の一辺の長さを500μm、大格子の一辺の長さを10mmとし、ずれ量を25μm、75μm、125μm、150μm及び250μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
【0126】
〔評価〕
(視認性の評価)
実施例11〜25について、液晶表示装置の表示画面にタッチパネル用導電シートを貼り付けてタッチパネルを構成した。その後、液晶表示装置を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうかを肉眼で確認した。
【0127】
【表4】

【0128】
表4からわかるように、実施例11〜25は全体的に視認性の評価が良好であった。つまり、ずれ量が最大で小格子26の一辺の長さの1/2であることから、第1大格子24Aの直線部分と第2大格子24Bの直線部分とが重なることがなく視認性の低下はなかった。
【0129】
[第3実施例]
この第3実施例では、実施例26〜33に係る導電シートについて、表面抵抗及び透過率を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例26〜33の内訳並びに測定結果及び評価結果を表5に示す。
<実施例26〜33>
タッチパネル用導電シート50の第1導電シート52Aについては図10及び図12に示すパターンで、第2導電シート52Bについては図10及び図13に示すパターンで露光を行った点以外は、上記した第1実施例と同様にして導電シートを作製し、評価した。なお、モアレの評価は、バイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
【0130】
(実施例26)
作製した第1導電シート52A及び第2導電シート52Bの導電部(第1導電パターン68A、第2導電パターン68B)の線幅は1μm、小格子74の一辺の長さは50μm、大格子(第1大格子68A及び第2大格子68B)の一辺の長さは3mmであった。
(実施例27)
導電部の線幅を5μmとし、小格子74の一辺の長さを100μmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例27に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
(実施例28)
導電部の線幅を7μmとし、小格子74の一辺の長さを150μmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例28に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
(実施例29)
導電部の線幅を8μmとし、小格子74の一辺の長さを210μmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例29に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
(実施例30)
導電部の線幅を9μmとし、小格子74の一辺の長さを250μm、大格子の一辺の長さを6mmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例30に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
(実施例31)
導電部の線幅を10μmとし、小格子74の一辺の長さを300μm、大格子の一辺の長さを6mmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例31に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
(実施例32)
導電部の線幅を15μmとし、小格子74の一辺の長さを400μm、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例32に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
(実施例33)
導電部の線幅を30μmとし、小格子74の一辺の長さを500μm、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例26と同様にして、実施例33に係る第1導電シート52A及び第2導電シート52Bを作製した。
【0131】
【表5】

【0132】
実施例26〜32は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例33はモアレの評価が実施例26〜32よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られ、表示装置の表示画面が若干見え難い程度であった。
【0133】
[第4実施例]
実施例34〜48に係るタッチパネル用導電シートについて、視認性を評価した。実施例34〜48の内訳並びに評価結果を表6に示す。
(実施例34)
上述した第3実施例に示す第2導電シート52B上に第1導電シート52Aを積層して、実施例34に係るタッチパネル用導電シートを作製した。この実施例34では、後述する表6にも示すように、導電部(第1透明導電パターン64A、第2透明導電パターン64B)の線幅が5μm、小格子74の一辺の長さが50μm、大格子(第1大格子68A及び第2大格子68B)の一辺の長さを3mmとし、第1補助短線94Aの軸線方向(第1傾斜方向)及び第2補助短線94Bの軸線方向(第2傾斜方向)へのずれ量が2.5μmである。
(実施例35、36)
実施例35及び36は、それぞれ導電部の線幅を8μm、小格子74の一辺の長さを150μmとし、大格子の一辺の長さを5mmとし、ずれ量を25μm及び75μmとした点以外は、上述した実施例34と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
(実施例37〜39)
実施例37、38及び39は、それぞれ導電部の線幅を8μm、小格子74の一辺の長さを250μmとし、大格子の一辺の長さを5mmとし、ずれ量を25μm、75μm及び125μmとした点以外は、上述した実施例34と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
(実施例40〜43)
実施例40、41、42及び43は、それぞれ導電部の線幅を10μm、小格子74の一辺の長さを300μmとし、大格子の一辺の長さを6mmとし、ずれ量を25μm、75μm、125μm及び150μmとした点以外は、上述した実施例34と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
(実施例44〜48)
実施例44、45、46、47及び48は、それぞれ導電部の線幅を15μm、小格子74の一辺の長さを500μmとし、大格子の一辺の長さを10mmとし、ずれ量を25μm、75μm、125μm、150μm及び250μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれタッチパネル用導電シートを作製した。
【0134】
【表6】

【0135】
実施例34〜48は全体的に視認性の評価が良好であった。つまり、ずれ量が最大で小格子74の一辺の長さの1/2であることから、第1大格子68Aの直線部分と第2大格子68Bの直線部分とが重なることがなく視認性の低下はなかった。
【0136】
本発明に係るタッチパネル及び導電シートは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0137】
10…タッチパネル用導電シート 12A…第1導電シート
12B…第2導電シート 14A…第1透明基体
14B…第2透明基体 16A…第1導電部
16B…第2導電部 18A…第1透明導電パターン
18B…第2透明導電パターン 20A…第1補助パターン
20B…第2補助パターン 24A…第1大格子
24B…第2大格子 26…小格子
28A…第1接続部 28B…第2接続部
30…中格子 32A…第1欠除部
32B…第2欠除部 34A…第1非接続部
34B…第2非接続部 36A…第1補助線
36B…第2補助線 44…組合せパターン
46A…第1軸線 46B…第2軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電シートを有するタッチパネルにおいて、
前記導電シートは、
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1方向に直列に接続されて構成された2以上の第1透明導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列され、且つ、前記第1感知部の辺の周囲に、複数の第1補助線からなる第1補助パターンが配列されて構成され、
前記第2導電部は、2以上の第2感知部が前記第2方向に直列に接続されて構成された2以上の第2透明導電パターンが前記第1方向に配列され、且つ、前記第2感知部の辺の周囲に、複数の第2補助線からなる第2補助パターンが配列されて構成され、
各前記第1感知部及び各前記第2感知部は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、
前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さよりも短く、
上面から見たとき、前記第1透明導電パターンと前記第2透明導電パターンとが交差して配置された形態とされ、
前記第1透明導電パターンと前記第2透明導電パターンとの間に、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネルにおいて、
前記第1導電部及び前記第2導電部の線幅が30μm以下であり、
前記小格子の一辺の長さが50〜500μmであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項3】
請求項1又は2記載のタッチパネルにおいて、
前記第1感知部及び前記第2感知部の一辺の長さが3〜10mmであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さの4/5以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さの1/2以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記組合せパターンは、2以上の小格子が組み合わされて構成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記組合せパターンは、前記第1補助線と前記第2補助線とが直交して重ならない形態を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項8】
請求項7記載のタッチパネルにおいて、
前記組合せパターンは、前記第1補助線の第1軸線と前記第2補助線の第2軸線とがほぼ平行とされ、前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅及び前記第2補助線の線幅のうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項9】
請求項8記載のタッチパネルにおいて、
前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅の1/2と前記第2補助線の線幅の1/2との合計であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項10】
請求項8記載のタッチパネルにおいて、
前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅の1/2と前記第2補助線の線幅の1/2との合計未満であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記組合せパターンは、前記第1補助線と前記第2補助線とが一部重なる形態を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項12】
請求項8記載のタッチパネルにおいて、
前記第1軸線と前記第2軸線間の距離が、前記第1補助線の線幅の1/2と前記第2補助線の線幅の1/2との合計よりも長いことを特徴とするタッチパネル。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記第1方向と前記第2方向とを二等分する方向を第3方向とし、該第3方向と直交する方向を第4方向としたとき、
前記第1導電部と前記第2導電部は、基準位置から少なくとも前記第3方向に前記第1補助線の線幅及び前記第2補助線の線幅のうち、いずれか短い方の線幅の1/2以上ずれて配置されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項14】
請求項13記載のタッチパネルにおいて、
前記基準位置は、
前記第1補助線の第1軸線と第2補助線の第2軸線とが一致し、且つ、前記第1補助線と前記第2補助線とが重ならず、且つ、前記第1補助線の一端と前記第2補助線の一端とが一致する位置を示すことを特徴とするタッチパネル。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記第1補助パターンは、複数の前記第1補助線と交差する第1補助長線を備え、前記第2補助パターンは、複数の前記第2補助線と交差する第2補助長線を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項16】
請求項15記載のタッチパネルにおいて、
前記第1補助長線及び前記第2補助長線の長さは、前記小格子の一辺の長さと同等以上であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項17】
請求項15又は16記載のタッチパネルにおいて、
前記第1補助パターンは、複数の前記第1補助線と、前記第1補助長線とが交差することによる第1Z字状パターンを備え、
前記第2補助パターンは、複数の前記第1補助線と、前記第2補助長線とが交差することによる第2Z字状パターンを備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項18】
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1方向に直列に接続されて構成された2以上の第1透明導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列され、且つ、前記第1感知部の辺の周囲に、複数の第1補助線からなる第1補助パターンが配列されて構成され、
前記第2導電部は、2以上の第2感知部が前記第2方向に直列に接続されて構成された2以上の第2透明導電パターンが前記第1方向に配列され、且つ、前記第2感知部の辺の周囲に、複数の第2補助線からなる第2補助パターンが配列されて構成され、
各前記第1感知部及び各前記第2感知部は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、
前記第1補助線及び前記第2補助線の長さは、前記小格子の一辺の長さよりも短く、
上面から見たとき、前記第1透明導電パターンに隣接して前記第2透明導電パターンが配置された形態とされ、
前記第1透明導電パターンと前記第2透明導電パターンとの間に、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成されていることを特徴とする導電シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−33147(P2012−33147A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105582(P2011−105582)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】