説明

タッチパネル座標自動修正装置及びそれに用いるタッチパネル座標自動修正方法

【課題】 物理的な計測をするユニットを必要とすることなく、制御の簡易化及び処理速度の向上を図ることが可能なタッチパネル座標自動修正装置を提供する。
【解決手段】 タッチパネル座標自動修正装置(1)は、表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正する。タッチパネル座標自動修正装置(1)は、タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較手段(座標比較部14)と、座標比較手段(座標比較部14)で検出された差分と基準座標とに基づいてタッチパネルの座標を修正する修正手段(タッチパネルコントローラ11)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル座標自動修正装置及びそれに用いるタッチパネル座標自動修正方法に関し、特に表示装置のディスプレイの座標と使用者毎に異なるタッチパネルの押圧座標とのズレを修正する座標自動修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する座標自動修正方法においては、表示装置のディスプレイの座標と使用者毎に異なるタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するために、使用者の視線位置を物理的に計測して座標修正を実施している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、この種の座標自動修正は、使用者の視線位置をカメラ等で物理的に計測することで、視差によるズレを割り出し、表示装置のディスプレイの座標と使用者毎に異なるタッチパネルの押圧座標とのズレを修正している。
【0004】
つまり、この種の座標自動修正では、使用者の身長を検出し、タッチパネルの視線角度を割り出すことで、表示装置のディスプレイに表示される座標とタッチパネル上の使用者の押圧座標とのズレを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−207008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明に関連する座標自動修正方法では、使用者の身長を計測する手段、身長等の物理的な計測をするユニットが必要となり、計測手段として使用できるユニットを搭載していない装置については適用できず、適用装置が限定されている。また、本発明に関連する座標自動修正方法では、ズレが発生する度に物理的な計測が発生するため、制御の複雑化、処理速度の低下という問題もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、物理的な計測をするユニットを必要とすることなく、座標のズレ量修正の制御の簡易化及び処理速度の向上を図ることができるタッチパネル座標自動修正装置及びそれに用いるタッチパネル座標自動修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタッチパネル座標自動修正装置は、表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するタッチパネル座標自動修正装置であって、
前記タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較手段と、
前記座標比較手段で検出された差分と前記基準座標とに基づいて前記タッチパネルの座標を修正する修正手段とを備えている。
【0009】
本発明によるタッチパネル座標自動修正方法は、表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するタッチパネル座標自動修正装置に用いるタッチパネル座標自動修正方法であって、
前記タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較処理と、
前記座標比較処理で検出された差分と前記基準座標とに基づいて前記タッチパネルの座標を修正する修正処理とを備えている。
【0010】
本発明によるプログラムは、表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するタッチパネル座標自動修正装置内の中央処理装置に実行させるプログラムであって、
前記タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較処理と、
前記座標比較処理で検出された差分と前記基準座標とに基づいて前記タッチパネルの座標を修正する修正処理とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、物理的な計測をするユニットを必要とすることなく、座標のズレ量修正の制御の簡易化及び処理速度の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態にタッチパネル座標自動修正装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における概念を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に用いるTOPメニューを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における座標のズレの補正例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるタッチパネル座標自動修正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明によるタッチパネル座標自動修正装置の概略について説明する。本発明によるタッチパネル座標自動修正装置は、表示装置のディスプレイの座標と使用者毎に異なるタッチパネルの押圧座標とのズレを、使用者の視線位置を物理的に計測することなく、自動で修正する位置補正機能を有することを特徴とする。
【0014】
また、タッチパネル座標自動修正装置は、座標修正後の操作により再度位置ズレが発生していた時にズレ量に応じて再度補正し、ズレ量が著しく発生した時に初期座標に戻すことが可能なアルゴリズムを有することを特徴とする。
【0015】
図2に示すように、タッチパネル付き表示装置では、使用者の視線角(図2のθa,θb)により表示装置のディスプレイの座標と使用者の押圧座標とにズレが発生する。この使用者の視線角(θa,θb)によるズレを自動修正するために、各メニュー画面は、タッチパネルの基準視線角位置[図2の(1)参照]で補正された座標管理と1対1で作成する。
【0016】
そして、図3に示すように、標準視線角を中心とし、上限[図3の(2)参照]から下限[図3の(3)参照]までの視線角を吸収できるようなアイコンボタンを使用してTOPメニューを構成し、TOPメニューで押された位置の基準位置[図3の(1)参照]からのズレ量により使用者の視線角を推定する。次ページ以降は、図4に示すように、検出したズレを補正した座標を適用することで使用者毎のズレ量を自動補正する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態によるタッチパネル座標自動修正装置の構成例を示すブロック図である。図1において、タッチパネル座標自動修正装置1は、タッチパネルコントローラ11と、基準座標格納部12と、押圧座標格納部13と、座標比較部14と、座標補正履歴格納部15とを備えている。
【0018】
タッチパネルコントローラ11は、図示せぬタッチパネルの押された座標を押圧座標格納部13に格納する。押圧座標格納部13に格納された座標は、座標比較部14で基準座標格納部12の基準座標と比較され、その差分がタッチパネルコントローラ11に通知される。座標補正履歴格納部15は、一定量の座標履歴を管理し、著しい差分が一定の履歴内で生じていないかを監視し、その監視状態をタッチパネルコントローラ11に通知する。
【0019】
タッチパネルコントローラ11は、座標比較部14から差分が通知された場合、基準座標格納部5から基準座標を読出し、タッチパネルの座標を自動修正する。タッチパネルコントローラ11は、自動修正した修正座標を基準座標として基準座標格納部12に格納する。タッチパネルコントローラ11は、座標補正履歴格納部15から著しい差分ありと通知された場合、修正した座標を適用せず、修正前の座標を適用する。
【0020】
基準座標格納部12は、初期値として、生産時の座標データを保持している。以後、基準座標格納部12は、補正後の適用された座標データを基準座標として保持する。生産時の座標データ初期値は、座標補正履歴格納部15の初期値として保持される。
【0021】
押圧座標格納部13は、実際に基準点として設定された座標に対してどのくらいのズレ量で押されたかを各測定点でのデータとして保持する。座標比較部14は、押圧座標格納部13に格納されている測定点の座標データと基準座標格納部12に格納されている直前の座標データとを比較し、座標のズレ量(差分)をタッチパネルコントローラ11に送信する。
【0022】
この場合、タッチパネルコントローラ11は、座標補正履歴格納部15から著しいズレ量がある旨の警告がないことを確認する。警告がある場合、タッチパネルコントローラ11は、補正前の座標を適用する。
【0023】
図2は本発明の第1の実施の形態における概念を説明するための図であり、図3は本発明の第1の実施の形態に用いるTOPメニューを示す図であり、図4は本発明の第1の実施の形態における座標のズレの補正例を示す図であり、図5は本発明の第1の実施の形態によるタッチパネル座標自動修正処理を示すフローチャートである。
【0024】
これら図1〜図5を参照して本発明の第1の実施の形態によるタッチパネル座標自動修正処理について説明する。尚、図5に示す処理は、タッチパネルコントローラ11[CPU(中央処理装置)]がプログラムを実行することで実現可能である。
【0025】
本発明の第1の実施の形態によるタッチパネル座標自動修正装置1は、表示装置のディスプレイ16上に配置されたアイコンボタン18a〜18cの上下方向の基準視線角で位置補正された中心点を基準点とし、実際に押下された位置との差分を随時修正していく。尚、ディスプレイ16は、図2に示すように、画像表示面16aと、操作面(ITP)16bとからなる。
【0026】
本実施の形態では、図3に示す3カ所のアイコンボタン18a〜18cをそれぞれ押下する操作が発生するものとする。この場合、タッチパネルコントローラ11は、3カ所の押圧座標がいずれも上限側、下限側に偏った場合、その標準偏差をとり、管理座標をそれぞれ修正する。
【0027】
タッチパネルコントローラ11は、3カ所すべてに偏りがなければ(図5ステップS1)、管理座標の修正を行わない(図5ステップS2)。タッチパネルコントローラ11は、管理座標が修正された場合(図5ステップS1)、次ページ以降に反映される(図5ステップS3)。
【0028】
例えば、下限側に修正したのであれば、図4に示すように、下限側に座標が偏差分補正される。図4において、タッチパネル座標17は、下限側のタッチパネル座標17bに修正され、中心点aは押圧点bを基に新中心点a1に修正される。
【0029】
次ページ以降、タッチパネルコントローラ11は、修正された基準点から差分を抽出し、その差が前ページでの差よりも縮小されてきていれば(図5ステップS4)、正しく補正できているとみなして補正を実行する(図5ステップS6)。
【0030】
タッチパネルコントローラ11は、差が広がっている場合(図5ステップS4)、補正を中断し、前回の補正値を保持する(図5ステップS5)。この場合、タッチパネルコントローラ11は、ズレ量が基準値[基準点−(下限or上限)]以上であれば、初期値を適用する。
【0031】
以上の動作により、本実施の形態では、図3に示すアイコンボタン18a〜18cの大きさで吸収している上限、下限の操作者に対しても、充分なマージンを確保し、確実な操作を実施することができる。
【0032】
このように、本実施の形態では、1回の操作毎にズレ量を測定することで、次画面での操作に対して補正をかける方式であり、実行回数が多いほど精度も高まるため、KIOSK装置のように、一度の取引で複数回の画面切り替えが発生するような装置において、使用する毎に操作者の使用感に近づけることが可能である。
【0033】
また、本実施の形態では、使用者の視線角を推定するためのカメラのような特定な機器が必要なく、安価な構成で実現することができ、使用する度にズレ量を計測することで視線角を推定しているので、アプリケーションの設計に対しても影響を与えないで実現可能である。
【0034】
さらに、本実施の形態では、一定期間の履歴を保持することで、補正したにもかかわらずさらにアイコンボタン18a〜18cの下側が押されたという履歴を検出することが可能となり、操作者がアイコンボタンの下側を押し易いということを推定可能であるため、ズレ量を使用する度に測定することで、使用者の視線角だけでなく、アイコンボタン18a〜18cの押圧場所に対する嗜好性(上側を押す傾向、下側を押す傾向)に対しても対処することができる。
【0035】
したがって、本実施の形態では、物理的な計測をするユニットを必要とすることなく、座標のズレ量修正の制御の簡易化及び処理速度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 タッチパネル座標自動修正装置
11 タッチパネルコントローラ
12 基準座標格納部
13 押圧座標格納部
14 座標比較部
15 座標補正履歴格納部
16 ディスプレイ
16a 画像表示面
16b 操作面
17,17a,17b タッチパネル座標
18a〜18c アイコンボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するタッチパネル座標自動修正装置であって、
前記タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較手段と、
前記座標比較手段で検出された差分と前記基準座標とに基づいて前記タッチパネルの座標を修正する修正手段とを有することを特徴とするタッチパネル座標自動修正装置。
【請求項2】
前記修正手段は、前記タッチパネルの座標を修正した後の操作により再度ズレが発生した場合に前記座標比較手段で検出された差分に応じて前記タッチパネルの座標を再度修正することを特徴とする請求項1記載のタッチパネル座標自動修正装置。
【請求項3】
前記修正手段は、前記座標比較手段で検出された差分が前回の差分より広がっている場合に前回の補正値を保持することを特徴とする請求項1または請求項2記載のタッチパネル座標自動修正装置。
【請求項4】
予め設定された標準視線角を中心とし、上限から下限までの視線角を吸収できるようなアイコンボタンを使用して前記座標比較手段により前記差分を検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載のタッチパネル座標自動修正装置。
【請求項5】
表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するタッチパネル座標自動修正装置に用いるタッチパネル座標自動修正方法であって、
前記タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較処理と、
前記座標比較処理で検出された差分と前記基準座標とに基づいて前記タッチパネルの座標を修正する修正処理とを有することを特徴とするタッチパネル座標自動修正方法。
【請求項6】
前記修正処理において、前記タッチパネルの座標を修正した後の操作により再度ズレが発生した場合に前記座標比較処理で検出された差分に応じて前記タッチパネルの座標を再度修正することを特徴とする請求項5記載のタッチパネル座標自動修正方法。
【請求項7】
前記修正処理において、前記座標比較処理で検出された差分が前回の差分より広がっている場合に前回の補正値を保持することを特徴とする請求項5または請求項6記載のタッチパネル座標自動修正方法。
【請求項8】
予め設定された標準視線角を中心とし、上限から下限までの視線角を吸収できるようなアイコンボタンを使用して前記座標比較処理により前記差分を検出することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか記載のタッチパネル座標自動修正方法。
【請求項9】
表示装置のディスプレイの座標とタッチパネルの押圧座標とのズレを修正するタッチパネル座標自動修正装置内の中央処理装置に実行させるプログラムであって、
前記タッチパネルの押圧座標と予め設定された基準座標との差分を検出する座標比較処理と、
前記座標比較処理で検出された差分と前記基準座標とに基づいて前記タッチパネルの座標を修正する修正処理とを含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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