説明

タッチパネル用光導波路およびそれを用いたタッチパネルならびにタッチパネル用光導波路の製造方法

【課題】光導波路とレンズとの位置合わせが不要であるとともに、光の出射および入射が適正に行われるタッチパネル用光導波路およびそれを用いたタッチパネルならびにタッチパネル用光導波路の製造方法を提供する。
【解決手段】光を出射するコア3の端部および光を入射させるコア3の端部が第1レンズ部30に形成され、それを被覆するオーバークラッド層4の端部がアンダークラッド層2側に曲がった状態で延設され、その先端部分が第2レンズ部50に形成され、その反対側の後端部分が光反射面60に形成され、第1レンズ部30の曲率中心から光反射面60までの距離と光反射面60から第2レンズ部50の先端までの距離との合計距離(L)と、第2レンズ部50の曲率半径(R)とが下記(A)を満たしている。
(A)(L/3)−0.5<R<(L/3)+0.5〔単位は、L:mm、R:mm〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル用光導波路およびそれを用いたタッチパネルならびにタッチパネル用光導波路の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、指や専用のペン等で液晶ディスプレイ等の画面に直接触れることにより、機器を操作等する入力装置であり、その構成は、操作内容等を表示するディスプレイと、このディスプレイの画面での上記指等の触れ位置(座標)を検知する検知手段とを備えたものとなっている。そして、その検知手段で検知した触れ位置の情報が信号として送られ、その触れ位置に表示された操作等が行われるようになっている。このようなタッチパネルを用いた機器としては、金融機関のATM,駅の券売機,携帯ゲーム機等があげられる。
【0003】
上記タッチパネルにおける指等の触れ位置の検知手段として、光導波路を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、このタッチパネルは、図7に示すように、帯状の光導波路70が四角形のディスプレイ11の側周面に巻装されているとともに、上記ディスプレイ11の画面上縁部に四角形の枠状レンズ71が設けられている。上記光導波路70には、光が通るコアが多数形成されており、上記巻装状態において、各コアの一端面(光の出射面および入射面)が上記枠状レンズ71方向に向けられて形成されている。そして、ディスプレイ11の側周面の一側部に設置された光導波路70部分から出射された多数の光は、上記枠状レンズ71により、ディスプレイ11の画面と平行に進路変更され、その後、対向する枠状レンズ71の部分により、他側部に設置された光導波路70部分に入射するように進路変更される。このように上記光導波路70と枠状レンズ71とにより、ディスプレイ11の画面上において、光を格子状に走らせた状態にしている。そして、この状態で指でディスプレイ11の画面に触れると、その指が光の一部を遮断するため、その遮断された部分の光を、入射側の光導波路70で感知することにより、上記指が触れた部分の位置を検知することができる。
【特許文献1】US2006/0002655A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記光導波路70を用いたタッチパネルでは、出射側の光導波路70部分から空気中に出射した光を、入射側の光導波路70部分のコアに入射させる必要がある。この場合、出射する光が拡がり過ぎると、入射側のコアに光が入射する確率が低くなり、光伝送効率が低くなる。逆に、出射する光を絞り過ぎると、受光領域が狭くなり、入射側では光をコアに入射させ難くなる(入射側のコアの位置が適正位置から少しでもずれると、入射できなくなる)。
【0005】
また、上記光導波路70を用いたタッチパネルでは、光導波路70と枠状レンズ71との位置合わせを正確に行わなければ、光が枠状レンズ71を適正に通過せず、光伝送効率を充分に高めることができない。しかも、その正確な位置合わせは、精密さが要求されることから困難であり、その達成には、手間と時間とを要する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、光導波路とレンズとの位置合わせが不要であるとともに、光の出射および入射が適正に行われるタッチパネル用光導波路およびそれを用いたタッチパネルならびにタッチパネル用光導波路の製造方法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、基体と、この基体の表面の所定部分に形成されたコアと、このコアを被覆した状態で上記基体の表面に形成されたオーバークラッド層とを備え、タッチパネルのディスプレイの側周面に沿って設置され、光を出射するコアの端部が上記ディスプレイの側周面の一側部に位置決めされ、その光を入射させるコアの端部が上記ディスプレイの側周面の他側部に位置決めされるタッチパネル用光導波路であって、上記光を出射するコアの端部および光を入射させるコアの端部が、外側に向かって反るレンズ曲面を有する第1レンズ部に形成され、上記第1レンズ部を被覆するオーバークラッド層の端部は、上記基体側に屈曲した状態で延設され、その屈曲部の先端部分が、外側に向かって反るレンズ曲面を有する第2レンズ部に形成され、その反対側の後端部分が、上記第1レンズ部先端のレンズ曲面と第2レンズ部先端のレンズ曲面とに同じ光を通過させるよう光路変更させる光反射面に形成され、上記第1レンズ部のレンズ曲面の曲率中心から上記光反射面までの距離とその光反射面から上記第2レンズ部のレンズ曲面の先端までの距離との合計距離(L)と、上記第2レンズ部のレンズ曲面の曲率半径(R)とが下記(A)を満たしているタッチパネル用光導波路を第1の要旨とする。
(A)(L/3)−0.5<R<(L/3)+0.5
〔ただし、単位は、L:mm、R:mmである。〕
【0008】
そして、上記タッチパネル用光導波路が、タッチパネルのディスプレイの側周面に沿って設置され、光を出射するコアの第1レンズ部が上記ディスプレイの側周面の一側部に位置決めされ、その光を入射させるコアの第1レンズ部が上記ディスプレイの側周面の他側部に位置決めされ、上記第1レンズ部を被覆したオーバークラッド層端部の屈曲部がディスプレイの画面の周縁部に位置決めされているタッチパネルを第2の要旨とする。
【0009】
また、上記タッチパネル用光導波路の製造方法であって、基体の表面の所定部分に、その端部が第1レンズ部に形成されたコアを形成する工程と、それを成形型にセットし、オーバークラッド層の形成材料を注入する工程と、その注入した形成材料を硬化させ、上記コアを被覆した状態で上記基体の表面にオーバークラッド層を形成し、そのうち、上記第1レンズ部を被覆するオーバークラッド層の端部を第2レンズ部と光反射面とを有する屈曲部に形成する工程とを備えているタッチパネル用光導波路の製造方法を第3の要旨とする。
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、コアの端部を被覆するオーバークラッド層の端部にレンズ部(第2レンズ部)を形成することを着想した。このようにすると、コアとオーバークラッド層とは元々一体であることから、本発明のタッチパネル用光導波路は、オーバークラッド層が形成された時点で、コアの端部とオーバークラッド層端部のレンズ部とが、位置合わせされた状態となっている。さらに、本発明者らは、光の出射および入射が適正に行われるよう、コアの端部もレンズ部(第1レンズ部)に形成することを着想するとともに、これら第1レンズ部および第2レンズ部の相互の位置関係等についても研究を重ねた。その結果、上記第2レンズ部の後方部分に、上記第1レンズ部と第2レンズ部とに同じ光が通るよう光路変更させる光反射面を形成し、上記第1レンズ部のレンズ曲面の曲率中心から上記光反射面までの距離とその光反射面から上記第2レンズ部のレンズ曲面の先端までの距離との合計距離(L)と、上記第2レンズ部のレンズ曲面の曲率半径(R)とが上記(A)を満たすようにすると、コア端部の第1レンズ部から出射される光は、その第1レンズ部の屈折作用により、発散が抑制され、その状態で、上記光反射面で反射して第2レンズ部のレンズ曲面に向かって光路変更し、その第2レンズ部の屈折作用により、発散がさらに抑制されることを突き止めた。また、光を入射させる側のオーバークラッド層端部の第2レンズ部では、その第2レンズ部の屈折作用により、入射する光は、絞って集束され、その状態で、上記光反射面で反射して第1レンズ部に向かって光路変更し、その第1レンズ部の屈折作用により、さらに絞って集束され、コアの奥方向に進むことを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタッチパネル用光導波路は、光を出射するコア端部の第1レンズ部および光を入射させるコア端部の第1レンズ部を被覆するオーバークラッド層の端部が、基体側に屈曲した状態で延設され、その屈曲部の先端部分が第2レンズ部に形成され、その反対側の後端部分が、上記第1レンズ部先端のレンズ曲面と第2レンズ部先端のレンズ曲面とに同じ光を通過させるよう光路変更させる光反射面に形成されているため、本発明のタッチパネル用光導波路は、オーバークラッド層を形成した時点で、コア端部の第1レンズ部とオーバークラッド層端部の第2レンズ部とを、自動的に位置合わせした状態にすることができる。このため、コア端部の第1レンズ部とオーバークラッド層端部の第2レンズ部との位置合わせ作業を不要にすることができる。さらに、上記(A)を満たすように、上記第1レンズ部,第2レンズ部および光反射面が相互に特定の位置関係で形成されているとともに、第2レンズ部のレンズ曲面の曲率半径が特定の寸法で形成されているため、コア端部の第1レンズ部から出射される光は、その第1レンズ部の屈折作用,光反射面の反射作用および第2レンズ部の屈折作用により、第2レンズ部のレンズ曲面から、適正な拡がりで出射される。そして、コア端部の第1レンズ部から入射する光は、第2レンズ部の屈折作用,光反射面の反射作用および第1レンズ部の屈折作用により、絞って集束された状態にすることができる。その結果、光伝送効率を適正にした状態で、出射側のコアと入射側のコアとの間で、光伝送を行うことができる。
【0012】
本発明のタッチパネルは、上記タッチパネル用光導波路を備えているため、コア端部の第1レンズ部から出射された光は、光反射面で反射された後、第2レンズ部のレンズ曲面から適正な拡がりで出射され、指でディスプレイの画面に触れると、その指が触れた部分の位置を正確に検知することができる。
【0013】
本発明のタッチパネル用光導波路の製造方法では、基体の表面の所定部分に、その端部が第1レンズ部に形成されたコアを形成し、それを成形型にセットし、上記第1レンズ部を被覆するその端部が第2レンズ部と光反射面とを有する屈曲部の部分が形成されたオーバークラッド層を成形により形成するため、コア端部の第1レンズ部,上記第2レンズ部および光反射面の相互の位置関係を正確にした状態で、タッチパネル用光導波路を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明のタッチパネル用光導波路の第1の実施の形態を示している。この実施の形態のタッチパネル用光導波路(以下、単に「光導波路」という)は、複数のコア3がアンダークラッド層(基体)2とオーバークラッド層4とで挟持され包含された状態で、帯状に形成されている。上記コア3は、帯状の光導波路の両端(図では左右端)から平行に延び、それぞれ長手方向半分までの領域(図では左半分の領域と右半分の領域)において、上方(帯状の光導波路の長手方向の一側部方向)に屈曲している。この屈曲したコア3の先端は、オーバークラッド層4の端部の所定個所に設けられた屈曲部(延設部)40に接続している。この屈曲部40は、図示のように、アンダークラッド層2の側に屈曲した状態で延設され、かつ相互に等間隔で光導波路の長手方向に沿って形成されている。なお、図1では、コア3を鎖線で示しており、鎖線の太さがコア3の太さを示しているとともに、コア3の数を略して図示している。また、後に説明するが、図1において、符号41はディスプレイ11(図2参照)の画面上縁部に当接させる当接面であり、符号50は第2レンズ部である。
【0016】
このような光導波路は、図2に示すように、タッチパネル10の四角形のディスプレイ11の側周面に沿うよう四角の角部で曲げられ巻装される。そして、巻装された状態の上記光導波路の一端縁aでは、コアに光源(図示せず)が接続され、光導波路の他端縁bでは、コアに検出器(図示せず)が接続される。上記帯状の光導波路の巻装に際しては、アンダークラッド層2側を内側にし、上記第2レンズ部50の下方に形成された当接面41を上記ディスプレイ11の画面上縁部に当接し、屈曲部40と屈曲部40との間をタッチパネル用ディスプレイ11の側周面の角部に位置決めし曲成する。この巻装状態では、光導波路は、2つのL字部分(図1における光導波路の右半分の領域と左半分の領域の2つの領域に対応する部分)が、ディスプレイ11の画面を挟んで対向した状態となっており、その対向する一方のL字部分が光Wを出射する側、他方のL字部分が光Wを入射する側となっている。なお、図2では、図1と同様、コア3を鎖線で示しており、鎖線の太さがコア3の太さを示しているとともに、コア3の数を略して図示している。また、図2では、理解し易くするため、多数の光のうちの一部の光Wのみを示している。
【0017】
このようにしてタッチパネル用ディスプレイ11に巻装される本発明の光導波路(図1参照)は、つぎのような特徴を有する。すなわち、図1に示すコア3の先端部(短冊状)は、図3(a)(図1の光導波路の上側部分を矢印X方向から見て拡大した図)に鎖線で示すように、外側(図では上側)に向かって反る正面視略1/2円弧状のレンズ曲面31を有する第1レンズ部30(短冊の頂部が幅方向に円弧状になっている)に形成されている。
【0018】
また、オーバークラッド層4端部の上記屈曲部40の先端部分は、図3(b)〔図3(a)のY−Y断面図〕に示すように、外側(図では右側)に向かって反る側面視略1/4円弧状のレンズ曲面51を有する第2レンズ部50に形成されている。また、その反対側の後端部分は、傾斜面に形成され、上記コア3端部の第1レンズ部30から出射された光を反射させ、第2レンズ部50のレンズ曲面51に導く(または第2レンズ部のレンズ曲面51から入射した光を反射させ、第1レンズ部30のレンズ曲面31に導く)光反射面60となっている。この実施の形態では、上記傾斜面の表面に、金属薄膜61が形成され、光が反射され易くなっている。さらに、この実施の形態では、上記第2レンズ部50の下方に、タッチパネル用ディスプレイ11(図2参照)の画面上縁部に当接される当接面41が形成され、その当接面41で、タッチパネル用ディスプレイ11(図2参照)の画面上縁部に位置決めされるようになっている。ここで、上記オーバークラッド層4端部の屈曲部40の寸法は、例えば、高さ(h)は、300〜10000μmの範囲内が好ましく、より好ましくは、500〜8000μmの範囲内である。アンダークラッド層2からの突出量(d)は、100〜6000μmの範囲内が好ましく、より好ましくは、200〜5000μmの範囲内である。
【0019】
そして、上記第1レンズ部30のレンズ曲面31と第2レンズ部50のレンズ曲面51と光反射面(傾斜面)60との相互の位置関係は、上記第1レンズ部30のレンズ曲面31の曲率中心から上記光反射面60(光軸W0 が上記光反射面60と交叉する点)までの距離(a)とその光反射面60(光軸W0 が上記光反射面60と交叉する点)から上記第2レンズ部50のレンズ曲面51の先端までの距離(b)との合計距離(L)と、上記第2レンズ部50のレンズ曲面51の曲率半径(R)とが下記(A)を満たすように設定される。下記(A)は、本発明者らが実験を多数回繰り返し行って求めた式であり、この式を満たすようにすることにより、光伝送効率を適正にした状態で光伝送を行うことができる。ここで、上記第1レンズ部30のレンズ曲面31の曲率中心から上記光反射面60までの距離(a)は、400〜10000μmの範囲内が好ましく、より好ましくは、500〜7000μmの範囲内である。光反射面60から上記第2レンズ部50のレンズ曲面51の先端までの距離(b)は、100〜5000μmの範囲内が好ましく、より好ましくは、200〜3000μmの範囲内である。そして、それらの合計距離(L)は、500〜15000μmの範囲内が好ましく、より好ましくは、700〜10000μmの範囲内である。
(A)(L/3)−0.5<R<(L/3)+0.5
〔ただし、単位は、L:mm、R:mmである。〕
【0020】
上記光導波路において、光Wを出射する側の光導波路部分では、図4(a)に示すように、コア3端部の第1レンズ部30のレンズ曲面31から出射した光Wは、そのレンズ曲面31の作用により、横方向(アンダークラッド層2に沿う方向)の発散が抑制され、その状態で、その前方のオーバークラッド層4端部の屈曲部40内を進む。そして、図3(b)に示すように、その屈曲部40内の光反射面60で反射する。これにより、上記光Wの光路が、屈曲部40の先端部分の第2レンズ部50方向に変更され、上記光Wは、第2レンズ部50のレンズ曲面51から出射される。このとき、そのレンズ曲面51の作用により、縦方向(図では、タッチパネル10のディスプレイ11と直角な面に沿う上下方向)の発散が抑制され、平行光に近い状態となる。すなわち、コア3端部の第1レンズ部30から出射した光Wは、第1レンズ部30の屈折作用,光反射面60の反射作用および第2レンズ部50の屈折作用により、拡がり過ぎず、また絞られ過ぎない状態で、上記ディスプレイ11の画面に沿って進み、光Wを入射する側の光導波路部分の第2レンズ部50のレンズ曲面51における受光領域の広さを適正にしている。
【0021】
そして、光Wを入射する側の光導波路部分では、図4(a),(b)において、光Wの矢印方向が逆向きとなって進む。すなわち、上記ディスプレイ11の画面上を進んできた光Wは、オーバークラッド層4端部の屈曲部40の第2レンズ部50のレンズ曲面51で受け止められ、レンズ曲面51の作用により、縦方向(図では、タッチパネル10のディスプレイ11と直角な面に沿う上下方向)に絞って集束され、その状態で、屈曲部40内を進み、光反射面60で反射する。これにより、上記光Wの光路が、コア3端部の第1レンズ部30方向に変更され、上記光Wは、第1レンズ部30のレンズ曲面31からコア3内に入射する。このとき、そのレンズ曲面31の作用により、横方向(アンダークラッド層2に沿う方向)に絞って集束され、その集束状態で、コア3の奥方向に進む。
【0022】
このような光伝送が上記光導波路で行われるため、図2に示すように、上記タッチパネル10のディスプレイ11の画面上では、光Wが平行光に近い状態で格子状に走った状態となる。このため、この状態で指でディスプレイ11の画面に触れると、上記指が触れた部分の位置をより正確に検知することができる。
【0023】
なお、上記光導波路の寸法等は、タッチパネル10のディスプレイ11の大きさに対応するよう設定すればよく、例えば、光導波路の帯状の長さは、120〜1200mm程度、帯状の幅は、5〜100mm程度に設定される。光Wを出射する(光Wを入射する)コア3の数も、ディスプレイ11の画面に表示される操作内容の数等によって対応するよう設定すればよく、例えば、20〜150本程度に設定される。
【0024】
つぎに、本発明の光導波路の製造方法の一例について説明する。
【0025】
まず、上記光導波路(図1参照)を製造する際に用いる平板状の基台1〔図5(a)参照〕を準備する。この基台1の形成材料としては、例えば、ガラス,石英,シリコン,樹脂,金属等があげられる。また、基台1の厚みは、例えば、20μm(フィルム状の基台1)〜5mm(板状の基台1)の範囲内に設定される。
【0026】
ついで、図5(a)に示すように、上記基台1上の所定領域に、アンダークラッド層2に形成される感光性樹脂層を形成する。そして、その感光性樹脂層を照射線により露光した後、光反応を完結させるために、加熱処理を行う。これにより、上記感光性樹脂層をアンダークラッド層2に形成する。アンダークラッド層2(感光性樹脂層)の厚みは、通常、1〜50μmの範囲内に設定され、好ましくは、5〜30μmの範囲内に設定される。
【0027】
上記アンダークラッド層2の形成において、感光性樹脂層の形成方法は、感光性樹脂が溶媒に溶解しているワニスを塗布した後、加熱処理により乾燥させることにより行われる。上記ワニスの塗布は、例えば、スピンコート法,ディッピング法,キャスティング法,インジェクション法,インクジェット法等により行われる。その後の加熱処理は、50〜120℃×10〜30分間で行われる。そして、上記露光用の照射線としては、例えば、可視光,紫外線,赤外線,X線,α線,β線,γ線等が用いられる。好適には、紫外線が用いられる。紫外線を用いると、大きなエネルギーを照射して、大きな硬化速度を得ることができ、しかも、照射装置も小型かつ安価であり、生産コストの低減化を図ることができるからである。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯,高圧水銀灯,超高圧水銀灯等があげられ、紫外線の照射量は、通常、10〜10000mJ/cm2 、好ましくは、50〜3000mJ/cm2 である。その後の加熱処理は、80〜250℃、好ましくは、100〜200℃にて、10秒〜2時間、好ましくは、5分〜1時間の範囲内で行われる。
【0028】
ついで、図5(b)に示すように、上記アンダークラッド層2の表面に、コア3に形成される感光性樹脂層を形成する。そして、コア3のパターン(第1レンズ部30を含む)に対応する開口パターンが形成されている露光マスクを介して、上記感光性樹脂層を照射線により露光した後、光反応を完結させるために、加熱処理を行う。さらに、現像液を用いて現像を行うことにより、未露光部分を溶解させて除去し、アンダークラッド層2上に残存した感光性樹脂層をコア3のパターンに形成する。その後、その残存感光性樹脂層中の現像液を加熱処理により除去する。これにより、上記残存感光性樹脂層をコア3に形成する。コア3(感光性樹脂層)の厚みは、通常、20〜150μmの範囲内に設定され、好ましくは、40〜100μmの範囲内に設定される。また、コア3の幅は、通常、8〜50μmの範囲内に設定され、好ましくは、10〜25μmの範囲内に設定される。
【0029】
上記コア3の形成において、感光性樹脂層の形成は、図5(a)で説明した、アンダークラッド層2に形成される感光性樹脂層の形成方法と同様にして行われる。なお、このコア3の形成材料は、上記アンダークラッド層2および後記のオーバークラッド層4〔図3(b)参照〕の形成材料よりも屈折率が大きい材料が用いられる。この屈折率の調整は、例えば、上記アンダークラッド層2,コア3,オーバークラッド層4の各形成材料の種類の選択や組成比率を調整して行うことができる。また、上記露光およびその後の加熱処理は、図5(a)で説明したアンダークラッド層2の形成方法と同様にして行われる。さらに、上記現像は、例えば、浸漬法,スプレー法,パドル法等が用いられる。また、現像液としては、例えば、有機系の溶媒,アルカリ系水溶液を含有する有機系の溶媒等が用いられる。このような現像液および現像条件は、感光性樹脂組成物の組成によって、適宜選択される。上記現像後の加熱処理は、通常、80〜120℃×10〜30分間の範囲内で行われる。
【0030】
つぎに、図5(c)に示すように、基台1をアンダークラッド層2から剥離する。この剥離方法としては、例えば、真空吸引ステージ(図示せず)上に、基台1の下面を当接させ、基台1をエア吸着により固定する。ついで、露呈しているアンダークラッド層2の上面を真空吸着機(図示せず)で吸着し、その状態でその吸着部分を持ち上げる。これにより、コア3とアンダークラッド層2とを接着させた状態で、光導波路のアンダークラッド層2を基台1から剥離する。ここで、基台1とアンダークラッド層2との間の接着力は、その材料から弱く、上記のようにすることにより、簡単に剥離することができる。
【0031】
そして、図5(d),(e)に示すように、オーバークラッド層4〔図3(b)参照〕を成形する、石英(紫外線等の照射線を透過させる材料)製の成形型を準備する。この成形型は、下型5〔図5(d)参照〕と上型6〔図5(e)参照〕とからなっている。下型5には、図5(d)に示すように、上記アンダークラッド層2とコア3との積層体を載置する載置面5aと、オーバークラッド層4端部の屈曲部40の第2レンズ部50および当接面41〔図3(b)参照〕を成形する型面5bとが形成されている。上型6には、図5(e)に示すように、成形材料を注入する注入口6aと、上記屈曲部40の光反射面60およびコア3を被覆するオーバークラッド層4部分〔図3(b)参照〕を成形する型面6bとが形成されている。
【0032】
このような成形型を用いてオーバークラッド層4を形成する際には、まず、図5(d)に示すように、下型5の載置面5aに、アンダークラッド層2とコア3との積層体を位置決めして載置する。ついで、図5(e)に示すように、下型5に上型6を合わせ、成形空間Sを形成する。つぎに、その成形空間Sに、上記上型6に形成された注入口6aから、オーバークラッド層4に形成される感光性樹脂を充填する。そして、上記成形型を通して、紫外線等の照射線により露光し、脱型後、加熱処理等を行い、第2レンズ部50,光反射面60および当接面41が形成されたオーバークラッド層4を形成する〔図3(b)参照〕。上記露光,加熱処理等は、図5(a)で説明した、アンダークラッド層2の形成方法と同様にして行われる。オーバークラッド層4の厚み(コア3の表面からの厚み)は、通常、5〜100μmの範囲内に設定され、好ましくは、10〜80μmの範囲内に設定される。
【0033】
このようにして、オーバークラッド層4(第2レンズ部50,光反射面60および当接面41を含む)が形成されるため、オーバークラッド層4が形成された時点で、コア3端部の第1レンズ部30とオーバークラッド層4端部の第2レンズ部50と光反射面60とが位置決めされた状態で、コア3とオーバークラッド層4とが一体化する。また、アンダークラッド層2とオーバークラッド層4とが同じ形成材料の場合は、アンダークラッド層2とオーバークラッド層4とは、その接触部分で同化する。
【0034】
その後、上記オーバークラッド層4端部に形成された屈曲部40の光反射面60の表面に、金属薄膜61を、めっきまたは蒸着により形成する。その金属薄膜61の形成材料としては、例えば、ニッケル,銅,銀,金,クロム,アルミニウム,亜鉛,錫,コバルト,タングステン,白金,パラジウムおよびこれらの2種以上の元素を含む合金材料等があげられる。その厚みは、例えば、50nm〜5μmの範囲内に設定される。このようにして、図1に示す帯状の光導波路が得られる。
【0035】
図6は、本発明の光導波路の第2の実施の形態を示している。この実施の形態の光導波路は、上記第1の実施の形態において、コア3端部の第1レンズ部30が、図6(正面図)に示すような、いわゆるしゃもじの頭状に形成されている。図6のY−Y断面図は、図3(b)と同様であり、その断面図に示すように、平面状になっている。上記第1レンズ部30の形成は、コア3を形成する際に用いる露光マスクの開口パターンを、上記第1レンズ部30を含むコア3のパターンに対応させたものとすることにより可能である。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分は同じ符号を付している。
【0036】
上記コア3端部の、いわゆるしゃもじの頭状の第1レンズ部30について、より詳しく説明すると、上記第1レンズ部30は、端面に向かうにつれて徐々に拡幅するテーパ状に形成され、その端面は、外側に向かって反る正面視略1/2円弧状のレンズ曲面31に形成されている。上記コア3端部の第1レンズ部30の寸法は、下記(1),(2)のように設定される。
(1)上記テーパ状部分32の長さ(L2 )が800μm以上の場合は、テーパ角度(α)が2°〜20°の範囲内に設定されるとともに、上記テーパ状部分32の長さ(L2 )とテーパ角度(α)とレンズ曲面31の曲率半径(R2 )とが下記(B)を満たすように設定される。下記(B)は、本発明者が実験を繰り返し行って求めた式である。この場合〔テーパ状部分32の長さ(L2 )が800μm以上の場合〕、テーパ状部分32の長さ(L2 )の上限はないが、長くし過ぎても、タッチパネル10のディスプレイ11(図2参照)の周側面にスペースが多く必要になるだけで、光伝送における意味はない。
(2)上記テーパ状部分32の長さ(L2 )が800μm未満の場合は、そのテーパ状部分32の長さ(L2 )が400μm以上に設定され(400μmを下回らないように設定され)、さらに、テーパ角度(α)が4°〜16°の範囲内に設定されるとともに、下記(B)を満たすように設定される。
(B)0.5×L2 ×tan(α/2)<R2 <2.5×L2 ×tan(α/2)
〔ただし、単位は、L2 :μm、α:°(度)、R2 :μmである。〕
【0037】
そして、コア3から出射される光Wは、その端部の第1レンズ部30の屈折作用により、横方向(アンダークラッド層2に沿う方向)の発散が抑制される。すなわち、光Wは、コア3で反射を頻繁に繰り返して進み、しゃもじの頭状の第1レンズ部30のテーパ状部分32では、最先端のレンズ曲面31の方向に向き易くなるよう反射し〔すなわち、テーパ状部分32のテーパ角度(α)を調整することにより、反射角度を調整している〕、その先端拡幅部に進むに従って反射の回数が減り、最先端のレンズ曲面31では、その形状によって、出射される光Wは、正面視がより平行光に近い状態となる。このため、上記光反射面60での反射を経て、第2レンズ部50のレンズ曲面51から出射される光は、より平行光に近い状態となる。その結果、光伝送効率は高くなり、タッチパネル10(図2参照)において、指検知の正確性をより向上させることができる。
【0038】
なお、上記各実施の形態では、オーバークラッド層4端部の屈曲部40の光反射面60の表面に金属薄膜61を形成したが、金属薄膜61を形成しなくてもよい。オーバークラッド層4の屈折率の方が、上記光反射面60の外側にある空気の屈折率よりも大きいため、上記屈曲部40の中を通る光は、光反射面60に当たると、その殆どが反射するからである。
【0039】
また、上記各実施の形態では、第2レンズ部50の下方に、ディスプレイ11の画面上縁部に当接する当接面41を形成したが、その当接面41を形成しなくてもよい。この場合、第2レンズ部50の下端部は、アンダークラッド層2まで直接至るように形成される。
【0040】
また、上記各実施の形態では、アンダークラッド層2,オーバークラッド層4の形成において、材料として感光性樹脂を用い、その形成を露光および現像により行ったが、それ以外であってもよい。例えば、アンダークラッド層2,オーバークラッド層4の材料としてポリイミド樹脂,エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用い、その熱硬化性樹脂が溶媒に溶解しているワニスを塗布等した後、加熱処理(通常、300〜400℃×60〜180分間)により硬化させる等してアンダークラッド層2,オーバークラッド層4を形成してもよい。
【0041】
また、上記各実施の形態では、感光性樹脂を用いてアンダークラッド層2を形成したが、それ以外でもよく、樹脂フィルムをアンダークラッド層2として用いてもよい。また、アンダークラッド層2に代えて、金属フィルム,金属薄膜が表面に形成された基板等を用い、その金属材の表面を、コア3内を伝播する光Wの反射面として作用させてもよい。
【0042】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〜4および比較例1,2〕
〔アンダークラッド層およびオーバークラッド層の形成材料〕
下記の一般式(1)で示されるビスフェノキシエタノールフルオレングリシジルエーテル(成分A)35重量部、脂環式エポキシである3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学社製、セロキサイド2021P)(成分B)40重量部、シクロヘキセンオキシド骨格を有する脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学社製、セロキサイド2081)(成分C)25重量部、4,4’−ビス〔ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50%プロピオンカーボネート溶液(成分D)2重量部とを混合することにより、アンダークラッド層およびオーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0044】
【化1】

【0045】
〔コアの形成材料〕
上記成分A:70重量部、1,3,3−トリス{4−〔2−(3−オキセタニル)〕ブトキシフェニル}ブタン:30重量部、上記成分D:1重量部を乳酸エチル28重量部に溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0046】
〔光導波路の作製〕
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム〔300mm×300mm×188μm(厚み)〕の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料をスピンコート法により塗布した後、250mm×8mmの長方形状の開口部が形成された合成石英系のクロムマスク(露光マスク)を介して、2000mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った。つづいて、100℃×15分間の加熱処理を行うことにより、アンダークラッド層を形成した。このアンダークラッド層の厚みを接触式膜厚計で測定すると200μmであった。また、このアンダークラッド層の、波長830nmにおける屈折率は、1.502であった。
【0047】
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアの形成材料をスピンコート法により塗布した後、100℃×15分間の乾燥処理を行った。ついで、その上方に、コアのパターン(第1レンズ部を含む)と同形状の開口パターンが形成された合成石英系のクロムマスク(露光マスク)を配置した。そして、その上方から、コンタクト露光法にて4000mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った後、120℃×15分間の加熱処理を行った。つぎに、γ−ブチロラクトン水溶液を用いて現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×30分間の加熱処理を行うことにより、コアを形成した。そのうち、光を出射するコア端部および光を入射させるコア端部を、端面に向かうにつれて徐々に拡幅するテーパ状(テーパ角度7°,長さ2300μm)に形成し、上記端面が外側に向かって反る正面視円弧状曲面(曲率半径160μm)に形成する(第1レンズ部に形成する)ことにより、出射する光が横方向に発散するのを抑制するようにした。これら端部以外のコア部分の断面寸法は、幅15μm×高さ30μmであった。上記各寸法は、SEM(電子顕微鏡)で測定した。また、このコアの、波長830nmにおける屈折率は、1.588であった。
【0048】
つぎに、真空吸引ステージ上に、上記PENフィルムの下面を当接させ、PENフィルムをエア吸着により固定した後、露呈しているアンダークラッド層の上面を真空吸着機で吸着し、その状態でその吸着部分を持ち上げ、これにより、コアとアンダークラッド層とを接着させた状態で、光導波路のアンダークラッド層をPENフィルムから剥離した。
【0049】
そして、オーバークラッド層形成用の、下型と上型とからなる石英製成形型を、下記の表1,2(実施例1〜4,比較例1,2)に示す、第1レンズ部のレンズ曲面の曲率中心から光反射面までの距離(a),光反射面から第2レンズ部のレンズ曲面の先端までの距離(b),第2レンズ部のレンズ曲面の曲率半径(R)に対応して準備した。そして、下型の載置面に、上記アンダークラッド層とコアとの積層体を位置決めして載置した後、下型に上型を合わせ、成形空間を形成した。この状態で、上型に形成された注入口から成形空間に、上記オーバークラッド層の形成材料を充填した。そして、上記成形型を通して、2000mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った。脱型後、150℃×60分間の加熱処理を行うことにより、オーバークラッド層を形成した。このオーバークラッド層の厚み(コア表面からの厚み)を接触式膜厚計で測定すると100μmであった。また、このオーバークラッド層の、波長830nmにおける屈折率は、1.502であった。
【0050】
その後、上記オーバークラッド層端部に形成された屈曲部の光反射面の表面に、銀(Ag)からなる金属薄膜(厚み200nm)を、蒸着により形成した。このようにして、帯状の光導波路(250mm×12mm)を得た。
【0051】
〔光損失値の測定〕
得られた光導波路を、四角形のガラスパネルの側周面に沿って巻装した。これにより、光を出射する側のコア一つに対し、光を入射させる側のコア一つを対峙させた。そして、それらを一組とし、それらの光損失値を、つぎのようにして測定した。すなわち、手動調軸ステージを用いて、光を出射する側のコアの一端面(第1レンズ部とは反対側の端面)に発光素子(VCSEL:5mA、波長850nm)を接続し、光を入射させる側のコアの一端面(第1レンズ部とは反対側の端面)にマルチモードファイバ(コア径50μm)を介してパワーメータを接続した。そして、上記発光素子から光を発光させ、その光を上記パワーメータで受光した際の光損失値を測定した。その結果、光損失値が20dB未満のものを、光損失値が小さいとして○、光損失値が20dB以上のものを、光損失値が大きいとして×と評価し、下記の表1,2に併せて表記した。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
その結果、コア端部の第1レンズ部と光反射面とオーバークラッド層端部の第2レンズ部との相互の位置関係および第2レンズ部のレンズ曲面の曲率半径が特定の範囲内にある実施例1〜4の光導波路は、光損失値が小さく、上記範囲を外れる比較例1,2の光導波路は、光損失値が大きいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の光導波路の第1の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】上記光導波路を用いたタッチパネルを模式的に示す斜視図である。
【図3】(a)は図1の光導波路の上側部分を矢印X方向から見て拡大した図であり、(b)は(a)のY−Y断面図である。
【図4】上記光導波路における光の出射状態を模式的に示し、(a)は図1の光導波路の上側部分を矢印X方向から見て拡大した図であり、(b)は(a)のY−Y断面図である。
【図5】(a)〜(e)は、上記光導波路の製造方法を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の光導波路の第2の実施の形態を模式的に示す、図3(a)に相当する図である。
【図7】従来の光導波路を用いたタッチパネルを模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
3 コア
4 オーバークラッド層
30 第1レンズ部
50 第2レンズ部
60 光反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、この基体の表面の所定部分に形成されたコアと、このコアを被覆した状態で上記基体の表面に形成されたオーバークラッド層とを備え、タッチパネルのディスプレイの側周面に沿って設置され、光を出射するコアの端部が上記ディスプレイの側周面の一側部に位置決めされ、その光を入射させるコアの端部が上記ディスプレイの側周面の他側部に位置決めされるタッチパネル用光導波路であって、上記光を出射するコアの端部および光を入射させるコアの端部が、外側に向かって反るレンズ曲面を有する第1レンズ部に形成され、上記第1レンズ部を被覆するオーバークラッド層の端部は、上記基体側に屈曲した状態で延設され、その屈曲部の先端部分が、外側に向かって反るレンズ曲面を有する第2レンズ部に形成され、その反対側の後端部分が、上記第1レンズ部先端のレンズ曲面と第2レンズ部先端のレンズ曲面とに同じ光を通過させるよう光路変更させる光反射面に形成され、上記第1レンズ部のレンズ曲面の曲率中心から上記光反射面までの距離とその光反射面から上記第2レンズ部のレンズ曲面の先端までの距離との合計距離(L)と、上記第2レンズ部のレンズ曲面の曲率半径(R)とが下記(A)を満たしていることを特徴とするタッチパネル用光導波路。
(A)(L/3)−0.5<R<(L/3)+0.5
〔ただし、単位は、L:mm、R:mmである。〕
【請求項2】
上記基体が、アンダークラッド材または金属材で形成されている請求項1記載のタッチパネル用光導波路。
【請求項3】
上記光反射面の表面に、金属薄膜が形成されている請求項1または2記載のタッチパネル用光導波路。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチパネル用光導波路が、タッチパネルのディスプレイの側周面に沿って設置され、光を出射するコアの第1レンズ部が上記ディスプレイの側周面の一側部に位置決めされ、その光を入射させるコアの第1レンズ部が上記ディスプレイの側周面の他側部に位置決めされ、上記第1レンズ部を被覆したオーバークラッド層端部の屈曲部がディスプレイの画面の周縁部に位置決めされていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
上記請求項1または2記載のタッチパネル用光導波路の製造方法であって、基体の表面の所定部分に、その端部が第1レンズ部に形成されたコアを形成する工程と、それを成形型にセットし、オーバークラッド層の形成材料を注入する工程と、その注入した形成材料を硬化させ、上記コアを被覆した状態で上記基体の表面にオーバークラッド層を形成し、そのうち、上記第1レンズ部を被覆するオーバークラッド層の端部を第2レンズ部と光反射面とを有する屈曲部に形成する工程とを備えていることを特徴とするタッチパネル用光導波路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−156953(P2009−156953A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332571(P2007−332571)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】