タッチパネル装置
【課題】 従来のタッチ操作によるタッチ位置検知とICカード等の入力処理等を同時に1つのタッチ操作に対応して処理でき、装置構成に応じて近年普及されるICカード等のIC情報端末に適切に対応できるタッチパネル装置を提供する。
【解決手段】 このタッチパネル装置は、タッチ面12を有するタッチパネル21と、タッチパネル21を介して入力された信号を処理する信号処理部31を備え、タッチ面に対応して設けられ、タッチ面をタッチしたICカード15との間で無線通信を行うアンテナ25を備え、上記信号処理部は、アンテナを介して取り込まれたICカードからの信号を処理するICカードリードライト32等の機能を含むように構成されている。
【解決手段】 このタッチパネル装置は、タッチ面12を有するタッチパネル21と、タッチパネル21を介して入力された信号を処理する信号処理部31を備え、タッチ面に対応して設けられ、タッチ面をタッチしたICカード15との間で無線通信を行うアンテナ25を備え、上記信号処理部は、アンテナを介して取り込まれたICカードからの信号を処理するICカードリードライト32等の機能を含むように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル装置に関し、特に、無線通信用アンテナを付設して利用者の所持するICカード等との無線通信を可能にし通常のタッチ入力とICカード等による無線通信入力を同時に行えるようにしたタッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅舎に配置された券売機等のごとき従来の各種の機器の入力装置で使用されているタッチパネルは、抵抗膜に対する接触方式や光学的検知方式等を利用している。タッチパネルは、利用者が表示・入力用の画面に対してその指先や手先等でタッチ操作を行うことを検知してコンピュータに入力情報を提供するポインティングデバイスである。
【0003】
一方、近年の非接触式ICカードの普及、画像コンテンツ作成・提供技術の発展、大型表示器の普及などに基づき、インターネット等の通信網を介して画像表示とICカードの関連付けを行う等の応用例が増加しつつある。このような場合において、現状のタッチパネルを使用して例えば画面上に表示された商品を通常のタッチ操作で指定し、さらにその決済をICカードで行うように構成すると、利用者にとって操作上で手間がかかり、不便であるという問題が提起される。つまり、最初に画面上の画像にタッチ操作し、次に別途に用意されたICカードリーダライタにICカードをさらすという操作を行うという2つのステップの操作が必要となる。
【0004】
さらに公共の施設や場所に設置されているタッチパネルのICカード機器では、悪戯操作等を防止するため、操作に先立って利用者が対象となるICカードを所持していることを確認した後、すなわち投入やリーダライタへの接触操作の後、タッチ入力を許可するような制御が必要であった。
【0005】
本発明に関連する従来のタッチパネルまたはそれに類似する装置を開示する公知文献としては、例えば、下記の特許文献1〜3を挙げることができる。
【0006】
特許文献1に開示される自動販売機は、複数の商品に関する商品内容を表示する表示器において、各商品の表示部に対応してアンテナを備えており、ICカード等の媒体を非接触で近接させるとき、ICカード等からの送信信号を受信して商品の選択・確認等の入力処理が行われるように構成されている。
【0007】
特許文献2は、従来のICカードリーダライタの構成の一例を示すものである。このICカードリーダライタは、本体表面に設けられた表示部の一部にICカードの情報を読み取りまたは書き込む読取書込部を設けるように構成している。
【0008】
特許文献3はアンテナ付きタッチパネルを開示する。タッチパネルを備えた情報処理装置を無線通信システムに利用するときにおいて、タッチパネル内にマイクロストリップパッチによるアンテナを付加した構成とし、構成機器数を少なくして無線通信システムに適した構成とすることができる。
【特許文献1】特開平11−66398号公報
【特許文献2】特開平11−353432号公報
【特許文献3】特開2003−280815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の非接触式ICカードや当該ICカードと同等の機能を有する携帯電話機等の普及を考慮して、従来のタッチパネルにおいて、利用者のタッチによる選択操作およびタッチ位置検知に基づく入力処理に加えて、ICカード等による入力の操作・処理が利用者にとって容易にかつ便利に行えることが望まれる。さらにタッチパネルにおいてICカード等だけでタッチ位置検知の入力処理とカード処理とを1つのステップで同時にかつ簡単に行えることができることが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、従来のタッチ操作によるタッチ位置検知とICカード等の入力処理等を同時に1つのタッチ操作に対応して処理することができ、さらに装置構成に応じて近年普及されるICカード等のIC情報端末に適切に対応できるタッチパネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るタッチパネル装置は上記目的を達成するために次のように構成される。
【0012】
第1のタッチパネル装置(請求項1に対応)は、タッチ入力面を有するタッチパネルと、このタッチパネルを介して入力された信号を処理する信号処理部を備え、さらに、タッチ入力面に対応して設けられ、タッチ入力面に対してタッチ状態にあるIC情報端末(ICカード、同機能を有する携帯電話機やPDA等)との間で無線通信を行うアンテナを備え、上記信号処理部は、アンテナを介して取り込まれたIC情報端末からの信号を処理するIC情報処理部(ICカードリードライト等)を含むように構成されている。
【0013】
上記のタッチパネル装置では、近年普及されるようになってきたICカードや、ICカード機能付きの携帯電話機に対応して、タッチ入力面にアンテナを設け、かつ機能部としてIC情報処理部を備えることにより、タッチパネルのタッチ入力面に対してICカード等を接触または接近させるだけでICカード等との間の無線通信で各種の情報処理を行うことが可能となり、あるいはタッチ操作それ自体を検知することも可能となる。
【0014】
第2のタッチパネル装置(請求項2に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、タッチ入力面に対応して設けられ、タッチ入力面に対してタッチ状態(接触または近接等)にあるIC情報端末によるタッチ操作を検知するタッチ検知部を備え、信号処理部は、IC情報端末による1回のタッチ操作に基づき、タッチ検知部によるタッチ操作検知と、アンテナを介したIC情報端末の信号処理とを同時に行うことで特徴づけられる。この構成によれば、ICカード等を用いたタッチ操作行為で、タッチ検知による位置検出と、ICカード等の信号処理とを同時に行うことが可能であり、利用者の1つの選択行為で2つの入力・処理を同時に行うことが可能となる。
【0015】
第3のタッチパネル装置(請求項3に対応)は、上記の第2の構成において、好ましくは、アンテナは1つ設けられ、かつタッチ検知部は少なくとも1つ設けられることを特徴とする。
【0016】
第4のタッチパネル装置(請求項4に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、アンテナは、タッチ入力面に形成された複数の選択領域部のそれぞれに対応して複数設けられることで特徴づけられる。この構成によれば、ICカード等と複数のアンテナのそれぞれとの間の無線通信によってタッチ位置検知とICカード処理とを同時に行うことができる。
【0017】
第5のタッチパネル装置(請求項5に対応)は、上記第2の構成において、好ましくは、アンテナとタッチ検知部は、それぞれ、タッチ入力面に形成された複数の選択領域部の各々に対応して複数設けられることを特徴とする。この構成では、ICカード等と用いたタッチ入力面におけるタッチ位置の検知はタッチ検知部の構成に基づいて行い、ICカード等との無線通信はアンテナおよびこれに関連する構成に基づいて行う。これによって、より精度の高いタッチ位置検出を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タッチパネル装置に含まれるタッチパネル入力面に1つまたは複数のアンテナを設けかつアンテナを介した無線通信による信号の授受を処理する信号処理部を設けるようにしたため、ICカード等によるタッチ操作に対応してタッチ位置検知を行うことができ、さらにICカード等との間での必要な信号処理を同時に行うことができる。またタッチパネル装置において、上記のICカード等との無線通信機能および信号処理機能と、従来のタッチ操作位置検知機能とを組み合せるように構成することにより、より高いタッチ位置検出分解能を有した装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係るタッチパネル装置の応用例を示し、利用形態の一例を示している。図2は本発明に係るタッチパネル装置の第1実施形態の装置構成を示す。さらに図3は第1実施形態のタッチパネル装置のタッチパネル部分のみの正面図を拡大して示し、図4は図3におけるA−A線断面図を示す。
【0021】
第1実施形態のタッチパネル装置では、複数のアンテナによる信号検出と複数のタッチ検知とを同時に行える構成を備えている。
【0022】
図1は、一例として、本発明に係るタッチパネル装置が組み込まれた設置機器を示している。設置機器11は、例えばレストラン等の入口等に設置されている注文料理(料理商品等)を指定するための料理注文機(以下「料理注文機11」という)である。なお、設置機器11の他の例としては、鉄道駅舎等に配置される券売機や精算機等を想定することができる。
【0023】
料理注文機11の正面部には、各種の料理のいずれかを選択・指定等するための入力部12と、選択した料理の注文チケットやつり銭等を排出する出力部(チケット排出口等)13が形成されている。後述するごとく、入力部12はタッチパネルによって形成され、出力部13は出力装置によって形成されている。入力部12はタッチパネルのタッチ面となっている。本実施形態による入力部12、すなわちタッチパネルのタッチ面は、従来よく知られた通常のタッチ検知の機能部と、無線通信を受信等する機能部とを備えるように構成されている。通常のタッチ検知の機能部と無線通信を受信等する機能部については後述される。
【0024】
利用者14は、自身の所持するICカード15を、入力部12の入力面(タッチ面)に表示された複数の料理表示領域のいずれかに近づけて接触等させる。これにより、利用者14は、タッチ操作に基づく選択行為を行う。この選択行為に基づいて料理の注文が実行される。この選択行為により、タッチパネル装置では、ICカード15によるタッチ操作が行われると共に、当該ICカード15に関するICカード処理が行われる。ICカード処理は、ICカード15と入力部12の無線通信機能部との間の無線通信作用に基づいて行われる。タッチ操作検知とICカードに係る処理とが1つの操作行為によって同時に行われる。
【0025】
上記において、入力部12との間での無線通信を行う媒体としては、ICカード15の代わりに、ICカードと同等な機能を有する携帯電話機を用いることもできる。
【0026】
次に、図2〜図4を参照して、タッチパネル装置のシステム構成およびタッチパネルの構造を説明する。
【0027】
図2において破線21で示したブロックは前述したタッチパネルを意味している。タッチパネル21は、図3および図4に示すごとく、正面から見ると好ましくは比較的に大きな面積の長方形形状の正面部を有し、かつ例えば2つの層部分から成る積層構造を有したパネル部材である。タッチパネル21の正面部が上記の入力部12すなわちタッチ面を形成する。タッチパネル21の正面部の側から、第1の層部分は当該正面部すなわち入力部12を形成するタッチプレート22であり、第2の層部分はタッチプレート22の背面に配置されるボード状の表示装置23である。タッチプレート22は保護強化特性を有する透明板材で作られると共に、そのおもて面が入力面12となっている。正面部である入力面12がタッチ面となる。タッチプレート22の材料としては例えば透明アクリルガラスまたは強化ガラスである。
【0028】
図3に示すごとく、タッチパネル21の正面部(タッチ面)には例えば12個の選択領域部T1〜T12が設けられている。12個の選択領域部T1〜T12のそれぞれに1商品の料理内容が表示・表記されている。タッチパネル21の正面部には、選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応して例えば抵抗膜24が形成されている。当該抵抗膜24は、利用者14によるタッチ位置検知を行うための押圧式の感応部として機能する。抵抗膜24は、図示しないタッチ検知回路に電気的に接続されており、抵抗膜24に対して押圧接触が行われると、抵抗膜24の電気的抵抗値が変化する。これにより、タッチが行われた否かについて、タッチ検知回路における信号状態の変化に基づき検出することが可能となる。選択領域部T1〜T12の抵抗膜24のそれぞれに対応してタッチ検知回路は設けられている。
【0029】
上記利用者14がタッチパネル21の入力部12の選択領域部T1〜T12のうちのいずれかを選択してICカード15でタッチ行為を行うと、ICカード15の一部が抵抗膜24に触れ、当該選択領域部が選択されたことをシステム側で知ることが可能となる。
【0030】
タッチパネル21の選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応して設けられた押圧式タッチ検知のための抵抗膜24は、図2においては、概念的にタッチ検知器(A1)〜(A12)として示されている。タッチ検知器(A1)〜(A12)のいずれかで生じた信号状態、すなわち検知信号は、信号ラインSG1で信号処理部31に供給される。
【0031】
なおタッチパネル21に組み込まれたタッチ検知装置は、上記の押圧式のタッチ検知装置ではなく、光学式のタッチ検知装置として構成することも可能である。光学式のタッチ検知装置は、タッチパネル21のタッチ面を形成する長方形領域部の周囲辺部に複数の発光素子と受光素子の対を配列し、これによりタッチ面上でXY座標系を定義・設定し、発光素子と受光素子に基づく多数の対のうちのどの対の光線が遮られたかということに基づきタッチ位置を検知するように構成される。
【0032】
従って、前述した選択行為に係るタッチ操作は「接触または接近(非接触)」で行われる。このことは、本願の特許請求の範囲および明細書等の記載の全体を通じて共通の事項である。
【0033】
さらに、図3と図4において、タッチプレート22の例えば背面には、選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応してアンテナ25が付設される。アンテナ25は、極細配線または透明配線(金属の蒸着等に基づく)である。これらのアンテナ25は、ICカード用通信アンテナとして使用される。本来的に非接触式のICカード15が通信可能な所要の近距離状態で接近してくると、アンテナ25は、ICカード15に内蔵された無線通信機能部との間で感応作用および無線通信を行い、ICカード15からの発信信号を受信する。これにより、無線通信に基づき、利用者14が所持するICカード15から必要な情報を入手すること、およびデータ授受やデータ処理を行うことが可能となる。
【0034】
12個のアンテナ25は、アンテナ切替え部を介して送受信回路に電気的に接続されている。なお図3では送受信回路とアンテナ切替え部の図示は省略されている。複数のアンテナ25のそれぞれはアンテナ切替え部を介して送受信部と適宜なタイミングで接続される。いずれかのアンテナ25に対してICカード15の接近状態が生じると、当該アンテナがアンテナ切替え部を介して送受信部と接続された状態において、ICカード15と無線通信を行い、信号の授受を行う。これにより、ICカード15によるタッチ操作に基づきICカードに係る必要なデータ処理が実行される。
【0035】
上記利用者14がタッチパネル21の入力部12上における選択領域部T1〜T12のうちのいずれかを選択してICカード15で接近させタッチ操作を行うと、ICカード15と当該選択領域部に対応するアンテナ25とが無線通信を行い、当該選択領域部の選択に関連する信号処理を行うことが可能となる。この信号処理は、図2に示すごとく、信号処理部31に設けられたICカードリードライト32の機能に基づく処理である。
【0036】
タッチパネル21の選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応して設けられたアンテナ25は、図2では、送受信アンテナ(B1)〜(B12)として示されている。送受信アンテナ(B1)〜(B12)のいずれかで生じた送受信号は、信号ラインSG2とアンテナ切替え部26および送受信部27とを介して信号処理部31で送受される。
【0037】
タッチパネル21のタッチ面に表示される料理内容等の表示・表記は、上記表示装置23の表示画面によって提供される。表示装置23の表示画面に表示された料理内容等は、透明なタッチプレート22を通して、利用者14により視認される。図2等において、表示装置23の表示動作を制御する表示駆動制御装置の図示は省略されている。
【0038】
図2において、信号処理部31は、さらに記憶部33と出力装置34を備える。記憶部23は上記入力面12を通して入力された情報等を記憶する。出力装置34は上記出力部13に排出する注文チケット等を作成し、出力部13に供給する。
【0039】
次に、図5のフローチャートに従って上記タッチパネル装置の動作を説明する。タッチパネル装置の動作は信号処理部31によって実行される処理動作である。
【0040】
最初のステップS11では、料理注文機11のタッチパネル21に基づく入力面12でのタッチ検知操作状態に係る情報を入力する。タッチ検知の入力は、利用者14により、ICカード15を用いて、タッチ検知器A1〜A12(選択領域部T1〜T12の各抵抗膜24)でタッチ操作が行われた否かを信号処理部31の側から確認するためのものであり、各タッチ検知器からの信号SG1が用いられる。次の判断ステップS12では、ステップS11でのタッチ検知入力の情報に基づき、タッチ検知の有無が判断される。タッチ検知がない場合にはステップS11に戻り、同じ入力処理を繰り返す。タッチ検知が有る場合には、ステップS13に移行し、ここでタッチされた選択領域部(T1〜T12)に応じてタッチ操作に関連して必要とされる処理を実行する。
【0041】
次に、タッチ検知が行われた後にはステップS14を実行する。ステップS14はアンテナ切替え部26によってタッチ位置直近のアンテナ25への切替えを行う。次の判断ステップS15では、切り替えられたアンテナ25すなわち送受信アンテナ(B1〜B12)により、利用者14のICカード15との通信が確立したか否かが判定される。判断ステップS15でNOの場合にはステップS14に戻り、上記切替え処理を繰り返し、その都度、通信確立の有無を判定する。判断ステップS15でYESの場合にはステップS16を実行する。ステップS16によれば、選択された選択領域部のアンテナ25とICカード15との間で通信を行い、所要のICカード処理を実行する。このICカード処理では、前述のICカードリードライト32が機能する。
【0042】
最後のステップS17では、出力装置34を動作させ、必要な出力を行う。その後は、リターンされ、上記のステップS11〜S17が繰り返される。
【0043】
以上の第1実施形態に係るタッチパネル装置によれば、押圧式のタッチ検知機能部でICカード15によるタッチを検知し、タッチ検知を行ったとき、ほぼ同時に直近のアンテナ25でICカード15と無線通信を行って料金支払い等の必要なICカード処理を行うことができる。上記の構成によれば、低電力でICカードとの通信を行うことができ、さらにタッチ位置の検知精度および分解能を高くすることができる。こうしてタッチパネル11の入力部12に対して1回の操作行為でタッチ操作とICカード処理を行うことができる。さらにICカード15との通信を行えることをタッチ選択行為に基づく所要の出力動作の条件にすることにより悪戯操作等を防止することができる。
【0044】
次に図6〜図9を参照して本発明に係るタッチパネル装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るタッチパネル装置は、上記の第1実施形態に係るタッチパネル装置において押圧式または光学式のタッチ検知機能部のみが除かれた構成となっている点に特徴がある。図6は第2実施形態のタッチパネル装置の装置構成を示し、図7は第2実施形態のタッチパネル装置のタッチパネル部分のみの正面図を拡大して示し、図8は図7におけるB−B線断面図を示し、図9はフローチャートを示す。図6等において、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。
【0045】
この実施形態に係るタッチパネル装置では、前述した第1実施形態のタッチパネル装置でタッチ検知機能部のみが除かれた構成となっているので、図6〜図8では、抵抗膜24(タッチ検知器A1〜A12)およびこれに関連する構成部分が除かれている。その他の構成は基本的に第1実施形態のタッチパネル装置の構成と実質的に同じである。従って詳細な説明は第1実施形態での説明を援用することとする。
【0046】
次に、図9のフローチャートに従って第2実施形態のタッチパネル装置の動作を説明する。タッチパネル装置の動作は信号処理部31によって実行される処理動作である。
【0047】
利用者14が、ICカード15を用いて、料理注文機11のタッチパネル21による入力面12において選択行為を行うとする。この選択行為は第1実施形態のタッチ操作入力に相当する。選択行為では、ICカード15を選択領域部(T1〜T12)のいずれかに近づければよく、接触させる必要はない。
【0048】
最初のステップS21では、アンテナ切替え部26によってアンテナ25との接続関係を所定の順序に従って切り替える。次の判断ステップS22では、切り替えられた各アンテナ25すなわち送受信アンテナ(B1〜B12)によって、利用者14のICカード15との通信が確立したか否かが判定される。判断ステップS22でNOの場合にはステップS21に戻り、上記切替え処理を繰り返しながら通信確立の有無を判定する。判断ステップS22でYESの場合には、いずれかのアンテナで通信確立が成立したものとしてステップS23に移行し、このステップの処理内容を実行する。ステップS23によれば、ICカード15との通信が確立したアンテナの位置の情報に基づき、当該位置に対応する選択領域部に基づき選択処理を実行する。この選択処理は、前述したタッチ操作に係る処理と同等の処理である。さらに次のステップS24では、選択された選択領域部に対応するアンテナ25とICカード15との間で通信を行い、所要のICカード処理を実行する。このICカード処理では、前述のICカードリードライト32が機能する。
【0049】
最後のステップS25では、出力装置34を動作させ、必要な出力を行う。その後は、リターンされ、上記のステップS21〜S25が繰り返される。
【0050】
以上の第2実施形態に係るタッチパネル装置によれば、タッチ検知機能部を、ICカード15との間で通信が確立したアンテナ25の位置の検出で代用することができる。さらに当該アンテナ23で同時にICカード15との無線通信に基づき料金支払い等の必要なICカード処理が行われる。
【0051】
上記の構成によれば、低電力でICカードとの通信を行うことができ、さらに選択位置の検出精度および分解能を高くすることができる。こうしてタッチパネル11の入力部12に対して1回のICカード接近操作行為で選択操作入力とICカード処理を行うことができる。
【0052】
次に図10を参照して本発明に係るタッチパネル装置の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係るタッチパネル装置は装置構成を簡易化したものである。この実施形態に係るタッチパネル装置では、タッチパネル上においてICカード15と感応するアンテナが1つだけが設けられた構成となっており、かつ従来のごとき押圧式または光学式のタッチ検知機能部は設けられていない。この実施形態でも、前述した表示装置(23)が設けられ、タッチパネルの透明なタッチプレートを通して表示内容が視認できることは前述の実施形態と同じである。
【0053】
この実施形態のタッチパネル装置では、入力面において、どの箇所をタッチするかということは問題にされない。図10は、比較的に小さい入力面41を備えた簡易構成のタッチパネル42を示している。タッチパネル42には、1つのアンテナ43が適宜な箇所に設けられている。従って、利用者がそのICカード15を入力面41に近づけると、アンテナ43とICカード15との間に無線通信が行われる。無線通信に基づくICカード処理の内容は上記の実施形態と同様に信号処理部で処理される。この実施形態の場合には、タッチパネル42の入力面41において、どこがタッチされたか、あるいはどこが選択されたかということについては特定することはできない。しかし、タッチパネル42の入力面41上の表示内容にタッチを促す表示を行うことにより、直接タッチ操作行為を利用者に促すことができる。この第3の実施形態によるタッチパネル装置は、利用者にとって分かり易い操作方式である。
【0054】
次に図11を参照して本発明に係るタッチパネル装置の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係るタッチパネル装置は、第3実施形態のタッチパネル装置の変形実施形態で有る。この実施形態に係るタッチパネル装置では、タッチパネル51の入力面52上においてICカード15と感応するアンテナが1つだけが設けられると共に、従来の押圧式または光学式のタッチ検知機能部が設けられる。タッチ検知器53(抵抗膜等)の箇所は1つでもよいし、複数であってもよい。この実施形態でも、前述した表示装置(23)が設けられ、タッチパネル51の透明なタッチプレートを通して表示内容が視認できることは前述の実施形態と同じである。
【0055】
この実施形態のタッチパネル装置では、前述した第3実施形態のタッチパネル装置による検出処理、すなわち、利用者がICカード15を入力面52に近づけると、アンテナ54とICカード15との間に無線通信が行われて、無線通信に基づくICカード処理が実行されるのに加えて、さらに、タッチ検知器53でタッチ操作位置を検知することができる。このタッチパネル装置によれば、比較的に簡易な構成の下で、タッチ操作による選択の検知と、ICカード処理を同時に行うことができる。
【0056】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ICカード等の近接・接触を利用してタッチ操作と情報処理を行う場合において有効に対応するタッチパネル装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るタッチパネル装置の利用態様を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るタッチパネル装置の装置構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態におけるタッチパネルを正面状態および正面から見た構造を示す図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】第1実施形態に係るタッチパネル装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係るタッチパネル装置の装置構成を示す構成図である。
【図7】第2実施形態におけるタッチパネルを正面状態および正面から見た構造を示す図である。
【図8】図7におけるB−B線断面図である。
【図9】第2実施形態に係るタッチパネル装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係るタッチパネル装置の要部斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るタッチパネル装置の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
11 設置機器(料理注文機)
12 入力部
13 出力部
14 利用者
15 ICカード
21 タッチパネル
22 タッチプレート
23 表示装置
24 抵抗膜
25 アンテナ
31 信号処理部
T1〜T12 選択領域部
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル装置に関し、特に、無線通信用アンテナを付設して利用者の所持するICカード等との無線通信を可能にし通常のタッチ入力とICカード等による無線通信入力を同時に行えるようにしたタッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅舎に配置された券売機等のごとき従来の各種の機器の入力装置で使用されているタッチパネルは、抵抗膜に対する接触方式や光学的検知方式等を利用している。タッチパネルは、利用者が表示・入力用の画面に対してその指先や手先等でタッチ操作を行うことを検知してコンピュータに入力情報を提供するポインティングデバイスである。
【0003】
一方、近年の非接触式ICカードの普及、画像コンテンツ作成・提供技術の発展、大型表示器の普及などに基づき、インターネット等の通信網を介して画像表示とICカードの関連付けを行う等の応用例が増加しつつある。このような場合において、現状のタッチパネルを使用して例えば画面上に表示された商品を通常のタッチ操作で指定し、さらにその決済をICカードで行うように構成すると、利用者にとって操作上で手間がかかり、不便であるという問題が提起される。つまり、最初に画面上の画像にタッチ操作し、次に別途に用意されたICカードリーダライタにICカードをさらすという操作を行うという2つのステップの操作が必要となる。
【0004】
さらに公共の施設や場所に設置されているタッチパネルのICカード機器では、悪戯操作等を防止するため、操作に先立って利用者が対象となるICカードを所持していることを確認した後、すなわち投入やリーダライタへの接触操作の後、タッチ入力を許可するような制御が必要であった。
【0005】
本発明に関連する従来のタッチパネルまたはそれに類似する装置を開示する公知文献としては、例えば、下記の特許文献1〜3を挙げることができる。
【0006】
特許文献1に開示される自動販売機は、複数の商品に関する商品内容を表示する表示器において、各商品の表示部に対応してアンテナを備えており、ICカード等の媒体を非接触で近接させるとき、ICカード等からの送信信号を受信して商品の選択・確認等の入力処理が行われるように構成されている。
【0007】
特許文献2は、従来のICカードリーダライタの構成の一例を示すものである。このICカードリーダライタは、本体表面に設けられた表示部の一部にICカードの情報を読み取りまたは書き込む読取書込部を設けるように構成している。
【0008】
特許文献3はアンテナ付きタッチパネルを開示する。タッチパネルを備えた情報処理装置を無線通信システムに利用するときにおいて、タッチパネル内にマイクロストリップパッチによるアンテナを付加した構成とし、構成機器数を少なくして無線通信システムに適した構成とすることができる。
【特許文献1】特開平11−66398号公報
【特許文献2】特開平11−353432号公報
【特許文献3】特開2003−280815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の非接触式ICカードや当該ICカードと同等の機能を有する携帯電話機等の普及を考慮して、従来のタッチパネルにおいて、利用者のタッチによる選択操作およびタッチ位置検知に基づく入力処理に加えて、ICカード等による入力の操作・処理が利用者にとって容易にかつ便利に行えることが望まれる。さらにタッチパネルにおいてICカード等だけでタッチ位置検知の入力処理とカード処理とを1つのステップで同時にかつ簡単に行えることができることが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、従来のタッチ操作によるタッチ位置検知とICカード等の入力処理等を同時に1つのタッチ操作に対応して処理することができ、さらに装置構成に応じて近年普及されるICカード等のIC情報端末に適切に対応できるタッチパネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るタッチパネル装置は上記目的を達成するために次のように構成される。
【0012】
第1のタッチパネル装置(請求項1に対応)は、タッチ入力面を有するタッチパネルと、このタッチパネルを介して入力された信号を処理する信号処理部を備え、さらに、タッチ入力面に対応して設けられ、タッチ入力面に対してタッチ状態にあるIC情報端末(ICカード、同機能を有する携帯電話機やPDA等)との間で無線通信を行うアンテナを備え、上記信号処理部は、アンテナを介して取り込まれたIC情報端末からの信号を処理するIC情報処理部(ICカードリードライト等)を含むように構成されている。
【0013】
上記のタッチパネル装置では、近年普及されるようになってきたICカードや、ICカード機能付きの携帯電話機に対応して、タッチ入力面にアンテナを設け、かつ機能部としてIC情報処理部を備えることにより、タッチパネルのタッチ入力面に対してICカード等を接触または接近させるだけでICカード等との間の無線通信で各種の情報処理を行うことが可能となり、あるいはタッチ操作それ自体を検知することも可能となる。
【0014】
第2のタッチパネル装置(請求項2に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、タッチ入力面に対応して設けられ、タッチ入力面に対してタッチ状態(接触または近接等)にあるIC情報端末によるタッチ操作を検知するタッチ検知部を備え、信号処理部は、IC情報端末による1回のタッチ操作に基づき、タッチ検知部によるタッチ操作検知と、アンテナを介したIC情報端末の信号処理とを同時に行うことで特徴づけられる。この構成によれば、ICカード等を用いたタッチ操作行為で、タッチ検知による位置検出と、ICカード等の信号処理とを同時に行うことが可能であり、利用者の1つの選択行為で2つの入力・処理を同時に行うことが可能となる。
【0015】
第3のタッチパネル装置(請求項3に対応)は、上記の第2の構成において、好ましくは、アンテナは1つ設けられ、かつタッチ検知部は少なくとも1つ設けられることを特徴とする。
【0016】
第4のタッチパネル装置(請求項4に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、アンテナは、タッチ入力面に形成された複数の選択領域部のそれぞれに対応して複数設けられることで特徴づけられる。この構成によれば、ICカード等と複数のアンテナのそれぞれとの間の無線通信によってタッチ位置検知とICカード処理とを同時に行うことができる。
【0017】
第5のタッチパネル装置(請求項5に対応)は、上記第2の構成において、好ましくは、アンテナとタッチ検知部は、それぞれ、タッチ入力面に形成された複数の選択領域部の各々に対応して複数設けられることを特徴とする。この構成では、ICカード等と用いたタッチ入力面におけるタッチ位置の検知はタッチ検知部の構成に基づいて行い、ICカード等との無線通信はアンテナおよびこれに関連する構成に基づいて行う。これによって、より精度の高いタッチ位置検出を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タッチパネル装置に含まれるタッチパネル入力面に1つまたは複数のアンテナを設けかつアンテナを介した無線通信による信号の授受を処理する信号処理部を設けるようにしたため、ICカード等によるタッチ操作に対応してタッチ位置検知を行うことができ、さらにICカード等との間での必要な信号処理を同時に行うことができる。またタッチパネル装置において、上記のICカード等との無線通信機能および信号処理機能と、従来のタッチ操作位置検知機能とを組み合せるように構成することにより、より高いタッチ位置検出分解能を有した装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係るタッチパネル装置の応用例を示し、利用形態の一例を示している。図2は本発明に係るタッチパネル装置の第1実施形態の装置構成を示す。さらに図3は第1実施形態のタッチパネル装置のタッチパネル部分のみの正面図を拡大して示し、図4は図3におけるA−A線断面図を示す。
【0021】
第1実施形態のタッチパネル装置では、複数のアンテナによる信号検出と複数のタッチ検知とを同時に行える構成を備えている。
【0022】
図1は、一例として、本発明に係るタッチパネル装置が組み込まれた設置機器を示している。設置機器11は、例えばレストラン等の入口等に設置されている注文料理(料理商品等)を指定するための料理注文機(以下「料理注文機11」という)である。なお、設置機器11の他の例としては、鉄道駅舎等に配置される券売機や精算機等を想定することができる。
【0023】
料理注文機11の正面部には、各種の料理のいずれかを選択・指定等するための入力部12と、選択した料理の注文チケットやつり銭等を排出する出力部(チケット排出口等)13が形成されている。後述するごとく、入力部12はタッチパネルによって形成され、出力部13は出力装置によって形成されている。入力部12はタッチパネルのタッチ面となっている。本実施形態による入力部12、すなわちタッチパネルのタッチ面は、従来よく知られた通常のタッチ検知の機能部と、無線通信を受信等する機能部とを備えるように構成されている。通常のタッチ検知の機能部と無線通信を受信等する機能部については後述される。
【0024】
利用者14は、自身の所持するICカード15を、入力部12の入力面(タッチ面)に表示された複数の料理表示領域のいずれかに近づけて接触等させる。これにより、利用者14は、タッチ操作に基づく選択行為を行う。この選択行為に基づいて料理の注文が実行される。この選択行為により、タッチパネル装置では、ICカード15によるタッチ操作が行われると共に、当該ICカード15に関するICカード処理が行われる。ICカード処理は、ICカード15と入力部12の無線通信機能部との間の無線通信作用に基づいて行われる。タッチ操作検知とICカードに係る処理とが1つの操作行為によって同時に行われる。
【0025】
上記において、入力部12との間での無線通信を行う媒体としては、ICカード15の代わりに、ICカードと同等な機能を有する携帯電話機を用いることもできる。
【0026】
次に、図2〜図4を参照して、タッチパネル装置のシステム構成およびタッチパネルの構造を説明する。
【0027】
図2において破線21で示したブロックは前述したタッチパネルを意味している。タッチパネル21は、図3および図4に示すごとく、正面から見ると好ましくは比較的に大きな面積の長方形形状の正面部を有し、かつ例えば2つの層部分から成る積層構造を有したパネル部材である。タッチパネル21の正面部が上記の入力部12すなわちタッチ面を形成する。タッチパネル21の正面部の側から、第1の層部分は当該正面部すなわち入力部12を形成するタッチプレート22であり、第2の層部分はタッチプレート22の背面に配置されるボード状の表示装置23である。タッチプレート22は保護強化特性を有する透明板材で作られると共に、そのおもて面が入力面12となっている。正面部である入力面12がタッチ面となる。タッチプレート22の材料としては例えば透明アクリルガラスまたは強化ガラスである。
【0028】
図3に示すごとく、タッチパネル21の正面部(タッチ面)には例えば12個の選択領域部T1〜T12が設けられている。12個の選択領域部T1〜T12のそれぞれに1商品の料理内容が表示・表記されている。タッチパネル21の正面部には、選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応して例えば抵抗膜24が形成されている。当該抵抗膜24は、利用者14によるタッチ位置検知を行うための押圧式の感応部として機能する。抵抗膜24は、図示しないタッチ検知回路に電気的に接続されており、抵抗膜24に対して押圧接触が行われると、抵抗膜24の電気的抵抗値が変化する。これにより、タッチが行われた否かについて、タッチ検知回路における信号状態の変化に基づき検出することが可能となる。選択領域部T1〜T12の抵抗膜24のそれぞれに対応してタッチ検知回路は設けられている。
【0029】
上記利用者14がタッチパネル21の入力部12の選択領域部T1〜T12のうちのいずれかを選択してICカード15でタッチ行為を行うと、ICカード15の一部が抵抗膜24に触れ、当該選択領域部が選択されたことをシステム側で知ることが可能となる。
【0030】
タッチパネル21の選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応して設けられた押圧式タッチ検知のための抵抗膜24は、図2においては、概念的にタッチ検知器(A1)〜(A12)として示されている。タッチ検知器(A1)〜(A12)のいずれかで生じた信号状態、すなわち検知信号は、信号ラインSG1で信号処理部31に供給される。
【0031】
なおタッチパネル21に組み込まれたタッチ検知装置は、上記の押圧式のタッチ検知装置ではなく、光学式のタッチ検知装置として構成することも可能である。光学式のタッチ検知装置は、タッチパネル21のタッチ面を形成する長方形領域部の周囲辺部に複数の発光素子と受光素子の対を配列し、これによりタッチ面上でXY座標系を定義・設定し、発光素子と受光素子に基づく多数の対のうちのどの対の光線が遮られたかということに基づきタッチ位置を検知するように構成される。
【0032】
従って、前述した選択行為に係るタッチ操作は「接触または接近(非接触)」で行われる。このことは、本願の特許請求の範囲および明細書等の記載の全体を通じて共通の事項である。
【0033】
さらに、図3と図4において、タッチプレート22の例えば背面には、選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応してアンテナ25が付設される。アンテナ25は、極細配線または透明配線(金属の蒸着等に基づく)である。これらのアンテナ25は、ICカード用通信アンテナとして使用される。本来的に非接触式のICカード15が通信可能な所要の近距離状態で接近してくると、アンテナ25は、ICカード15に内蔵された無線通信機能部との間で感応作用および無線通信を行い、ICカード15からの発信信号を受信する。これにより、無線通信に基づき、利用者14が所持するICカード15から必要な情報を入手すること、およびデータ授受やデータ処理を行うことが可能となる。
【0034】
12個のアンテナ25は、アンテナ切替え部を介して送受信回路に電気的に接続されている。なお図3では送受信回路とアンテナ切替え部の図示は省略されている。複数のアンテナ25のそれぞれはアンテナ切替え部を介して送受信部と適宜なタイミングで接続される。いずれかのアンテナ25に対してICカード15の接近状態が生じると、当該アンテナがアンテナ切替え部を介して送受信部と接続された状態において、ICカード15と無線通信を行い、信号の授受を行う。これにより、ICカード15によるタッチ操作に基づきICカードに係る必要なデータ処理が実行される。
【0035】
上記利用者14がタッチパネル21の入力部12上における選択領域部T1〜T12のうちのいずれかを選択してICカード15で接近させタッチ操作を行うと、ICカード15と当該選択領域部に対応するアンテナ25とが無線通信を行い、当該選択領域部の選択に関連する信号処理を行うことが可能となる。この信号処理は、図2に示すごとく、信号処理部31に設けられたICカードリードライト32の機能に基づく処理である。
【0036】
タッチパネル21の選択領域部T1〜T12のそれぞれに対応して設けられたアンテナ25は、図2では、送受信アンテナ(B1)〜(B12)として示されている。送受信アンテナ(B1)〜(B12)のいずれかで生じた送受信号は、信号ラインSG2とアンテナ切替え部26および送受信部27とを介して信号処理部31で送受される。
【0037】
タッチパネル21のタッチ面に表示される料理内容等の表示・表記は、上記表示装置23の表示画面によって提供される。表示装置23の表示画面に表示された料理内容等は、透明なタッチプレート22を通して、利用者14により視認される。図2等において、表示装置23の表示動作を制御する表示駆動制御装置の図示は省略されている。
【0038】
図2において、信号処理部31は、さらに記憶部33と出力装置34を備える。記憶部23は上記入力面12を通して入力された情報等を記憶する。出力装置34は上記出力部13に排出する注文チケット等を作成し、出力部13に供給する。
【0039】
次に、図5のフローチャートに従って上記タッチパネル装置の動作を説明する。タッチパネル装置の動作は信号処理部31によって実行される処理動作である。
【0040】
最初のステップS11では、料理注文機11のタッチパネル21に基づく入力面12でのタッチ検知操作状態に係る情報を入力する。タッチ検知の入力は、利用者14により、ICカード15を用いて、タッチ検知器A1〜A12(選択領域部T1〜T12の各抵抗膜24)でタッチ操作が行われた否かを信号処理部31の側から確認するためのものであり、各タッチ検知器からの信号SG1が用いられる。次の判断ステップS12では、ステップS11でのタッチ検知入力の情報に基づき、タッチ検知の有無が判断される。タッチ検知がない場合にはステップS11に戻り、同じ入力処理を繰り返す。タッチ検知が有る場合には、ステップS13に移行し、ここでタッチされた選択領域部(T1〜T12)に応じてタッチ操作に関連して必要とされる処理を実行する。
【0041】
次に、タッチ検知が行われた後にはステップS14を実行する。ステップS14はアンテナ切替え部26によってタッチ位置直近のアンテナ25への切替えを行う。次の判断ステップS15では、切り替えられたアンテナ25すなわち送受信アンテナ(B1〜B12)により、利用者14のICカード15との通信が確立したか否かが判定される。判断ステップS15でNOの場合にはステップS14に戻り、上記切替え処理を繰り返し、その都度、通信確立の有無を判定する。判断ステップS15でYESの場合にはステップS16を実行する。ステップS16によれば、選択された選択領域部のアンテナ25とICカード15との間で通信を行い、所要のICカード処理を実行する。このICカード処理では、前述のICカードリードライト32が機能する。
【0042】
最後のステップS17では、出力装置34を動作させ、必要な出力を行う。その後は、リターンされ、上記のステップS11〜S17が繰り返される。
【0043】
以上の第1実施形態に係るタッチパネル装置によれば、押圧式のタッチ検知機能部でICカード15によるタッチを検知し、タッチ検知を行ったとき、ほぼ同時に直近のアンテナ25でICカード15と無線通信を行って料金支払い等の必要なICカード処理を行うことができる。上記の構成によれば、低電力でICカードとの通信を行うことができ、さらにタッチ位置の検知精度および分解能を高くすることができる。こうしてタッチパネル11の入力部12に対して1回の操作行為でタッチ操作とICカード処理を行うことができる。さらにICカード15との通信を行えることをタッチ選択行為に基づく所要の出力動作の条件にすることにより悪戯操作等を防止することができる。
【0044】
次に図6〜図9を参照して本発明に係るタッチパネル装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るタッチパネル装置は、上記の第1実施形態に係るタッチパネル装置において押圧式または光学式のタッチ検知機能部のみが除かれた構成となっている点に特徴がある。図6は第2実施形態のタッチパネル装置の装置構成を示し、図7は第2実施形態のタッチパネル装置のタッチパネル部分のみの正面図を拡大して示し、図8は図7におけるB−B線断面図を示し、図9はフローチャートを示す。図6等において、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。
【0045】
この実施形態に係るタッチパネル装置では、前述した第1実施形態のタッチパネル装置でタッチ検知機能部のみが除かれた構成となっているので、図6〜図8では、抵抗膜24(タッチ検知器A1〜A12)およびこれに関連する構成部分が除かれている。その他の構成は基本的に第1実施形態のタッチパネル装置の構成と実質的に同じである。従って詳細な説明は第1実施形態での説明を援用することとする。
【0046】
次に、図9のフローチャートに従って第2実施形態のタッチパネル装置の動作を説明する。タッチパネル装置の動作は信号処理部31によって実行される処理動作である。
【0047】
利用者14が、ICカード15を用いて、料理注文機11のタッチパネル21による入力面12において選択行為を行うとする。この選択行為は第1実施形態のタッチ操作入力に相当する。選択行為では、ICカード15を選択領域部(T1〜T12)のいずれかに近づければよく、接触させる必要はない。
【0048】
最初のステップS21では、アンテナ切替え部26によってアンテナ25との接続関係を所定の順序に従って切り替える。次の判断ステップS22では、切り替えられた各アンテナ25すなわち送受信アンテナ(B1〜B12)によって、利用者14のICカード15との通信が確立したか否かが判定される。判断ステップS22でNOの場合にはステップS21に戻り、上記切替え処理を繰り返しながら通信確立の有無を判定する。判断ステップS22でYESの場合には、いずれかのアンテナで通信確立が成立したものとしてステップS23に移行し、このステップの処理内容を実行する。ステップS23によれば、ICカード15との通信が確立したアンテナの位置の情報に基づき、当該位置に対応する選択領域部に基づき選択処理を実行する。この選択処理は、前述したタッチ操作に係る処理と同等の処理である。さらに次のステップS24では、選択された選択領域部に対応するアンテナ25とICカード15との間で通信を行い、所要のICカード処理を実行する。このICカード処理では、前述のICカードリードライト32が機能する。
【0049】
最後のステップS25では、出力装置34を動作させ、必要な出力を行う。その後は、リターンされ、上記のステップS21〜S25が繰り返される。
【0050】
以上の第2実施形態に係るタッチパネル装置によれば、タッチ検知機能部を、ICカード15との間で通信が確立したアンテナ25の位置の検出で代用することができる。さらに当該アンテナ23で同時にICカード15との無線通信に基づき料金支払い等の必要なICカード処理が行われる。
【0051】
上記の構成によれば、低電力でICカードとの通信を行うことができ、さらに選択位置の検出精度および分解能を高くすることができる。こうしてタッチパネル11の入力部12に対して1回のICカード接近操作行為で選択操作入力とICカード処理を行うことができる。
【0052】
次に図10を参照して本発明に係るタッチパネル装置の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係るタッチパネル装置は装置構成を簡易化したものである。この実施形態に係るタッチパネル装置では、タッチパネル上においてICカード15と感応するアンテナが1つだけが設けられた構成となっており、かつ従来のごとき押圧式または光学式のタッチ検知機能部は設けられていない。この実施形態でも、前述した表示装置(23)が設けられ、タッチパネルの透明なタッチプレートを通して表示内容が視認できることは前述の実施形態と同じである。
【0053】
この実施形態のタッチパネル装置では、入力面において、どの箇所をタッチするかということは問題にされない。図10は、比較的に小さい入力面41を備えた簡易構成のタッチパネル42を示している。タッチパネル42には、1つのアンテナ43が適宜な箇所に設けられている。従って、利用者がそのICカード15を入力面41に近づけると、アンテナ43とICカード15との間に無線通信が行われる。無線通信に基づくICカード処理の内容は上記の実施形態と同様に信号処理部で処理される。この実施形態の場合には、タッチパネル42の入力面41において、どこがタッチされたか、あるいはどこが選択されたかということについては特定することはできない。しかし、タッチパネル42の入力面41上の表示内容にタッチを促す表示を行うことにより、直接タッチ操作行為を利用者に促すことができる。この第3の実施形態によるタッチパネル装置は、利用者にとって分かり易い操作方式である。
【0054】
次に図11を参照して本発明に係るタッチパネル装置の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係るタッチパネル装置は、第3実施形態のタッチパネル装置の変形実施形態で有る。この実施形態に係るタッチパネル装置では、タッチパネル51の入力面52上においてICカード15と感応するアンテナが1つだけが設けられると共に、従来の押圧式または光学式のタッチ検知機能部が設けられる。タッチ検知器53(抵抗膜等)の箇所は1つでもよいし、複数であってもよい。この実施形態でも、前述した表示装置(23)が設けられ、タッチパネル51の透明なタッチプレートを通して表示内容が視認できることは前述の実施形態と同じである。
【0055】
この実施形態のタッチパネル装置では、前述した第3実施形態のタッチパネル装置による検出処理、すなわち、利用者がICカード15を入力面52に近づけると、アンテナ54とICカード15との間に無線通信が行われて、無線通信に基づくICカード処理が実行されるのに加えて、さらに、タッチ検知器53でタッチ操作位置を検知することができる。このタッチパネル装置によれば、比較的に簡易な構成の下で、タッチ操作による選択の検知と、ICカード処理を同時に行うことができる。
【0056】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ICカード等の近接・接触を利用してタッチ操作と情報処理を行う場合において有効に対応するタッチパネル装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るタッチパネル装置の利用態様を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るタッチパネル装置の装置構成を示す構成図である。
【図3】第1実施形態におけるタッチパネルを正面状態および正面から見た構造を示す図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】第1実施形態に係るタッチパネル装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係るタッチパネル装置の装置構成を示す構成図である。
【図7】第2実施形態におけるタッチパネルを正面状態および正面から見た構造を示す図である。
【図8】図7におけるB−B線断面図である。
【図9】第2実施形態に係るタッチパネル装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係るタッチパネル装置の要部斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るタッチパネル装置の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
11 設置機器(料理注文機)
12 入力部
13 出力部
14 利用者
15 ICカード
21 タッチパネル
22 タッチプレート
23 表示装置
24 抵抗膜
25 アンテナ
31 信号処理部
T1〜T12 選択領域部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力面を有するタッチパネルと、このタッチパネルを介して入力された信号を処理する信号処理手段を備えたタッチパネル装置において、
前記タッチ入力面に対応して設けられ、前記タッチ入力面に対してタッチ状態にあるIC情報端末との間で無線通信を行うアンテナ手段を備え、
前記信号処理手段は、前記アンテナ手段を介して取り込まれた前記IC情報端末からの信号を処理するIC情報処理手段を含むことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
前記タッチ入力面に対応して設けられ、前記タッチ入力面に対してタッチ状態にあるIC情報端末によるタッチ操作を検知するタッチ検知手段を備え、前記信号処理手段は、前記IC情報端末による1回のタッチ操作に基づき、前記タッチ検知手段によるタッチ操作検知と、前記アンテナ手段を介した前記IC情報端末の信号処理とを同時に行うことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記アンテナ手段は1つ設けられ、かつ前記タッチ検知手段は少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項2記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記アンテナ手段は、前記タッチ入力面に形成された複数の選択領域部のそれぞれに対応して複数設けられることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記アンテナ手段と前記タッチ検知手段は、それぞれ、前記タッチ入力面に形成された複数の選択領域部の各々に対応して複数設けられることを特徴とする請求項2記載のタッチパネル装置。
【請求項1】
タッチ入力面を有するタッチパネルと、このタッチパネルを介して入力された信号を処理する信号処理手段を備えたタッチパネル装置において、
前記タッチ入力面に対応して設けられ、前記タッチ入力面に対してタッチ状態にあるIC情報端末との間で無線通信を行うアンテナ手段を備え、
前記信号処理手段は、前記アンテナ手段を介して取り込まれた前記IC情報端末からの信号を処理するIC情報処理手段を含むことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
前記タッチ入力面に対応して設けられ、前記タッチ入力面に対してタッチ状態にあるIC情報端末によるタッチ操作を検知するタッチ検知手段を備え、前記信号処理手段は、前記IC情報端末による1回のタッチ操作に基づき、前記タッチ検知手段によるタッチ操作検知と、前記アンテナ手段を介した前記IC情報端末の信号処理とを同時に行うことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記アンテナ手段は1つ設けられ、かつ前記タッチ検知手段は少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項2記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記アンテナ手段は、前記タッチ入力面に形成された複数の選択領域部のそれぞれに対応して複数設けられることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記アンテナ手段と前記タッチ検知手段は、それぞれ、前記タッチ入力面に形成された複数の選択領域部の各々に対応して複数設けられることを特徴とする請求項2記載のタッチパネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−195925(P2006−195925A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9594(P2005−9594)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
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