説明

タッチパネル装置

【課題】 線形性及び分解能を向上させ、生産性を高めることができるタッチパネル装置を提供する。
【解決手段】 タッチパネル装置において、周囲電極4A〜4Dの各辺に平行で直線状に形成された補助電極5A〜5Dを補助電極同士が短絡しないように互いに一定の距離を置いて配置し、前記周囲電極4A〜4Dと前記補助電極5A〜5DとをITOパターン3で接続する。前記周囲電極4の四隅からコントロール部21へ接続するための接続線22〜25と、前記補助電極5A〜5Dそれぞれの両端から前記コントロール部21へ接続するための接続線31〜38を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、5線式タッチパネルは、その特性上能動領域(ITO膜のキーエリア)の電位(電界)が撓むため、より位置精度を高めるために電位(電界)を線形にする必要がある。
そのため、下記特許文献1では、タッチ・スクリーン・アセンブリの全域で線形な応答を示す能動領域を提供するために、基板の外周に沿って設けられた第1のパターンと、基板の外周から内側に向かって間隔をおいて分離した内周に沿って設けられた第2のパターンと、これらの第1のパターンと第2のパターン間に1つの領域で定義され、第1のパターンと第2のパターン間に延びる複数の分離した抵抗性通路を含む抵抗ゾーンと、を備えた構成としたコンタクト入力装置とするようにしている。
【0003】
また、下記特許文献2では、約200度以上の高温焼成が必要な、低抵抗導電ペーストにて電極パターンを形成し、電位(電界)が線形になるように能動領域の周囲に部分的に配置した入力装置を提供している。
さらに、電位(電界)が線形になるように、下記特許文献3では、ZとT字型の電極を能動領域の周囲に破線状に配置し、更に各辺の電極の中央部を内側に撓ませた入力装置を開示しており、下記特許文献4では、設計・製造が容易な電極を能動領域の周囲に破線状に配置した入力装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−221635号公報
【特許文献2】米国特許第5045644号公報
【特許文献3】米国特許第5736688号公報
【特許文献4】特開2009−003913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のコンタクト入力装置には以下のような課題がある。
まず、上記特許文献1では、第1のパターンと第2のパターンを額縁状に2重に配置し、第1のパターンと第2のパターン間の抵抗ゾーンに抵抗性通路を形成することで線形な電圧降下を発生させることができる。しかし、第1のパターンと第2のパターンを額縁状に2重に配置することで、各辺では並列回路が形成されて各辺の抵抗値が低くなり、電源から能動領域の四隅までの接続線(引き回しパターン)の抵抗値の影響を受け、ITO面(有効動作面)に印加される電圧値が低くなる。そのため、コントロールICの有効分解能が低くなり操作性が悪くなるといった問題があった。
【0006】
一方、上記特許文献2のように低抵抗銀ペーストを用いた場合は、パターン形状・配置により線形性(リニアリティ)を調整するためのパターン形状・配置の理論的な設計が難しく、何度か試作を繰り返さなければならない。さらに、低抵抗銀ペーストは高価であり、高温焼成(200度以上)が必要であるため、固定側透明電極基板や導電膜に熱ストレスが加わり、性能や作業性低下の原因となっている。また、性能の高い乾燥炉が必要となり、製品・製造装置とも高価になるといった問題があった。
【0007】
また、上記特許文献3のような不連続パターンは、不連続部分(例えば第一銀電極と第二銀電極間の導電膜がむき出しの部分)の線形性が悪く、その付近は操作禁止エリア(無効エリア)のためキー(有効)エリアが狭くなる。あるいはタッチパネルを大型にしてキー(有効)エリアを十分に確保する必要がある。また、各辺の電極の中央部を内側に歪ませて電位(電界)を直線化しているため、タッチパネルの額縁が広くなりタッチパネルが大きくなるという課題があった。更に、小サイズタッチパネル(例えば、3インチ)やワイド画面タッチパネルにこの方法を適用した場合、更に線形性が悪くなり対応できない。
【0008】
また、上記特許文献4では、設計・製造の容易な破線状の電極を用いるため、電極付近の線形性が悪く、上記特許文献3と同様の問題が生じる。
本発明は、上記状況に鑑みて、線形性及び分解能を高め、生産性を向上させることができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕タッチパネル装置において、矩形状の導電膜(2A)からなる能動領域と、この能動領域の周囲に配置され、上側周囲電極(4A),右側周囲電極(4B),下側周囲電極(4C),左側周囲電極(4D)からなる周囲電極(4)と、この周囲電極(4)の各辺に平行で直線状に形成される上側補助電極(5A),右側補助電極(5B),下側補助電極(5C),左側補助電極(5D)からなる補助電極(5)と、前記周囲電極(4)と前記補助電極(5)間を短絡させる導電物質(3)と、前記上側周囲電極(4A)と前記下側周囲電極(4C)間(Y方向)及び前記右側周囲電極(4B)と前記左側周囲電極(4D)間(X方向)への電圧印加の切り替えを行うコントロール部(21)と、このコントロール部(21)と前記上側周囲電極(4A)及び前記左側周囲電極(4D)とを接続する第1の接続線(22)と、前記コントロール部(21)と前記上側周囲電極(4A)及び前記右側周囲電極(4B)とを接続する第2の接続線(23)と、前記コントロール部(21)と前記左側周囲電極(4D)及び前記下側周囲電極(4C)とを接続する第3の接続線(24)と、前記コントロール部(21)と前記右側周囲電極(4B)及び前記下側周囲電極(4C)とを接続する第4の接続線(25)と、前記コントロール部(21)と前記補助電極(5A,5B,5C,5D)とを接続する第5の接続線(31〜38)とを備え、Y方向に電圧を印加する場合は、前記第1〜第4の接続線(22〜25)を介して前記上側周囲電極(4A)と前記下側周囲電極(4C)間に電圧を印加すると共に第5の接続線(32,34,36,38)を介して前記上側補助電極(5A)と前記下側補助電極(5C)間に電圧を印加し、X方向に電圧を印加する場合は、前記第1〜第4の接続線(22〜25)を介して前記右側周囲電極(4B)と前記左側周囲電極(4D)間に電圧を印加すると共に第5の接続線(31,33,35,37)を介して前記右側補助電極(5B)と前記左側補助電極(5D)間に電圧を印加することを特徴とする。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記補助電極(5)を補助電極同士が短絡しないように互いに一定の距離をおいて配置することを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記周囲電極(4)の電気抵抗率は前記矩形状の導電膜(2A)より低く、前記補助電極(5)より高い値とすることを特徴とする。
【0011】
〔4〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記補助電極(5)から前記コントロール部(21)への接続線を任意の数に形成するようにしたことを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記導電物質(3)をパターン化したことを特徴とする。
〔6〕上記〔5〕記載のタッチパネル装置において、前記導電物質(3)のパターン化を導電ペーストの塗布又はスクリーン印刷により行うことを特徴とする。
【0012】
〔7〕上記〔6〕記載のタッチパネル装置において、前記導電物質(3)がITO膜であることを特徴とする。
〔8〕上記〔5〕記載のタッチパネル装置において、前記導電物質(3)のパターン化を前記能動領域のITO膜を延長し、エッチングにより形成することを特徴とする。
〔9〕上記〔3〕記載のタッチパネル装置において、前記周囲電極(4)はAg/C混合パターンであり、前記補助電極(5)はAgパターンからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)従来品より線形性の向上を図ることができる。
(2)従来品より分解能の向上を図ることができる。
(3)小型サイズタッチパネルへの対応が可能である。
(4)電極パターンが太く直線となるため、生産性の向上を図ることができる。
【0014】
(5)ワイドタイプタッチパネルへの対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例を示すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例を示すタッチパネル装置の断面図である。
【図3】本発明の実施例を示すタッチパネル装置(縦型)の周囲電極、補助電極及び回路を示す全体平面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示すタッチパネル装置(横型)の周囲電極、補助電極及び回路を示す全体平面図である。
【図5】図4におけるタッチパネル装置(横型)の回路動作(Y方向電圧印加時)を示す図である。
【図6】図5におけるY方向電圧印加時の等価回路を示す図である。
【図7】図4におけるタッチパネル装置(横型)の回路動作(X方向電圧印加時)を示す図である。
【図8】図7におけるX方向電圧印加時の等価回路を示す図である。
【図9】本発明の第1変形例を示すタッチパネル装置の補助電極からの接続線(引き回しパターン)を示す図である。
【図10】本発明の第2変形例を示すタッチパネル装置の補助電極からの接続線(引き回しパターン)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のタッチパネル装置は、周囲電極(4)の各辺に平行で直線状に形成された補助電極(5)を補助電極同士が短絡しないように互いに一定の距離を置いて配置し、前記周囲電極(4)と前記補助電極(5)とを導電物質(3)で接続する。前記周囲電極(4)の四隅からコントロール部(21)へ接続するための接続線(引き回しパターン)(22〜25)と、前記補助電極5それぞれの両端からコントロール部(21)へ接続するための接続線(引き回しパターン)(31〜38)を配置する。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示すタッチパネル装置の分解斜視図、図2はそのタッチパネル装置の断面図、図3はそのタッチパネル装置(縦型)の周囲電極、補助電極及び回路を示す全体平面図である。
これらの図に示すように、このタッチパネル装置は、下部電極ガラス1と、上部電極フィルム11とからなる。その下部電極ガラス1は、固定側透明基板としてのソーダガラス2Bと矩形状のITO膜2AからなるITO膜付ガラス2、導電物質としてのITOパターン3、Ag/C混合パターン(Ag/C混合ペースト)からなる周囲電極4、その周囲電極4の外部に配置されるAgパターン(Agペースト)からなる補助電極5、フレキシブルコネクタ(テール)6、絶縁レジスト7、マイクロドット8からなる。
【0018】
一方、上部電極フィルム11は、粘着糊12を介して絶縁レジスト7上に配置されるPETフィルム13AとITO膜13BからなるITO膜付フィルム13と、このITO膜付フィルム13に接続されるAgパターン(Agペースト)からなる電極14とからなる。
ITO膜付ガラス2は、タッチパネル装置の能動領域となる導電膜としてのITO膜2Aがソーダガラス2B上に配置されて形成されている。このITO膜2Aの周囲に沿って矩形状の周囲電極4を配置し、その周囲電極4の四辺において、各辺に平行な直線形状の補助電極5を配置する。各辺の周囲電極4と補助電極5は導電物質としてのITOパターン3で互いに接続される。このITOパターン3は線形性を更に向上させるため、導電ペーストを塗布又はスクリーン印刷して形成しても良い。あるいは、図3に示しているように、能動領域のITO膜2Aを補助電極5まで延長し、ITO膜2AのエッチングにてITOパターン3を形成するようにしてもよい。ITOパターン3をこのように構成することにより、電流を制限し、線形性を向上させることができる。なお、周囲電極4の電気抵抗率は、ITO膜2Aより低く補助電極5より高い値とする。すなわち、補助電極5の電気抵抗率は、ITO膜2Aや周囲電極4より低い値とする。
【0019】
ITO膜2Aの外周に配置されるAg/C混合パターン(Ag/C混合ペースト)からなる周囲電極4は、図3に示すように、上側周囲電極4A,右側周囲電極4B,下側周囲電極4C,左側周囲電極4Dから構成されている。これらの周囲電極4A〜4Dの外側に、エッチングされたITOパターン3を介して上側補助電極5A,右側補助電極5B,下側補助電極5C,左側補助電極5Dが配置される。
【0020】
これらの補助電極5A〜5Dは、補助電極同士が短絡しないように互いに一定の距離を置いて配置する。なお、周囲電極4の各辺の長さと対応する補助電極5の長さは同じでなくても良い。
さらに、上記した各電極に電圧を印加するためにコントロール部21が配置される。
コントロール部21には、上側周囲電極4Aと左側周囲電極4Dに接続される第1の接続線22と、上側周囲電極4Aと右側周囲電極4Bに接続される第2の接続線23と、左側周囲電極4Dと下側周囲電極4Cに接続される第3の接続線24と、右側周囲電極4Bと下側周囲電極4Cに接続される第4の接続線25と、各辺の補助電極5A,5B,5C,5Dの両端にそれぞれ接続される第5の接続線31〜38とが接続される。
【0021】
次に、本発明のタッチパネル装置の制御方法について説明する。
図4は本発明の他の実施例を示すタッチパネル装置(横型)の周囲電極、補助電極及び回路を示す全体平面図、図5は図4におけるタッチパネル装置(横型)の回路動作(Y方向電圧印加時)を示す図、図6はそのY方向電圧印加時の等価回路を示す図、図7は図4におけるタッチパネル装置(横型)の回路動作(X方向電圧印加時)を示す図、図8はそのX方向電圧印加時の等価回路を示す図である。
【0022】
Y方向に電圧を印加する場合は、上側周囲電極4Aの両端と上側補助電極5Aの両端に5Vを接続し、下側周囲電極4Cの両端と下側補助電極5Cの両端に0Vを接続する。これにより、図5及び図6に示すように、
(a)上側補助電極5Aと上側周囲電極4Aは並列回路となるため、抵抗値が低くなり、等電位線がより水平に近づき線形性が良くなる。
【0023】
(b)下側補助電極5Cと下側周囲電極4Cは並列回路となるため、抵抗値が低くなり、等電位線がより水平に近づき線形性が良くなる。
(c)右側補助電極5Bと右側周囲電極4Bは部分的にITOパターン3により短絡しているが、第2の接続線23と第5の接続線33、第4の接続線25と第5の接続線37の短絡はないため抵抗値は高いままであり、分解能も高くなる。
【0024】
(d)左側補助電極5Dと左側周囲電極4Dは部分的にITOパターン3により短絡しているが、第1の接続線22と第5の接続線31、第3の接続線24と第5の接続線35の短絡はないため抵抗値は高いままであり、分解能も高くなる。
このようにY方向に電圧を印加する場合、上側周囲電極4Aと上側補助電極5A及び下側周囲電極4Cと下側補助電極5Cは配線で短絡されて並列回路が成り立っているため、補助電極5A,5Cの抵抗値が低くなり、電圧の撓みが小さくなる。更に、右側周囲電極4Bと右側補助電極5B及び左側周囲電極4Dと左側補助電極5Dは配線で短絡していないので、抵抗値が高い。従って、線形性もよく、コントロールICの分解能の有効部分が大きいタッチパネル装置を供給することができる。
【0025】
一方、X方向に電圧を印加する場合は、左側周囲電極4Dの両端と左側補助電極5Dの両端に5Vを接続し、右側周囲電極4Bの両端と右側補助電極5Bの両端に0Vを接続する。これにより、図7及び図8に示すように、
(a)上側補助電極5Aと上側周囲電極4Aは部分的にITOパターン3により短絡しているが、第1の接続線22と第5の接続線32、第2の接続線23と第5の接続線34の短絡はないため抵抗値は高いままであり、分解能も高くなる。
【0026】
(b)下側補助電極5Cと下側周囲電極4Cは部分的にITOパターン3により短絡しているが、第3の接続線24と第5の接続線36、第4の接続線25と第5の接続線38の短絡はないため抵抗値は高いままであり、分解能も高くなる。
(c)右側補助電極5Bと右側周囲電極4Bは並列回路となるため、抵抗値が低くなり、等電位線がより水平に近づき線形性が良くなる。
【0027】
(d)左側補助電極5Dと左側周囲電極4Dは並列回路となるため、抵抗値が低くなり、等電位線がより水平に近づき線形性が良くなる。
図9は本発明の第1変形例を示すタッチパネル装置の補助電極からの接続線(引き回しパターン)を示す図、図10は本発明の第2変形例を示すタッチパネル装置の補助電極からの接続線(引き回しパターン)を示す図である。
【0028】
補助電極5からコントロール部21への接続線(引き回しパターン)は、図9に示すように、補助電極5の中央部の1箇所に接続するようにしたり、図10に示すように、補助電極5の両端と中央部の3箇所に接続するようにしてもよい。つまり、補助電極からの接続線(引き回しパターン)は任意に設定することができる。
上記のように構成することによって、本発明によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
【0029】
(1)線形性について
Y方向電圧印加時は、上側補助電極5Aと上側周囲電極4Aが並列回路となり抵抗値が小さくなるので、5線式タッチパネル特有の電極中央部の電位が撓む現象が小さくなり線形性が良くなる。同様に下側周囲電極4Cと下側補助電極5Cが並列回路となり抵抗値が小さくなるので、電位の撓みが小さくなり線形性が向上する。
【0030】
また、X方向電圧印加時は、右側補助電極5Bと右側周囲電極4Bが並列回路となり抵抗値が小さくなるので、5線式タッチパネル特有の電極中央部の電位が撓む現象が小さくなり線形性が良くなる。同様に左側周囲電極4Dと左側補助電極5Dが並列回路となり抵抗値が小さくなるので、電位の撓みが小さくなり線形性が向上する。
(2)分解能について
Y方向電圧印加時における上側周囲電極4Aと下側周囲電極4C間のY方向電圧降下は、右側補助電極5Bと左側補助電極5Dの両端が解放状態であるため、右側補助電極5Bと左側補助電極5Dの影響をほぼ受けずに右側周囲電極4B、左側周囲電極4Dの値で決まり、コントロールICの分解能の有効範囲が広くなり、操作性が従来より良くなる。
【0031】
一方、X方向電圧印加時における右側周囲電極4Bと左側周囲電極4D間のX方向電圧降下は、上側補助電極5Aと下側補助電極5Cの両端が解放状態であるため、上側補助電極5Aと下側補助電極5Cの影響をほぼ受けずに上側周囲電極4Aと下側周囲電極4Cの値で決まり、コントロールICの分解能の有効範囲が広くなり、操作性が従来より良くなる。
【0032】
(3)小型サイズ対応について
従来の5線式タッチパネルを小型サイズ化した場合、各辺が短いため抵抗値が小さくなりITO膜に印加される電圧値も小さくなり操作性が悪くなる。
本発明ではタッチパネル装置の周囲電極の抵抗値が高く設定されているため、小型サイズのタッチパネルであってもITO膜に印加される電圧が高く操作性が良い。
【0033】
また、補助電極の抵抗値が低く設定されているため、5線式タッチパネル特有の電圧の撓みも小さくでき、位置精度も高く操作性が良くなる。
(4)生産性について
周囲電極や補助電極は直線で太いパターンであるため印刷不良が軽減でき歩留向上に繋がる。また、市販の導電ペーストを使用するため安価であり、乾燥温度も150度程度でよいため安価な乾燥炉を使用することができる。
【0034】
(5)ワイド画面対応について
従来の5線式タッチパネルをワイド画面化し横長に設置した場合、X方向に電圧を印加する時、短辺に沿って電圧の撓みが発生するが、本発明では辺の長さが短いため撓みが小さく線形性がよい。また、長辺に沿って電圧が印加されるため、長辺は長い分抵抗値が高くITO膜に印加される電圧値も高くなり、分解能もよく操作性が良い。
【0035】
また、従来の5線式タッチパネルにY方向に電圧を印加する場合、長辺に沿って電圧の撓みが発生し、辺が長い分抵抗値も高くなるため、撓みが更に大きくなり線形性が悪い。また、短辺に沿って電圧が印加されるため、辺が短い分抵抗値が小さくなり、ITO膜に印加される電圧値も小さくなり操作性が悪くなる。これに対し、本発明をワイド画面タッチパネルに適用すると補助電極の影響で辺が長く(抵抗値が高く)ても撓みは小さく線形性が良い。更に辺が短くても周囲電極の抵抗値が高く設定されているため抵抗値が大きくなり、ITO膜に印加される電圧も大きくなり操作性が良い。
【0036】
(6)設計について
周囲電極や補助電極のパターンが直線状なので、設計を容易にすることができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のタッチパネル装置は、線形性及び分解能を高めた、ワイド画面に対応可能なタッチパネル装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 下部電極ガラス
2 ITO膜付ガラス
2A 矩形状のITO膜(能動領域)
2B ソーダガラス
3 ITOパターン
4 周囲電極
4A 上側周囲電極
4B 右側周囲電極
4C 下側周囲電極
4D 左側周囲電極
5 補助電極
5A 上側補助電極
5B 右側補助電極
5C 下側補助電極
5D 左側補助電極
6 フレキシブルコネクタ(テール)
7 絶縁レジスト
8 マイクロドット
11 上部電極フィルム
12 粘着糊
13 ITO膜付フィルム
13A PETフィルム
13B ITO膜
14 電極
21 コントロール部
22 第1の接続線
23 第2の接続線
24 第3の接続線
25 第4の接続線
31〜38 第5の接続線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)矩形状の導電膜からなる能動領域と、
(b)該能動領域の周囲に配置され、上側周囲電極,右側周囲電極,下側周囲電極,左側周囲電極からなる周囲電極と、
(c)該周囲電極の各辺に平行で直線状に形成される上側補助電極,右側補助電極,下側補助電極,左側補助電極からなる補助電極と、
(d)前記周囲電極と前記補助電極間を短絡させる導電物質と、
(e)前記上側周囲電極と前記下側周囲電極間(Y方向)及び前記右側周囲電極と前記左側周囲電極間(X方向)への電圧印加の切り替えを行うコントロール部と、該コントロール部と前記上側周囲電極及び前記左側周囲電極とを接続する第1の接続線と、前記コントロール部と前記上側周囲電極及び前記右側周囲電極とを接続する第2の接続線と、前記コントロール部と前記左側周囲電極及び前記下側周囲電極とを接続する第3の接続線と、前記コントロール部と前記右側周囲電極及び前記下側周囲電極とを接続する第4の接続線と、前記コントロール部と前記補助電極とを接続する第5の接続線とを備え、
(f)Y方向に電圧を印加する場合は、前記第1〜第4の接続線を介して前記上側周囲電極と前記下側周囲電極間に電圧を印加すると共に前記第5の接続線を介して前記上側補助電極と前記下側補助電極間に電圧を印加し、X方向に電圧を印加する場合は、前記第1〜第4の接続線を介して前記右側周囲電極と前記左側周囲電極間に電圧を印加すると共に第5の接続線を介して前記右側補助電極と前記左側補助電極間に電圧を印加することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記補助電極を補助電極同士が短絡しないように互いに一定の距離をおいて配置することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記周囲電極の電気抵抗率は前記矩形状の導電膜より低く、前記補助電極より高い値とすることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記補助電極から前記コントロール部への接続線を任意の数に形成するようにしたことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記導電物質をパターン化したことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項5記載のタッチパネル装置において、前記導電物質のパターン化を導電ペーストの塗布又はスクリーン印刷により行うことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項7】
請求項6記載のタッチパネル装置において、前記導電物質がITOであることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項8】
請求項5記載のタッチパネル装置において、前記導電物質のパターン化を前記能動領域のITO膜を延長し、エッチングにより形成することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項9】
請求項3記載のタッチパネル装置において、前記周囲電極はAg/C混合パターンであり、前記補助電極はAgパターンからなることを特徴とするタッチパネル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−3049(P2011−3049A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146039(P2009−146039)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】