説明

タッチパネル装置

【課題】タッチパネルの入力エリアを広げても、タッチパネルの導電層の断線を防止することが可能なタッチパネル装置を提案する。
【解決手段】タッチパネル装置1のタッチパネル3は、第1の基板7と、第2の基板8と、第1の基板7の裏面に形成される第1の導電層9と、第2の基板8の表面に形成される第2の導電層10と、第1の導電層9と第2の導電層10との間に配置される枠状の絶縁部材11とを備えている。タッチパネル3の、絶縁部材11の内周端11aよりも内周側には、タッチパネル3の入力エリア12が形成されている。第1の基板7の表面には、板状の保護部材15が貼り付けられている。保護部材15は、入力エリア12の外周部に配置され、第1の基板7の表面側から見たときに絶縁部材11の内周端11aを覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを有するタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器の操作に用いられる感圧式のタッチパネルが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のタッチパネルは、図4に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等からなる光透過性の上基板101と、ガラス等からなる光透過性の下基板102とを備えている。ユーザーの指やペン等で押圧操作されるタッチパネルの操作面の側(図4の上側)を「上」側とし、その反対側(図4の下側)を「下」側とすると、上基板101の下面には、光透過性の上導電層103が形成され、下基板102の上面には、光透過性の下導電層104が形成されている。上導電層103には、一対の上電極(図示省略)が形成され、下導電層104には、上電極に直交する一対の下電極(図示省略)が形成されている。上導電層103と下導電層104との間には、四角枠状の絶縁部材(スペーサー)105が配置されており、上導電層103と下導電層104とは、所定の隙間を介して対向している。また、タッチパネルは、電子機器の筺体106(図4(A)参照)の内部に配置されており、タッチパネルの入力エリア(キーエリア)は、筺体106の窓枠106aの中に配置されている。
【0003】
図示を省略する液晶装置等の表示に応じて、上基板101の上面(すなわち、タッチパネルの操作面)を指やペン等で押圧操作すると、図4(B)に示すように、上基板101が撓み、押圧された箇所の上導電層103が下導電層104に接触して導通する。このときの上電極の電圧値と下電極の電圧値とに基づいて、タッチパネルの押圧操作された箇所が特定され、タッチパネルが搭載される電子機器では、所定の処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−242909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4(C)に示すように、上基板101の、絶縁部材105の直近部分が押圧操作されると、絶縁部材105の内周端105aを支点にして上基板101が大きく屈曲するため、上導電層103の、絶縁部材105の内周端105aとの接触部分に大きな曲げ応力が加わって、絶縁部材105の近傍で上導電層103が断線するおそれがある。特許文献1に記載のタッチパネルのように、筺体106の窓枠106aが、絶縁部材105の内周端105aよりも内周側に配置されていれば(図4(A)参照)、上基板101の、絶縁部材105の直近部分が押圧されないため、かかる問題を解消することが可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のタッチパネルの場合、窓枠106aが、絶縁部材105の内周端105aよりも内周側に配置されているため、窓枠106aの内側のエリアであるタッチパネルの開口エリアが狭くなる。一方、窓枠106aを広げて、窓枠106aを絶縁部材105の内周端105aに近づければ、タッチパネルの開口エリアを広げることは可能であるが、窓枠106aを広げると、筺体106およびタッチパネルの部品精度や電子機器の組立精度によっては、窓枠106aが、絶縁部材105の内周端105aよりも外周側に配置されて、上基板101の、絶縁部材105の直近部分が露出するおそれがある。したがって、窓枠106aを広げて開口エリアを広げると、上述のように、上基板101の、絶縁部材105の直近部分が押圧操作されて、絶縁部材105の近傍で上導電層103が断線するおそれがある。
【0007】
また、一般に、絶縁部材105の上部には、タッチパネルの回路部分が配置されている。この部分は、回路基板や導電ペースト印刷やマスキング印刷などの影響で、緑色、灰色、肌色等の様々な色合いに見えることがあり、製品としての美観の配慮がなされていないことが多い。そのため、タッチパネルの開口エリアを広げて、この回路部分が露出すると、製品としての美観を損ねるおそれがある。
【0008】
また、特許文献1に記載のタッチパネルの場合、図4(A)に示すように、窓枠106aが形成される筐体106のベゼル部106bの下面が上基板101の上面に当接している。そのため、筺体106およびタッチパネルの部品精度や電子機器の組立精度の影響で、窓枠106aがタッチパネルの入力エリア内に配置されると、電子機器の画面の角度調節等で筐体106のベゼル部106bをユーザーが掴んだときに、ベゼル部106bによってタッチパネルに誤入力されるおそれがある。この誤入力を避けるためには、ベゼル部106bの下面と上基板101の上面との間に隙間を設ければ良い。
【0009】
しかしながら、ベゼル部106bの下面と上基板101の上面との間に隙間を設けると、ベゼル部106bと上基板101との間に砂や小麦粉等の異物が入るおそれがある。ベゼル部106bと上基板101との間に異物が入ると、上基板101が押されたままの状態になる故障や、異物による誤入力が生じるおそれがある。また、ベゼル部106bと上基板101との間に入った異物を取り除く際に、上基板101の、絶縁部材105の直近部分が押圧されて、上述のように、絶縁部材105の近傍で上導電層103が断線するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、タッチパネルの開口エリアを広げても、タッチパネルの導電層の断線を防止することが可能で、かつ、製品としての美観を確保しデザイン的な自由度を損なわないタッチパネル装置を提案することにある。また、本発明の第2の課題は、タッチパネルの開口エリアを広げても、砂や小麦粉等の異物のある環境で使用することが可能で、異物が詰まっても除去しやすく、かつ、タッチパネルへの誤入力や故障が起こりにくいタッチパネル装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明のタッチパネル装置は、第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板の裏面に形成される第1の導電層と、前記第2の基板の表面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置される枠状の絶縁部材と、を有するタッチパネルと、前記第1の基板の表面に貼り付けられる板状の保護部材と、を備え、前記タッチパネルの、前記絶縁部材の内周端よりも内周側には、前記タッチパネルへの入力操作が可能な入力エリアが形成され、前記保護部材は、前記入力エリアの外周部に配置され、前記第1の基板の表面側から見たときに前記絶縁部材の内周端を覆っていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、タッチパネルの入力エリアの外周部に配置される保護部材は、第1の基板の表面側から見たときに絶縁部材の内周端を覆っている。そのため、保護部材によって、第1の基板の、絶縁部材の直近部分を覆うことが可能になる。また、本発明では、保護部材は、第1の基板の表面に貼り付けられている。そのため、入力エリアが広がるように、保護部材の内周端を絶縁部材の内周端に近づけても、保護部材によって、第1の基板の、絶縁部材の直近部分を確実に覆うことが可能になる。すなわち、入力エリアが広がるように、保護部材の内周端を絶縁部材の内周端に近づけても、タッチパネル装置の組立誤差に起因して、第1の基板の、絶縁部材の直近部分が露出するのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、タッチパネルの入力エリア、および、タッチパネルが内部に配置される筺体の開口部の内側のエリアである開口エリアを広げても、第1の基板の、絶縁部材の直近部分が押圧されて、絶縁部材の近傍で第1の導電層が断線するのを防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、前記保護部材は、枠状に形成され、前記保護部材の内周端は、前記入力エリアの外周端と前記絶縁部材の内周端との間に配置されていることが好ましい。このように構成すると、タッチパネルの入力エリアが保護部材によって覆われるのを防止することができる。また、このように構成すると、保護部材によって、絶縁部材の内周端を確実に覆うことができる。
【0014】
本発明において、前記保護部材の剛性は、前記第1の基板の剛性よりも高いことが好ましい。このように構成すると、保護部材が押圧されても、第1の基板は、絶縁部材の内周端を支点にして大きく屈曲しにくくなる。したがって、絶縁部材の近傍で第1の導電層が断線するのを効果的に防止することが可能になる。なお、保護部材の剛性が第1の基板の剛性より低くても、保護部材によって第1の基板が補強されるため、保護部材が押圧されたときに、第1の基板は、絶縁部材の内周端を支点にして大きく屈曲しにくくなる。
【0015】
本発明において、前記保護部材は、直線状に形成される4個の直線状部材、または、L形状に形成される2個のL形状部材、あるいは、2個の前記直線状部材および1個の前記L形状部材によって、四角形の枠状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、保護部材が1個の四角形の枠状部材によって構成されている場合と比較して、保護部材の部品コストを低減することが可能になる。すなわち、保護部材が1個の四角形の枠状部材によって構成されている場合、保護部材を形成するための母材の中心部分を取り除いて保護部材を形成する必要があり、母材の中心部分が廃棄されるため、保護部材の部品コストが高くなるが、直線状部材やL形状部材によって保護部材が構成されている場合には、母材の廃棄される部分を低減して、保護部材の部品コストを低減することが可能になる。
【0016】
本発明において、タッチパネル装置は、前記第2の基板の裏面側に配置される表示装置を有し、前記保護部材は、透明であることが好ましい。このように構成すると、タッチパネルの第1の基板の表面に保護部材が貼り付けられていても、表示装置の表示エリアを広げることが可能になる。
【0017】
本発明において、前記保護部材は、黒色であっても良い。この場合には、絶縁部材の上部のタッチパネルの回路部分が第1の基板の表面側から見えなくなる。したがって、タッチパネル装置の製品としての美観を確保することが可能になる。特に、保護部材が艶消しの黒色であれば、保護部材の色が、第2の基板の裏面側に配置される表示装置の画面の縁の黒色の非表示部と略同色となるため、タッチパネル装置の製品としての美観を損なうことなく、回路部分を覆うことができる。また、この場合には、保護部材によって、タッチパネルの回路部分が第1の基板の表面側から見えなくなるため、タッチパネル装置の製品としての美観を確保しつつ、タッチパネルが内部に配置される筺体等を比較的自由にデザインすることができる。すなわち、この場合には、タッチパネル装置の製品としての美観を確保しつつ、デザイン的な自由度を損なうことがなくなる。
【0018】
本発明において、タッチパネル装置は、前記タッチパネルが内部に配置される筺体を有し、前記筺体には、前記入力エリアを露出させるための開口部が形成され、前記開口部の縁は、枠状に形成される前記保護部材の内周端よりも外周側に、かつ、前記保護部材の外周端よりも内周側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、タッチパネルの入力エリアが筺体によって覆われるのを防止することができる。また、このように構成すると、タッチパネルと筺体との間に入り込んだ砂や小麦粉等の異物がタッチパネルに直接接触するのを保護部材によって防止することが可能になる。したがって、タッチパネルと筺体との間に入り込んだ砂や小麦粉等の異物によるタッチパネルへの誤入力を防止することが可能になる。また、タッチパネルと筺体との間に異物が入り込んだときに、たとえば、先端の尖った道具でこの異物を取り除こうとした場合、保護部材によってタッチパネルを保護して、タッチパネルが破壊されるのを防止することが可能になる。したがって、タッチパネルと筺体との間に異物が詰まっても、異物を除去しやすくなる。また、このように構成すると、保護部材が透明であれば、第2の基板の裏面側に配置される表示装置の表示エリアを広げることが可能になる。
【0019】
本発明において、タッチパネル装置は、前記タッチパネルが内部に配置される筺体と、前記筺体の内部に配置され前記タッチパネルが固定されるパネル固定用フレームとを有し、前記筺体は、前記筺体の表側部分を構成するベゼル部を有し、前記ベゼル部は、前記パネル固定用フレームに向かって突出し、前記パネル固定用フレームに当接する突出部を有し、前記ベゼル部と前記保護部材との間には、隙間が形成されていることが好ましい。このように構成すると、タッチパネル装置の角度調整等を行うために、ベゼル部が掴まれて押圧されたときに、ベゼル部が保護部材に接触して保護部材を押圧するのを突出部によって防止することが可能になる。したがって、タッチパネル装置への誤入力を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかるタッチパネル装置を用いたプリンターの斜視図。
【図2】タッチパネル装置の主要部の断面図。
【図3】保護部材が取り付けられた状態のタッチパネルの斜視図。
【図4】従来技術にかかるタッチパネルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を適用したタッチパネル装置を説明する。
【0022】
(タッチパネル装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるタッチパネル装置1を用いたプリンター2の斜視図である。図2は、タッチパネル装置1の主要部の断面図である。図3は、保護部材15が取り付けられた状態のタッチパネル3の斜視図である。
【0023】
本形態のタッチパネル装置1は、たとえば、図1に示すように、プリンター2に取り付けられて使用される。このタッチパネル装置1は、感圧式のタッチパネル3を備えている。タッチパネル3は、タッチパネル装置1の筺体4の内部に配置されている。筺体4の内部には、タッチパネル3に加え、図2に示すように、液晶装置(表示装置)5が配置されている。
【0024】
タッチパネル3は、所定の厚みを有する長方形状または正方形状に形成されている。このタッチパネル3は、光透過性を有するPETフィルム等からなる基板(第1の基板)7と、光透過性を有するガラス等からなる基板(第2の基板)8とを備えている。基板7の裏面には、ITO(Indium Tin Oxide)膜等からなる導電層(第1の導電層)9が形成され、基板8の表面には、ITO膜等からなる導電層(第2の導電層)10が形成されている。導電層9には、一対の電極(図示省略)が形成されている。導電層10には、導電層9に形成される電極に直交する一対の電極(図示省略)が形成されている。また、導電層10の表面には、絶縁性樹脂からなるドットスペーサー(図示省略)が形成されている。
【0025】
導電層9と導電層10との間には、長方形または正方形の枠状に形成された絶縁部材11が配置されている。絶縁部材11は、両面粘着テープや接着剤等によって導電層9、10に固定されている。絶縁部材11の内周側では、導電層9と導電層10とが所定の隙間を介して対向している。タッチパネル3の、絶縁部材11の内周端11aよりも内周側の所定のエリアは、タッチパネル3への入力操作が可能なタッチパネル3の入力エリア(キーエリア)12となっている。たとえば、図3の二点鎖線で囲まれたエリアがタッチパネル3の入力エリア12となっている。
【0026】
タッチパネル3は、フレーム(パネル固定用フレーム)13に固定されている。具体的には、基板8の裏面が両面粘着テープ14によってフレーム13の表面に固定されている。フレーム13は、筺体4の内部に配置されている。また、フレーム13は、筺体4の内部で筺体4に固定されている。なお、タッチパネル3は、接着剤等によってフレーム13の表面に固定されても良い。
【0027】
基板7の表面には、薄い平板状の保護部材15が両面粘着テープや接着剤等によって貼り付けられている。保護部材15は、長方形または正方形の枠状に形成されている。また、保護部材15は、図3に示すように、直線状に形成される4個の直線状部材16が四角形の枠状に組み合わされることで構成されている。4個の直線状部材16は、各直線状部材16間に隙間が生じないように、互いに接触した状態で四角形の枠を形成している。また、直線状部材16は、PETフィルムやPC(ポリカーボネート)等の樹脂フィルム、または、ステンレス鋼板等の薄い金属板によって形成されている。本形態の直線状部材16は、黒色の樹脂フィルムによって形成されている。具体的には、直線状部材16は、艶消し黒色の樹脂フィルムによって形成されている。また、直線状部材16の剛性(すなわち、保護部材15の剛性)は、基板7の剛性よりも高くなっている。
【0028】
保護部材15は、その外周端とタッチパネル3の外周端とが一致するように基板7の表面に貼り付けられており、入力エリア12の外周部に配置されている。四角形の枠状に形成される保護部材15の各辺を構成する直線状部材16の幅は、四角形の枠状に形成される絶縁部材11の各辺の幅よりも広くなっており、4個の直線状部材16によって構成される保護部材15は、基板7の表面側から見たときに絶縁部材11の内周端11aを覆っている。具体的には、保護部材15の内周端15aは、入力エリア12の外周端12aよりも外周側に、かつ、絶縁部材11の内周端11aよりも内周側に配置されている。すなわち、保護部材15の内周端15aは、入力エリア12の外周端12aと絶縁部材11の内周端11aとの間に配置されている。また、基板7の、保護部材15の直近部分が押圧されても、導電層9の、絶縁部材11の内周端11aとの接触部分に、導電層9が断線する程の大きな曲げ応力が加わらないように、保護部材15の内周端15aが絶縁部材11の内周端11aよりも内周側に配置されている。
【0029】
液晶装置5は、所定の厚みを有する長方形状または正方形状に形成されている。この液晶装置5は、フレーム13の裏面側に配置されており、タッチパネル3よりも筺体4の奥側に配置されている。また、液晶装置5は、図示を省略するフレームを介して筺体4に固定されている。液晶装置5とフレーム13との間には、塵埃の侵入を防止するためのゴム製またはウレタン等のスポンジ製の防塵部材17が配置されている。液晶装置5の表示エリアの縁よりも外周側部分を構成する非表示部は、艶消しの黒色となっている。
【0030】
筺体4には、タッチパネル3の入力エリアを露出させるための開口部4aが形成されている。具体的には、開口部4aは、筺体4の表側部分を構成するベゼル部4cに形成されている。開口部4aは、長方形状または正方形状に形成されており、ベセル部4cは、長方形または正方形の枠状に形成されている。図2に示すように、開口部4aの縁4bは、保護部材15の内周端15aよりも外周側に配置されている。また、開口部4aの縁4bは、絶縁部材11の内周端11aよりも外周側に、かつ、タッチパネル3および保護部材15の外周端よりも内周側に配置されている。
【0031】
基板7の表面とベゼル部4cとの間には、防水用のスポンジ18が配置されている。スポンジ18は、ベゼル部4cの裏面に形成される凹部の中に配置されている。この凹部は、開口部4aの縁4bよりも外周側に形成されている。また、凹部は、長方形または正方形の枠状に形成されている。凹部に配置されるスポンジ18は、保護部材15の表面に当接している。
【0032】
スポンジ18が配置される凹部の内周側は、内周部4dとなっており、凹部の外周側は、ベゼル部4cの裏面よりも筺体4の内部に向かってわずかに突出する外周部4eとなっている。内周部4dおよび外周部4eは、長方形または正方形の枠状に形成されている。内周部4dの内周端面は、開口部4aの縁4bと一致している。内周部4dの先端面および外周部4eの先端面は、保護部材15の表面と対向するように形成されている。内周部4dの先端面および外周部4eの先端面と、保護部材15の表面との間には隙間が形成されている。すなわち、ベゼル部4cと保護部材15との間には隙間が形成されている。本形態では、内周部4dの先端面と保護部材15の表面との隙間が、外周部4eの先端面と保護部材15の表面との隙間よりも広くなっている。具体的には、内周部4dの先端面と保護部材15の表面との隙間は、外周部4eの先端面と保護部材15の表面との隙間の約2倍となっている。
【0033】
また、ベゼル部4cの裏面には、筺体4の内部に向かって突出する突出部4fが形成されている。突出部4fは、外周部4eよりも外周側に形成されている。また、突出部4fは、両面粘着テープ14の外周端よりも外周側に配置されている。突出部4fは、長方形または正方形の枠状に形成されている。突出部4fの先端面は、フレーム13の表面に当接している。図2に示すように、突出部4fは、ベゼル部4cと一体で形成されても良いし、ベゼル部4cと別体で形成された突出部4fがベゼル部4cの裏面に固定されても良い。
【0034】
なお、本形態では、タッチパネル3の厚さ方向から見たときに、開口部4aの縁4bよりも外周側に配置されるタッチパネル3のエリアは、絶縁部材11を固定するための両面粘着テープや接着剤の影響で透明感が低下している(光透過性が低下している)エリアである。また、開口部4aの縁4bよりも外周側に配置されるタッチパネル3のエリアでは、絶縁部材11の表面側にタッチパネル3の回路部分が配置されている。タッチパネル3の厚さ方向から見たときに、開口部4aの縁4bよりも内周側に配置されるタッチパネル3のエリアは、透明感の高い透明エリア(ビューワブルエリア)である。このエリアは、タッチパネル3の開口エリアでもある。上述のように、開口部4aの縁4bは、保護部材15の内周端15aよりも外周側に配置されているため、タッチパネル3の厚さ方向から見たときに、タッチパネル3の透明感が低下しているエリアは、保護部材15によって覆われている。
【0035】
以上のように構成されたタッチパネル装置1では、液晶装置5の表示に応じて、基板7の表面を指やペン等で押圧操作すると、基板7が撓み、押圧された箇所の導電層9が導電層10に接触して導通する。このときの導電層9の電極の電圧値と導電層10の電極の電圧値とに基づいて、タッチパネル3の押圧操作された箇所が特定され、プリンター2で、所定の処理が実行される。
【0036】
(本実施の形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、基板7の、保護部材15の直近部分が押圧されても、導電層9の、絶縁部材11の内周端11aとの接触部分に、導電層9が断線する程の大きな曲げ応力が加わらないように、保護部材15の内周端15aが絶縁部材11の内周端11aよりも内周側に配置されている。また、本形態では、保護部材15が基板7の表面に貼り付けられているため、入力エリア12および開口エリアが広がるように、保護部材15の内周端15aを絶縁部材11の内周端11aに近づけても、保護部材15によって、基板7の、絶縁部材11の直近部分を確実に覆うことができる。すなわち、本形態では、入力エリア12および開口エリアが広がるように、保護部材15の内周端15aを絶縁部材11の内周端11aに近づけても、タッチパネル装置1の組立誤差に起因して、基板7の、絶縁部材11の直近部分が露出するのを防止することができる。したがって、本形態では、入力エリア12および開口エリアを広げても、基板7の、絶縁部材11の直近部分が押圧されて、絶縁部材11の近傍で導電層9が断線するのを防止することが可能になる。
【0037】
また、本形態では、保護部材15の剛性が基板7の剛性よりも高くなっているため、保護部材15が押圧されても、基板7は、絶縁部材11の内周端11aを支点にして大きく屈曲しにくくなる。したがって、本形態では、絶縁部材11の近傍での導電層9の断線を効果的に防止することが可能になる。また、本形態では、タッチパネル装置1の組立誤差に起因して、基板7の、絶縁部材11の直近部分が露出するのを防止することができるため、タッチパネル装置1の組立作業が容易になる。
【0038】
本形態では、長方形または正方形の枠状に形成される保護部材15が4個の直線状部材16によって構成されている。そのため、保護部材15が1個の枠状部材によって構成されている場合と比較して、保護部材15の部品コストを低減することが可能になる。すなわち、保護部材15が1個の枠状部材によって構成されている場合、保護部材15を形成するための母材の中心部分を取り除いて保護部材15を形成する必要があり、母材の中心部分が廃棄されるため、保護部材15の部品コストが高くなる。これに対して、保護部材15が4個の直線状部材16によって構成されている場合には、母材の廃棄される部分を低減して、保護部材15の部品コストを低減することが可能になる。
【0039】
本形態では、保護部材15の内周端15aは、入力エリア12の外周端12aよりも外周側に配置されている。そのため、本形態では、入力エリア12が保護部材15によって覆われるのを防止することができる。また、本形態では、筺体4に形成される開口部4aの縁4bが保護部材15の内周端15aよりも外周側に配置されているため、入力エリア12が筺体4によって覆われるのを防止することができる。
【0040】
本形態では、保護部材15の内周端15aよりも外周側に、かつ、保護部材15の外周端よりも内周側に開口部4aの縁4bが配置されており、タッチパネル3と筺体4のベゼル部4cとの間に入り込んだ砂や小麦粉等の異物は、基板7よりも剛性の高い保護部材15には接触するが、基板7には直接接触しない。したがって、本形態では、タッチパネル3と筺体4との間に入り込んだ砂等の異物によるタッチパネル3への誤入力を防止することが可能になる。また、本形態では、タッチパネル3とベゼル部4cとの間に異物が入り込んだときに、たとえば、先端の尖った道具でこの異物を取り除こうとした場合、保護部材15によってタッチパネル3を保護して、タッチパネル3が破壊されるのを防止することが可能になる。したがって、タッチパネル3とベゼル部4cとの間に異物が詰まっても、異物を除去しやすくなる。
【0041】
本形態では、ベゼル部4cの裏面に形成される突出部4fの先端面がフレーム13の表面に当接しており、内周部4dの先端面および外周部4eの先端面と、保護部材15の表面との間には隙間が形成されている。そのため、タッチパネル装置1の角度調整等を行うために、ベゼル部4cが掴まれて押圧されたときに、ベゼル部4cが保護部材15に接触して保護部材15を押圧するのを突出部4fによって防止することができる。したがって、本形態では、タッチパネル装置1への誤入力を防止することが可能になる。特に本形態では、内周部4dの先端面と保護部材15の表面との隙間が、外周部4eの先端面と保護部材15の表面との隙間よりも広くなっているため、仮に、外周部4eの先端面と保護部材15の表面とが接触したとしても、入力エリア12に近い内周部4dの先端面と保護部材15の表面との接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、タッチパネル装置1への誤入力を効果的に防止することが可能になる。
【0042】
本形態では、タッチパネル3の厚さ方向から見たときに、タッチパネル3の透明感が低下しているエリアは、黒色の保護部材15によって覆われている。また、タッチパネル3の厚さ方向から見たときに、タッチパネル3の回路部分は、黒色の保護部材15によって覆われている。そのため、本形態では、タッチパネル装置1の外観が良くなる。特に、本形態では、保護部材15が艶消しの黒色であるため、保護部材15の色は、液晶装置5の非表示部と略同色になる。したがって、本形態では、タッチパネル装置1の製品としての美観を損なうことなく、タッチパネル3の透明感が低下しているエリアおよびタッチパネル3の回路部分を保護部材15によって覆うことができる。
【0043】
(他の実施の形態)
上述した形態では、耐水性および防塵性を向上等させるため、4個の直線状部材16は、各直線状部材16間に隙間が生じないように、互いに接触した状態で四角形の枠を形成しているが、4個の直線状部材16は、各直線状部材16間に隙間が形成されるように、互いに離れた状態で四角形の枠を形成しても良い。
【0044】
上述した形態では、保護部材15は、4個の直線状部材16が四角形の枠状に組み合わされることで構成されているが、保護部材15は、L形状に形成される2個のL形状部材が四角形の枠状に組み合わされることで構成されても良いし、2個の直線状部材16および1個のL形状部材が四角形の枠状に組み合わされることで構成されても良い。また、略U形状に形成される1個のU形状部材および直線状部材16が四角形の枠状に組み合わせることで構成されても良い。さらに、2個のU形状部材が四角形の枠状に組み合わせることで構成されても良い。これらの場合であっても、保護部材15が1個の枠状部材によって構成されている場合と比較して、保護部材15の部品コストを低減することが可能になる。なお、保護部材15は、1個の枠状部材によって構成されても良い。
【0045】
上述した形態では、保護部材15は、黒色の樹脂フィルムによって形成されているが、保護部材15は、透明な樹脂フィルム等の透明な材料によって形成されても良い。この場合には、タッチパネル3に保護部材15が貼り付けられていても、液晶装置5の表示エリアを広げることができる。すなわち、タッチパネル3の仕様に合わせ、タッチパネル3の回路部分を隠す場合は、黒色等の不透明な色の樹脂フィルム等を選択し、液晶装置5の表示エリアを見せたければ、透明な樹脂フィルム等を選択することができる。
【0046】
上述した形態では、内周部4dの先端面と保護部材15の表面との隙間が、外周部4eの先端面と保護部材15の表面との隙間よりも広くなっているが、内周部4dの先端面と保護部材15の表面との隙間と、外周部4eの先端面と保護部材15の表面との隙間とが等しくても良い。
【符号の説明】
【0047】
1・・・タッチパネル装置、3・・・タッチパネル、4・・・筺体、4a・・・開口部、4b・・・縁、4c・・・ベゼル部、4f・・・突出部、5・・・液晶装置(表示装置)、7・・・基板(第1の基板)、8・・・基板(第2の基板)、9・・・導電層(第1の導電層)、10・・・導電層(第2の導電層)、11・・・絶縁部材、11a・・・内周端、12・・・入力エリア、12a・・・外周端、13・・・フレーム(パネル固定用フレーム)、15・・・保護部材、15a・・・内周端、16・・・直線状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板の裏面に形成される第1の導電層と、前記第2の基板の表面に形成される第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に配置される枠状の絶縁部材と、を有するタッチパネルと、
前記第1の基板の表面に貼り付けられる板状の保護部材と、を備え、
前記タッチパネルの、前記絶縁部材の内周端よりも内周側には、前記タッチパネルへの入力操作が可能な入力エリアが形成され、
前記保護部材は、前記入力エリアの外周部に配置され、前記第1の基板の表面側から見たときに前記絶縁部材の内周端を覆っていることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
前記保護部材は、枠状に形成され、
前記保護部材の内周端は、前記入力エリアの外周端と前記絶縁部材の内周端との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記保護部材の剛性は、前記第1の基板の剛性よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記保護部材は、直線状に形成される4個の直線状部材、または、L形状に形成される2個のL形状部材、あるいは、2個の前記直線状部材および1個の前記L形状部材によって、四角形の枠状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記第2の基板の裏面側に配置される表示装置を有し、
前記保護部材は、透明であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
前記保護部材は、黒色であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタッチパネル装置。
【請求項7】
前記タッチパネルが内部に配置される筺体を有し、
前記筺体には、前記入力エリアを露出させるための開口部が形成され、
前記開口部の縁は、枠状に形成される前記保護部材の内周端よりも外周側に、かつ、前記保護部材の外周端よりも内周側に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のタッチパネル装置。
【請求項8】
前記タッチパネルが内部に配置される筺体と、前記筺体の内部に配置され前記タッチパネルが固定されるパネル固定用フレームとを有し、
前記筺体は、前記筺体の表側部分を構成するベゼル部を有し、
前記ベゼル部は、前記パネル固定用フレームに向かって突出し、前記パネル固定用フレームに当接する突出部を有し、
前記ベゼル部と前記保護部材との間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のタッチパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−73564(P2013−73564A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214102(P2011−214102)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】