説明

タッチパネル

【課題】 入力荷重、衝撃に対して割れにくいタッチパネルを提供すること。
【解決手段】 タッチパネルにおいて、封止部材を介して互いに対向する可動電極3と固定電極2とを備え、前記固定電極2にガラス板を用い、前記封止部材を延長して、前記固定電極のガラス板の端面及び外側縁面を覆った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いられるタッチパネルに関し、詳しくは、コードレス電話機、携帯電話機、電卓、パソコン、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、業務用通信機器等の電子機器や電気機器の操作盤等の液晶表示装置に用いられるタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタッチパネルとしては、図6に開示されたものがある。図6は従来技術によるタッチパネルの一例を示す分解組立斜視図である。図7は図6のタッチパネルの部分断面図である。図8は図6のA部分を主に示す断面図である。図6及び図7を参照すると、タッチパネル111は、ガラスもしくは透明プラスチック板の下面にITO、NESA等の透明導電膜3a処理を施された可動電極3と、ガラス板の上面に,同様の透明導電膜2aを備えた固定電極2とを枠状の封止テープ54を介してそれぞれの透明導電膜を対向させて張り合わせて構成されている。
【0003】
この従来のタッチパネル111の固定電極2又は可動電極3を構成するガラス板は、入力荷重や衝撃が加わった場合に傷に撓み等の変形が発生し、図8の符号52で示す端部が割れ易いという欠点を備えている。
【0004】
また、タッチパネル111は、ディスプレイの前面に配置されて使用するため、ディスプレイの表示品位を損なわないよう高透過率、視差の軽減を求められている。
【0005】
これらを実現するために固定電極2、可動電極3は薄型化が求められるが、薄型化されたタッチパネル111は入力荷重、衝撃に弱くなる傾向にあるため、同様に端部52,52に割れが発生しやすくなる。
【0006】
また、多くのタッチパネル111の固定電極に用いられるガラスは、マザーガラスから多面取りをする製法を取っているために、切断の際にはカット端面にマイクロクラックや傷が発生し、これによってさらに、荷重や衝撃に対して割れ易いという欠点を有している。
【0007】
入力衝撃による傷や割れを防止するものとしては、特許文献1に開示された液晶表示装置がある。この特許文献1による液晶表示装置は、は、タッチパネルの固定電極の下面に自己治療性樹脂層を設けて、液晶ディスプレイ上に設けられた導光板に対する傷発生を防止している。なお、固定電極及び可動電極は透明プラスチックフィルムを用いている。
【0008】
また、特許文献2に開示された液晶表示装置は、特許文献1と同様の固定電極の下面に衝撃吸収層及び透明フィルム層を設けて、同様に、液晶ディスプレイ上に設けられた導光板に対する傷発生を防止している。
【0009】
一方、特許文献3には、ケースと、タッチパネル間及び液晶表示装置下面に緩衝部材を設け、また、ケース剛性補強用の金属フレームを設けている。
【0010】
しかし、特許文献1及び2のいずれも、タッチパネル外部の導光板を保護するものであり、特許文献3においても、タッチパネル自体を保護するものではなかった。
【0011】
特許文献4には、手書き入力装置において、液晶表示装置の上面に配置されたガラス板の表面にノングレア処理を施し、裏面に透明フィルムを設けた構成である。
【0012】
同様に、特許文献5には、タッチ入力装置のタッチ面や耐久性を向上させるための保護フィルムが開示されている。
【0013】
また、特許文献6には、タッチパネルの構成するガラス板において、このガラス板の切り出しの際に切り込みを入れる入刃面側に透明フィルムを設けて、タッチ操作面とした構成が開示されている。
【0014】
しかしながら、タッチパネルはディスプレイの前面に配置されて使用するため、タッチパネルの電極のいずれの表面を覆うような保護フィルムを設けると、その分だけ、透明度が低下し、要求されている高透過率、視差の軽減等のディスプレイの表示品位を損なうおそれがある。
【0015】
また、特許文献6では、ガラス板の入刃面の傷だけを問題としている。しかし、ガラスの切断は言い方を変えると「まっすぐに割る」という行為で入刃面に傷がつくのは勿論だが、「割る」という行為により反対側の面についても何らかの傷が発生するものであり、表面のみの対策では不十分であり、傷の発生や撓みを防止できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−114418号公報
【特許文献2】特開2003−122503号公報
【特許文献3】特開平6−231079号公報
【特許文献4】実開平7−36242号公報
【特許文献5】特開平6−180628号公報
【特許文献6】特開平8−286828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明の技術的課題は、入力荷重、衝撃に対して割れにくいタッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、ガラスからなる第1及び第2のガラス板を用いたタッチパネルにおいて、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板の端面を樹脂材料でコーティングするとともに、封止部材を介して互いに対向する固定電極と可動電極とを備え、前記固定電極に前記第1のガラス板を用いるとともに、前記可動電極に前記第2のガラス板を用い、前記封止部材を延長して、前記固定電極の前記第1のガラス板の端面及び外側縁面を覆ったことを特徴とするタッチパネルが得られる。
【0019】
また、本発明によれば、前記タッチパネルにおいて、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板の端面に隣接する縁面の少なくとも一部がさらに、前記樹脂材料で覆われていることを特徴とするタッチパネルが得られる。
【0020】
また、本発明によれば、封止部材を介して互いに対向する可動電極と固定電極とを備え、前記固定電極にはガラス板を用いたタッチパネルにおいて、前記封止部材を延長して、前記固定電極のガラス板の端面及び外側縁面を覆ったことを特徴とするタッチパネルが得られる。
【0021】
また、本発明によれば、前記タッチパネルにおいて、前記可動電極には合成樹脂板を用いていることを特徴とするタッチパネルが得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、傷のある面側からの荷重に対しては傷口を狭める作用のたわみが発生するとともに、傷のない面側からの荷重に対しては傷口を広げる作用のたわみが発生するが、これらを妨げる効果をもたらし、たわみの発生が抑制することができるタッチパネルを提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、入力荷重、衝撃が加わった場合の傷、クラックのたわみ発生を抑制し、割れにくいタッチパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態による抵抗膜方式タッチパネルを示す斜視図である。
【図2】図1の抵抗膜方式タッチパネルの可動電極のみを外した分解組み立て斜視図である。
【図3】図1の抵抗膜方式タッチパネルの端部分の断面図である。
【図4】(a)は本発明の第2の実施の形態による抵抗膜方式タッチパネルの固定電極の一面を示す図、(b)は抵抗膜方式タッチパネルの固定電極の他の一面を示す図である。
【図5】傷を樹脂材料で覆った状態を示す部分断面図である。
【図6】従来技術によるタッチパネルの一例を示す斜視図である。
【図7】図6のタッチパネルの部分断面図である。
【図8】図6のA部分を主に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による抵抗膜方式タッチパネルを示す斜視図、図2は図1の抵抗膜方式タッチパネルの可動電極のみを外した分解組み立て斜視図、図3は図1の抵抗膜方式タッチパネルの端部分の断面図である。
【0027】
図1乃至図3を参照すると、抵抗膜方式タッチパネル110は、矩形の板状の固定電極2、可動電極3、封止テープ1で構成されている。
【0028】
固定電極2はガラスからなる第1のガラス板を用いて形成され、前記固定電極2の第1のガラス板の片面には例えばITO、NESA等の透明導電膜処理が施されて、透明導電膜2aが形成されている。
【0029】
また、可動電極3は、例えば、PETフィルムを用いて形成され、可動電極3のPETフィルムの片面には例えばITO、NESA等の透明導電膜処理が施されて、透明導電膜3aが形成されている。
【0030】
前記固定電極2、可動電極3それぞれの透明導電膜2a,3aが互いに向かい合うように封止テープ1で固定され、タッチ入力時に前記透明導電膜同士が接触する事で座標検出を行う。
【0031】
多くのガラスを使用した抵抗膜方式タッチパネルでは、マザーガラスから多面取りする製法が取られており、前記ガラスのカット端面には傷が発生する。
【0032】
本発明の第1の実施の形態においては、封止テープ1を側面を通って裏面まで延長して形成している。したがって、固定電極2のガラス端面の傷51は封止テープ1によって覆われることになる。
【0033】
ここで、抵抗膜方式タッチパネル110に入力荷重、又は衝撃が加わると固定電極2に使用されているガラス端部の傷にたわみが発生する。
【0034】
たわみは入力荷重方向で異なり、傷51の存在する面側から荷重を加えた場合は傷口を狭める作用を示し、傷の存在しない面側から荷重を加えた場合は傷口を広げる作用を示す。
【0035】
本発明の第1の実施の形態では、固定電極2に使用した第1のガラス板の傷51を含む端面を封止テープ1を延長して覆っているために前記たわみを抑制することができる。
【0036】
尚、入力荷重方向とたわみの関係についての詳細は、特許文献6を参照されたい。
【0037】
(第2の実施の形態)
図4(a)は本発明の第2の実施の形態による抵抗膜方式タッチパネルの固定電極の一面を示す図で、図4(b)は抵抗膜方式タッチパネルの固定電極の他の一面を示す図、及び図5は傷を樹脂材料で覆った状態を示す部分断面図である。
【0038】
本発明の第2の実施の形態においては、図6及び図7に示す従来の構成において、固定電極の構成が異なる他は同様の構成を備えている。
【0039】
図4(a)、図4(b),及び図5に示すように、本発明の第2の実施の形態においては、固定電極2の第1のガラス板の端面及び縁面の傷51を樹脂材料5で覆っている。
【0040】
ここで、コーティングする樹脂材料としては、エポキシ、ポリエステル、フェノール、ポリエチレン、塩化ビニル、ABS、アクリル、ポリカーボネート、ナイロン等を用いることができるが、これらの混合材または共重合体であっても良い。
【0041】
また、図5に示すように、本発明の第2の実施の形態では、傷を樹脂材料5で覆う構造になっているため、いずれの場合にもたわみを抑制する効果が発生する。
【0042】
尚、本発明の第2の実施の形態の変形例として、固定電極2に第1のガラス板を使用した抵抗膜方式タッチパネルで、更に、封止テープ5で貼り合せた後に、ガラス端面2d〜2gのみを樹脂材料5で覆っても同様の効果が得られる。
【0043】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態では、固定電極2、可動電極3の両方にガラスを使用した抵抗膜方式タッチパネルである。ここで、第3の実施の形態では、固定電極2に用いられるガラスを第1のガラス板と呼び、可動電極3に用いられるガラスを第2のガラス板と呼ぶ。図4(a)及び図4(b)に示す固定電極2と同様に、可動電極3も同様な構成とし、それぞれの第1及び第2のガラス板の端部に樹脂材料5で覆って構成されている。本発明の第3の実施の形態においても、第1及び第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0044】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態では、固定電極2及び可動電極3の両方にガラスを第1のガラス板及び第2のガラス板として、夫々使用した抵抗膜方式タッチパネルである。封止テープ1で貼り合せた後に、第1及び第2のガラスの両方の端面のみを樹脂材料5で覆って構成されている。本発明の第4の実施の形態においても、第1乃至第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0045】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態では、抵抗膜方式ではなく、静電容量結合方式もしくは超音波方式のタッチパネルに本発明を適用したものである。
【0046】
即ち、ガラス板一枚を用いる構成において、図4(a)及び図4(b)に示すものと同様に、ガラス板の端面及び縁面を樹脂材料5で覆って構成されている。
【0047】
これによって、ガラス板の端面及び縁面の傷51を樹脂材料5で覆う構造になっているため、たわみを抑制し、割れにくいタッチパネルを提供できるという効果が発生する。
【0048】
以上説明したように、本発明の実施の形態ではガラス端面の傷を樹脂材料5で覆うことにより、入力荷重、衝撃が加わった場合に傷にたわみが発生する事を抑制することができ、入力荷重、衝撃に対して割れにくいタッチパネルを提供することができる。
【0049】
具体的には、本発明の実施の形態においては、傷のある面側からの荷重に対しては傷口を狭める作用のたわみが発生するが、傷を覆っている樹脂材料5が傷口に侵入しているため、これを妨げる効果をもたらし、たわみの発生が抑制される。
【0050】
また、本発明の実施の形態では、傷のない面側からの荷重に対しては傷口を広げる作用のたわみが発生するが、傷を覆っている樹脂材料5がこれを傷口の広がりを妨げる効果をもたらし、たわみの発生が抑制される。
【0051】
このように本発明の実施の形態においては、ガラス端面の傷を樹脂材料5で覆っているので、入力荷重、衝撃が加わった場合の傷、クラックのたわみ発生を抑制し、割れにくいタッチパネルを提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明に係るタッチパネルは、コードレス電話機、携帯電話機、電卓、パソコン、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、業務用通信機器等の電子機器や電気機器の操作盤等の液晶表示装置に用いられるタッチパネルに適用される。
【符号の説明】
【0053】
1,54 封止テープ
2 固定電極
3 可動電極
2a 透明導電膜
3a 透明導電膜
5 樹脂材料
51 傷
110,111 (抵抗膜方式)タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスからなる第1及び第2のガラス板を用いたタッチパネルにおいて、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板の端面を樹脂材料でコーティングするとともに、封止部材を介して互いに対向する固定電極と可動電極とを備え、前記固定電極に前記第1のガラス板を用いるとともに、前記可動電極に前記第2のガラス板を用い、前記封止部材を延長して、前記固定電極の前記第1のガラス板の端面及び外側縁面を覆ったことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板の端面に隣接する縁面の少なくとも一部がさらに、前記樹脂材料で覆われていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項3】
封止部材を介して互いに対向する可動電極と固定電極とを備え、前記固定電極にはガラス板を用いたタッチパネルにおいて、前記封止部材を延長して、前記固定電極のガラス板の端面及び外側縁面を覆ったことを特徴とするタッチパネル。
【請求項4】
請求項3に記載のタッチパネルにおいて、前記可動電極には合成樹脂板を用いていることを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−134306(P2009−134306A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55970(P2009−55970)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【分割の表示】特願2004−2579(P2004−2579)の分割
【原出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】