タッチパネル
【課題】多様な操作が可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【解決手段】上基板21は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層41と、基板層41の第一面に配置されたハードコート層42とを有する。ハードコート層42は基板層41と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。この構成により、ユーザはフリック操作しやすくなる。そのため、多様な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【解決手段】上基板21は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層41と、基板層41の第一面に配置されたハードコート層42とを有する。ハードコート層42は基板層41と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。この構成により、ユーザはフリック操作しやすくなる。そのため、多様な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や電子カメラ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進んでいる。これに伴い、液晶ディスプレイの上面に光透過性のタッチパネルを装着した機器が増えている。このような機器では、ユーザがタッチパネルを通して下面の液晶ディスプレイの表示を見ながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の様々な機能が切換えられる。
【0003】
以下、従来のタッチパネルについて、図4を用いて説明する。図4は従来のタッチパネルの断面図である。なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0004】
タッチパネル10は、上基板1と、上導電層2と、下基板3と、下導電層4と、一対の上電極5と、一対の下電極6と、複数のドットスペーサ7と、略額縁状のスペーサ8とを有する。このうち、上基板1、上導電層2、下基板3、下導電層4、ドットスペーサ7は光透過性である。略矩形状の上導電層2は上基板1の下面に設けられている。同じく略矩形状の下導電層4は下基板3の上面に設けられている。
【0005】
銀ペースト等で形成された上電極5は、図4における上導電層2の左右端に設けられ、下電極6は下導電層4の前後端に設けられている。上電極5と下電極6の端部は、上基板1や下基板3の外周前端に各々延出している。ドットスペーサ7は下導電層4の上面に形成され、スペーサ8は上基板1と下基板3の間の外周内縁に形成されている。なお、ドットスペーサ7は半球形の絶縁樹脂で形成され、2.5mm以内の間隔で並んでいる。
【0006】
上基板1の外周と下基板3の外周とは、スペーサ8の上下面または片面に塗布された接着剤(図示せず)によって貼り合わされている。このようにして、上導電層2と下導電層4とが所定の空隙を空けて対向している。
【0007】
上基板1は、基板層11と、基板層11の上面に設けられたハードコート層12と、基板層11の下面に設けられた光拡散層13とを有する。基板層11は、ポリエチレンテレフタレート等で形成され、ハードコート層12はアクリル等の合成樹脂にフッ素系樹脂を配合して形成されている。なお、ハードコート層12の上面は指で接触した際に指紋の跡が付かないように親油性に処理されている。そのためハードコート層12の表面張力は30N/mm以下となっている。光拡散層13は、アクリルの基材と、その基材中に分散した、二酸化ケイ素を材料とするフィラーを含む。このフィラーによって、下面に凹凸が形成されている。
【0008】
以上のように構成されたタッチパネル10は、液晶ディスプレイ15の上に配置されて電子機器に装着されると共に、上電極5と下電極6が機器のマイコン等の制御回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0009】
ユーザが液晶ディスプレイ15の表示に応じて、上基板1の上面を指やペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層2が下導電層4に接触する。そして、制御回路から上電極5と下電極6へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を制御回路が検出し、機器の様々な機能が切換えられる。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−107655号公報
【特許文献2】特開2011−065407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、近年、タッチパネルの操作方法は多様化してきている。具体的には、タッチパネルの上面に指を接した状態から軽く弾くように操作するフリック操作や、上面を二本の指を広げるように操作するピンチ操作により制御される機器が増えている。フリック操作では、従来のタッチパネル操作のように一箇所を押圧したり、押圧したまま押圧箇所を移動したりする動作とは異なり、指がタッチパネルから滑らかに離れる必要がある。またフリック操作やピンチ操作で、ユーザは指等をタッチパネルの上面にスライドするため、低い押圧力で接触の検出が可能なタッチパネルが適している。
【0013】
本発明は、このような要望に対応したものであり、操作した際に検出する押圧力が低く、多様な操作が可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明のタッチパネルは、上基板と、上導電層と、下基板と、下導電層と、複数のドットスペーサとを有する。上基板は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層と、基板層の第一面に配置されたハードコート層とを有する。上導電層は上基板における、基板層の第一面よりも第二面から近い側の面に設けられている。下基板は上導電層に対向する内面を有する。下導電層は所定の空隙を介して上導電層に対向するように下基板の内面に設けられている。ドットスペーサは下導電層と上導電層との間で、下導電層の上に設けられている。ハードコート層は基板層と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上基板と、上導電層と、下基板と、下導電層と、複数のドットスペーサとを有する。上基板は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層と、基板層の第一面に配置されたハードコート層とを有する。上導電層は上基板における、基板層の第一面よりも第二面から近い側の面に設けられている。下基板は上導電層に対向する内面を有する。下導電層は所定の空隙を介して上導電層に対向するように下基板の内面に設けられている。ドットスペーサは下導電層と上導電層との間で、下導電層の上に設けられている。ハードコート層は基板層と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。
【0016】
この構成により、ユーザはフリック操作しやすくなる。そのため、多様な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同要部断面図
【図4】従来のタッチパネルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態によるタッチパネルについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表す。
【0020】
図1、図2は、本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図と分解斜視図である。
【0021】
タッチパネル30は、上基板21と、上導電層22と、下基板23と、下導電層24と、上電極25と、下電極26と、複数のドットスペーサ27と、スペーサ28とを有する。
【0022】
上基板21は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層41と、基板層41の第一面に配置されたハードコート層42と、基板層41の第二面に配置された光拡散層43とを有する。上導電層22は光拡散層43の、基板層41と反対側の面に設けられている。すなわち、上導電層22は上基板21における、基板層41の第一面よりも第二面から近い側の面に設けられている。下基板23は上導電層22に対向する内面を有し、下導電層24は所定の空隙を介して上導電層22に対向するように下基板23の内面に設けられている。ドットスペーサ27は下導電層24と上導電層22との間で、下導電層24の上に設けられている。
【0023】
少なくとも上基板21、上導電層22、下基板23および下導電層24は光透過性である。上導電層22と下導電層24は略矩形状である。上導電層22と下導電層24はスパッタリング法や真空蒸着法等により、それぞれ上基板21、下基板23の対向面のほぼ全面に設けられている。上導電層22や下導電層24は酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性で導電性の材料で形成されている。
【0024】
図1における上導電層22の左右端には銀等の一対の上電極25が形成され、下導電層24の前後端には、一対の下電極26が形成されている。上電極25の端部は上基板21の外周前端に延出し、下電極26の端部は下基板23の外周前端に延出している。
【0025】
上基板21と下基板23の間の外周内縁には、額縁状のスペーサ28が形成されている。スペーサ28の上下面または片面に塗布形成された接着剤(図示せず)によって、上基板21と下基板23の外周が貼り合わされている。この構造によって、上導電層22と下導電層24が所定の空隙を空けて対向している。ドットスペーサ27は、エポキシやシリコーン等の絶縁樹脂によって下導電層24の上面に半球状に形成されている。
【0026】
以下、各構成要素について、より詳細に説明する。まず上基板21について説明する。上基板21の基板層41は、ポリエチレンテレフタレートやポリエーテルサルホン、ポリカーボネート等の光透過性のフィルム、アクリル等の光透過性の樹脂板で形成されている。
【0027】
光拡散層43は、アクリル等の合成樹脂を材料とする。光拡散層43の下面には、細かな凹凸が形成され、上基板21内に進入する直接光や反射光が散乱される。そのため、ニュートンリングの発生が抑制されている。このように光拡散層43を形成することが好ましいが、必須ではない。
【0028】
ハードコート層42は、アクリル系樹脂等の合成樹脂にフィラーを分散させて形成されている。フィラーとは、概ね直径0.1μm以上、1.0μm以下の微粒子で、例えば二酸化ケイ素等の無機酸化物等を材料とする。あるいは、アクリル系樹脂にフッ素系樹脂を配合して形成されている。ハードコート層42は基板層41と反対側に外面(上面)を有し、この外面の十点平均粗さRzの値は17.7以上、40.0以下である。このようにRzの値を規定する理由を説明する。
【0029】
フリック操作では、ユーザは、ハードコート層42を指で押圧した状態から表面を弾くように摺動させ、押圧力を減じてハードコート層42の外面から指を離す。そのため滑らかに指がハードコート層42から離れる必要がある。
【0030】
Rzの値が小さいことは、ハードコート層42の表面が平滑であることを意味する。しかしながらRzの値が小さすぎると、指についている皮脂のために指がハードコート層42に付着してしまい、滑らかにハードコート層42から離れない。そのため、Rzの値は17.7以上である必要がある。一方、Rzの値が大きすぎるとハードコート層42の外面がザラザラした状態になりタッチパネル30を通してユーザが液晶ディスプレイ15の表示内容を視認しにくくなる。そのため、Rzの値は40.0以下である必要がある。ただしRzの上限値は、液晶ディスプレイ15に表示する内容によってより小さく設定される。たとえばカーナビゲーションで地図を表示する場合に比べ、携帯電話などの小さい画面で比較的小さな文字を表示する場合にはより視認性が高い必要がある。そのため後者ではRzの上限値は小さくする必要がある。
【0031】
また、光拡散層43内には従来のタッチパネル10のようにフィラーを分散させないことが好ましい。この構成では光拡散層43の凹凸がより細かい。そのため、上基板21の上面にユーザが指を押し当ててもフィラーによる凹凸を感じることがない。これにより上基板21の上面に指を押し当てたまま、滑らかに摺動させることが可能となる。その結果、上基板21の耐久性が向上する。なおフィラーとは、上述のハードコート層42に適用したものと同様である。
【0032】
なお、ハードコート層42の外面の表面張力が32N/mm以上、38N/mm以下となるよう調整することがさらに好ましい。なお、表面張力の値はフィラーやフッ素系樹脂の配合比率を変化させることにより調整できる。これにより、ハードコート層42の外面にユーザが指で接触した際に指紋を付き難くなる。指の皮脂がつきにくくなるためにはハードコート層42の外面の表面張力が32N/mm以上であればよい。また樹脂材料でハードコート層42を形成する場合、現実的には表面張力は38N/mm以下となる。
【0033】
次に、ドットスペーサ27の形状について、図3を参照し説明する。図3はタッチパネル30の要部断面図である。ドットスペーサ27は下導電層24の上面に、その頂点が所定間隔Laを空けて並べて設けられている。間隔Laは3.5mm以上、4.5mm以下が望ましい。また、ドットスペーサ27の高さHaは5μm以上、15μm以下が望ましい。
【0034】
間隔Laが3.5mm以上と広くなることで、上導電層22が下導電層24に接触しやすくなる。すなわち、例えば0.1N以下の低い押圧力でも操作可能となる。なお、間隔Laを4.5mm以下とすることで、ユーザが上基板21に接触しなくても、上導電層22が下導電層24に接触してしまう誤検出が抑制される。
【0035】
またドットスペーサ27の高さHaを15μm以下とすることで上導電層22が下導電層24に接触しやすくなる。また高さHaを5μm以上とすることでユーザが上基板21に接触しなくても、上導電層22が下導電層24に接触してしまう誤検出が抑制される。なおドットスペーサ27は上述のように半球状に形成されているため、高さHaが大きくなることはドットスペーサ27の直径が大きくなることを意味する。ドットスペーサ27の直径が大きいと、タッチパネル30を通した液晶ディスプレイ15の視認性が低下する。このような観点からも高さHaを15μm以下とすることが好ましい。なおドットスペーサ27の間隔Laや高さHaの適正な範囲は上基板21の撓みやすさとも関連する。上述の適正範囲は基板層41として一般的な厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた場合である。一般に基板層41に用いる材料のヤング率は4GPaから5GPaの範囲にあり、この範囲であれば間隔Laや高さHaの適正な範囲は上述のようになる。
【0036】
このように構成されたタッチパネル30は、液晶ディスプレイ15の上方に配置されて電子機器に装着されると共に、上電極25と下電極26が機器のマイコン等の制御回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0037】
以上のように構成された電子機器について、以下にその動作を説明する。ユーザが、タッチパネル30の背面に配置された液晶ディスプレイ15の表示に応じて、上基板21の上面を指やペン等で押圧操作する。この操作によって、上基板21が撓み、押圧された箇所の上導電層22が下導電層24に接触する。そして、制御回路から上電極25と下電極26へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を制御回路が検出する。
【0038】
特にハードコート層42の外面の十点平均粗さRzの値は17.7以上である。そのためフリック操作において、ユーザは、ハードコート層42の外面から滑らかに指を離すことができる。また、Rzの値が40.0以下であるため、タッチパネル30を通した液晶ディスプレイ15の視認性にも影響しない。さらに、ハードコート層42の外面の表面張力が32N/mm以上であれば、指紋の付着を抑制できる。
【0039】
なお図4に示す従来のタッチパネル10においては、指やペン等による操作で、上導電層2と下導電層4を接触させるために必要な押圧力は0.2N以上である。指を軽く弾くような操作を行うと押圧力が0.2Nより低下することがある。このような場合、軽く弾いた操作を制御回路が検出できない場合もある。一方、タッチパネル30ではユーザの押圧力を例えば0.1N以下としても、上導電層22が下導電層24に接触するものとなっており、従来よりも低い押圧力で操作できる。
【0040】
また、ユーザが指を用いてフリック操作をする場合には、ユーザは上基板21の上面の指をスライドさせ軽く弾く。この場合においても、タッチパネル30は従来よりも低い押圧力で操作できるので、制御回路は上電極25と下電極26間の電圧比から接触位置の変化を検出できる。このように、ユーザがタッチパネル30に対し行う操作に対応し、電子機器の様々な機能が切換えられる。
【0041】
次に、ハードコート層42の外面の十点平均粗さRzの適正範囲を検討した結果を説明する。まずアクリル樹脂に種々の粒径の二酸化ケイ素微粒子を分散させてハードコート層42に相当する薄膜を、基板層41に相当する平滑なPETフィルムの上に形成する。そしてその表面の粗さを評価する。この評価として十点平均粗さRz、算術平均粗さRa、および二乗平均平方根粗さRqを測定する。これらのパラメータの測定方法はJISやISOに定義されている。なおこれらのパラメータの測定値としてはハードコート層42の外面の2箇所で測定した平均値を示す。
【0042】
一方、この薄膜の表面でフリック操作を実際に行い、操作性(滑り性)を感覚的に評価する。またこの薄膜の表面の表面張力を評価する。表面張力はISO8296に規定された方法で評価する。すなわち、段階的に表面張力の異なる複数の試験液から選択した1つを塗布して2秒以上液膜が維持されるかどうかを判断する。そして最も表面張力の大きい試験液の表面張力の値を薄膜の表面張力とする。
【0043】
さらにPETフィルムの下に液晶ディスプレイ15を配置し、カーナビゲーションで用いられる地図を表示し、視認性を感覚的に評価する。評価結果を(表1)に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
サンプルA以外ではRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。そのため滑り性、視認性とも良好である。これに対しサンプルAではRzの値が17.7μm未満であるため、フリック操作をすると指に薄膜が付着して操作性が低下する。なおいずれのサンプルにおいてもRzの値が40.0μm以下であるため視認性には問題ない。
【0046】
またいずれのサンプルにおいても表面張力は32N/mm以上、38N/mm以下であるため、薄膜表面に指紋はつきにくくなっている。
【0047】
なおサンプルAとサンプルBの評価結果を比較すると、Rzの値の差に比べてRaやRqの値の差は小さい。またサンプルAとサンプルCの評価結果を比較すると、Rzの値はサンプルCの方がサンプルAよりも大きいのにRaやRqの値はサンプルCの方がサンプルAよりも小さくなっている。これらの結果から、滑り性を評価する指標としてはRzが適当であることがわかる。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、上基板21は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層41と、基板層41の第一面に配置されたハードコート層42とを有する。ハードコート層42は基板層41と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。この構成により、ユーザはフリック操作しやすくなる。そのため、多様な操作が可能なタッチパネル30を実現することができる。
【0049】
また、ハードコート層42は基板層41と反対側に外面を有し、外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下であり、上導電層22はフリック操作とピンチ操作のいずれかの間における0.1N以下の押圧力に応じて下導電層と接触可能であり、低い押圧力で接触の検出が可能となるため、低い押圧力で多様な操作が可能なタッチパネル30を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によるタッチパネルは、多様な操作が可能なタッチパネルを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0051】
15 液晶ディスプレイ
21 上基板
22 上導電層
23 下基板
24 下導電層
25 上電極
26 下電極
27 ドットスペーサ
28 スペーサ
30 タッチパネル
41 基板層
42 ハードコート層
43 光拡散層
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や電子カメラ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進んでいる。これに伴い、液晶ディスプレイの上面に光透過性のタッチパネルを装着した機器が増えている。このような機器では、ユーザがタッチパネルを通して下面の液晶ディスプレイの表示を見ながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の様々な機能が切換えられる。
【0003】
以下、従来のタッチパネルについて、図4を用いて説明する。図4は従来のタッチパネルの断面図である。なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0004】
タッチパネル10は、上基板1と、上導電層2と、下基板3と、下導電層4と、一対の上電極5と、一対の下電極6と、複数のドットスペーサ7と、略額縁状のスペーサ8とを有する。このうち、上基板1、上導電層2、下基板3、下導電層4、ドットスペーサ7は光透過性である。略矩形状の上導電層2は上基板1の下面に設けられている。同じく略矩形状の下導電層4は下基板3の上面に設けられている。
【0005】
銀ペースト等で形成された上電極5は、図4における上導電層2の左右端に設けられ、下電極6は下導電層4の前後端に設けられている。上電極5と下電極6の端部は、上基板1や下基板3の外周前端に各々延出している。ドットスペーサ7は下導電層4の上面に形成され、スペーサ8は上基板1と下基板3の間の外周内縁に形成されている。なお、ドットスペーサ7は半球形の絶縁樹脂で形成され、2.5mm以内の間隔で並んでいる。
【0006】
上基板1の外周と下基板3の外周とは、スペーサ8の上下面または片面に塗布された接着剤(図示せず)によって貼り合わされている。このようにして、上導電層2と下導電層4とが所定の空隙を空けて対向している。
【0007】
上基板1は、基板層11と、基板層11の上面に設けられたハードコート層12と、基板層11の下面に設けられた光拡散層13とを有する。基板層11は、ポリエチレンテレフタレート等で形成され、ハードコート層12はアクリル等の合成樹脂にフッ素系樹脂を配合して形成されている。なお、ハードコート層12の上面は指で接触した際に指紋の跡が付かないように親油性に処理されている。そのためハードコート層12の表面張力は30N/mm以下となっている。光拡散層13は、アクリルの基材と、その基材中に分散した、二酸化ケイ素を材料とするフィラーを含む。このフィラーによって、下面に凹凸が形成されている。
【0008】
以上のように構成されたタッチパネル10は、液晶ディスプレイ15の上に配置されて電子機器に装着されると共に、上電極5と下電極6が機器のマイコン等の制御回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0009】
ユーザが液晶ディスプレイ15の表示に応じて、上基板1の上面を指やペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層2が下導電層4に接触する。そして、制御回路から上電極5と下電極6へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を制御回路が検出し、機器の様々な機能が切換えられる。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−107655号公報
【特許文献2】特開2011−065407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、近年、タッチパネルの操作方法は多様化してきている。具体的には、タッチパネルの上面に指を接した状態から軽く弾くように操作するフリック操作や、上面を二本の指を広げるように操作するピンチ操作により制御される機器が増えている。フリック操作では、従来のタッチパネル操作のように一箇所を押圧したり、押圧したまま押圧箇所を移動したりする動作とは異なり、指がタッチパネルから滑らかに離れる必要がある。またフリック操作やピンチ操作で、ユーザは指等をタッチパネルの上面にスライドするため、低い押圧力で接触の検出が可能なタッチパネルが適している。
【0013】
本発明は、このような要望に対応したものであり、操作した際に検出する押圧力が低く、多様な操作が可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明のタッチパネルは、上基板と、上導電層と、下基板と、下導電層と、複数のドットスペーサとを有する。上基板は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層と、基板層の第一面に配置されたハードコート層とを有する。上導電層は上基板における、基板層の第一面よりも第二面から近い側の面に設けられている。下基板は上導電層に対向する内面を有する。下導電層は所定の空隙を介して上導電層に対向するように下基板の内面に設けられている。ドットスペーサは下導電層と上導電層との間で、下導電層の上に設けられている。ハードコート層は基板層と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上基板と、上導電層と、下基板と、下導電層と、複数のドットスペーサとを有する。上基板は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層と、基板層の第一面に配置されたハードコート層とを有する。上導電層は上基板における、基板層の第一面よりも第二面から近い側の面に設けられている。下基板は上導電層に対向する内面を有する。下導電層は所定の空隙を介して上導電層に対向するように下基板の内面に設けられている。ドットスペーサは下導電層と上導電層との間で、下導電層の上に設けられている。ハードコート層は基板層と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。
【0016】
この構成により、ユーザはフリック操作しやすくなる。そのため、多様な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同要部断面図
【図4】従来のタッチパネルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態によるタッチパネルについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表す。
【0020】
図1、図2は、本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図と分解斜視図である。
【0021】
タッチパネル30は、上基板21と、上導電層22と、下基板23と、下導電層24と、上電極25と、下電極26と、複数のドットスペーサ27と、スペーサ28とを有する。
【0022】
上基板21は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層41と、基板層41の第一面に配置されたハードコート層42と、基板層41の第二面に配置された光拡散層43とを有する。上導電層22は光拡散層43の、基板層41と反対側の面に設けられている。すなわち、上導電層22は上基板21における、基板層41の第一面よりも第二面から近い側の面に設けられている。下基板23は上導電層22に対向する内面を有し、下導電層24は所定の空隙を介して上導電層22に対向するように下基板23の内面に設けられている。ドットスペーサ27は下導電層24と上導電層22との間で、下導電層24の上に設けられている。
【0023】
少なくとも上基板21、上導電層22、下基板23および下導電層24は光透過性である。上導電層22と下導電層24は略矩形状である。上導電層22と下導電層24はスパッタリング法や真空蒸着法等により、それぞれ上基板21、下基板23の対向面のほぼ全面に設けられている。上導電層22や下導電層24は酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性で導電性の材料で形成されている。
【0024】
図1における上導電層22の左右端には銀等の一対の上電極25が形成され、下導電層24の前後端には、一対の下電極26が形成されている。上電極25の端部は上基板21の外周前端に延出し、下電極26の端部は下基板23の外周前端に延出している。
【0025】
上基板21と下基板23の間の外周内縁には、額縁状のスペーサ28が形成されている。スペーサ28の上下面または片面に塗布形成された接着剤(図示せず)によって、上基板21と下基板23の外周が貼り合わされている。この構造によって、上導電層22と下導電層24が所定の空隙を空けて対向している。ドットスペーサ27は、エポキシやシリコーン等の絶縁樹脂によって下導電層24の上面に半球状に形成されている。
【0026】
以下、各構成要素について、より詳細に説明する。まず上基板21について説明する。上基板21の基板層41は、ポリエチレンテレフタレートやポリエーテルサルホン、ポリカーボネート等の光透過性のフィルム、アクリル等の光透過性の樹脂板で形成されている。
【0027】
光拡散層43は、アクリル等の合成樹脂を材料とする。光拡散層43の下面には、細かな凹凸が形成され、上基板21内に進入する直接光や反射光が散乱される。そのため、ニュートンリングの発生が抑制されている。このように光拡散層43を形成することが好ましいが、必須ではない。
【0028】
ハードコート層42は、アクリル系樹脂等の合成樹脂にフィラーを分散させて形成されている。フィラーとは、概ね直径0.1μm以上、1.0μm以下の微粒子で、例えば二酸化ケイ素等の無機酸化物等を材料とする。あるいは、アクリル系樹脂にフッ素系樹脂を配合して形成されている。ハードコート層42は基板層41と反対側に外面(上面)を有し、この外面の十点平均粗さRzの値は17.7以上、40.0以下である。このようにRzの値を規定する理由を説明する。
【0029】
フリック操作では、ユーザは、ハードコート層42を指で押圧した状態から表面を弾くように摺動させ、押圧力を減じてハードコート層42の外面から指を離す。そのため滑らかに指がハードコート層42から離れる必要がある。
【0030】
Rzの値が小さいことは、ハードコート層42の表面が平滑であることを意味する。しかしながらRzの値が小さすぎると、指についている皮脂のために指がハードコート層42に付着してしまい、滑らかにハードコート層42から離れない。そのため、Rzの値は17.7以上である必要がある。一方、Rzの値が大きすぎるとハードコート層42の外面がザラザラした状態になりタッチパネル30を通してユーザが液晶ディスプレイ15の表示内容を視認しにくくなる。そのため、Rzの値は40.0以下である必要がある。ただしRzの上限値は、液晶ディスプレイ15に表示する内容によってより小さく設定される。たとえばカーナビゲーションで地図を表示する場合に比べ、携帯電話などの小さい画面で比較的小さな文字を表示する場合にはより視認性が高い必要がある。そのため後者ではRzの上限値は小さくする必要がある。
【0031】
また、光拡散層43内には従来のタッチパネル10のようにフィラーを分散させないことが好ましい。この構成では光拡散層43の凹凸がより細かい。そのため、上基板21の上面にユーザが指を押し当ててもフィラーによる凹凸を感じることがない。これにより上基板21の上面に指を押し当てたまま、滑らかに摺動させることが可能となる。その結果、上基板21の耐久性が向上する。なおフィラーとは、上述のハードコート層42に適用したものと同様である。
【0032】
なお、ハードコート層42の外面の表面張力が32N/mm以上、38N/mm以下となるよう調整することがさらに好ましい。なお、表面張力の値はフィラーやフッ素系樹脂の配合比率を変化させることにより調整できる。これにより、ハードコート層42の外面にユーザが指で接触した際に指紋を付き難くなる。指の皮脂がつきにくくなるためにはハードコート層42の外面の表面張力が32N/mm以上であればよい。また樹脂材料でハードコート層42を形成する場合、現実的には表面張力は38N/mm以下となる。
【0033】
次に、ドットスペーサ27の形状について、図3を参照し説明する。図3はタッチパネル30の要部断面図である。ドットスペーサ27は下導電層24の上面に、その頂点が所定間隔Laを空けて並べて設けられている。間隔Laは3.5mm以上、4.5mm以下が望ましい。また、ドットスペーサ27の高さHaは5μm以上、15μm以下が望ましい。
【0034】
間隔Laが3.5mm以上と広くなることで、上導電層22が下導電層24に接触しやすくなる。すなわち、例えば0.1N以下の低い押圧力でも操作可能となる。なお、間隔Laを4.5mm以下とすることで、ユーザが上基板21に接触しなくても、上導電層22が下導電層24に接触してしまう誤検出が抑制される。
【0035】
またドットスペーサ27の高さHaを15μm以下とすることで上導電層22が下導電層24に接触しやすくなる。また高さHaを5μm以上とすることでユーザが上基板21に接触しなくても、上導電層22が下導電層24に接触してしまう誤検出が抑制される。なおドットスペーサ27は上述のように半球状に形成されているため、高さHaが大きくなることはドットスペーサ27の直径が大きくなることを意味する。ドットスペーサ27の直径が大きいと、タッチパネル30を通した液晶ディスプレイ15の視認性が低下する。このような観点からも高さHaを15μm以下とすることが好ましい。なおドットスペーサ27の間隔Laや高さHaの適正な範囲は上基板21の撓みやすさとも関連する。上述の適正範囲は基板層41として一般的な厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた場合である。一般に基板層41に用いる材料のヤング率は4GPaから5GPaの範囲にあり、この範囲であれば間隔Laや高さHaの適正な範囲は上述のようになる。
【0036】
このように構成されたタッチパネル30は、液晶ディスプレイ15の上方に配置されて電子機器に装着されると共に、上電極25と下電極26が機器のマイコン等の制御回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0037】
以上のように構成された電子機器について、以下にその動作を説明する。ユーザが、タッチパネル30の背面に配置された液晶ディスプレイ15の表示に応じて、上基板21の上面を指やペン等で押圧操作する。この操作によって、上基板21が撓み、押圧された箇所の上導電層22が下導電層24に接触する。そして、制御回路から上電極25と下電極26へ順次電圧が印加され、これらの電極間の電圧比によって、押圧された箇所を制御回路が検出する。
【0038】
特にハードコート層42の外面の十点平均粗さRzの値は17.7以上である。そのためフリック操作において、ユーザは、ハードコート層42の外面から滑らかに指を離すことができる。また、Rzの値が40.0以下であるため、タッチパネル30を通した液晶ディスプレイ15の視認性にも影響しない。さらに、ハードコート層42の外面の表面張力が32N/mm以上であれば、指紋の付着を抑制できる。
【0039】
なお図4に示す従来のタッチパネル10においては、指やペン等による操作で、上導電層2と下導電層4を接触させるために必要な押圧力は0.2N以上である。指を軽く弾くような操作を行うと押圧力が0.2Nより低下することがある。このような場合、軽く弾いた操作を制御回路が検出できない場合もある。一方、タッチパネル30ではユーザの押圧力を例えば0.1N以下としても、上導電層22が下導電層24に接触するものとなっており、従来よりも低い押圧力で操作できる。
【0040】
また、ユーザが指を用いてフリック操作をする場合には、ユーザは上基板21の上面の指をスライドさせ軽く弾く。この場合においても、タッチパネル30は従来よりも低い押圧力で操作できるので、制御回路は上電極25と下電極26間の電圧比から接触位置の変化を検出できる。このように、ユーザがタッチパネル30に対し行う操作に対応し、電子機器の様々な機能が切換えられる。
【0041】
次に、ハードコート層42の外面の十点平均粗さRzの適正範囲を検討した結果を説明する。まずアクリル樹脂に種々の粒径の二酸化ケイ素微粒子を分散させてハードコート層42に相当する薄膜を、基板層41に相当する平滑なPETフィルムの上に形成する。そしてその表面の粗さを評価する。この評価として十点平均粗さRz、算術平均粗さRa、および二乗平均平方根粗さRqを測定する。これらのパラメータの測定方法はJISやISOに定義されている。なおこれらのパラメータの測定値としてはハードコート層42の外面の2箇所で測定した平均値を示す。
【0042】
一方、この薄膜の表面でフリック操作を実際に行い、操作性(滑り性)を感覚的に評価する。またこの薄膜の表面の表面張力を評価する。表面張力はISO8296に規定された方法で評価する。すなわち、段階的に表面張力の異なる複数の試験液から選択した1つを塗布して2秒以上液膜が維持されるかどうかを判断する。そして最も表面張力の大きい試験液の表面張力の値を薄膜の表面張力とする。
【0043】
さらにPETフィルムの下に液晶ディスプレイ15を配置し、カーナビゲーションで用いられる地図を表示し、視認性を感覚的に評価する。評価結果を(表1)に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
サンプルA以外ではRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。そのため滑り性、視認性とも良好である。これに対しサンプルAではRzの値が17.7μm未満であるため、フリック操作をすると指に薄膜が付着して操作性が低下する。なおいずれのサンプルにおいてもRzの値が40.0μm以下であるため視認性には問題ない。
【0046】
またいずれのサンプルにおいても表面張力は32N/mm以上、38N/mm以下であるため、薄膜表面に指紋はつきにくくなっている。
【0047】
なおサンプルAとサンプルBの評価結果を比較すると、Rzの値の差に比べてRaやRqの値の差は小さい。またサンプルAとサンプルCの評価結果を比較すると、Rzの値はサンプルCの方がサンプルAよりも大きいのにRaやRqの値はサンプルCの方がサンプルAよりも小さくなっている。これらの結果から、滑り性を評価する指標としてはRzが適当であることがわかる。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、上基板21は第一面とその反対側の第二面とを有する基板層41と、基板層41の第一面に配置されたハードコート層42とを有する。ハードコート層42は基板層41と反対側に外面を有し、この外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である。この構成により、ユーザはフリック操作しやすくなる。そのため、多様な操作が可能なタッチパネル30を実現することができる。
【0049】
また、ハードコート層42は基板層41と反対側に外面を有し、外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下であり、上導電層22はフリック操作とピンチ操作のいずれかの間における0.1N以下の押圧力に応じて下導電層と接触可能であり、低い押圧力で接触の検出が可能となるため、低い押圧力で多様な操作が可能なタッチパネル30を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によるタッチパネルは、多様な操作が可能なタッチパネルを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0051】
15 液晶ディスプレイ
21 上基板
22 上導電層
23 下基板
24 下導電層
25 上電極
26 下電極
27 ドットスペーサ
28 スペーサ
30 タッチパネル
41 基板層
42 ハードコート層
43 光拡散層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面と前記第一面の反対側の第二面とを有する基板層と、前記基板層の前記第一面に配置されたハードコート層とを有する上基板と、
前記上基板における、前記基板層の前記第一面よりも前記第二面から近い側の面に設けられた上導電層と、
前記上導電層に対向する内面を有する下基板と、
前記下基板の前記内面に設けられ、所定の空隙を介して前記上導電層に対向する下導電層と、
前記下導電層と前記上導電層との間で、前記下導電層の上に設けられた複数のドットスペーサと、を備え、
前記ハードコート層は前記基板層と反対側に外面を有し、前記外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である、タッチパネル。
【請求項2】
前記ハードコート層はアクリル系樹脂と、前記アクリル系樹脂に分散した二酸化ケイ素粒子とを含む、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記上基板は、前記基板層の前記第二面に配置された光拡散層をさらに有し、
前記光拡散層は光透過性の樹脂材料にフィラーなしで形成されている、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記ドットスペーサのそれぞれの高さは5μm以上、15μm以下であり、
前記ドットスペーサのうちの任意の2つの頂点の間の間隔が3.5mm以上、4.5mm以下である、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記ハードコート層の前記外面の表面張力が32N/mm以上、38N/mm以下である、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記ハードコート層はアクリル系樹脂とフッ素系樹脂とを含む、請求項4記載のタッチパネル。
【請求項7】
ユーザによるフリック操作とピンチ操作を認識するタッチパネルであって、
第一面と前記第一面の反対側の第二面とを有する基板層と、前記基板層の前記第一面に配置されたハードコート層とを有する上基板と、
前記上基板における、前記基板層の前記第一面よりも前記第二面から近い側の面に設けられた上導電層と、
前記上導電層に対向する内面を有する下基板と、
前記下基板の前記内面に設けられ、所定の空隙を介して前記上導電層に対向する下導電層と、
前記下導電層と前記上導電層との間で、前記下導電層の上に設けられた複数のドットスペーサと、を備え、
前記ハードコート層は前記基板層と反対側に外面を有し、前記外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下であり、上導電層はフリック操作とピンチ操作のいずれかの間における0.1N以下の押圧力に応じて下導電層と接触可能である、タッチパネル。
【請求項1】
第一面と前記第一面の反対側の第二面とを有する基板層と、前記基板層の前記第一面に配置されたハードコート層とを有する上基板と、
前記上基板における、前記基板層の前記第一面よりも前記第二面から近い側の面に設けられた上導電層と、
前記上導電層に対向する内面を有する下基板と、
前記下基板の前記内面に設けられ、所定の空隙を介して前記上導電層に対向する下導電層と、
前記下導電層と前記上導電層との間で、前記下導電層の上に設けられた複数のドットスペーサと、を備え、
前記ハードコート層は前記基板層と反対側に外面を有し、前記外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下である、タッチパネル。
【請求項2】
前記ハードコート層はアクリル系樹脂と、前記アクリル系樹脂に分散した二酸化ケイ素粒子とを含む、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記上基板は、前記基板層の前記第二面に配置された光拡散層をさらに有し、
前記光拡散層は光透過性の樹脂材料にフィラーなしで形成されている、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記ドットスペーサのそれぞれの高さは5μm以上、15μm以下であり、
前記ドットスペーサのうちの任意の2つの頂点の間の間隔が3.5mm以上、4.5mm以下である、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記ハードコート層の前記外面の表面張力が32N/mm以上、38N/mm以下である、請求項1記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記ハードコート層はアクリル系樹脂とフッ素系樹脂とを含む、請求項4記載のタッチパネル。
【請求項7】
ユーザによるフリック操作とピンチ操作を認識するタッチパネルであって、
第一面と前記第一面の反対側の第二面とを有する基板層と、前記基板層の前記第一面に配置されたハードコート層とを有する上基板と、
前記上基板における、前記基板層の前記第一面よりも前記第二面から近い側の面に設けられた上導電層と、
前記上導電層に対向する内面を有する下基板と、
前記下基板の前記内面に設けられ、所定の空隙を介して前記上導電層に対向する下導電層と、
前記下導電層と前記上導電層との間で、前記下導電層の上に設けられた複数のドットスペーサと、を備え、
前記ハードコート層は前記基板層と反対側に外面を有し、前記外面の十点平均粗さRzの値が17.7μm以上、40.0μm以下であり、上導電層はフリック操作とピンチ操作のいずれかの間における0.1N以下の押圧力に応じて下導電層と接触可能である、タッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2013−50948(P2013−50948A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−169139(P2012−169139)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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