タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法および装置
タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法が開示される。この認識方法は、第1の位置に関して前記入力装置への第1のユーザ入力を受け取るステップと、前記第1のユーザ入力に関して第1の位置信号を形成するステップと、第2の位置に関して前記入力装置への第2のユーザ入力を受け取るステップと、前記第1の入力と前記第2の入力とに関して第2の位置信号を形成するステップと、前記第2のユーザ入力がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて判定するステップと、前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて第3の位置を生成するステップと、前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを用いるステップと、を具備する。さらに、タッチベースユーザ入力装置用としてタッチベース入力装置用コントローラが設けられる。前記入力装置用コントローラは、実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号のみを出力する能力があり、前記タッチベースユーザ入力装置上の、ユーザが触れた個々の位置を表わす連続する位置信号を受け取るための、前記タッチベースユーザ入力装置と接続可能な入力部と、前記位置信号のうちの少なくとも1つの信号を格納するための、前記入力部と接続されたメモリと、2つの異なる連続する位置間の時間依存遷移特性を検出する微分回路と、先行する位置に後続する位置が、単一点ユーザ入力に起因して生じたものであるか、2点ユーザ入力によって生じたものであるかを判定するための、前記微分回路と接続された第1の評価回路と、前記入力部と、前記メモリと、前記第1の評価回路と接続された第2の評価回路であって、連続する第2の位置における第1の点位置を反射することによって2点ユーザ入力を算出するために設けられた第2の評価回路と、処理ユニットと接続可能な前記第2の評価ユニットと接続された出力部とが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置用タッチ式入力装置に関する。本発明は、PDA、移動電話あるいはハンドヘルドコンピュータのようなタッチスクリーン装置にも関連する。本発明はタッチスクリーンにも関し、特に、従来方式の一般的単一点出力タッチパッド上での2点入力の実現にも関する。
【背景技術】
【0002】
増加する多数のハンドヘルド型電子装置でタッチスクリーンが利用されている。通常ユーザは一方の手で装置を把持し、他方の手で装置のユーザインタフェースを使用する。しかし、状況によっては、ユーザが両手でUIを使用できると有用になる場合もある。しかし、現在の抵抗型タッチパッドにはマルチ入力が可能なものはない。ユーザが2本の指でタッチパッドに触れると、装置はこれをエラーとして処理し、実際にはユーザがこれら2つの入力点をつなぐラインの中点である点を押そうとしたものであると想定するようになっている。
【0003】
PDA、移動電話、ラップトップコンピュータおよびPCモニタのようなユーザ入力用タッチパッドを用いる多くの電気的装置が存在する。一般に、これら電気的装置のすべては、ペンやスタイラスペンで図形アイコン、メニュー項目あるいは図面を押すような、ユーザ入力領域での単一点ユーザ入力のみを許容するものである。しかし、特別なケースでの2点ユーザ入力の利用に対する関心が高まっている。この種の利用の1例として、別のキーと一緒に押す必要がある特別のキー(shift、alt、ctrlなど)を持つQUERTY−キーボードを備えた装置がある。広く利用されている別のユーザインタフェース機能として、一般にシフトキーの押下を必要とするため、現在のタッチパッド技術では不可能なドラッグ&ドロップ機能がある。
【0004】
2以上の入力点を同時に検出する能力を有するいくつかのタッチパッド技術が存在するが、これらは高価であり、移動通信装置用としてはあまりに多くの動作電力、処理電力あるいはメモリが必要となる。
【0005】
2つの入力点を有するユーザ入力の認識が可能な安価なタッチベース入力装置が存在すれば望ましい。
【0006】
単一点ユーザ入力のみが可能な従来型のタッチパッドが、複数点ユーザ入力を認識できるようになればさらに望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法であって、第1の位置に関して前記入力装置への第1のユーザ入力を受け取るステップと、前記第1のユーザ入力に関して第1の位置信号を形成するステップと、第2の位置に関して前記入力装置への第2のユーザ入力を受け取るステップと、前記第1の入力と前記第2の入力とに関して第2の位置信号を形成するステップと、前記第2のユーザ入力がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて判定するステップと、前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて第3の位置を生成するステップと、前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを利用するステップとを行う処理を具備する方法が提供される。
【0008】
本発明の別の態様では、タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法が提供され、前記入力装置は実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号のみを出力する能力を有するものである。すなわち、上記タッチ式入力装置は、あらゆる種類の入力部において関連する単一の位置出力信号を出力するものであるが、同じ出力信号を発生させる異なる入力状況が可能性のあるものとして存在する。上記方法は、第1の位置信号を形成または検出するステップと、前記位置信号を好適に格納するステップと、後続する第2の位置信号を形成または検出するステップと、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを判定するステップと、前記格納された第1の位置を前記第2の位置で反射することにより第3の位置を生成するステップと、さらに、前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを利用するステップと、を備える。
【0009】
前記入力装置への第1のユーザ入力に関連する第1の位置信号の形成によって、前記タッチベース入力装置で単一点ユーザ入力が検出されると仮定する。
【0010】
前記第1および第3の位置信号を好適に格納することによって、たとえ入力点が実際にその位置を変えても上記位置を利用することが可能となる。位置信号は、例えば、2進の符号化済み座標データなどの形の信号自体の形で格納が可能である。永続的ストレージスコープ技術(persistent storage scope technology)から知られているように、トランジェントメモリの利用によって、第1使用点位置の格納処理が可能であることに留意されたい。
【0011】
前記第1の位置とは異なる第2の位置信号であって、前記入力装置への第2の後続するユーザ入力に関連する第2の位置信号を好適に形成することによって、2点ユーザ入力または単一点ユーザ入力に起因して生じたかもしれないイベントが検出されることになる。2つの可能なユーザ入力を区別するため、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの判定が行われる。第1の位置信号から第2の位置信号への信号遷移特性を評価することによって上記判定を行うことが可能となる。この判定は、第1の位置信号から第2の位置信号へのほぼ連続する信号遷移と、ほぼ不連続の信号遷移との区別に基づいて行うことが可能であり、その場合、ほぼ不連続の信号遷移は2点ユーザ入力を示し、ほぼ連続する信号遷移は単一点ユーザ入力、すなわちタッチベース入力装置上での入力点の動きを示すものとなる。
【0012】
2点ユーザ入力が検出された場合、前記第2の位置における前記格納済みの第1の位置を(点)反射することによって第3の位置が生成される。次いで、前記第1の位置と前記第3の位置とは前記2点ユーザ入力の座標として利用される。
【0013】
好適には、前記生成された第3の位置は前記第2の位置における前記第2のユーザ入力とほぼ同じ位置であることが望ましい。
【0014】
前記第2の位置における前記第1の位置の点反射処理によって前記第3の点の生成が視覚化される。前記第2の位置がタッチベース入力装置上の2つの実際に押された点の‘重心’位置を表わす場合、2点ユーザ入力の判断基準は満たされることになる。重心(第2の位置)情報と上記2点のうちの一方の点(すなわち第1の位置)とを用いて、第3の位置の算出を行うことが可能となる。
【0015】
格納済みの第1の位置と第2の位置との間の差を生成することによって上記第3の位置を取得し、実際の第2の位置に前記差分信号を加算することも可能である。この加算は信号ベースでの第3の位置の生成を表わすものである。これらの位置の位置座標の算出によって第3の位置の生成の実行がさらに容易になることが仮定される。
【0016】
上記理由のために、本方法を利用する装置では単一押圧点を含む場合と、2つの押圧点を含む場合とのユーザ入力のケースを区別することが可能となる。この区別が行われた場合、本方法は第2の入力点がどこに存在するかの判定を行うことになる。というのはその時ハードウェアによって誤ったデータが生成されるからである。
【0017】
前記方法のこの第1の部分は、第2の点が移動していない静的なケースと考えることができる。第2の点の移動が検出された場合、本発明の適用が可能となる。第2の(移動)点において第1の点を連続的に反射することにより、第3の点の移動を算出することが可能となる。そのため、第1の点は第3の点の移動を生成するための基準点として機能することができる。
【0018】
本発明の別の実施形態例では、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの前記判定は、第1の位置信号と第2の位置信号との間の勾配に基づいて行われることになる。この勾配は前記第1の位置から前記第2の位置への位置信号の勾配であってもよい。位置の勾配は位置の時間導関数を意味し、前記点の移動速度に比例する。位置信号が急激に立ち上がった場合、位置信号はほぼ不連続になり、勾配が上昇することになる。ほぼ不連続の信号遷移は2点ユーザ入力を示し、ほぼ連続する信号遷移は、例えばタッチベース入力装置における単一入力点の動きなどを示すものとなる。勾配の代わりに、遷移が不連続かどうかを決定する基準として遷移領域内における信号の峻険度(steepness)を利用するようにしてもよい。
【0019】
上記位置がほぼ静的である間、第1の位置を格納しなければならないことに留意されたい。この格納を実行するために、第1の位置をトランジェントメモリに格納して、不連続の信号遷移に特有のある一定の時間の経過後に、この位置を利用できるようにしてもよい。このタイマ時間は、指や(ペンなどの)入力アクチュエータをタッチパッド上に下ろすのに必要な最大推定時間である1/10秒以下のレンジにすることができる。
【0020】
さらに本発明の別の実施形態例では、前記方法は前記第3の位置を格納するステップを具備する。前記第2の位置が格納されていれば、前記第2の位置の動きが検出された場合、第1の位置の移動を算出する基準位置として上記第2の位置の利用が可能となる。
【0021】
本発明の別の実施形態例では、前記方法は、前記第2の位置の動きを検出するステップと、前記第1の位置または前記第3の位置のうちの一方の位置を基準点としてセットするステップと、前記第2の位置の前記基準点を反射することによって前記基準点ではない前記位置の動きを算出するステップとをさらに具備する。この実施形態例は、‘中’点の動きが検出された場合の2点入力モードでの方法の動的実施構成を表わすものである。上述のように、タッチパッドは前記2点ユーザ入力の中点すなわち‘重心’の動きのみを検出することができる。曖昧性のない方法で、すなわち、上記複数の点のうちの1つの点を固定点と見なすことができる場合に、第2の点の動きを解釈することができる唯一のケースが存在することになる。
【0022】
1つの固定基準点を利用するためにはこの基準点を格納しなければならない。例えば、文字列、alt、capロックおよび同種のユーザ入力などの入力機能のために、基準点として第1の位置を利用できるが、それはタッチスクリーン上で‘文字列’入力領域を押すのに用いる位置は動かされる可能性がないことが想定できるからである。
【0023】
‘ドラッグ&ドロップ機能’のユーザ入力の場合、ユーザがまずドラッグする対象オブジェクトを指示し、次に‘ドラッグ&ドロップ’機能をアクティブにする入力領域を押圧し、次いで、そのオブジェクトを移動させることが考えられる。この場合、ドラッグ&ドロップ機能をアクティブにするのに用いる位置(すなわち第3の位置)はタッチスクリーン上で動かされないと想定することが可能であり、したがってこの算出された第3の位置を固定基準位置として利用することができる。基準点のセットは第2の位置の動きが検出される前に行ってもよいことに留意されたい。
【0024】
本発明の別の実施形態例では、前記方法は、前記第1の位置または前記第3の位置を基準点として利用するかどうかを示す信号の受信ステップをさらに具備するものとなる。例えば前記ユーザ装置で実行するソフトウェアアプリケーションから情報などを受け取ることによって、単一のアプリケーションの下で単一の装置で双方の種類の入力機能を実行することができる。このケースでは、第1または第3の点を基準点と見なせるかどうかの決定は、アプリケーションが2点入力の実際の位置に基づいて下すことができる。
【0025】
入力装置の左側に近い方に位置するように基準点としての点の選択を主として行うことも可能である。入力装置の右側に近い方に実際には位置するように基準点としての点の選択を主として行うことも可能である。
【0026】
この右側/左側による基準点へのアプローチを利用することにより、ユーザが、自分の利き手でない方の手で触れることができるデバイスを掴み、自分の利き手の方の手で指やペンなどを用いて入力を行う傾向があることを考慮に入れることができる。ユーザは自分の利き手でない方の手の親指を簡単に用いて、タッチ式入力装置をタップすることができる。ユーザが右利きか左利きかのいずれかであることが予想できるため、右利きのユーザの場合には左側に近い方に配置された点を親指で押すことが予想できる。したがって左側に近い点を基準点として使用できるという予想が可能となる。したがって、ペンと親指のような2点を組み合わせた移動によってタッチ入力ベースの装置を制御する自然な方法が達成されることになる。
【0027】
さらに別の実施形態例では、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの前記判定は境界領域に基づいて行われる。この境界領域は、可能な入力オプションと前記第1の位置とによって画定される。前記第2の位置のうちの少なくとも一方の位置が前記少なくとも1つの境界領域の外側にあることが検出された場合、2点ユーザ入力は排除されることになる。
【0028】
不連続信号を示すけれども、容認できなかったり、解釈できなかったりする第2の入力信号につながる入力を境界領域を利用することによって排除し、この入力が2点入力として認識されないようにすることができる。これによって、複数の生じる可能性のある入力信号を最初から2点入力として認識しないように排除することができる。
【0029】
別の実施形態例では、前記入力領域が前記第1の位置からの‘1/2エッジ距離領域’によって画定される。第1の点の周りの‘1/2エッジ距離領域’によって基本境界領域の画定を行うことができる。1/2エッジ距離領域の外側に第2の点位置が検出された場合、第2の点は知覚できる領域の外側に存在することになる。そのため、1/2エッジ距離領域の外側の第2の点から第3の点位置を算出すると、無効な値が得られることになる。この第3の不良点が生じる可能性が生じないようにするために、第1のユーザ入力点と第2のユーザ入力点との間の距離が大きくなりすぎた場合、第2の点は単一点ユーザ入力と見なされる。そのため、通常のステップよりも長いステップは単一点ユーザ入力と解釈されることになる。1/2幅の境界領域を利用するとき、生じる可能性のある新たな第2のユーザ入力位置の3/4を2点ユーザ入力から排除することが可能となる。したがって精度を飛躍的に高めることが可能となる。
【0030】
上記境界領域は第1の位置に左右されることが考えられ、したがってこの境界領域の算出を必要とする場合があることに留意されたい。境界領域というコンセプトは一種のユーザ入力予測と考えることも可能であり、その場合、第2のユーザ入力が2点入力として容認される領域は狭くなる。境界領域を利用することによって、2点ユーザ入力の認識と処理の信頼性を大幅に高めることが可能となる。境界領域のさらに別の実施構成については図9と図10を参照されたい。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態例では、前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有する場合、前記方法は‘2点ユーザ入力フラグ’をセットするステップを具備することになる。
【0032】
タッチパッドが実際に2点入力モードであるかどうかを認知する能力を装置が備えていれば、それは有用なものとなる可能性がある。この方法には、ユーザアプリケーションから送られる‘2点ユーザ入力可能’フラグが含まれ、このフラグによって、前記タッチベース入力装置で2点ユーザ入力のオン/オフを作動可能にすることができる。上記フラグを用いて2点入力の認識に対する制約条件を追加することが可能となり、それによって認識処理の精度を高めることが可能となる。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態例では、前記方法は、前記2点ユーザ入力フラグがセットされ、かつ、前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有することが決定された場合、単一点ユーザ入力の実際の位置として前記第2の位置を利用するステップをさらに具備するものとなる。
【0034】
2点入力モードの場合でさえ、ユーザがタッチパッドと接触している2つのエレメントのうちの一方のエレメントから手を離すと、第2の位置の移動の振舞いは特徴的な不連続遷移の振舞いを示すことができる。この場合、基準点または‘算出された’第3の位置は消えることになる。算出された点が消えた場合、算出された位置または第2の位置が検出され、(連続してまたは不連続に)基準点まで戻ることになる。同様に、基準点が消えた場合には、算出された位置への第2の位置の‘ジャンプ’によって、または、算出された位置における基準点を反射して、算出された位置を算出した‘ジャンプ’が上記消失を示すことになる。この場合、セット済みのフラグをディセット(de-set)することも可能である。これら2つのケースのいずれのケースも生じなければ、第2の位置の第4の位置への不連続な動きを用いて、第5の位置を算出し、タッチパッド上での第3のタッチ点を表わすようにすることができる。このケースでは、新たな重心位置の影響が、第3の位置の生成とは異なるセットの算出方程式を必要とし、この算出方程式は第2の位置が実際には2点を表わすものであり、単一点を表わすものではないことを考慮に入れるためのものであることに留意されたい。
【0035】
本方法は前記2点ユーザ入力フラグのディセットステップまたはリセットステップをさらに具備することができる。本方法は、ユーザ入力が検出されなかった場合、前記2点ユーザ入力フラグのディセットステップをさらに具備することができる。すなわち、ユーザが実際にタッチパッドに触れていないことがタッチパッドによって検出された場合、フラグが自動的にディセットを行うことが可能となる。
【0036】
本発明の別の態様によれば、本方法は2点ユーザ入力が用いられている旨の指示を表示するステップをさらに具備する。2点ユーザ入力オプションを意識していないユーザは、ユーザ入力に対して装置が予期したように反応しなかった場合、びっくりしたり、いら立ったりさえするかもしれない。したがって、タッチパッド/タッチスクリーンが実際に2点ユーザ入力モードにあることを示すようにすると役に立つものになることができる。装置の表示画面に表示されるインジケータ、挿入済みアイコンまたはカーソルでこれを行うようにしてもよい。カーソルは個人用情報機器(PDA)などのタッチスクリーン装置では実際には利用されていない。これはカーソルが指や入力アクチュエータの下に置かれることになるため見えなくなってしまうからである。2点ユーザ入力の場合、‘基準点’が動かされ、それによって接触位置からタッチパッド上のカーソル位置がずれることがたまたま生じる場合があるかもしれない。カーソルを用いて2点のうちどちらの点が実際に基準点と見なされているかをカーソルの形状によって示すことができる。カーソルは装置が或る一定の方法で反応する理由を示すことができる。そのため、たとえユーザが2点入力の生成方法を意識していなくても、ユーザは実際のカーソルが装置のビューのどこに位置しているかを容易に認識することが可能となる。前記基準点と前記算出された点間の接続ラインとしてカーソルを設けることができる。
【0037】
別の実施形態例では、前記方法は、前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有していない場合、実際の単一点ユーザ入力の新たな位置として前記第2の位置をセットするステップをさらに具備するものとなる。
【0038】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、上述の前記方法を実行するプログラムコード手段を具備するソフトウェアツールが提供される。
【0039】
本発明の別の態様によれば、上述の前記方法を実行する、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータまたはネットワーク装置が前記プログラムを実行するとき、このコンピュータプログラム製品は上記方法のステップのすべてを実行するプログラムコード手段を具備することになる。
【0040】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、上述の前記方法を実行するための、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を具備するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0041】
本発明の別の態様によれば、コンピュータデータ信号が提供される。上記コンピュータデータ信号は、搬送波で具現化され、コンピュータまたはネットワーク装置で前記コンピュータプログラムを実行するとき、上記説明に含まれる方法ステップをコンピュータに実行させるプログラムを表わすことになる。
【0042】
本発明の別の実施形態例によれば、タッチベースユーザ入力装置用のタッチベース入力装置用コントローラが提供される。前記入力装置は、実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号のみを出力する能力を有する。上記コントローラは前記タッチベースユーザ入力装置、メモリ、微分回路と接続可能な入力部、第1と第2の評価回路並びに出力部を具備する。
【0043】
前記入力部は、ユーザが触れた前記タッチベースユーザ入力装置から、連続する位置信号を受け取る前記タッチベースユーザ入力装置と接続可能である。タッチベースユーザ入力装置の制約に起因して、上記入力部は単一点ユーザ入力位置信号のみを受け取ることができる。入力装置に電力を供給する前記入力装置とのインタフェースとして上記入力部を実装することが可能である。
【0044】
メモリは前記入力部と接続されていて、前記受信した位置信号のうちの少なくとも1つの位置信号が格納されるようになっている。このメモリは前記評価回路のうちの1つの評価回路と接続することも可能であり、例えば基準点として算出された位置が格納される。このメモリは、(少なくとも)2つの異なる時点に位置信号を格納できるようになっていて、その場合、この位置信号が第2の位置へ変更されてしまって、第1の信号がそれ以上アクセスできなくなったとき、第1の位置を格納する必要性が検出されることになる。トランジェントメモリによって上記格納を行うことが可能となる。前記入力部と直接的に、または、前記第1または前記第2の評価回路などの信号前処理段を介して間接的に、このメモリを接続することができる。上記メモリは、信号自体として、あるいは、パラメータや座標のような符号化された形で前記位置信号を格納することができる。
【0045】
2つの異なる後続位置間の時間依存遷移特性を検出するために前記微分回路が接続され、遷移および/または遷移時間の時間勾配などが判定される。
【0046】
前記第1の評価回路は前記微分回路と接続されて、後続する位置が単一点ユーザ入力に起因して生じるか、2点ユーザ入力に起因して生じるかの判定が行われる。第1の評価回路は前記入力部とも接続することができる。この微分回路は前記第1の評価回路の中に組み込むことが可能である。上記第1の評価回路が設けられて、2点入力が実際に行われていることが予想されるかどうかの判定が行われる。
【0047】
前記第2の評価回路は、前記入力部と、前記メモリと、前記第1の評価回路と接続される。前記第2の評価回路が設けられて、第1の点位置と、連続する第2の位置とに基づいて2点ユーザ入力が算出される。この算出によって、連続する第2の位置で第1の点位置を反射するのに必要な計算の実行を暗に含意することができる。
【0048】
前記出力部は、前記第2の評価ユニットと接続され、さらに、前記算出した2点ユーザ入力をアプリケーション装置へ送出するために処理ユニットと接続することが可能であり、該出力部は単一点および2点入力を用いるアプリケーションの提供を意図するものである。前記出力部は、接続されたアプリケーションによる電力供給を行うための前記入力装置とのインタフェースとして実装することも可能である。
【0049】
本発明の別の実施形態例では、前記タッチベース入力装置用コントローラは前記第2の評価ユニットと接続された入力部をさらに備え、前記第2の評価ユニットは、この第2の評価ユニットの動作を制御するための制御情報を処理ユニットから受け取るために前記処理ユニットと接続可能である。上記制御情報は、例えば‘作動可能な2点入力’や、‘第1/第2の位置基準点’や、境界領域関連情報などを含むことができる。入力コントローラは、タッチスクリーンモジュールやタッチパッドモジュールのようなタッチベース入力装置とも一体に実装することが可能である。入力コントローラはタッチスクリーンコントローラの中にも一体に実装することが可能である。
【0050】
本発明の別の態様によれば、タッチベース入力装置と、プロセッサと、前記タッチベース入力装置を前記プロセッサと接続する入力コントローラとを具備する電子装置が設けられ、その場合前記入力コントローラは上記記載に従う2点ユーザ入力を提供することが可能となる。
【0051】
別の実施形態例では、前記電子装置は移動端末装置である。この端末装置はタッチスクリーンPDAやタッチスクリーン電話として具現化することができる。
【0052】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下の説明で用いる図の位置を示す点P1、P2、PMは本テキストで使用する第1、第2、第3の位置によって表わされることに留意されたい。第1の位置はP1によって表わされ、第2の位置はPMによって表わされ、第3の位置はP2によって表わされる。
【0054】
図1は、PDA、移動電話、ラップトップコンピュータ、PCモニタのような装置によって、10×10の行列を有する例示のタッチパッドで用いる抵抗型タッチパッドなどの従来型電子ユーザ入力装置上の入力部を示す図である。これら装置のすべてに一般的なこととして、ユーザ入力領域によって許されているのはペンやスタイラスペンを用いて図形アイコンや、メニュー項目や、図面を押すような単一点のユーザ入力のみである点が挙げられる。抵抗型タッチパッドハードウェアは、2点が押された場合、入力領域の抵抗特性によって、実際のユーザ入力点の中点に単一ユーザ入力点を示す信号に入力が変換されるように振舞う。2点P1とP2がアクティブな入力領域で押されると、(単一点入力向けに設計されている)従来型のタッチパッドは、唯一の点PMがこれら2点間の相互接続ラインの中点で押されたように状況を解釈する。したがってハードウェアは実際には間違った信号を生成することになる。
【0055】
図2で、ユーザはタッチパッド面上にわたってスタイラスペンを移動させる。この例では、スタイラスペンは或る一定の開始位置XStart、YStartから終了位置XEnd、YEndへ引かれることになる。
【0056】
図2に描かれているトラックに沿った移動に起因して生じるX軸およびY軸の信号が図3に示されている。異なる出力信号は、スタイラスペンの低速、高速並びに非常に高速な(左から右への)移動に対応する異なるスタイラスペンの移動速度を表わしている。速度は変動するが、信号は連続状態のままであり、不連続部分は発生しない。
【0057】
図4は従来型の抵抗型ユーザインタフェースの場合の点入力およびそれぞれのタッチパッド出力を描く図である。P1とP2間の相互接続ラインの中点の点PMの押圧によって、点P2の押圧に先行する第1の点P1の押圧は第1の点P1が押されたものと解釈される。
【0058】
2点入力検出および入力時に利用される実質的に2つの段階、すなわち、1)(通常の単一点入力から区別される)2点入力の検出段階と、2)第2の現実のユーザ入力点の算出段階とが存在する。
【0059】
これらの段階を用いて2点ユーザ入力の実現と、これら入力点に対応する2つの複数対の座標の生成とが可能となり、これら複数対の座標は、その後UI用アプリケーションで利用することができる。次に、図5と図6は2点入力の検出に関連し、図7は第2の実際のユーザ入力点の算出に関連する。
【0060】
図5は、不連続の信号すなわち第2のユーザ入力すなわち前記タッチパッドの第2の点に触れたユーザに起因して生じる信号の不連続状態を描く図である。タッチパッド上の第2の点が押された場合、信号は非常に急速に変化する。信号遷移時間は主として、スタイラスペンや指がタッチパッド面に最初に接触した時点から、或る一定の圧力が構成されるまでに必要とする時間によって決定される。この時間は例えば1/10秒よりも大幅に短い時間になるものと推定することができる。典型的スタイラスペンの移動(10分の2、3秒の範囲の時間を必要とすると予想できる移動)と比べると、上記双方の信号の識別は可能である。したがって連続状況と不連続状況間の判断用パラメータとして信号立上がり時間を利用することが可能となる。
【0061】
図6は拡大したタイムスケールで不連続信号の立上がり時間を描く図である。不連続性を示す評価値をx座標値とy座標値の双方の値に印加することができる。連続性を検出するには上記xy座標値のうちの一方の座標値で十分である。例えば、点P1とP2とが同じy座標値を有する場合、x座標値のみで不連続性の検出を行うことが可能であり、上記x座標値とy座標値が逆の場合にも同様に不連続性の検出を行うことが可能である。描かれたダイアグラムでは、2つのパラメータ、信号立上がり時間すなわち遷移時間Δt0と、遷移Sの勾配とによって不連続性を記述することが可能である。遷移の勾配は位置変動値P0を遷移時間Δt0によって除した値に比例する。この変化が大きいほど遷移Sの勾配は大きくなる。不連続性の検出のために双方の値を適用することができる。遷移時間Δt0のみを用いて(1デジットなどの)位置の小さな変動を不連続なものとして認識できる状況が生じるようにすることが可能である。遷移Sの勾配には、位置の小さな変動を連続したものと自動的に見なすことができるという利点がある。
【0062】
以下の処理手順を用いて2点ユーザ入力の検出が可能となる。上述したように、典型的タッチパッドハードウェアは通常の利用時に、またユーザが2点を押した場合にも単一入力点データを生みだすものである。2点入力を利用できるようにするためには、これら2つのケースを互いに区別する方法を設ける必要がある。この区別方法はハードウェア信号の時間領域における振舞いの分析を通じて行うことができる。(指、スタイラスペンあるいはペンのような)入力アクチュエータを用いてユーザがタッチパッドハードウェアを押すような典型的な通常の使用時には、そのような使用によって押圧点を解釈する信号が生成される。ユーザが、(図面のスライドやメニューのスクロールなどによって)入力アクチュエータのドラッグを行っている間、入力点も移動する可能性がある。これら通常の/典型的ケースのすべてのケースでは、ハードウェアの信号は連続した信号となる(図3を参照のこと)。この移動は非常に高速な移動になる場合もあるが、信号は常に連続状態のままである。しかし、ユーザがタッチパッドの別の位置に触れると、この信号は、別の入力点の存在の必然性を示す瞬時かつ非常に高速の不連続性を経験することになる(図5を参照のこと)。信号変動レートに対する制限設定を行うことにより上記情報を利用することが可能となる。信号の変動レートは電気信号操作/処理技術に関連して通常行われる表現であり、信号の増減時間を記述するものである。この変動レートは、信号エッジ検出、シュミットトリガ、ハイパスフィルタあるいは高周波成分検出を用いるフーリエ解析によって決定することができる。入力が単一点の押圧で行われたか、2点の押圧で行われたかの判断を行う際に上記決定された信号変動レート値を利用することができる。信号が所定の勾配を上回った場合、不連続性が検出されたことになる。ユーザービリティの検討に基づいて上記制限係数の適切な値をセットし、2点入力タッチパッドの使用が便利でかつ自然になるようにすることができる。基本的に、これはタッチパッドを利用する人間の自然な方法と互換性のある制限係数の実行可能な値を発見するという問題にすぎない。以上説明した処理が図8および図9のフローチャートによって例示されている。当然のことであるが、入力活動中連続的に上記基本処理を適用して連続検出方法の実施を図るようにする必要がある。
【0063】
図7は2つの入力点の正しい位置データを生成する視覚化過程である。アクティブ入力領域上で2点が押されると、(単一点入力向けに設計されたものである)装置は1つの点のみがこれら2点間の相互接続ラインの中点で押されたものとして状況を解釈する(例示用の図1を参照のこと)。2点入力が検出された場合、第1の押圧点、並びに、以下に説明するような実際の第2の押圧点の算出に十分な情報となる“不良中点”とは既知のものとなる。
P1={X1,Y1} xy座標による第1の実際の検出済みユーザ入力点
P2={X2,Y2} xy座標による第2の実際のユーザ入力点
PM={XM,YM} xy座標による第2の検出済みユーザ入力点
【0064】
ユーザが2点を押しているとき、(前回の)第1の押圧点P1と正しくない中点PMとが認知されることになるが、この不正しくない中点PMは実際の入力動作についてのハードウェアによる誤った解釈により生成されたものである。(図5と図6に説明されているような検出された2点入力のケースと共に、実際の第2の実際の押圧点の算出にとって十分な情報が存在する。第1に、任意の2点P1とP2の中点を表わす中点PMは下式によって定義することができる:
【数1】
【0065】
これらの式から第2のユーザ入力点P2の正確な実際の位置を下式によって導き出すことができる:
X2=2XM−X1 Y2=2YM−Y1
【0066】
したがって、第1のユーザ入力点P1は既知であり、第2の実際のユーザ入力点P2は誤って解釈されたタッチパッド信号に基づいて算出することができる。したがって、ユーザインタフェースアプリケーションとして正しい2点ユーザ入力点からなるデータの利用が可能となる。
【0067】
以下の表は、P1、P2およびPM間での正しい1対1の関係を例示するものである。この表によって、ユーザ入力点の任意のペア用として、並びに、ユーザ入力点の相対位置の任意の組み合わせを用いて上記算出方法を利用することが可能となる。したがって上記提示したシンプルな着想は、任意のサイズと形状のタッチスクリーンディスプレイあるいは別のタッチパネル式領域に対して一般化することが可能な着想である。
【0068】
【表1】
【0069】
上式は非整数の位置を示す値を生むかもしれない式であるため、これらの位置は、2以上の可能なユーザ入力点を含む可能性があることに留意されたい。これらの非整数値は、上記位置を示す値の補間によって、あるいは、第2の位置の代わりにタッチ領域を用いることによって避けるようにすることも可能である。算出された第3の点P2の位置の誤差が増すにつれて、第2の点の位置分解能は3分の1だけ低下する。
【0070】
2点ユーザ入力は、抵抗型タッチパッド技術を利用する場合、2項目選択、オンスクリーンキーパッドでのshift/alt/ctrlファンクションキー、ドラッグ&ドロップ、キーボードショートカットなどの新たなユーザインタフェース機能用として利用することができる。この動作原理は単純であり、実施構成はソフトウェア(ハードウェアドライバモジュール)内への小さな変更しか必要としない。本発明はハードウェアモジュール内で実現することも可能である。本発明によって新たなユーザインタフェーススタイルの実施構成が可能となる。
【0071】
2点入力が起動され、中点PMが動かされた場合、1対1関係はもはや存在しなくなる。例えば、中点が1ステップだけ右方向へ動かれた場合、ユーザが個々の点を単一ステップだけ右方向へ移動させたか、あるいは2ステップのうちの1ステップだけ右方向へ移動させたかの主たる判定は不可能になる。しかし、場合によっては、どちらが実際のユーザ入力であったかの判定を行うことは可能である。
【0072】
1つの可能性として、上記式に基づいて第2の点の移動を算出するための固定基準点として常に第1の点が用いられる可能性が存在する。この可能性は、shift/alt/ctrlファンクションキーにおいて、並びに、オンスクリーンキーパッド、キーボードショートカットおよびすべてのアプリケーションにおいて非常に有用であり、これらが用いられた場合、第1の位置は静止したものと仮定される。
【0073】
ドラッグ&ドロップ機能の場合、ユーザがまず項目を指し、次いでタッチパッドまたはタッチスクリーン上で第2の点を押すことによってドラッグ機能の起動が行われることが予想される。このケースでは、算出された第2の点は静止したものと仮定される。臨時のアプローチとは対照的に、上記算出された第2の点は固定点であり、第1の点の動きは中点の移動量から算出することが可能である。これは、例えば、第1と第2の点の交換によって、および、基準点のセットを行って上記移動量の計算を行う前に、簡単に実施することも可能である。
【0074】
図8は本発明の方法の実施構成を示すフローチャートである。この方法は位置P1における入力イベントの検出から始まる。次のステップでは、例えば、上記変動レートが所定値を上回ったかどうかの判定82によって位置変動レートが決定される。上記変動レートが上記所定値を上回っていなければ、上記変動は点P1における単点ユーザ入力を示す従来型の動きと見なされる。この動きは点P1が静的な状態のままであったり、タッチ式入力装置の表面にわたって動かされたりするケースである。次いで、この点P1はユーザインタフェースとして前記タッチ式入力装置を利用しているアプリケーションへレポートされる84。
【0075】
変動レートがしきい値を上回った場合、この変動は不連続な動きすなわち単点ユーザ入力の‘ジャンプ’と見なされる。これはジャンプが検出された場合、点PMにおいて新たな入力イベントが検出された88ことになる。次いで、点P1とPMとは、上記式と類似の第2の入力点P2の算出90を行うのに用いられる。新たな2つの点すなわち2点入力点{P1,P2}が生成され92、ユーザインタフェースとして前記タッチ式入力装置を利用するアプリケーションへレポートされる84。
【0076】
図9は、境界領域が2点ユーザ入力の認識精度をタッチ式入力装置で改善できる方法を示す諸例を描く図である。境界領域を画定し、これらの境界領域を用いて複数の誤って認識された2点ユーザ入力を排除することが可能となる。図9には、1〜4の番号が付けられた10×10の入力行列の形で示す境界領域の4つの異なる例が存在する。
【0077】
行列番号1では、点P1は低い左隅近くに位置している。点PMへの不連続のジャンプが検出された場合、点P2は簡単に算出することができる。例えば位置P2で代わりに点PMが検出された場合、算出されたそれぞれの点は行列の外側および行列の内側ではない位置に位置することになる。この算出された点が行列の外側に位置しないようにするために、‘1/2エッジ距離’ライン94によって画定された境界領域98内で新たな点PMが検出された場合、2点入力のみを検出するようにしてもよい。1/2エッジ距離ライン94は、タッチパッドのエッジと第1の点P1までの等しい距離を有するすべての点を表わすものである。すべての1/2部分エッジ距離ライン94の組み合わせは境界領域98の境界96を表わすものである。境界領域98を利用することによって、入力領域の3/4したがって生じる可能性のあるユーザ入力の3/4を生じる可能性のある2点ユーザ入力として認識しないように排除することができる。(境界領域98を越える)通常のジャンプよりも長いジャンプによって2点ユーザ入力は排除される。この境界領域の位置は第1の点P1の位置に対応する位置であり、さらに、この境界領域の位置計算を行わなければならない場合があることに留意されたい。
【0078】
行列番号2でも、点P1は低い左隅近くにあるように位置している。境界ライン100は境界領域98’をタッチパッド領域の残りの部分から隔てている。境界領域98’はshift/alt/ctrlファンクションキー、キーボードショートカット等のようなユーザインタフェース機能を含むことが可能性である。shift/alt/ctrlファンクションキー、キーボードショートカット入力領域(図示せず)が前記領域98’の範囲内に位置しているとき、境界領域98’は点P1用の境界領域として利用することができる。境界領域98’は例えば右利きの人による利用が可能であり、その場合、右利きの人は自分の利き手でない左手を使って装置を把持し、右手で入力用ペンを巧みに使いながら左親指を使ってshift/alt/ctrlファンクションキーを押すことが想定されている。
【0079】
左利きの人の場合、前記shift/alt/ctrlファンクションキー入力領域がタッチ式入力装置の右手側に(同様に)配置されていることが望ましい。これは割込みライン100’によって示されている。ある推奨実施形態では、例えば、タッチスクリーンディスプレイの内容を左右‘逆にして’、最適化された方法で左利きの人が装置を利用できるようにする可能性が電子装置によって提供されている。左右を逆にする配置は、ユーザによる選択が可能な設定/ユーザプロファイルメニューで実現するようにしてもよい。
【0080】
行列番号3では、右手境界ライン100が点P1用の境界領域98’を隔て、ライン94と100との間で画定される1/2エッジ距離領域98とこの境界領域98’を組み合わせている。行列番号3は、その領域98’の範囲内に点P1が位置しているときにのみ、および、点PMがその領域98の範囲内に位置しているとき、2点入力の認識を可能にするものである。すなわち、2つの異なる位置に基づいて制約条件が設けられ、この制約条件によって2点入力の認識精度を順次高める2点ユーザ入力が可能となる。
【0081】
行列番号4では、ドラッグ&ドロップ機能からの周知のような個々の入力機能や、描画プログラムから周知のような異なるスタイルの起動を表わす異なる入力領域102が設けられている。入力領域102は、例えば実際にペンが触れる点P1に対して描画機能や削除機能を定義することができる。入力領域102のうちの1つの領域に対する入力を予想する前に、点P1において入力アクチュエータがタッチパッド上にセットされているものと仮定する。P1と入力領域102とが既知でかつ唯一の実行可能な2点入力が入力領域102のうちの1つの領域への入力を含むとき、境界領域104の計算を行うことが可能となる。境界領域104のうちの1つの領域内への不連続のジャンプが検出されたとき、および、その場合にのみやっと2点入力は作動可能にされる。点PMの移動が検出された場合、PMの移動量からP1の移動量を算出する基準点として、入力領域102の範囲内の点P2が用いられる。
【0082】
行列番号4では、生じる可能性のある2点入力の数が従来の方法と比較したとき著しく減少する。境界領域104は、2点入力の認識精度を高めるのに利用する一種の入力予測領域と考えることができる。
【0083】
例えば右手の親指などによって入力領域102を操作し、したがって入力領域102が行列4の右側に位置する左利きユーザ用の行列として行列4が具現化されることを付記しておく。
【0084】
図10は本発明の方法の別の実施構成のフローチャートである。基本的に本方法は図8に開示されているステップと同じステップを含むものであり、したがって同様のステップについては説明せず、図8の説明を参照するものとする。
【0085】
本方法は、点P1において入力イベントの検出80後に挿入される追加の問合せステップ11によって、図8に開示された方法とは異なるものである。この問合せステップ11は境界領域の範囲内で入力イベントが検出されたかどうかを判定するためのステップである。入力イベントが前記境界領域の範囲内に検出されなかった場合、2点ユーザ入力によって入力が生じなかったこと、および、新たな単一入力点において単一入力が行われた84ことが推定される。
【0086】
境界領域の範囲内で入力が検出された場合、第2の入力が点PMにおいて検出され88、本方法は図8に記載のように進むことになる。
【0087】
本方法は、処理のスピードアップを図るために境界領域を算出する、入力領域の判定のようなステップをさらに含むことができる。
【0088】
図11はタッチベースユーザ入力装置に対するタッチベース入力装置用コントローラを概略的に描く図である。図11は3つのブロック、すなわちタッチパッドやタッチスクリーンのようなタッチベース入力装置2、インタフェース4を介して前記タッチパッド2と接続されたタッチパッド入力コントローラ6を具備する。この図はアプリケーションを実行するプロセッサ18をさらに備え、このプロセッサ18は前記タッチパッド2を介してユーザ入力により制御される。コントローラ6はインタフェース16を介してプロセッサ18と接続される。コントローラ6はメモリ8、微分回路10並びに第1および第2の評価論理回路12と14を備える。コントローラ6では、微分回路10がタッチパッド2から単一の位置信号を受け取り、位置信号の時間導関数、すなわち前記タッチパッド2上での信号の移動スピードを決定する。この決定値は、位置信号の変化が所定の限界値を上回っているかどうかの判定を行う評価回路12へ転送される。この限界値が所定の限界値を上回った場合、信号は不連続と見なされ、2点ユーザ入力が特定される。2点ユーザ入力が存在する旨の情報が第2の評価回路14へ転送される。2点ユーザ入力が行われたかどうかの判定を行う微分回路10と評価回路12とが設けられる。2点ユーザ入力が検出された場合、第2の評価回路14を利用して2つの実際の位置が決定され、ユーザはこれら2つの実際の位置で前記タッチパッド2に触れることが予想される。
【0089】
第2の評価回路14は、前にメモリ8に格納された第1の位置と、インタフェース4を介して受信された実際の位置とを用いて、実際の2点ユーザ入力を算出する。予想される実際の2点ユーザ入力の双方の位置を算出するために、図7に関して上記明細書にリストされた式を利用することができる。第2の評価回路14はインタフェース16を介してプロセッサ18へ算出済みの2点ユーザ入力を転送して、前記プロセッサで実行するアプリケーションの制御を行う。
【0090】
前記プロセッサ18で実行する上記アプリケーションはインタフェース16を介して第2の評価回路14へ制御情報を転送してもよい。
【0091】
本発明では、実際の入力点の数や入力領域にかかわらず、抵抗型タッチパッドなどの場合のように、単一の位置情報のみの出力が可能なタッチパッドの振舞いを利用して2点入力を行うことが可能となる。本発明は本質的に2ステップ処理である。第1に、ハードウェア信号のモニタによって2点入力状況が検出される。第2のステップでは、実際の第2の入力点が第1の入力点と中点とに基づいて算出される。
【0092】
本発明は、単一入力向けのみに設計されたタッチパッド上での2点入力を可能にするシンプルな方法を提供するものであり、したがって、既存のタッチベース入力装置で2点入力を実現できる可能性を安価に提供するものである。本発明によって、タッチパッドまたはタッチスクリーンを設けることが可能なデバイスのユーザービリティをさらに改善する新たなユーザインタフェース機能の形成が可能となる。
【0093】
本方法は抵抗型タッチパッド信号解釈の新規の方法に基づくものであり、ソフトウェアを用いる実施構成が可能である。したがって、抵抗型タッチパッド装置に関してあるいは同様に振舞う他の任意のタッチパッド技術に関しても技術革新の実現が可能となる。好適なタッチパッド技術の1つの有用な特性として、アクティブな入力領域上で2点が押されたとき、(単一点入力向けに設計された)装置は、これらの2点間の相互接続ラインの中点で唯一の点が押されたように状況を解釈するという点が挙げられる。基本的には、押された単一入力点と同時に押された2つの入力点間の曖昧性のない信号および曖昧性のない関係のみが実際に必要とするものである。このような場合、第3の点P2の導出の方が複雑になる場合がある。
【0094】
動作原理は単純なものであり、実施構成はハードウェアドライバモジュールのソフトウェアの小さな変更しか必要としない。新たな機能のパフォーマンスまたは品質の有効性の検証を行うことは容易であり、したがって開発時間が短縮されることになる。
【0095】
本発明の実施およびテストは簡単に行うことができる。ユーザインタフェース/スタイルの統合化全体に多くの時間がかかる場合、本発明は特定のアプリケーションでの利用が可能である。本発明は単にソフトウェアによって実行が可能であり、大幅に高い処理パワーやメモリを必要としない。本発明によって、新たな入力コンセプトおよび再設計されたユーザインタフェースのスタイルが可能となる。本発明によって、現行のハードウェア技術を利用しながら、従来不可能であったユーザインタフェース機能の利用が2点ユーザ入力を用いて可能となる。
【0096】
本発明は専ら平面の矩形状タッチ式入力装置のみについて説明したものではあるが、球形、楕円形または円形やリングセクタの形状などのタッチ式入力装置に本発明を適用することも可能であることを付記しておく。曲線状のタッチ式入力装置あるいは球面状のタッチ式入力装置でも本発明の実現は可能である。非ユークリッド型タッチセンサを配布する場合、修正装置項を用いて本発明を実現することが可能である。
【0097】
タッチパッドという表現は、上記説明全体を通じてずっとタッチパッド、タッチスクリーンおよびタッチ式ディスプレイのような任意の種類のタッチベース入力装置を示すために用いられていることを付記しておく。
【0098】
本発明は3以上のユーザ入力点の検出にも適用可能であることをさらに付記しておく。2点ユーザ入力から始めて、さらに第2の不連続の信号遷移が観察された場合、タッチパッド上の第3のユーザ入力点を算出するために第1の中点を用いることが可能である。前記3点入力から生じる問題は3つの点の中点の潜在的移動間の明白な関係ではない状態の中に存在する。3点入力では、3点のうちのどの点が実際の中点の動きを実際に引き起こしたものであるかが明瞭ではない。しかしいくつかの例外として、パーソナルコンピュータ(PC)ユーザであれば誰でも知っているPCを再スタートするための‘文字列+Alt+Del’のよう組み合わせが後続して押された場合のような3点ユーザ入力も存在する。
【0099】
本願は実施構成の説明並びに例示による本発明の実施形態を含むものである。本発明が如上の実施形態の細部に限定されるものではないこと、本発明の特徴から逸脱することなく、別の形態でも本発明の実現が可能であることは当業者であれば理解できよう。如上の実施形態は例示的なものであり、本発明を限定するものではないと考えることが望ましい。したがって、本発明を実現し、利用する可能性は専ら添付の請求項のみによって限定されることになる。したがって、請求項によって本発明を実現する種々のオプションも本発明の範囲に属するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】一般的なタッチベースユーザ入力装置用ユーザインタフェースの場合の2点入力とそれぞれのタッチパッド出力とを描く。
【図2】ユーザがタッチパッド面上で移動させるスタイラスペンのトラックを描く。
【図3】図2の移動に起因して生じるX軸およびY軸の信号を示す。
【図4】一般的な抵抗ユーザインタフェースの場合の2点入力とそれぞれのタッチパッド出力とを描く。
【図5】タッチパッドの第2の入力点に触れるユーザによって引き起こされる信号の不連続を視覚化する。
【図6】不連続状況か、不連続でない状況(not-situation)かの判断用パラメータとして使用する信号立ち上げ時間の利用を視覚化する。
【図7】2つの入力点の正しい位置データの再現過程を視覚化する。
【図8】本発明の前記方法の実施構成を示すフローチャートである。
【図9】本発明の方法の実施構成の境界領域についての異なる実施形態を描く。
【図10】図9の境界領域を利用する本発明の方法の別の実現を示すフローチャートである。
【図11】タッチベースユーザ入力装置用タッチベース入力装置用コントローラの実施構成を概略的に描く。
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置用タッチ式入力装置に関する。本発明は、PDA、移動電話あるいはハンドヘルドコンピュータのようなタッチスクリーン装置にも関連する。本発明はタッチスクリーンにも関し、特に、従来方式の一般的単一点出力タッチパッド上での2点入力の実現にも関する。
【背景技術】
【0002】
増加する多数のハンドヘルド型電子装置でタッチスクリーンが利用されている。通常ユーザは一方の手で装置を把持し、他方の手で装置のユーザインタフェースを使用する。しかし、状況によっては、ユーザが両手でUIを使用できると有用になる場合もある。しかし、現在の抵抗型タッチパッドにはマルチ入力が可能なものはない。ユーザが2本の指でタッチパッドに触れると、装置はこれをエラーとして処理し、実際にはユーザがこれら2つの入力点をつなぐラインの中点である点を押そうとしたものであると想定するようになっている。
【0003】
PDA、移動電話、ラップトップコンピュータおよびPCモニタのようなユーザ入力用タッチパッドを用いる多くの電気的装置が存在する。一般に、これら電気的装置のすべては、ペンやスタイラスペンで図形アイコン、メニュー項目あるいは図面を押すような、ユーザ入力領域での単一点ユーザ入力のみを許容するものである。しかし、特別なケースでの2点ユーザ入力の利用に対する関心が高まっている。この種の利用の1例として、別のキーと一緒に押す必要がある特別のキー(shift、alt、ctrlなど)を持つQUERTY−キーボードを備えた装置がある。広く利用されている別のユーザインタフェース機能として、一般にシフトキーの押下を必要とするため、現在のタッチパッド技術では不可能なドラッグ&ドロップ機能がある。
【0004】
2以上の入力点を同時に検出する能力を有するいくつかのタッチパッド技術が存在するが、これらは高価であり、移動通信装置用としてはあまりに多くの動作電力、処理電力あるいはメモリが必要となる。
【0005】
2つの入力点を有するユーザ入力の認識が可能な安価なタッチベース入力装置が存在すれば望ましい。
【0006】
単一点ユーザ入力のみが可能な従来型のタッチパッドが、複数点ユーザ入力を認識できるようになればさらに望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法であって、第1の位置に関して前記入力装置への第1のユーザ入力を受け取るステップと、前記第1のユーザ入力に関して第1の位置信号を形成するステップと、第2の位置に関して前記入力装置への第2のユーザ入力を受け取るステップと、前記第1の入力と前記第2の入力とに関して第2の位置信号を形成するステップと、前記第2のユーザ入力がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて判定するステップと、前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて第3の位置を生成するステップと、前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを利用するステップとを行う処理を具備する方法が提供される。
【0008】
本発明の別の態様では、タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法が提供され、前記入力装置は実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号のみを出力する能力を有するものである。すなわち、上記タッチ式入力装置は、あらゆる種類の入力部において関連する単一の位置出力信号を出力するものであるが、同じ出力信号を発生させる異なる入力状況が可能性のあるものとして存在する。上記方法は、第1の位置信号を形成または検出するステップと、前記位置信号を好適に格納するステップと、後続する第2の位置信号を形成または検出するステップと、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを判定するステップと、前記格納された第1の位置を前記第2の位置で反射することにより第3の位置を生成するステップと、さらに、前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを利用するステップと、を備える。
【0009】
前記入力装置への第1のユーザ入力に関連する第1の位置信号の形成によって、前記タッチベース入力装置で単一点ユーザ入力が検出されると仮定する。
【0010】
前記第1および第3の位置信号を好適に格納することによって、たとえ入力点が実際にその位置を変えても上記位置を利用することが可能となる。位置信号は、例えば、2進の符号化済み座標データなどの形の信号自体の形で格納が可能である。永続的ストレージスコープ技術(persistent storage scope technology)から知られているように、トランジェントメモリの利用によって、第1使用点位置の格納処理が可能であることに留意されたい。
【0011】
前記第1の位置とは異なる第2の位置信号であって、前記入力装置への第2の後続するユーザ入力に関連する第2の位置信号を好適に形成することによって、2点ユーザ入力または単一点ユーザ入力に起因して生じたかもしれないイベントが検出されることになる。2つの可能なユーザ入力を区別するため、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの判定が行われる。第1の位置信号から第2の位置信号への信号遷移特性を評価することによって上記判定を行うことが可能となる。この判定は、第1の位置信号から第2の位置信号へのほぼ連続する信号遷移と、ほぼ不連続の信号遷移との区別に基づいて行うことが可能であり、その場合、ほぼ不連続の信号遷移は2点ユーザ入力を示し、ほぼ連続する信号遷移は単一点ユーザ入力、すなわちタッチベース入力装置上での入力点の動きを示すものとなる。
【0012】
2点ユーザ入力が検出された場合、前記第2の位置における前記格納済みの第1の位置を(点)反射することによって第3の位置が生成される。次いで、前記第1の位置と前記第3の位置とは前記2点ユーザ入力の座標として利用される。
【0013】
好適には、前記生成された第3の位置は前記第2の位置における前記第2のユーザ入力とほぼ同じ位置であることが望ましい。
【0014】
前記第2の位置における前記第1の位置の点反射処理によって前記第3の点の生成が視覚化される。前記第2の位置がタッチベース入力装置上の2つの実際に押された点の‘重心’位置を表わす場合、2点ユーザ入力の判断基準は満たされることになる。重心(第2の位置)情報と上記2点のうちの一方の点(すなわち第1の位置)とを用いて、第3の位置の算出を行うことが可能となる。
【0015】
格納済みの第1の位置と第2の位置との間の差を生成することによって上記第3の位置を取得し、実際の第2の位置に前記差分信号を加算することも可能である。この加算は信号ベースでの第3の位置の生成を表わすものである。これらの位置の位置座標の算出によって第3の位置の生成の実行がさらに容易になることが仮定される。
【0016】
上記理由のために、本方法を利用する装置では単一押圧点を含む場合と、2つの押圧点を含む場合とのユーザ入力のケースを区別することが可能となる。この区別が行われた場合、本方法は第2の入力点がどこに存在するかの判定を行うことになる。というのはその時ハードウェアによって誤ったデータが生成されるからである。
【0017】
前記方法のこの第1の部分は、第2の点が移動していない静的なケースと考えることができる。第2の点の移動が検出された場合、本発明の適用が可能となる。第2の(移動)点において第1の点を連続的に反射することにより、第3の点の移動を算出することが可能となる。そのため、第1の点は第3の点の移動を生成するための基準点として機能することができる。
【0018】
本発明の別の実施形態例では、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの前記判定は、第1の位置信号と第2の位置信号との間の勾配に基づいて行われることになる。この勾配は前記第1の位置から前記第2の位置への位置信号の勾配であってもよい。位置の勾配は位置の時間導関数を意味し、前記点の移動速度に比例する。位置信号が急激に立ち上がった場合、位置信号はほぼ不連続になり、勾配が上昇することになる。ほぼ不連続の信号遷移は2点ユーザ入力を示し、ほぼ連続する信号遷移は、例えばタッチベース入力装置における単一入力点の動きなどを示すものとなる。勾配の代わりに、遷移が不連続かどうかを決定する基準として遷移領域内における信号の峻険度(steepness)を利用するようにしてもよい。
【0019】
上記位置がほぼ静的である間、第1の位置を格納しなければならないことに留意されたい。この格納を実行するために、第1の位置をトランジェントメモリに格納して、不連続の信号遷移に特有のある一定の時間の経過後に、この位置を利用できるようにしてもよい。このタイマ時間は、指や(ペンなどの)入力アクチュエータをタッチパッド上に下ろすのに必要な最大推定時間である1/10秒以下のレンジにすることができる。
【0020】
さらに本発明の別の実施形態例では、前記方法は前記第3の位置を格納するステップを具備する。前記第2の位置が格納されていれば、前記第2の位置の動きが検出された場合、第1の位置の移動を算出する基準位置として上記第2の位置の利用が可能となる。
【0021】
本発明の別の実施形態例では、前記方法は、前記第2の位置の動きを検出するステップと、前記第1の位置または前記第3の位置のうちの一方の位置を基準点としてセットするステップと、前記第2の位置の前記基準点を反射することによって前記基準点ではない前記位置の動きを算出するステップとをさらに具備する。この実施形態例は、‘中’点の動きが検出された場合の2点入力モードでの方法の動的実施構成を表わすものである。上述のように、タッチパッドは前記2点ユーザ入力の中点すなわち‘重心’の動きのみを検出することができる。曖昧性のない方法で、すなわち、上記複数の点のうちの1つの点を固定点と見なすことができる場合に、第2の点の動きを解釈することができる唯一のケースが存在することになる。
【0022】
1つの固定基準点を利用するためにはこの基準点を格納しなければならない。例えば、文字列、alt、capロックおよび同種のユーザ入力などの入力機能のために、基準点として第1の位置を利用できるが、それはタッチスクリーン上で‘文字列’入力領域を押すのに用いる位置は動かされる可能性がないことが想定できるからである。
【0023】
‘ドラッグ&ドロップ機能’のユーザ入力の場合、ユーザがまずドラッグする対象オブジェクトを指示し、次に‘ドラッグ&ドロップ’機能をアクティブにする入力領域を押圧し、次いで、そのオブジェクトを移動させることが考えられる。この場合、ドラッグ&ドロップ機能をアクティブにするのに用いる位置(すなわち第3の位置)はタッチスクリーン上で動かされないと想定することが可能であり、したがってこの算出された第3の位置を固定基準位置として利用することができる。基準点のセットは第2の位置の動きが検出される前に行ってもよいことに留意されたい。
【0024】
本発明の別の実施形態例では、前記方法は、前記第1の位置または前記第3の位置を基準点として利用するかどうかを示す信号の受信ステップをさらに具備するものとなる。例えば前記ユーザ装置で実行するソフトウェアアプリケーションから情報などを受け取ることによって、単一のアプリケーションの下で単一の装置で双方の種類の入力機能を実行することができる。このケースでは、第1または第3の点を基準点と見なせるかどうかの決定は、アプリケーションが2点入力の実際の位置に基づいて下すことができる。
【0025】
入力装置の左側に近い方に位置するように基準点としての点の選択を主として行うことも可能である。入力装置の右側に近い方に実際には位置するように基準点としての点の選択を主として行うことも可能である。
【0026】
この右側/左側による基準点へのアプローチを利用することにより、ユーザが、自分の利き手でない方の手で触れることができるデバイスを掴み、自分の利き手の方の手で指やペンなどを用いて入力を行う傾向があることを考慮に入れることができる。ユーザは自分の利き手でない方の手の親指を簡単に用いて、タッチ式入力装置をタップすることができる。ユーザが右利きか左利きかのいずれかであることが予想できるため、右利きのユーザの場合には左側に近い方に配置された点を親指で押すことが予想できる。したがって左側に近い点を基準点として使用できるという予想が可能となる。したがって、ペンと親指のような2点を組み合わせた移動によってタッチ入力ベースの装置を制御する自然な方法が達成されることになる。
【0027】
さらに別の実施形態例では、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの前記判定は境界領域に基づいて行われる。この境界領域は、可能な入力オプションと前記第1の位置とによって画定される。前記第2の位置のうちの少なくとも一方の位置が前記少なくとも1つの境界領域の外側にあることが検出された場合、2点ユーザ入力は排除されることになる。
【0028】
不連続信号を示すけれども、容認できなかったり、解釈できなかったりする第2の入力信号につながる入力を境界領域を利用することによって排除し、この入力が2点入力として認識されないようにすることができる。これによって、複数の生じる可能性のある入力信号を最初から2点入力として認識しないように排除することができる。
【0029】
別の実施形態例では、前記入力領域が前記第1の位置からの‘1/2エッジ距離領域’によって画定される。第1の点の周りの‘1/2エッジ距離領域’によって基本境界領域の画定を行うことができる。1/2エッジ距離領域の外側に第2の点位置が検出された場合、第2の点は知覚できる領域の外側に存在することになる。そのため、1/2エッジ距離領域の外側の第2の点から第3の点位置を算出すると、無効な値が得られることになる。この第3の不良点が生じる可能性が生じないようにするために、第1のユーザ入力点と第2のユーザ入力点との間の距離が大きくなりすぎた場合、第2の点は単一点ユーザ入力と見なされる。そのため、通常のステップよりも長いステップは単一点ユーザ入力と解釈されることになる。1/2幅の境界領域を利用するとき、生じる可能性のある新たな第2のユーザ入力位置の3/4を2点ユーザ入力から排除することが可能となる。したがって精度を飛躍的に高めることが可能となる。
【0030】
上記境界領域は第1の位置に左右されることが考えられ、したがってこの境界領域の算出を必要とする場合があることに留意されたい。境界領域というコンセプトは一種のユーザ入力予測と考えることも可能であり、その場合、第2のユーザ入力が2点入力として容認される領域は狭くなる。境界領域を利用することによって、2点ユーザ入力の認識と処理の信頼性を大幅に高めることが可能となる。境界領域のさらに別の実施構成については図9と図10を参照されたい。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態例では、前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有する場合、前記方法は‘2点ユーザ入力フラグ’をセットするステップを具備することになる。
【0032】
タッチパッドが実際に2点入力モードであるかどうかを認知する能力を装置が備えていれば、それは有用なものとなる可能性がある。この方法には、ユーザアプリケーションから送られる‘2点ユーザ入力可能’フラグが含まれ、このフラグによって、前記タッチベース入力装置で2点ユーザ入力のオン/オフを作動可能にすることができる。上記フラグを用いて2点入力の認識に対する制約条件を追加することが可能となり、それによって認識処理の精度を高めることが可能となる。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態例では、前記方法は、前記2点ユーザ入力フラグがセットされ、かつ、前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有することが決定された場合、単一点ユーザ入力の実際の位置として前記第2の位置を利用するステップをさらに具備するものとなる。
【0034】
2点入力モードの場合でさえ、ユーザがタッチパッドと接触している2つのエレメントのうちの一方のエレメントから手を離すと、第2の位置の移動の振舞いは特徴的な不連続遷移の振舞いを示すことができる。この場合、基準点または‘算出された’第3の位置は消えることになる。算出された点が消えた場合、算出された位置または第2の位置が検出され、(連続してまたは不連続に)基準点まで戻ることになる。同様に、基準点が消えた場合には、算出された位置への第2の位置の‘ジャンプ’によって、または、算出された位置における基準点を反射して、算出された位置を算出した‘ジャンプ’が上記消失を示すことになる。この場合、セット済みのフラグをディセット(de-set)することも可能である。これら2つのケースのいずれのケースも生じなければ、第2の位置の第4の位置への不連続な動きを用いて、第5の位置を算出し、タッチパッド上での第3のタッチ点を表わすようにすることができる。このケースでは、新たな重心位置の影響が、第3の位置の生成とは異なるセットの算出方程式を必要とし、この算出方程式は第2の位置が実際には2点を表わすものであり、単一点を表わすものではないことを考慮に入れるためのものであることに留意されたい。
【0035】
本方法は前記2点ユーザ入力フラグのディセットステップまたはリセットステップをさらに具備することができる。本方法は、ユーザ入力が検出されなかった場合、前記2点ユーザ入力フラグのディセットステップをさらに具備することができる。すなわち、ユーザが実際にタッチパッドに触れていないことがタッチパッドによって検出された場合、フラグが自動的にディセットを行うことが可能となる。
【0036】
本発明の別の態様によれば、本方法は2点ユーザ入力が用いられている旨の指示を表示するステップをさらに具備する。2点ユーザ入力オプションを意識していないユーザは、ユーザ入力に対して装置が予期したように反応しなかった場合、びっくりしたり、いら立ったりさえするかもしれない。したがって、タッチパッド/タッチスクリーンが実際に2点ユーザ入力モードにあることを示すようにすると役に立つものになることができる。装置の表示画面に表示されるインジケータ、挿入済みアイコンまたはカーソルでこれを行うようにしてもよい。カーソルは個人用情報機器(PDA)などのタッチスクリーン装置では実際には利用されていない。これはカーソルが指や入力アクチュエータの下に置かれることになるため見えなくなってしまうからである。2点ユーザ入力の場合、‘基準点’が動かされ、それによって接触位置からタッチパッド上のカーソル位置がずれることがたまたま生じる場合があるかもしれない。カーソルを用いて2点のうちどちらの点が実際に基準点と見なされているかをカーソルの形状によって示すことができる。カーソルは装置が或る一定の方法で反応する理由を示すことができる。そのため、たとえユーザが2点入力の生成方法を意識していなくても、ユーザは実際のカーソルが装置のビューのどこに位置しているかを容易に認識することが可能となる。前記基準点と前記算出された点間の接続ラインとしてカーソルを設けることができる。
【0037】
別の実施形態例では、前記方法は、前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有していない場合、実際の単一点ユーザ入力の新たな位置として前記第2の位置をセットするステップをさらに具備するものとなる。
【0038】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、上述の前記方法を実行するプログラムコード手段を具備するソフトウェアツールが提供される。
【0039】
本発明の別の態様によれば、上述の前記方法を実行する、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータまたはネットワーク装置が前記プログラムを実行するとき、このコンピュータプログラム製品は上記方法のステップのすべてを実行するプログラムコード手段を具備することになる。
【0040】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、上述の前記方法を実行するための、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を具備するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0041】
本発明の別の態様によれば、コンピュータデータ信号が提供される。上記コンピュータデータ信号は、搬送波で具現化され、コンピュータまたはネットワーク装置で前記コンピュータプログラムを実行するとき、上記説明に含まれる方法ステップをコンピュータに実行させるプログラムを表わすことになる。
【0042】
本発明の別の実施形態例によれば、タッチベースユーザ入力装置用のタッチベース入力装置用コントローラが提供される。前記入力装置は、実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号のみを出力する能力を有する。上記コントローラは前記タッチベースユーザ入力装置、メモリ、微分回路と接続可能な入力部、第1と第2の評価回路並びに出力部を具備する。
【0043】
前記入力部は、ユーザが触れた前記タッチベースユーザ入力装置から、連続する位置信号を受け取る前記タッチベースユーザ入力装置と接続可能である。タッチベースユーザ入力装置の制約に起因して、上記入力部は単一点ユーザ入力位置信号のみを受け取ることができる。入力装置に電力を供給する前記入力装置とのインタフェースとして上記入力部を実装することが可能である。
【0044】
メモリは前記入力部と接続されていて、前記受信した位置信号のうちの少なくとも1つの位置信号が格納されるようになっている。このメモリは前記評価回路のうちの1つの評価回路と接続することも可能であり、例えば基準点として算出された位置が格納される。このメモリは、(少なくとも)2つの異なる時点に位置信号を格納できるようになっていて、その場合、この位置信号が第2の位置へ変更されてしまって、第1の信号がそれ以上アクセスできなくなったとき、第1の位置を格納する必要性が検出されることになる。トランジェントメモリによって上記格納を行うことが可能となる。前記入力部と直接的に、または、前記第1または前記第2の評価回路などの信号前処理段を介して間接的に、このメモリを接続することができる。上記メモリは、信号自体として、あるいは、パラメータや座標のような符号化された形で前記位置信号を格納することができる。
【0045】
2つの異なる後続位置間の時間依存遷移特性を検出するために前記微分回路が接続され、遷移および/または遷移時間の時間勾配などが判定される。
【0046】
前記第1の評価回路は前記微分回路と接続されて、後続する位置が単一点ユーザ入力に起因して生じるか、2点ユーザ入力に起因して生じるかの判定が行われる。第1の評価回路は前記入力部とも接続することができる。この微分回路は前記第1の評価回路の中に組み込むことが可能である。上記第1の評価回路が設けられて、2点入力が実際に行われていることが予想されるかどうかの判定が行われる。
【0047】
前記第2の評価回路は、前記入力部と、前記メモリと、前記第1の評価回路と接続される。前記第2の評価回路が設けられて、第1の点位置と、連続する第2の位置とに基づいて2点ユーザ入力が算出される。この算出によって、連続する第2の位置で第1の点位置を反射するのに必要な計算の実行を暗に含意することができる。
【0048】
前記出力部は、前記第2の評価ユニットと接続され、さらに、前記算出した2点ユーザ入力をアプリケーション装置へ送出するために処理ユニットと接続することが可能であり、該出力部は単一点および2点入力を用いるアプリケーションの提供を意図するものである。前記出力部は、接続されたアプリケーションによる電力供給を行うための前記入力装置とのインタフェースとして実装することも可能である。
【0049】
本発明の別の実施形態例では、前記タッチベース入力装置用コントローラは前記第2の評価ユニットと接続された入力部をさらに備え、前記第2の評価ユニットは、この第2の評価ユニットの動作を制御するための制御情報を処理ユニットから受け取るために前記処理ユニットと接続可能である。上記制御情報は、例えば‘作動可能な2点入力’や、‘第1/第2の位置基準点’や、境界領域関連情報などを含むことができる。入力コントローラは、タッチスクリーンモジュールやタッチパッドモジュールのようなタッチベース入力装置とも一体に実装することが可能である。入力コントローラはタッチスクリーンコントローラの中にも一体に実装することが可能である。
【0050】
本発明の別の態様によれば、タッチベース入力装置と、プロセッサと、前記タッチベース入力装置を前記プロセッサと接続する入力コントローラとを具備する電子装置が設けられ、その場合前記入力コントローラは上記記載に従う2点ユーザ入力を提供することが可能となる。
【0051】
別の実施形態例では、前記電子装置は移動端末装置である。この端末装置はタッチスクリーンPDAやタッチスクリーン電話として具現化することができる。
【0052】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下の説明で用いる図の位置を示す点P1、P2、PMは本テキストで使用する第1、第2、第3の位置によって表わされることに留意されたい。第1の位置はP1によって表わされ、第2の位置はPMによって表わされ、第3の位置はP2によって表わされる。
【0054】
図1は、PDA、移動電話、ラップトップコンピュータ、PCモニタのような装置によって、10×10の行列を有する例示のタッチパッドで用いる抵抗型タッチパッドなどの従来型電子ユーザ入力装置上の入力部を示す図である。これら装置のすべてに一般的なこととして、ユーザ入力領域によって許されているのはペンやスタイラスペンを用いて図形アイコンや、メニュー項目や、図面を押すような単一点のユーザ入力のみである点が挙げられる。抵抗型タッチパッドハードウェアは、2点が押された場合、入力領域の抵抗特性によって、実際のユーザ入力点の中点に単一ユーザ入力点を示す信号に入力が変換されるように振舞う。2点P1とP2がアクティブな入力領域で押されると、(単一点入力向けに設計されている)従来型のタッチパッドは、唯一の点PMがこれら2点間の相互接続ラインの中点で押されたように状況を解釈する。したがってハードウェアは実際には間違った信号を生成することになる。
【0055】
図2で、ユーザはタッチパッド面上にわたってスタイラスペンを移動させる。この例では、スタイラスペンは或る一定の開始位置XStart、YStartから終了位置XEnd、YEndへ引かれることになる。
【0056】
図2に描かれているトラックに沿った移動に起因して生じるX軸およびY軸の信号が図3に示されている。異なる出力信号は、スタイラスペンの低速、高速並びに非常に高速な(左から右への)移動に対応する異なるスタイラスペンの移動速度を表わしている。速度は変動するが、信号は連続状態のままであり、不連続部分は発生しない。
【0057】
図4は従来型の抵抗型ユーザインタフェースの場合の点入力およびそれぞれのタッチパッド出力を描く図である。P1とP2間の相互接続ラインの中点の点PMの押圧によって、点P2の押圧に先行する第1の点P1の押圧は第1の点P1が押されたものと解釈される。
【0058】
2点入力検出および入力時に利用される実質的に2つの段階、すなわち、1)(通常の単一点入力から区別される)2点入力の検出段階と、2)第2の現実のユーザ入力点の算出段階とが存在する。
【0059】
これらの段階を用いて2点ユーザ入力の実現と、これら入力点に対応する2つの複数対の座標の生成とが可能となり、これら複数対の座標は、その後UI用アプリケーションで利用することができる。次に、図5と図6は2点入力の検出に関連し、図7は第2の実際のユーザ入力点の算出に関連する。
【0060】
図5は、不連続の信号すなわち第2のユーザ入力すなわち前記タッチパッドの第2の点に触れたユーザに起因して生じる信号の不連続状態を描く図である。タッチパッド上の第2の点が押された場合、信号は非常に急速に変化する。信号遷移時間は主として、スタイラスペンや指がタッチパッド面に最初に接触した時点から、或る一定の圧力が構成されるまでに必要とする時間によって決定される。この時間は例えば1/10秒よりも大幅に短い時間になるものと推定することができる。典型的スタイラスペンの移動(10分の2、3秒の範囲の時間を必要とすると予想できる移動)と比べると、上記双方の信号の識別は可能である。したがって連続状況と不連続状況間の判断用パラメータとして信号立上がり時間を利用することが可能となる。
【0061】
図6は拡大したタイムスケールで不連続信号の立上がり時間を描く図である。不連続性を示す評価値をx座標値とy座標値の双方の値に印加することができる。連続性を検出するには上記xy座標値のうちの一方の座標値で十分である。例えば、点P1とP2とが同じy座標値を有する場合、x座標値のみで不連続性の検出を行うことが可能であり、上記x座標値とy座標値が逆の場合にも同様に不連続性の検出を行うことが可能である。描かれたダイアグラムでは、2つのパラメータ、信号立上がり時間すなわち遷移時間Δt0と、遷移Sの勾配とによって不連続性を記述することが可能である。遷移の勾配は位置変動値P0を遷移時間Δt0によって除した値に比例する。この変化が大きいほど遷移Sの勾配は大きくなる。不連続性の検出のために双方の値を適用することができる。遷移時間Δt0のみを用いて(1デジットなどの)位置の小さな変動を不連続なものとして認識できる状況が生じるようにすることが可能である。遷移Sの勾配には、位置の小さな変動を連続したものと自動的に見なすことができるという利点がある。
【0062】
以下の処理手順を用いて2点ユーザ入力の検出が可能となる。上述したように、典型的タッチパッドハードウェアは通常の利用時に、またユーザが2点を押した場合にも単一入力点データを生みだすものである。2点入力を利用できるようにするためには、これら2つのケースを互いに区別する方法を設ける必要がある。この区別方法はハードウェア信号の時間領域における振舞いの分析を通じて行うことができる。(指、スタイラスペンあるいはペンのような)入力アクチュエータを用いてユーザがタッチパッドハードウェアを押すような典型的な通常の使用時には、そのような使用によって押圧点を解釈する信号が生成される。ユーザが、(図面のスライドやメニューのスクロールなどによって)入力アクチュエータのドラッグを行っている間、入力点も移動する可能性がある。これら通常の/典型的ケースのすべてのケースでは、ハードウェアの信号は連続した信号となる(図3を参照のこと)。この移動は非常に高速な移動になる場合もあるが、信号は常に連続状態のままである。しかし、ユーザがタッチパッドの別の位置に触れると、この信号は、別の入力点の存在の必然性を示す瞬時かつ非常に高速の不連続性を経験することになる(図5を参照のこと)。信号変動レートに対する制限設定を行うことにより上記情報を利用することが可能となる。信号の変動レートは電気信号操作/処理技術に関連して通常行われる表現であり、信号の増減時間を記述するものである。この変動レートは、信号エッジ検出、シュミットトリガ、ハイパスフィルタあるいは高周波成分検出を用いるフーリエ解析によって決定することができる。入力が単一点の押圧で行われたか、2点の押圧で行われたかの判断を行う際に上記決定された信号変動レート値を利用することができる。信号が所定の勾配を上回った場合、不連続性が検出されたことになる。ユーザービリティの検討に基づいて上記制限係数の適切な値をセットし、2点入力タッチパッドの使用が便利でかつ自然になるようにすることができる。基本的に、これはタッチパッドを利用する人間の自然な方法と互換性のある制限係数の実行可能な値を発見するという問題にすぎない。以上説明した処理が図8および図9のフローチャートによって例示されている。当然のことであるが、入力活動中連続的に上記基本処理を適用して連続検出方法の実施を図るようにする必要がある。
【0063】
図7は2つの入力点の正しい位置データを生成する視覚化過程である。アクティブ入力領域上で2点が押されると、(単一点入力向けに設計されたものである)装置は1つの点のみがこれら2点間の相互接続ラインの中点で押されたものとして状況を解釈する(例示用の図1を参照のこと)。2点入力が検出された場合、第1の押圧点、並びに、以下に説明するような実際の第2の押圧点の算出に十分な情報となる“不良中点”とは既知のものとなる。
P1={X1,Y1} xy座標による第1の実際の検出済みユーザ入力点
P2={X2,Y2} xy座標による第2の実際のユーザ入力点
PM={XM,YM} xy座標による第2の検出済みユーザ入力点
【0064】
ユーザが2点を押しているとき、(前回の)第1の押圧点P1と正しくない中点PMとが認知されることになるが、この不正しくない中点PMは実際の入力動作についてのハードウェアによる誤った解釈により生成されたものである。(図5と図6に説明されているような検出された2点入力のケースと共に、実際の第2の実際の押圧点の算出にとって十分な情報が存在する。第1に、任意の2点P1とP2の中点を表わす中点PMは下式によって定義することができる:
【数1】
【0065】
これらの式から第2のユーザ入力点P2の正確な実際の位置を下式によって導き出すことができる:
X2=2XM−X1 Y2=2YM−Y1
【0066】
したがって、第1のユーザ入力点P1は既知であり、第2の実際のユーザ入力点P2は誤って解釈されたタッチパッド信号に基づいて算出することができる。したがって、ユーザインタフェースアプリケーションとして正しい2点ユーザ入力点からなるデータの利用が可能となる。
【0067】
以下の表は、P1、P2およびPM間での正しい1対1の関係を例示するものである。この表によって、ユーザ入力点の任意のペア用として、並びに、ユーザ入力点の相対位置の任意の組み合わせを用いて上記算出方法を利用することが可能となる。したがって上記提示したシンプルな着想は、任意のサイズと形状のタッチスクリーンディスプレイあるいは別のタッチパネル式領域に対して一般化することが可能な着想である。
【0068】
【表1】
【0069】
上式は非整数の位置を示す値を生むかもしれない式であるため、これらの位置は、2以上の可能なユーザ入力点を含む可能性があることに留意されたい。これらの非整数値は、上記位置を示す値の補間によって、あるいは、第2の位置の代わりにタッチ領域を用いることによって避けるようにすることも可能である。算出された第3の点P2の位置の誤差が増すにつれて、第2の点の位置分解能は3分の1だけ低下する。
【0070】
2点ユーザ入力は、抵抗型タッチパッド技術を利用する場合、2項目選択、オンスクリーンキーパッドでのshift/alt/ctrlファンクションキー、ドラッグ&ドロップ、キーボードショートカットなどの新たなユーザインタフェース機能用として利用することができる。この動作原理は単純であり、実施構成はソフトウェア(ハードウェアドライバモジュール)内への小さな変更しか必要としない。本発明はハードウェアモジュール内で実現することも可能である。本発明によって新たなユーザインタフェーススタイルの実施構成が可能となる。
【0071】
2点入力が起動され、中点PMが動かされた場合、1対1関係はもはや存在しなくなる。例えば、中点が1ステップだけ右方向へ動かれた場合、ユーザが個々の点を単一ステップだけ右方向へ移動させたか、あるいは2ステップのうちの1ステップだけ右方向へ移動させたかの主たる判定は不可能になる。しかし、場合によっては、どちらが実際のユーザ入力であったかの判定を行うことは可能である。
【0072】
1つの可能性として、上記式に基づいて第2の点の移動を算出するための固定基準点として常に第1の点が用いられる可能性が存在する。この可能性は、shift/alt/ctrlファンクションキーにおいて、並びに、オンスクリーンキーパッド、キーボードショートカットおよびすべてのアプリケーションにおいて非常に有用であり、これらが用いられた場合、第1の位置は静止したものと仮定される。
【0073】
ドラッグ&ドロップ機能の場合、ユーザがまず項目を指し、次いでタッチパッドまたはタッチスクリーン上で第2の点を押すことによってドラッグ機能の起動が行われることが予想される。このケースでは、算出された第2の点は静止したものと仮定される。臨時のアプローチとは対照的に、上記算出された第2の点は固定点であり、第1の点の動きは中点の移動量から算出することが可能である。これは、例えば、第1と第2の点の交換によって、および、基準点のセットを行って上記移動量の計算を行う前に、簡単に実施することも可能である。
【0074】
図8は本発明の方法の実施構成を示すフローチャートである。この方法は位置P1における入力イベントの検出から始まる。次のステップでは、例えば、上記変動レートが所定値を上回ったかどうかの判定82によって位置変動レートが決定される。上記変動レートが上記所定値を上回っていなければ、上記変動は点P1における単点ユーザ入力を示す従来型の動きと見なされる。この動きは点P1が静的な状態のままであったり、タッチ式入力装置の表面にわたって動かされたりするケースである。次いで、この点P1はユーザインタフェースとして前記タッチ式入力装置を利用しているアプリケーションへレポートされる84。
【0075】
変動レートがしきい値を上回った場合、この変動は不連続な動きすなわち単点ユーザ入力の‘ジャンプ’と見なされる。これはジャンプが検出された場合、点PMにおいて新たな入力イベントが検出された88ことになる。次いで、点P1とPMとは、上記式と類似の第2の入力点P2の算出90を行うのに用いられる。新たな2つの点すなわち2点入力点{P1,P2}が生成され92、ユーザインタフェースとして前記タッチ式入力装置を利用するアプリケーションへレポートされる84。
【0076】
図9は、境界領域が2点ユーザ入力の認識精度をタッチ式入力装置で改善できる方法を示す諸例を描く図である。境界領域を画定し、これらの境界領域を用いて複数の誤って認識された2点ユーザ入力を排除することが可能となる。図9には、1〜4の番号が付けられた10×10の入力行列の形で示す境界領域の4つの異なる例が存在する。
【0077】
行列番号1では、点P1は低い左隅近くに位置している。点PMへの不連続のジャンプが検出された場合、点P2は簡単に算出することができる。例えば位置P2で代わりに点PMが検出された場合、算出されたそれぞれの点は行列の外側および行列の内側ではない位置に位置することになる。この算出された点が行列の外側に位置しないようにするために、‘1/2エッジ距離’ライン94によって画定された境界領域98内で新たな点PMが検出された場合、2点入力のみを検出するようにしてもよい。1/2エッジ距離ライン94は、タッチパッドのエッジと第1の点P1までの等しい距離を有するすべての点を表わすものである。すべての1/2部分エッジ距離ライン94の組み合わせは境界領域98の境界96を表わすものである。境界領域98を利用することによって、入力領域の3/4したがって生じる可能性のあるユーザ入力の3/4を生じる可能性のある2点ユーザ入力として認識しないように排除することができる。(境界領域98を越える)通常のジャンプよりも長いジャンプによって2点ユーザ入力は排除される。この境界領域の位置は第1の点P1の位置に対応する位置であり、さらに、この境界領域の位置計算を行わなければならない場合があることに留意されたい。
【0078】
行列番号2でも、点P1は低い左隅近くにあるように位置している。境界ライン100は境界領域98’をタッチパッド領域の残りの部分から隔てている。境界領域98’はshift/alt/ctrlファンクションキー、キーボードショートカット等のようなユーザインタフェース機能を含むことが可能性である。shift/alt/ctrlファンクションキー、キーボードショートカット入力領域(図示せず)が前記領域98’の範囲内に位置しているとき、境界領域98’は点P1用の境界領域として利用することができる。境界領域98’は例えば右利きの人による利用が可能であり、その場合、右利きの人は自分の利き手でない左手を使って装置を把持し、右手で入力用ペンを巧みに使いながら左親指を使ってshift/alt/ctrlファンクションキーを押すことが想定されている。
【0079】
左利きの人の場合、前記shift/alt/ctrlファンクションキー入力領域がタッチ式入力装置の右手側に(同様に)配置されていることが望ましい。これは割込みライン100’によって示されている。ある推奨実施形態では、例えば、タッチスクリーンディスプレイの内容を左右‘逆にして’、最適化された方法で左利きの人が装置を利用できるようにする可能性が電子装置によって提供されている。左右を逆にする配置は、ユーザによる選択が可能な設定/ユーザプロファイルメニューで実現するようにしてもよい。
【0080】
行列番号3では、右手境界ライン100が点P1用の境界領域98’を隔て、ライン94と100との間で画定される1/2エッジ距離領域98とこの境界領域98’を組み合わせている。行列番号3は、その領域98’の範囲内に点P1が位置しているときにのみ、および、点PMがその領域98の範囲内に位置しているとき、2点入力の認識を可能にするものである。すなわち、2つの異なる位置に基づいて制約条件が設けられ、この制約条件によって2点入力の認識精度を順次高める2点ユーザ入力が可能となる。
【0081】
行列番号4では、ドラッグ&ドロップ機能からの周知のような個々の入力機能や、描画プログラムから周知のような異なるスタイルの起動を表わす異なる入力領域102が設けられている。入力領域102は、例えば実際にペンが触れる点P1に対して描画機能や削除機能を定義することができる。入力領域102のうちの1つの領域に対する入力を予想する前に、点P1において入力アクチュエータがタッチパッド上にセットされているものと仮定する。P1と入力領域102とが既知でかつ唯一の実行可能な2点入力が入力領域102のうちの1つの領域への入力を含むとき、境界領域104の計算を行うことが可能となる。境界領域104のうちの1つの領域内への不連続のジャンプが検出されたとき、および、その場合にのみやっと2点入力は作動可能にされる。点PMの移動が検出された場合、PMの移動量からP1の移動量を算出する基準点として、入力領域102の範囲内の点P2が用いられる。
【0082】
行列番号4では、生じる可能性のある2点入力の数が従来の方法と比較したとき著しく減少する。境界領域104は、2点入力の認識精度を高めるのに利用する一種の入力予測領域と考えることができる。
【0083】
例えば右手の親指などによって入力領域102を操作し、したがって入力領域102が行列4の右側に位置する左利きユーザ用の行列として行列4が具現化されることを付記しておく。
【0084】
図10は本発明の方法の別の実施構成のフローチャートである。基本的に本方法は図8に開示されているステップと同じステップを含むものであり、したがって同様のステップについては説明せず、図8の説明を参照するものとする。
【0085】
本方法は、点P1において入力イベントの検出80後に挿入される追加の問合せステップ11によって、図8に開示された方法とは異なるものである。この問合せステップ11は境界領域の範囲内で入力イベントが検出されたかどうかを判定するためのステップである。入力イベントが前記境界領域の範囲内に検出されなかった場合、2点ユーザ入力によって入力が生じなかったこと、および、新たな単一入力点において単一入力が行われた84ことが推定される。
【0086】
境界領域の範囲内で入力が検出された場合、第2の入力が点PMにおいて検出され88、本方法は図8に記載のように進むことになる。
【0087】
本方法は、処理のスピードアップを図るために境界領域を算出する、入力領域の判定のようなステップをさらに含むことができる。
【0088】
図11はタッチベースユーザ入力装置に対するタッチベース入力装置用コントローラを概略的に描く図である。図11は3つのブロック、すなわちタッチパッドやタッチスクリーンのようなタッチベース入力装置2、インタフェース4を介して前記タッチパッド2と接続されたタッチパッド入力コントローラ6を具備する。この図はアプリケーションを実行するプロセッサ18をさらに備え、このプロセッサ18は前記タッチパッド2を介してユーザ入力により制御される。コントローラ6はインタフェース16を介してプロセッサ18と接続される。コントローラ6はメモリ8、微分回路10並びに第1および第2の評価論理回路12と14を備える。コントローラ6では、微分回路10がタッチパッド2から単一の位置信号を受け取り、位置信号の時間導関数、すなわち前記タッチパッド2上での信号の移動スピードを決定する。この決定値は、位置信号の変化が所定の限界値を上回っているかどうかの判定を行う評価回路12へ転送される。この限界値が所定の限界値を上回った場合、信号は不連続と見なされ、2点ユーザ入力が特定される。2点ユーザ入力が存在する旨の情報が第2の評価回路14へ転送される。2点ユーザ入力が行われたかどうかの判定を行う微分回路10と評価回路12とが設けられる。2点ユーザ入力が検出された場合、第2の評価回路14を利用して2つの実際の位置が決定され、ユーザはこれら2つの実際の位置で前記タッチパッド2に触れることが予想される。
【0089】
第2の評価回路14は、前にメモリ8に格納された第1の位置と、インタフェース4を介して受信された実際の位置とを用いて、実際の2点ユーザ入力を算出する。予想される実際の2点ユーザ入力の双方の位置を算出するために、図7に関して上記明細書にリストされた式を利用することができる。第2の評価回路14はインタフェース16を介してプロセッサ18へ算出済みの2点ユーザ入力を転送して、前記プロセッサで実行するアプリケーションの制御を行う。
【0090】
前記プロセッサ18で実行する上記アプリケーションはインタフェース16を介して第2の評価回路14へ制御情報を転送してもよい。
【0091】
本発明では、実際の入力点の数や入力領域にかかわらず、抵抗型タッチパッドなどの場合のように、単一の位置情報のみの出力が可能なタッチパッドの振舞いを利用して2点入力を行うことが可能となる。本発明は本質的に2ステップ処理である。第1に、ハードウェア信号のモニタによって2点入力状況が検出される。第2のステップでは、実際の第2の入力点が第1の入力点と中点とに基づいて算出される。
【0092】
本発明は、単一入力向けのみに設計されたタッチパッド上での2点入力を可能にするシンプルな方法を提供するものであり、したがって、既存のタッチベース入力装置で2点入力を実現できる可能性を安価に提供するものである。本発明によって、タッチパッドまたはタッチスクリーンを設けることが可能なデバイスのユーザービリティをさらに改善する新たなユーザインタフェース機能の形成が可能となる。
【0093】
本方法は抵抗型タッチパッド信号解釈の新規の方法に基づくものであり、ソフトウェアを用いる実施構成が可能である。したがって、抵抗型タッチパッド装置に関してあるいは同様に振舞う他の任意のタッチパッド技術に関しても技術革新の実現が可能となる。好適なタッチパッド技術の1つの有用な特性として、アクティブな入力領域上で2点が押されたとき、(単一点入力向けに設計された)装置は、これらの2点間の相互接続ラインの中点で唯一の点が押されたように状況を解釈するという点が挙げられる。基本的には、押された単一入力点と同時に押された2つの入力点間の曖昧性のない信号および曖昧性のない関係のみが実際に必要とするものである。このような場合、第3の点P2の導出の方が複雑になる場合がある。
【0094】
動作原理は単純なものであり、実施構成はハードウェアドライバモジュールのソフトウェアの小さな変更しか必要としない。新たな機能のパフォーマンスまたは品質の有効性の検証を行うことは容易であり、したがって開発時間が短縮されることになる。
【0095】
本発明の実施およびテストは簡単に行うことができる。ユーザインタフェース/スタイルの統合化全体に多くの時間がかかる場合、本発明は特定のアプリケーションでの利用が可能である。本発明は単にソフトウェアによって実行が可能であり、大幅に高い処理パワーやメモリを必要としない。本発明によって、新たな入力コンセプトおよび再設計されたユーザインタフェースのスタイルが可能となる。本発明によって、現行のハードウェア技術を利用しながら、従来不可能であったユーザインタフェース機能の利用が2点ユーザ入力を用いて可能となる。
【0096】
本発明は専ら平面の矩形状タッチ式入力装置のみについて説明したものではあるが、球形、楕円形または円形やリングセクタの形状などのタッチ式入力装置に本発明を適用することも可能であることを付記しておく。曲線状のタッチ式入力装置あるいは球面状のタッチ式入力装置でも本発明の実現は可能である。非ユークリッド型タッチセンサを配布する場合、修正装置項を用いて本発明を実現することが可能である。
【0097】
タッチパッドという表現は、上記説明全体を通じてずっとタッチパッド、タッチスクリーンおよびタッチ式ディスプレイのような任意の種類のタッチベース入力装置を示すために用いられていることを付記しておく。
【0098】
本発明は3以上のユーザ入力点の検出にも適用可能であることをさらに付記しておく。2点ユーザ入力から始めて、さらに第2の不連続の信号遷移が観察された場合、タッチパッド上の第3のユーザ入力点を算出するために第1の中点を用いることが可能である。前記3点入力から生じる問題は3つの点の中点の潜在的移動間の明白な関係ではない状態の中に存在する。3点入力では、3点のうちのどの点が実際の中点の動きを実際に引き起こしたものであるかが明瞭ではない。しかしいくつかの例外として、パーソナルコンピュータ(PC)ユーザであれば誰でも知っているPCを再スタートするための‘文字列+Alt+Del’のよう組み合わせが後続して押された場合のような3点ユーザ入力も存在する。
【0099】
本願は実施構成の説明並びに例示による本発明の実施形態を含むものである。本発明が如上の実施形態の細部に限定されるものではないこと、本発明の特徴から逸脱することなく、別の形態でも本発明の実現が可能であることは当業者であれば理解できよう。如上の実施形態は例示的なものであり、本発明を限定するものではないと考えることが望ましい。したがって、本発明を実現し、利用する可能性は専ら添付の請求項のみによって限定されることになる。したがって、請求項によって本発明を実現する種々のオプションも本発明の範囲に属するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】一般的なタッチベースユーザ入力装置用ユーザインタフェースの場合の2点入力とそれぞれのタッチパッド出力とを描く。
【図2】ユーザがタッチパッド面上で移動させるスタイラスペンのトラックを描く。
【図3】図2の移動に起因して生じるX軸およびY軸の信号を示す。
【図4】一般的な抵抗ユーザインタフェースの場合の2点入力とそれぞれのタッチパッド出力とを描く。
【図5】タッチパッドの第2の入力点に触れるユーザによって引き起こされる信号の不連続を視覚化する。
【図6】不連続状況か、不連続でない状況(not-situation)かの判断用パラメータとして使用する信号立ち上げ時間の利用を視覚化する。
【図7】2つの入力点の正しい位置データの再現過程を視覚化する。
【図8】本発明の前記方法の実施構成を示すフローチャートである。
【図9】本発明の方法の実施構成の境界領域についての異なる実施形態を描く。
【図10】図9の境界領域を利用する本発明の方法の別の実現を示すフローチャートである。
【図11】タッチベースユーザ入力装置用タッチベース入力装置用コントローラの実施構成を概略的に描く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法であって、
第1の位置に関して前記入力装置への第1のユーザ入力を受け取るステップと、
前記第1のユーザ入力に関して第1の位置信号を形成するステップと、
第2の位置に関して前記入力装置への第2のユーザ入力を受け取るステップと、
前記第1の入力と前記第2の入力とに関して第2の位置信号を形成するステップと、
前記第2のユーザ入力がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて判定するステップと、
前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて第3の位置を生成するステップと、
前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを利用するステップと、
を具備する方法。
【請求項2】
前記生成された第3の位置が、前記第2の位置における前記第2のユーザ入力とほぼ同じ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の位置信号と前記第2の位置信号との間の勾配に基づいて前記判定ステップを実行する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の位置と前記第3の位置とを格納するステップをさらに具備する、請求項1、請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の位置の動きを検出するステップと、
前記第1の位置または前記第3の位置のうちの一方の位置を基準点としてセットするステップと、
前記第2の位置で前記基準点を反射することによって、前記基準点ではない前記位置の動きを算出するステップと、
をさらに具備する、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
基準点として前記第1の位置を利用するか、前記第3の位置を利用するかを示す信号を受け取るステップをさらに具備する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの前記判定ステップが、可能な入力オプションと前記第1の位置とによって画定された少なくとも1つの境界領域に基づいて行われる方法であって、前記境界領域のうちの1つの境界領域内に前記第2の位置が検出されなかった場合、2点ユーザ入力が排除される、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記境界領域が前記第1の位置からの1/2エッジ距離領域である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有する場合、2点ユーザ入力フラグをセットするステップをさらに具備する、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記2点ユーザ入力フラグがセットされ、かつ、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有することが決定された場合、単一点ユーザ入力の実際の位置として前記第2の位置を利用するステップをさらに具備する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
2点ユーザ入力が用いられている旨の指示を表示するステップをさらに具備する、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有していない場合、実際の単一点ユーザ入力の新たな位置として前記第2の位置をセットするステップをさらに具備する、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記入力装置が前記実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号の出力のみを行う能力を有する、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の位置信号を格納するステップをさらに具備する、請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の位置が前記第1の位置とは異なる、請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ソフトウェアツールであって、コンピュータまたはネットワーク装置で前記ソフトウェアツールを実行するとき、請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段であって、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を具備するソフトウェアツール。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段であって、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を具備するコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
コンピュータプログラム製品であって、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコードであって、サーバからダウンロード可能なプログラムコードを具備するコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
タッチベースユーザ入力装置用のタッチベース入力装置コントローラであって、
前記タッチベースユーザ入力装置上のユーザが触れた個々の位置を表わす連続する位置信号を受け取るための、前記タッチベースユーザ入力装置と接続可能な入力部と、
前記位置信号のうちの少なくとも1つの信号を格納するための、前記入力部と接続されたメモリと、
2つの異なる連続する位置間の時間依存遷移特性を検出する微分回路と、
先行する位置に後続する位置が、単一点ユーザ入力に起因して生じたものであるか、2点ユーザ入力によって生じたものであるかの判定を行うための、前記微分回路と接続された第1の評価回路と、
第2の評価回路であって、前記入力部と、前記メモリと、前記第1の評価回路と接続された第2の評価回路において、第1の点位置と、連続する第2の位置とに基づいて2点ユーザ入力を算出するために設けられた第2の評価回路と、
出力部であって、前記第2の評価ユニットと接続された出力部において、処理ユニットと接続可能な出力部と、
を具備するタッチベース入力装置コントローラ。
【請求項20】
前記第2の評価ユニットの動作を制御する制御情報を前記処理ユニットから受け取るために、処理ユニットと接続可能な前記第2の評価ユニットと接続された入力部をさらに具備する、請求項19に記載のタッチベース入力装置コントローラ。
【請求項21】
タッチベース入力装置と、プロセッサと、前記タッチベース入力装置を前記プロセッサと接続するコントローラと、を具備する電子装置であって、前記コントローラが請求項19または請求項20に記載のコントローラであることを特徴とする電子装置。
【請求項22】
請求項21に記載の電子装置であって、前記装置が移動端末装置である電子装置。
【請求項1】
タッチベースユーザ入力装置で2点ユーザ入力を認識する方法であって、
第1の位置に関して前記入力装置への第1のユーザ入力を受け取るステップと、
前記第1のユーザ入力に関して第1の位置信号を形成するステップと、
第2の位置に関して前記入力装置への第2のユーザ入力を受け取るステップと、
前記第1の入力と前記第2の入力とに関して第2の位置信号を形成するステップと、
前記第2のユーザ入力がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかを前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて判定するステップと、
前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに基づいて第3の位置を生成するステップと、
前記2点ユーザ入力の座標として前記第1の位置と前記第3の位置とを利用するステップと、
を具備する方法。
【請求項2】
前記生成された第3の位置が、前記第2の位置における前記第2のユーザ入力とほぼ同じ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の位置信号と前記第2の位置信号との間の勾配に基づいて前記判定ステップを実行する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の位置と前記第3の位置とを格納するステップをさらに具備する、請求項1、請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の位置の動きを検出するステップと、
前記第1の位置または前記第3の位置のうちの一方の位置を基準点としてセットするステップと、
前記第2の位置で前記基準点を反射することによって、前記基準点ではない前記位置の動きを算出するステップと、
をさらに具備する、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
基準点として前記第1の位置を利用するか、前記第3の位置を利用するかを示す信号を受け取るステップをさらに具備する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有するかどうかの前記判定ステップが、可能な入力オプションと前記第1の位置とによって画定された少なくとも1つの境界領域に基づいて行われる方法であって、前記境界領域のうちの1つの境界領域内に前記第2の位置が検出されなかった場合、2点ユーザ入力が排除される、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記境界領域が前記第1の位置からの1/2エッジ距離領域である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有する場合、2点ユーザ入力フラグをセットするステップをさらに具備する、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記2点ユーザ入力フラグがセットされ、かつ、前記第2の位置がそのソースを同時2点ユーザ入力に有することが決定された場合、単一点ユーザ入力の実際の位置として前記第2の位置を利用するステップをさらに具備する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
2点ユーザ入力が用いられている旨の指示を表示するステップをさらに具備する、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の位置入力がそのソースを2点ユーザ入力に有していない場合、実際の単一点ユーザ入力の新たな位置として前記第2の位置をセットするステップをさらに具備する、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記入力装置が前記実際のユーザ入力に対応する単一の入力位置信号の出力のみを行う能力を有する、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の位置信号を格納するステップをさらに具備する、請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の位置が前記第1の位置とは異なる、請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ソフトウェアツールであって、コンピュータまたはネットワーク装置で前記ソフトウェアツールを実行するとき、請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段であって、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を具備するソフトウェアツール。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段であって、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を具備するコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
コンピュータプログラム製品であって、コンピュータまたはネットワーク装置で前記プログラム製品を実行するとき、請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコードであって、サーバからダウンロード可能なプログラムコードを具備するコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
タッチベースユーザ入力装置用のタッチベース入力装置コントローラであって、
前記タッチベースユーザ入力装置上のユーザが触れた個々の位置を表わす連続する位置信号を受け取るための、前記タッチベースユーザ入力装置と接続可能な入力部と、
前記位置信号のうちの少なくとも1つの信号を格納するための、前記入力部と接続されたメモリと、
2つの異なる連続する位置間の時間依存遷移特性を検出する微分回路と、
先行する位置に後続する位置が、単一点ユーザ入力に起因して生じたものであるか、2点ユーザ入力によって生じたものであるかの判定を行うための、前記微分回路と接続された第1の評価回路と、
第2の評価回路であって、前記入力部と、前記メモリと、前記第1の評価回路と接続された第2の評価回路において、第1の点位置と、連続する第2の位置とに基づいて2点ユーザ入力を算出するために設けられた第2の評価回路と、
出力部であって、前記第2の評価ユニットと接続された出力部において、処理ユニットと接続可能な出力部と、
を具備するタッチベース入力装置コントローラ。
【請求項20】
前記第2の評価ユニットの動作を制御する制御情報を前記処理ユニットから受け取るために、処理ユニットと接続可能な前記第2の評価ユニットと接続された入力部をさらに具備する、請求項19に記載のタッチベース入力装置コントローラ。
【請求項21】
タッチベース入力装置と、プロセッサと、前記タッチベース入力装置を前記プロセッサと接続するコントローラと、を具備する電子装置であって、前記コントローラが請求項19または請求項20に記載のコントローラであることを特徴とする電子装置。
【請求項22】
請求項21に記載の電子装置であって、前記装置が移動端末装置である電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−516481(P2007−516481A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508381(P2005−508381)
【出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003605
【国際公開番号】WO2005/022372
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003605
【国際公開番号】WO2005/022372
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】
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